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2019年3月25日月曜日

安倍首相、中国の一帯一路協力に4つの条件 「全面賛成ではない」―【私の論評】日本には中国および習近平政権の今後の行方を左右するほどの潜在能力がある(゚д゚)!

安倍首相、中国の一帯一路協力に4つの条件 「全面賛成ではない」

参院予算委員会で答弁を行う安倍晋三首相。右は麻生太郎副総理兼財務相、
左奥は根本匠厚生労働相=25日午後

 安倍晋三首相は25日の参院予算委員会で、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に日本が協力するには、適正融資による対象国の財政健全性やプロジェクトの開放性、透明性、経済性の4条件を満たす必要があるとの認識を示した。「(4条件を)取り入れているのであれば、協力していこうということだ。全面的に賛成ではない」と述べた。

 一帯一路では、対象国に対する中国の過剰融資が国際的に問題視されている。首相は「(対象国に)経済力以上に貸し込むと、その国の経済の健全性が失われてしまう」と指摘。

 首相は「アジアのインフラ需要に日本と中国が協力して応えていくことは両国の経済発展にとどまらず、アジアの人々の反映に大きく貢献をしていくことになる。(4条件)をやっていくことで、お互いより良い地域を作っていこうということだ」と語った。

【私の論評】日本には中国および習近平政権の今後の行方を左右するほどの潜在能力がある(゚д゚)!

安倍総理が、条件づきで一帯一路への協力の可能性を述べたのは、何も今に始まったことではありません。以前から何度か述べています。

たとえば2017年都内で行われた国際交流会議の席上、安倍総理は中国の経済構想「一帯一路」に初めて協力の意向を表明しています。これを受け一部メディアはあたかも日本が中国に屈したかのように報じるなど、「中国の優位性」が強調され始めました。

安倍首相は同年6月5日に国際交流会議「アジアの未来」の夕食会で講演し、中国の経済圏構想「一帯一路」について、「(同構想が)国際社会の共通の考え方を十分に取り入れることで、環太平洋の自由で公正な経済圏に良質な形で融合し、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待する。日本は、こうした観点からの協力をしたい」と述べました。

新聞各紙は、初めて安倍首相が「一帯一路」への協力を口にしたということをポイントとして強調しています。これだけ見ると、いよいよ日本も「一帯一路」に参加するかのような印象を与えました。

当時は、米国のTPP離脱で窮した安倍政権が、「一帯一路」に尻尾を振り始めたと見る向きもありました。しかし、その後日本は自らTPPの旗振り役となり、米国を除いた11カ国で昨年末に発効しています。

ただし、産経新聞は「安倍晋三首相、中国の『一帯一路』協力に透明性、公正性などが『条件』」という見出しで、中国が支援する国の返済能力を度外視して、インフラ整備のために巨費を投じることが問題化しつつあることを踏まえた発言だという内容となっています。むしろ中国を牽制する狙いがあるという論調です。私もそう思います。

本日の安倍総理による4条件①対象国の財政健全性、②プロジェクトの開放性、③透明性、④経済性も同じことであり、これは中国を牽制する狙いをより明確にしたものです。

中国が対外インフラ投資を利用して他国の土地を支配していることについては、このブログにも掲載したことがあります。


スリランカのコロンボにあるハンバントタ港は、中国からの融資でインフラ開発されましたが、6%を超える高利であるためスリランカ側の返済の目処がたたず、このハンバントタ港を中国企業に99年間貸与するという、「事実上の売却」に迫られました。

中国が主導するAIIBについては、これまでも麻生副総理をはじめとして、日本は透明性と公正性が重要だということを強調してきました。本日の安倍首相の発言も、「一帯一路」について、従来の政府の立場を踏襲したにすぎません。

よく語られるように、「一帯一路」と「AIIB」は中国が日米経済連携に対抗し、覇権を確立するための世界戦略です。しかし、中国中心の発想であり、自国のゾンビ企業の過剰生産と軍事拠点づくり、発展途上国の財政圧迫、そして資金不足で頓挫するプロジェクトが絶えないなど、さまざまな問題点が指摘されています。

最終的には日米主導の世界銀行やアジア開発銀行からの資金的協力が不可欠であり、外資頼りだった「改革開放」路線の延長としての「他力本願」であることは一目瞭然です。

同年5月14、15日に北京で開催された「一帯一路」国際会議では、米国が代表団を送り、安倍首相も二階俊博幹事長を特使として派遣して習近平主席に親書を渡しました。これに対して、人民日報は同年6月4日、「中日改善改善に日本は具体的行動を」という記事を掲載し、日中関係を改善したいなら、具体的な政策と行動を示せと、かなり上から目線で「命じて」いました。

記事では、文部科学省が「銃剣道」を中学「学習指導要領」に入れたことや、台湾と日本の交流窓口の名称を「亜東関係協会」から「台湾日本関係協会」に変更したことなどを挙げて、「日本は歴史問題で小細工を繰り返している」などと批判していました。

さらに、「日本は東中国海で緊張をつくり、南中国海問題に干渉し、朝鮮半島情勢を刺激してエスカレートさせている。こうした行動の背後には中国と主権・権益を争う私利があり、改憲・軍拡につなげる魂胆もある。中国は、地域の安全における消極的要素になってはならないと日本に警告する」とまで論じていました。東シナ海も南シナ海も、日本が緊張をもたらしているのだから、挑発をやめろと言ったわけです。

要するに、「一帯一路」に入りたいなら中国の言うことを聞け、ということをかなりあからさまに要求してきていたのです。これだけでも「一帯一路」に参加することは、日本の国益を犠牲にしなくてはならないことだということがわかりました。

ほとんど実績のない習近平

しかし、よく観察してみると、総書記になってから現在に至るまで、習近平にたいした実績はありません。経済成長率は年々減少していますし、南シナ海問題では米国に「航行の自由」作戦を行われてしまいました。ハーグの常設仲裁裁判所には中国が主張する南シナ海の領有権について「根拠なし」と言われてしまいました。

台湾では蔡英文政権が誕生してしまうし、北朝鮮も言うことを聞かないし、AIIBの起債も単独起債は未だ数件しかありません。

腐敗追及運動だけは、周永康を逮捕するなど進展がありましたが、中国官僚は誰もが腐敗していますから、逆に習近平への憎しみが増加しただけです。経済成長の衰退から人民解放軍を再編して兵力削減を目指していますが、同年2月には、退役軍人が反腐敗運動の拠点である北京の党中央規律検査委員会の前で、待遇改善を求めて大規模デモを起こしました。

しかも肝煎りの「一帯一路」にしてもインドは自国に敵対的と見ており、モディ首相は中国からの「一帯一路」国際会議への招待を拒否しました。おまけに代表団を送った北朝鮮は開幕日に弾道ミサイルを発射して、習近平の面子を潰しました。

ロシアは一帯一路で中国から欧州までを結ぶインフラ建設のルートがほとんどロシアを通っていないことに不満を高めています。

要するに、習近平の実績はゼロなのです。

当時、安倍首相から条件付きでも一帯一路についての「協力」の言葉がもらえたとなれば、習近平にとっては国内にアピールする良いチャンスだったはずです。もちろん中国は内外に向けて、「東夷が天朝の恵みを求めてきた」という尊大なポーズを取っていますが、習近平にとってはありがたかったでしょう。少なくとも北戴河、そして共産党大会までは、日本と対立して余計な波風を立たずにすみました。

しかも、習近平は次の2018年の共産党大会で、中国憲法を変更したうえで、終身主席となったのです。

もちろん、中国の権力闘争は複雑怪奇ですから、日本の反発心を高めて習近平の実績をゼロにしようと動く勢力もいます。最初からゼロならば問題にならないことでも、いちどプラスに持ち上げておいて、そこからゼロに転じれば、それは汚点となります。

そういう意味で、習近平は安倍首相の対中発言や動向に神経を尖らせているはずです。日中関係は、これまでも胡耀邦総書記が失脚する原因の一つとなったり、あるいは天安門事件に対する国際的制裁解除のキーポイントとなってきました。

日本人が考える以上に、中国にとって日本の存在は大きく、他国との関係以上の特別なものがあります。

最近は中国政府の規制で全く行われなくなった反日デモ

中国人はよく「小日本」などといって、ことさら日本の存在の小ささをアピールしますが、そのわりには無視するのではなく、わざわざ「5・4運動記念日」「7・7抗日戦争記念日」「抗日戦勝記念日」「柳条湖事件記念日」「南京大虐殺追悼日」など、かつての日本と関連する記念日を数多く作っています。

26ある記念日の約5分の1が日本関連であり、「マルクス」「レーニン」に関する記念日より多く、中国が意識する外国としては、他の追随を許しません。それほど日本を意識しているということなのです。

つまり、中国および習近平政権の今後の行方を左右するほどのポテンシャルが日本にあるわけです。安倍総理が「一帯一路に協力する気は全くない」と表明すれば、習近平は窮地に追い込まれるでしょう。一方、安倍総理が「一帯一路に積極的に関与していく」と表明し、本当に実行すれば、これは習近平大きな実績となり、習近平の立場は盤石となります。

ただし、習近平が失脚したとしても、現状の中国は何も変わらず、日本にとって良いこともないでしょう。だから、安倍総理は様子見で、従来の主張を繰り返してみせただけなのです。しかし、これは無論、ここぞというときに外交カードとして使えます。

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2018年5月31日木曜日

【石平のChina Watch】習近平政権が進める全国民監視システムの恐怖―【私の論評】中国が支配する世界は闇以外のなにものでもない(゚д゚)!

【石平のChina Watch】習近平政権が進める全国民監視システムの恐怖

 中国の習近平政権は今、国民全体に対する監視システムの構築を行っている。

 例えば、全国の都市部では2千万台以上の監視カメラが設置され、24時間、街中の人々の動きを監視している。そして、監視カメラの中には、特殊な人工知能(AI)が内蔵されている。

自動で犯人を見つけて警察に通報する中国の監視カメラシステム

 カメラ自体は歩行者や自動車を運転中のドライバーの顔をズームアップで捉えるだけでなく、車の色や車種、歩行者の年齢、性別、衣服の色といった詳細を判別することもできる。カメラに内蔵しているAIが衛星利用測位システム(GPS)や顔認証システムを通して当局のまとめた「犯罪者データベース」とつながっているために、街の中である人物を捉えた際、当局の「犯罪者データベース」と一致すれば、GPSを使って居場所を即座に探し出し、警察官が直ちに駆けつけてくる仕組みとなっている。

 当の警察官たちにも特殊な眼鏡が配備されている。それも顔認定機能を搭載し、当局の「犯罪者データベース」とつながっているから、警察官がこの眼鏡をかけていると、人混みで映る多くの顔から、「犯罪者データベース」に登録された人の顔をわずか0・1秒で割り出すことができるのだ。

 このような精密なシステムの監視対象となるのは、もちろん一般的な意味での犯罪者だけではない。中国共産党や政府に対して反抗する人、反政府的デモや街頭での抗議活動を行う人は皆、このシステムによって監視され、身元が簡単に割り出されてしまうのである。

 しかも、中央テレビ局はわざとこのシステムのすごさをアピールする番組を全国向けに流している。そうすることによって、「自分がどこへ行っても常に監視されている」という意識を全国民に植え付け、国民の誰もが公の場での抗議活動などを躊躇(ちゅうちょ)しなければならないようにしておくのである。

 ネットは当然、中国政府が重点的に監視する領域である。ネットユーザーが自分の端末機器から発信する微博(中国版ツイッター)が常に監視されているのはもちろんのことだが、実は日本でも話題になっている中国の消費者用電子決済システムも政府の監視下にある。政府はその気になれば、個人の消費行動までを細かくチェックすることができるのだ。

 中国政府はさらに、国民個人所持の携帯電話やスマホなどの端末通信機器に政府開発の監視用ソフトのダウンロードを強制するプロジェクトを進めていく。監視用ソフトがダウンロードされると、個人所持の携帯やスマホから発信したすべての情報と、それが受け取ったすべての情報が政府の監視システムに筒抜けになる。

 中国の場合、携帯やスマホの購入・所持は実名制であるから、誰かが自分の携帯やスマホから政府批判のメッセージでも発信していれば、発信した本人の身元が直ちに割り出される。通信機器を使っての政治批判は、これで完全に封じ込められることになるのである。

中国のスマホ

 現在、中国政府はまず、重点的な監視対象となっているウイグル人たちにこの監視ソフトのダウンロードを強要し始めているが、いずれ全国民に広げていくであろう。

 このようにして今後の中国国民は、町を歩いていても、ネットで友人とおしゃべりしていても、電子マネーで支払いをしていても、自分の携帯やスマホからメッセージを配信していても、常に政府によって監視されているのである。もはや人権とか自由とかうんぬんするところではない。国民全員は24時間、常に政府に監視されているという恐怖感と憂鬱の中で生きていくしかない。

 それはすなわち、習政権が構築しようとしている「新時代中国」の理想的姿なのであろう。
                  

【プロフィル】石平(せき・へい) 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

【私の論評】中国が支配する世界は闇以外のなにものでもない(゚д゚)!

中国の監視システムは、我々の想像の範疇を超えているようです。ブログ冒頭の記事にでてくるカメラや、スマホなどを用いた監視システムだと容易に想像がつくのですが、中国の監視システムはさらにその斜め上まで進んでいるようです。

香港の南華早報(South China Morning post)の報道によると、2014年から浙江省電力有限会社は工場で単純作業の従業員全員に、脳をスキャンするヘルメットを着用することを義務化しました。作業員は効率良く作業しようとします。その時の脳の状態の変化を監視しているのです。

脳波ヘルメットを被る中国人労働者

作業中、集中力が高まっているのか、眠いのか、怒っているのか、喜んでいるのか、サボっているのか、そういう感情の変化を全部、このハイテクな脳波をスキャンするヘルメットが収集し、ワイヤレスで工場のパソコンへ自動送信され、パソコンにインストールされます。AI(人工知能)が迅速に作業員の脳内を分析しています。

そのお陰で、作業員の集中力は高まり、会社の収益は、このハイテクなヘルメットを装着する前より20億元人民元(約345億円)に増えたと言われています。

また、上海のとある病院では、上記のようなヘルメットで脳波を収集するだけでなく、同時にヘルメットに搭載してるミニカメラが患者の表情の変化をスキャンして、2種類の情報を病院のパソコンに自動送信して、AIで患者が「不適切な行為」をしないように監視しています。医療目的としては、確かに患者の危険を回避しており、評価されていいでしょう。

また、中国版新幹線の運転士にも、このようなヘルメットを強制装着して、「事故対策」の名目で、運転士の感情変化を監視してます。同時に、中国民間航空大学の教授は「将来、このヘルメットをパイロットに装着させ、パイロットの感情変化を監視して、航空事故の回避をできる」と興味を示しました。

さらに、人民解放軍の軍人にも、このヘルメットを装着させて、万が一「指導者を裏切る感情」が発生したら、すぐに中国政府に自動送信して、該当の軍人を処分することが可能になります。

中国人民解放軍

現在、北京のとある高校では、生徒にカチューシャのような装置を強制で被らせ、生徒が勉強の集中力や、試験する時にカンニングする行為を防ぐことができるようです。このカチューシャ型の装置は、前述のようなヘルメットと似ており、脳波をスキャンしてAIで分析するシステムとほぼ同じです。

これはまさに、西遊記の三蔵法師が孫悟空の行為を制限するために、被らせる緊箍児(きんこじ)のようなものではありませんか?とても笑えない話です。

しかし、工場の作業員と病院の患者、公務員や生徒に無理やり脳波をスキャンして勝手にAIで分析する行為は、一種の生体実験とみられるものであり、強制的に実施するのは、明らかに人権侵害です。

中国政府は、このような生体実験を行って、最終目的には「思想犯罪者」の予備軍に強制的に装着させ、国民の思想を監視、コントロールするつもりなのでではないかと思います。

さらに次の段階では、遠隔操作で中国人を操り、外国でテロ等の破壊活動をさせるヘルメット装着の義務化なども考えられます。これは、SFの世界の話のようですが、可能性はゼロではありません。

このように、社員や顧客、学生の脳と顔を勝手にスキャンして、AIで分析して自社のビッグデータとして保存する行為は、民主主義国家では許されることではありません。
 
また、人間の脳は長期的にスキャンされることで、脳に損傷を受けるかどうかは、まだ実証されていません。

現在、中国の顔認識システムは既に世界一のレベルに達していると言われています。また人間の脳波を監視する技術も、中国人を使った生体実験により、かなり進んでいくことが予想されます。科学技術が急速に進歩し続ける一方、共産党政権を確固たるものとするための科学の悪用が拡大しつつあるのです。

将来の中国共産党は世界中の人間をロボットのようにコキ使い、操ることができる技術を持つようになるかもしれません。そうなると、まさに悪夢です。

このような中国と日米をはじめとする先進国の人々は、価値観を共有することなどできません。

昨日のブログでは、以下のようなことを掲載しました。
中国はアメリカの世界覇権に挑戦し、建国100周年の2049年までに、アメリカを凌ぐ「世界覇権国」になることを宣言しています。これを「中国の夢」(中国梦)と言いますが、そんなことが実現したら、世界はどうなるでしょうか。

ブログ冒頭の記事にもあるように、習近平国家主席は憲法を改正して“終身皇帝”となり、「中華民族の偉大なる復興」を目指して着々と政策を進めています。AIIB(アジアインフラ投資銀行)も「一帯一路」構想も、みなそのための布石です。いまや、南シナ海は、7つの人工島により中国の「内海」となってしまったことは、世界中が知るところです。 
自由と人権を無視した“中華秩序”(新冊封体制)が、世界秩序になる、そんな世界が実現して良いはずはありません。
そうして、中国がこの中国夢を実現するために、自国内だけではなく、海外でも監視システムを強化し、プライバシーを侵害するようなことは決して許されることではありません。

中国は、これから侵略する地域でもこのような監視体制をとるのは明らかです。中国に支配されるようになった世界は、闇以外のなにものでもありません。我々自由世界は、中国の他国への侵略をもうさせてはならないのです。それだけではなく、侵略した地域を元にもどさせなければないのです。

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2018年2月25日日曜日

中国 国家主席「2期10年」任期に関する制限撤廃へ―【私の論評】憲法改正ができたから習近平政権が安定しているとの見方は間違い(゚д゚)!


習近平
中国共産党は、来月開かれる全人代=全国人民代表大会で、国家主席の任期を2期10年までと定めている憲法の規定を撤廃する方針を決め、習近平国家主席が、2期目を終える2023年以降も長期にわたって国家主席にとどまる可能性が高くなりました。

中国国営の新華社通信は、25日、来月開かれる全人代で14年ぶりに改正される見通しの憲法について、中国共産党が提案した改正案を伝えました。

この中で、国のトップである国家主席の任期について、2期10年までと定めている規定を撤廃するとしています。

中国では、建国の父と言われる毛沢東が死去し、集団指導体制に移ったあと、1982年以降は憲法で、国家主席の任期について連続で2期を超えてはならないと規定しています。

今回、憲法が改正され、国家主席の任期の上限がなくなれば、習主席が2期目を終える2023年以降も、長期にわたって国家主席にとどまる可能性が高くなります。

また、憲法の改正案では、習近平国家主席の指導思想についても個人名を冠した形で盛り込むとしていて、在任中に最高指導者の名前が憲法に盛り込まれるのは異例のことです。

中国では、去年の共産党大会を経て、習主席に権力を集中させる形で2期目の指導部が発足していて、最高指導部に次の世代のリーダーと目される若手の幹部が登用されなかったことから、習主席が、長期にわたって最高指導者にとどまる可能性が指摘されていました。

【私の論評】憲法改正ができたから習近平政権が安定しているとの見方は間違い(゚д゚)!

現在の中国は他国とは随分変わっていますが、その中でもかなり変わっているのが、憲法の上に共産党がある国という点です。こういう国では、憲法改正は他国と比較すればかなり簡単にできます。

習近平が憲法改正ができたからといって、他国のように国内で他者よりはるかに力があるはずであり習政権は安定しているはずだと、考えるべきではないです。実際、習近平の力の限界を示すような事件が発生しています。

中国の習近平国家主席が年の瀬の差し迫った昨年12月下旬、人民大会堂での会議が終わった駐車場で専用車両に乗ろうとした際、爆発物が破裂。習氏は腹痛を起こし、そのまま北京市内の中国人民解放軍直属の「中国人民解放軍総医院(略称「301病院」)に緊急搬送されていたことが分かりました。

301病院
習近平氏暗殺未遂事件は、これをいれて国内で9回目であるともいわています。

“301病院”とは、中国人民解放軍総医院の略称で、共産党中央および中央軍委員会の高官専用病院です。元々は華北軍区の学校の略称でしたが、後に協和病院から医療関係者を回し、病院に変更しました。

301病院には“南楼”と呼ばれる病棟がありますが、厳重な警備が敷かれ、出入りには証明書の提示が必要です。情報によると、ここは共産党指導部の高官専用の病棟だそうです。

中共の301病院は不可思議な所で、昔は中共元老たちが治療の名目で、ここで画策を練っていました。一方、301病院は中央弁公庁主任の管轄下にあります。中央弁公庁主任は最高権力者の執事のような役目です。

言うことを聞かない人は、中共の内部闘争の中で治療の名目でここに入れられる人もいますが、事実上は政敵の手中に入ったことに等しく、生死を握られているのです。

たとえば、楊尚昆元国家主席。風邪を引いて301病院に入ってまもなく、不審な死を遂げました。


楊尚昆元国家主席
今回の習近平病院搬送は極度の緊張が原因との見方もでています。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が301病院の関係者から独自に聞いた話として伝えました。


301病院は、現状では一応、現在の権力側に属しているのでしょうが、それにしても、中国の過去から現在までの高官の秘密を握っていて、当然のことながら習近平派の秘密も握っているのでしょう。

その意味では、どの派閥もすぐにこれを攻撃することはできないという一種中立的な立場にあるものと考えられます。だからこそ、外国の華字ニュースサイトにこのような話もできるのでしょう。

以下に2012年当時の301病院に関する動画を掲載します。


習氏一行が病院に駆け込んだことで、病院は一時的に閉鎖措置をとられ、他の患者は締め出されるなど、厳重警戒措置が敷かれたといいます。

人民大会堂に仕掛けられた爆発物は軍が使用しているものであることや、人民大会堂には一般市民は立ち入ることが禁止されていることから、爆発物は軍幹部によって持ち込まれて設置された可能性が高いとみられています。当日の防犯カメラ映像などがチェックされているほか、軍の警備担当者も個別に事情を聞かれているもようです。

中国では昨年、軍最高指導部に当たる中央軍事委員会委員である房峰輝・元中央軍事委連合参謀部長や張陽・中央軍事委政治工作部主任が腐敗容疑で事情聴取を受けたあと、軍の要職を罷免されています。このうち、張氏は自宅で自殺しています。このため、爆発物を仕掛けたのは、両者に連なる軍幹部ではないかとみられています。年末から年始にかけて、軍幹部が集中的に事情を聞かれたいいます。

房峰輝氏と張陽氏
習氏の容態ですが、過度の緊張状態になり、その影響で胃痛が出たものとされ、深刻な影響はない模様です。

しかし、習氏は大事をとって、301病院で、念のために精密検査を受けたほか、疲労をとるために特別病棟に一泊し、翌日の朝食後、退院したといいます。

習氏を狙った暗殺未遂事件はこれまでに、少なくとも8回発生していると伝えられており、今回が9回目になるといいます。

習氏は政敵や反対派の幹部追い落としのために、反腐敗運動を推進。汚職容疑などで多くの幹部を失脚に追い込んでいます。そのため習氏を狙う者も多く、習氏は一時も気が休まるときもないようです。このため、精神的には常に緊張状態に置かれており、今回のような突発事件で、体調に異常をきたすことも珍しくないことが想像されます。

しかし、本当にそうなのかどうかは定かではありません。私自身は、爆破事件直後には習近平はこの暗殺未遂事件そのものの幅や奥行きがどの程度のものかすぐには判断できなかったと思います。場合によっては、はるかに規模の大きいクーデターや内戦である可能性も考えられたかもしれません。その場合には、一部の側近など除いて誰も信用できません。

だからこ、そのような場合に備えて、習近平はそれに対する情報収集と備えをするために、ごく一部の信頼できる側近とともに、301病院へと急遽駆け込んだのではないかと見ています。その後の情報収集によってこの事件はさほど規模の大きなものではないことが了解できたので、翌日退院という形で病院から出たのだと思います。

習近平の頭には清朝の版図がある

日本では習近平が「中華民族の偉大な復興」をアピールするとき、その根底にある歴史認識が刺激する中国ナショナリズムの最大の矛先が向かうのは、歴史的経緯から、アメリカではなく、日本の可能性が高いということを懸念するむきもあります。

しかし、国内で9回も暗殺未遂事件に遭遇する指導者に、指導力があるとは到底思えませんし、人民から統治の正当性があると認められているとは思えません。

中国は巨大国家であるがゆえの「内向き」な思考を持っており、しかも古代からの漢民族の「戦略の知恵」を優れたものであると勘違いしており、それを漢民族の「同一文化内」ではなく、「他文化」に過剰に使用することによって信頼を失っています。

しかし、「内向き」な中国の国内で一旦権力闘争化が激化すれば、習近平は国内の派閥争いに精力を奪われることになります。今回の暗殺未遂事件などから、今後ますます派閥争いは激化する可能性もあります。そうなれば、意外と中国ナショナリズムが日本に向かうなどということもあまりなくなくる可能性のほうが高いかもしれません。

いずれにせよ、今のところはどうなるのか様子見をする必要があると思います。これについては、また進展があれば、ブログに掲載します。

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2016年5月1日日曜日

日本のアニメに怯える習近平政権 歴史観が日本に“洗脳”されてしまう!「進撃の巨人」の“排除”を指示―【私の論評】古代中国の徳や知恵の継承者は日本、現代中国ではない(゚д゚)!

日本のアニメに怯える習近平政権 歴史観が日本に“洗脳”されてしまう!「進撃の巨人」の“排除”を指示

閉幕する中国全人代に臨む(左から)習近平国家主席と李克強首相=3月16日、北京の人民大会堂

今から1800年ほど前の中国大陸で魏、呉、蜀が覇権を争った三国時代。日本でも劉備、曹操、孫権らが登場するこの時代は「三国志」として親しまれている。しかし、中国では三国時代などを題材にした日本のアニメやゲームが伝統的価値観を崩壊させてしまうとの指摘が出ている。日本のアニメやゲームの文化が中国人青年を“洗脳”し、自国の歴史への「正しい認識」をゆがめてしまうというのが彼らの主張だ。支配秩序を乱す恐れがあるという観点から中国共産党に狙い撃ちされる日本のアニメも出始めた。

■「5000年の歴史を持つ大国のメンツは!」と憤慨

 中国メディアの騰訊網は4月11日、「文化侵略?日本のアニメ・ゲームが『三国』に対する認知を破壊した」と題した記事を掲載した。記事は日本のアニメやゲーム業界で三国時代を題材にした作品が次々と出ていると指摘。「史実に基づかない多くのシーンが、中国の若者の頭に浮かぶようになった」と現状を説明したうえで、「われわれはすでに、日本のアニメ・ゲーム文化によって洗脳された世代の人間なのだ」と嘆いた。

日本のスマゲー『三国志ロワイヤル』
記事は三国時代をテーマにしたアニメやゲームとして「一騎当千」「龍狼伝」「SDガンダム三国伝」「恋姫†無双シリーズ」など取り上げ、「中国の古典名著が異邦人によって書き改められている。5000年の歴史文化を持つ大国のメンツはどこにあるのか」と憤慨してみせた。

■中国社会にすっかり浸透した日本のアニメ

 中国の古代をテーマにした日本のアニメやゲームは多く、秦の始皇帝の死による大乱から漢王朝樹立への道を描いた「項羽と劉邦」、宋の時代を舞台に宋江(そうこう)ら108人の豪傑が活躍する「水滸伝」、戦国時代にやがて秦の始皇帝となる秦王・●(=亡の下に口、下に月女迅のつくりを横に並べる)政(えいせい)と、大将軍を目指す少年・信(しん)の活躍を描く「キングダム」など枚挙にいとまがない。

中国ではテレビの普及とともに1980年代以降、日本からさまざまなアニメ番組が輸入された。「一休さん」、「ドラえもん」、「ドラゴンボール」、「聖闘士聖矢」など日本国内でもおなじみの作品を中国の子供たちは観て育ち、その作品は今はすっかり大人となった中国人の脳裏に刻み込まれている。2000年以降はインターネットで作品の配信も行われるようになり、日本のアニメやゲームは中国社会に大きな影響を与えている。

■危機感募らす習近平政権が日本アニメを“攻撃”

騰訊網が記事の中であらわにした危機感は、中国社会の中に日本のアニメやゲームの文化がすっかり根付いてしまったことを逆に裏付けるものだが、こうしたなか習近平政権は日本のアニメやゲームなどを狙い撃ちし始めている。

 昨年6月に上海で開かれ国際映画祭に合わせて日本の作品が紹介されたが、日本国内でも人気が高い「進撃の巨人」は上映できなかった。この時は、その理由が明らかにされなかったが、中国文化省は映画祭に先立って、「進撃の巨人」や「寄生獣」など38作品のリストを公表。インターネットでの配信を禁止する措置を取っており、この影響を受けたとみられている。

38作品をリスト化した表向きの理由は「未成年者の犯罪や暴力、ポルノ、テロ活動をあおる内容が含まれる」というものだが、中国政府や共産党の見解を額面通りに受け取るような人はよほどのお人好しだろう。


■「ドラえもん」にまでかみつく

を捕食する「巨人」が支配する世界で、築いた壁の内側で戦きながら暮らす人類がやがて「巨人」との戦いを決意する「進撃の巨人」は、中国共産党の支配力が着実に浸透している香港に重ね合わせることもできる。巨人=中国共産党であり、人類=香港の人々という具合に。「進撃の巨人」は世界中でファンを獲得したが、香港でも大きな反響を呼んだ。

昨年春には北京テレビが「名探偵コナン」を取り上げ、「アニメ作品の旗を掲げた、あからさまな犯罪の教科書だ」と批判。また、2014年9月には成都市共産党委員会機関紙の成都日報が「ドラえもん」にかみついた。成都日報は「ドラえもん」が2020年東京五輪招致の際に招致スペシャルアンバサダー(特別大使)に就任したことなどに触れ、「ドラえもんは国家としての価値観を輸出し、日本の文化戦略で重要な役割を果たす」と主張。むやみに親しみを持たないように呼びかけた。

これだけ中国政府や共産党が日本のアニメやゲームの文化に対して警戒感と敵愾心を示すのは「たかがアニメやゲーム」と侮れない発信力があると認識している明らかな証拠だろう。

【私の論評】古代中国の徳や知恵の継承者は日本、現代中国ではない(゚д゚)!

上の記事では、「これだけ中国政府や共産党が日本のアニメやゲームの文化に対して警戒感と敵愾心を示すのは「たかがアニメやゲーム」と侮れない発信力があると認識している明らかな証拠だろう」と結んでいます。

それでは、なぜ中国の共産党(=中国共産党)は「たかがアニメやゲーム」と侮れない発信力があると認識するのでしょうか。無論、中国のアニメやゲームと比較すれば、日本のそれのほうが、格段に優れていて、中国の人民をも惹きつけるからでしょう。

これに比較して、中国のアニメやゲームなど、日本ではほとんど見られたりとか、プレイさたりという話は聞いたことがありません。あまりの低水準のため、日本のテレビで放映されたり、ゲームがダウンロードされるということもないのだと思います。

しかし、それだけのことであれば、なぜ中国共産党(中国政府)が警戒心と敵愾心を示すのか説明がつきません。

日本であれば「たかがアニメやゲーム」であり、それをすぐに現実と結びつける人などいません。日本人は、西欧とは異なり、青年や大人もアニメを見たり、ゲームをしたりしますが、その人たちのほとんどがアニメや、ゲームの世界を現実世界とダブらせることはありません。というより、現実世界から全くかけ離れたアニメやゲームのほうが非日常的であるからこそ、面白いし楽しいのだと思います。

しかし、中国では異なるようです。上の記事では、「『進撃の巨人』について、中国共産党の支配力が着実に浸透している香港に重ね合わせることもできる」としていますが、これを最初に語ったのは、香港の芸術家・ケイシー・ウォン(黄国才)です。

黄国才氏の作品「ベンチ」 廃材を利用したものです
彼は、香港で本作が評判を生んでいる要因として、1997年まで英国植民地として「壁」に守られていた香港が、中国返還後は中国資本メディアの台頭や、中国人移民の激増という「巨人」に脅かされ、自由な空気が損なわれている、という香港の時代背景を挙げ、本作のプロットとの共通性を指摘していました。

なお2011年3月11日以降はこの作品は内容上、東日本大震災に絡めて評されることが多くなりました。『ダ・ヴィンチ』2011年6月号掲載の特集では、「作中に登場する“前に巨人に襲われてから100年経っていたため脅威を忘れていた人々”や“自分の財産を守ろうとして人々の避難を邪魔した商人”などのキャラクター、そして“巨人”そのもの。これら全てが震災前に描かれたにもかかわらず震災を連想させるものばかりであり、震災後の日本と同じく本作も巨人から世界を取り戻すという“復興”を目指す作品である」とした上で、「ますます時代に関わる重要な作品になっていくだろう」と紹介しています。

震災については作家諫山自身も映画評論家・町山智浩との対談記事にて「作品内容に影響は無い」としながらも、別のインタビュー記事では「以前の日本には閉塞感が漂っていたが、震災を境に変わってしまった。今後は目の前にある脅威に対してどうやって勝ち得るのかを描いていきたい」と述べています。

私自身は、この作品は最初から、日本の安全保障を暗喩するものであると感じていました。しかし、見方によれば、この漫画の設定は、すべてフィクションであることから、日本以外の国でもあてはまるといえば、当てはまるので、無論香港に当てはめることもできるし、他のどのような国にも当てはめて考えることもできるわけです。

この作品は、それだけスケールの多い作品だということです。日本のアニメや、ゲームなど大人が見たり、プレイすることも念頭に入れて作られているので、大人を飽きせないためでしょうが、かなりスケール大きな内容のものが多いです。

その中には、人類としての普遍的な価値観を含むものもあります。この人類の普遍的価値観の中には、中国の最高統治機関である中国共産党にはなじまないものもあります。

そうして、なぜ中国共産党がこれに、警戒感と敵愾心を示すかといえば、やはり中国共産党の統治の正当性が脆弱であるということです。

どの時代のどの為政者も、特定の地域を長期間にわたって統治できるのは、統治の正当性があるからです。しかし、中国共産党は日本政府と比較すれば、統治の正当性がかなり脆弱です。

彼らは、昨年抗日70年記念軍事パレードを挙行しましたが、これ自体が中国共産党の統治の正当性の脆弱性をものがっています。そもそも、中国共産党は日本と直接戦争や、戦闘などしたことがありません。小さな小競り合いなど程度ならあったかもしれませんが、まともに戦ったことはありません。

日本が大東亜戦争時に戦ったのは、中華民国であり、今日の中華人民共和国は建国すらされていませんでした。中華人民共和国が成立したのは、1949年であり、大東亜戦争が終了してから4年後のことです。

彼らが戦ったのは、日本軍ではなく、中華民国の国民党軍です。そうして、中国共産党は、国民党軍に勝利をおさめ、彼らを台湾に追いやり、その結果中華人民共和国が建国されたのです。

にもかかわらず、中国共産党が抗日記念軍事パレードを行うのには、それなりの理由があります。その理由とは、中華民国と戦ったこと自体は、同じ国の同胞同士が戦った単なる内乱・内紛であり、それに勝利した事だけでは、中国共産党の統治の正当性を主張できないからです。

なぜ主張できないかといえば、中国共産党は、現状の中国版図を軍事力で奪いとったのであり、そこには、多くの人民の同意も何もなく強制的に中華人民共和国を建国したからです。そもそも、現中国では、建国前後も、その後にも選挙など一度も行われておらず、建国以来毎年平均2万件もの暴動が起こったとされています。さらに、2010年あたりからは、毎年平均10万件の暴動が発生しているといわれています。

昨年5月に発生した四川省での大規模な暴動
中国共産党に統治の正当性があるというのなら、これだけの毎年これだけの暴動が発生するはずもありません。日本でも、過去の暴動がなかったとはいいませんが、近年は滅多にみられなくなりましたし、そもそも、日本政府は選挙という民主的手続きで選ばれた政治家が構成するということで、それで政府の統治の正当性は十分主張できます。

そもそも、中国共産党の統治の正当性があまりに脆弱であるため、中国共産党は、日本製のアニメや、ゲームでさえ、それを脅かす存在として、怯えるのです。

これに対して、日本の政府は国内においては、中国共産党などよりははるかに、統治の正当性があるので、中国文化などを恐たりはしないのです。それは、過去においてもそうで、過去においても、古代中国の考え方など取り入れて、自分たちの血と肉として、さらに統治の正当性を高めていって、今日に至っているのです。

中国の過去の歴史は、大帝国を築いても、結局分裂し、また新たな帝国ができるのですが、過去の帝国とは全く分断され、文化や伝統など継承しませんでした。過去の中国は、何の反省もなく、それを繰り返しました。

そうして、今日の中国も同じことであり、過去とは断絶しています。古代中国と現代中国は全く別物です。だから「5000年の歴史文化を持つ大国のメンツ」などというのは、まさに噴飯物です。

現代中国は、文化大革命で、過去の中国の知恵からは完璧に断絶されました。文化大革命(プロレタリア文化大革命とも呼ばれる。簡体字:无产阶级文化大革命 繁体字:無產階級文化大革命)、通称文化大革命(ぶんかだいかくめい)は、中華人民共和国で1966年から1976年まで(終結宣言は1977年)続いた、社会的騒乱です。略称は文革(ぶんかく)。

名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という政治・社会・思想・文化の改革運動でした。しかし実際は、大躍進政策の失敗によって政権中枢から退いた毛沢東共産党主席が自身の復権を画策し、民衆を扇動して政敵を攻撃させ失脚に追い込むための、中国共産党の権力闘争でした。

これにより1億人近くが何らかの損害を被り、国内の大混乱と経済の深刻な停滞をもたらしました。

この文革、ハチャメチャな権力闘争であり、その中でも、1973年8月から1976年まで続いた「批林批孔運動」は酷いものでした。その内容は、林彪と孔子及び儒教を否定し、罵倒する運動でした。

幼少の頃に文化大革命に遭遇し、後に日本に帰化した石平氏は、「この結果、中国では論語の心や儒教の精神は無残に破壊され、世界で屈指の拝金主義が跋扈するようになった」と批判しています。

中国では、文化財などの保存もいい加減であり、とても、過去の先達の知恵を継承しようなどという考えがあるとは思えません。

古代中国の知恵を自分たちの血とし、肉として、それを現代に至るまで継承してきたということでは、日本のほうが現代中国よりも、古代中国の知恵の継承者として、数段上にあると言っても良いくらいです。誰でも、一度は漢文に接したことがあることでしょうし、習字をしたこともあると思います。さらに、私達の生活習慣の中にも、古代中国の知恵や文化が息づいています。


これに関しては、上の写真を見ても理解できます。上は、日本の安倍総理による習字と、習近平のものを対比したものです。

これを見ても、どちらが古代中国の文化や知恵、徳の継承者であるか良く理解できます。そうは、言っても、日本でもとても古代中国の文化を継承しているとは思えない人もいます。それは、以下の写真をご覧いただければ、おわかりいただけるものと思います。


このような例外は、除いて、普通の日本人なら、古代中国の徳や、知恵が体に染み付いています。日本のアニメや、ゲームも作者は意識していなくてもそうなので、それが意識しなくても、作品に現れてしまうのです。それを中国共産党は、自分たちの統治の正当性を脅かすものとして、警戒感と敵愾心を示すのです。

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