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2019年7月18日木曜日

「親中」に逆風が吹き始めた台湾総統選―【私の論評】台湾では、宗族の良い要素だけが残ったため、民主化が実現されている(゚д゚)!


民進党・蔡英文と国民党・韓国瑜の対決は“米中代理戦争”に

台湾総統選挙に向けた国民党予備選で勝利した韓国瑜・高雄市長

台湾・高雄市の現職市長、韓国瑜(かん・こくゆ/ハン・クオユ)が来年(2020年)1月の台湾総統選の国民党候補となった。民進党の候補は現職総統の蔡英文。鳴り物入りで国民党候補の予備選出馬を表明していたフォックスコン(鴻海精密工業)会長の郭台銘が選ばれなかったのは、おそらく香港の「反送中デモ」の盛り上がりが台湾世論に影響したせいもあるかもしれない。

 なぜ郭台銘が国民党候補に選ばれなかったのか、韓国瑜が出馬することで台湾の情勢はどう動くのか、考えてみよう。

人気が失速した「親中」郭台銘

 国民党の総統候補選びは党員による選挙ではなく、一般有権者への民意調査で決められた。一般市民の固定電話1.5万軒を対象に7月8日から1週間、5人の国民党総統候補の中でどの候補者を支持するか調査が行われ、15日に発表された。その結果、韓国瑜の支持率が44.8%と圧勝。郭台銘は27.7%と第2位だったが、17%も差をつけられた。ちなみに朱立倫(しゅ・りつりん)支持は17.9%。

 7月10日に行われたメディアによる民間の調査では韓国瑜支持者が41.9%、郭台銘支持者が32.1%で9%の差がついていた。郭台銘はこのとき「絶対信じられない。これはサンプルの取り方がおかしいんだ」とムキになっていたが、今回の民意調査で、郭台銘は本人が思っているほど人気がないことがさらにはっきりしたわけだ。

 韓国瑜は記者会見で、「総統候補予備選に勝ったからといって全く嬉しくもない。ただ重圧を感じるだけだ」とコメント。一方、郭台銘はよほどショックだったのか、会見時は「すまない・・・」と言って涙を拭いて鼻をかみ、「台銘を選べば台湾は幸せになれたが、台銘を選ばなければ、台銘(私)が幸せだということだ」と悔しさをにじませた。さらに「韓市長には歴史的な地位を築いてほしい。3期連続任期を果たしてほしい。そのための協力を惜しまない」とエールを送った。

 さて、なぜ郭台銘は敗れたのだろうか。郭台銘の悔し泣きの涙が本物だとすると、彼自身は自分が総統候補になると信じていたのだろう。元々は「一番なりたくない職業、台湾総統」と言ってはばからなかった彼が、「媽祖のお告げ」などと神妙なことを言って国民党総統候補に名乗りを上げたのは、中国共産党の強い要望があったからだと言われている。だが、郭台銘の背後には中国共産党の影が見えすぎて、有権者だけでなく国民党員からも敬遠されたのではないか、と見られている。

 民意調査によれば、韓国瑜支持者は、実は国民党支持者ではなく韓国瑜個人のファンが多いらしい。台湾民放のTVBSの調べでは、韓国瑜は4月25日の段階で支持率44%。韓国瑜、蔡英文、柯文哲の誰に入れるか、という質問で「誰にも入れない」という答えは全体の8%だった。ここに韓国瑜の選択肢が無くなると「誰にも入れない」という答えは15%に跳ね上がる。韓国瑜だから投票する、韓国瑜が選挙にでないなら選挙に行かない、という熱烈な支持者が韓国瑜にはついている、ということだ。

 一方、郭台銘はその知名度やカリスマ性から中間層の票を取り込みやすいと信じられていたが、台湾有権者の間で中国に対する警戒心が強まったのが人気の失速につながった。いうまでもなく、香港の「反送中デモ」をきっかけに、中国の言う「一国二制度」の危うさがあらためて台湾人の意識に上ったことが大きい。

米国は蔡英文に肩入れ、米中代理戦争に

 多くのチャイナウォッチャーや国際政治学者たちの見立てでは、来年の台湾総統選挙は一種の“米中代理戦争”になると言われている。台湾淡江大学の黄兆年教授がBBCにこうコメントしている。「台湾総統選は台湾内部の政党同士の競争というだけでなく、国際強権同士の競争であり、つまりはワシントン VS. 北京の競争だ」。

 米国は蔡英文・民進党政権推しで、中国は国民党推しである。国民党主席の呉敦儀(ご・とんぎ)は、もし次の総統選で国民党が政権に返り咲けば、中国共産党の和平協議プロセスに入り、国共内戦の終結に区切りをつける意志を示している。

 共産党も国民党も「大中華主義」であり「一つの中国」を原則としている以上、この和平協議プロセスの行きつく先は中台統一である。その中台がたとえ「一国二制度」の名のもと、異なる政治システムを容認するという建前であっても、香港の「一国二制度」の現状をみれば、それが事実上、中国共産党による台湾の併呑(へいどん)という形に終わるという可能性は極めて強い。

 つまり、国民党政権が誕生すれば、中国が太平洋に進出するのを防ぐ橋頭堡の役割を果たしていた台湾が中国の一部になってしまい、米国のアジア戦略は根本から見直しを迫られる、ということになる。
 中国が郭台銘を国民党総統候補として本命に推していたのは、韓国瑜よりも郭台銘の方がコントロールしやすいと考えたからだと見られている。韓国瑜は今年3月に香港に赴き中央政府駐香港連絡弁公室(中聯弁)を訪問した初の台湾地方首長という意味で、親中派である。だが韓国瑜は所詮、地方政府の首長であり、外交政策や両岸政策(台中政策)を含む国際情勢についての定見はほとんどない。しかも、ポピュリスト政治家の典型である彼は、中国の思惑より台湾世論の風向きに敏感だ。台湾人は近年、経済利益よりも国家安全を重視する傾向が顕著で、これは6~7年前と比較して大きな変化といえる。そして台湾人の国家安全に対する要求は、具体的には米国との協力が絶対条件であると考えるようになっている。だから韓国瑜は、「国家安全は米国に頼り、市場は中国に頼り、技術は日本に頼る」という方針をあえて表明していた。中国にとっては、「中国との関係強化が台湾の最大の安全保障」と訴える郭台銘の方がいいに決まっている。

 だが、蔡英文 VS. 韓国瑜の一騎打ちの構造になるなら、米国は当然蔡英文に肩入れするだろうから、韓国瑜は中国との関係について時機を選んで態度を表明することになろう。韓国瑜にとっては、どの程度、親中的姿勢を見せるのが適当なのか、かなり悩ましいものになるかもしれない。

 蔡英文は先日、カリブ海諸国に外遊に行く途中、ニューヨークに立ち寄り2泊、帰りにデンバーで2泊と、異例の米国での長時間滞在を果たした。ニューヨークでは台湾と外交関係を持つ在外公館関係者や米台企業家と公式に会合をもち、また夜の宴会には米超党派議員5人も出席。コロンビア大学では、中国が提示する一国二制度を使った台湾統一のプロセスについて、香港の一国二制度の経験を例に挙げて、はっきりと否定する内容の演説を行った。これらは台湾現職総統としては異例の公式行事と言える。蔡英文にこれだけの活動を認めた米国政府は、明確に蔡英文総統の再選を支持しているというメッセージを発していると受け止められるだろう。
台湾の蔡英文総統

選挙戦の戦略に制限が出てきた韓国瑜
 さて、韓国瑜が国民党総統候補予備選に勝利して発した「嬉しくとも何ともない。プレッシャーがあるのみ」というコメントは本音であろう。いかに選挙巧者の韓国瑜であっても、米国を後ろ盾にもつ蔡英文に勝つのは簡単ではない。一番最近の民意調査によれば、蔡 VS. 韓の一騎打ち選挙になった場合、蔡英文支持率が45.9%、韓国瑜が39.0%と蔡英文が6.9ポイント、リードしている。ここに柯文哲や郭台銘が無所属で参戦したとしても、僅差ではあるが蔡英文リードは変わらない。
 もともと韓国瑜の方が人気が高かったはずだが、香港の「反逃亡条例改正案デモ」(反送中デモ)での影響で蔡英文への支持が優勢になった。理由は単純で、中国の一国二制度下にある香港で司法の独立や言論の自由が守られない厳しい現実を目の当たりにして、「ひょっとしたら中国とうまく『和平協議』をすることで、一国二制度下で、民主主義と中国との経済一体化による果実の両方を手に入れながら、中国からの軍事的恫喝も解消することができるのではないか」とゆれ動いていた台湾民意が、冷や水をかぶせられたように正気に戻ったからだ。こうなってくると、韓国瑜が掲げる“中国に頼る”経済振興政策に吸引力はなくなってくる。一応、香港デモについての立場を聞かれたときは「わからない」と、あいまいな態度をとり、中国に嫌われないように言葉を選んだが、このコメントは台湾内の支持をむしろ減らした。

 いまや香港では親中派を名乗るビジネスマンであっても、中国の機嫌を損ねることよりも、米国の香港人権・民主主義法によって香港の関税優遇措置などを撤回されることの方を恐れている状況だ。台湾とて、中国経済との接近を大々的に打ちだせば、米国を敵に回すことになるやもしれない。必ずしも親中的経済政策は台湾財界へのポジティブなメッセージにはならなくなってきたのだ。世界各国が今、「米国か中国か」という踏み絵を迫られているなか、すでに民主主義の果実を享受している台湾ビジネスマンたちも立場を明確にすることを恐れている。だから郭台銘ですら、香港の反中送デモの勢いを見て「一国二制度は失敗だ」と口走ったのだ。

 かといって、韓国瑜は国民党の方針に反して反中を打ち出すわけにもいかず、和平協議プロセスを否定するわけにもいかない。非常に選挙戦の戦略に制限が出てくる。これが米中代理戦争の要素がないならば、蔡英文の4年の政治・経済の失点をあげつらうだけでよかったのだが。

 国民党内部では、台湾の主権問題、両岸経済のテーマ、和平協議の方針などをもう一度すり合わせ、有権者の支持をえるための方策を練り直す必要が出てきた。だが、国民党の姿勢が変われば、今度は中国はどんな態度で出てくるか。

 また韓国瑜は昨年、高雄市長に当選したばかりで、高雄市を台湾一の大都市にするという公約を果たさずに、総統選候補となった。このことは、高雄市民や市議の不満を少なからず引き起こしている。高雄市の民進党系6団体は、韓国瑜に対する高雄市長罷免動議を出す準備をしているという話もある。韓国瑜には根強いファンがいるものの、この公約破りの後に、かつてのような韓流マジックを再び起こせるかはあやしい。

 今後の米中両国の台湾に対する出方によって、移ろいやすい台湾民意はまだまだ一転二転するかもしれない。台湾総統選は始まったばかり。その結果によって、日本の安全保障も大きく変わりうるわけだから、不安に揺れ動く台湾に共感をよせて、日本人も改めて民主と自由の価値を一緒に考えていく機会にしたらどうか。

【私の論評】台湾では、宗族の良い要素だけが残ったため、民主化が実現されている(゚д゚)!
台湾と大陸中国の対立といういうと、多くのメデアは単純化し、民主台湾と、中共一党独裁の大陸中国の対立という具合にみて報道しがちです。

現在の台湾は、大陸中国とは違い民主的な形態をとる国家です。なぜこの違いがでてきたのでしょうか。無論、現在の台湾はもともと大陸中国が支配していたわけでもなく、そこに国共内戦で負けた蒋介石率いる中国国民党軍が入り、台湾民主主義共和国を樹立したのがはじまりです。その前は、日本が統治していました。その前は、台湾が大陸中国に属していたというはっきりした歴史的記録はありません。

台湾初代総統 蒋介石

そうして、この両者には民主主義と、一党独裁主義の違いの他に、もっと根底的な社会構造の違いがあります。

それは、宗族のあり方の違いです。台湾には宗族の伝統は残っていますが、大陸中国のような残り方はしていません。そこが、大陸中国との根本的な違いです。

ちなみに、大陸中国の宗族については昨日このブログに掲載したばかりですので、そこから下に宗族に関する部分のみ引用します。
宗族(そうぞく)とは、中国の父系の同族集団。同祖、同姓であり、祭祀を共通にし、同姓不婚の氏族外婚制をたてまえとするものです。同じく血縁でも母系は入らず、女系は排除されます。 
したがっていわゆる親族のうちの一つであっても、親族そのものではありません。文献では前2世紀頃あるいは3世紀頃からみえます。同族を統率する1人の族長の支配下におかれ、族内の重要問題は,同族分派の各首長 (房長) らによる長老会議または族人による同族会議が召集され、協議決定されました。

宗族は往々集団をなして同族集落を構成し、その傾向は華中、華南に強く、1村をあげて同族であることも少くありませんでした。その場合、閉鎖的で排他性が強く、利害の衝突から集落相互間に争いを引起すこともありました。また同族結合の物的基礎として、共同の祖先を祀る宗祠設立のほか、義荘,祭田の設置、族譜 (宗譜) の編集なども行われました。
・・・・・・・・・・・・・・・・ 
中国人にとって、今でも一族の利益、一族の繁栄はすべてであり、至高の価値なのです。それを守るためにはどんな悪事でも平気で働 くし、それを邪魔する者なら誰でも平気で殺してしまうのです。一族にとっては天下国家も公的権力もすべてが利用すべき道具であり、 社会と人民は所詮、一族の繁栄のために収奪の対象でしかないのです。 
だから「究極のエゴイズム」を追い求め、一族の誰かが権力を握れば、それに群がり、もし失脚すれば、一族全員がその道連れ となって破滅するのです。 
習近平と王岐山一族が、いま何をやっているか、なぜそうなのか。正に宗族の論理によって突き動かされ、一族だけの利権を追 求し、一族だけが繁栄を究めているのです。 
中国共産党が『宗族』を殲滅したのではなく、むしろ、宗族の行動原理は生き残った上で、党の中国共産党政権自身を支配しているのです。中国における宗族制度の原理の生命力はそれほど堅忍不抜なものであり、宗族は永遠不滅なのです。 
中国人は、現代日本人の感性や規範、道徳、しきたりとまったく異なる伝統を今でも保持しているのです。
現在の台湾では、宗族の伝統は残ってはいますが、中国のように「究極のエゴイズム」を追い求めるような存在ではありません。

台湾においても、従来の宗族は儒教を通して、祖先崇拝、族長の統治、系譜の存在、一族の互助、家廟、祀堂場所の建立など、宗族の組織は非常に厳密でした。宗族員の結合は堅く、宗族の機能も広汎でした。

しかし、古くは日本統治、最近では産業の進展にともない、宗族の構成は大きく変化しました。

喪失して要素としては、族長権威と、共有財産です。持続されている要素としては、祭祀と墓参りです。残存要素としては、豊かな人間関係、経済の援助、系譜の尊重などです。

台湾では、宗族の良い要素だけが残ったようです。ここが、宗族の伝統の悪い面も根強く残り、中国共産党をも支配している大陸中国とは、対照的です。

台湾では、宗族の構成が大きく変化したからこそ、まがりなりにも民主主義が根付いているということができます。

ちなみに韓国も宗族の概念が今でも息づいています。いくつかの宗族は、ソウル市内に各々「何々宗親会」の事務所をかまえています。いわば宗族互助組織です。それこそ同宗族の子弟の、進学のための奨学金や就職の面倒まで、これがみるのです。

韓国の宗廟 昌徳宮(チャンドックン)

また各宗族は「族譜(チョクポ)」とよばれる家系図を有し、自己の家系に著名な人物のいることを誇るのです。婚姻の際にはこの族譜をたがいに見せあい、家格の妥当性をさぐりあいます。もちろん、悠久の歴史をへているのであるから、改竄もくわえられ、族譜の売買もおこなわれています。ここが、台湾と韓国との違いでもあるようです。これについては、述べるとながくなりますので、また機会を改めて掲載させていただきます。

台湾の総統選挙で、国民党が勝利すれば、やがて大陸中国に支配され、悪しき宗族の伝統が復活し、台湾の社会を後戻りさせてしまうことにもなりかねません。そうなると、現在の台湾のような民主的な社会をつくり出すことは困難になるでしょう。

それだけ、次の台湾の総統選挙は重要なものなのです。

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2016年6月30日木曜日

英EU離脱は自民に追い風 共産「暴言」は野党に逆風 浅川博忠氏参院選分析―【私の論評】なぜ民進は経済・安保で滅びの道を選ぶのか(゚д゚)!

英EU離脱は自民に追い風 共産「暴言」は野党に逆風 浅川博忠氏参院選分析

英国のEU離脱は参院選では与党に有利に・・・・
与野党激突の参院選(7月10日投開票)が過熱するなか、英国の欧州連合(EU)離脱という衝撃的ニュースが飛び込んできた。日本経済へのダメージが懸念されているが、選挙戦にはどんな影響を与えるのか。政治評論家の浅川博忠氏が政党別の獲得議席を分析・予測したところ、野党によるアベノミクス批判は不発ぎみで、逆に有権者は安定した安倍晋三政権の継続を望み、自民党がさらに議席を伸ばすという結果が出た。共産党幹部の「暴言」も与党優位に拍車をかけているという。

英国のEU離脱問題が、与党の優位を決定付けそうだ。浅川氏が最新のデータをもとに分析したところ、自民党に追い風が吹いており、改選議席(121)の過半数を確保することが明らかになった。

注目の獲得議席予測は別表の通りだ。浅川氏は昨年12月、今年2月、5月、公示日の6月22日にも予測を行っている。

 自民党は、浅川氏が22日に予測した60議席から2議席増やし、62議席に達した。一方、民進党が27議席、共産党が11議席となり、それぞれ公示時点よりも1議席ずつ減らした。

なぜ、こういう結果になるのか。

浅川氏は「英国のEU離脱を受けて、野党はここぞとばかりに、『為替や株価に依存した経済(政策)ではダメだ』(民進党の枝野幸男幹事長)、『アベノミクスは破綻した』(共産党の小池晃書記局長)などと批判しているが、有権者には、ほとんど響いていない。それは、野党にアベノミクスに代わる経済政策がないことを知っているからだ。むしろ、こういう不安定な国際情勢だからこそ、安定した政権与党の継続を望んでいる。野党の政権批判は空回り気味で、与党が不利になっているという状況ではない」と指摘した。

選挙中とはいえ、安倍政権の反応の早さも功を奏したようだ。

24日昼ごろ、英国のEU離脱が明らかになり、株価は大きく下落した。政府は同日午後、関係閣僚会議を開き、「必要なのは国際協調だ」(安倍首相)との姿勢を示した。自民党も同日夜、稲田朋美政調会長を本部長として緊急特別本部を設置した。緊急時の初動対応としては“基本動作”といえそうだ。

経済対策にも気を配っている。

安倍首相は前出の関係閣僚会議で、「世界経済の成長と金融市場の安定に万全を期す」といい、大型の2016年度第2次補正予算案を成立させる方針を示した。さらに、首相に近い下村博文総裁特別補佐が27日夜のテレビ番組で、注目の規模について「10兆円超」と語ったのだ。

円高の加速で日本の製造業が2兆円の減益に陥るとの予想が流れるなか、不安を最小限に抑えようと努力していることが伝わってくる。

野党の「敵失・自爆」も大きい。

共産党の藤野保史政策委員長が26日のNHK番組で、「防衛費=人を殺すための予算」と発言したことも、与党の追い風となっている。藤野氏は28日夜、発言の誤りを認めて引責辞任した。



浅川氏は「東日本大震災以降、国民の自衛隊への信頼は確実に高まっている。熊本地震で、救命・救出活動に当たった記憶も新しい。こうしたなかで、藤野氏の発言は決定的だ。あの一言で『とてもじゃないが、共産党を勝たせるわけにいかない』という空気が広がった。共産党と連携している民進党にも大ダメージだろう」と分析した。

藤野発言で、共産党が綱領に「日米安保の廃棄」「自衛隊の解消」を堂々と掲げていることも、改めて注目された。

民進、共産両党の低迷は、複数区の情勢に現れ始めている。一部の選挙区で、自民党が2議席を確保し、民進党と共産党が共倒れになる可能性が出てきたのだ。

「自民党は複数区での2人擁立を積極的に進めてきたが、党内には当初、共倒れを懸念する声も多かった。だが、情勢は完全に変わった。一部の選挙区を除けば、複数区での2議席確保が見えつつある」(浅川氏)

民進党の岡田克也代表の発言も、野党の勢いにブレーキをかけたという。岡田氏は26日、地元・三重県で記者団に「三重で(民進党候補を)落とすようでは代表の資格はない。次の代表選に出ない」と発言したのだ。結果が出る前に「敗北」に言及したことになる。



浅川氏は「本人は陣営引き締めのために言ったのかもしれないが、選挙戦の最中に、敗北を前提とした自身の進退に触れるとは、政治センスが疑われる。加えて、党内では『地元さえ勝てばいいのか』『地元で勝てば次の代表選に出るのか』と受け止められた向きがある」と指摘した。

投開票まで2週間を切ったが、有権者はどう最終判断するのか。

【私の論評】なぜ民進は経済・安保で滅びの道を選ぶのか(゚д゚)!

終焉の画家「ズジスワフ・ベクシンスキー」による絵画

民進党の支持が高まらない大きな要因のひとつは、経済政策が定まらない事です。

民主党(現民進党)は、一昨年の総選挙以来、安倍晋三内閣が推進する「アベノミクス」を真正面から批判するスタンスを取り続けていますが、馬鹿の一つ覚えのように、もっぱらアベノミクスの成果を否定するばかりで、自ら建設的な対案を出すことができていません。そんな「経済無策」に国民の多くがそっぽを向いているのです。

各種の世論調査を見るまでもなく、国民の関心事は「経済」です。日々の暮らしやビジネスに直結する足下の景気への対策から、将来の生活を左右する年金・医療・介護などの社会保障政策まで、政治への期待は大きいです。

昨年安全保障関連法を成立させた安倍首相が、間髪いれずに「経済最優先」を繰り返し、軸足を経済に再び戻す姿勢を見せたのが、それを端的に表しています。経済こそが国民の最大の関心事であることを安倍首相は理解しています。

ところが、民主党はアベノミクスをただただ批判する姿勢を変えていません。

民進党(当時民主党)は昨年安倍首相が、「就任以来、雇用を100万人増やした」と言えば、「増えたのは非正規雇用ばかりで格差は広がっている」といった具合に、相手の足を引っ張ることに専念しています。この専念ぶりは、今年も変わらず、批判のための批判を繰り返しています。そうして、格差拡大を強調し、再分配を強化すべきだという社会主義型の経済政策に大きく傾斜しています。

こうした民進党の唱える分配中心の経済政策は、もともと社民党や共産党の主張と重なります。アベノミクスを当初から徹底的に批判してきたのも両党です。法人減税で経済活動を活発化させることで、経済を成長させ、国民の所得を増やし、最終的には税収も増やそうというアベノミクス的発想には、共産党などは強く反対してきました。

内部留保を溜め込む大企業にもっと課税をして、それを原資に弱者に再配分すべきだ、というのが左派政党の典型的な主張です。

ところが、一昨年末の総選挙以降、民進党(当時民主党)は明らかにそうした分配型の政策志向を強めていました。そうなると、経済政策で見る限り、民進党と共産党に「違い」が見えなくなってしまいます。

もともと民主党議員の中には、自民党以上に経済改革志向の強い金子洋一参議院議員のような人たちがいます。たとえば、言うならば、アベノミクスよりもさらに先を行く議員です。しかし、民進党の幹部はこの人たちの主張に耳を傾けることはありません。

金子洋一参議院議員
民主党が政権を奪取できたのは、自民党の既得権を温存する政策を打ち壊し、改革を進めることを標榜したからだったはずです。政権獲得前の民主党政調では、公共事業の削減や公務員制度改革、郵政民営化の促進といった自民党ではできないと思われていた政策を掲げました。

こうした改革的な政策が国民の民主党への支持を呼び起こし、政権奪取へとつながったのです。

しかしながら、結局経済対策が全くうまくいかず、自民党政権の頃と大差がないどころか、金融政策や財政政策をおろそかにしたため、さらに悪化していきました。特に、財政政策においては菅政権のときに、自民党と結託して、増税を自民・公明・民主の三党合意で増税することを決めてしまいました。

元々民主党は、政権交代する前には、民主党が政権にあるうちは、増税はしないことを公約としていました。

ところが政権を取ると、掲げた改革は大きく後退し、増税を決めたり、自民党政権に引き続き、金融政策は疎かにしたため、経済はデフレスパイラのどん底に落ち込みとんでもないことになりました。

そうして自民党に「バラマキ」と批判されることになった再配分強化の政策ばかりが目立つようになりました。労働組合を有力な支持母体に持つという党組織の限界とも言えましたが、結局急速に国民の支持を失うことになりました。

民主党の金子洋一参院議員は昨年の4月にツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。これには、私も全く同感です。

そもそも、デフレなどの不況のときには、大規模な金融緩和をするという政策は、EUなどでは労働組合などの左派が、労働者の雇用を改善する手段として、推進することを望む政策です。実際、金融政策と雇用は、フィリップス曲線として強い相関関係にあることが経験則として知られています。

以下に有効求人倍率の推移のグラフを掲載します。


このグラフをみれば、有効求人倍率が1以上の都道府県の数が過去最高になっていることがわかります。これは、アベノミクスの金融緩和によるもの以外にはその原因を見出すことはできません。

さらに、日本でも当然のことながら、短期的フィリップス曲線は、理論的にも実証的にも成立しています。それは、以下のグラフをご覧いただければ、一目瞭然です。


本来ならば、このような政策野党の民進党などが推進すべき政策です。しかし、今の民進党は、アベノミクス批判ということで、結局金融緩和政策まで否定しています。本来は、金融緩和政策を強力に推進するように主張すべきです。つい先日、日銀が追加金融緩和を見送った際には、猛烈に批判すべきでした。

さらに、増税に関しては当然のことながら反対すべきですが、民主党が政権交代をする前の公約を前面に打ち出し、もともとの党の精神に戻ることを宣言して、8%増税を撤回することを主張すべきでした。そうして、減税して消費税を5%にすることを主張すべきでした。

これは、元維新の党の共同代表であった、江田憲司氏もその著書『財務省のマインドコントロール』で増税する必要性がないことを主張していたので、民進党になってからも、これを主張し、減税論を主張すべきでした。

8%増税など、安倍政権の完璧な大失敗であり、本来ならば、民進党にとって与党攻撃のための良い材料であるにもかかわらず、岡田代表は奇妙なレトリックでこれを不意にしてしまいました。結局岡田代表は、消費税は10%に増税すべきであって、安倍総理は上げられる経済状況をつくることができなかったとして、批判しています。これでは、まるで敵に塩を送るようなものです。


経済政策については、民進党だけではなく、共産も社民党も似たようなものであり、結局頓珍漢で奇妙奇天烈であり、そもそもマクロ経済的には雇用が良ければ、他が駄目でも良しとするとか、他が良くても雇用が駄目であれば、良くないと判断するべきであるという基本的な観念がないのです。これでは英国EU離脱や、中国経済の低迷、新興資源国の低迷、アメリカの利下げなどの問題による経済の悪化などにとても対処できないと国民に判断されてしまいます。

終焉の画家「ズジスワフ・ベクシンスキー」による絵画

次に、日米同盟を強化する安保法制をめぐっては、予想通り極左集団が徴兵制だの戦争だの、法律が目指す方向とは真逆どころか、全く関連のない妄想をふりまいて国民を不安に陥れました。そうして、民主党まで徴兵制になるなどという奇妙な論理を主張していました。

民主党は、元々は社会党や共産党のような極左集団ではない、反自民の受け皿として期待されていたはずです。特に、共産主義イデオロギーとは無縁で、利権に囚われない都市のリベラルな有権者を支持層としていたはずでしたが、政権奪取後に極左勢力が支配的となり、国民の信頼を失なってしまいました。

それでも、民主党には共産党など極左集団とは違う現実主義的な面があると期待していた国民も多数いたと思います。しかし、昨年の安保法制審議の時には、民主党を含めた野党は、まるで明日にでも戦争が始まるかのような扇動を始め、現政権がすぐにでも自衛隊をどこかに送り込もうとしているかのような宣伝を繰り返していました。さらに、今回の参院選では民進党は野党共闘として、共産党と手をを結びました。

民進党は1人区で日本共産党などと野党統一候補を擁立した
安保法案反対派の主張は、包丁を購入した主婦を人殺し扱いするようなものであり、ジムで鍛える男性を強姦魔として邪推するようなものであり、消防車の放水訓練をデモ弾圧の準備と非難するようなものでした。地域の平和と安定のための日米関係の強化が、ある特定の人達には脅威と映ってしまうのでしょうが、真の目的には何も言及せず、ひたすらあり得ない事態の展開の妄想に浸った野党の主張と、マスメディアの報道によって、多くの国民が幻惑されました。

法案を政争の具に利用するのは良くあることですが、昨年の民主党の扇動はあまりに酷すぎでした。左翼的でありながら現実主義的であるというイメージもあった民主党が戦争だ戦争だと囃し立てたので、もともと反日指向のあるメディアとあわせ、国民が極左の妄想に毒される結果になってしまいまいました。

安保法制での自民党のつまづきは、予想されていたとは言え、あれほど酷いものとは思いませんでした。反対派の主張は「戦争法案」なる存在しない法案への妄想に基づく反対であり、少なくとも民主党くらいはある程度理性を働かせて行動するものと思っていましたのですが、そうではありませんでした。

あのすさまじい、騒ぎで昨年は幻惑されていた多くの国民も、あれからしばらくたって冷静さを取り戻したと思います。

そもそも、日本には、元々北朝鮮による拉致問題がまだ解決されていないとか、核開発や最近のミサイルの連発による脅威、尖閣諸島などに対する中国の脅威がありました。それに南シナ海の中国の脅威もあります。

護憲派は、憲法九条があったから、日本は平和を維持してこれたなどと言いますが、拉致問題を考えると日本が平和であったなどとはとても言えるものではありません。


昨年民主党などの野党は、「戦争法案」として安保法案が成立すれば、すぐにも日本が侵略戦争を開始するかのように煽りました。

しかし、現実には、日本が戦争をするなどということはあり得ず、戦争への脅威があるとすれば、中国や北朝鮮の危機です。

そうして、最近の中国軍の尖閣諸島への接続水域への艦艇の侵入や、つい先日もあった、東シナ海での自衛隊機に対する中国機の挑発などがあり、これは当然のことながら、参院選での重大争点となると思います。

そんなときに、民進党は未だに、「戦争法案」「憲法違反」を繰り返すばかりで、具体的な安全保障政策を打ち出そうとしません。そうして、日米安全保障条約の廃棄と自衛隊解消を唱える政党である共産党と野党共闘として1人区で日本共産党などと野党統一候補を擁立しました。

以上、経済と安全保障という2つの大きな政策に関して、何ら対案を出すことなく、ただただ安倍政権を批判するだけの民進党は、今回の参院選で大敗する以外道はありません。

私としては、本当は民進党は野党として十分働いてもらったほうが、自民党も驕り高ぶることなく、良い方向に動いていくと思います。

しかし、今のままの民進党ではとてもそうした役割を期待することはできません。いっそのこと、今回の参院選では上の記事で浅川氏が予想するよりも、酷い大惨敗を喫して、自分たちのやり方は何もかも間違いだったと納得して、新たな方向性を模索したほうが、結果として良いのではないかとさえ思っています。

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2016年1月9日土曜日

【移民ショック】ドイツ女性集団わいせつ、容疑者18人が難民申請者…メルケル首相の寛容策に逆風「駅前の秩序も保てず」―【私の論評】移民・難民問題は対岸の火事ではない、「事なかれ主義」で臭いものに蓋ではもう通用しない(゚д゚)!

【移民ショック】ドイツ女性集団わいせつ、容疑者18人が難民申請者…メルケル首相の寛容策に逆風「駅前の秩序も保てず」

大晦日ドイツで騒ぐ移民ら
 ドイツ西部ケルンで昨年の大みそかに多くの女性が移民系とされる男の集団に襲われる事件が起き、容疑者に難民申請者が含まれていることが8日、判明した。メルケル首相の寛容な難民・移民の受け入れを支持してきた世論を悪化させかねず、政策見直しの圧力が高まる可能性がある。

事件は昨年12月31日夜、ケルン中央駅前に酔って集まった男ら約1千人が騒いだ後、一部が複数のグループをつくり、通りかかった女性を次々と包囲。金品を奪ったり、性的いやがらせを行ったりした。被害届は8日までに約170件に上り、このうち約4分の3が性犯罪だった。

被害者らは、男らの多くが「アラブや北アフリカ系」と証言。連邦警察は8日、窃盗や傷害罪で容疑者31人を特定し、2人が独国籍を持つほかは大半が北アフリカや中東の出身で、このうち18人が難民申請者だったと発表した。

事件への衝撃は大きく、メルケル氏は出自に関係なく厳正な対処を指示した上で、「法秩序を守る気がない者にはシグナルを送る必要がある」と強調した。与党内では難民を含め犯罪を行った外国人の国外退去の強化や保護申請資格の剥奪を検討。ケルンの警察トップも事件への対応が不適切だったとして解任された。

ドイツでは昨年流入した難民・移民が予想の80万人を超える約110万人に上った。移民・難民に批判的な新興政党「ドイツのための選択肢」は、事件が「制御できない流入の結果」と批判。極右などが反移民感情をあおるために事件を利用する恐れもある。

国内では以前の難民歓迎ムードがしぼんできており、世論調査では与党の一部が求める流入制限を回答者の約6割が支持。南ドイツ新聞は「人々は首相が駅前の秩序も保てないことに疑問を抱き始めている」とし、事件でメルケル氏の寛容姿勢への支持が一段と低下することを懸念した。

【私の論評】移民・難民問題は対岸の火事ではない、「事なかれ主義」で臭いものに蓋ではもう通用しない(゚д゚)!

このような騒ぎは、ケルンに限らず、ドイツの他の地方でも起こっていました。このようにケルンのことが報道されたのは、規模が大きかったからに過ぎません。

この騒ぎに関しては、日本のメディアは事実を淡々と報道するだけですが、その背景についてドイツ在住の川口マーン惠美さんが以下のような記事を現代ビジネスに寄稿しています。
ドイツの「集団性犯罪」被害届は100件超!それでもなぜメディアは沈黙し続けたのか?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ドイツのメディアがなぜ、「集団的性犯罪」に関して沈黙を続けたというその内容と背景について以下に引用させていただきます。

まずは、事件の規模ですが、ブログ冒頭の記事にはあまり報道されていませんが、かなりの規模だったようです。その部分を以下に引用します。
大晦日の深夜、ケルンの中央駅周辺で、1000人以上の若い男性が暴徒と化し、大勢で若い女性を囲んでは、性的嫌がらせ、暴行、そして貴重品やスマホの強奪に及んだ。性的嫌がらせに関しては、触るなどという域は越え、スカートや下着を剥ぎ取るなど、常軌を逸した蛮行が多発したという。強姦の被害届も出ている。 
ケルンは人口が約100万人で、ドイツで4番目の大都市だ。中央駅のすぐ横には、有名な大聖堂が聳え立っている。 
6日の時点で被害届は100件を超えた。被害者の女性の証言では、加害者はドイツ語を話さず、アラブ、もしくは北アフリカ出身と思われる容貌の若い男性で、ほとんどが酒に酔った状態だった。しかも、婦人警官までが囲まれ、いたずらされたケースが報じられているところを見ると、暴徒のあまりの数に警察が対応しきれなかった様子が伺える。 
ヨーロッパの大晦日というのは、多くの若者が街に繰り出して、カウントダウンの大騒ぎをし、零時には打ち上げ花火をあげてニューイヤーを祝う。打ち上げ花火は危険なものも多いので、ドイツでは昔から、1年のうち12月の29日、30日、31日の3日間しか販売が許可されていない。ところがこの日のケルンでは、それが駅前広場に集まっていた群衆を狙って打ち込まれ、火傷などの怪我人も出たという。
ブログ冒頭の記事では、いわゆる「わいせつ」容疑ばかりが強調されていますが、その前に暴動に近いような騒ぎがあって、その騒ぎの一環として「わいせつ行為」があったようです。

以下にこのような暴動紛いの騒ぎについて、警察の発表や、報道機関の報道が及び腰であったことについても以下に引用させていただきます。
しかし、私が絶対におかしいと思うのは、なぜ、この事件が、4日の夜になって、初めて全国報道されたのかということだ。ケルンの知人に確認したところ、2日も3日も、地元の新聞にも載らなかったという。そして4日以降、その沈黙の理由に触れた報道も、私の調べた限り一つもない。 
おかしいことはまだある。たとえば第1テレビのオンライン版では、普段ならニュースの末尾に読者のコメントが掲載されるのに、この事件に限って、コメント欄が影も形もない。 
さらに調べてみると、ケルニッシェ・ルントシャウという新聞のオンライン版に、1月1日にすでに事件の詳細が載っていたことがわかった。それによれば、午前1時ごろ、パニックに陥った人々が線路に逃れ、列車の運行が一時停止したという。 
なのに、翌日、警察は、この夜は「広範囲にわたって平安」であったと発表したということが、かなり皮肉っぽく描かれている。 
「警察の出動回数は、傷害(80回)、騒乱(76回)、器物破損(20回)で、その数は去年のレベルと同程度。消防だけが出動回数867回で、去年よりも多かった」 
消防の出動はあちこちで起こった放火によるものだ。 
警察の「事なかれ主義」的発表はかなり不自然だ。案の定、これらが明るみに出て以来、ケルン警察は集中砲火を浴びており、6日には署長の辞職問題にまで発展している。

以下にはケルンの事件は起こるべくして起こったという内容を掲載させていただきます。
5日には、次々と後続の情報が出てきた。ケルンで起こったことは、実はシュトゥットガルトやハンブルクでも起こっていたらしい。 
若い独身男性がこれだけ増えると、セクシャルな問題が起こるという懸念も、すでに以前から指摘されていた。 
犯罪学の学者の間には、現実問題として、性犯罪を警告している人たちがいたのだ。彼らに言わせれば、ケルンの事件は起こるべくして起きたのである。 
ただ、これまでのドイツの報道の流れでは、難民は「絶対善」として扱われていた。だから、今回の事件の犯人が難民では、とても都合が悪い。ドイツのメディアはかなりの左派だ。ちなみに、政治記者の支持政党で一番多いのが緑の党だという。当然のことながら、今では、緑の党とメディアがメルケル首相の難民政策の支援者である。 
つまり、大晦日の暴動事件がすぐに報道されなかったのは、首相府からの報道規制が掛かったからというより、今まで難民受け入れを崇高なこととして扱っていたメディアのシナリオに、それが合致しなかったからではないか
ドイツ西部ケルンのケルン大聖堂前に置かれた、
「女性を殴ってはいけない。たとえ凶器が花
だったとしても」と書かれた紙と花 1月7日

さて、このような出来事は、ドイツだけではありませんでした。その内容を以下に掲載します。
大みそかの性犯罪、スイスやフィンランドでも 難民申請者が計画か 
スイス警察は7日、同国チューリヒ(Zurich)で昨年の大みそかに強盗や性的暴行の被害を受けたとの届け出が複数の女性から寄せられたと発表した。使われた手口は、ドイツで同日に多発した女性暴行事件と「やや似ている」という。また、フィンランドでも大みそかに女性への性的嫌がらせが相次いで発生していたことも明らかになった。 
 スイス警察によると、チューリヒでは女性6人が「浅黒い肌の男数人」に囲まれ、所持品を奪われて痴漢行為や性的暴行を受けたと訴えている。これほどの人数が被害を受けるのは、スイスでは異例という。 
 警察の声明は、大みそかにドイツの複数の市で起きた一連の性犯罪事件に触れている。また、AFPの取材に応じたチューリヒ警察関係者は、ドイツの事件と「やや似ている」と語った。 
 ドイツでは、西部ケルン(Cologne)だけで強盗や性犯罪など120件以上の被害届が出されており、その中にはお祭り騒ぎの群集の中の女性を狙い一斉に犯行に及んだとみられる、2件の性的暴行事件も含まれている。地元警察は目撃者の話として、「アラブ系の外見をした」20~30人の若い男が女性らを取り囲み犯行に及んだ疑いがあると発表している。 
 またフィンランド警察も7日、同国の首都ヘルシンキ(Helsinki)で大みそかに異常に多い件数の性的嫌がらせがあったと発表。事件前に、難民申請者の集団による女性への性的嫌がらせの計画に関する情報が寄せられていたことを明らかにした。 
 ヘルシンキでは、主にイラクからの難民申請者約1000人が集まっていた中央駅で、3件の性的暴行事件が起きたとされる。同市警察幹部はAFPの取材に対し、「容疑者らは難民申請者で、3人が現場で拘束された」と述べた。 
 警察は声明で、「大みそかに先立ち、警察は首都地域の難民申請者らが、ケルンの鉄道駅に集まった男たちが計画していたと伝えられているものと同様の計画を立てているとの情報が、警察に寄せられた」と述べている。 
 ただヘルシンキ警察幹部は、警察は同市の事件とケルンの事件との関連はないとみていると語っている。
さて、計画的かどうかは、まだわかりませんが、結果としてこのような事件が起こってまったことは残念なことです。

こうしたことをきっかけに、EUでも移民受け入れ政策も変更せざるを得なくなるかもしれません。

それにしても、移民・難民問題を対岸の火事のように思っている日本人が多いのには驚かされることがあります。

上の記事のように、ドイツでは、報道機関が、難民のおこした事件に関する報道に及び腰であったように、日本の報道機関も日本の移民・難民問題にはかなり及び腰です。ある意味、ドイツのマスコミよりも酷いかもしれません。

日本には、厳然として難民・移民問題があります。日本の移民・難民とは在日朝鮮人です。最近では、中国人もかなり多くなっています。これを日本のマスコミは、なぜか、難民・移民などとは、報道しません。だから、多くの日本人はこれを難民・移民問題だとは気づきもしないようです。しかし、現在の在日朝鮮人・韓国人のかなりの部分が、難民もしくは移民そうして、その子孫であることは明白な事実です。

これについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝日新聞も伝えた半島出身炭鉱労働者への厚遇 「ものすごい稼ぎ高」「特別の優遇設備はまるで旅館」―【私の論評】歴史的事実が証す、強制連行の虚偽(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本が戦前・戦中などに多数の朝鮮人を日本に強行したというのは、虚妄に過ぎないことを掲載し、その査証として、朝日新聞の記事をとりあげました。その記事に関する部分を以下に掲載します。

"
人の記憶とはあいまいなものですし、それに簡単に捏造されます。実際、韓国人もとんでもない過去の虚偽の歴史を証言している例があまたあります。それよりも、当時の文書とか、写真とか、実際に使われていた遺品であるとか、そちらのほうがはるかに歴史の証言として役立ちます。

朝鮮人、強制労働の虚妄は以下の新聞記事でも、明らかだと思います。

大半、自由意思で居住。外務省、在日朝鮮人で
戦時徴用は245人(1959年7月13日 朝日新聞)
クリックすると拡大します
終戦直後直後、在日朝鮮人の北朝鮮帰還をめぐって韓国側などで「在日朝鮮人の大半は戦時中に日本政府が強制労働をさせるためにつれてきたもので、いまでは不要になったため送還するのだ」との趣旨の中傷を行っていたのに対し、当時外務省は、「在日朝鮮人の引揚に関するいきさつ」について発表しています。

これによれば在日朝鮮人の総数は約61万人ですが、このうち戦時中に徴用労務者として日本に来た者は245人にすぎないとされています。 

主な内容は次の通りです。 
一、戦前(昭和14年に日本内地に住んでいた朝鮮人は約100万人で、終戦直前(昭和20年)には約200万人となった。 
増加した100万人のうち、70万人は自分から進んで内地に職を求めてきた個別渡航者と、その間の出生によるものである。 
残りの30万人は大部分、工鉱業、土木事業の募集に応じてきたもので、戦時中の国民徴用令による徴用労務者はごく少数である。 
また、国民徴用令は日本内地では昭和14年7月に実施されたが、朝鮮への適用はさしひかえ、昭和19年9月に実施されており、朝鮮人徴用労務者が導入されたのは、翌年3月の下関-釜山間の運航が止るまでのわずか7ヶ月間だった。 
一、終戦後、昭和20年8月から翌年3月まで、希望者が政府の配給、個別引揚げで合計140万人が帰還したほか、北朝鮮へは昭和21年3月、連合国の指令に基づく北朝鮮引揚計画で350人が帰還するなど、終戦時までに在日していたもののうち75%が帰還している。 
戦時中に来日した労務者、復員軍人、軍属などは日本内地になじみが薄いため終戦後、残留した者はごく少数である。 
現在、登録されている在日朝鮮人は総計約61万人で、関係各省で来日の事情を調査した結果、 戦時中に徴用労務者としてきた者は245人にすぎず、現在、日本に居住している者は犯罪者を除き、自由意思によって在留したものである。
(1959年7月13日 朝日新聞)
"

この記事によれば、1959年当時の在日朝鮮人の数は61万人にものぼりますが、 戦時中に徴用労務者としてきた者は245人にすぎず、現在、日本に居住している者は犯罪者を除き、自由意思によって在留したものとしています。

であれば、61万人から245人を引いた残りの在日朝鮮人は、何者かということになります。それは、自由意志で日本に来て、住み着いた朝鮮人とその子孫ということになります。

では、この60万にものぼる人たちのうち、多くの人が本当は難民・移民であると考えるべきです。そうではない人もいるかもしれませんが、実際経済やその他の理由(政治的理由なども含む)で、北朝鮮や韓国からやむを得ず脱出して、日本に定住するようになった人がいるはずです。これは、移民・難民と呼ぶのがふさわしいです。

しかし、この朝日新聞の記事もそうですが、なぜか日本の新聞は、昔から在日朝鮮人を難民・移民と呼んだことがありません。それは、新聞だけではなく、政府もそうです。本来なら、政府も在日朝鮮人の統計をとつて、難民・移民などの数を明らかにすべきだったでしょう。

しかし、警察も報道機関も、ドイツのように「事なかれ主義」で、それを明確にしてきませんでした。だからこそ、実際には本当は日本も難民・移民を多数受け入れているにもかかかわらず、それは全く問題視もされてきませんでしたし、多くの国民の関心外の問題でした。

日本に中長期在留する外国籍者のうち、2007年に中国人に逆転されるまで最大勢力だった韓国・朝鮮人。このうち戦前・戦後の混乱期に日本に渡って定住した人とその子孫、いわゆる「在日」と呼ばれる人たちは、かつて60万人を超えましたが、現在は約36万人にまで減っています。

日本の法務省の在日外国人統計調査の内容によれば、2014年12月末の時点で在日華人は64万8980人となり、国別トップとなりました。

在日華人のうち女性は37.71万人、男性は27.19万人。女性の方が男性よりも10万人近く多いです。都道府県別では東京が最も多く、16.44万人が住んでいます。

在日華人の省別データは以下のようなものです。

遼寧省 10.51万人 15.58%
黒龍江省 7.78万人 11.53%
福建省 6.4万人 9.48%
吉林省 5.69万人 8.43%

このデータから推測するに、やはり中心部ではなく、中国でも地方のほうの出身の在日華人が多いようで、これは経済的な理由によるものが多いのではないかと思います。それに、無論のこと、政治的理由もあるものと思います。

やはり、この中には普通の国だと、難民・移民認定をするような人たちも多数含まれているのでしょうが、それは明らかにされていません。

政府としては、難民・移民として発表すると、それなりの手を打たなければならないとか、朝鮮や中国など、日本の生活保護以下の生活をしている人などざらにいますから、下手に難民・移民認定などすると、そういう人たちが大挙して日本に押し寄せる危険もあると判断して、意図的にそうしているのかもしれません。

しかし、現実には、実質的に北朝鮮や、韓国、それに中国からの移民・難民も大勢いるわけですから、いつまでも、ドイツの警察やマスコミのように「事なかれ主義」でいるわけいもいかないと思います。

そうして、実際ドイツでの難民の今回の事件のように、様々な軋轢があるのも事実です。それについても、以前のこのブログに掲載したことがあります。
パリ同時多発テロの根底にある100年の歴史―【私の論評】本当の歴史を知らなければ、今の世界も日本国内の難民・移民問題も見えなくなる(゚д゚)!
同時多発テロがあったレストラン前に集まり、ろうそくに火をともす市民ら
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、移民・難民というと、アフリカや中東などを思い浮かべがちな多くの日本人ですが、日本来る韓国人・中国人の多くも実質移民・難民であり、これが他国で様々な軋轢を生んでいるように、日本国内でも様々な問題や軋轢を生んでいることを掲載しています。

中国、韓国といえば、経済がかなり悪化しています。そうして、これは構造的なものであり、これから長期にわたって、かなり低迷しそうです。そうなると、いわゆる経済難民が中国や韓国から大挙して日本におしかけるという状況も考えられます。

日本にとっても、移民・難民問題はもはや対岸の火事ではないのです。

マスコミもこの問題に「事なかれ主義」で臨むのはもうやめるべきです。そうして、政府も野党も、この問題を真摯に考えるべきです。

今まで、日本は難民・移民をどの程度受け入れてきたのか、これからも受け入れるのか、受け入れるとすれば、どのような対策をするのか、はどうするのかなど、考慮すべき問題は多くあります。

特に、最近増えている中国から移民・難民は、安全保障上の脅威となりえます。なにしろ、中国は2010年より、国家総動員法という法律を施工しています。

この法律は、「中国国内で有事が発生した際に、全国人民代表大会常務委員会の決定の下、動員令が発令される。国防義務の対象者は、18歳から60歳の男性と18歳から55歳の女性で、中国国外に住む中国人も対象となる」というもので、中国国内で有事が発生した場合、当然のことながら、中国籍の在日華人もその対象となります。

また、韓国については、このような物騒な法律はないものの、韓国人は子供の頃から徹底した、組織的・体系的な反日教育を受けています。その韓国人が新たに大量に移民・難民として日本に入ってきたら、とんでもないことになりそうです。

私としては、ドイツなどの事例を見ていると、 安全保障上の観点からなるべく受け入れない方向で、受け入れるにしても、少数で反日分子は絶対に入れないとか、上限をはきり決めるとかすべきものと思います。

上限を決めたら、それを超えた部分は強制送還するとか、水際で止めるとか、その方法も今から考えておくべきです。大量に密入国でもされるようになれば、手遅れです。

いずれにせよ、移民・難民問題はもはや日本にとっても、対岸の火事ではありません。「事なかれ主義」で臭いものに蓋では、どうにもならない状況になりつつあるのは確かです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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