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2019年10月27日日曜日

小池都知事“完敗”で「金銭闘争」発展か? マラソン札幌開催なら「都が負担する考えない」―【私の論評】スポーツの理想は、本来名誉や感動等のカネでは変えない価値を提供するものだったはず(゚д゚)!


コーツ氏(右)と会談した小池氏に策はあるか=25日、都庁

2020年東京五輪のマラソン、競歩の開催地を札幌市に変更する案に猛反発する小池百合子都知事が国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長と直接対決した。IOC側は札幌への変更は「決定事項」と断言、東京開催は厳しい状況だ。最終結論は30日からのIOC調整委員会で協議されるが、移転に伴う経費を誰が払うか、「金銭闘争」が焦点となりそうだ。

 「(変更は)もう意思決定されてしまっている」。当初50分の予定が約1時間30分にも及んだ会談後、コーツ氏は報道陣にこう断言した。開始時間の前倒しなどの対案で東京開催を維持したい都側との協議には応じない考えも明確にした。

 事実上の引導を渡された形の小池氏が、札幌変更案を覆すのは困難な情勢となり、関係者は「今後は(移転に伴う)費用負担の話になるだろう」と指摘する。

 大会組織委員会の予算では、テロや災害など緊急事態に備えて予備費を1000億~3000億円計上しているが、小池氏は仮に札幌開催になった場合は移転に関わる費用を「都が負担する考えはない」と強調している。

 都と組織委、IOCのガチンコバトルは泥沼化しているが、「アスリート・ファースト」は置き去りになっていないのか。

【私の論評】スポーツの理想は、本来名誉や感動等のカネでは買えない価値を提供するものだったはず(゚д゚)!

猛暑への懸念から国際オリンピック委員会(IOC)が打ち出した、2020年東京五輪マラソン・競歩の札幌開催案。土壇場の決定に衝撃が広がっていますが、東京の暑さが健康に影響しそうな競技は、他にもいろいろ指摘されています。「アスリートファースト」は、一体どこへ行ったのでしょうか。

現行計画では、暑さ対策として、男女のマラソンは午前六時、男子50キロ競歩は五時半などとする繰り上げスタートが決まっています。

ただ、五輪開催期間(7月24日~8月9日)の今夏の都心の最高気温は、毎日30度以上を記録。湿度や日射を含め、熱中症の危険度を示す「暑さ指数」で「運動は原則中止」とされる「危険日」が、十七日間のうち十四日にのぼりました。こうした状況を懸念し、組織委などは夏場に五輪テスト大会を開きました。

ところが、7月に品川区で行われたビーチバレーのテスト大会では、溝江明香選手が「何も考えられなくなって、脚が動かなくなって、視界が狭まった」と熱中症のような症状に。八月に世田谷区などであった馬術でも、戸本一真選手が「馬も人も危ない暑さ」と訴えました。

7月に品川区で行われたビーチバレーのテスト大会
トライアスロンの東京五輪予選1日目は15日、五輪本番のテスト大会を兼ねエリート女子が東京・港区のお台場海浜公園内で行われました。午前3時半に開催した実施検討委員会で、最後のランの時点で高温から暑さ指数が危険レベルに達するという気象予測を考慮し、ランの距離を10キロから5キロの半分に減らしてレースを実施。この日は、フランス選手が熱中症の危険からレース後に救急車で搬送されました。

東京・お台場海浜公園で行われたトライアスロン

消耗の激しい屋外競技は他にもあります。ラグビー7人制が開始を午前9時に早めたほか、自転車マウンテンバイクは逆に開始を一時間遅らせて午後3時に。サッカーやオープンウオーターも開始時刻を変更しています。

組織委は「他の競技について、会場変更という話は把握していないが、各競技団体から暑さ対策に向けた要望は受けている。時間の前倒しを含めた新たな対策を11月初めにも公表する」(広報)としています。

そんな中で浮上した札幌移転案。ここまで問題を見て見ぬふりしてきたIOCは、あまりに無責任です。

観客向けの対策として、組織委などは、マラソン、トライアスロン、ビーチバレー、ボート、ホッケーを暑さ対策の重点競技に指定し、ミストシャワーなどの実証実験を行いました。都は先月発表した検証結果で、ビーチバレーのテスト大会で救護所を利用した観客四人が熱中症の疑いだったと説明。

本番でも患者が複数発生する可能性があり、体調不良者を早期に発見できる体制が必要などとしました。

沿道に日陰を作るテントや、体を冷やす保冷剤の配布などの暑さ対策も打ち出されていますが、人工雪や「涼しい印象を与えるアサガオを並べる」といったものもありました。いずれも小手先の対策です。招致段階で放映権料を払う米放送局やIOCの意向を受け、日本側が8月開催を認めたことが根本にあります。五輪商業主義の犠牲となるのはいつも選手なのです。

私自身は、札幌案を聞いて、正直ほっとしました。夏のテスト大会やドーハ世界陸上の惨状を受け、IOCがぎりぎりのところでスポーツ人としての良識を通したと思います。

世界選手権の女子マラソンで体に水をかけながら走る選手ら=9月28日、ドーハ

サッカーなど長時間屋外にいる競技も移転が望ましいと思います。問題は、招致の際の立候補ファイルに、日本側が「晴れる日が多く、かつ温暖で(略)理想的な気候」などと記していたことです。そうでないことは、招致する随分前からわかっていたことだと思います。招致の段階で、東京以外の札幌などの涼しい地域で一部の競技を開催することも考慮すべきでした。

極端なことを言いますと、日本が世界に嘘をつき続けた結果、今回の事態を招いたともいえると思います。暑さ我慢を競うのではなく、最大のパフォーマンスを発揮することがスポーツの本質のはずです。五輪で過酷な環境を強いられ、それが失われることは許されないです。

同じようなことは、夏の高校野球甲子園大会についてもいえます。

第101回高校野球 仙台育英の応援団

殺人的な猛暑のもと行われる「全国高等学校野球選手権大会」、選手の負担はもちろんの事、応援団、吹奏楽部、保護者、その他関係者すべての命を危険にさらしています。
環境省により発表される「暑さ指数」(WBGT)31℃の危険レベルではどのような場合でも試合を中止するようにすべきです。

近年の気温の上昇に基づいた適切な運営、選手の安全の確保がひいては日本の野球界の発展につながることを理解すべきです。

オリンピックも、甲子園大会のような国内での競技であっても、すでに近年夏はかなり熱くなるということは予め多くの人が知っていることです。

ところで、20年夏の甲子園大会は東京オリンピック閉幕後に行う方向で調整されているそうです。

都内で、20年東京五輪の球場使用問題についてプロとアマが初めて協議を行い、日本野球機構(NPB)と球団、東京6大学連盟、日本高野連、社会人連盟などの関係者が出席しました。日本高野連の竹中雅彦事務局長は20年夏の甲子園について「オリンピックが(8月)9日までなので基本的には甲子園(の開幕)をずらす方針」と見通しを語りました。

ここ2年は8月7日開幕として発表されたが、20年夏は早くても10日以降となりそうです。

このように、オリンピックという大会の開催日程により、甲子園大会を8月10日以降にずらすということができるのですから、甲子園大会そのものをさらに遅らせるなどのことは十分にできると思います。

さらに、甲子園球場になぜこだわるのでしょうか。甲子園という名前は、十干十二支の組み合わせである「甲子」にちなんで名付けられたものです。阪神甲子園球場が完成した1924年が、ちょうどその年だったためです。今年で95年の歴史ということになります。

近代オリンピックの起源は、1896年であり、その歴史は今年で123年の歴史があるということになります。

どちらも100年くらいの歴史があるわけですから、開催の時期などにこだわりがあるのと同時に、近代スポーツという考え方からすると、現在のオリンピックや高校野球は、正にカネとは切っても切れない関係にあります。

オリンピックは開催国の負担が大きすぎて、1984年のロサンゼルスオリンピックあたりから、米国のテレビ局が莫大な金を投じるようになりました。以降はその金がないと開催できない状態、つまり米国のメディアを中心にしたオリンピックしかできないという現実もあります。

であれば、米国との時差の大きいアジア圏等で開催すると、時間や季節等の問題が起こるのは必然です。そろそろ、そのあたりを考え直す時期にきているかもしれないです。

さらに、かつてはオリンピックを開催すれば公共事業で儲かるといわれた時期もありましたが、もう五輪は「ドル箱」ではなくなっています。北京五輪やロンドン五輪でも、結局は赤字でしたし、東京も東京五輪で好景気になるとも思えません。

1964年の東京オリンピックの栄光という幻想を追い求め過ぎたのでしょうか、やり方が古かったでしょうか、いまのところはおカネが莫大にかかることばかりです。日本のアスリートにとっては絶好のチャンスですし、観戦する方もすごく盛り上がることになるとは思います。

ですが、やはり現在の私達は、スポーツというカルチャーが提供しているのは、名誉であったり感動であったりというカネでは買えない価値だということをもう一度思い返す必要があると思います。

カネに走りすぎれば、そうした本来の価値が下がってしまうわけで、今回のオリンピック・マラソン札幌開催問題を機に、スポーツと商業主義の関係について日本国内でももう一度真摯に議論されることを期待したいです。


NBAの中国擁護が米国団体にとって今に始まったことではない理由―【私の論評】いずれ中国は、世界市場から完璧に弾き出るよりしかたなくなる(゚д゚)!

2014年4月19日土曜日

STAP細胞報道、ブロガーに完敗したメディアは「取材を尽くした」と言えるのか―【私の論評】全聾の作曲家佐村河内守報道から結局何も変わらなかった、マスコミの報道姿勢を糾弾する(゚д゚)!

STAP細胞報道、ブロガーに完敗したメディアは「取材を尽くした」と言えるのか



万能細胞「STAP細胞」の論文をめぐり、筆頭筆者の小保方晴子氏を当初は徹底的に持ち上げ、データに問題があると分かると徹底的にたたく---。STAP細胞騒動ではこれが主要メディアの報道姿勢だった。

「長い物には巻かれろ」「水に落ちた犬は打て」といったやり方では報道機関として何の公益性も発揮できない。どこにどんな問題があったのか。一部のメディアは自らの報道について検証している。

「丁寧に取材する」では何の対応策も講じないのと同じ

・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・

朝日の桑山氏が「教訓として受け止める」「しっかりとフォローする」「取材を重ねて検証していく」と言い、共同通信の楢原氏は「結果を重く受け止める」「丁寧に取材する」「科学報道の在り方を考えていく」と言っている。使う言葉は違っても言っている内容は実質的に同じと言えよう。

「取材は全然足りていなかった」というのが実態

桑山氏と楢原氏の指摘する通り、論文発表時点で問題を見抜くのは至難の業だったのは理解できる。自らのSTAP細胞報道を検証していないメディアが大半のなかで、取材の経緯を振り返りながら自らの報道に問題があったことを認めた点も評価できる。それでも、「教訓として受け止める」「結果を重く受け止める」では抽象的過ぎる。「丁寧に取材する」などは取材の基本であり、新人記者でも知っていることだ。

具体的にどうすればいいのか? ヒントはネット上にある。

STAP細胞論文の問題点を指摘したブロガーとして最も有名なのは「11jigen」だ。専門的な知識を駆使して論文に不自然さや矛盾点がないか細かくチェックし、小保方氏が早稲田大学に2011年に提出した博士論文と比べて画像が酷似していることなどを暴いた。これを既存メディアが追いかけた。調査報道の役割をボランティアの専門家が担った格好になった。

なぜ11jigenと同じことを従来のメディアができなかったのか。記者クラブ経由の「発表報道」に安住し、本来の調査報道を手掛けるような専門性の高い科学記者を育ててこなかったことが一因かもしれない。福島原発事故をめぐる報道が「発表報道のオンパレード」という批判を受けたのも、発表報道以上の報道を展開できるだけの専門性が記者側に欠けていたためだ。

大手新聞社は優秀な記者については部長職など幹部へ昇進させ、ジャーナリストから経営者へ転身させてしまう。新卒一括採用を基本としているため、すでに実績を出している科学者を中途採用して記者として活用するといった柔軟性もない。社内の記者を留学させ、科学分野の博士号を取得させるなどの仕組みもない。これでは高度な専門性を備えた記者は現れない。

・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・

11jigenは空いた時間を使ってボランティアで検証していたようだが、新聞記者であれば給与をもらいながら日中から堂々と論文チェックができる。「教訓として受け止める」「結果を重く受け止める」のであれば、これからは11jigenのような人材をスカウトし、ネットに負けないような調査報道を実行するとの決意を表明してほしいものだ。

楢原氏は「取材し尽くしたつもり」と語っている。だが、調査報道の観点から言えば「取材は全然足りていなかった」というのが実態ではないか。

【私の論評】全聾の作曲家佐村河内守報道から結局何も変わらなかった、マスコミの報道姿勢を糾弾する(゚д゚)!

ブログ11jigeniについては、実際に閲覧してみたのですが、どこの誰が書いているものか確認はできませんでしたが、小保方論分問題について掲載されていた記事のURLを以下に掲載します。
小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑

確かに3月あたりから、小保方疑惑について、専門的な見方を含め丁寧に記事が記載されています。3月の時点では、マスコミは取材報道ばかりでこのような報道をしていたところは皆無といって良いです。

小保方論文疑惑報道は、結局上の記事にもあるように、マスコミが取材報道にばかり力点をおき、肝心要の調査報道がなされていないことが問題です。これについては、似たようなことがつい最近もありました。それは、あの全聾の作曲家、佐村河内守氏をめぐる報道です。

佐村河内守

これに関しては、このブログでも過去に掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
「全聾の天才作曲家」佐村河内守は本物か―新潮45eBooklet [Kindle版]―【私の論評】この事件を唯一見抜いていた人がいた!私たちは、マスコミが見抜けない真実を見ぬいたこの音楽家の慧眼を褒め称えるべきなのか?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にその一部分をコピペさせていただきます。
この事件、かなり物議を醸しましたが、マスコミは結局後追い報道をするだけで、どこのテレビも新聞も、これを事前に察知して、報道したところはどこもありませんでした。それを、事前に察知した人がいました。それが、野口剛夫氏です。野口氏のブックレット、私は本日始めて読みましたが、野口氏はゴーストライターのことまでは触れていませんでしたが、今回の事件を予見する内容を掲載しています。ここでは、このブックレットをこれから読まれる方のため、その内容の詳細にはふれません。是非ご自分でご覧になってください。 
野口 剛夫氏(のぐち たけお、1964年 - )は、日本のクラシック音楽の音楽学者、作曲家、指揮者です。1964年東京都調布市出身。中央大学大学院大学院(哲学)、桐朋学園大学研究科(音楽学)を卒業。作曲理論を別宮貞雄、音楽学を加田萬里子、西原稔、トロンボーンを松本煕に師事。現在、東京フルトヴェングラー研究会代表。ジャパン・エレクトロニック・オーケストラ(JEO)音楽監督です。
野口 剛夫氏 2008年8月当時の写真
マスコミは、結局佐村河内守を最後の最後まで見抜けませんでした、見抜くどころか、察知もできなかったものと思います。というより、マスコミは佐村河内守の捏造を助長するようなことしかしていませんでした。しかし、マスコミとはいっても、層が厚いですから、佐村河内守を賞賛するマスコミがある一方で、疑念を持つマスコミ関係者もいてしかるべきだったと思います。本来は、マスコミなどがやるべきことを野口氏がやったということです。 
場合によっては、名誉毀損にもなりかねないことを、やり通したのは、確かに勇気のある素晴らしいことです。しかし、野口氏の本業は音楽家であり、他の音楽家の音楽を批評することは彼の本業ではありません。何もしないマスコミに業を煮やした野口氏が、今後の日本の音楽界のことを憂慮して、やむなく暴露したというのが実体だと思います。
結局、マスコミは佐村河内守の正体を見抜くことができず、それを最初に行ったのは、音楽関係者であったということです。小保方報道も同じことです。結局マスコミは取材報道ばかりで、小保方さんの真実に近づくことはできていません。

佐村河内氏の事件に関しては、本人の告白により、彼の作品は自らのものでなく、ゴーストライターいたということで、一応の決着がついています。

小保方さんの事件に関しては、まだ決着はついていませんが、未だマスコミはまともな調査報道をしていません。

結局、マスコミは佐村内報道の反省もなく何にも体質は変わっていません。佐村内疑惑、小保方疑惑は立て続けに起こったことなので、マスコミが反省したとしても、すぐに小保方報道に対応できなかったかったかもしれません。

しかし、それにしても、何かやりようは会ったと思います。たとえば、この問題に関して専門家に取材するだけではなく、もっと専門的な立場から意見をあつめて、自らも様々な資料にあたって、自ら判断して記事を掲載するとか、佐村河内報道から一歩進んだ姿勢を見せて欲しかったです。

取材報道だけでは限界がある(゚д゚)!

それに今後、報道をするにしても、これらのようにある程度専門性が必要な報道に関しては、上の記事のように専門性のある記者を育てるとか、そこまでいかなくても、普段から専門家をブレーンとしてまともな報道ができる体制を構築すべきだと思います。

マスコミに関しては、そもそも反日報道が問題です。歴史的事実を無視して、反日報道を続けるマスコミに対して、まともな報道をしなさいというほうが無理なのかもしれません。

おそらく、マスコミはここ数十年で頭をつかわない、検証もしない、調査もしない反日報道を続けたきたため、コメンテーターや新聞記者等の頭、新聞社、テレビ局そのものが劣化してしまったのだと思います。特に、マクロ経報道は劣化しました。新聞の経済記事を読むと、一切まともなことが書かれていないので、頭が悪くなりそうです。全く、読むに値しない記事が横行しています。

調査報道のできない既存マスコミが今のまま劣化した報道を継続すれば、購読者・視聴者が離れていくのは当然だと思います。

また、こうしたマスコミを尻目に、あくまで読者の視点にたった、まともな専門家を含めたネットーワークにより報道をしていく新たな媒体が生まれてくるものと思います。その日は間近です。その時、既存マスコミは敗退せざるをえなくなることでしょう。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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