2013年11月5日火曜日

プア充拡大 280円牛丼、100円DVDなど上質なサービスが背景―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!過去20年間デフレだったことを忘れていないかい!デフレが「プア充」「ウチ充」を生み出していることを!本当はいろいろな「リア充」を自由に選べることが社会の安定と幸福につながることを!!

プア充拡大 280円牛丼、100円DVDなど上質なサービスが背景

デフレの象徴 280円牛丼

高収入を求めず、そこそこ働き自分の生活を充実させていく「プア充」という生き方を宗教学者の島田裕巳氏が提言し、注目を集めている。なぜ「プア充」が支持され、広がるのか。背景には戦後から続いてきた社会の仕組みが大きく変化したことがあるという。関西学院大学社会学部准教授で理論社会学を専攻する鈴木謙介氏(1976年生まれ)が解説する。

* * *
日本型雇用と日本人が共有してきた「成長のイメージ」は密接に関係していた。「正社員として入社し、定年を迎えるまで会社に勤めれば豊かになれる」という人生設計の階段(あるいはレール)が見えやすかった。昇進が決まったサラリーマンは「俺も今度は係長になるし、家を買おう!」といった考えを持てた。

ところが、今の雇用環境を見ると、安定した正規雇用の口が少ないだけでなく、仮に正社員の職を得たとしても「出世の階段」の意味が大きく変わってしまった。かつては出世して中間管理職になれば、ある程度は部下に仕事を任せる「マネージャー」業務が主であった。

ところが、近年は出世をしたとしても求められるのは「プレーイング・マネージャー」の役割だ。自らも成果をあげながら部下を管理する役割を求められるようになった。ビジネス環境の変化に加え、不況で採用人数が減らされてきたため、部下に任せるだけでは業務が回らない。

そもそも正社員になれない若者は言うまでもなく、正社員の若者も「出世は忙しさや辛さに直結するもの」ととらえるようになってきた。これまで幸せだとされてきたライフコースが敬遠されるようになったのだ。

デフレの象徴 100円DVD

これだけでは単なる「プア」にも思えるが、さらに要素として加えられるのが「プアでもそこそこ充実した生活が送れるサービス・環境の拡大」という点であろう。デフレが20年も続き、企業は安くてそこそこ質の良い商品を提供する努力を続け、そうしたサービスの質は格段に高くなった。

昼食に280円の牛丼を食べ、100円払えばTSUTAYAでDVDを借りられる。高級ワインは飲めないけれども、2000円もあればスーパーで売っている格安ワインや第3のビールを友人たちと飲んで楽しむことはできる。高級品・サービスとの差異がどんどん感じにくくなってしまった。

デフレの象徴 1000円以下のボジョレー・ヌー・ボー

各種調査を見ていると「これからは心の豊かさに重きをおきたい」と考える国民の割合は、1970年代からおおむね上昇傾向で推移してきた。だが、結局は1990年代頃までの「心の豊かさ」とは、優雅に高級ワインを飲むといった「お金で買うもの」であった。

それが1990年代以降の長いデフレ期間を経て、「お金」と「心の豊かさ」が本格的に切り離されるようになってきた。「プア充」が拡大することの本質はそこにある。

※SAPIO2013年11月号

【私の論評】ちょっと待ってくれ!!過去20年間デフレだったことを忘れていないかい!デフレが「プア充」「ウチ充」を生み出していることを!本当はいろいろな「リア充」を自由に選べることが社会の安定と幸福につながることを!!

少し前までは、SNS等で「リア充」が幅を利かせていたこともありましたが、最近では「プア充」
「ウチ充」などが話題になることが多くなりました。

ここで、いわゆる「充」モノ言葉について整理をしておきます。

1.リア充(ウィキペディアより)

リア充 新歓女子会?
概念自体は2005年頃[要出典]に2ちゃんねるの大学生活板で成立しリアル充実組と呼ばれていたが、2006年初頭に今のリア充の形として使われ始めた[要出典]。その後2007年夏頃[要出典]からブログやtwitterでも流行した[2]。未来検索ブラジルの主催するユーザ投票企画「ネット流行語大賞2007」では21位となった。2011年には女子中高生ケータイ流行語大賞の金賞に選ばれるまでに成長し、ギャル語として確固たる地位を獲得するに至った。 
当初は、インターネット上のコミュニティに入り浸る者が、現実生活が充実していないことを自虐的に表現するための対語的造語だった。当時は友達が1人でもいればリア充とされた。その後、このニュアンスは、従来のネット文化に(触れずにいた事から)染まっていない、携帯電話を介したネットの利用者たちが流入するにつれ、彼らの恋愛や仕事の充実ぶりに対する妬みへと変化していった。 
日経BPの記事では、アンサイクロペディアの「リア充」の項目に列挙されているリア充の条件から、いずれも携帯電話さえ持っていればパソコンを必要としていないことを指摘し、そこから、ネットとは別にリアルの充実に価値を見いだす、ネットとリアルの住み分けが進んでいるのではないか、と分析している。 
メール転送サービス「CLUB BBQ」を提供する株式会社アイシェアは、2009年3月に同サービス利用者を対象に、「リア充」を含むインターネットスラングに関する意識調査を実施・発表した。「リア充」の意味を分かると答えたのは436人中115人の26.4%、また「趣味・仕事・人間関係など、実生活が充実しているのを『リア充』だとすると」という前提で、自分を「リア充」だと思うかとの質問には、「かなり」「どちらかというと」を含めて436人中233人、53.4%が「リア充」であると答えた。「リア充」であると答えた層の方が、そうでない層よりインターネットを使用する時間が短めで、また睡眠時間が長い傾向にある、とアイシェアは分析している。 
プア充も、ウチ充もこの「リア充」から派生してきた言葉ですが、これらも以下にその定義を掲載しておきます。

2.プア充



プア充は、宗教学者の島田裕巳氏が自著『プア充─高収入は、要らない─』で提言し、話題となっている。これに関しては、詳細を知りたい方は、この著書をごらんいただくものとして、以下にアマゾンの書評からその内容紹介など掲載しておきます。
年収300万円だからこそ、豊かで幸せな毎日が過ごせる! 『葬式は、いらない』の著者が物語形式で描く、現代版少欲知足のすすめ。 
「仕事量に合わない、それなりの収入で不安だらけの毎日」と、「高くはないが、安定した収入で希望あふれる未来」あなたはどちらを選ぶ? 
●誰かと年収を比べて勝っていると、なんとなく安心する人
●「お金は、いくらあっても困ることはない」と思っている人 
●恋人はいるけど、貯金がないから結婚できない人 
●ブラック企業で働いている人 
●仕事のストレスで、肉体的・精神的にきつい人 
●ローンを組んで、家や車を買おうとしている人 
●今の日本、今の働き方、今の生き方に疑問を持っている人
――プア充になって、豊かで幸せな生活を送りませんか?
3.ウチ充



ウチ充に関しては、このブログでも紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
イマドキカップルは「ウチ族」「ウチ充」? 定番化しているウチデートの実態―【私の論評】ちょっと待ってくれ、過去20年間デフレだったことを忘れていないかい!デフレは、本来の「ウチ充」の最大の敵であることを!(◎_◎;)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の内容は、「ウチ族」とは家のなかで恋愛や消費を楽しんでいる人たちで、自宅の生活環境を充実させて、豊かにポジティブに過ごしているのが「ウチ充」なんだそうですが、実際に現状の「ウチ充」を検証してみると、テレビやインターネットをして過ごしていることがおおく、これなら別にウチでなければできないことでもないわけで、新たなトレンドというよりは、数年前に言われた巣篭もり消費とあまり変わりないというものです。

上の記事では、「1990年代以降の長いデフレ期間を経て、「お金」と「心の豊かさ」が本格的に切り離されるようになってきた。「プア充」が拡大することの本質はそこにある」と結んでいます。

まさに、その通りであると思います。デフレとは経済の癌とも呼ばれる病です。正常な状態ではありません。正常な状態でないからこそ、他人の「リア充」が妬ましく思われたり、「ウチ族」「ウチ充」が脚光を浴びるのではないでしょうか。

私は、デフレという異常状態を普通と考えて、物事を語ってはいけないと思います。異常な事態には、異常な事象がつきものです。実は、「リア充」を妬むとか、中途半端な「ウチ充」がもてはやされること自体も本当は異常事態なのかもしれないと思っています。

これらは、デフレが終息すれば、雲散霧消する現象なのかもしれないのだと思います。このプア充については、極端な意見を述べる人います。その例として典型的な大前健一氏のプア充についての考えを以下に掲載します。大前健一氏は、金なくとも幸せな「プア充」時代は続かないとしています。
 日本の現状を見ると、バブル崩壊後の「失われた20年」の停滞によって、いくら努力しても昇進・昇給はなく、よしんば昇進したところで忙しくなるだけという状況になった。だから、個人的なライフスタイルとしてプア充を選択する人を否定はできない。 
 すでに日本はこの10年あまりで手取り年収がどの所得階層も約100万円減った。それでもデモや暴動は起きていないのだから、みんな多かれ少なかれ「プア充時代」に納得しているのかもしれない。 
 しかし、多くの人が「プア充でいい」と考える社会は活力を失う。なぜなら、プア充が増えれば、当然のことながら付加価値を生み出す人が少なくなるからである。しかも、プア充は税金をあまり納めてくれない人々なので、社会的には負担となるばかりだ。国家に蓄えがあるうちは彼らもなんとか生きていけるかもしれないが、蓄えがなくなったらプア充だらけの国家は立ち行かなくなるだろう。 
 もし今のレベルの行政サービスを守ろうとして、税を負担できる大企業や富裕層の税率を上げれば、スウェーデンのように海外に逃避してしまうからである。つまり、プア充が幸せに暮らせるのは、ほんの一時期なのだ。 
 したがって、日本の「プア充時代」も長くは続かないだろう。おそらくスウェーデンやデンマーク、イギリスよりも短く、せいぜい数年間で終わると思う。社会を維持するコストを負担するのは勤労者だけなのに、負担する気のない“ぶら下がり”の国民が増えていくという現象が長続きするわけはないのである。 
 では、これから日本はどうなっていくのか。スウェーデンのように大胆な改革ができるのか? はたまたイギリスのサッチャーのように強力なリーダーシップで変わることができるのか?  残念ながら今の日本には、両方とも期待できない。
この大前健一氏の論考には、明らかにいくつかの間違いがあります。特に、日本の経済をマクロで捕らえていないという重大で根本的なミスを犯しています。

大前健一氏

プア充が、もてはやされたり、そのような人々が出てきたのは、日本人が突然「怠け者」になったから出てきたのではなく、過去の日本がデフレであったことが原因です。そうして、鈴木謙介氏が言うことにも間違いがあります。

鈴木謙介氏

そもそも、デフレは異常現象であり、それに普通であれば、このよに長引くデフレはありません。これは本当に異常なことです。鈴木氏も大前健一氏らも、この観点がありません。それにしても、鈴木氏は大前氏と比較すれば、まだ若くて、その意味では生まれてこのかたデフレで、景気の良い時代など経験したことがないのだと思います。

それに、諸外国から比較すると、日本では昔から平等意識が強くて、いわゆるプア充的な商品・サービスは昔からありました。お菓子や食べ物などでは、本当に低価格でおいしいものがありました。着るものにしてしも、とくに1970年代以降は、様々なものがだされており、プア充向きもありました。それよりも、何よりも、日本ではいわゆる富豪という人向けの商品や、サービスが少なく、いわゆる富豪といわれる人たちは外国の商品・やサービスを活用することが多く、日本ではあまりありませんでした。たとえば、オリエント急行のようなものはありませんでしたが、最近ようやっと日本でも、JR九州の「ななつ星」でようやっと日本でも実現されるようになりました。日本では、欧米に比較すると本当に富裕層向けサービスは少ないです。

であれば、これからもずっとデフレであることを前提でものを語ることは、ある意味仕方ないのかもしれません。しかし、大前健一氏は、ご高齢であることから、デフレでない頃の日本も良く知っているはずです。デフレが日本の長い歴史からみれば、異常な状況゛であることを頭でも、ご自分の実体験からも重々承知しておられるはずです。

日本は、経済的に本抜きん出た存在なので、人口が数百万しかないような、スウェーデンのような大胆な改革をする必要はありません。 はたまたイギリスのサッチャーのように強力なリーダーシップで変わらなくても、十分にやっていける余地があります。どちらの道も選ばなくても、余裕をもって十分に独自の路線を歩むことができます。ただし、それには前提条件があります。それは、無論、古今東西に稀な、このデフレを終焉させることです。そうして、これは不可能なことではありません。

大前氏も、鈴木氏も、まずはこの観点からの論評がなければ、バランスを欠いているとしかいいようがありません。現在の日本の社会・経済を考えれば、何をさておいても一番はデフレから脱却を語るべきです。

これが、実現さえすれば、日本はもともと豊かな国ですから、様々な形の「リア充」を個々人が追及できる時代がやってきます。

無論、「ウチ充」、「プア充」もありです。デフレが終息すれば、多くの人が、会社であまり給料が高くなくても、地位が高くなくても、それなりの幸福を見出したいという「ブア充」は無論のこと、現状の「ウチ充」も、さらに自宅を充実させる本来の「ウチ充」、それどころかもともとの意味での「リア充」を比較的自由に選べる時代がやってきます。

多くの人が自分の価値観に応じた「リア充」を追及できる社会をめざすべき


そもそも、「ウチ充」や「プア充」だって、「リア充」の変種だと考えると、多くの人が個々人の価値観を反映した「リア充」を比較的自由に選べる時代になります。

昔は、財産を何も持たず、知識もない人が最初はリヤカーを引いて雑品回収をしていたものが、20年から30年粉骨砕身して、財をなそうと努力して、一大財産を築いたなどという話はいくつもありました。しかし、最近は、そのような話は耐えて久しく聞きません。やはり、デフレであるということが影響しているのだと思います。

多くの人々は、完璧にデフレを前提としてものごとを考えていますが、穏やかなインフレであれば、このブログでも以前紹介したように、たとえば、「プア充」を目指した人が、20年間同じ職場で同じ職種、職位で過ごしたとすればどうなるかといえば、インフレ分を差し引かなければ、給料が2倍、差し引いたとしても1.5倍なるのが普通です。それが、過去20年間デフレであった国と、ソウではなかった国の違いです。

かつての日本はそれが当たり前だったのに、20年前にデフレ基調になり、1998年からは誰もが否定できないような、デフレとなり、そこから今日まで継続しているせいでしょうか、多くの人がゆで蛙のように、なりこの事実を理解できなくなりました。大前健一氏などその典型でしょう。

デフレで、多くの人々が「プア充」や「ウチ充」しか選べない社会と、個々人に応じて、楽に、場合によってはそれなりの努力すれば、様々な「リア充」を選べる社会とどちらが良いかという異なれば、無論後者に決まっています。

これだけ、デフレが続いた日本、そろそろデフレから脱却して、すべての人々が楽に、あるいはそれなりの努力をすれば、個々人に応じた「リア充」を得られる社会を実現すべき時に来ていると思います。こう考えると、来年の4月からの増税は、本当に無意味です。経済対策を実施しようが、何をしようが、デフレからの脱却は増税すれば、遅れます。本当に困ったものです。今後は、何が何でもデフレからの脱却を遅らさないように、15年度の10%増税など何が何でも絶対に見送るべきです。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

【私の論評】

イマドキカップルは「ウチ族」「ウチ充」? 定番化しているウチデートの実態―【私の論評】ちょっと待ってくれ、過去20年間デフレだったことを忘れていないかい!デフレは、本来の「ウチ充」の最大の敵であることを!(◎_◎;)

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奨学金で自己破産 就職難や非正規増影響…―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いた ことを忘れていないかい?デフレは奨学生の最大の敵であり、来年四月のタイミングで増税は、奨学生の最大の敵を放置するってことを!!

従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!

【関連図書】

プア充―高収入は、要らない―
早川書房 (2013-09-30)
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つながり進化論―ネット世代はなぜリア充を求めるのか (中公新書)
小川 克彦
中央公論新社
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〈リア充〉幻想―真実があるということの思い込み
仲正 昌樹
明月堂書店
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2013年11月4日月曜日

天皇陛下への直訴で考える「無知の罪」―【私の論評】責任を担うべき人は無知の罪を常に念頭に置いて、いつも自分を自戒しつつ、畏れをもって事にあたれ!でなければあなた自身が山本太郎になってしまう(゚д゚)!

天皇陛下への直訴で考える「無知の罪」


園遊会で園内をまわられる天皇陛下を呼び止め、
原発事故に係る政治的な手紙を手渡す山本太郎
■“知らずに犯す罪”と“知って犯す罪”
2013110301
山本太郎議員の天皇陛下への直訴(?)問題が、自身の議員資格をも脅かすほどに大きくクローズアップされている。既に多くの識者が述べているように、天皇という存在の無理解から生じた暴挙という認識が一般的なようだ。

もともと政治的な権限を持たないことになっている天皇陛下に直訴するという行為自体、無意味であり馬鹿げている。況してそれが政治家という立場にある公人であれば尚更だ。
世の中には、“知らずに犯す罪”と“知って犯す罪”という2つの罪があるが、今回の山本太郎議員の行動は明らかに前者であり、問題の本質は本人の無知にこそあると思われる。
では、無知であれば何をしても許されるのか? それが今回の本題である。

ここで1つ質問。
「あなたは“知らずに犯す罪”と“知って犯す罪”は、どちらの罪が重いと思いますか?」

おそらく、大抵の人は「知って犯す罪」と言うだろうと思う。しかし、本当のところは「知らずに犯す罪」の方である。
例えば、具体的に「殺人」という犯罪を例に考えてみると、殺人が罪であることを認識できる人間が殺人を犯す場合と、殺人が罪であることを認識していない人間が殺人を犯す場合がある。この場合、どちらの罪が重いと言えるだろうか?

この場合も前者の「罪であることを認識できる人間」と答える人が多いのではないかと思う。しかし、残念ながらそれは間違いである。

■山本太郎議員の“知らずに犯した不敬罪”
罪を意識できる人であれば、殺人を犯すまでに良心の呵責が生じ、自制心が働く場合があり、仮に殺人を犯したとしても、自らの行為を懺悔するという可能性がある。

しかし、罪の意識を感じることができない人が殺人を犯す場合、そこには全く自制心は介在せず、自省心というものも存在しない。そこに有るのは、己の欲望と主観的な目的のためには手段を選ばない無知な人(または狂人)の行動原理だけである。

他人に対して積年の怨みを抱いた怨恨を理由とした殺人行為と、街中で発狂した通り魔による無差別の殺人行為の罪はどちらが重いかを考えてみれば解りやすいかもしれない。怨みという感情が一時的に罪の意識を超えて凶行におよんだ人間と、元から罪の意識を持たない狂人の凶行を比べた場合も、罪が重いのは後者の「罪の意識を持たない」方である。(注:ここで述べている罪の重さとは、法律上での罪の重さのことではない)

法律を理解する能力を持った犯罪者と、法律を理解する能力を持たない犯罪者(または法律を知らない犯罪者)が存在する場合、善良な人々にとっては、法律で縛ることのできない犯罪者こそが脅威であり危険な存在だと言える。なぜなら、そういった人間には、社会を良くするために用意されているルールや常識が全く通用しないからである。

ここで「良心」という言葉が頭に浮かんだ人もいると思う。法律云々以前に、人間は生まれもって、やってはいけないことが解っているという意見も有るかもしれない。まさにその通りで、その良心を見失っている人には人工的に作られた法律で縛るしかない。だからこそ最後の防波堤である法律が通用しない人物は危険なのである。

山本太郎議員を狂人とまで言うつもりはないが、上記の話は今回の“知らずに犯した不敬罪”を考える上で少しは参考になるかもしれない。

たとえ本人に悪気は無く、善意ある行動だと思って為した行為であったとしても、その当事者にはそれが正しい行動であるかどうかを判断することはできない。その判断を可能足らしめるものは、自らが無知であることを知り、自らの行動を第三者の立場で観ることのできる冷静な判断力が要求される。それでも完全とは言えないが、それが最低限の必要条件である。

理性的な判断ができずに感情的な原発批判を行っているという時点で、その資格を自ら放棄しているようなものだが、その自らの姿を客観視できないようでは、到底、その資格を満たしているとは言えない。多くの人々が漠然と感じているであろう反原発論者達のうさん臭さは、実はそういったところ(己を客観視できないところ)にあるのではないかと思う。

■「左翼」というより「無知」だった山本太郎議員
それにしても、今回の山本太郎議員の行動は、彼の思想信条を考える上では非常に興味深い行動だったと言える。元々、反原発派の大部分は左翼(一部のリベラルも含む)というのが一般的な解釈だったと思われるが、彼の場合、今回の行動によって皮肉にも、生粋の左翼ではなかったということが明らかになってしまったと言えるかもしれない。

朝廷の打倒を1つの目的とする左翼が天皇陛下に直訴(?)というのは笑える事態(ブラックジョーク)であり、山本太郎議員を応援していた左翼陣営にとっては決して素直に喜べるニュースではなかっただろうと思う。

「平等概念の対極にある権力(この場合は天皇)というものを全否定する左翼が、権力に縋る」、この矛盾だけは左翼にとっては許せない(放置できない)はずで、だからこそ、右翼だけでなく左翼までもが、今回の山本太郎議員の行動を批判しているのだろう。ゆえに、山本太郎議員を擁護している左翼がいたとすれば、その人物はもはや左翼ではない。では何なのか? 答えは無論、「無知な人々」である。

【私の論評】責任を担うべき人は無知の罪を常に念頭に置いて、いつも自分を自戒しつつ、畏れをもって事にあたれ、でなければあなたが山本太郎になってしまう(゚д゚)!

上の記事、結構重要だと思いましたので、全文掲載させていただきました。山本太郎氏の今回の暴挙自体については、私にとっては、山本太郎氏ならびにそのブレーンの暗愚によるものであり、特に論評に値しないと思っているので、これ自体を特に取り上げるつもりはありません。結論は最初から出ています。


しかし、暗愚な者を政治家など責任ある立場にしてしまう、できてしまう政治システムのあり方については、批判すべきですし、多くの山本太郎氏の報道においてこの種の視点が欠けているようなので、本日掲載することとしました。

上の記事の確信的部分は、“知らずに犯す罪”と“知って犯す罪”は、前者のほうが重いということです。そうして、なぜそうなのかといえば、罪の意識を感じることができない人が殺人を犯す場合、そこには全く自制心は介在せず、自省心というものも存在しない。そこに有るのは、己の欲望と主観的な目的のためには手段を選ばない無知な人(または狂人)の行動原理だけだからというものです。

私は、無知による犯罪が知っていて犯す罪よりも重い場合もあれば、その反対もあり得ると思います。それは、状況に応じて変わります。しかし、山本太郎のケースは、無知による罪のほうが重いケースだと思います。国会議員の立場を考慮すれば、知らないで済ませられる問題では断じてないてず。これが、たとえば、AKB48の女の子(園遊会に出ているかどうかは知りませんが)あたりが、山本太郎のようなことをすれば、愚かであると非難されるでしょうが、山本太郎の件のようには大騒ぎにはならないことでしよう。

ただし確かに、無知=犯罪というケースは探してみればたくさんあります。1999年にバケツリレーをしていて死亡事故が発生しました。JCOの臨界事故です。あまりにお粗末極まりない事故でした。原因は単純なものでした。作業者がなにも知らなかったからです。なにをやっているのか理解してなかったからです。

JOC臨界事故

なぜきちんとした教育をしなかったのでしょうか? あまりに自明と思われたからこそ教育を怠ったのでしょうか。事故のお粗末ぶりに、当事者たちの杜撰さがみえてきます。

紀元前のギリシャではソクラテスが「無知の知」を唱えた。自分がなにを知らないのか知るのがその意味ですが、2000年以たった今もその知恵がいきているとは思えません。無知は罪であると言って過言ではないでしょう。JCOの問題だけでなく、いたるところでそうした無知ゆえの悪意ない犯罪が蔓延しています。今回の山本太郎氏の手紙事件もそうです。

それが自分にのみ被害が降りかかるだけならばよいかもしれないですが、実際はそうではありません。山本氏および、そのブレーンたちの暗愚は天皇直訴は、その象徴にすぎないだけで、実際に政治に悪影響を及ぼすと思います。

発展途上の国では単なる風邪さえもわからずにべつの薬を与えて死なせてしまうケースが後を絶たないといわれています。確かに日本ではそのようなことはないかもしれないですが、炎天下でのパチンコ駐車場で子どもを放置し、死なせる事故が後を絶たないのはどうしたことでしょうか。

責任ある大人というのは、単なる心構えだけでなく、幅広い知識が求められるということをもっと理解すべきでしょう。そうしたコンセンサスが共有されてはじめて、様々な問題解決のスタート地点に立つことができるのではないでしょうか?

それにしても、最近でも無知の罪多いです。日本国内では、たとえば、最近の自民党政権による「増税」は、完璧な無知の知です。どう考えても、不景気ましてや、デフレのときの増税は全くの間違いです。

この増税の背景には、財務官僚による日本政府の財政破綻という考え方があります。日本は今のままだと、財政赤字が積み上がり、財政破綻する。だから、増税する必要があるというものです。

ここでは、本日の本題ではないし、このブログでこれについては過去に何回も述べきたので、詳細は述べませんが、これは明らかな間違いです。


日本政府の本当の借金は、資産・負債差額の459兆円である。
これはGDP比でいって、現在の先国の普通の水準






そうして官僚は、これが間違いだということをはっきりとわかっていて、"知って犯す罪"を犯しました。そうして、この言い分を認めた、政治家は、゛知らずして犯す罪"を犯しています。そうして、上の論評では、官僚と政治家のどちらかが悪いかといえば、それは、政治家が悪いということです。

私は、そう思います。きちんとマクロ経済のことを理解していれば、官僚がいくらもっともらしいことを言って説得したとしても、「知らずに犯す罪」を犯すことはありません。かつて、亀井静香氏は、「財政破綻などフィクションに過ぎぬ、右のポケットも左のポケットも、同じ」という名言を語りました。これに関しては、その当時も、今でもほとんど注目されておらず、ほとんどの人から忘れさられています。私は、亀井氏の考えには賛同できない点もありますが、この点に関しては大賛成ですし、テレビや新聞などのメディアは本来この言葉そのものと、その意味も報道すべきであったと思います。

これは、経済に関してはマクロ的な見方ができる人であれば、誰もが賛同するところです。ある部分は正しく、ある部分は間違いというのではなく、あまりにはっきりしています。亀井氏は、マクロ経済に関する正しい認識をもっていますが、残念ながら、今では影響力の大きい政治家ではなくなってしまいました。今では、財政なども含むマクロ経済を理解していない、政治家が大勢を占めています。

本来、いくら官僚がもっともらしい話で、国益を追求しているようにみせかけながら、省益や官僚の益を追及していることを政治家が見破れなければならないはずです。しかし、そうならないところに、今の日本の政治システムの問題点があります。

度重なるJR北海道の不祥事

他にも例は多々あります。最近の、JR北海道の度重なる不祥事も、無知の罪です。度重なる不祥事に関するJR北海道の社長の会見で、社長は結局「本部が知らなかった」というお粗末な答弁をしました。これは、典型的な無知の罪です。知っていて、犯す過ちよりもこちらのほうが、罪が重いです。無知の罪を自覚しなければ、いつまでも過ちを続けることになります。

最近の中国での、天安門広場車両突入事件に関して、中国政府が出す情報があまりに少なすぎて、世界各国から非難の声があがっています。中国が、新疆ウィグル自治区のウイグル族の迫害を行っていることは明らかです。今回の車両突入事件は、これ抜きに語ることはできないでしょう。

中国天安門広場の車衝突

この事件をひきおこしたウイグル族が、意図してこの犯罪を行ったのかどうかは、定かではありません。しかし、仮にそうであり、悪いことであることは重々承知の上実施したとします。中国政府はこれをテロだとして、一方的に非難しています。しかし、中国政府が、この事件が起こる背景などに関して無知であるとすれば、上の論理でいうと、中国政府のほうが罪が大きいということになります。そうして、私は、おそらくそうだと思います。

中国は、経済的にも社会的にも閉塞状態にあります。この閉塞状態がなぜ起こったかといえば、中国政府がいつまでたっても、社会構造の改革を行なわず、ひたすら経済のみ発展させてきたことに起因します。社会構造改革の中でも、特に、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が異常に遅れています。

このような、旧態依然とした70年前くらいからほとんど変わらない中国の社会構造が根本原因です。これについては、日本は数十年で西欧諸国は数百年かけて、現在に至っています。日本や、西欧にも問題は山積しています。しかし、中国の社会構造は、日本や西欧に比較すれば、どうしようもないほど遅れています。

西欧や、日本は、社会構造の変化を実行し、その結果として経済的な中間層を増やし、これらが、社会経済活動を行うことによって、経済も発展し、社会も繁栄しました。しかし、中国は、社会構造の変革には、ほとんど感心がなく、無頓着です。鄧小平が改革を目指したときのスローガン「富めるものから富め」から一歩も前進しません。

中国の暴動

中国では、毎年8万件以上の暴動がありますが、暴動を起こす民衆は、暴動を起こすこと自体は、悪いことだと理解していると思います。彼らの暴動は、"知って犯す罪"です。

一方、社会の混乱という罪を犯す中国の官僚は、"無知の罪"を犯しているということで、民衆の罪よりも重い罪を犯していることになります。

まだ、例はあります。たとえば、アメリカの債務上限問題です。これに関しては、アメリカのような基軸通貨を持つ国においては、政府の借金が多くなりがちであることは、古くから知られていることです。これに関しては、昨日のブログに掲載してありますので、詳細は説明しません。



ですから、今回の債務上限をあげる措置に関しては、ほとんど何も問題はありません。しかも、この問題は何も今に始まったことではなく、大昔からあることです。そうして、その背景はまともな政治家であれば、知っていて当然です。

しかし、アメリカの政治家の中には、この理屈を知らない人がいます。そうして、こういう人たちのために、政府の活動がストップしてしまったといことです。こういう政治家も"無知の罪"を犯しているわけです。そうして、この無知の罪は、知って犯す罪よりも重いということです。

これに関しては、何も最近アメリカの政治家が無知になったというよりも、ずっと前からそうでした。たとえば、貿易収支、経常収支を考える上で、赤字、黒字という考え方は、家計における赤字、黒字とは全く意味が異なります。しかし、アメリカの無知な政治家は、これを知らず、家計なみにとらえて、黒字は善、赤字は悪という立場に立ち、特にアメリカの貿易赤字を増加させているのは日本であるとして、日本の貿易黒字が減れば、アメリカ経済は良くなるという奇妙奇天烈な論理で、日本を糾弾し、そのあおりで、日本は円高基調に追いやられました。

この傾向は今でも続いています。こんなことをしたからといって、アメリカの経済が良くなるわけではありません。それは、ここ数年のアメリカは日本が円高であるにもかかわらず、景気が落ち込んでいることを見てもあきらかです。これも典型的な無知の罪です。最近ではようやっと、多少ではありますが、この無知の罪が理解されたようです。だから、日本が異次元の包括的金融緩和をしても、これに対してアメリカの無知な政治家が批判するようなことはなくなりました。アメリカの政治家も多少は、勉強したようです。

こうやって、いろいろ見ていくと、「知らずに犯す罪」というのは、結構身近にも多くありそうです。

こうした事例、何も山本太郎やそれを擁護する左翼だけの問題ではありません。社会のあらゆる分野で、このような誤謬が繰り返されている可能性が大です。

「無知の罪」は重いことを多くの人が自覚すべきです。しかし、「無知の罪」は大方の場合、それを犯している人は自分では理解できないという恐ろしさがあります。

結局は、どの分野でも、責任の大小は別にして、責任を担うべき人々は、「無知の罪」を避けるべく、ある程度は勉強しなければつとまらないということです。そうして、責任を担うべき人は、このことを常に念頭に置いて、いつも自分を自戒しつつ、畏れをもって事にあたるべきです。また、こうしたことを防ぐためのシステムも開発すべきです。それしても、どの分野でも前例のない最先端の分野では、「無知の罪」を防ぐシステムなどは構築されていないのが普通です。そうなると、最高責任者は「無知の罪」を避ける努力と、努力だけではくそれ防ぐシステム作りをする責任があります。そうでなければ、誰もが簡単に知らずして山本太郎のような「無知の罪」を犯してしまうことになります。そうなれば、社会は安定しません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月3日日曜日

米中通貨戦争、敗者は中国―【私の論評】中国を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうが大きな役割を果たした!!

米中通貨戦争、敗者は中国

米中通貨戦争の勝者はアメリカ?

米中が通貨戦争で火花を散らしている。人民元切り上げを拒む中国に対して米国がドルの大量増刷で元高誘導を仕掛ける一方、中国は「脱米国化」を唱えて戦後のドル基軸通貨体制を崩そうとの動きを強めている。両国の攻防は先鋭化の一途だが、敗者は中国となるだろう。中国の2008年秋からの異常なまでの公共事業拡大と、米国の量的金融緩和政策(QE)で流入した巨額のドル資金がバブル経済を破裂寸前にまで追い込んでいるからだ。来年から本格化する量的緩和の縮小がその口火を切る可能性が高まっている。

「米国は超大国の地位を乱用して世界を混乱させている。他国の命運をこの偽善国家に委ねる時代を終わらせ、新世界秩序を築くために『脱米国化』を進め、ドルに代わる新たな基軸通貨を設けるべき時だ」

米議会が連邦債務上限引き上げ問題で紛糾していた10月半ば、中国国営通信社、新華社はこんな要旨の英文論評を世界に発信した。

窮地の敵に塩を送った日本の戦国武将とは対照的に、中国は大店のもめ事を利用して米国に取って代わる野心をのぞかせた。

これには「政府が銀行や企業を操り、企業家精神も育たず、独自開発の製品もない中国が世界経済をリードできるわけがない」(米フォーブス誌ネット版)。「3兆6600億ドル(約358兆円)の外貨準備を持つ中国は米国債を買い続けるしかない」(タイム誌ネット版)などと、米メディアの反発も強い。

ホワイトハウスのカーニー大統領報道官は「数百年来、債務を正確に返済してきた米国の信用と原則は揺らがない」とコメントしたが、心穏やかであるわけがない。

だが実は米国がリーマン・ショック後の08年秋から始めたQEがすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのである。

中国政府統計によると、QE開始からこの10月までの5年間に増加した外貨資金は約1兆8千億ドル(約176兆円)にのぼる。米連邦準備制度理事会(FRB)がQE1~2を通じて増刷したドルの約8割に相当する巨資の流入が、中国全土で不動産バブルを膨張させている。

「全国不動産値の総額は国内総生産(GDP)の4倍を超え」(著名経済評論家の牛刀氏)、「日本のバブル時を上回った」との日本側推計もある。

その一方「北京、上海の空室マンションはそれぞれ380万戸、400万戸にのぼり、暴落を恐れる地方政府が土地の供給を絞り、開発業者に高値で落札させることでバブル崩壊を防いでいる」(同)という。

加えて、リーマン・ショック後の経済失速を恐れた胡錦濤前政権の4兆元(約64兆円)景気対策に悪乗りした地方政府の無謀な公共事業が不良債務の山を築き、「総額は20兆元(約320兆円)を超えた」(項懐誠・元財政相)とされる。

さらに鉄鋼、アルミ、造船などの構造不況産業がひしめく企業部門の総債務は「昨年で65兆元(約1040兆円)」(米金融大手モルガン・スタンレー推計)にのぼる。

仮にバブル崩壊が地方財政や国有企業の破綻と相まって、4大国有銀行を直撃する事態になれば国家の重大危機を迎える。

その引き金となりそうなのが、米国の金融緩和縮小から利上げへのプロセスだ。これを機に巨額のドル資金が一斉に本国に還流し始めるのを誰よりも恐れているのは、習近平政権だろう。米国の債務騒動を冷笑している場合ではあるまい。(北京・山本勲)

【私の論評】中国を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうがはるかに大きな役割を果たした!!

上の記事、重要だと思ったので、アーカイブ的な意味あいでも、全文掲載させていただきました。

昨日も、機軸通過の話でしたが、本日もさらにその話を掲載しました。上の記事では米中通貨戦争においては、中国を敗者に追い込んだのが、米国一国のみで日本などは全く念頭にないようですが、結論から言ってしまうと、最近の中国を敗者に追い込んだのは、むしろ日本であり、日本が最大の役割を担ったことは否めないと思います。

確かに、米国がリーマン・ショック後の08年秋から始めたQE(量的緩和)がすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのは事実です。量的緩和によって、中国に巨額のマネーが転がり込んだことは事実です。そうして、これが中国にとって旧体制を温存したまま経済発展を継続することができたということは事実です。

リーマンショック後の日米マネタリーベースの比較

しかし、日本はその前からこれに近いことを実施しています。1987年増税、日銀法の改正により、1988年を境に日本は完璧に国内はデフレ、対外的にはかなりの円高となりました。円高で国内はデフレ、そうして、親中・媚中派の政治家や、マスコミが中国の大躍進をもてはやす中、デフレでなければ、日本国内に向けられたであろう資金が、中国に投資されるようになりました。

固定相場制でしかも、低い元相場と日本の超円高で、国内で生産するよりも、中国で生産して逆輸入したほうが低価格になるという状況になったため、多くの日本製造業などが、中国に進出して日本国内は空洞化しました。そうして、資金や技術が日本から中国に移動しました。

中国を世界第ニの経済大国に押し上げた縁の下の力持ち日銀元総裁白川氏
その後、今年の4月まで、日銀は基本的に金融引き締め策を実施してきたことは、周知の事実です。特に、白川体制では何がなんでも金融引き締めさえやれば、良いというのが実体でした。おかしげな基金を設立して、短期の債権を買い取るなどのことをして、あたかも金融緩和をしているようにみせかけ、実質は金融引きめを続けたというのが真相です。

短期の債権など、もともと現金・預金に近い性格のものであり、結局これを日銀が買い取ったとしても、金融緩和したことにはなりません。しかし、そうまでして、白川は日銀の金融引き締め策を継続し、結局デフレ・円高の守護神となっていました。

日本が統計上誰が見ても否定できないほどのデフレ状況になったのは、1998年からですが、それ以前からデフレ傾向はみられ、デフレ傾向になってからは、20年以上の年月が経過しています。

これが、中国にとっては、アメリカのQEなど金額的にも、期間的に比較しても比較の対象にならないほど資金を日本から調達できたということで、中国の経済発展にかなり寄与しました。

これについては、私はこのブログで、日銀による中国麻薬漬け政策と呼んでいました。その記事のURLを以下に掲載します。
中国は世界で最もストレスの大きい国に―【私の論評】日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策を終わらせ、中国に新社会秩序を打ちたてよ!!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、慢性的な円高に苦しんだ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入していることを掲載しました。金融緩和する前までの日本は、国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていました。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになていました。そうして、無論、日本企業が中国で生産するために、中国に直接投資をしました。

それに日本国内はデフレですから、どの企業も設備投資を控えていたため、新たな動きもなく、もしデフレでなければ、日本国内に投資されていたはずの投資が、海外に流れました。その結果として、日本国の対外金融資産額(要するに日本が外国に貸しつけているお金)は、昨年度末で、260兆円を超え、これは無論世界一の水準です。これは、昨年度末に限らず、過去20年間世界一でした。これらは、米国やEUにも流れていましたが、当然中国にもかなり流れていました。

衝撃的な中国の麻薬中毒の娼婦の写真。現代中国も現実はこれに近いものがあり崩壊間近。
こういう観点から見ると、日本が20年前から始めた日銀による円高・デフレ政策がすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいたということであり、この事実を私は日銀による中国麻薬漬け政策と呼んだことです。

それにもう一つはっきりしているのは、アメリカのQE(金融緩和策)はまだ終焉していませんが、日本ではすでに、日銀人事を通じて、金融引き締めから金融緩和に転じています。日銀黒田総裁が、すでに今年の4月より、異次元の包括的金融政策を開始しています。

黒田バズーカといわれる、異次元の包括的金融緩和を実施した日銀黒田総裁

その結果、わずか2~3ヶ月ほどして、中国の経済は大混乱となりました。日本は、すでに中国をインフレ・バブルの崩壊へと、じりじり追い込んでいるということです。これに対して、アメリカQEの取りやめはまだ、行っていません。

中国敗退の道筋をつけたのは、日本であり、アメリカのQE中止は、すでに日本が道筋をつけた中国敗退のシナリオに最後の追い討ちをかけるだけものです。

日本の円高・デフレ政策は、日本の富を中国に移転したということです。日本では、日本ダメ論などが蔓延していますが、日本が、本質的に経済的に豊な国でなければ、このようなことは起こりえません。これがなければ、中国の経済成長もままならず、中国は2010年の段階で、世界第二の経済大国になったなどと、豪語ばできなかったでしょう。

実際は中国の統計は出鱈目なので、その当時も、現在でも、世界第二の大国にはなっていません。しかし、出鱈目でもあまりかけ離れていれば、世界第二経済大国などとは吹聴できないですが、日本の圧倒的な支援があったがために、彼らは自信を持って世界第二の経済大国になったと世界に向かって公表することができました。その当時は、今は出鱈目でも、あと数年もすれば真実になると心底思っていたことでしょう。

人間も国も健康が一番。中国は、社会構造改革でまともになる必要がある!

このようなことから、米中通貨戦争に米国が勝利したのは、米国によるものではなく、日本のほうがはるかに大きな役割を果たしたということがいえます。

そうして、この結果に導いた日銀元白川総裁は、このようなことは全く意識していませんでした。おそらく、彼の頭では、中国に良かれと思ってしたことなのでしょうが、あまりに長い間続ければ、それが当たり前となり、これがまるで麻薬漬けのような効果を奏し、中国をおごり高ぶらせ、その当たり前の結果がバブル崩壊です。皮肉なものです。

そうして、アメリカ側のQEも、何も中国との通貨戦争勝利のために行ったものではありません。あくまで、国内の景気問題や、雇用問題に対処する目的で行ったものです。QEの継続は、中国などとは全く関係なく、自国の雇用情勢がある水準以上になるまで継続するというものです。

そもそも、通貨戦争など本来あまり成り立ちにくいものです。ある国がどこまでも金融緩和を続ければ、確かに当面の通貨戦争には勝つかもしれませんが、そのまま続けていれば、国内がインフレになってしまいます。それでも続けていれば、ハイパーインフレになってしまいます。そうなれば、金融緩和策はやめざるを得なくなります。こういうことから、通貨戦争をやり続けることは現実には無理です。

かつての日銀による、中国支援策、アメリカによる国内経済対策によるQEが期せずして、中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのです。アメリカのQEのとりやめ、もしくは、日本のデフレからの脱却のいずれかが、中国のバブル大崩壊の最後の駄目押しとなることでしょう。これは、どちらが早くても・遅くてもこれから中国で確実に起こることです。

中国がまともになるためには、海外からの大量の資金をあてにするだけではなく、かつての日本が数十年で、西欧が数百年かけて実施したような社会構造改革が必須です。具体的には、まずは民主化、政治と経済の分離、法治国家化が必要不可欠です。

女性の体も出ているところは出ている引っ込んでいるとこ引っ込んでいなければ美しくはない。国も同じである。
最低限民主化、経済と政治の分離、法治国家化等がある程度実践されていなければ美しい国とはなり得ない。

これを実施し、中間層を育ててこれからの人々が富裕層から比較すると規模は小さいものの、数の多いこれらの層が、経済・社会活動を行うことによって、国を栄えさせるという体制を構築することが必須です。今のままでは、どうにもなりません。どんどん衰えていくだけです。

そもそも、比較的安定した米ドルがあるこの世界で、中国の元が世界の基軸通貨になるなど考えられません。元を取引に用いる国とは、その国の貨幣がよほど信用力のないところしかありません。元基軸通貨構想も、いくつもある中国の妄想の典型的な一つでもあります。妄想は現実ではありません。中国政府はこの事実にはやく気づいていただきたいものです。いつまでも気づかなければ、いずれ必ず中国は分裂します。それは過去の離合、分散の中国の歴史が雄弁に物語っています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月2日土曜日

「オバマ政権は尖閣は日本領と表明せよ」 米紙ウォールストリート・ジャーナルが主張―【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!


かつて鳩山氏をルーピーと評したオバマ大統領だが?
1日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日本と中国の対立を社説で取り上げ、オバマ米大統領に尖閣諸島が日本の領土であると明確に表明するよう求めた。

社説は尖閣への脅威が米国と日本の同盟を強化させているだけでなく、米国とともに日本を「平和の擁護者」とみなすようになった東南アジア諸国と日本の結びつきも強めたと指摘した。

その上で、「事故や判断ミス、銃撃事件が起きる危険性が高まっている」ため、日本が政治的な決意や軍事能力を示すことが重要になっていると論じた。

さらに、米国が第二次世界大戦を経て尖閣を管理下に置き、1970年代に日本に返還したことで「(尖閣の)主権問題は事実上、決着している」とし、「オバマ政権が尖閣は日本のものだと明確に主張すれば、中国は引き下がる可能性がある」と強調した。

【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!

尖閣の位置

尖閣問題に関しては、その原因はいろいろあります。中国人民の中央政府に対する憤怒のマグマは建国以来常に煮えたぎっており、それがいつどこで大噴火を起こしてもおかしくない状況であり、これを防ぐため、人民と中央政府の共通の敵を中国外部に作り出すことが必要であり、その対象となったのが日本であること、その象徴としての尖閣ということです。

尖閣付近で、中国側が示威行為をすれば、それは中国内にも伝わり、人民に「憎き敵」をやつける政府という姿を演出して見せることにより、人民の怒りの刃をそらし、日本に向けてエネルギーを発散させるということにつなげています。だから、中国で暴動が減らない限り尖閣問題は今のままでは、収まりはつきません。しかし、現実には、中国では建国以来毎年2万件の暴動が発生しているといわれていましたが、ここ数年では毎年平均8万件を超えるようになっています。300人未満の暴動まで加えると、件数はうなぎのぼりだといわれています。

記憶に新しい尖閣上陸のバカ真似

この問題を一層複雑にしているのは、今の安倍政権においてはそのようなことはなくなりましたが、安倍政権以前の、民主党政権や、自民党政権のときですら、中国の尖閣に対する暴挙に対して毅然たる態度で臨まなかったことがあります。海上保安庁の船に体当たりした、中国漁船の船長をすぐに返還したことなど、中国を勢いづかせるだけの結果となりました。

そうして、忘れてならないのは、アメリカの煮え切らない態度です。尖閣は、日本の固有の領土であることは、あまりにも明らかな事実なのに、アメリカはこの問題に関して煮え切らない態度をとり続けています。尖閣問題が起こってからこのかた、未だアメリカは尖閣は日本固有の領土であり、日本と中国の間で尖閣の領土問題はないと、はっきりとした公式見解は発表していません。

上の記事のように、WSJが指摘しているように、アメリカが、はっきりとした公式見解を発表すれば、中国が引き下がる可能性は多いにあります。

無論、アメリカがそのような発表をすれば、中国は反発するでしょうが、それでも実質的に尖閣での領空・領海侵犯がかなり減るというようなことにはなる可能性は高いです。

カイロ宣言における中国代表は、国民党軍の蒋介石

そもそも、アメリカ側の立場にたっても、尖閣問題に関しては、戦後体勢を維持するという観点からも、中国の示威行動はやめさせるべぎです。ここで、アメリカが何もしなければ、中国は本来戦後体制の利得者ではないにもかかわらず、結果として戦後体制利得者であることを認めることになります。現在の中国共産党中央政府は、日本とは戦争をしていません。戦ったのは、蒋介石率いる国民党軍です。戦後の国々は、戦後体制によって三つに分類されました。第一国は、米英などの第二次世界大戦での戦勝国、第二国は、日独などの敗戦国、第三国は、そもそも戦争に参加して直接戦わなかった国々です。

現在の中国、韓国、北朝鮮は、あくまで第三国であり、戦後体制の利得者ではありません。そもそも現代中国が独立したのは、戦後のことです。にもかかわらず、もし今後も尖閣について日本の領土であると、アメリカが表明しなければ、アメリカは中国の戦後体制の利得を認めることになります。

それを許せば、中国は他の戦後体制の利得を次々と要求することになるのは必定です。そんなことは、少し考えれば理解できることです。中国は、明らかに戦後体制利得者になる道を模索しています。

アメリカがこのように、煮え切らない態度をとり続けてきたのは、最近の中国の台頭をみて、今後中国国内が世界最大の消費市場になると見込んだ米国内親中・媚中派が、中国側の巧みな誘導にのって戦後体制の次の新しい世界の体制は、米中二極体制であると思い込みこみ、アメリカ国内でも、大きな影響力を発揮しているからです。

要するに、戦後体制に替わる次世代の世界の体制は、アメリカ・中国の二極体制であるとの幻想です。しかし、特にここ20年の中国の経済的躍進の原動力は、日銀の金融引き締め政策による、デフレ・円高政策です。これなしに、中国は経済発展することはできませんでした。

そうして、現実には、昨日も示したように、現体制の中国は経済的にも、社会構造的にも持ちそうもありません。現中国が、本気で社会構造改革に取り組まなければ、分裂は必至です。そうして、これは、中国の過去の歴史が証明しています。

1993年5月、古い体制の復活を求める共産主義者達のデモ。

現在の体制は、今のままだと崩壊します。そうして、中国はいくつかの国々に分裂します。そうして、新たな社会構造秩序が生まれることになります。これはかつてのソビエト崩壊と同じことです。今の体制で、中国が経済だけ伸びて、超大国になるという筋書きは単なる幻想に過ぎません。現体制と新たな体制の分裂中国の指導層とはほんど何も関係のない人々になると考えられます。そこから、さらに超大国を目指すということになれば、100年以上の年月が必要です。

現実的・実務的観点からみれば、当面アジアの秩序は、日本が中心となって形成されていくのは自明の理です。いろいろな紆余曲折はあるかもしれませんが、おそらくそうならざる得ないでしょう。また、上の記事でも指摘している通り、中韓・北朝鮮以外のアジアの国々は、それを望んでいます。宗教などの問題を超えて、はるかに異質な中国に支配されるのは、真っ平御免であり、そんなことになれば、チベットやウィグルのように、中国の省や、自治区にされるおそれもあり、そうなれば中国の暴虐を許してしまいかねず、「平和の擁護者日本」にますます期待を深めています。日本としては、その期待に応えることによって、中国包囲網をさらに実効性のあるものにしていく必要があります。

頭の中のお花畑を歩む日本の三馬鹿大将 鳩山夫妻、菅元首相
しかしながら、 このような現実に向き合えない、頭の中のお花畑を歩む人々も大勢います。それは、日本と同様、アメリカにも多数存在します。かつて、オバマ大統領は、鳩山氏を「ルーピー」と呼びました。しかし、最近のオバマ大統領の煮え切らない態度に、オバマ氏を「三ばか大将」の一人とする論評もあります。その論評を以下に掲載します。
経済】ワシントンの「三ばか大将」:オバマ、ベイナー、ティーパーティー(10/8)
米ダラス地区連銀フィッシャー総裁
 米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は、債務上限引き上げをめぐる議会での攻防は、「わが国にとっての恥だ。ワシントンには『三ばか大将』がいる」と非難した。

「三ばか」とは、地元の支持者だけの意向に沿っているティーパーティー系の共和党議員、彼らを説得できないベイナー下院議長、そして、2006年の上院議員時代に、連邦政府債務上限の引き上げに反対を表明したオバマ米大統領か。 
「アメリカの債務を増やすことは、国内的にも国際的にも我が国を弱体化させます。
指導力とは、責任は私が取る、ということです。 
しかしながら、今日、ワシントンの議会では、私達の子供達、孫達に、重荷を負担させる悪しき選択を行おうとしています。 
アメリカは、債務問題を抱え、指導力の欠如を露呈しています。 
私は、ゆえに、アメリカの連邦政府債務上限の引き上げには、断固反対します。
バラク・オバマ上院議員」
アメリカの連邦政府の債務が増えるのは、ドルが基軸通貨である限り、当然のことです。何しろ、アメリカドル自体は、アメリカ国内だけで遣われるだけではなく、世界中で遣われるわけですから、かなり流通量を多くしなければ需要をまかなうことはできません。だからといって、大量に刷り増しすれば、米ドル自体は、アメリカ国内の通貨でもあり、国内がインフレになる可能性もあります。

お花畑にたたずむ鳩山氏
そうはいっても、ある程度刷り増しをしなければ、海外でも大量にドルが遣われるため国内がデフレになってしまいます。バランスをとるのが難しいです。海外でも遣われるということは、国内でドルの流通がその分少なくなりがちになります、そうすると政府は必然的にアメリカ国債を海外に売って借金をしなければならないことになります。実際、中国や日本が、アメリカ国債を大量に購入して、世界経済を支えています。これは、いわば基軸通貨の宿命でもあります。

しかし、基軸通貨であることをやめれば、アメリカの国益はかなり失われます。やはり、いずれは、世界共通で遣える世界通貨のようなものを考えなければならなくなります。しかし、現在規模や信用問題も含めて、それに耐えられる世界的な機関は存在しません。

連邦政府の債務問題については、何も今年ふって沸いたように起こった問題ではなく、昔から毎年のように論議されてきました。世界の金融システムの安定を考えた場合、当面は現体制を維持し、アメリカ連邦政府の債務上限を引き上げるというのが実践的な対処方法です。債務の状況を見て、場合によっては、ドルを刷り増しするということで当面は、さほど問題はありません。というより、そんなことはまともな人なら誰もが知っている事実であり、こんなことがいまさら問題になるのは、非常に奇異なことです。

これに対処できないオバマ政権、オバマ大統領は、無能力のそしりを受けても仕方ないと思います。アメリカの政界は、連邦政府しかも基軸通貨を発行している国の連邦政府は、基軸通貨を運用しているからこそ、借金が積み上がりやすいということを理解している人が多くはありません。これは、主に、基軸通貨を運用している政府の金融をあたかも、家庭の主婦が家計を考えるのと同次元で考えるためにおこす典型的な誤謬です。そもそも、家計ではお札を刷り増す権限はありませんが連邦銀行(FRB)には、その権限があります。

このような誤りは、アメリカでは前々からありました。貿易収支とか、国際収支をあたかも、家計のように考え、本来善悪、損得とは全く関係ない赤字は悪、黒字は善であるかのように錯覚し、主婦感覚で連邦政府の金融を家計のように考えてしまう愚かな政治家がたくさんいて、おかげて日本がやり玉にあげられて、いつのまにやら、とんでもない円高基調にされてしまったことは、記憶に新しいところです。そんなことをして、国際収支が、真っ黒にたくさんつみ上がったとしても、それだけでアメリカの景気が良くなるわけでも何でもありません。こうしうことを言う人は、リカードの比較優位性論すら理解できないなのだと思います。

国際金融、国単位の金融をあたかも家計と同じように考えてしまう誤謬、これは、米国だけでなく、日本でも顕著です。特に、日本国の財政破たんなどはその典型です。日本は、対外金融純資産(要するに日本が外国に貸しているお金)は昨年度末260兆円を超えています。これは、無論世界最大です。こんな国が財政破たんするはずがありようもありません。

それに破綻すれば、世界の中には、石器時代に戻るような国も多数でてきます。米中もその影響は甚大です。これだけの経済超大国の政府が財政破たんすれば、日本だけが、世界の表舞台からひっそりと消えていくなどということはあり得ません。多数の国々が、道連れになります。こんなことからも、軽々に日本政府の財政破綻など吹聴すべきではありません。特に政治家や、官僚などが、そんなことを吹聴するのは、あまりにも軽く浅はかというより、はっきり言って馬鹿かスパイレベルです。

お花畑には、鳩山ではなく美女がふさわしい

米国は、対外金融負債(要するにアメリカが世界から借りているお金)が300兆超円です。これだけの借金大国は他にもそうはありません。しかし、借金があるからといって、アメリカが財政破たんするわけではありません。なぜ、そのようなことになっているかといえば、ドルが基軸通貨だからです。

海外でドルが大量に遣われていて、国内でドル不足になっていれば、アメリカ政府はアメリカ国債を発行し外国からお金を借りる以外にありません。安易にドルを刷り増せば、インフレの危険があります。国内から吸い上げるような方式をとれば、国内はデフレに落ち込みます。しかし、いくらお金を借りたとて、ある意味家計における、借金とは意味合いが全く違います。いざとなれば、ドルを刷り増しすれば良いだけの話です。

ただし、のべつまくなく刷り増ししていれば、アメリカ国内はいつもインフレの脅威にさらされるわけです。だからこそ、まずは政府の借金の上限をあげて、引き続き海外から借金をして様子を見ながら調整するというのが現在考えられる最も常識的で確実で、安全な方法です。こういうと、話は単純ですが、世界経済を悪化させず、アメリカ国内をインフレ基調にしないためには、絶妙なバランス感覚が必要です。これは、基軸通貨を持つ国の宿命です。それが嫌というのなら、ドルを基軸通貨とすることをやめる以外にありません。

しかし、こんなことを言っても、マクロ経済その中でも特に国際マクロ金融を理解せず、家計発想から一歩も抜け出せない人には、何のことなのか理解できないと思います。しかし、これが、一般人なら許せますが、アメリカでは政治家でそのような人が多いということです。これは、断じて許されるべきことではありません。

オバマはいつまでさんばか大将の一人と呼ばれ続けるのか?
オバマ大統領は、多くの米国の政治家が国際金融を家計並みに考えることの誤謬を続けさせることにより、「三ばか大将」とか、「ルーピー」などと呼ばれることのないようにするためにも、まずは、野党を含む多くの政治家らに、国際金融の常識を身につけさせ、債務上限問題などすぐに解消して、そうして外交問題については何をさておいても、同盟国のうち最大の国である日本の問題を解消するため、まずは「尖閣は日本領」とはっきり表明すべきです。そうしないから、馬鹿な中国が勢いづいて、世界米中二極支配などの妄想を抱くとともに、憎しみの対象を自分たちから逸らすという国内事情も重なり、尖閣への挑発、示威行為をいつまでも続けるのです。こんな馬鹿を許し続ければ、オバマも馬鹿と言われ続けるだけだし、現在の世界におけるアメリカのリーダー的地位も脅かされることになります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月1日金曜日

中国の人権侵害に「赤の巨星が崩れる」と警鐘 年間8万7千件もの暴動 / ハフィントンポスト各国版 本日のスプラッシュ ―【私の論評】鄧小平の改革路線が功を奏する時代はとっくに終わった、社会構造改革をこれ以上ないがしろにすれば後は、崩壊あるのみ!

中国の人権侵害に「赤の巨星が崩れる」と警鐘 年間8万7千件もの暴動 / ハフィントンポスト各国版 本日のスプラッシュ 

天文の世界でも、赤色巨星は崩壊の前兆だといわれている。赤色巨星にはまともな生物は生存できない

ハフィントンポスト各国版10月31日のスプラッシュを紹介します。スプラッシュとは、ハフィントンポストのトップ記事のこと。

ハフィントンポスト・ドイツ版では、天安門広場に自動車が突っ込み5人が死亡した事件を取り上げて、中国政府の圧制による人権侵害に警鐘を鳴らしています。中国では言論統制が非常に厳しく行なわれており、天安門広場という象徴的な場所で起こったこの事件も中国のメディアでは報道されず、Facebookに掲載された現場の写真も掲載直後に削除されたようです。

中国では、毎年8万7千件もの暴動が勃発しており、300人以下の小規模のものも含むとその数はさらに大きくなるだろうと言われています。最近では、ここ数日さらに深刻化している大気汚染問題に反発して、抗議を行なう人も増えています。

インターナショナル・ソサイエティ・フォー・ヒューマン・ライツ(ISHR)の職員は、「2008年の北京オリンピック以来、状況は悪化している」と指摘し、経済成長が進んではいても「近い未来に、システム全体が崩壊するだろう」と、懸念を表明しました。

「赤の巨星」中国は、今後どのような道を歩んで行くのでしょうか。ご意見をお聞かせください。

【私の論評】鄧小平の改革路線が功を奏する時代はとっくに終わった、社会構造改革をこれ以上ないがしろにすれば後は、崩壊あるのみ!

ハフィントン・ポスト日本版紙面

赤の巨星、赤色巨星は、恒星が主系列星を終えたあとの段階です。大気が膨張し、その大きさは地球の公転軌道半径から火星のそれに相当します。肉眼で観察すると赤く見えることから、「赤色」巨星と呼ばれます。

いずれにせよ、赤色巨星も、現代の中国も、通常の段階は終わった後の状況にあるということです。上の記事では、「ご意見お聞かせください」と結ばれていたので、意見を書きました。その内容を以下に掲載します。
これ以上、中国が社会構造改革を怠れば、後は崩壊あるのみです。過去の歴史で繰り返されてきたように、分裂することでしょう。 
とにかく、今の中国、かつてヨーロッパが数百年、日本が数十年でやり遂げた、社会構造改革が全く進んでいません。特に、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が進んでいません。これを実施し、中間層の数を増やし、規模は小さなものの、これらが活発に社会・経済活動を行うようにしないかぎり、中国の今後の発展はあり得ません。 
このままだと、いくつかの国に分裂することは必至です。分裂したあかつきには、世界各国は、社会構造改革に本気で取り組むいずれかの国もしくは、国々とつきあっていくべきでしょう。
さて、上の記事に関して、私がコメントすべきことは、これ以上でもこれ以下でもありません。まったく、この通りです。これは、中国に関してある程度知っている方なら、この部分ではほぽ一致することと思います。後は、それぞれの方々がそれぞれの専門的な立場からいろいろ付加することもあるでしょうが、現代中国に関しては、何をさておいてもまずはやらなければならない、最低限の事柄はこれらです。

日本や、西欧などの社会にもいろいろ問題はあります。解決の難しい問題もあります。しかし、すくなともいわゆる日本を含む先進国といわれる国々は、少なくとも民主化、政治と経済の分離、法治国家化は不十分ながら、ある水準以上は実施しています。そうして、中国はこの水準には全く及びません。ただ、経済だけが、ここ20年ほど目を見張る勢いで拡張してきました。しかし、最近ではそれすらもおぼつかなくなりました。

そうして、おぼつかなくなった大きな原因の一つが、日本が今年の4月から異次元の包括的金融緩和に踏み切ったことです。これにより、デフレは来年4月からの増税で延びることがことが予想されるものの、終焉する過程にありますし、円安傾向にもなっています。

これ以前には、日銀は、中国にとって非常に都合の良い金融政策ばかりとって、中国がかつての西欧諸国や日本のように社会変革をせずとも、経済成長できる余地をつくりだしてしまいました。

これについては、このブログでも以前掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。

中国は世界で最もストレスの大きい国に―【私の論評】日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策を終わらせ、中国に新社会秩序を打ちたてよ!!
中国を支えているのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものだ。からくりはこうだ。  
慢性的な円高に苦しむ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入している。国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっているのだ。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになる。  
これ以上、日本経済が中国に振り回されないで済むにはどうしたらいいか。答えは簡単だ。日銀にデフレ政策をいますぐやめさせることである。
日本国民を塗炭の苦しみ追いやり、中国の社会構造改革をも遅らせた白川
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の時点では、日銀の異次元の包括的金融緩和は、行われいない時期であり、この部分は経済評論家の上念司氏の、論考ですが、この記事では、これに続けて、私の見解である日銀の金融政策=中国麻薬漬け政策という持論を展開しました。その部分を以下に掲載します。
そうして、どこの国でもずいぶん前から終焉し、特に今世紀になってからは、どこの国にも残っていないような中国の古い社会構造がそのまま残ってしまいました。これは、過去においては、中国が、何か社会問題が起こったとしても、国家資本主義体制の推進ばかり優先して、それらをことごとく圧殺してきたからです。そうして、特に今世紀に入ってからは、日銀が円高・デフレ政策によって、中国の経済発展に寄与してからです。

本来まともな資本主義体制には、まともな社会構造が必要不可欠であり、少なくとも他の資本主義体制の先進国では、社会構造を変えてきました。無論では、日本をはじめとする、他の国々の社会が問題がないかといえば、そのようなことはありません。まだまだ、理想的ではなく、理想を追求すべきです。しかし、中国では理想を追求するどころか、多くの高級官僚やエリートですら、このようなことをそもそも理解していません。だから、古い社会構造のままの環境で、サラリーマンが市場に本気に対応しようとしても、そもそも、限界があるのです。だから、ますます、ストレスが高まるのです。 
社会構造そのものを変えないと、まともな資本主義体制は、体裁だけでも整えることすらできません。しかし、これを変えなければ中国の経済の回復はありえません。しかし、中国政府はこれを変えることは、本気では考えてはいないようです。これは、今までも、日銀の支援があったし、これからもあるであろうという希望的観測があるからだと思います。

しかし、このようなことが長続ききするはずはありません。日銀は、はからずも、中国を人間でいえば、麻薬漬けにしてしまったといえるかもしれません。しかし、先に述べたようにこのような麻薬漬け政策をつづけたとしても、日本を、デフレと円高で苦しめるし、中国は麻薬漬け体質からなかなか抜け出しにくくするだけです。日銀の白川総裁も、いい加減、中国麻薬漬け政策など、中国を駄目にしていずれ人民に恨まれるだけであろうことを認識していただきたいものです。 
やはり、日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策をおわらせ、中国に新社会秩序を早期に打ちたてるためにも、日銀のとんでもない金融政策は、一刻もはやく終わらせるべきだと思います。そう思うのは私だけでしようか? 
そうして、この記事(2012/11/04)の後しばらくしてから、実際に日銀は金融緩和に転じて、実際に中国への麻薬漬け政策は終焉したわけです。

過去の中国は分裂と集合を周期的に繰り返してきた
これから、円安だけではなく、日本のデフレ終焉にともない中国の経済はますます苦しくなると思います。

これから、中国が発展していく道筋は、社会構造改革しかありません。そのことに気づかずいつまでも本気で取り組まなければ、過去の歴史の繰り返しで、必ず中国は分裂します。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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