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2008年12月22日月曜日

<改革・開放30周年>元国家主席ブレーンが語る中国・改革の終焉-中国の三つの道

改革・開放30周年を記念した写真展のポスター前で座り込む老人=2008年12月16日、北京で(Photo by Feng Li/Getty Images)

<改革・開放30周年>元国家主席ブレーンが語る中国・改革の終焉(この内容をすでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)

  【大紀元日本12月22日】今年は中国共産党が「改革開放」を訴え始めて30周年にあたる。30年前に鄧小平が提案し実施したこの政策で中国経済は大きく 発展したが、政治を完全に無視した経済改革で腐敗の氾濫、貧富の差の拡大、社会的な不公平を引き起こし、1989年の「天安門事件」を誘発した。12月 18日に行われた記念式典で、胡錦濤国家主席(党総書記)は、この30年間共産党の指導で経済発展を遂げた実績をアピールし、今後も経済改革路線を継続し ていくと表明した。しかし、趙紫陽元国家主席のブレーンだった呉国光教授は、中国共産党の改革は6年前にすでに終わっていると指摘し、中国社会全体は現在 改革の時期にあるのではなく社会危機に陥っているという見方を示した。

 現在カナダ・ビクトリア大学の中国研究専門家である呉国光教授は、今年10月に米国で開かれた「中国の歴史教訓および未来の挑戦」国際シンポジュウム で、「完璧な制度から政治革命へ」と題する講演を行い、五つの論点から中国の改革はすでに終焉したとの観点を紹介した。また、社会危機の由来は、経済制度 と政治制度との衝突から来ており、中国の政治改革はこれから起きるかどうか、「民衆は代価を惜しまず当局に正面から対峙
カナダ・ビクトリア大学中国研究・アジア太平洋関係の客員教授・呉国光氏
できるかどうか」によるのだと同氏は言う。

 以下は、呉氏の観点の概略。

 その一、なぜ改革がすでに終わっているというのか

 2002年6月、私はすでに発表した論文の中に、中国改革の終焉を宣言した。ここで新たに4つの証拠を挙げて論じる。

 周知のように、中国改革の内容は計画経済から市場経済への変革である。この変革は大きく4つの方面に分けることができる。

 1.市場化改革(価格の改革)

 中国で流通している97%の商品価格が1979年までは国に決められていたが、1994年ごろになると、97%の商品価格が市場で決まるようになった。その比率は今でも対して変化していないため、この改革は1990年代中期で終わったといえる。

 2.私有化改革(所有権の改革)

 中国ではもともと企業が国有や公有であった。1990年代中期になると国有公有企業、私営企業と外資関係企業の比率が1:1:1となった。それ以来、この比率が変化していないため、この改革は1990年代中期で終わったといえる。

 3.経済管理制度改革(権力の改革)

 これは分権化改革または地方への権限の委譲とも言える。すなわち、経済管理の権権限が中央政府から地方政府へ、地方政府から企業へ移転して行った。これも1994年に「分税制度」の実施で終えたと言える。

 4.国際化の改革(WTOへの加入)

 私は2002年に中国の改革は終わったと宣言した。なぜなら、改革の4つ目の指標が来たからだ。それは「国際化」または「グローバル化」である。 2001年12月に正式にWTOに加盟した中国が本当の意味で、世界資本主義経済システムと融合したのだ。それで中国の改革が終焉を迎え、私もその6ヶ月 後に改革が終わったことを宣言した。

 その二、2001年で改革の時代が終焉したのなら、今は一体どのような時代なのか

 中国政府は公式に改革がいまだに続いていると報道させているが、それは真っ赤な嘘である。改革が終焉を迎えて6年も経ったのだ。そうであれば、いったい 何が進められているのだろうか。経済改革の後に社会改革がやってきて、経済改革、社会改革そして政治改革をそれぞれ30年を費やすと言う人がいるようだ が、私はこの6、7年間、社会改革などは行われていなかったと思う。

 農村部の30年前と現在を比較してみよう。1979年から1984年のわずか5年間で99%の農民が「人民公社」から離脱した。その1年後の1985年 で「人民公社」がなくなった。一方、この6、7年間のいわゆる「社会改革」はどんな変化があったのか。たとえば、医療問題については、6年前と比べて、良 くなっているとは到底思えない。もし、この6年間が社会改革の時期に当たるのなら、単なる失敗の改革であったに違いない。

 また、社会改革なら大きな抵抗に遭遇するはずだ。30年前の改革の際、農村部の官僚たちは「積年の苦労が一晩で40年前に戻った」と有名なコメントを残 している。さまざまな不満があるのが当然である。しかし、今はそんなものがまったく見当たらない。医療問題、教育問題、収入格差問題など、問題は山積み だ。それに対しては、「改革したいが、抵抗が大きすぎて進められない」などという発言もあるほどだ。しかし、改革というものは抵抗を乗り越えて進めるもの ではないのだろうか。だから、「改革」と発言したのかもしれないが、進めてはいない。したがって、今は社会改革の時代でなく、社会的危機の時代なのだ。

 その三、なぜ社会的危機が存在するのか

 改革が進み、中国は確かに経済的な繁栄を手に入れ、ある程度の自由もある。それなら、社会的危機は本当にあるのか。これまでの改革を振り返って見ないと 結論を出すことが難しい。経済システムの改革の視点からみると、単純に計画経済から市場経済への変革だ。政治システムの改革の視点からみると全く変化せ ず、中国共産党の独裁政権が続いている。しかし、この両者を総合的な視点、すなわち政治経済学的視点からみると、それほど単純なものではない。1979年 からの10年間は経済改革により民間の自由が拡大し続け、政治を変えようとする10年間だった。一方、1989年からの10年間は、中国共産党独裁政権が 積み上げてきた富で民間の自由を弾圧する10年間だった。したがって、中国の改革は30年間行われたのでなく、二つの10年間で行われたのだ。 1979~1989年の10年間と1992年鄧小平氏の「南巡」談話から2001年WTOへの加盟までの10年間である。

 なぜこの二段階の改革が「社会的危機」を招くのだろうか。やはり原因は政治システムと経済システムの関係にあると考える。80年代の改革で社会的な矛盾 を拡大させた結果、1989年「天安門事件」が起きたのだ。政府が民主化の要求に対して血まみれの答えを出したのだ。それから二つ目の10年間改革に移行 した。その改革を簡単に二つの「代価を問わずに」にまとめることができる。それは「代価を問わずに経済を発展させる」ことと「代価を問わずに完全な政治統 制を維持させる」ことである。すなわち、政治的にあらゆる異議を弾圧し、許されるのが金儲け話のみという政策だ。この政策により中国が経済的に繁盛すると ともに重大なる社会問題が発生した。その問題とは著しい収入などの格差問題である。

 この格差は物質的な視点、制度的な視点、心理的な視点から論じることができる。まず、物質的な視点から、今の中国では0・4%の家庭が70%の富を手に している。制度的な視点、つまり、社会規則的な視点から、誰もが守るべき社会規則は権力のある人々が守ろうとしない。中国のいわゆる規則は権力のない人を 統制するものなのだ。「毒粉ミルク」は最も典型的な例である。最後に心理的な視点から、権力を手に入れた人たちは変わった心理状態に陥っている。具体的に 説明すると、権力を手に入れた人たちが規則も守らず、周りの人々に敵視されることに満足感を感じるようだ。たとえば、車で出かけるときに、交通ルールを守 らず、歩行者に睨まれても「別に気にしない。俺がお前をつぶそうと思えば、いつだってできる」と考える人がいる。

 このような格差の代表説は「三つの代表」である。鄧小平氏の「一部の人が先に富を得よう」の言葉通り、一部の人たちがその「三つの代表」となり、そうでない人々がそこから排除されているのだ。

 その四、中国では本当に政治改革の問題があるのか

 中国の改革のあらゆる段階で各社会階級から政治改革への要求の圧力が常にあるが、しかし、実際にその政治改革が実行されていない。もちろん、試みは2度 ほどあったと思う。一つは1980年代初期に胡耀邦氏がトップの権力者を制約しようとする試みである。もう一つは1986年前後に国家と社会の関係に対す る改革、すなわち、一部の権力を社会団体などに明け渡す試みである。1990年代以降せっかく明け渡した権力が再び中央政府に集約されたのは最近の話だ。 改革については単純な判断基準がある。これまで中国共産党があらゆる政治権力を手にしてきたが、何らかの形でその権力が弱まることがあれば、それが本当の 改革と言えるだろう。

 その五、どのように現状を判断すべきなのか

 改革が始まって30年も経ち、その中で二回ほど10年の改革を経て、現在の奇形な制度となった。その特徴は上記の二つの「代価を問わず」である。それに基づいて、中国中央政府がその特徴を「制度化」、さらに「正常化」、「道徳化」そして「国際化」したのだ。

 1.制度化

 本世紀に入るまでは中国中央政府がさまざまな方法を施して経済発展を促進してきた。今となっては中国経済の唯一の問題は経済過熱を抑えることだ。このよ うな高度市場化した状況で政治的安定を保つための方法も最近見つかった。それは弾圧を含む二つの「代価を問わない」ことを制度にしたことである。

 2.正常化

 正常化とはもともと応急処置であるべきものを日常化したことである。たとえば、天安門広場での弾圧は緊急事態で軍事戒厳とともに行われるものであるはず だ。しかし、今はどんな状況でも、軍事戒厳のように、毎日大人しくしていないとならない。政治的だけでなく、経済的にもこのようなことが行われており、こ のような規則が正常化されたのだ。

 3.道徳化

 1989年天安門事件のとき、弾圧された人々が納得しておらず、内心反対していた。今となって多くの人はその弾圧が正しかったと言っているようだ。中国共産党がそのような道徳観念を人々の心に植え付けたのだ。その過程がまさに道徳化の過程である。

 4.国際化

 国際化もおかしいのだ。毛沢東の時代では自国のシステムが完璧だと認識し、西洋のシステムを完全否定していた。鄧小平の時代では自分の不足を認識し、西 洋のシステムを導入しようとした。しかし、二つの時代でもロジックは同じなのだ。自分が一番だと思いつつも、あまり自信がなかったのだ。

 このような心理状態で中国社会が二極化している。一部の人が何でも危機だと思っているようだ。一方で、多くの人々が中国は歴史上最もすばらしい制度を築き上げたと考えているようだ。

 これこそ、テーマに言及している完璧な制度の問題にたどり着く。制度が完璧であれば、改革する必要もないだろう。

 確かに、現在中国経済は発展している。しかし、これで社会の矛盾を解決できるのか。次の段階ではっきりするだろう。一体、次の段階は政治革命なのかどうかは三つ目の「代価を問わず」があるかどうかに影響されるのだろう。それは国民が「代価を問わず」に立ち上がることだ。

中国の三つの道
今後5年以内に、中国は大きく変わるでしょう。歴史が示すところによれば、いくつかの地域に分割されることになるでしょう。今日すでにいくつかの特別区ができあがっています。かつては、軍閥ごとの支配地域がありました。すでに北京中央政府への税の納入が滞っています。公然と手を切るに至っていないの、それぞれの地域への国有企業への補助金が目当てだからです。現在の中国は4つから5つくらいの国に分割して、これらの国が一つの経済圏をつくるというようなやり方が、最も合理的だと思います。

今後、中国は上記で示したような社会的矛盾が解決できなければ、いくつかの地域に間違いなく分割されることでしょう。このブログにも示してきたように、中国が分裂するということです。というより、様々な矛盾を解決するためには、分裂せざるを得ないことになります。

今後中国が、とりうる道は三つあります。

第一の道は、公式見解でもある、やがて近代化し効率化するという道です。現在は金融危機などによって実体が見えにくくなっていますが、上海の効率の良い工場のような成功例がありますが、あまり多くはありません。

第ニの道は、いわば綱渡りで、ここしばらく中央政府が実際に行ってきたことです。失業率を危険水域から戻すために補助金を注ぎこみます。次に再び失業率が危険水域に達するまで合理化を進めます。そうして、再びインフレ政策をとる。こうして徐々に合理化を進めていきます。今回の、金融危機に対する中央政府の対策も、こうした過去の延長線上のものであり、規模が大きいだけです。

第三の道は、いろいろな意味で最も現実的な道です。それは、いくつかの分野に資源を集中し、業績をあげる企業を育て、外国資本を惹きつけるというものです。上海がとっている道であり、うまくいった道です。ただし、金融危機に陥り、実体がみえにくくなっていますが、今後経済が落ちついくれば、この上海の方式を全土に広めることが最も合理的だと考えます。

いずれの道をとるにしても、このブログでもかねてから主張しているように、民主化、政治と経済の分離、法治国家化のいわゆる私が言うところの三種の神器は、欠かすことはできません。

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