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2017年8月21日月曜日

日本を完全雇用・適度なインフレに導く、極めて効果的な方法があった―【私の論評】数字を見ればわかる、未だ緊縮財政で脆弱なわが国経済(゚д゚)!

いまこそ財政支出の「ダメ押し」が必要だ

 消費増税すべき、だと…?

内閣府が14日に発表した2017年4~6月期GDPは年率4.0%増、プラスは6四半期連続となった。名目GDPの成長率も年率4.6%と好調だった。名目は2四半期ぶりにプラスになった。

これに対して日経新聞は、「4%成長は追い風参考記録だ」というの社説を出した( http://www.nikkei.com/article/DGXKZO20027630W7A810C1EA1000/)。社説では「1.0%未満とされる日本経済の潜在成長率を大きく上回った」としたうえで、「成長率を大きく押し上げたのは、個人消費と設備投資という民間需要の2本柱だ」という。

そして、「2016年度補正予算の執行が本格化し、公共投資が成長に寄与した面も見逃せない」と書いていた。公共投資は主役扱いでない、ということのようだ。最後に、記事は「政府は労働市場や規制緩和などの構造改革の手を緩めてはならない」と締めくくっている。

GDP速報の公表後、筆者のところに、これだけ内需が伸びているのだから、秋の補正では経済対策は不要であり、この流れのなかで消費増税もやらなければいけない、という声が聞こえてきた。そこで、

<GDP速報。これで消費増税(が必要)とかいっている人もいるが。これはZ(財務省)のささやきだろう。ただ16年の2次補正が効いたとしか読めないぞ。要するに緊縮しなければ成長するという当たり前の話だろう。だから秋の補正でも(経済対策をやれ)ということだ>

とツイートした(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/897284790029754368 なお、書き損じなどを修正)。その際、以下の表も添付した。


改めてGDP速報(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf)をみたら、公共投資が大幅に伸びて、その結果、消費と設備投資への波及効果があったのだと筆者は思った。これが、普通の見方だろう。

ところが、日経新聞は社説のように、公共投資が伸びて、それが波及したことを前に出さないように書いている。おそらく財務省関係からささやかれていた話に従うかのように、記事や社説を書いたのだろう。そこには、「秋の補正での経済対策は不要である」という財務省の意図が滲み出ている。

そうした空気は、政府内にもあるようだ。茂木敏充経済再生担当相は、記者会見で今回のGDP速報について「率直にいい数字だと思っている」との認識を示し、「内需主導の経済成長が続くように万全の対応をしていきたい」と強調した。一方で、「現段階で具体的に新たな経済対策は想定していない」とも語った。

はたして茂木経済再生担当相の認識・方針は正しいのか。それを考えるために、今回のGDP速報について詳しく見てみよう。

 「完全雇用」と早合点してはいけない

需要項目別に見ると、民間消費3.7%、民間住宅6.0%、民間設備投資9.9%等で民間需要5.3%。政府消費1.3%、公共事業21.9%で公的需要5.1%。民間と公的を合わせた国内需要は5.2%だった。一方、輸出▲1.9%、輸入5.6%であったので、外需のマイナスを内需でカバーした形である。

公共事業の伸びが大きかったのは、16年度第2次補正予算に盛り込んだ経済対策が寄与したからだ。今回のGDP速報は、適切な補正予算によって、個人消費が牽引され、内需主導の望ましい経済成長が可能になったことを示している。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比▲0.4%だった。1-3月期には▲0.8%であったので、改善の方向であるが、依然としてデフレから完全に脱却したわけでないことが明らかだ。

これを指摘しても、茂木経済再生担当相や日経新聞は、日本経済の潜在成長率が低いことを主張して、現時点で経済対策は不要であるというだろう。

ちなみに、内閣府は、2017年1-3月期GDP2次速報後のGDPギャップ(潜在GDPと実際のGDPの乖離)を+0.1%としている。今回のGDP速報では、さらにプラス幅が拡大するはずだ。プラスということは、需要超過なので、これで有効需要をさらに増やす経済対策は不要、というロジックである。

日経新聞も、潜在GDP成長率は「1.0%未満」と社説に書いているので、すでに「需要超過」という内閣府と同じ意見を有しているのだろう。というか、このあたりの話になると、マスコミでは自分で検証できないので、役所のいいなりである。

さて、GDPギャップについては、重要な経済データなので、内閣府だけではなく日銀でも算出しており、GDPギャップは実際のGDP(国内総生産)と潜在GDPの差の、潜在GDPに対する比率と定義されている。

問題なのは、潜在GDPである。一般的には、経済の過去のトレンドから見て平均的な水準で、資本や労働力などの生産要素を投入した時に実現可能なGDPとされているが、GDPギャップの大きさについては、前提となるデータや推計方法によって結果が大きく異なるため、相当の幅をもって見る必要がある。このことはGDPを推計している内閣府や日銀でも注意事項として認識されている。

内閣府の数字は0.1%となっているが、この結果をもって、「GDPギャップがないからすでに完全雇用だ」「経済対策は必要ない」と早合点はできない。潜在GDPについて、これまでの実現GDPをベースに算出するが、その結果、これまで完全雇用が実現されていないような水準に引きずられて、完全雇用水準から過小評価になる傾向があるからだ。

つまり、潜在GDPは必ずしも完全雇用を意味していないのだ。その理由を簡単に言えば、まだインフレ率が上がっていない以上、失業率はまだ下がる余地があり、インフレ目標達成とさらなる失業率の低下を進めるために、経済対策の余地はあるということだ。

ただしGDPギャップについては、その変化はおおいに参考になる。内閣府のデータは公表されている(http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/getsurei-index.html)ので、それを活用してみよう。それを使って、完全雇用水準からどの程度、過小評価になっているのか考えてみよう。

 構造失業率は2%程度

まず、失業率とインフレ率の関係(フィリップス曲線)を整理しておこう。それを仔細に見ていくと、ちょっと違った姿が見える。失業率とインフレ率は、逆相関になっているが、実は、両者の間に、GDPギャップが介在している。

例えば、GDPギャップがマイナスで大きいと物価が下がり、失業率が大きくなる。逆にGDPギャップがプラスで大きいと物価が上がり、失業率が小さくなる。

下の図1は、2000年以降四半期ベースで見たGDPギャップとインフレ率の関係である。左軸にGDPギャップ率、右軸にインフレ率(消費者物価総合対前年比)をとっている。GDPギャップは半年後(2四半期後)のインフレ率とかなりの相関関係がある。


ここで、GDPギャップとインフレ率の関係から、「2%インフレ」にするために必要なGDPギャップ水準を算出してみると、+4.5%程度である。

それを埋め合わせるためには、有効需要25兆円程度が必要になる。1単位の財政出動による需要創出効果を示す財政乗数が、内閣府のいう1.2程度としても、この有効需要を作るための財政出動は20兆円程度である。

また、この財政出動はGDPギャップを縮小させるので、インフレ率の上昇とともに、これ以上は下げられない「構造失業率」まで失業率の低下をもたらすはずだ、

下の図2は2000年以降の、四半期ベースで見たGDPギャップと失業率の関係である。左軸にGDPギャップ率、右軸に失業率をとっている。図をわかりやすくするために、左軸は反転させて表示しているが、GDPギャップはやはり半年後(2四半期後)の失業率とも、かなりの逆相関関係がある。


GDPギャップと失業率の関係式から見た、GDPギャップ+4.5%程度に対応する失業率は2%半ば程度である。筆者は、2016年5月30日付け本コラム(「消費増税延期は断固正しい! そのメリットをどこよりも分かりやすく解説しよう」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48779)において、これ以上下げられないとされる構造失業率を2%半ばと推計している。

一般的に、構造失業率の推計には、UV分析と潜在GDPによる分析の二通りがある。昨年の本コラムでは前者のUV分析を使ったが、今回は後者である。

いずれにしても、二つの異なる分析によっても、日本の構造失業率が2%半ばと同じになっているのは興味深いことだ。数学の問題では、二つ以上の別の解法により解けば、その命題はより正しいとされるが、経済学でも別の二つの方法で同じ結果であれば、よりもっともらしいといえるだろう。

 デフレ論者は否定するだろうが…

以上の分析を総合すると、構造失業率は2%半ば程度であろうとともに、それに対応するインフレ率はインフレ目標の2%である。その状態は完全雇用なので、内閣府の潜在GDPは4.5%程度過小評価になっている。

であれば、現実のGDPをその「完全雇用水準」まで引き上げるためには、有効需要25兆円、財政出動に換算して20兆円規模となる。逆にいえば、そこまでGDPを高めれば、インフレ目標2%を達成し、同時にこれ以上下げられない構造失業率2%半ばを達成することになる。この意味で、適度なインフレの下で、回避できない失業を除いて完全雇用を実現する合理的な政策となる。

さて、本題に戻ろう。今回のGDP速報結果を分析すれば、公共事業に支えられて、民間需要が誘発された形である。ここで、すでに民間需要に火がついたと勘違いして、経済対策の手を緩めれば、元の木阿弥になるだろう。というのは、現在は実際には完全雇用にほど遠い状態であり、賃金上昇に本格的な火のついていない状態だからだ。

実際、安倍政権下について考えれば2013年度は公共事業が活発で経済も良かった。しかし、2014年度以降公共事業が低調だった。消費増税の影響も相まって、緊縮財政傾向になり、GDP成長率は今一歩だった。

現時点で財政問題は気にする必要はない。これは、2015年12月28日付け本コラム(「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか… http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156)などで繰り返してきたので、読者ならばおわかりだろう。

むしろ国債市場では国債「玉不足」が言われている状況だ。今の低金利時代に、将来投資を行い、同時に、インフレ目標2%、構造失業率2%半ばを達成するのが正しい経済政策である。そうすれば、民間需要に本当の火がつくだろうし、過去20年間以上苦しんだデフレ経済からも本当に脱出できるだろう。

このように書くと、デフレ論者から、「金融政策だけではインフレ目標が達成できなくなったから、また別の手を出してきた」という批判が出てくるだろう。それは違う。上にも書いたが、2014年度以降は消費増税の影響もあり、緊縮財政だったので、それが金融政策の足をひっぱってきた。だから、それを改めよという話をしているのだ。

デフレ論者は消費増税・緊縮財政指向なので、彼らの主張が日本経済のためにならないのは、改めていうまでもない。

【私の論評】数字を見ればわかる、未だ緊縮財政で脆弱なわが国経済(゚д゚)!

確かに、「年率実質4%成長」という数字は、「良い数字」であることは間違いありません。そして、実質成長が6期連続のプラスなのも、それが11年ぶりであることも、事実です。

しかし、それら数字についての「解釈」は、いずれも著しく「不適切」であるとしか言いようがありません。

なぜなら、「いい数字」もある一方で、日本経済が未だにデフレであることを明確に示す「わるい数字」も存在しているからです。

ついては以下、現状の経済状況がいかなるものなのかを、客観的視点から確認してみることにしましょう。

まず、上記の報道における「景気が良い!」という論調の根拠はいずれも「実質成長率」(前期比)に基づくのですが、景気判断は下記のような多様な尺度を参照せねばなりません。
・実質成長率(前期比、対年前年度比)
・名目成長率(前期比、対年前年度比)
・デフレータ変化率(前期比、対年前年度比)
こういった尺度が全て良好になったときはじめて、本格的な成長軌道にのったと判断できるのです。それはまさに、健康診断の時の「血液検査」と同じようなもの。健康な人は全ての尺度が「良好」なのです。不健康な人は、これらの内、複数の尺度が「不健全」なのです。

さて、その視点で、今回公表された各数値を確認しますと以下となっています。
・実質成長率———–前期比年率3.9%——前年比2.1%
・名目成長率———–前期比年率4.6%——前年比1.7%
・デフレータ変化率—–前期比0.2%———-前年比-0.4%
ご覧の様に、成長率は「前期比」に比べれば随分と「景気の良い数字」なのですが(実質、名目共に年率4%前後以上)前期比でみれば、たいしてよい数字とは言えません。

何よりも深刻なのは、デフレータ(物価)がほとんど改善していないという点(前期比の増加率0.2%という数字は到底力強い上昇とは言えません)です。むしろ「前年比」で見れば「マイナス」の状況にあります。

そもそも、実質成長3%と名目成長4%(つまり、デフレータ1%増)を目指している我が国政府の基準を踏まえれば、これら数字は以下の様に判定することもできるでしょう。
・実質成長率     前期比年率3.9%(○)  前年比2.1%(△)
・名目成長率     前期比年率4.6%(○)  前年比1.7%(△)
・デフレータ変化率  前期比0.2%  (×)  前年比-0.4%(×)
これでは、「景気は良好!」とは決して言えません。

つまり、「前期比」の年率「実質」成長率だけを見て、「かなりよい景気だ、だから、もう対策は不要だ!」というマスコミ論調は、まさに「木を見て森を見ず」というか、「森の中の一本の木だけを見て、森どころか隣の木すら見ていない」、極めて愚かな論調に過ぎません。

確かに、今回は、実質成長が「6期連続」で、かつ、それが「11年ぶりだ」なのではありますが、だからといってこれだけで、すぐに、今景気は良いという判断にはなりません。

なぜなら、「実質成長率」は、「デフレが加速してデフレータ(物価)が下落」すれば、上昇するものだからです。つまり、「実質成長率は、デフレの深刻さの尺度」にすらなり得るのです!

実際、下記グラフからも明白なとおり、消費増税以降、デフレータは下降し続け、今やマイナス領域を推移しています(黄色)。


これこそ、「6期連続、実質成長率がプラス」となった理由です。実際、このグラフに示した「名目成長率」(前年比・青線)は、今期こそ、僅かに上昇傾向を見せていますが、ここ最近、ゼロ近辺を推移しているということ、つまり、「成長していない」事を示しています!

日本経済は、本格的な好景気状況からはほど遠い状況にあるのです。

とはいえ、「今期」は、少なくとも「前期比」で見れば、デフレータ、名目成長率、実質成長率が全てプラスという、(他の国なら当たり前の)「正常」な数字も、久々に一部において見られたわけですが、これがなぜもたらされたのかをしっかり認識する必要があります。さもなければ、誤診に基づいて間違った治療を施すヤブ医者のように、日本経済を完全に治癒する(=デフレ完全脱却させる)ことが不可能となるからです。

その一部の理由は、「公共投資は5.1%増-補正予算の効果でプラスに寄与」というものです。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-13/OUAL466S972801

つまり、ちょうど一年前の昨年夏に調整した、アベノミクスにおける「大型景気対策」の効果がようやく効き始めた、と言うのが、「今期」における一部良好な数字の原因だったのです。この事を踏まえれば、この景気回復基調を確実なものにするためにはやはり、政府の経済対策の当面の継続が必要であることが見えてきます。

ただし、これ以外にも、「個人消費や設備投資など内需が堅調」という点も、事実です。今期は消費も投資も双方、おおよそ6000億円(名目値)ずつ前期から拡大しています。

この消費と投資の回復は一体なぜもたらされたのか──その根拠は、下記のグラフから読み取ることができます。


このグラフは、日本経済を構成する「四主体」の内の三つ、「民間」「政府」「海外」の「貯蓄態度」を示すもの(日銀資金循環統計から)。

この「貯蓄率」という数字は「貯蓄額の対GDP比」ですから、各主体が「ケチ」になって「金づかい」が悪くなって貯金ばかりするようになると「上がり」ます。一方、各主体が「豪気」になって「金づかい」が良く(=荒く)なると、は「下がり」ます。

ご覧のように「民間」の貯蓄率は、この1年ほど「下落」してきています。これは、民間企業が「ケチ」な態度から「豪気」な態度にシフトし始めた事を意味しています。

別の言い方をすると、「内部留保する傾向を弱めてきている」という事を意味します。つまり、民間企業が、儲けたオカネを貯金する(=内部留保する)のでなく、消費や投資に使うようになってきたということを示しているのです。これこそ、「今期の消費と投資の拡大」を意味する統計値です。

では、なぜ、民間が貯蓄率を減らし、投資や消費を拡大し始めたのでしょうか。それは、海外の貯蓄率が下がってきた」という点に求められます。

ご覧の様に、この3年ほど、海外の貯蓄率は下落し続けています。これはつまり、外国人が日本で使うカネの量が、過去三年の間、増えてきた事を意味します。これは要するに、(相対的に)「輸出が増えてきた」ということを反映したもの。実際、ここ最近景気の良い企業の多くが、「輸出企業」だったのです。

http://datazoo.jp/w/%E8%BC%B8%E5%87%BA/32830318

さて、これらのデータを全て踏まえると、我が国のここ最近の経済動向は、次のようなものだ、という「実態」が見えてきます。
①ここ2,3年間、外需が伸びてきた事を受けて、外需関連企業の収益が改善した、 
②その影響を受け、ここにきてようやく、民間企業がトータルとして「内部留保」を縮小させ、消費と投資を拡大しはじめる程に景気が改善してきた。 
③これを受けて、ようやく(物価の力強い上昇は達成されていないものの──)「名目GDP」も上向き始めた──。
つまり、今の「よい数字」を導いた基本的な原因は「外需」だったわけであり、それがここにきてようやく、民間企業の力強い成長に結びついてきた、と言う次第です。

さて、この実情を踏まえれば、確かに、(金融緩和→円安→外需拡大をもたらした)アベノミクスは着実に、一定成功していることが見て取れるのですが、それと同時に、未だ、我が国経済の「成長の兆し」はとても確実で安定的なものだとは言えない、という姿も同時にくっきりと見えてきます。なぜなら我が国の現時点の成長の兆しは、「外需頼み」のものに過ぎず、したがって、極めて不安定なものと言わざるを得ないからです。

つまり今後、例えば朝鮮半島の緊張の高まりを受けて世界経済の成長が鈍化して外需が冷え込んだり、あるいは、円高で輸出企業が厳しくなったり、あるいは、石油価格が高騰したりすれば、この好景気への僅かな兆しも、瞬く間に失われ、完全デフレ状態に舞い戻ってしまうことになる、という事が危惧されるのです。

そうなる前に一刻も早く、デフレを終わらせ、「外需頼み」で回復し始めた日本経済を、力強い確実な成長軌道に乗せるべく、徹底的な景気対策を図る必要があります。

そもそも、我が国政府は、消費増税以降、徹底的な「緊縮」政策を、ここ数年継続させていた、という事実を忘れてはなりません。改めて先に紹介したグラフの「青線」をご覧ください。

これは政府の貯蓄率。ご覧の様に、我が国政府は、貯蓄率を「拡大させ続けて」いるのです。

これはつまり、増税をして緊縮財政にして、カネをマーケットから吸い上げ続けている、という事を示しています。すなわち我が国政府は、外需が改善してきているのを良いことに、自分だけカネをため込んで、マーケットで使わず、景気の足を引っ張り続けている、と言うことです。

この緊縮的な態度を辞めない限り、デフレ脱却なぞ、絶対にあり得ません。

デフレを完全脱却させるために、外需と一緒に、政府もまた、貯蓄率を引き下げ、民間がさらにさらに投資と消費を拡大できる状況を作らねばならないのです。

アベノミクスの成功、すなわち、デフレ完全脱却は、確実に私達に近づいてきています。そのチャンスを手にするか否かを決めるのは、もちろん、政治の判断です。

我が国内閣の、客観的な情報に基づく理性的判断を、心から祈念したいと思います。

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