2016年10月30日日曜日

米大統領選 選挙最終盤に衝撃 クリントン氏、捜査再開―【私の論評】実はトランプ氏よりはるかに色物、際物であるクリントン氏落選はまだ五分五分(゚д゚)!


メール問題を巡るFBIの捜査再開を受けて、遊説先で緊急の記者会見を行う
ヒラリー・クリントン氏=米中西部アイオワ州デモインで2016年10月28日
米連邦捜査局(FBI)のコミー長官は28日、民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官(69)が在任時に私用メールアドレスで公務を行っていた問題で、新たな関連メールが見つかったため捜査を再開したと明らかにした。クリントン氏は訴追はないと主張するが、共和党のドナルド・トランプ候補(70)は批判を強化。投開票日を11日後に控えた最終盤で、クリントン氏が優勢だった流れが変わる可能性もある。【ワシントン西田進一郎、ロサンゼルス長野宏美】

「7月の(訴追見送りとの)結論を変えるものではないと確信している」

クリントン氏は28日夜、遊説先の中西部アイオワ州で緊急記者会見を開き、潔白を主張した。「我々の生涯で最も重要な選挙の11日前で、(期日前)投票も既に進行中だ」とも語り、FBIに捜査に関する情報を国民に公表するよう求めて数分間で打ち切った。

クリントン氏にとり、メール問題は信頼性を疑われ支持率が下がる契機になった深刻な問題だ。コミー氏は今年7月、訴追に相当しないと司法省に勧告し、捜査は一度は終結していた。捜査再開に選対責任者のポデスタ氏は「大統領選直前に異常な動きだ」と不快感を示した。

コミー氏の議会宛て書簡によると、再開の理由となったメールは、メール問題とは別件の捜査で見つかった。焦点は機密情報の有無だが現時点では「不明」で、訴追につながるかも分からない。

米メディアによると、別件とは、クリントン氏の側近フーマ・アベディン氏の夫が、未成年者にわいせつなメッセージを送ったなどとするもの。夫婦の共有端末から問題のメールが見つかったという。

大統領選の情勢は9月下旬以降、クリントン氏に少し傾きかけている。各種世論調査の平均支持率では、トランプ氏を5ポイント以上リード。当選に必要な選挙人の獲得見通しでも、複数の主要報道機関が「クリントン氏優勢」を予想する。

劣勢のトランプ氏にとり、捜査再開は久々に得た「攻撃材料」だ。書簡送付が報じられた直後に東部ニューハンプシャー州で演説して捜査の再開を歓迎した。会場では「彼女(クリントン氏)を逮捕しろ」の大合唱の中、「ついに正義が行われる。(ニクソン大統領を辞任に追い込んだ)ウォーターゲート事件より重大だ」などと主張した。

【私の論評】実はトランプ氏よりはるかに色物、際物であるクリントン氏落選はまだ五分五分(゚д゚)!

クリントン氏に関しては、上記のような問題の他に、重大な問題があります。それは、このブログでも以前掲載したように、クリントン財団がチャイナマネーの献金を受けているという事実があることです。

当該記事のリンクを以下に掲載します。
米産業界、トランプ氏へ懸念の声 グーグルも対策議論?―【私の論評】日本にとって自腹で動くトランプが大統領になるより、中華マネーで動くヒラリーのほうがはるかに危険(゚д゚)!
クリントン財団が、中国から献金を受けいたのは公然の事実であり、それはアメリカでは、広く知られている事実です。ただし、クリントン氏はこの事実があっても、居直っているだけです。その主張は、結局献金をもらっていても、自分の政治姿勢には何も変化はないということです。

さて、この記事のクリントン献金問題について暴露した書籍『クリントン・キャッシュ』に関する部分のみを以下に引用します。

クリントン・キャッシュ
著者のピーター・シュバイツァー氏はこれまでにも議員の不正行為などを果敢に暴いてきました。彼が今回、目を向けたのは、クリントン一家が運営している「クリントン財団」をめぐるお金の動きです。 
著者は財団の財務情報や、各国での報道などを調べ上げ、同財団に海外政府や企業などが多額の献金を行ってきた事実を丹念に描き出しています。しかも彼らは、クリントン一家がアメリカ政府を動かし、自分たちに便宜を図ってくれることを期待して、お金を振り込んでいた可能性があるというのです。 
こうしたスキャンダルにまみれたヒラリーは、ついに国民の過半数から「嘘つき」「信用できない」と思われるまでになってしまい、選挙戦でも痛手を被ったのです。こうした裏事情を知らなければ、大統領選の真相は見えてきません。ヒラリーの疑惑に斬り込んだ本書は、まさに大統領選を語る上で必読の書と言えます。 
この書籍で、もう一つの重要な点は、「チャイナ・マネー」です。南シナ海に人工島を建設するなど、中国による周辺国への脅威は日を追って増すばかりです。日本にとっても、同盟国アメリカと連携して、いかに危険な行動を抑止していくべきかが問われています。アメリカ大統領選は、外交政策を担っていくのかという問題でもあります。
『クリントン・キャッシュ』を通じて浮き彫りになってくるのは、「ヒラリー大統領」は日本の安全にとってはマイナスであるという点です。外国からの献金をやすやすと受け取ってしまう一家に、アメリカの外交を任せられるのでしょうか。 
実際に、夫のビル・クリントン氏が大統領だった時代には、米民主党が中国からの多額の献金を受けて問題になったこともあります。この書籍から、「チャイナ・マネー」に弱い米大統領が誕生することの危うさを読み取っていただければ、幸いです。
クリントンの献金問題に関しては、河添恵子先生が解説した以下の動画をご覧いただくと、さらに理解が深まるものと思います。


この動画では、河添恵子先生は、ヒラリー・クリントン候補に関して、かなり多くの「中国マネー」が流れており、ヒラリー候補は「紅いアメリカの政治家の筆頭」と指摘しています。

また、お金が流れるルートとしては現地(アメリカ)の関連するペーパーカンパニーや実業家と称する者から献金があるようです。詳細は、この動画をご覧になって下さい。

この献金の事実は、中国側からも明らかにされています。中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の常務委員会は東北部・遼寧省の代表45人が、金銭などを使って違法に選出されていたとして、資格を無効にする異例の決定を行っています。そのなかに、米大統領選の民主党候補に決まっているヒラリー・クリントン氏が夫のビル・クリントン氏とともに運営するクリントン財団に200万ドルもの巨額の献金をしていた中国人実業家が含まれていることが判明したのです。


この多額の献金がヒラリー氏の大統領選の費用に流用された疑いも取りざたされていたのですが、渦中の中国人実業家が全人代委員の資格を無効にされたことで、汚職に関わっていた疑いが濃厚になりました。

全人代常務委は2013年1月に選出された遼寧省の代表102人のうち45人が金銭やそのほかの賄賂を使っていたとして、その資格を無効にする決定を行ないました。この背景には、汚職や腐敗の摘発を強める習近平指導部の意向があるのは確実です。

その45人のなかでも、遼寧省丹東市に本社を置くゼネコンを主体とする遼寧日林実業グループの王文良会長は腐敗問題で良からぬうわさが飛び交っていました。

王文良氏
王については、ジャーナリストの相馬勝氏が『SAPIO』2016年8月号の連載企画「ラストエンペラー習近平の難局」で、そのうさん臭さをすでに報じていました。

王は日林建設や丹東港の開発を手掛ける丹東港集団、さらに米国などとの穀物輸入や食用油の製造販売、このほか造船会社などを手広く経営。同グループは2013年の中国企業トップ500に選出され、営業利益は246億元(約4000億円)と415位にランクインされています。

王はかつて丹東市政府で働いていたコネクションから、市上層部に食い込みを図りました。そこで知り合った当時の市長だった陳鉄新に言葉巧みに取り入り、食用油の製造工場の建設を持ち掛け許可を得ました。2004年夏には陳を米国の企業関係者らに紹介するために米国に招待するなど密接な関係を構築。陳が工場建設を承諾した謝礼として、3万ドルを渡したとされます。

さらに、王は陳の口利きを受け、当時の遼寧省トップの聞世震・同省党委書記との面識を得て、陳の米国視察のあと、聞も米国に招待し良好な関係を築きました。その後、聞は王に同港の再開発プロジェクトを任せることでゴーサインを出しました。市長と省トップを抱き込んだことで、王は巨利を得ることになりました。米政府が運営する報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、2人に巨額の賄賂が渡ったといいます。

王が米国内で名前を知られることになったのが、いわゆる「マコーリフ事件」です。

「クリント夫妻に最も近い知人」といわれるバージニア州のマコーリフ知事が王から違法な選挙資金の提供を受けた疑いで米連邦調査局(FBI)と米司法省によって調べられていることが分かったからです。

2014年12月8日午前、京畿道庁状況室で行われた「京畿道-バージニア政策
協議会設置合意書」の署名式で、ナム・ギョンピル知事がテリー・マコーリフ
米バージニア州知事と握手をしている。写真はブログ管理人挿入。
しかも、王は知事を介して、クリントン財団にも200万ドル(約2億4000万円)も寄付しており、外国人からの選挙資金の提供禁止という米国の法律に違反している可能性も浮上していました。ただし、これに関しては確たる証拠がないため、起訴はされていませんが、それでもこの疑惑が晴れたわけではありません。

ヒラリー・クリントンに関しては、このようなトンデモ疑惑があり、それこそトランプよりはるかに色物、際物政治家であることがいえると思います。

トランプ氏には少なくとも、ヒラリーのように中国から多額の献金を受けているという事実ありません。上記のメール問題や、献金問題はアメリカでは広く知られており、だかこそクリントン氏は意外なほど苦戦しているのです。

さて、このような事実はアメリカでは広く知られている事実です。そのせいもあるのでしょうか、今月の21日には、トランプ氏の支持率上昇、クリントン氏に4ポイント差まで迫る状況になっていました。これについては、このブログにも掲載しましたので、その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ氏の支持率上昇、クリントン氏に4ポイント差まで迫る―【私の論評】驚天動地の急上昇の背景には何があるのか、日本はどう対処すべきか(゚д゚)!
10月21日、ロイター/イプソスが発表した米大統領選に向けた支持率調査によると、共和党候補の
ドナルド・トランプ氏の支持率が上昇した。写真は同日、ノースカロライナ州で演説するトランプ氏
この記事では、この驚天動地の急上昇の背景には何があるかを解説しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下その背景2つについて簡単に掲載します。
1.ヒラリー候補が大統領になった場合、おそらく現オバマ大統領の政策が継承され、あまり変わりがないことが予想される。
オバマ大統領は最悪の大統領とも評されています。クリントン候補が大統領になった現オバマ大統領の政策がそのまま継承されるようなことは、多くのアメリカ国民は望まないでしょう。
2.アメリカのメディアは非常に偏っていて、そのほとんど9割がリベラル・左派勢力に握られており、保守派は1割に過ぎないという実体があるということです。そのため、日本でも報道されるアメリカは、アメリカのメディアによるものがほとんどで、多くの日本人はアメリカの半分しか知らないというのが実情です。
この状況ですから、どうしてもアメリカはリベラルな民主党のクリントン候補を贔屓目に報道しますし、アクの強いトランプ氏は、それこそ色物、際物的に報道しがちです。

 しかし、どちらがより色物・際物的かといえば、どう考えてもクリントン氏です。日本のマスコミはアメリカのマスコミの論調をそのまま垂れ流すところが多いので、当然日本でも、トランプ氏は色物・際物扱いです。

しかし、そのような見方をしていては、大統領選の趨勢を見誤ります。現状でも、五分五分といえると思います。

本来民主党優勢のハイオ州は、かねてから接戦州となっていましたが、26日段階では、隣のペンシルバニアが民主優勢州から接戦州になりました。トランプのこの驚異的な粘りはどこから出てくるでしょうか。無論多くの有権者はクリントン氏に嫌気がさしているということもあります。

しかし、それだけではなさそうです。不正選挙が行われる可能性をトランプ氏は指摘しています。これが、トランプ氏の奥の手になる可能性もあります。

選挙に負けた場合法的措置をとる可能性を示唆したトランプ氏
トランプ氏は20日、19日の米大統領選の第3回テレビ討論会から一夜明け、 激戦州オハイオ州で集会を開きました。落選した際に選挙結果を受け入れるかどうかは「そのときに考える」と討論会で述べたことについて、 トランプ氏は「もちろん選挙結果が明らかなら受け入れるが、疑わしい結果に備えて異議申し立てや法的措置の権利を留保する」と説明しました。

トランプ氏は「偉大で歴史的な選挙結果を完全に受け入れることを有権者、支持者、全国民に約束したい。もし私が勝てばの話だが」と語りました。
副大統領候補のインディアナ州知事、マイク・ペンス氏(57)も西部ネバダ州の集会で、トランプ氏と同じく法的措置の可能性について言及しました。

トランプ陣営の選対責任者、ケリーアン・コンウェー氏は20日のテレビ番組で「(トランプ氏は)民主主義の原則を尊重する」と釈明に追われた。 ただ「完全に公正な民主主義が機能しているわけではない」と、不正選挙を懸念するトランプ氏の訴えを繰り返しました。 

アメリカでは大統領選挙の不正が行われているのは、前々から周知の事実です。それも、民主党・共和党双方とも不正選挙をしています。その手口は、不法移民などを有権者に仕立てて、投票させるという手口です。

ただし、民主党の方が共和党よりもはるかに大量に不正選挙に手を染めているようです。そうなると、トランプ氏は大統領選に当選すれば、そのようなことはしないでしょうが、もし落選した場合、異議申し立てや法的措置をとることも考えられます。そうして、当然のことながら、トランプ氏側は、不正選挙の証拠となるものを現状でも相当収拾しており、これからも収拾するものと思います。

トランプ氏が、法的手段に訴え、クリントン氏側が負けた場合、選挙のやりなおしということにもなるかもしれません。そうなると、クリントン氏側は圧倒的不利となります。それはわかりきっていることなので、そうなればクリントン氏は再選挙には出馬しないかもしれません。

日本では、まるでもう大統領選挙の趨勢はもう決まりきっていて、トランプは落選、クリントン氏が大統領と決まっているようというな感覚でいる人が多いですが。

それは明らかに間違いです。トランプ氏よりはるかに色物、際物であるクリントン氏が大統領選に落選する可能性は、今でも五分五分とみるべきです。

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2016年10月29日土曜日

消費税率10%引き上げ延期法案 民進が反対決定―【私の論評】自ら地雷を踏みまくり解党するしかなくなった民進党(゚д゚)!

消費税率10%引き上げ延期法案 民進が反対決定

「次の内閣」を開催した民進党
民進党は「次の内閣」を開き、消費税率を10%に引き上げる時期を来年4月から2年半延期するための法案について、アベノミクスの失敗によるものだとして、今後の採決で反対することを決めました。

民進党は28日に「次の内閣」を開き、衆議院で審議が行われている消費税率を10%に引き上げる時期を、来年4月から平成31年10月に2年半延期することなどを盛り込んだ法案への対応を協議しました。

その結果、アベノミクスの失敗により増税を先送りするものであり、税率の引き上げに合わせて導入される食品など一部の品目の税率を8%に据え置く「軽減税率」は、低所得者対策にならないなどとして、今後の採決で反対することを決めました。

一方で、会合ではことし5月、当時の岡田代表のもと、「増税できる経済状況ではない」として、消費税率の引き上げを延期するための法案を提出していることから、「国民から党の方針が一貫していない」などと批判を受けるおそれがあるとして、党執行部に対し反対の理由を丁寧に説明するよう求める意見も出されました。

【私の論評】自ら地雷を踏みまくり解党するしかなくなった民進党(゚д゚)!

消費税率を10%に引き上げる時期を来年4月から2年半延期するための法案について、アベノミクスの失敗によるものだとして、今後の採決で反対することを決めましたとはいったいどういうことなのでしょう。

つまり、民進党の皆さんは「8%への消費税率引上げが経済の回復をぶち壊した」とは思ってはおらず、アベノミクスが悪いのだとして、次の選挙では「私たち民進党は必ず消費税率を10%に引き上げます」と主張するということです。正気の沙汰とは思えません。

そもそも、増税など全く必要ないことは、このブログでも何度も述べてきました。その中の極めつけは、やはりもうすでに財政再建は終了している可能性が高いというものだと思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では財政再建はもう終了しかけていることを掲載しました。以下に一部引用します。
まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。
このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。 
さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。
日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。 
日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、俄にこの事実を信じられない人もいるでしょう。そのような方には、まずはこの記事を読んでいたたくともに、以下の記事も読まれることをおすすめします。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、2014年の政府債務を日銀も加えた連結のBSで計算しました。その結果は、政府純債務GDP比は35%まで減少していたことが示されました。実数としては、160兆円程度です。

国の借金1000兆円などというのは、全くのまやかしであるに過ぎないことがわかります。財政再建が、完璧に終了して、いるであろう2017年の4月には、どうみても消費税増税などする必要性などないわけです。

にもかかわらず、財務省は増税キャンペーンを繰り返すし、民進党はそのキャンペーンにのって、まるで経済対策は、

それにしても、財務省はなぜ増税をしたがるのでしょうか。財務省の権益は、歳出権の拡大です。予算は支出できる権利(=歳出権)の塊です。増税は、予算上、新規国債発行額を一定とすれば、歳出権の拡大に作用します。

簡単に言えば、予算を膨らませ、要求官庁に多くの配れるわけです。要求官庁に大きく予算を配ることができれば、要求官庁の関係団体に財務省から天下ることができ、財務省の組織拡大になるのです。他の省庁とは異なり、財務省だけは、会計担当と称して各省の天下り法人にも天下ることができます。これは予算を握っている財務省だけの特権です。

だから、景気が良くなった、結果として歳入が増えるなどということは、財務省の権益とはならないわけで、あくまで予算を膨らます増税こそが財務省の権益となるのです。そのため、国民生活などどうでも良いので、景気が悪くなっても財務省の権益を増大させるためには、財務省は何が何でも増税したいのです。

民進党の執行部は頭おかしいのでしょうか。これ掲げて次の選挙戦うのでしょうか。野田の一派は自民党にどうしても勝たせたいと思っているのでしょうか。おそらく、衆院解散総選挙の時期は迫っています。もう時間はありません。民進党の党員は現執行部を引き摺り下ろすべきです。

それにしても、この民進党の「次の内閣」は、どのような面々なのでしょうか。以下にその名簿を掲載します。

どれも明らかに人材不足としか言いようがない、内閣です。全体的に酷いのですが、まずは、二重国籍問題が明るみに出て、明らかに議員になった頃から、つい最近まで二重国籍であったことが明るみにでてしまったため、明らかに自らの国籍に関して虚偽に虚偽を重ねてきた蓮舫氏が総理大臣などというのは全く問題外です。

それに、法務大臣に有田芳生はないと思います。これでは、完璧に亡国内閣です。蓮舫氏はこの内閣によって、明らかに日本を極度に弱体化することを目指しているとしか思えません。この内閣が本当に発足した場合、史上最低の内閣になのは目に見えています。

さらに、内閣ではなく、党の幹部の人事も大間違いをしています。特に、野田氏を幹事長にしたのは明らかな間違いです。野田氏は、増税指向であるだけでなく、民主党政権時代に、なし崩し的に原発再稼働を認めた張本人でもあります。これが野党共闘が徹底しない理由にもなっています。

国会でアベノミクスを批判した蓮舫氏だが・・・・
さらに、民進党はアベノミクス批判ということで、とにかく安倍総理の経済政策を全面否定しています。本来のアベノミクスのうち、景気循環対策である財政政策は本来積極財政をすべきだったのが、増税などというデフレから脱却するためには、禁じ手といっても良い政策である増税をしたのは完璧に間違いでした。それを反省して、安倍総理は消費税増税を延期したのです。

アベノミクスのもう一つの景気循環的対策である、金融緩和は雇用が改善され、はっきりと効果が出ています。まずは、高校・大学の新卒の雇用がかなり改善したというか、数十年ぶりの良さです。実質賃金は当初は、想定どおりに低下したため、民進党の面々はその理屈もわらず、「実質賃金がー」と与党を批判していました。

しかし、この「実質賃金」も最近ジワジワと上がり始めています。これも想定通りです。できれば、追加の量的緩和をすれば、この傾向はより顕著なものになります。ただし、本日はその話に触れていると長くなるのでこれは、また別に機会を改めて掲載します。

特に若者の雇用はかなり改善しているので強く実感できるのでしょうが、年金暮らしの高齢者などにはこれを実感できません。そうして、民進党はアベノミクス全部を批判しているので、当然のことながら、金融緩和政策も否定しています。

しかし、これは明らかな間違いです。デフレの時に金融緩和政策をするというのは、日本以外の国では当たり前のことであり、これは労働者の雇用を改善するということで、労働組合などが推進を望む政策です。

これは、当然のことながら、民進党の支持団体「連合」が望む政策です。しかし、民進党は、金融緩和政策を否定しています。

このあたりの状況をみて、自民党の二階俊博幹事長が民進党と、その支持団体「連合」に分断作戦を仕掛けています。

二階氏は、26日夜、東京・新宿の京王プラザホテルの日本料理店「蒼樹庵」で、民進党の支持団体である「連合」の神津里季生会長と会食しました。連合内では、共産党を含む野党共闘に突き進む民進党執行部への不満が高まっています。

新宿の京王プラザホテルの日本料理店「蒼樹庵」
林幹雄幹事長代理と森英介労政局長も同席し、安倍晋三政権が進める「働き方改革」など連合と一致できる政策課題について議論したといいます。この中では、無論のこと金融緩和政策は「連合」の労働者の雇用も改善することについて説明されたものと思います。

連合は新潟知事選や衆院東京10区、福岡6区補選で民進党の対応に反発しており、同党との間にすきま風が吹いています。二階氏の動きは、次期衆院選をにらんで連合と民進党にくさびを打ち、あわよくば味方に引き入れようという思惑があるものと推察できます。

東京10区と福岡6区の両補選では、共産党に候補取り下げを要請し、野党候補が事実上一本化ました。しかし、政策協定を結ばず中途半端に終わりました。そもそも、自衛隊を違憲だと言い切る共産党と政策協定を結ぶのは、民進党にとってあまりにリスクが大きいものです。共産党の主張が「原発即ゼロ」ということも民進党にとっては、本来受け入れられるものではありません。

ところが、現状では野党候補を一本化しないと自民党とは勝負になりません。そこで、表向き共産党とは違うといいながら、裏では手を組むという対応をせざるを得ないのですが、こうした姿は有権者に見透かされています。

私は、民進党のことをことごとく批判をしていますが、本来は健全な野党は与党の政権運営にも必須だと思っています。だから、本当はまともな野党が出てきて欲しいと思っています。

しかし、増税推進を是とし、金融政策を雇用政策として認めず、シャドーキャビネット(次の内閣)の陣容はそもそも蓮舫総理大臣からして決定的な大間違いで、執行部も野田幹事長というとんでもないものであり、何というか自ら地雷を踏みまくっているようです。それも、はっきりとわかる地雷原に踏み入らないようさえすれば良いものを、自らすすんで地雷原に突入したようにしか見えません。

フォークランドの地雷原に生息するペンギン。ペンギンは体が軽いので、たとえ地雷を踏んでも爆発
しない。しかし、人間が踏めば爆発する。地雷原はペンギンの聖地にはなるが、民進党には土台無理。

まずは、民進党は共産党と裏で協力しなくても戦える体力を蓄えなければなりません。そのために必要なのは、上記の地雷を踏んでしまったことを帳消しにする以外には方法はありません。

帳消しにするには、民主党から民進党に名前を変えたようなことでは、無理です。本当に解党すべきです。一度解党して、地雷原に自らはまって自爆した連中は排除した上で、新党をつくるべきです。そのほうが、ずっと良い結果を生むことでしょう。

今のままでは、旧社会党と同じで、消え去る運命です。官邸は蓮舫氏の二重国籍問題について、事実関係を完全に把握した上で故意に緩い対応をとって、泳がせたのです。蓮舫氏の国籍関係の事実を政府が詳細に把握するのは容易なことです。

そこで、あえて早急に蓮舫氏のクビを取るよりも、選挙相手としてくみしやすい状態であるほうが、与党にとって好都合と考えているでしょう。蓮舫氏が代表であるうちに、間違いなく安倍総理は衆院を解散して、総選挙を実施するでしょう。

蓮舫氏が事前に準備して、もっと早く問題を認めて謝罪していれば、ここまで追い詰められることはなかったでしょう。しかし、ここまで傷口が広がれば、手遅れです。これは、次の衆院選ではっきりすることでしょう。次の衆院選ですぐに消え去るということはないでしょうが、その趨勢が明々白々になることでしょう。

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2016年10月28日金曜日

蓮舫氏を東京地検に告発 二重国籍問題で市民団体代表ら―【私の論評】危機管理能力のない個人も政党も存在価値なし!政界から消えたほうが国民のため(゚д゚)!


蓮舫氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 民進党の蓮舫代表の日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」問題で、市民団体「愛国女性のつどい花時計」の岡真樹子代表らが28日、国籍を選択する義務を怠り、参院選で虚偽の事実を公表したとして、国籍法違反と公職選挙法違反の罪で蓮舫氏に対する告発状を東京地検に提出した。

 民進党役員室は「事実関係がわからないのでコメントは控えたい」とした。

 告発状によると、蓮舫氏は17歳だった昭和60年1月に日本国籍を取得。国籍法に基づき、22歳になった平成元年11月28日までに日本国籍か台湾籍のいずれかを選択する義務があったにもかかわらず、今月7日に選択の宣言をするまで義務を怠った。また、16年7月の参院選(東京選挙区)に立候補する際、国籍選択の義務を果たしていないにもかかわらず、選挙公報に「1985年、台湾籍から帰化」と記載して虚偽の事実を公表したとしている。

市民団体「愛国女性のつどい花時計」の岡真樹子代表
 岡氏らは告発状で「本来であればこの事実(蓮舫氏の二重国籍)を知った有権者の投票による当選はなかった可能性が十分あり、当時の選挙管理委員会と有権者を欺いた」と主張している。

【私の論評】危機管理能力のない個人も政党も存在価値なし!政界から消えたほうが国民のため(゚д゚)!

まず今回の二重国籍問題の経緯を以下にまとめます。今まで、様々なことが断片的に言われてきました。そのため、全体像がはっきりしない人も多いと思います。私もその一人です。これを解消するため、以下に経緯をまとめます。
蓮舫氏は台湾人の父と日本人の母から生まれ、当時は旧国籍法だったため父の国籍が優先され、台湾人として生まれた。 
国籍法が改正され母の国籍である日本国籍を取得できるようになったため、18歳の時に日本国籍の取得を行った。 
それと同時に台湾国籍の離脱も行った。しかし父に手続きしてもらったため、本当に国籍離脱できているかはわからない。
このような経緯から蓮舫氏は二重国籍ではないかという疑惑が出てきたわけです。そうして、以下にも掲載するように、上記の発言は虚偽であったことが後にわかります。

国籍法の問題
さてまずこの問題を法的見地から考えます。関連する法律は国籍法14条及び16条です。

第十四条 
外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによってします。

第十六条
選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
今月15日、日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」問題について蓮舫氏は、都内の区役所に提出した台湾籍の離脱証明書が受理されなかったことを明らかにし、戸籍法に基づき「(日本国籍の)選択宣言をした」と都内で記者団の取材に答えています。

蓮舫氏は記者団に「(台湾籍の離脱証明書が)不受理なのでどうすればいいかと相談したら、強く(日本国籍の選択の宣言をするよう行政指導されたので選択宣言をした」と述べました。

蓮舫氏は9月23日に台湾当局から台湾籍の離脱証明書を受け取り、区役所に提出。後に、蓮舫氏は日本国籍の選択宣言を行ったのは10月7日と語っていました。ということは、つい最近まで日本国籍の選択宣言を行っていなかったということです。さらに、日本国籍を選択した時点で外国籍の離脱に努める義務があるのですが、それもつい最近のことです。

結局、台湾籍の離脱したにしても、それを都内の区役所に提出したのは、今年の9月23日であり、しかも台湾籍の離脱証明書は受理されなかったということです。これでは、どう考えても第十四条、第十六条違反です。

第十六条は罰則がない努力規定ですから一般人であれば特に問題とされることもないのでしょうが、国会議員という身分でありながら国籍法に違反している疑いがあるということは、問題です。

公職選挙法の問題
日本国の国会議員になる以上は国籍に関しては、出馬前にあらかじめ確認しておくべきであり、確認の上日本国籍の選択を宣言し、台湾籍を離脱してから、出馬すべきでした。もし、出馬までにこれができないというのなら、出馬すべきではなかったのです。

それをせずつい最近まで、放置してきたというのは蓮舫氏の怠慢です。蓮舫氏は民進党の代表有力候補と言われており、政権を取ることを目標にしているわけですから蓮舫氏が総理大臣になる可能性もあるわけです。

仮に日本と台湾の二重国籍の問題がある人間が総理大臣になった場合、日本と台湾の外交問題が生じた時日本と台湾の間には利益相反であることがもあります。二重国籍の問題のある総理大臣が日本の国益に沿った外交はしない可能性があります。

今のところ、蓮舫氏の二重国籍問題に関する経緯は以上のような内容です。しかし、これも発言が一転、二転しているため、おそらくこれが正しいであろうという類推に過ぎません。

国籍法の問題に関しては、罰則規定などがないので、特に裁判になっても、国籍法に基づき蓮舫氏が罰せられるということはないでしょう。

しかし、国会議員、そうして野党第一党の代表としては、道義的責任は免れないはずです。さらに、野党第一党の代表として、たとえいかなる理由があるとしても、自身の国籍に関して明白な虚偽である内容を述べ、国民を惑わした責任はまぬがれるものではありません。

このあたりについて、マスコミははっきりと報道しません。さらに、自民党側も徹底追求という構えは示していません。このことに、憤りを覚える人もいるかもしれません。

国会の場を「お白洲」として、この問題を公開の場で追求しはっきりさせるべきであると考える人も多いでしょう。

確かに、「お白洲」方式は効果があります。しかし、昨日もこのブログに掲載したように、「お白洲」方式には、それを効果的にするためには、それなりの原則と順番というものです。以下に、昨日の記事のリンクを掲載します。
豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解―【私の論評】お白洲方式を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、豊洲問題の議論過程を公開(お白洲方式)にしたことで、現状の豊洲市場には構造上の問題はないということで、解決しそうであること掲載しました。そうして、このお白洲方式を成功させるためには、原則と順番があることを掲載しました。

以下に、結論部分のみ引用します。
「お白洲」方式を成功させるためには、まずは「何が正しいか、何が間違いか」を議論すること、そうして議論する人の人選を間違えないこと。これが絶対原則です。

この原則を忘れて、都議会が、小池知事が、都の役人が、挙げ句の果てに元石原都知事が正しいとか、間違いかという議論をしていても議論が不毛になるだけです。そんなことよりも、まずは何が正しくて、何が間違いかを議論し、それがはっきりした次の段階で、必要があれば、誰に責任があるかを明確にするべきです。順番を間違えた論議は、不毛です。

今後「お白洲」方式を他の場面でも多く採用していただきたいのは、やまやまですが、この原則を忘れたものは無意味です。
今回の、蓮舫氏の二重国籍問題に関しては、国会や、国会の委員会でガチンコ対決をやらせるという「お白洲方式」も考えられます。

しかし、国会での追求となれば、互いに利害が複雑に絡みあった同士が、ガチンコ対決をするということになり、人選はかなり難しいです。さらに、「何が正しいか、何が間違いか」を議論することも難しいです。なぜなら、特に民進党や自民党も党利党略がどうしても絡んでしまうからです。

このよう状況では、なかなか結論が出ないでしょう、それに結論が出たとしても、結論がどのようなものになっても、なかなか納得しない人も大勢でることでしょう。

であれば、裁判にしたほうが良いです。裁判を「お白洲」にすれば良いのです。法律に照らして、二重国籍問題を明らかにし、蓮舫氏の二重国籍問題の何が間違いかを明らかにすることができます。

たとえ、結論がでなくても、十分な議論をつくすことにより、蓮舫氏の道義的責任ならびに、法律に照らした上での間違いも明らかになることでしょう。これが明らかになれば、政治的決着もつけやすいです。その意味では、今回の告発は有意義なものと思います。

テレビなど、あまり報道しないので、二重国籍問題に関してあまり深刻に考えない人も多いようですが、結論からいうともう、民進党は蓮舫氏の二重国籍で泥船状態です。いつ沈むかわかりません。にもかかわらず、蓮舫氏は、24日にとんでもない発言をしています。
蓮舫代表、小池知事の政治塾「我々の仲間も参加したい」 
 民進党の蓮舫代表は、TBS番組「時事放談」の収録で、東京都の小池知事が 近く立ち上げる政治塾について、「我々の仲間も機会があれば参加したい」と述べました。  
「豊洲の問題をはじめ、これは東京都政なんだという認識を前面に出した小池知事は すばらしい。政治は国政だけじゃない、都政のための都民ファーストの政治塾という考え方は 極めて合理的だし、我々の仲間も勉強させていただける機会があれば参加したいと思う」
(民進党 蓮舫代表)  
 一方、自民党の石破前地方創生担当大臣も小池都知事の動きについて、「新しい政治の流れが 出てきたことは間違いない事実」と評価しました。(24日10:50)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2876110.html
この記事、すでに削除されています。民進党をサポートするTBSとしても、この発言さすがにまずいと判断したのでしょう。 蓮舫氏が語るように小池知事の政治塾に「我々の仲間も参加したい」ということになれば、泥船「民進党」を見限って、他党に鞍替えしたいと考える民進党議員にお墨付きを与えることになります。

そうなれば、小池氏の政治塾に多数民進党議員が参加し、将来の新党に鞍替えするようなことが生じる可能性が大です。

それにしても、蓮舫氏は自分の頭のハエも追えないような状況の中で、この発言とおなじように国会でもあいかわず、舌鋒は鋭いものの空虚は発言を繰り返しています。このような発言をするのですから、余程危機管理能力がないというか、危機管理に関しての関心が希薄なのでしょう。

結局、この危機管理に関する関心の希薄さが、今回の二重国籍問題を招いたのだと思います。

危機管理関する関心が希薄な人間は、本来政治家になるべきではないです。民進党は本来は、蓮舫氏の二重国籍問題が明るみに出た時に、最低限、民進党代表選に出馬させないとか、少なくとも民主党の党籍を剥奪するとか、場合によっては蓮舫氏の議員資格に対して疑義をはさむというようなことをすべきでした。まるで何事もなかったかのように、罰することも何もしなかったのは明らかな間違いです。

今のままだと、次の選挙ではかつてないほどの大敗を喫することでしょう。その後は、かつての社会党のように消え去る運命です。それも、組織としての危機管理能力がないということで致し方ないのかもしれません。

危機管理能力のない個人も政党も、そもそも存在価値はありません。消えたほうが国民のためです。

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2016年10月27日木曜日

豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解―【私の論評】お白洲方式を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!

豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解

豊洲市場の問題は徐々に進展している。構造上の安全性と衛生上の安全性の二つが指摘されていたが、2016年10月25日の都の「市場問題プロジェクトチーム」で、構造上の安全性は問題なしという意見がでた。

この議論の様子は、ネット上(都政改革本部HPの動画)で確認することができる。多少専門的な議論であるが、流れは誰でも把握できるだろう。この会議が面白いのは、構造上の問題があると批判してきた人と、実際の設計担当者がガチンコで議論していることだ。


 小泉政権時の「お白洲」

批判者は、森山高至氏と高野一樹氏だ(会議の座席表もネットで確認できる)。いずれも、テレビ出演やブログで構造上の安全性を批判してきた。

ところが、会議では、実際に設計を担当した日建設計の人にかなりやり込められていた。今後も、専門的な議論を続ける模様だが、構造上の安全性は問題なしという方向で結論が出るのではないか。

この会議を見て、かつての経済財政諮問会議の「お白州」を思い出した。筆者は、小泉政権時、財務官僚であったが、当時内閣府に出向し竹中平蔵大臣直轄の経済財政諮問会議特命室参事官であった。それまでの役所の慣例であれば、そこは経済財政諮問会議の事務局なので、同会議を意のままに操っていただろう。しかし、竹中大臣は違った。

筆者が、いろいろな政策案を竹中大臣に相談すると、答えはいつもおなじで「面白そうだね。今度の経済財政諮問会議で議論しよう」だ。けっして、筆者の意見をその場で採用することはなかった。

そして、経済財政諮問会議が「お白州」になる。「お白州」というのは、竹中大臣自身が言っていた言葉である。経済財政諮問会議は、資料も議論も直ぐ公開される。会議では民間議員、閣僚同士のガチンコ議論が当時は行われていた。筆者の提案したものは民間議員ペーパーになり、閣僚からの反対意見を招いた。ある時、財務大臣と経産大臣が猛烈な反対をしたが、そのロジックは論旨不明だった。そうした閣僚の反対意見を聞いていた小泉総理が、両大臣に対し「役人の言いなりなるな」と机を大きく叩いて、会議を終わりにしてしまった。それは総理が意図したものだが、その場は険悪な雰囲気だった。

 一方的な意見を垂れ流したマスコミは情けない

その後、物騒なペーパーを書いた筆者は怒られるのを覚悟していたが、竹中大臣は論点が明確で結論の方向性が出たと評価してくれた。もちろん、筆者の提案がすべて「お白州」で賛同を得たわけではなく、ボツになったものもあった。

「お白州」では、提案する方もそれを批判する方も、公開の場で対等である。これは裁判みたいなものだ。

豊洲市場の構造上の安全性についても、森山氏と高野氏の批判だけを聞いているともっともに聞こえるが、その反対意見の日建設計の担当者と議論すると、どちらがよりまともかが、素人にもだいたい分かる。

小池都知事は、議論の公開を重視している。少なくとも、都庁内での議論を透明化し、いわゆる御用審議会を「お白州」状態にしたことは評価していい。為政者は、良い意見をとればいいのであって、その意味で公開の場を設定するのは正しい。

森山・高野氏と実際の設計担当者の間で「市場問題プロジェクトチーム」という「お白州」で議論すれば、どちらかが「公開処刑」になるが、小池都知事としてはいい結論を選べる。

それにしても、森山氏らを使い続けて、豊洲市場は構造上の安全性に問題ありとの一方的な意見を垂れ流したマスコミは情けない。

++ 高橋洋一

【私の論評】お白洲を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!

メディア、特にテレビは、豊洲問題の報道の仕方を徹底検証して、反省していただきたいものです。この件では、テレビは豊洲の危険性を煽っていた森山氏らをフル稼働させました。外野だけじゃなく、現実の当事者を参加させないとこうなります。やはり、日建設計の担当者も稼働させるべきでした。

森山高至氏
フジテレビは10月2日放送の「新報道2001」で、築地市場の豊洲移転を取り上げ、豊洲市場加工パッケージ棟の柱が傾いているのではないか、と指摘しました。

根拠としたのは、東京都中央区の渡部恵子区議が提供した1枚の写真。ネット上では、この報道に対し、「柱の傾きはカメラの性質によるもの」だという指摘がありました。

写真を撮る時にレンズを傾けると、周辺が歪んで見える効果があるからです。

VTRでは、提供写真を使った。だが、柱が傾いていると強調するために、写真を回転させ、右側の柱が垂直、左側が大きく左に傾いているように見せているのではないか、との声も出ました。

番組は、プロカメラマンや建築の専門家などの意見を紹介し、豊洲市場やその周辺の地盤沈下の影響による柱の傾きが疑われるとの方向で報じました。「柱の歪みはカメラレンズによるものだ」とする都の職員の話も取り上げましたが、全体としては、柱が傾いていると印象づける内容で、そこに批判が集まりました。

「報道2001」で報道された豊洲市場の柱
結局、この柱の湾曲の件ついて以下の様な事実上の謝罪をしています
今月2日の『新報道2001』で、豊洲市場内の柱の一部が傾いて見える写真があると放送しました。柱が傾いたように見えるのは、カメラのレンズによる可能性があるという点は放送中、VTRやスタジオで説明していますが、東京都は否定しており、番組であらためて事実関係を検証したいと考えております。 
これに限らず、豊洲新市場問題については、かなり白熱した場面が多数見受けられました。日々のテレビ番組の制作に追われている現場からすると、豊洲新市場等のホットな話題について「語れる専門家」を探したとしても、日中のビジネスタイムのテレビ出演できるような「あまりパッとしない専門家」ぐらいしか出演に応じてもらえないことになります。大規模構造物について現役で事実を専門的にまともに語れる人は、事務所等に所属して守秘義務があり日中は働いて番組出演など不可能です。

その結果、検証されない“トンデモ”ない内容が報じられることになり、事情を知らない視聴者は「そういうことなのか、豊洲はけしからん」という認識になったのでしょう。そもそも、ターレー(運搬車)程度の荷重で床が抜けるはずもなく、当然ガセネタや言いがかりのレベルの放送内容になってしまったのですが、これの検証ができないことは本当にテレビ局や制作会社の責任にだけ帰していて良いのでしょうか。

このような問題は、過去に幾度となく繰り返されています。たとえば、STAP細胞騒動などもそうです。結局のところ、すべてが小保方氏の倫理問題にすり替えられ矮小化され、理研や文部省の危機管理の問題や、統治の問題がなおざりにされたままです。

本来は、業界団体なり本当の専門家なり施工・設計の当事者なりがしっかりと声を上げ、訂正報道を求めるなり、問題のある発言をした自称専門家の出演自粛を要請したり、明確な風説の流布には営業妨害で訴訟を起こすといった話さなければならなかったはずです。


私自身は、東京都の資料や他の資料から、豊洲は少なくと築地よりは、はるかに安全であると思っていました。そのため、豊洲の建物を下の盛り土せずに、コンクリート製のピットとしたことについては、安全性には問題はないものの、誰がどのような意思決定をしたのかはっきりせず、この点は問題であるとは思っていました。

そのため、築地から豊洲への移転と、意思決定の問題に関しては切り離し、移転はなるべく速くするようにして、意思決定の問題は徹底追求すべきであると考えていました。

しかし、今から考えてみると、安全に問題があるかもしれないとされるなかで、豊洲移転を当初の予定通りにするなどのことをしていれば、風評被害が深刻な悪影響を及ぼしたかもしれません。

しかし、高橋洋一氏の説明するように、小池知事が"経済財政諮問会議の「お白州」"方式として、豊洲の安全性を誰にでも理解できるようにしたことにより、この風評被害は完璧に防ぐことができたと思います。これによって、豊洲移転は意外は早まるかもしれません。

今後、今回のような専門性を要する事柄に関しては、テレビ等のメディアは白州の場の提供や、提供された白洲の場の報道に徹するべきかもしれません。何しろ、現状のメディアでは、専門性を持った人材があまり存在しないので、結局のところ今回の『新報道2001』のような報道になってしまいがちです。

「お白洲」式であれば、「一方だけの意見を述べる人を出すのではなく、反対意見の人もでせばいいだけです。そうして、できればたかだか数時間の議論ではなく、時間を十分とって議論させるようにするのが良いです。しかし、時間の限られた放送枠ではここが難しいのかもしれません。しかし、そうはいっても、テレビ、メディアは公開ですから「公開処刑」もありうることになります。

無論ここでいう「公開処刑」とは北朝鮮などの本当のそれではなく、動画において特定の人物の恥ずかしい部分がさらされてしまっていたりする、大勢の前で辱めを受ける状態を公開処刑と例えているものです。

このかつての経済財政諮問会議や、「市場問題プロジェクトチーム」など「お白洲」方式は、他の場面でもどんどん採用すべきです。

ただし、「お白洲」方式をするにしても、やり方があります。これに似たようなものとして、かつての民主党政権下で行われた「事業仕分け」があります。しかしこれは「お白洲」に見えて全く「お白洲」ではありません。

そもそも、「事業仕分け」は財務省の書いたシナリオを下に民主党の政治家が役者を演じただけのものです。

そもそも人選が間違えていました。たとえば、あの有名な蓮舫氏によるコンピュータ開発における「一番でなければいけないのですか」という発言が示すように、そもそも技術関連の専門家でもなんでもない政治家と、これまた専門家でもない官僚を対決させるという図式は全くの間違いで、あれは当然のことながら、コンピュータ開発の専門家同士を対決させるべきでした。それもできれば、直接ブロジェクトに関わっていない意見の異なる専門家同士を対決させるべきでした。


そうすれば、そもそも専門家同士の対決で今回の「市場問題ブロジェクトチーム」のように結論がでたかもしれません。

結論がでなくても、双方で議論をつくした上で、最終的には政治的判断をするのであれば、「事業仕分け」も受け入れられたかもしれません。この「お白洲」方式も人選を間違えれば、何も決まらないし、議論がまともにつくされることもありません。

国会でも公聴会などもありますが、公聴人が意見を述べるというだけで、ガチンコ対決をさせるというわけではありません。それに公聴会でも人選が間違っている場合もあります。

改憲議論をする際などは、現在日本で主流の憲法学者のみでなく、「憲法9条は、日本が自国を防衛をするための戦力を保持したり、行使したりすることを禁止しているわけではない」という解釈の京都学派の学者も参加させ、十二分に時間をとったガチンコ対決をさせるような「お白洲」を開催すべきです。

「お白洲」で結論が出れば、それはそれで良しとして、最終結論が出なかった場合には、最終的に政治判断をするということで良いと思います。

このような形で国会でも「お白洲」で調整した上で、政治判断をするという具合にすれば、憲法問題に限らず、経済でも、エネルギー問題でも何度も多くの国民が納得するまともな意思決定となるのではないかと思います。

現状の国会などみていると、まるで野党は「国会とは政府を追求する場である」と心得ているように思えてなりません。もちろん、そういう面を全く否定するとはいいませんが、このような側面だけが強調される現状では、時間と労力ばかりがかかって、まともな意思決定などできるはずはありません。何か意思決定が行われても、すっきりせず多くの国民が「消化不良」になったような感触を受けると思います。

結局、誰が正しくて、誰が間違いであるとか、与党が間違いで、野党が正しいなどという考え方をしていては、まともな論議など永遠にできるはずはありません。

「何が正しいか、何が間違いか」という考え方をすべきなのです。国会の論議は、この原則を忘れているから不毛になるのです。そうして、今回の「市場問題ブロジェクトチーム」がうまくいったのは、「豊洲は安全か、安全でないか」を徹底的に議論したので、うまくいったのです。

「お白洲」方式を成功させるためには、まずは「何が正しいか、何が間違いか」を議論すること、そうして議論する人の人選を間違えないこと。これが絶対原則です。

この原則を忘れて、都議会が、小池知事が、都の役人が、挙げ句の果てに元石原都知事が正しいとか、間違いかという議論をしていても議論が不毛になるだけです。そんなことよりも、まずは何が正しくて、何が間違いかを議論し、それがはっきりした次の段階で、必要があれば、誰に責任があるかを明確にするべきです。順番を間違えた論議は、不毛です。

今後「お白洲」方式を他の場面でも多く採用していただきたいのは、やまやまですが、この原則を忘れたものは無意味です。

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2016年10月26日水曜日

【スクープ最前線】ドゥテルテ比大統領、米国憎悪の真相 CIAによる暗殺計画の噂まで浮上―【私の論評】歴史を振り返えらなければ、米国への暴言の背景を理解できない(゚д゚)!

【スクープ最前線】ドゥテルテ比大統領、米国憎悪の真相 CIAによる暗殺計画の噂まで浮上

握手するドゥテルテ比大統領と、安倍首相
「暴言王」こと、フィリピンのドゥテルテ大統領が25日午後、来日した。26日に安倍晋三首相との首脳会談に臨み、27日に天皇陛下に拝謁する予定だ。ただ、ドゥテルテ氏は先週の中国訪問で、「対中接近」「米国離反」の姿勢をあらわにし、東アジアの平和と安定を危機的状況に追い込んだ。ドゥテルテ氏の過剰な反米感情の背景と、中国とロシアによる狡猾な情報戦とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

「日比首脳会談がどうなるか。南シナ海だけでなく、東アジアの行方が決まりかねない。米国をはじめ、世界各国が注視している」

旧知の米政府関係者はこう語った。その懸念は当然だ。

ドゥテルテ氏は18日から21日まで訪中し、習近平国家主席と20日、首脳会談を行った。同日のビジネス会合での演説では、「軍事的にも経済的にも米国と決別する」と、同盟国である米国が驚愕する宣言を行った。一番喜んだのはもちろん習氏、中国だ。

翌21日、共同声明が発表された。ご存じのように、中国は南シナ海で軍事的覇権を拡大し、世界各国から「無法国家」と批判されている。だが、ドゥテルテ氏は南シナ海問題で大幅に譲歩し、総額240億ドル(約2兆5000億円)相当の経済協力を得る見通しとなった。破格の大盤振る舞いである。

中国外務省の華春螢報道官は同日の定例記者会見で、「南シナ海問題は2国間対話の正しい軌道に戻った」と勝利宣言した。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報も同日の社説で「中国とフィリピンは再び抱擁した」「(日米など諸外国)外部は南シナ海を放棄しろ」とまで書いた。

何たることか! これでは、「ドゥテルテ氏が米国を裏切り、中国の札束攻撃の前に屈した」と思われても仕方ないではないか。

日本の外務省関係者はこう説明する。

「現在、ドゥテルテ氏の真意について、日米両国は情報収集と分析を急いでいる。日米や世界各国はこれまで、中国の南シナ海での暴挙に対して『国際法の順守』と『航行の自由』を求めてきた。だが、当事国のフィリピンが寝返ったとなれば、すべての戦略を見直さなければならない」

実は、とんでもない情報がある。なぜ、ドゥテルテ氏が米国を憎悪するのか。以下、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報だ。

「ドゥテルテ氏は容赦のない『麻薬撲滅運動』を展開しており、麻薬密売人など数千人が殺害されている。オバマ米大統領がこれを『人権問題だ』として非難したことが、関係悪化を深めた。加えて、混乱の中で『ドゥテルテ氏が自分の政敵を殺害した』というデマが流された。発信地は中華街のようだが、ドゥテルテ氏は『米国が流した』と思い込んだ」

「中国は、南シナ海の島々を軍事基地化しながら、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国に、裏ですさまじい圧力をかけた。米国はそれを知りながら、島の近くに駆逐艦を航行させるぐらいしか手を打たなかった。『米国は頼りにならない』『中国についた方が得ではないか』と考える国が増えた」

決定的なのは、ドゥテルテ氏の暗殺計画情報だ。

ドゥテルテ氏は今月7日、地元・ダバオで就任100日目の演説を行った。CIA(米中央情報局)が画策する失脚工作や暗殺計画の噂に触れ、オバマ氏を罵倒して、「やれるならやってみろ!」と挑発した。衝撃情報はこう続く。

「CIAによる暗殺計画の噂は9月に流された。発信地はロシアに近い情報筋とみられている。今年7月にトルコでクーデター未遂が起きたときも、ロシアはいち早く、トルコのエルドアン大統領に暗殺危機を知らせ、同国を『反米親露国』に劇的に変えた。構図はそっくりだ」

フィリピンの事情に詳しい大使経験者がいう。

「ドゥテルテ氏は大の親日家だ。『最初の外国訪問は日本に』と固く決めていた。それを中国にひっくり返された。日本外務省の大失態だ。日本が先なら、こんな事態にはなっていない。だが、『ドゥテルテ氏が中国に寝返った』とみるのは、早計で失礼だ。彼は愛国者で戦略家、そして策士だ。だから、(中国嫌いが多い)国民の90%前後が支持している」

ドゥテルテ氏は22日、ダバオでの記者会見で、記者から外交政策について聞かれ、「米国との決別とは、外交関係を断ち切る断交ではない」「(ただ)外交政策は米国と完全に一致する必要はない」と説明した。

安倍首相との首脳会談について聞かれると、「協議の多くは経済協力についてだ」といいながら、南シナ海問題についても「平和的に話をし、課題を解決して、良い方策を考え出すことで合意できる」と語った。

世界が日比首脳会談を注目している。フィリピンを自由主義陣営に引き留めなければならない。安倍外交の神髄を見せてほしい。

加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】歴史を振り返えらなければ、米国への暴言の背景を理解できない(゚д゚)!

上の記事では、フイリピンの過去の歴史については全く触れられていません。無論、この記事を書いた加賀孝英氏は、それについて熟知していると思います。しかし、この記事の中に歴史まで含めてしまうと、記事が長大になってしまうため、敢えてそうしなかったのでしょう。

現在の日本人の多くは、フイリピンの歴史を知らないのではないでしょうか。そうして、日本マスコミもこれに関してはほとんど報道しません。しかし、これを知ればなぜドゥテルテ大統領がアメリカのオバマ大統領にあのような暴言を吐いたのか、かなりの程度理解できます。

そうして、かつてフイリピンがアメリカ軍を国内から撤退させたのかも理解できると思います。無論この完全撤退は中国の南シナ海への進出を促したという点では失敗であったことにはかわりはありません。おそらく、フイリピンの左翼系が、フイリピンの歴史を利用して、この撤退を促したのだと思います。

しかし、フイリピンの過去の歴史を知れば、なぜこのようなことになったのか、そこにはそれなりの背景があるということに気づくはずです。

以下に、大雑把にフイリピンの歴史を振り返っておきます。関心のある方は、もっと詳しい資料にあたって頂きたいと思います。

■フイリピンの歴史概要■

まだ、フィリピンが大陸と陸続きであった時代、フィリピンにはネグリト族などが住んでいたといわれています。どれくらい昔から住んでいたのかは正確にはわからないのですが2万年くらい前からではないかといわれています。

その後、島々が大陸から離れてからは新石器の技術を持った原始マレー人が住み、紀元前2000年~紀元前1500年頃には水田農耕文化を持った古マレー人が、紀元前500年頃からは新マレー人が移住して定住を始めるようになりました。

14世紀頃になると中国、東南アジア、インド、中東を繋ぐ航路上で海上貿易を行っていたイスラム商人たちが盛んに訪れるようになり、フィリピンにもイスラム教が広まりました。また、スールー諸島からミンダナオ島西部にはスールー王国やマギンダナオ王国といったイスラム教国の王であるスルタンが支配する国家も成立しました。

■スペイン植民地時代

1521年。フィリピンにフェルディナンド・マゼランという人物がスペイン船団を率いてやってきました。彼らは、現地の人々にキリスト教への改宗やスペイン王国への忠誠を要求し部族長を次々に服従させていきました。しかし、イスラムの部族長ラプ・ラプはこれを拒絶。スペインと住民の間で争いが起きました。この争いに勝利したのはラプ・ラプ。スペイン船員らは戦いに敗れてマゼランも戦死してしまいました。

しかし、その後もスペインはフィリピンに向け攻撃を仕掛け続けました。1542年に艦隊で襲撃。しかし、これも失敗。1565年にはミゲル・ロペス・デ・レガスがセブ島を落とすことにやっと成功。1570年には彼の孫がマニラを制圧。翌年、フィリピンはスペイン領であることを宣言するとこの地はスペインの副王領であるメキシコ政府の統治下に入ることになりました。

17世紀に入ると政治的にスペインと対立していたオランダの攻撃や華人の反乱が起き、1762年にはフィリピンとの間で密輸を続けてたイギリス東インド会社によりマニラが占領されました。このイギリスによるマニラ占領は2年間でイギリスは撤退したのですが、当時勢力を拡大していたイギリスは1809年にマニラに商館を建設。ところが、イギリスが清の攻略に乗り出していたこともありフィリピンを領有することはありませんでした。

スペインは、1821年にメキシコ独立戦争に敗北。副王領が廃止されるとフィリピンはスペイン本国の直接統治下に置かれることになりました。

1565年からフィリピンはスペインの植民地となっていたのですが、それは1898年まで続きました。1898年の米西戦争(アメリカとスペインがキューバを舞台に戦争)が始まるまで続きました。

アメリカ海軍の巡洋艦「U.S.S.ローリー」現在はペンシルベニア州フィラデルフィアのインディペンデンス・シーポート・ミュージアムで、現存する唯一の米西戦争を経験した艦として公開されている。
■アメリカ植民地時代

当時は、フィリピン国内にて独立を目指し運動を起こす人が大勢いました。アメリカはそこに目をつけ、フィリピンに独立の支援を約束し、見返りに戦争に協力をしてくれるように要請しました。フィリピンの革命家たちは軍を組織してフィリピンに駐留しているスペイン軍と戦い勝利。1898年6月12日にフィリピンは独立を宣言し国歌と国旗を定めました。

これで長かったスペインからの支配に終止符を打ったと、思いきや、フィリピンはアメリカに見事裏切られてしまいました。

アメリカはスペインとの間で2千万ドルを支払うことでフィリピンを譲り受けることになったのです。これに怒ったフィリピン側はアメリカとの戦争を決意しました。アメリカが初代総督として派遣したのは、あの有名なダグラス・マッカサーの父、アーサー・マッカーサーでした。

この戦いでは、フイリピン人の犠牲者が多く発生しました。たとえば、1901年9月28日、サマール島でバランギガの虐殺が発生。小さな村でパトロール中の米軍二個小隊が待ち伏せされ、半数の38人が殺されました。アーサー・マッカーサーは報復にサマール島とレイテ島の島民の皆殺しを命じました。少なくとも10万人は殺されたと推定されています。

マッカーサーはアギナルド軍兵士の出身者が多いマニラ南部のバタンガスの掃討を命じ、家も畑も家畜も焼き払い、餓死する者多数と報告されました。アメリカ軍は、フィリピン軍を次々に撃破すると1901年にフィリピンの英雄アギナルドを捕らえアメリカに忠誠を誓わせ休戦となりました。
アーサー・マッカサー(左)とダグラス・マッカーサー(右)
1915年にはスペインからの統治からはまぬがれていた南部のイスラム・スルタン国家にもアメリカは支配の手を伸ばしました。フィリピン諸島を完全に支配下に取り込んだのでした。

しかし、その後フィリピンを統制する上でアメリカは柔軟な政策も見せるようになりました。将来的にはフイリピンを独立させることを約束したのです。

1916年には、フイリピンをフィリピン人が統治するアメリカの自治区にするという、フィリピン自治法が制定されました。フィリピン人の閣僚なども登用されました。この頃には公教育で英語が教えられ1934年にはフィリピン独立法が可決され、ついに1946年までにフイリピンを独立させることがアメリカによって約束されました。

1935年には現地生まれのマニュエル・ケソンが大統領に就任しました。

■日本によるマニラ制圧

しかし、フィリピンの苦難は続きます。太平洋戦争の勃発です。1942年に日本軍はマニラを制圧。すると日本はフィリピンの人々の心を掴むために1943年ホセ・ラウレルを大統領とするフィリピン第二共和国の独立を認めました。

マニュエル・ケソン氏は日本がマニラを制圧したときにアメリカに亡命していました。そして、日本は日本よりのホセ・ラウレル氏を大統領に据えたのです。


大東亜会議に出席したホセ・ラウレル大統領(右から二人目)(1943年東京)
しかし、この政権は長く続きませんでした。ラウレルと日本はフイリピンをめぐる政策で仲違いしたことと、ラウレル自身も、民衆の支持を広く得ることはできなかったのです。さらに、ラウレル政権は戦前からの地主支配の継続を認めたためにフィリピン親日勢力の離反を招き、ラウレル政権側も日本との協力を拒否する姿勢をとったため、日本は1944年12月にベニグノ・ラモスとアルテミオ・リカルテをはじめとするフィリピン独立運動家達によって設立されたフィリピン愛国連盟(マカピリ)を新たな協力者としました。

1945年には、マニラの戦いが行われました。これは、第二次世界大戦末期の1945年2月3日から同年3月3日までフィリピンの首都のマニラで行われた日本軍と連合軍の市街戦のことを指します。日本軍は敗れ、三年間に及んだ日本のフィリピン支配は幕を閉じました。

このマニラの戦いでは、市民70万人が残っており、10万人もの死者をだしたとされています。市民の犠牲者について、単に市街戦の巻き添えになっただけでなく日本軍によって抗日ゲリラと疑われた市民が虐殺されたとされています。山下大将は市民虐殺についての責任を問われてマニラ軍事裁判で裁かれ、絞首刑となりました。ただし、大岡昇平氏の『レイテ戦記(下)』20版 中央公論新社〈中公文庫〉、1999年、309頁によれば、「米軍の行ったマニラ破壊を日本軍に転嫁するため」との見方をしています。
マニラの戦いで崩壊した市内
1945年には日本が太平洋戦争に敗戦。日本がフィリピンから撤退すると1946年に選挙が行われマニュエル・ロハスが大統領となりフィリピンは共和国(第三共和国)として独立を果たすことになりました。
■マルコス大統領の登場

1965年に大統領に就任したのがフィルディナンド・マルコス大統領。イメルダ夫人も有名です。高級ブランドの靴を3000足も持っていたといわれています。

マルコス大統領は、当初失業率の減少などに貢献したのですが、やがて独裁政権を打ちたて国家資産を横領したりしました。1983年には、アメリカに亡命していたベニグノ・アキノ上院議員が民主化推進の為、帰国を決意。しかし、彼は到着し飛行機を降りた途端に射殺されてしまいました。

この様子はテレビでも報道されたのですが、本当に飛行機を降りた直後でした。飛行機を降りるときにタラップが渡されますが、この階段を降りきったか、もしくは階段を下りている途中に射殺されてしまいました。この様子は世界中に報道されマルコス政権に大打撃を与えました。


ベニグノ・アキノ氏


その後、1986年の選挙では、暗殺されたアキノ上院議員の妻であったコラソン・アキノが出馬。彼女が勝利したように思えたのですが、なぜか発表ではマルコスの圧勝しました。しかし民衆は猛反発し、やがてマルコスはハワイへ亡命せざるをえなくなります。

その後、コラソン・アキノ氏が大統領に就任。フィリピンを民主化へと導いていくことになりました。

以上フイリピンの歴史をざっと振り返りました。この歴史を振り返れば、ドゥテルテ氏がオバマ大統領に対して悪態をつくというのもわかるような気がします。

私の知人であるフィリピン人は、「フィリピンの不幸は、日本じゃなくて、アメリカの植民地になった事だ」と語っていました。ことわっておきますが、彼は決してドゥテルテ氏のようなタイプではなく、大学院を卒業し英語も流暢な知的なタイプです。

彼の考えを以下に簡単にまとめます。
マッカーサーは搾取しか考えていなかった。しかし日本に比較的長い間統治されたインドネシアやマレーシアは、あのように発展している。韓国や台湾などは、日本が本格的なインフラ整備と産業拠点を置いたために、今や先進国の仲間入りをしたような状況である。

18世紀に、フィリピンよりも劣等国だった韓国が、日本のインフラと教育で、あれだけ発展できた。今やインドネシアやマレーシアは、既に先進国に見える。タイはまがりなりにも、日本に独立を認められ日本の統治はなかった。だからそれ以下の発展しかしていない。

日本がフィリピンに対し、インフラや教育を十分行える位の期間フイリピンが日本に統治されていたら、今頃どれだけ素晴らしくなっていただろう。絶対にインドネシアやマレーシア以上だったに違いない。
非常に筋の通った論理です。このような考えをする、知識層もフイリピンでは多いのではないかと思います。

日本国内では、フイリピンは、マニラの市街戦による死傷者が多かったことや、バターンの死の行軍などで、フイリピン人は反日との思い込みもあるようですが、これは戦後のアメリカのプロパガンダによるものもかなり影響しているものと思います。

ドゥテルテ氏は、戦後日本の経済協力やイスラム武装勢力との和平協議支援などを高く評価し、親日家とされています。東日本大震災では、海外の自治体の中でいち早く被災者受け入れを表明しました。日本の戦没者供養などにもよく顔を出し、13年には日本人墓地に記念碑を建立。家族旅行で来日していいます。(産経ニュース「ドゥテルテ比大統領、「親中」「反米」そして「親日」」10/24)

さて、ドゥテルテ氏、米国離反、中国接近の姿勢をみせていますが、フイリピンの中国接近は、日本にとっても脅威ですし、フイリピンが完璧に中国の傘下に入ってしまうことになれば、安倍総理の日本の安全保障政策、そうしてアメリカのそれも根本から見直しを迫られることになります。それだけではありません。両国とも、この戦略見直しには莫大な経費と労力と時間を強いられることになります。

まさに、今回のドゥテルテ比大統領との会談は、安倍総理の外交手腕が問われるものとなります。

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2016年10月25日火曜日

総裁任期「3期9年」に延長=26日に全体会合へ提示―自民―【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)!


自民党役員連絡会であいさつする高村正彦副総裁
(中央右)。同左は下村博文幹事長代行=25日午前、国会内
自民党は25日、党総裁任期を現行の連続2期6年から連続3期9年に延長する方針を固めた。

総裁任期延長「なぜ今なのか」=自民・小泉氏が疑義

 党・政治制度改革実行本部(本部長・高村正彦副総裁)では、「期数制限撤廃案」も検討されたが、高村氏は26日に、党所属国会議員全員が参加できる全体会合に「3期9年」案のみを諮る方針だ。

 高村氏は25日の党役員連絡会で、「あした私の考えを伝えて、全体会合に諮る」と述べた。これに関し、党幹部は記者団に「期数撤廃はない」と指摘し、3期9年の方が「国民に受け入れられやすい」との認識を示した。

 現行の党則は、総裁任期を1期3年と定め、連続3選を禁止している。任期延長はこれを改正するもので、安倍晋三首相(総裁)に限定しない。実行本部で了承が得られれば、総務会などを経て、来年3月の党大会で正式決定する運びだ。

 安倍総裁は2018年9月に任期満了を迎えるが、党則改正後は次期総裁選に出馬できる。当選すれば、自ら招致に当たった20年東京五輪・パラリンピックに首相として臨む可能性も出てくる。

【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)! 

上の記事を読んでまず思ったのは、財務省と渡り合い時には死んだふりや、やるとき衆院を解散しても増税を阻止した安倍総理のような総裁候補が出てこない限りは、安倍総裁であるべきということです。

先日行われた民進党の代表戦では、候補者の3人が3人とも増税論者であり、経済に関してはまるで擦り切れたテープのように財務省のパンフレットのような経済論を繰り返すばかりでした。

そうして、代表は蓮舫氏になったのですが、蓮舫氏の人選によって、幹事長に決まったのは野田氏であり、これも消費税狂の馬鹿でした。

野田元総理の増税狂発言。おまけ、安住元財務省の増税狂発言。
最近野田氏は、最近北方領土の2島返還「馬鹿も休み休み言え」 と語っています。本当に消費税増税狂のバカにこのようなことは言われたくはないです。最近、偽装右翼などといわれていますが、野田氏こそまさに偽装右翼の名にふさわしい人物かもしれません。

民進党のほとんどは、増税狂であり、例外はほんの一部です。金子洋一元参議院議員は、増税狂ではないのですが、残念ながら今年の夏の参院選で落選してしまいました。あと増税狂でないのは、馬渕氏くらいなものです。

他の議員はことごとく幹部も含めて、増税狂です。そうして、かつての民主党政権は単なる財務省に使い捨て政党でした。これについては、このブログにも以前掲載したことがあります。
臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!
参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=28日午前
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、民進党が民主党として政権を担っていたときに、財務省の使い捨て政党であったことを示す内容を以下に引用します。


"
民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。


この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。

民主党政権というと、蓮舫氏による事業仕分けが有名ですが、蓮舫氏がどうして専門知識を有する官僚を「公開処刑」できたのかというと「仕分け人」たちは、財務省が作った“極秘の査定マニュアル”に基づいて発言、追及していたからです。

要するに行政刷新会議の概算要求の無駄を洗い出すという「事業仕分け」は、「政治主導」ではなく、「官僚主導」のパフォーマンスだったのです。何のことはない、官僚官僚の手の上で踊ったに過ぎなかったのです。法的にも何の権限もなく本格化する財務省の査定の下馴らしとPRをしただけだったのです。 
"  
現在の民進党の議員のほとんどは、増税推進派で、経済や財政について語るときは、まるで財務省のスポークスマンのようです。民主党政権だったときの、民主党は上記の事実でもわかるように、財務省の使い捨て政党です。その性質は昔から変わらず、現在もそうであり、将来も継承続けていくことでしょう。

一方自民党はどうかというと、これも民進党と同じように、財務省の影響下にあったのは間違いないです。というより、自民党でも安倍総理が、衆院を解散してまで、財務省に反旗を翻して増税を阻止して、真正面からわたりあった最初の総裁ということになります。

自民党も民進党の財務省の使い捨て政党というところまではいかないものの、同じように財務省の影響下にあって、財務省にはなかなか正面切って逆らえなかったというのが実体です。

ただし、今の自民党は、安倍総理と一部の安倍総理に近いブレーンが財務省と渡り合っているだけであって、他の自民党議員はなかなか財務省に諜略されているか、諜略されないまでも正面切って逆らえないというのが実体です。

例えばかって小泉純一郎元首相は在任時に「景気が回復すると構造改革ができなくなる」と明言していました。これは、平たくいうと、構造改革をするためには、金融緩和や積極財政はしてはならないということです。これでは、まるで財務省のスポークスマンのようです。

そのためでしょうか、財務省がかつての日銀を含む大蔵省であったときから、日本では本来金融緩和をすべきときに、金融緩和どころか、金融引き締めを行い、積極財政をすべきところを緊縮財政を行なうといことで、失われた20年という不毛の時代を招いてしまいました。

大蔵省が、財務省と日銀に分離された後も、この政策はしばらく温存され、日銀が金融緩和に転じたのは、2013年のことです。そのため雇用は最近に至るまで、一環して良くなって今います。ところが、財務省は、積極財政をするどころか、結局のところ8%増税をするという失策を行い、経済は低迷しました。

実際に8%増税は、大失敗だったことは統計数値をみれば明らかなのに、民進党は先ほど述べたように、ほとんどが増税狂です。

しかし、自民党でも安倍総理とこれに近いブレーンは別として、ほとんどの議員は金融政策の意味や、財政政策の正しい運用の仕方を理解してないか、理解していたとしても、財務省に正面切って逆らえないでいるようです。

財務省にとって消費増税が自己目的化していますから、それに貢献する政治家たちもすべて消費増税のための手段でしかないのです。なんといっても財務省的な経済政策観をもつ政治家やそうでなくても、財務省に逆らえない政治家が今の日本の政治家のほとんど占めているといのが実情なのです。

ちなみに自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち、たとえば、稲田朋美防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑的であったり批判的であることが明瞭です。


稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしていましたが、そもそも消費増税を経済が低迷しているときになぜ増税にそこまでこだわるのか、その背景についての説明は全くありませんでした。最初から消費引き上げ自体を目的とした発言としか思えません。

そうして、小泉議員はより深刻です。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのでしょうか、とにかく社会保障の見直しなどで、倹約という視点しかありません。景気循環的な発想が全くありません。増税延期が決まった直後の、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言にはほんとうに驚いてしまいました。これでは、まるで財務省のスポークスマンであり、経済・財政などに関しては、民主党議員とほとんど変わりありません。


むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのですが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり皆無です。石破議員は、デフレ脱却を金融政策中心で行うと高いインフレに帰結するなど副作用の可能性を指摘してきました。

石破茂氏
いずれも財務省の消費増税路線やその背景にある財政再建主義や税と社会保障の一体改革という考え方に親和的です。とりあえず代表的な三者をあげたのですが、さきほど指摘したように他の政治家もごく少数を抜かして同じ考えです。

今の日本では、安倍総理自身と、その身近な一部のブレーンたちのみが、政治家の中では、財務省と渡り合えるだけの、力量を持っているだけです。そうして、稲田朋美氏のように、安倍総理の身近な一部のブレーンと目される人ですから、この有様なのですから、本当に自民党内に安倍総理の経済に関する考え方を理解しつつ、財務省と対等に渡り合える人材が自民党総裁になれるまで成長を待たなければ、ポスト安倍の後は、安倍としか言いようがありません。

もし、そうしなければ、日本経済はまたデフレ・スパイラルのどん底に沈み、せっかくの金融政策の効果も台無しになり、雇用はずたずたになり、若者はまた異様な就活で苦しむことになります。自殺者も増えることでしょう。

今回の総裁任期の延長は、経済や財政などとは関係なく、おそらく政治的駆け引きや、派閥の均衡などでそのように決まったのでしょうが、いずれにしても当面の日本経済のことを考えた場合、良い選択であったと言わざるを得ません。

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