2025年4月16日水曜日

ママ友に「今年度から高校授業料無償化でうれしいね」と話したら、「それ、他の人に言わないほうがいいよ」と返答が! なにか悪いことを言ってしまったの?“気を付けるべき理由”を解説―【私の論評】高校授業料無償化の隠れた危機:中国人留学生急増と教育の未来

 ママ友に「今年度から高校授業料無償化でうれしいね」と話したら、「それ、他の人に言わないほうがいいよ」と返答が! なにか悪いことを言ってしまったの?“気を付けるべき理由”を解説

まとめ

  • 高校授業料無償化の概要と変更点:2026年度から所得制限を撤廃し私立高校の支援上限を45万7000円に引き上げ。2025年度は先行して全世帯に11万8000円支給。現在の支援制度では、公立11万8000円、私立全日制39万6000円などを年収910万円以下(4人家族目安)などに支給。
  • 高年収世帯への影響と注意点:2025年度の制度拡大で年収910万円超の高年収世帯が新たに対象に。制度に詳しい人に支給開始を話すと高年収と推測される可能性があり、話題選びには慎重さが求められる。
  • 公立離れの懸念:大阪府で無償化に伴い公立高校の出願率が1.14倍から1.01倍に低下、定員割れ校が13校から35校に増加。「公立離れ」が懸念され、教育の質確保が課題。

  • 写真は、テレビドラマ「対岸の家事」より ママ友には言ってはいけいないこともある? 

    2026年度から高校授業料の無償化が実施される。2025年度にはその前段階として所得制限が撤廃され、公立・私立を問わずすべての世帯に11万8000円が支給される。2026年度には私立高校の支援上限額が現在の39万6000円から45万7000円に引き上げられる。現在の支援制度では、公立高校に通う生徒には年間11万8000円、私立全日制には39万6000円、私立通信制には29万7000円、国公立高等専門学校には23万4600円が支給される。

    受給資格は保護者の所得により制限がある。4人家族(両親の一方が働く場合)を目安に、年収910万円以下で11万8000円、年収590万円以下で39万6000円が支給される。支援金は直接家庭に支払われるのではなく、学校の授業料と相殺される仕組みである。

    あなたが仮に新たに高校無償化の恩恵について周囲に話すと、所得制限の撤廃により今まではもらえなかった高年収の世帯であることを察する人がいるかもしれない。これを理解して話題選びに気をつけるべき。

    この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい人は、元記事をご覧になってください。

    【私の論評】高校授業料無償化の隠れた危機:中国人留学生急増と教育の未来

    まとめ
    • 中国人高校留学生の急増:少子化による私立高校の定員割れと無償化(2025年度開始、2026年度支援上限45万7000円)で、中国人留学生が増加。米国での290%増加(2010-2015年)や宮崎県の学校(在校生9割が中国人)の例から、大量受け入れが懸念される。
    • 安全保障リスク:中国の「国防動員法」やJAXAサイバー攻撃(2023年)、フィリピンのスパイ懸念(2024年)、カナダのビザ拒否(2024年)から、留学生の大量受け入れは技術流出やスパイ活動の危機を招く。
    • 教育の質と地域社会への影響:留学生の日本語力不足で授業の質が低下し、教員の多文化教育研修不足(OECD、2023年)が問題。福岡県の学校(2024年)では住民が地域の教育変化を不安視。
    • 教育格差と財政負担:無償化は私立校進学を促すが、進学校と定員割れ校の格差が拡大(文部科学省、2023年)。年間3000億円の追加予算(財務省、2024年)が必要で、増税は家計を圧迫するが、経済成長で賄える可能性がある(OECD、2023年)。
    • 不登校対応の不足:不登校生徒34万6000人(文部科学省、2023年)への対応が不十分で、北海道の私立校(2024年)では支援不足が批判される。日本の教育は今、岐路に立つ。対策を怠れば、未来の世代にツケを回すだけだ。
    高校授業料無償化に伴う問題点として、元の記事では「高年収世帯への誤解」と「公立離れ」が指摘されているが、私立高校における定員割れ校への中国人高校留学生の増加やその他の問題点も重要な懸念として浮上している。
    中国人高校留学生の急増が突きつける危機
    日本の少子化は私立高校を直撃している。生徒数が減り、定員割れが続出だ。2025年度の高校授業料無償化は、こうした学校に一筋の光をもたらす。授業料負担が減り、円安(2025年3月、1ドル=約150円)で日本留学が割安となり、中国人高校留学生の受け入れが急増する可能性がある。

    日本の18歳人口は1990年の約200万人から2025年には約110万、2040年には88万人まで落ち込む(文部科学省、2024年)。大阪府では2025年度、公立高校35校が定員割れだ(元の記事)。文部科学省の2023年データでは、外国人留学生の4割が中国出身である。宮崎県の日章学園九州国際高等学校は在校生の9割が中国人留学生で、無償化とビザ緩和を追い風に受け入れを拡大している。

    日章学園九州国際高校の在学生の9割が中国人留学生

    福岡県の私立高校は2024年度、中国の教育機関と組み、100人の留学生を呼び込んだ。学校は「授業料収入で校舎を改修できた」と胸を張るが、地元住民は「地域の教育が変わる」と不安を口にする(朝日新聞、2024年10月)。別の地方の私立高校では、中国人向け日本語コースを設けたが、教員の負担が重く、日本語が不十分な生徒で授業が滞る(日本経済新聞、2025年2月)。教員は「文化や言葉の壁に対応しきれていない」と吐露する。

    この動きは学校の存続を支えるが、深刻な問題を突きつける。留学生の日本語力不足に対応できる教員が少なく、授業の質が落ちる危険がある。OECDの2023年報告では、日本の高校教員の多文化教育研修受講率はOECD平均を下回る。地元生徒や保護者からは「学校の伝統が失われる」との声が上がる。地方の小さな学校は地域との絆が強いだけに、こうした変化は衝突を生む。南華早報(2024年4月)は、フィリピンで中国人留学生の急増が地域社会の懸念を引き起こしたと報じ、類似のリスクが日本でも顕在化しつつある。

    今後、無償化がさらに進み、2026年度に私立高校の授業料支援上限が45万7000円へ引き上げられれば、経済的魅力が高まり、中国人高校留学生の大量受け入れが加速する。米国では2010年から2015年に中国人K-12留学生が8857人から3万4578人に290%増加した(米国国土安全保障省、2015年)。日本でも同様の急増が起きれば、定員割れ校は留学生に依存する構造が強まる。

    だが、これは安全保障上の危機でもある。中国の「国防動員法」(2010年施行)では、有事の際に海外在住の中国国民が動員対象となり得る。カナダの連邦裁判所は2024年、中国人学生がスパイ行為に圧力を受ける可能性を理由にビザを拒否し、大学が「非伝統的スパイ活動」の場となり得ると警告した(CBCニュース、2024年1月)。

    フィリピンでは2024年、カガヤン州で4600人の中国人留学生の急増が「スパイの潜入」懸念を呼び、情報機関が調査を開始した(South China Morning Post、2024年4月)。日本でも、技術流出やスパイ活動のリスクが高まる。2023年に元中国人留学生が日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)へのサイバー攻撃に関与した事件が報じられ(朝日新聞、2023年6月)、留学生が大学や企業に進むと機密情報へのアクセスが増え、国家安全保障が脅かされる。
    教育格差と財政の重圧
    無償化は私立高校への進学を後押しするが、質の高い私立校と定員割れ校の格差を広げる。文部科学省の2023年調査によれば、進学校の大学進学率は8割を超えるが、定員割れ校は3割未満だ。大阪府の保護者は「無償化で私立が選びやすくなったが、定員割れ校は進学実績がなく、子どもの将来が不安だ」と語る(毎日新聞、2025年1月)。

    都市部の名門私立校は入試競争が過熱し、低所得層の生徒は門前払いだ。財政負担も重い。財務省の試算では、2026年度の無償化完全実施に年間3000億円の追加予算が必要だ(2024年報告)。留学生の増加で支給対象者が増え、財政はさらに圧迫される。ある地方自治体は、無償化の財源確保のため、公民館の学習支援事業を縮小した(読売新聞、2025年3月)。

    実は日本の財政赤字は他国よりはるかに軽い。2024年の財政赤字はGDP比2.3%で、米国の7.6%の3分の1だ(財務省、2024年)。G7ではカナダがGDP比3.6%(2022年、IMF)と最も低く、日本は2番目に健全だ。EUでは、政府と中央銀行を合わせた統合ベースで財政を評価し、債務の持続性や金融システムの安定性を測る。日本の統合ベースでは、2019年頃にすでに黒字化している(IMF財政モニター、2018年)。

    だが、日本は新政策の財源確保に増税を頼りがちだ。消費税は1989年の3%から2019年には10%に上がり、教育や社会保障に充てられた(財務省、2024年)。無償化のコスト増で消費税のさらなる引き上げや新税が議論されるかもしれない。だが、増税は家計を圧迫し、無償化の恩恵を帳消しにする。

    恒久財源を建前に増税を目論む財務省に抗議の声があがったが・・・・・

    恒久財源という財源を先の先まで確保する考えに、経済学者は異議を唱える。OECDの2023年報告では、カナダやニュージーランドのように短期的な赤字を許容し、経済成長で税収を増やす国では、教育投資が大きな成果を上げる。日本の実質GDP成長率は2024年で1.2%と低いが(IMF推計)、教育投資は人的資本を高め、成長を押し上げる。

    1990年代のスウェーデンは教育無償化を赤字国債で賄い、10年後に経済成長で財政を立て直した(OECD、2000年)。2020年のコロナ給付金では、10兆円の支出を赤字国債で賄ったが、2023年のインフレ率は3.1%にとどまる(日本銀行)。世界標準のマクロ経済学にもとづくある経済学者は「無償化が教育や労働生産性を高めれば、税収増で財源は賄える」と断言する(東京新聞、2025年2月)。増税に固執すれば、無償化の家計支援という目的が揺らぐ。
    不登校への対応不足と解決への道
    無償化は私立校への進学を促すが、不登校や特別なニーズを持つ生徒への対応が追いつかない。文部科学省の2023年データでは、不登校生徒は34万6000人に達し、11年連続で増加だ。私立校の多くは特別支援教育の体制が整わず、定員割れ校は特にリソースが乏しい。留学生の増加で教員の負担が増え、こうした生徒への対応は後回しだ。北海道の私立高校は不登校生徒の受け入れを掲げるが、カウンセラー不足で十分な支援ができず、保護者から「看板倒れだ」と批判された(北海道新聞、2024年12月)。

    不登校の高校生 イメージ画像

    無償化は教育の機会均等を掲げるが、課題は山積みだ。中国人留学生の急増は教育の質や地域社会との関係、財政に重い負担をかける。無償化の進展は留学生の大量受け入れを加速させ、安全保障の危機を招く。JAXAへのサイバー攻撃やフィリピンでのスパイ懸念は、日本が無防備であってはならないことを示す。

    カナダの裁判所の警告も、留学生がスパイ活動のリスクを孕む現実を突きつける。短期的な授業料収入は学校を救うが、質の低い私立校への依存は生徒の将来を縛る。財政面では、増税による財源確保が家計を苦しめ、無償化の意味を薄れさせる。しかし、経済成長による税収増を見据えれば、恒久財源へのこだわりは不要だ。

    不登校生徒や特別なニーズへの対応不足は、無償化の恩恵をすべての生徒に届ける壁となる。解決は急務だ。私立校の教育水準を厳しくチェックする。留学生を受け入れる学校は地域住民と対話し、特別支援教育を整える補助金を設ける。これらの対策で、無償化の理想を現実に近づけ、問題を最小限に抑える。

    日本の教育は今、崖っぷちに立っている。愚かな先送りと無責任な楽観で、子どもの未来を売り飛ばすのか。それとも、覚悟を持って立ち向かうのか。わが国の大人たちは、今こそ目を覚ますべきだ。

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