70後(1970年代生まれの世代のこと)感動再び
日本初期のアイドルドラマ「燃えろアタック」(中国名:「排球女将」)は多くの人にとって今もなお記憶に新しい。当時、このドラマにはまっていた視聴者は最初の「哈日族」(日本の流行文化に関心がある若い世代のこと。親日派。)と言えるだろう。ここ最近、多くのテレビ局がこのドラマを再放送し、高視聴率をあげている。浙江テレビでは、同じ時間帯の視聴率で全国第2位を記録した。「重慶華竜網」が伝えた。
80年代、女子バレーボールの選手が主役のドラマ「燃えろアタック」が中国で初めて放映された。その頃、中国の女子バレーはちょうど最盛期に入り、バレー人気が中国を席巻。そして、多くの視聴者が「燃えろアタック」から目が離せなかった。ドラマの中で、小鹿ジュンを代表とする活気溢れるバレー部の乙女たちは視聴者に青春と活力を感じさせた。
画像が少し黄ばんだこのドラマを再び目にすると、70年代にこのドラマを見て育った視聴者はその頃の感動が蘇ってくる。陳さんは「この主題歌を聞くと懐かしさが込み上げるんだ。子供の頃、テレビの前で『燃えろアタック』が始まるのを心待ちにしていたのを思い出すよ。画面や役者の化粧は古臭いけど、小鹿ジュンはきれいなままだ。僕らの世代でジュンに憧れない人はいないよ」と少し興奮気味に話す。
張丹さんは当時、熱烈な「燃えろアタック」のファンだった。「『ひぐま落とし』や『UFOサーブ』など必殺技の名前なんて全部覚えていたわ。あと、彼女たちの動作を真似て、うちでバレーボールの練習もしてた。当時はほとんどの女の子が小鹿ジュンの髪型を真似て、『ひぐま落とし~』なんて叫んだものよ。このドラマをまた見て、当時の青春時代を思い出したわ」と懐かしそうに話す。
80後(1980年代生まれの世代のこと)への新鮮感
80年代生まれの周囲には様々なドラマが溢れている。人気スターとなるとさらに多い。日本や韓国の俳優、それに中国台湾のドラマ。主役が病死する悲劇ドラマや、「王子様とシンデレラ」が登場するパターンのドラマには飽きてしまい、80年代の世代も日本のドラマ「燃えろアタック」に夢中になり始めているようだ。
ドラマ好きの張さんは「今のドラマは制作技術も優れているし、バックの景色もきれいだし、役者も目鼻立ちも整っているけど、ありきたりの愛とか恋ばかりで『栄養分』がないのよ。『燃えろアタック』は制作技術の上では今のドラマに劣るし、表現もちょっとオーバーだけど、とっても新鮮。小鹿ジュンが毎回、『ひぐま落とし』を繰り出す時には、わたしまで緊張してしまうわ。実際にはバレーボールにそんな必殺技なんてありえないのはわかっているけど、すごく感動してしまう。彼女たちの必死な姿が視聴者を元気付けているんだと思う」と専らこのドラマに夢中のようだ。
「人民網日本語版」2008年6月25日
今中国で受けるわけとは?
このドラマ、今の日本でも新たに放映されるなど、隠れた人気番組のようです。典型的な70年代のドラマです。日本の景気が相当良かった時代です。それに、当時はスポ根ものが受けていた時代で、ドラマの中では、なんでもかんでも、誰も彼もがスポーツをやっているのが当たり前、スポーツをやっていれば健全というような感じでした。何でも頑張ればいずれ報いられるという、屈託のない時代の典型的なドラマだと思います。
第一次オイルショックなどがありましたが、まだまだ高度経済成長のなごりがあり、明るく、将来に希望を持てた時代だったと思います。
このドラマ今の発展途上の中国には丁度良いのかもしれません。それに、現在の日本のものだと完全には理解しにくい面もあるかもしれませんが、この時代だとかなり理解しやすいのだと思います。また、収入面などもこの当時なら、今の中国とかけ離れているということもありまん。
それに、韓流ドラマなど、恋愛が主体で、男と女がついたり、離れたり、それに交通事故にあったり、記憶喪失になったり、偶然に偶然が重なるという無理な設定が多すぎるので、見ているうちに嫌になってくるというのがありますが、燃えろアタックに関しては確かに「ひぐま落とし」など少し荒唐無稽なところもありますが、落ち着いて見られるというところがあると思います。なんとか、今のドラマには少ない一つの目的に向かってひたむきに努力しようという姿勢が共感を呼ぶのだと思います。
いずれにせよ、このようなドラマによって、70後はもとより、特に80後の世代にもっと日本を理解してもらい多くの人に「哈日族」になってもらいたいものです。このドラマの主人公のようにひたむきに努力を続ける姿は、素晴らしいし、どの世界の国の人にも理解できるものだと思います。このようなドラマ、海外にどんどん輸出して、世界中に日本を理解してもらうきっかけになれば良いと思います。
燃えろアタックとは?
「燃えろアタック」は1979年から1980年にかけて朝日放送系で放映されたバレーボールをテーマにしたスポ根ドラマ。原作は石ノ森章太郎、制作は東映。五輪を目指すドラマで、ちょうどこの時期に放映された「小ぐまのミーシャ」が日本のモスクワ五輪ボイコットを受けて不幸な目にあったのだが、モスクワ五輪独占放映権を獲得した朝日放送で放映していたことと、スタートの時期が早かったこと、主役の荒木由美子さんの人気もあって4クールを越える70話が放映された。
ヒロイン小鹿ジュンに荒木由美子、ジュンの父小鹿幸太郎に小林昭二、ジュンの母小鹿民に河内桃子、夏川ゆかに中原歩、千恵子に三原順子、リカに小山セリノ、アーヤに大槻純子、キャプテン藤田陽子に舟倉たまき、他に南条豊、青木純、岡本プク、三谷晃代、今村恒美、成瀬静江、小川エレナ、中島千里、横田ひとみ、青野直美、池田信子、木下和佳、渡辺恵美子、萩谷道子、加瀬尚恵らが出演。友情出演で荒木由美子と同じホリプロの榊原郁恵、ナレーターは納谷悟朗さん。
母親は死亡したと聞かされて育った北海道の小鹿ジュンは牧場で子馬のミニ、子牛のモーモの世話をしながら父親と暮らしていた。小さい頃から木の枝に吊り下げられたバレーボールへ向かってジャンプするジュンは高校生になって陸上部のハイジャンプの選手に。その甲斐あってとうとう、ボールを叩き落とすことに成功する。そのボールの中から「東京」と書いたメモが出てきた。そしてよく事情がのみこめないまま母の母校「白富士学園」へ転校させられ、バレーボールをやらされることになる。最初は拒絶するジュンだったが母がかつて学園バレー部のエースだったことを知りバレーボールに挑戦する。そこからはいじめや嫌がらせを含むスポ根ドラマらしい展開が続く。石ノ森章太郎さんの原作らしく特撮を駆使しての必殺技もたくさん登場する。中でも有名なのが「ひぐま落とし」。ジュンが北海道出身ということで名付けられたのだろう、「サインはV」以上に演出の濃い必殺技がたくさん登場する。
オープニングは「燃えろアタック」で石ノ森章太郎作詞、京建輔作・編曲、歌は堀江美都子さんとザ・チャープス。原作者の的を射抜いた素晴らしい歌詞に堀江美都子さんが熱唱する名曲。
ボールになって とんでくる
悲しみが 苦しみが
でも今ならば 今ならば
青春コートの ド真ん中
エンディングは「お元気ですかお父さん」で八手三郎作詞、京建輔作・編曲、歌は日高美子さん。こちらは東京へ出たジュンがお父さんに語りかける曲で、オープニング以上に毎週この曲を聞くのが楽しみだった。子馬のミニや子牛のモーモが登場するさわやかだが、力強い曲。
えぞ松の林の中を
子馬のミニと かけたことを
北風が吹きぬける駒ヶ岳
なつかしいあの山につたえて下さい
今 私の胸は燃えています
挿入歌「春の妖精」を荒木由美子さん自身が歌った。こちらは阿木燿子作詞、宇崎竜童作曲、萩田光雄編曲。
以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。
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