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2018年3月28日水曜日

叩きたいあまり、反安倍以外のコメントはボツ 官僚を上げたり下げたり…ご都合主義なメディアの人々―【私の論評】政治とは政党と官僚との化かし合いという現実を忘れるな(゚д゚)!

叩きたいあまり、反安倍以外のコメントはボツ 官僚を上げたり下げたり…ご都合主義なメディアの人々  高橋洋一 日本の解き方



 左派系メディアでは、天下り問題で文部科学省の事務次官を引責辞任した前川喜平氏が正義のヒーローのように扱われている。今回の決裁文書の改竄(かいざん)問題でも、佐川宣寿前国税庁長官を官邸の圧力の被害者のように印象づける動きや、デモで「官僚がんばれ」という人までいる。結論ありきのコメントを求めるメディアも含め、そこにはご都合主義があるように筆者には思えるのだが、いかがなものだろうか。

 ちょうど1年前であるが、文科省による組織的な天下り斡旋(あっせん)が問題になっていた。天下り斡旋は、国家公務員法違反である。これは文科省の調査報告書にも書かれているが、その法律は第1次安倍晋三政権時に成立したものだ。筆者はその企画に関わったが、当時、安倍首相が国会を延長してまでも成立に執念を燃やしたものだ。当然のことながら、天下りの主要路を断たれた官僚からは怨嗟(えんさ)の声があがった。

 実は、筆者はそこで退官したが、この流れをくむ公務員改革は続き、自民党政権末期に、自公と民主が歩み寄って、内閣人事庁などの公務員改革基本法の骨子ができ、第2次安倍政権になって、内閣人事局創設に至った。これらの公務員改革を当時のマスコミは絶賛し、天下りを批判した。1年前の文科省による天下り斡旋についても、マスコミは非難し、その首謀者である前川氏も批判されていた。

 ところが、左派系メディアは、加計学園問題で「総理の意向」と書かれた文科省文書の存在を認めた前川氏が安倍政権批判を始めると、手のひらを返したように持ち上げ始めた。ちなみに前川氏は、メディアで問題とされた新国立競技場の高額発注の責任者でもあった。


 今回の財務省による決裁文書の改竄も、公文書改竄という刑法にも触れうる問題である。それなのに、「佐川氏が忖度(そんたく)せざるをえなくなった」「内閣人事局があるから官僚が萎縮していた」など問題の本質からずれるコメントが目立った。

 政治家から指示があれば、それは刑法違反の共犯にもなりかねないので問題だ。しかし、政治家で決裁文書のことを知っている人はまずおらず、知らなければ指示はできないだろう。

 そこで、忖度とか内閣人事局の問題とかで、なんとか官邸が問題だということに持っていこうとしているのだろう。

 筆者は元財務キャリアで、官邸勤務経験もあるので、官邸への忖度があったのではないかというコメントをしばしばメディアから求められる。しかし、本コラムで書いているように、「財務キャリアが官邸に忖度することはまず考えられない」と言うと、メディアでは使えないコメントして扱われる。メディアはまず結論ありきで、それに合った人のコメントしか扱わないと思った方がいいだろう。

 安倍政権を叩きたいあまり、「反安倍」の人には手のひら返しでも無条件に賛同する一方、エビデンスに基づく客観的な話でも、「反安倍に使えない」と断定して無視するのは、おかしいと思う。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】政治とは政党と官僚との化かし合いという現実を忘れるな(゚д゚)!

官僚の果たしている役割とは何かといえば、政府の仕事を実行する事です。また、それを実行するための専門技術・能力を持っているのが官僚です。官僚制と言った場合は、政府全体の体型を指します。

官僚は、執行する側の人間ですから法律通りに前例通りに運営する事が至上命題です。これを、国民に代わり、「シビリアンコントロール」したり、官僚の命題である「法律」を新規に作ったり、改正したりするのが国民の負託と、立法権を持つ「政治家」です。

政治家は官僚をコントロールする為に官僚組織の長として君臨しますが、官僚のもう一つの指名「素人である政治家を補佐する」というものがあります。

素人であ政治家が国家百年の計を乱さないように、補佐するのも官僚の仕事なんですが、政治家が馬鹿だと、いわゆる官僚のレクチャーにより、官僚の都合の良いように政治家は洗脳されてしまいます。管理監督するはずの政治家が管理監督される側の官僚に管理監督されてしまうということがしばしば行われています。ただし、この方は政治家は楽であることはいうまでもありません。

この一番酷い事例は、財務省による増税路線でしょう。復興税、税と社会保障の一体改革による消費税の目的税化など、これらは理論的には破綻しています。

まずは、東日本大震災のような大きな自然災害があったときに、復興税で復興事業を実施するなどということは、古今東西に例をみません。

通常は、償還期間が100年程度の復興債で実施します。なぜなら、復興による工事により再建されたり新たなつくられるインフラなどは、震災を受けた世代だけではなく、後々の世代も使用するものだからです。負担を世代間で平等にわかちあうという趣旨で復興債を用いるのが普通です。

しかし、財務官僚は、ご説明資料などを用いて、政治家にレクチャーし、あたかも復興税がまともな政策であるかのように洗脳し、結局復興税を導入してしまいました。

税と社会保障の一体化による消費税の目的税化なども同じです。そもそも、税の目的税化など不可能です。たとえば、自衛隊が、税を払った人は防衛し、そうでない人は防衛しないとか、税を多めに払った人を優先的に防衛するなどということはできません。社会保険制度も同じことです。

こんなわかりきったことを曲げて財務省は、消費税を増税するために、これを正当化するご説明資料を作成し、政治家にレクチャーし洗脳しました。そのため、現状では、消費税を上げる必要性など全くないのですが、増税はしなければいけないと思い込む政治家がほとんどです。

証人喚問された元財務相理財局長だった佐川氏

ブログ冒頭の記事で高橋氏が批判している前川氏には、他にも多くの問題がありました。たとえば、前川氏は、平成27年9月に安保法制に反対した学生団体「SEALDs(シールズ)」などが国会前で行った集会に参加していたことを明かしていました。

前川氏は2時間近くに及ぶ講演の終盤近くになって、「ここだけ内緒の話ですけど」と前置きして「2年前の9月18日、国会前にいたんです」と切り出した。

前川氏は「集団的自衛権を認めるという解釈は成り立たない。立憲主義に反する」と主張。デモに参加した動機について「今日行かなきゃ、もうないと思ったんですね。その日は安保法制が参議院で成立した日ですから」と語りました。

当時、前川氏は文科省の審議官で翌年の6月、事務次官に就任した。公務員で、しかも省庁事務方のトップを担い、加計学園問題でも参考人招致を受け、今も積極的に発言している前川氏が、従来から安倍政権に批判的だったことを自ら認めた形です。人事院規則では国家公務員は政治的行為ができない事になっています。

一般職国家公務員の政治的行為の制限について

このようなことをして、平気の平左で、しかも自分から告白するような人物である、前川氏など、全く信用できないことはこのことだけでも、明らかです。

官僚は法律・体制の維持、その中での仕事の迅速制を追求します。政治家は法律の改正と、政策を実行するために官僚が立てた計画の変更することが仕事の本筋です。そのため、ある意味で政治家と官僚は、利益は相反する事ところがあります。

余程、政治家が自覚を持ち、勉強して動かないと良い意味でも悪い意味でも、官僚の専横を許してしまうことがあります。

また官僚は各省庁の組織の一員なので、政府の利益より、組織の利益を優先させたり、さらに悪い官僚の場合は、個人の利益を優先させたりすることになります。

これをシビリアンコントロールで排除するのが政治家の仕事なのですが、これができないと、全体的には政府全体が悪い方向へ行く場合もあります。

特に、三権分立の補完や監視が上手く行っていないとそうなります。ただし、官僚制そのものは民間でも広く使われている制度であるため、一概に官僚制度だけが悪いとはいえません。

では、日本の政治のどこが間違いなのでしょうか。それは、いくつもあるかもしれませんが、その中でも最大のものは立憲主義に基づいてた運営が行われていないということでしょう。

立憲主義の前提となるのが、政党の近代化です。それについては、以前このブログにも何度か掲載したことがあります。その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
立民、「首相の解散権制約」の不毛 民進“分裂騒動”の責任押し付けたいだけ 宇佐美典也氏緊急寄稿―【私の論評】立憲主義の立場からも首相の解散権は正しい(゚д゚)!
立憲民主党の枝野代表、実は彼こそ立憲主義とは何かを最も知らない人物かもしれません

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、近代政党に関する部分のみを以下に引用します。
近代政党には、三つの要素があります。 
綱領、組織、議員です。
明確な理念をまとめた綱領がある。綱領に基づいて全国組織が形成されます。全国の政党支部が議員を当選させます。その議員たちは政策の内容で競い合い、自由で民主的な議論で党首を決めます。選ばれた党首は直属のシンクタンクとスタッフを有し、全国組織に指令を下します。この条件に当てはめると、自民党は近代政党ではありません。無論、他の野党も、近代政党とは言い難い状況にあります。
自民党が有する最大のシンクタンクは官僚機構(実体は財務省主計局)ですが、ヨーロッパの政党は官僚機構に対抗できるシンクタンクを自前で揃えています。 
イギリスなどでは、自前でブレーンを用意して勉強した政治家だけが、党の出世階段を上ります。政治の世界の実体は、政党と官僚は化かし合いです。
イギリスの政党は、近代政党ですが、それでも失敗することもあります。たとえば、過去のイギリスでは、付加価値税(日本の消費税にあたる)を増税したのですが、その後若者雇用を忠信に雇用情勢がかなり悪化したため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)が大規模な金融緩和を実施したのですが、景気はなかなか回復しませんでした。

そのような失敗もあることはあるのですが、時々NHKBSのワールドニュースを見ている限りにおいては、日本の国会よりもはかにまともな国会運営がなされています。

政党が近代化されていれば、日本でも政治家が官僚に恒常的に化かされるということはないかもしれません。

それにしても、日本でいますぐまともな政策を立案できるシンクタンクを機能させることは無理かもしれません。いまのところ、やはり政治家には官僚に化かされない程度の知識を身につけることが最優先課題だと思います。

私達、有権者はそのような政治家を選ぶべきです。そのために、官僚にいつも化かされてばかりの、政治家は選挙で投票しないことです。

特に、増税を手放しで賛成するような政治家には絶対に投票すべきではありません。しかし、そうなると、今の日本ではほとんど投票すべき政治がいなくなってしまうという恐ろしい現実もあります。

ただし、政治はそもそもが、「政党と官僚」の化かしあいということを理解すべきです。これを理解していないと、そもそも政治の本質がわからなくなります。

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2017年9月25日月曜日

「北朝鮮問題」覚悟を決めた安倍首相と、決められない野党の「大差」―【私の論評】政党が守るべき六つの規律と駄目にする六つの方法(゚д゚)!

「北朝鮮問題」覚悟を決めた安倍首相と、決められない野党の「大差」

選挙の争点は、やっぱりここだろう

髙橋 洋一経済学者
嘉悦大学教授

本日解散の意思を表明した安倍首相 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 「圧力か、対話か」

いよいよ衆院解散である。夕刊フジが9月13日発行号で「9・25解散強まる」と報じたのを皮切りに各マスコミがこれを後追い。しばらくは安倍首相も真意を明かさなかったが、今日25日についに衆院解散を表明する。

安倍首相の気持ちは、北朝鮮の一点にあるのだろう。国民と国家を守るために、どのような政府が必要なのかを国民へ問いかけるはずだ。先の国連での演説を読んでも、この決意がわかる。15分程度のものであるので、全文を読んだらいい(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2017/0920enzetsu.html)。

北朝鮮の脅威が目の前に迫っていることを強く世界に訴えて、今は対話ではなく圧力の時だと、これまでの歴史を鑑みながら納得のいく説明をしている。振り返れば1994年の米朝間核合意、2005年の六ヶ国協議での北朝鮮の核放棄合意と、二度も対話による合意があった。にもかかわらず北朝鮮はいずれの合意も無視して、核・ミサイル開発を進めてきた。対話による安定を期待していたが、いまはその期待とはまったく正反対の状況にある。

安倍首相は、「三度も騙されるために対話をするのか」と選挙で訴えるだろう。国連で国際社会に訴えたように、国民にも問いかけるはずだ。

簡単な対立図式でいえば、「圧力か対話か」が選挙の重要な争点となるだろう。左派政党は「対話を」となるだろうが、はたして対話路線で、リアルな国際政治の議論についていけるだろうか。

実際の国際社会でも、当初中国とロシアは対話を主張していたが、最近では対話と圧力のなかで、圧力のウエイトが増している。特に、先日北朝鮮が実施した水爆実験では、さすがの中国もロシアも「これはマズい」と思いだしており、石油禁輸は盛り込まれなかったものの、それに準ずる強い制裁措置が採用されたことからも、それは明らかだ。

日米が強い対応を打ち出したところ、北朝鮮側は「超強硬対応を検討する」とした。まさに米朝のチキンレース。トランプ大統領は金委員長を「ロケットマン」と呼び、「アメリカや同盟国を攻撃する事態になれば、他の選択の余地はなく北朝鮮を完全に破壊する」ともいった。

これに対し金委員長が声明をだした。かの国で委員長が声明を出すこと自体が異例であるが、「史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮する」とした。「慎重に考慮」と表現しているところに、まだ最終段階には至らない余地を感じるが、これでチキンレースはまた一歩進んだ。

特に、金氏は声明の最後で「行動で見せる」といっているので、さらに核・ミサイル開発を進めるのは確実だ。北朝鮮は独裁国家なので、誰も金正恩委員長に意見を言える人はいない。委員長のいうことを実行するだけである。

一方、アメリカでトランプ大統領に意見を言える人は、北朝鮮に比べれば長女のイバンカ氏をはじめ少なからず存在しているが、もはやトランプ大統領も引き下がれない段階まできている。

 安倍首相は知っているのではないか

そんな中で行われる10月選挙。焦点となるのは、やはり北朝鮮情勢なのである。そんなときに総選挙している場合かという批判もあるが、素直に考えれば、あと1カ月ぐらいのスパンでは、アメリカと北朝鮮が武力衝突にまで進む可能性は少ないとみている。

11月上旬にはトランプ米大統領の初来日が検討されており、国連の経済制裁も当初のアメリカ案より後退したので、逆にいえばまだ手が残っている段階だ。今後さらなる制裁案が出てくる可能性があるので、軍事行動という選択肢はまだ先だ。

ただし、今後1年くらいというタイムスパンでみれば、北朝鮮が確実にアメリカ本土の核ミサイル攻撃できる能力を持つ可能性が高いので、どのような口実を作ってでもアメリカは北朝鮮を攻撃するのではないか。

となると、来年12月の衆院任期までに解散総選挙を行うのは難しい情勢になる。安倍首相は、北朝鮮によって首相の解散権が制約を受けることを何より嫌うはずだ。

実際にアメリカが軍事行動を起さないという楽観論はない。去る18日には、マティス国防長官が、「ソウルを重大な危機にさらさずに、北朝鮮に対して軍事的な対応を採ることが可能だ」と語っている。

アメリカは北朝鮮の主要な攻撃拠点を把握しており、数百発以上の巡航ミサイルなどによる同時攻撃が可能だし、その前に北朝鮮の指揮命令系統を混乱させる技術も持っているといわれている。こうした情報は、日本政府首脳にも伝えられているようだ。

しかも、アメリカにはこれまで多くの戦争に関わってきた歴史がある。最近の国際紛争では、アメリカが関与していないものを探すのが難しいほどだ。アメリカは強大な軍事力があるので、事件を「でっち上げ」てでも戦争の口実にする国だ。

ベトナム戦争でのトンキン湾事件はその典型例だ。イラク戦争での大量破壊兵器も事実でなかった。アメリカの話ではないが、湾岸戦争でも米国政府が引用したナイラ証言はクウェートの広報戦略だったことが明らかになっている。

ナイラ証言を報道するテレビ
筆者は、こうした謀略まがいを肯定するものでないが、戦争の口実はいくらでも作れるのが歴史の教訓であると思っている。アメリカはそうした戦略に基づき行動してきた国であることは、良くも悪くも事実なのだ。

実は筆者は、先日の北朝鮮の水爆実験が既にアメリカのデットラインを超えてしまったと思っている。こうしたトランプ大統領の感覚について、安倍首相は世界で一番早く掴める人物だろう。国連演説後の昼食会があったが、トランプ大統領は事前に「シンゾウの隣の席にして欲しい。そうでなければ昼食会には出席しない」と国連事務局に伝えたという。

初の日米首脳会談で、トランプ大統領は安倍首相と20秒近くも握手したり、1.5ラウンドもゴルフをした仲だ。最近でも、電話連絡を1日に何回もしているようだ。

そうした間柄なので、トランプ大統領の今後の行動について、安倍首相はこれまでの日本の歴代首相とは比較にならないどころか、現時点で世界で一番読めている、と考えるべきだろう。やはり今回このタイミングで解散総選挙が行われることは、いずれアメリカが行動にでることを示唆しているのではないか。

まさに、日本の命運を握っている「トランプ・カード」を手にしているのが安倍首相であるが、これに立ち向かう野党の人々は頼りない。

 不利な政党、チャンスの政党

今回の総選挙の争点は、これまで述べてきた①北朝鮮への対応(対話か圧力か)のほかに、②消費増税の是非、③憲法改正となるだろう。

民進党は北朝鮮対処で「まだ対話が必要」というのだろうか。もしそうであれば、それはここ20年間の対話で北朝鮮がウソをいい続けて核・ミサイルを開発してきたという事実にはどう答えるのか。それでもまだ、というのは「お花畑議論」に思えて仕方ない。

といっても、民進党はもう北朝鮮問題でリアルな議論はできそうにもない。民進党内の保守系といわれる細野氏や長島氏は、こうした民進党の非現実的な議論に飽きて離党している。

前原氏は外交安保では比較的リアリストであるが、それでも党内の多くの意見は相変わらす「お花畑」なので、北朝鮮問題では「対話せよ」となって、共産党と比較的に意見が合いそうである。となると、前原氏が忌み嫌っていた共産党との共闘が、各地の選挙区でみられるかもしれない。その際、「モリかけ」の疑惑隠しのための国会解散だ、というだろう。

本コラムの読者であれば、「モリかけ」における総理の疑惑について裏付けされたものはひとつもなく、単なる言いがかりであったことが明らかだ。「モリかけ」は腹一杯である(笑)。北朝鮮問題の重要度に比べると「モリかけ」は次元が低い話で比較にならないが、国民にはどう映るのだろうか。

民進党は、②と③についても自民党とは明確な差が出せそうになく、苦しい選挙となるだろう。

日本維新の会は、外交安保では常識的な保守政党なので、まともな意見をいうチャンスである。自民党も民進党もいえない、①での非核三原則の見直し、②で消費増税凍結や規制改革を主張し両党との差別化を図りながら、存在感を増す好機だろう。③の憲法改正では、日本維新の会が先導してきた「教育無償化実現」を訴えるチャンスだ。

小池新党はどうだろうか。保守系の人たちが一気に集まれば面白いことになる。風を吹かすにはいい機会なのだが、なにしろ手勢が少なく準備不足である。小池氏が都知事から国政復帰すると宣言すれば別の展開になるかもしれないが、今の状況では難しいだろう。北朝鮮問題への対処が争点となるなかで、存在感を見せられるか。

小池百合子東京都知事は、本日都内で会見し、新党「希望の党」の立ち上げを発表した
いずれにしても、①北朝鮮への対応(対話か圧力か)が総選挙の中心争点になると、これまで集団的自衛権や安保法制に反対してきた政党や政治家は苦しい展開を強いられることになる。

リアルな危機を目の前にすると、「お花畑議論」がまったく通用しないからだ。この点、自衛隊を違憲と主張する共産党が今回の選挙でどのような結果となるか、も注目の一つである。

総選挙は、しばしば「政策の展覧会」ともいわれる。この際、各政党が外交安保、経済などで是非論戦を戦わせて、国民に政策の選択肢を示してほしい。安倍首相は、もっとも得意とする外交安保で解散総選挙を仕掛けたわけだが、はたしてどの政党がその論戦について行けるだろうか。

各政党もここで勝てば、安倍政権打倒の道が開けている。おおいに自説を掲げて戦ってもらいたい。

【私の論評】政党が守るべき六つの規律、駄目にする六つの方法(゚д゚)!

さて、本日も最近の解散にともなう、各党の状況をマネジメント的観点から分析しようと思います。全政党について分析するということになれば、あまりに長くなるので、自民党と民進党の対比ということにします。

特に、自民党などの有利な状況と、民進党などの不利な状況について分析してみます。特にドラッカーの考え方を適用して分析してみようと思います。

ドラッカーは政治学者ではないので、政治そのものや、政党について分析した書籍はありません。ただし書籍の中の一部で政治や政党などについて分析していることはあります。

政党は、非営利組織であり公的機関とみなしても良いと思います。そうしてドラッカー自身も、マネジメントの基本はあらゆる組織にあてはまるとしているので、ドラッカー公的機関に関する分析は、日本の政党の分析にも役立つものと思います。

ドラッカーは、"公的機関が必要とするのは卓越した人材ではない六つの“規律”である"としています。政党も優秀な人がいれば良いというものではなく、やはり守るべき規律をまもらなければ、衰退していくものと思います。
あらゆる公的機関が、六つの規律を自らに課す必要がある。事業の定義、目標の設定、活動の優先順位、成果の尺度、成果の評価、活動の廃棄である。(ドラッカー名著集(13)『マネジメント──課題、責任、実践』[上])
今ようやく日本でも、公的機関の見直しが急ピッチで進められています。しかしドラッカーは、すでに3分の1世紀前に、公的機関に成果を上げさせるための規律を明らかにしています。

第一に、自らの事業を定義することです。「事業は何か」「何であるべきか」を定義することです。ありうる定義をすべて公にし、それらを徹底的に検討することです。これは、政党でいえば、どのような政策を考えるかということにあたると思います。

第二に、その定義に従い、明確な目標を設定することです。成果を上げるには、活動に直結する目標が必要です。目標がなければ活動のしようがないです。

第三に、活動に優先順位をつけることです。同時に、期限を明らかにし、担当する部署を決めることです。

第四に、成果の尺度を明らかにすることです。尺度がなくては、せっかくの事業の定義や目標も、絵空事に終わります。

第五に、その尺度を使って成果のフィードバックを行なうことです。全組織が成果による自己目標管理を行なわなければならないのです。

第六に、事業の定義に合わなくなった目標、無効になった優先順位、意味の失われた尺度を廃棄することです。不十分な成果に資金とエネルギーを投入し続けることのないよう、非生産的なものすべてを廃棄するシステムを持つのです。

これらのステップのうち最も重要なものは、事業の定義だと誰もが思うかもしれません。ところがドラッカーは、最も重要なものは、第六のステップだといいます。企業には、非生産的な活動を廃棄しなければ倒産するというメカニズムが組み込まれています。ところが、公的機関にはそのようなメカニズムがないです。

公的機関が必要としているのは、人の入れ替えの類いではない。わずか六つの規律を守ることなのです。
公的機関に必要なことは、企業のまねではない。成果をあげることである。病院は病院として、大学は大学として、行政機関は行政機関として成果をあげることである。つまり、自らに特有の目的、ミッション、機能を徹底的に検討して、求められる成果をあげることである。(『マネジメント』)
これは、無論政党にもあてはまることです。政党も成果をあげなければ存在意義がありません。

そうして、この点から自民党と、民進党を比較すると、どちらか特に優れているということもないようです。私は、このブログにも過去に何度か、民主党(現在の民進党)は、自民党のコピーのような政党であり、コピーした分だけ、劣化しているということを指摘しました。

そのためでしょうか、六つの“規律”という観点からみると、自民党と民進党のいずれが、この規律を守れているかといえば、どちらの党も似たり寄ったりであると思います。

ただし、自民党のほうが、第六の規律については、民進党よりははるかにましであると考えます。経済政策においては、増税では失敗したものの、金融緩和策では成功して、雇用状況がかなり改善されています。また、北朝鮮情勢に対する対応も、素早いものがあります。

ドラッカー氏
政党などの組織も、成果あげることは容易ではありません。公的機関の成果について、ドラッカーは以下のように語っています。
公的機関が成果をあげるようにすることは容易でない。しかし、公的機関が成果をあげないようにすることは簡単である。6つの罪のうちどの2つを犯しても、成果は立ちどころにあがらなくなる。今日、公的機関の多くが6つの罪のすべてを犯しているが、その必要はない。2つで十分である。(『日本 成功の代償』)
これは、1980年、ドラッカーが「パブリック・アドミニストレーション・レヴュー」誌に寄稿した論文を引用したものです。これは、『日本 成功の代償』に収載されているが、日本の公的機関についてだけ書いたものではありません。世界中の公的機関が抱える問題を論じています。

公的機関が成果を上げないようにするための第1の方法は、ドラッカーは、目的として、「保健」や「身体障害者福祉」などのあいまいなスローガンを掲げることであるとしています。

この種のスローガンは、設立趣意書に書かれるだけの値打のものであり、いかなる趣旨のもとに設立したかは明らかにしても、いかなる成果をあげるべきかは明らかにしないからです。

第2の方法は、複数の事業に同時に取り組むことです。優先順位を決め、それに従うことを拒否することであす。優先順位がなければ、努力は分散するだけとなります。
第3の方法は、「肥満が美しい」とすることです。ドラッカーは痛烈です。「金で問題の解決を図ることは間違いだと言われる。だが頻繁に目にするのは、人手で解決を図ることである。人員過剰は資金過剰よりも始末に負えない」。

第4の方法
は、実験抜きに信念に基づいて活動することです。ドラッカーは、これは、「初めから大規模にやれ、改善はそれからだ」という、今日の公的機関に一般的に見られる態度だと指摘します。

第5の方法は、経験から学ぼうとしないことです。つまり、何を期待するかを事前に検討することなく、したがって、「結果」を「期待」にフィードバックさせないことです。

第6の方法は、何ものも廃棄しないことです。もちろん、この方法によれば、ほとんどただちに成果を上げられなくなります。
政府機関であれ民間機関であれ、公的機関はすべて不滅の存在と前提している。馬鹿げた前提である。そのような前提が、公的機関をして成果をあげなくさせている。(『日本 成功の代償』)
政党として、成果があげられないようにする方法に関して、両党を比較してみました。

まずは、第一のあいまいなスローガンをあげるといいうことでは、 自民党は党の綱領などみてみましたが、作成されたのが、昭和30年代であり、そこから改定されていません。これでは、民進党の綱領は昨年作成されているのですが、結論からいうとまさに、「あいまいなスローガン」になっています。

民進党には、「結党宣言」もありますが、その最後の言葉「野党勢力を結集し、政権を担うことのできる新たな政党をつくる」という文言があります。野党を結集したら政権を担える、その発想がそもそも旧態依然とした55年体制的なのです。

自民党は、古いスローガンがそのまま、民進党は曖昧なスローガンということで両者に差はありません。第2〜第4もさほど差があるとは思えません。

しかし、第5と第6では大きな差異があると思います。民進党は、ブーメランという言葉で象徴されるように、過去においても、何度もスキャンダルで自民党を批判し、その都度かえつて不利な状況を招いてきました。スキャンダル追求では、過去においては何の成果をあげることもできませんでした。

しかし、「森友・加計問題」に関しては、いっときかなり成果をあげたかのように見えました。そうして、現在でも野党はこの問題を追求し続けたいようです。実際以下のような新聞記事があります。
野党、冒頭解散を批判 民進代表「疑惑隠し」  :日本経済新聞

野党は19日、28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散する意向を固めた安倍晋三首相を批判した。 
民進党の前原誠司代表は19日の党常任幹事会で、学校法人「森友学園」「加計学園」の問題に触れ「敵前逃亡、自己保身、疑惑隠しの解散と言わざるを得ない」と強調。 
以下、全文を読む
ところが、わずか二ヶ月前には、同じ日経新聞に以下のような報道がされていました。
蓮舫氏「解散に追い込む」=社民幹事長も同調:時事ドットコム

民進党の蓮舫代表は6日の記者会見で、自民党が東京都議選で惨敗したことを受け、「解散・総選挙はいつでも受けて立つ。(衆院解散に)追い込みたい」と述べた。
 社民党の又市征治幹事長も同日の会見で、「内閣改造でごまかそうとしているが、解散・総選挙を打たざるを得ないところに追い込むことが大事だ」と強調した。
以下、全文を読む
これでは、完全に矛盾しています。安倍総理の解散の決断は、二ヶ月前の野党の要望に沿ったものともいえるものです。

「森友・加計問題」のようなスキャンダル追求は、結局過去においてはめぼしい効果をあげていません。過去においては、いくら野党がスキャンダル追求をしても、与党の支持率は微動だにしませんでした。

「森友・加計問題」では、一時支持率は落ちたものの、現在では回復しています。本当に、民進党をはじめとする野党は、経験に学ぶということができないようです。

安倍総理は、経験に学ぶということができます。第一次安倍内閣のときの失敗を謙虚に反省して、現在の政権運営に生かしています。特に経済面ではそうです。とはいいながら、これはあくまで、安倍総理とその側近に関していえるということであり、残念ながら、自民党という組織としては、あまり経験に学ぶということは得意ではないようです。

とはいいながら、総裁がそのような姿勢なので、民主党の大失敗の経験から学ぼうとしない民進党前原代表や幹部の存在する民進党とは大きな差があります。

第6の方法は、何ものも廃棄しないということでは、やはり民進党のほうに軍配があがります。ほんとうに、古い考えをそのまま、温存して何も破棄しようとしません。

まずは、上記であげたように、スキャンダル追求主体という方法をいつまでも堅持しています。無論、いっさいやるなとはいいませんが、これが主体で、政策論争がおろそかというのでは、本末転倒です。

それに、憲法でも、安全保障に関する事柄でも、とにかく古いものにしがみつくということでは、自民党に比較しても、かなり劣っています。

それにしても、上の6つの規律、公的機関が成果を上げないようにするため6つの方法など見ていると、自民党も決して優れた政党ではないことが理解できます。

やはり、今回の選挙では、各政党が外交安保、経済などで是非論戦を戦わせて、国民に政策の選択肢を示してほしいものです。

各政党もここで勝ち、上で上げた諸規律を守り抜けば、目覚ましい成果をあげて、安倍政権打倒の道が開けることになるかもしれません。また、そのような政党が出てくれば、自民党にも多いに刺激になって、良い政策を打ち出し、政権の座を守り抜くことになるかもしれません。各党おおいに自説を掲げて戦っていただきたいものです。

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2017年6月6日火曜日

“空回り”する野党の政権追及 原因は疑惑ありきの「思い込み」と「ベンチマーク」欠いた批判―【私の論評】人でも店でも政党でも相手の良いところを見るべき(゚д゚)!

“空回り”する野党の政権追及 原因は疑惑ありきの「思い込み」と「ベンチマーク」欠いた批判

民進党の加計学園疑惑調査チーム
 民進党などの野党は、「森友学園」や「加計学園」の問題を政権追及の材料にしてきたが、思惑通りの成果は上がっていないようにみえる。何が間違っているのだろうか。

 結論からいえば、「思い込み」と「ベンチマークの欠如」だ。思い込みというのは、森友学園では「総理の関与」で、今回の加計学園では「総理の意向」。それがあるはずだという前提で目の前の現象を追い続けるというのが、野党や多くのマスコミである。

 こういうときには、別の事象の「ベンチマーク」を探すといい。これは、プロの数学者がしばしば使う方法だ。受験数学など普通の数学問題でこの方法を使うことはないが、これまで誰も解いたことのない難問の場合、似たような構造を持った別の事象で問題を置き換える。そうすると、全く別の事象であっても簡単に解けることがある。

 社会問題の真相の解明でも、同時並行的に起こっている別の問題がしばしば役に立つ。森友学園問題では、小学校予定地だった旧国有地の東側の土地がこれに当たる。

 森友学園に先行して豊中市に売却されたが、そこで土中のゴミが発見されている。にもかかわらず、この事実を知りうる近畿財務局は、森友学園に売却する際、当初その事実を相手方に伝えていなかった。ここが問題の本質だ。

「加計学園」について断定的な報道をした朝日新聞
 加計学園問題のベンチマークは、国家戦略特区で千葉県成田市に医学部新設が認められた国際医療福祉大のケースだ。

医学部新設も38年ぶりだが、もし加計学園に「総理の意向」が働いていたのだとすると、両者のプロセスに差があるはずだ。実際は国際医療福祉大が先行し、加計学園が後になっている。加計学園が追い越したのであれば問題かもしれないが、そうしたこともない。筆者のみるところ、両者のプロセスに顕著な差はなく、「総理の意向」は外部からは認められない。

 前川喜平・前文科事務次官の“告発”について、筆者には、規制緩和の「推進派」に「反対派」が負けて吠えているようにもみえる。閣議決定にある「需要見通し」を文科省が出せない時点で内閣府の勝ちで、「総理の意向」を持ち出すまでもなくゲームオーバーだったのではないか。あまりに惨めな負けだったので、「総理の意向」を言い出した可能性すらある。

 ベンチマークからおかしなことが見つかれば、何かがある。それが「総理の意向」かどうかは、カネの流れを見るのが手っ取り早い。総理の周辺へカネが流れていれば、ベンチマークがなくても政権への大打撃になるかもしれない。

 安倍政権が長期政権になって、ますます野党・マスコミは焦っている。安倍政権は、マクロ政策の金融政策をうまくやって失業率を低位に保っていることが支持率が落ちない最大の要因だ。若者から支持されているのは雇用環境が良いからだろう。安倍政権を叩く野党やマスコミほど、この点が分かっていないが、こうした政策の基本中の基本を理解すべきである。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】人でも店でも政党でも相手の良いところを見るべき(゚д゚)!

森友学園はもとより、加計学園に関しても、もう底が割れているので、新しい話題などがでてきても、それに関してあれこれ分析したりして、このブログに掲載するのはやめます。何かよほどのことでもない限り、ブログではなくツイッターでつぶやく程度にします。

なせがといえば、ブログ冒頭の高橋洋一氏の語るように、加計学園問題を追求することは全く時間の無駄だからです。これからも、新しい事実などもでてくるかもしれませんが、それにしても、元々何もない虚構について、あれこれそれに沿った新事実がでてきたとしても、全く無意味だからです。

結局時間と労力の無駄です。民進党等の野党やマスコミは、この問題を追求し続ければ続けるほど、まるで玉ねぎの皮を剥いでいくように、最後には何もなくなることにいずれ気がつくでしょう。この問題を追求し続けることは彼らを疲弊させるだけです。

さて、ブログ冒頭の記事では、「ベンチマーク」という言葉がでてきます。これは、本当に有効な手段です。300年以上、誰も解けなかった「フェルマー最終定理」も、別のところで問題を解いて、その結果、フェルマー最終定理(下に掲載)が解けています。

経営学用語には、「ベンチマーキング」という用語があります。ベンチマーキングとは、企業が他社の優良事例(ベストプラクティス)を分析し、学び、取り入れる手法を指します。80年代初頭、米国ゼロックスが、倉庫業務はL・L・ビーン、請求回収業務はアメリカン・エキスプレスをベンチマークとし、その優れた点を学んだのが最初とされます。

ベンチマークのコツは、ベンチマークすべき機能や要素の範囲を明確に認識することと、適切な対象を選ぶことです。同じ業界に属する競合企業や、類似業界の企業に限定する必要はなく、むしろ異業種や海外企業に対象を広げヒントを求めると有効な場合が多いです。ベンチマークに際しては、対象企業の優れた点が、どのようなコンテキスト(背景)のもとに成り立っているかを十分認識する必要があります。

なお、ベンチマークとはもともとは技術用語で、土地の測量をする際の基準点を指します。

さて、私自身も過去に「ベンチマーキング」をしたことがあります。そうして、その一環で小売業でよく用いられる「ストアコンパリゾン」をしたことは何度もあります。

新規にお店を出店するに当たって、気になるのが自店とお客様を取り合うことになる競合店の存在です。ストアコンパリゾン(店舗比較)とは、「新規にお店を出店するために同業態のお店を調査したい」「既存店の売上が落ち込んでしまったので、競合店を調査したい」といったケースでよく行われる競合店比較調査のことです。

ストアコンパリゾンマーケットリサーチの中でも比較的簡単に行うことができ、かつ重要な情報を得ることができます。新規開業予定者にとっては、このストアコンパリゾンを通じて、他店の良い点、真似してはいけない悪い点を知ることもできます。

さて、ストアコンパリゾンの方法などの詳細については、以下のチャートを御覧ください。



さらに、詳しく知りたいかたは、他のソースに譲るものとして、肝心要のこれを実行する際の注意点を以下に掲載します。

実際にストアコンパリゾンの作業を幾人かの人やってもらうと、大きく2つに別れます。1つは、競合店の悪いところを徹底的に調べるグループです。そうして、これがたいていは多数派です。そうして、もう一つは競合店の良いところを徹底的に調べます。これは、少数場である事が多いです。

競合店の悪いところを調べる人たちは、「あそこが汚かった、店員の態度が悪かった、何が遅い、何が悪い」などと報告してきます。一方、競合店の良いところを調べる人たちはたとえば、「靴売り場に行ってみると、このくらいのグレードのものが多数陳列してあって、このグレードはお店に来店するお客様のグレードと合致しており、品揃えがマッチしていると思えた」などと、とにかくその店の良いところを探してきます。

これのどちらが優れているかとしえば、無論後者のほうです。競合店の悪い点をいくら列挙しても、あまり役にはたちません。これは、はっきり言って小学生にだってできることです。

それよりも、競合店良い点、たとえば繁盛している理由、長い間店を維持しつづけているその要因を見つけ出すことのほうが、はるかに効果的なのです。



先にもの掲載したように、「ベンチマーク」では、"対象企業の優れた点が、どのようなコンテキスト(背景)のもとに成り立っているかを十分認識する"べきなのです。

これがわかれば、競合店対策もかなり実行しやすくなります。この良い点を真似ることができるなら、真似るからそれよりも良くして、さらにこちら側がさらに別の良い点を打ち出すことができれば、競合店対策は確実にうまくいきます。

しかし、競合店の悪い点ばかりを探してそれを参考にしたとしても、実際には、まともな競合店対策などできません。そのうち、競合店も悪い点を直すことにでもなれば、確実に負けてしまいます。

人でも店でも、政党でも相手の良いところに目がいかず、相手のあら捜しばかりしていては、相手の真の強みに思い至ることはできません。

さて、このようにストアコンパリゾンの注意点からみても、民進党のやっていることは、民進党にとっても良くないことであることは明白です。

民進党のやっていることは、ストアコンパリゾンであれば、競合店の悪いところばかり探しているようで、小学生にでもできるようなことばかりです。

まともな大人なら、安倍自民党政権の良いところを見出すべきです。そのうちの1つとしてあげられるのが、高橋洋一氏も指摘している「安倍政権は、マクロ政策の金融政策をうまくやって失業率を低位に保っている」ということです。

これが本当にどのようなコンテキスト(背景)のもとに成り立っているのかわかれば、民進党はまともな対策を打つことができるはずです。

そうして、それはさほど難しいことではありません。そんなことは、雇用状況が良くなって最も大きな恩恵を受けている若者から真摯に意見を聴けばすぐにわかるはずです。

そうして、それを真に理解すれば、自民党の上をいくことだってできるはずです。金融政策以外にも学べることはあります。

さらに、民進党は、自民党だけではなく、他党からも学べるでしょうし、海外の政党からでも、場合によっては、優良企業からだって学べるはずです。それには、謙虚な姿勢が必要です。

新聞などのマスコミも、自民党がなぜ高い支持率を維持し続けているのか、その背景をももっと報道するようにすれば、野党にとっても良いことです。

そのようなこともせず、ひたすら、「森友学園問題」や「加計学園問題」のような虚構ばかり追求しているようでは、もう先はありません。一時的に、安倍政権の支持率が落ちることがあっても、すぐに元に戻ることでしょう。そうして、民進党はますます支持を失うだけです。

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2016年10月28日金曜日

蓮舫氏を東京地検に告発 二重国籍問題で市民団体代表ら―【私の論評】危機管理能力のない個人も政党も存在価値なし!政界から消えたほうが国民のため(゚д゚)!


蓮舫氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 民進党の蓮舫代表の日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」問題で、市民団体「愛国女性のつどい花時計」の岡真樹子代表らが28日、国籍を選択する義務を怠り、参院選で虚偽の事実を公表したとして、国籍法違反と公職選挙法違反の罪で蓮舫氏に対する告発状を東京地検に提出した。

 民進党役員室は「事実関係がわからないのでコメントは控えたい」とした。

 告発状によると、蓮舫氏は17歳だった昭和60年1月に日本国籍を取得。国籍法に基づき、22歳になった平成元年11月28日までに日本国籍か台湾籍のいずれかを選択する義務があったにもかかわらず、今月7日に選択の宣言をするまで義務を怠った。また、16年7月の参院選(東京選挙区)に立候補する際、国籍選択の義務を果たしていないにもかかわらず、選挙公報に「1985年、台湾籍から帰化」と記載して虚偽の事実を公表したとしている。

市民団体「愛国女性のつどい花時計」の岡真樹子代表
 岡氏らは告発状で「本来であればこの事実(蓮舫氏の二重国籍)を知った有権者の投票による当選はなかった可能性が十分あり、当時の選挙管理委員会と有権者を欺いた」と主張している。

【私の論評】危機管理能力のない個人も政党も存在価値なし!政界から消えたほうが国民のため(゚д゚)!

まず今回の二重国籍問題の経緯を以下にまとめます。今まで、様々なことが断片的に言われてきました。そのため、全体像がはっきりしない人も多いと思います。私もその一人です。これを解消するため、以下に経緯をまとめます。
蓮舫氏は台湾人の父と日本人の母から生まれ、当時は旧国籍法だったため父の国籍が優先され、台湾人として生まれた。 
国籍法が改正され母の国籍である日本国籍を取得できるようになったため、18歳の時に日本国籍の取得を行った。 
それと同時に台湾国籍の離脱も行った。しかし父に手続きしてもらったため、本当に国籍離脱できているかはわからない。
このような経緯から蓮舫氏は二重国籍ではないかという疑惑が出てきたわけです。そうして、以下にも掲載するように、上記の発言は虚偽であったことが後にわかります。

国籍法の問題
さてまずこの問題を法的見地から考えます。関連する法律は国籍法14条及び16条です。

第十四条 
外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによってします。

第十六条
選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
今月15日、日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」問題について蓮舫氏は、都内の区役所に提出した台湾籍の離脱証明書が受理されなかったことを明らかにし、戸籍法に基づき「(日本国籍の)選択宣言をした」と都内で記者団の取材に答えています。

蓮舫氏は記者団に「(台湾籍の離脱証明書が)不受理なのでどうすればいいかと相談したら、強く(日本国籍の選択の宣言をするよう行政指導されたので選択宣言をした」と述べました。

蓮舫氏は9月23日に台湾当局から台湾籍の離脱証明書を受け取り、区役所に提出。後に、蓮舫氏は日本国籍の選択宣言を行ったのは10月7日と語っていました。ということは、つい最近まで日本国籍の選択宣言を行っていなかったということです。さらに、日本国籍を選択した時点で外国籍の離脱に努める義務があるのですが、それもつい最近のことです。

結局、台湾籍の離脱したにしても、それを都内の区役所に提出したのは、今年の9月23日であり、しかも台湾籍の離脱証明書は受理されなかったということです。これでは、どう考えても第十四条、第十六条違反です。

第十六条は罰則がない努力規定ですから一般人であれば特に問題とされることもないのでしょうが、国会議員という身分でありながら国籍法に違反している疑いがあるということは、問題です。

公職選挙法の問題
日本国の国会議員になる以上は国籍に関しては、出馬前にあらかじめ確認しておくべきであり、確認の上日本国籍の選択を宣言し、台湾籍を離脱してから、出馬すべきでした。もし、出馬までにこれができないというのなら、出馬すべきではなかったのです。

それをせずつい最近まで、放置してきたというのは蓮舫氏の怠慢です。蓮舫氏は民進党の代表有力候補と言われており、政権を取ることを目標にしているわけですから蓮舫氏が総理大臣になる可能性もあるわけです。

仮に日本と台湾の二重国籍の問題がある人間が総理大臣になった場合、日本と台湾の外交問題が生じた時日本と台湾の間には利益相反であることがもあります。二重国籍の問題のある総理大臣が日本の国益に沿った外交はしない可能性があります。

今のところ、蓮舫氏の二重国籍問題に関する経緯は以上のような内容です。しかし、これも発言が一転、二転しているため、おそらくこれが正しいであろうという類推に過ぎません。

国籍法の問題に関しては、罰則規定などがないので、特に裁判になっても、国籍法に基づき蓮舫氏が罰せられるということはないでしょう。

しかし、国会議員、そうして野党第一党の代表としては、道義的責任は免れないはずです。さらに、野党第一党の代表として、たとえいかなる理由があるとしても、自身の国籍に関して明白な虚偽である内容を述べ、国民を惑わした責任はまぬがれるものではありません。

このあたりについて、マスコミははっきりと報道しません。さらに、自民党側も徹底追求という構えは示していません。このことに、憤りを覚える人もいるかもしれません。

国会の場を「お白洲」として、この問題を公開の場で追求しはっきりさせるべきであると考える人も多いでしょう。

確かに、「お白洲」方式は効果があります。しかし、昨日もこのブログに掲載したように、「お白洲」方式には、それを効果的にするためには、それなりの原則と順番というものです。以下に、昨日の記事のリンクを掲載します。
豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解―【私の論評】お白洲方式を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、豊洲問題の議論過程を公開(お白洲方式)にしたことで、現状の豊洲市場には構造上の問題はないということで、解決しそうであること掲載しました。そうして、このお白洲方式を成功させるためには、原則と順番があることを掲載しました。

以下に、結論部分のみ引用します。
「お白洲」方式を成功させるためには、まずは「何が正しいか、何が間違いか」を議論すること、そうして議論する人の人選を間違えないこと。これが絶対原則です。

この原則を忘れて、都議会が、小池知事が、都の役人が、挙げ句の果てに元石原都知事が正しいとか、間違いかという議論をしていても議論が不毛になるだけです。そんなことよりも、まずは何が正しくて、何が間違いかを議論し、それがはっきりした次の段階で、必要があれば、誰に責任があるかを明確にするべきです。順番を間違えた論議は、不毛です。

今後「お白洲」方式を他の場面でも多く採用していただきたいのは、やまやまですが、この原則を忘れたものは無意味です。
今回の、蓮舫氏の二重国籍問題に関しては、国会や、国会の委員会でガチンコ対決をやらせるという「お白洲方式」も考えられます。

しかし、国会での追求となれば、互いに利害が複雑に絡みあった同士が、ガチンコ対決をするということになり、人選はかなり難しいです。さらに、「何が正しいか、何が間違いか」を議論することも難しいです。なぜなら、特に民進党や自民党も党利党略がどうしても絡んでしまうからです。

このよう状況では、なかなか結論が出ないでしょう、それに結論が出たとしても、結論がどのようなものになっても、なかなか納得しない人も大勢でることでしょう。

であれば、裁判にしたほうが良いです。裁判を「お白洲」にすれば良いのです。法律に照らして、二重国籍問題を明らかにし、蓮舫氏の二重国籍問題の何が間違いかを明らかにすることができます。

たとえ、結論がでなくても、十分な議論をつくすことにより、蓮舫氏の道義的責任ならびに、法律に照らした上での間違いも明らかになることでしょう。これが明らかになれば、政治的決着もつけやすいです。その意味では、今回の告発は有意義なものと思います。

テレビなど、あまり報道しないので、二重国籍問題に関してあまり深刻に考えない人も多いようですが、結論からいうともう、民進党は蓮舫氏の二重国籍で泥船状態です。いつ沈むかわかりません。にもかかわらず、蓮舫氏は、24日にとんでもない発言をしています。
蓮舫代表、小池知事の政治塾「我々の仲間も参加したい」 
 民進党の蓮舫代表は、TBS番組「時事放談」の収録で、東京都の小池知事が 近く立ち上げる政治塾について、「我々の仲間も機会があれば参加したい」と述べました。  
「豊洲の問題をはじめ、これは東京都政なんだという認識を前面に出した小池知事は すばらしい。政治は国政だけじゃない、都政のための都民ファーストの政治塾という考え方は 極めて合理的だし、我々の仲間も勉強させていただける機会があれば参加したいと思う」
(民進党 蓮舫代表)  
 一方、自民党の石破前地方創生担当大臣も小池都知事の動きについて、「新しい政治の流れが 出てきたことは間違いない事実」と評価しました。(24日10:50)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2876110.html
この記事、すでに削除されています。民進党をサポートするTBSとしても、この発言さすがにまずいと判断したのでしょう。 蓮舫氏が語るように小池知事の政治塾に「我々の仲間も参加したい」ということになれば、泥船「民進党」を見限って、他党に鞍替えしたいと考える民進党議員にお墨付きを与えることになります。

そうなれば、小池氏の政治塾に多数民進党議員が参加し、将来の新党に鞍替えするようなことが生じる可能性が大です。

それにしても、蓮舫氏は自分の頭のハエも追えないような状況の中で、この発言とおなじように国会でもあいかわず、舌鋒は鋭いものの空虚は発言を繰り返しています。このような発言をするのですから、余程危機管理能力がないというか、危機管理に関しての関心が希薄なのでしょう。

結局、この危機管理に関する関心の希薄さが、今回の二重国籍問題を招いたのだと思います。

危機管理関する関心が希薄な人間は、本来政治家になるべきではないです。民進党は本来は、蓮舫氏の二重国籍問題が明るみに出た時に、最低限、民進党代表選に出馬させないとか、少なくとも民主党の党籍を剥奪するとか、場合によっては蓮舫氏の議員資格に対して疑義をはさむというようなことをすべきでした。まるで何事もなかったかのように、罰することも何もしなかったのは明らかな間違いです。

今のままだと、次の選挙ではかつてないほどの大敗を喫することでしょう。その後は、かつての社会党のように消え去る運命です。それも、組織としての危機管理能力がないということで致し方ないのかもしれません。

危機管理能力のない個人も政党も、そもそも存在価値はありません。消えたほうが国民のためです。

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2013年11月10日日曜日

[高木桂一の『ここだけ』の話]真夏の“怪”!? 共産党「躍進」なのに『赤旗』は大幅減―【私の論評】結局国民に対する気遣いのできない政党は凋落するのみ!それは、自民党も例外ではない!平成15年に総裁選で安倍総裁以外の総裁が擁立されれば、自民党もそうなる!!


7月の参院選で当選し、臨時国会に初登院した8人の共産党議員たち=8月2日

7月の参院選で12年ぶりに選挙区で議席を獲得するなど「躍進」を果たした日本共産党だが、党勢拡大の基盤たる機関紙「しんぶん赤旗」の購読部数は同月、大幅に減少していた。参院選の結果について、共産党指導部は「従来の支持層以外からも幅広く支持を得た」と胸を張っている。ならば機関紙の部数は増えてよさそうだが、選挙真っ只中での「赤旗」の後退は「やはり…」ということらしい。

共産党関係者によると、7月の「赤旗」購読部数は6月比、日刊紙(月額3400円)が5411部、日曜版(同800円)が2万2204部それぞれ減らし、トータルで2万8000部近く落ち込んだ。

とりわけ党の財政基盤となる「赤旗」日刊紙の購読者数はこの10年余の間に36万人から24万人余に後退していたが、ついに「23万部割れ」となった。3日付「赤旗」日刊紙で岩井鐵也党建設委員会責任者は「日刊紙は23万を割るという事態にあり、この打開が緊急課題だ」と危機感を示し、8月の巻き返しを党内に呼びかけた。

共産党はこれまでも、国政選挙前の数カ月に「赤旗」購読者数拡大への「大号令」を全党にかけ、部数を瞬間風速的に増やしながら、選挙中にそれを減らすのが“通常”だった。同党幹部はその理由をこう打ち明ける。

「『選挙まで赤旗をとってほしい』と知人に期限付きで購読を無理強い頼み込み、部数を増やしてきたケースが多いからだ。また選挙期間中は党員も選挙運動に専念せざるを得ず、赤旗の部数拡大まで手が回らない事情もある」

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【私の論評】結局国民に対する気遣いのできない政党は凋落するのみ!それは自民党も例外ではない!平成15年に総裁選で安倍総裁以外の総裁が擁立されれば、自民党もそうなる!!

他紙とは対照的に赤旗だけが、消費税増税に最後まで反対

政党の機関紙なるもの、何も共産党機関紙だけではなく、他党のものも減っています。新聞購読そのもが減っている現在何も共産党機関紙だけが減っているわけではないと思います。

これについては、たまたま2006年の東奥日報の記事がありましたので、以下にそのURLと内容を掲載させていただきま
す。
コンサートでも機関紙配布/部数減に悩む各党 

政党機関紙の部数減に悩む各党が、読者拡大に知恵を絞っている。自民、民主の二大政党は無党派層を狙ったPRを展開、共産、社民両党は従来の支持者から周辺にじわじわと拡大する戦略だ。(部数は各党による) 
 ▽高齢者向け特別号
今月二日、東京の日本武道館。グループサウンズ「ザ・ワイルドワンズ」の結成四十年記念コンサートで、自民党の機関紙「自由民主」が配られた。リーダーの加瀬邦彦(かせ・くにひこ)さんと中川秀直自民党幹事長の対談を掲載した特別号だった。 
 自由民主の発行部数は六十八万部。担当者は「機関紙の存在を知らない人と触れ合う機会をつくりたかった」と話す。プロ野球OBによるマスターズリーグの会場では、四年前から「高齢者を元気に」とのコンセプトでつくった増刊号を配布している。 
 民主党は、昨年九月の衆院選惨敗を機に広報戦略を見直し、ニュース発信の重点をホームページ(HP)に移した。機関紙「プレス民主」(七万部)の発行は月二回から一回に減らしたが「サラリーマンが電車の中で広げられる機関紙」を掲げて紙面を刷新。サイズをタブロイド判からA4判に縮小し、写真をふんだんに使ったビジュアル路線に転換した。HPとの違いを出すため、独自に小沢一郎代表のコメントを掲載するなど工夫しているという。 
 ▽老舗ブランド
政党機関紙の老舗は、共産党の「しんぶん赤旗」(百六十四万部、日曜版含む)と公明党の「公明新聞」(八十万部)だ。特に赤旗は党収入の八割以上を支える大黒柱。担当者は「テレビ討論でも一般紙でも、共産党の主張が公平に扱われないことが多い」と指摘、機関紙の意義を強調する。 
 ピーク時には三百五十五万部(一九八〇年)を発行していただけに「党外に一人でも多くの読者を獲得したい」と意欲をみせ、市民参加型の韓国のインターネット新聞「オーマイニュース」の研究も進めている。 
 公明新聞は「法案や政策の解説の分かりやすさが売り」と担当者。全国約三千二百人の議員が先頭に立ち、主に首長や自治体関係者を対象に部数拡大を目指すという。 
 社民党の「社会新報」も、前身の社会党結党以来の歴史を持つが、発行部数は最盛期の五十六万部から十五万部まで落ち込んでいる。 
 共産党と同様、党員が配布や集金を受け持つが、高齢化で要員を確保しにくくなっているのが悩みの種。今後は写真を増やして読みやすい紙面をつくり、党員の友人や知人に読者を広げる考え。来年の参院選後をめどに、抜本的にリニューアルする方針だ。
このようなことを知ってから、上の記事をみると、なにやら作為的であることが理解できます。上の記事本当は、他党の機関紙と比較の上で論じるべき筋のものだと思います。これは、たとえ共産党が夏の参議院議員選挙で議員数が増えたからといって、共産党そのものの支持が増えたわけではないことを言いたいのか、あるいはそのように誘導しているようにも見えます。

それを主張したければ、やはり、客観的にするために他党の機関紙との比較だけは掲載すべきでした。

ただし、私は共産党の支持者でもなく、高木桂一氏の結論に反対しているわけでもありません。しかし、やはり、上のやり方はフェアではありませんし、科学的でもないです。エビデンスを出すなら、より客観的にすべぎてす。自らの憶測であるというのなら、それはそれで紛らわしいことをせず、はっきりと主張すべきと思います。

私自身は、様々なことから判断して、確かに参議院議員選挙で共産党議員の数が増えたからといってこれは、共産党に対する支持が増えたというよりは、どの党も支持しない無党派層の人が、誰に入れて良いかわからないので、特に入れたとしてしも大きく変わるということはあり得ない、共産党にたまたま入れたというのが真相だと思います。

会見で笑顔を見せる共産党の志位和夫委員長(右)と市田忠義書記局長 昨年の衆院選挙

たまたま、選挙のときに、それが正しいかどうかは別にして、なんとなく良さそうなことを候補者が語っていると感じたくらいのことで、積極的に支持するということもなく、入れてしまったということであり、次の選挙でまた共産党の候補者に入れるという確証はほとんどないと思います。ましてや、次の選挙共産党がさらに得票数を伸ばすということはあり得ないと思います。共産党が現在議員数が増えたということで、ぬか喜びをしていれば、次の選挙では手痛いしっぺ返しをくらうと思います。

それにしても、最近の共産党は、つまらないことで話題が多いです。その例をあげておきます。

まず第一が、伊豆大島(東京都大島町)の川島理史(まさふみ)町長が、台風が接近した今月15日夜に出張先の島根県隠岐の島町で飲酒していたという問題です。

川島理史(まさふみ)町長

川島氏は、町議を4期務めた後、平成23年4月の町長選に共産党推薦で出馬し、防災対策などを訴えて初当選しました。10年に1度と言われた大型台風が接近する中での出張や飲酒という危機意識の低さに共産党もかばいようはないのでしょう「赤旗」にはこれに関する記事は全く出していません。本来ならばいくら身内とはいえ、少なくとも他紙なみには批判・非難をすべきだったでしょう。それに、新聞ではなくても、共産党で呼び出すなどして、内部で徹底的に叱責すべきだったと思います。

次に、共産党は普段から、その背景もわからずブラック企業を批判しているのですが、その共産党自身がブラック企業的な振る舞いをしていたというものです。

ブラック企業が多くなったのその根本原因はデフレである

これに関して、産経新聞のサイトに短い記事が掲載されていましたので、以下にそれを掲載します。
共産党こそ“ブラック企業”? 
 共産党の穀田恵二国対委員長が7日の衆院本会議で特定秘密保護法案の質疑を行った際、当日の午前3時半まで質問内容を政府側に伝えず、答弁作成にあたる内閣官房など関係省庁職員が明け方まで待機していたことが8日、分かった。 
 国会では政府側に対する質問の事前通告を、原則として前々日正午までに行う申し合わせはあるが、実際は前日夜となるケースが多い。自民党や日本維新の会など他の政党は前日の6日午後8時過ぎまでに質問を通告したのに対し、7分間の質問時間が割り当てられていた共産党だけが遅れ、担当職員が徹夜作業を余儀なくされた。 
 穀田氏の事務所は「故意ではない。質問することが急に決まったので通告が遅くなった」と釈明するが、関係省庁幹部は「過酷な労働を強いるブラック企業を批判する共産党だからこそ、配慮してほしかった」と不快感を示している。
共産党、身内のことをかばい、国会で質問するにしても関係省庁の職員が徹夜することがわかっていながら、事前通告を遅らせています。

なにやら、これに似たようなことは、以前どこかで聴いたようなことがあります。なにやら、身内の不祥事には甘く、天皇陛下に対する配慮も欠いた人たちの集まりがありました。そうです。あの民主党です。

民主党は、身内の不祥事にはかなり甘かったです。それに、政権与党時代には、陛下という日本の最高権威に対する気遣いすらできないおかしな集団でした。

陛下に対する気遣いのなさについては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
天皇陛下「夜のご執務」相次ぐ 書類が来ない…―器の小さい民主党
この記事は、民主党政権時代に、民主党では「閣議」が夕方に開催されることが多くなり、結果として陛下の夜の執務が増えたことを掲載して、民主党の配慮のなさを指摘して、批判しました。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下にそれに関連する部分のみをコピペさせていただきます。
天皇陛下の夜間のご執務が相次いでいる。御体調不良を訴えあそばされた2日も、静養中の皇居・御所で、午後9時ごろまで書類の決裁をされた。通常国会が開会した1月18日以降、内閣が意思決定する「閣議」が夕方に開かれるケースがみられるようになり、皇居に書類が届く時間が遅くなっていることが原因だ。陛下が平成20年12月に体調を崩されあそばされて以降、宮内庁はご負担軽減策を検討しており、夜間のお務めの常態化を懸念する声も出ている。
閣議などきちんと準備をしておけば、夕方にするなどの必要性など全くありません。しかも、あの何もしないで、漂流していた民主党の閣議など、ほとんど無意味なものだったと思います。そんな無意味な閣議の決定事項など、わざわざ、その日に御所にお伝えするのではなく、次の日でも良かったはずです。民主党の配慮のなさは、これだけではありません、この以前にももっと酷いことがありました。
中国・習近平副主席と天皇陛下の会見が各所で波紋を呼ぶ-国難が迫ったときには必ず天皇制が表に出てくる!!
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、民主党政権時代の話です。実際には、現在は二人とも民主党に在籍していない、鳩山氏、小沢氏の民主党時代の所業について掲載してあります。一部分だけ、以下に抜粋してコピペさせていただきます。
自民党・谷垣総裁は13日、14日に来日する中国・習近平副主席と天皇陛下の会見を鳩山首相が特例的に指示したことについて強く批判した。 
 谷垣総裁は「権力行使の抑制とか、そういう感覚をこの政権が持っているかどうか、最もデリケートな部分に対して権力をどう行使していくか、方向感がめちゃくちゃだと思います」と述べ、「鳩山政権がこういう行動を取ったことが日本の政治を悪くした始まりだったということにならないか、強く危惧(きぐ)している」と懸念を示した。 
 鳩山首相の指示については、天皇陛下と外国要人との会見は1か月前までに申請するという政府内の取り決めが守られなかったことに対し、政府・与党内からも「二度とあってはならない」などと批判の声が出ている。
民主党が身内の不祥事についてはかなり甘かったということに関しては、あまりにたくさん事例がありすぎるので個別の事項は掲載しませんでしたが、自民党時代であれば、すぐにも辞任したような閣僚が、民主党では人員不足のためか、すぐには辞任せずにしばらく在籍していて、結局辞任したということがあまりに多すぎでした。一番お粗末なのは、本来答弁すべきときに予算委員会を「中座」して、国会食堂でコーヒーを飲んで15分居なかったことで「辞任」を迫られ、結局辞任したた田中直紀元防衛大臣です。




それに、天皇陛下に対する気遣いのなさも酷いもので、先に掲載した二つの記事のようなことは他にも数多くありました。陛下に対して気遣いかできないのですから、あの当時から一般の人に対しても気遣いなどできなかったのは当然のことです。

もっとも、酷いのは、彼らのいうところの政治主導です。できもしない、官僚を無視して、自分たちだけで政治活動をするということで、役人全体を敵にまわしてしまいました。役人側からすれば、何でも自分たちでやるというなら、"やってみろ"という感覚になるのは当たり前です。こんな馬鹿なことをしてしまったので、結局民主党政権は、何も決められないまま、漂流していたというのが実体です。天皇陛下も、官僚に対する気遣いもない民主党は、結局国民に対する気遣いも全くかけており、それが、昨年の選挙での民主党の大敗に結びついたのは、間違いありません。

民主党の政治主導は象徴である事業仕分けは単なるパフォーマンスに過ぎなかった

今の共産党も似たり寄ったりです。国民対す気遣いが徹底的に欠けています。それに、身内が不祥事を起こせば、外の人間以上に厳しく処断するのが当たり前という感覚もありません。こんな党では、たまたま議員数が増えたとしても、それはたまたまであって、本当は支持されてはいないとみるべきです。

今の自民党を見ていると、安倍総理と一部の関係者を除いては、民主党とあまり変りありません。民主党の最大の罪は、本当は似たり寄ったりなのに、自民党が民主党よりは少しはましということを多くの国民に信じ込ませてしまったことかもしれません。

とにかく、国民対する気遣いができない政党は、結局国民の支持を失うのです。そういった、意味では、共産党も民主党もこれからさき細るばかりであり、万年野党の地位から這い上がることは永遠に無理です。

自民党は第一次安倍内閣の崩壊の悪夢を繰り返すのか?

それに、自民党だって、今は良いですが、安倍総理大臣の方針のもとで一致団結して頑張れば政権与党の地位をしばらく維持できますが、安倍長期政権を樹立できずに、安倍おろしを強行したり、平成15年の段階で安倍以外の総裁が誕生したとしたら、先はないでしょう。現実は安倍総理とこれに近い人々だけが国民の支持を受けているのであって、自民党が支持を受けているわけではありません。もし今回安倍総裁が実現しなかった場合の自民党はこれだけの支持を受けることができたでしょうか?おそらく、出来なかったことでしょう。

安倍総理が支持される理由としては、日本国内には残念ながら他には「戦後体制からの脱却」をまともに考えている人がいないということが主な理由です。現在の世界において、混迷するアジア情勢に対処できる人は彼しかいないからです。これを、勘違いする自民党議員がそれを改めない限りいずれ凋落するでしょう。そうならないためにも、自民党は安倍政権を守りぬくべきです。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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