2016年11月6日日曜日

現実味帯びてきたトランプ氏の大逆転、3つの必勝シナリオ 泥仕合の大統領選―【私の論評】大統領選ですべてが決まるわけではない、忘れてはならないもう一つの選挙(゚д゚)!

現実味帯びてきたトランプ氏の大逆転、3つの必勝シナリオ 泥仕合の大統領選

大逆転の可能性が現実味を帯びてきたトランプ氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
「世界の警察官」ともいわれる米国大統領に、数々の暴言で知られる共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)が就任するかもしれない。8日の大統領選目前で、民主党候補のヒラリー・クリントン氏(69)の私用メール問題が再燃し、トランプ氏が逆転したとの世論調査結果もある。専門家が描くトランプ氏の「3つの必勝シナリオ」とは。

 米メディアはこれまで、クリントン氏優勢との見方が大半だった。しかし、投票が近づいた10月下旬、クリントン氏の私用メール問題について米連邦捜査局(FBI)が捜査再開を明らかにしたことで、風向きが変わった。世論調査によっては、トランプ氏がリードする結果もあり、予断を許さない情勢になったのだ。

 トランプ氏が大統領選で当選するとしたら、どんなケースが考えられるのか。米国政治に詳しい福井県立大の島田洋一教授が想定するのは、(1)連邦最高裁判事の人事問題をアピールして、トランプ氏から離れた保守派の支持を取り込む(2)私用メール問題でクリントン氏が窮地に陥る(3)あってはならないが、イスラム系移民によるテロが起きた場合-の3つだ。

 ■(1)最高裁人事

 まず最高裁をめぐっては現在、リベラル派4人、保守派4人の判事で構成されている。本来は9人だが、保守派の判事が今年2月に急死。オバマ政権と共和党との軋轢(あつれき)で空席のままとなっているのだ。

 最高裁判事は終身制のため、仮に50歳前後の新判事が選ばれた場合、数十年にわたって務める可能性がある。島田氏は「クリントン氏が大統領になると、進歩派主導の最高裁になる。トランプ氏は『私が選ぶ判事と、クリントン氏が選ぶ判事のどちらに数十年やらせますか』と、もっとアピールするべきだろう」と語る。

 現に共和党候補の指名争いで最後までトランプ氏と争ったテッド・クルーズ上院議員は9月、トランプ氏支持を表明した。その背景には、クリントン氏を勝たせれば、リベラルな連邦最高裁判事を任命するなど、オバマ路線が継承されることになると判断したというのだ。

 ■(2)メール問題
 メール問題では、クリントン氏のメールの内容が今後明らかになるなかで「露骨に賄賂を要求しているような内容のものだったら刑事事件になる可能性がある」と島田氏。


 ■(3)移民テロ

 さらに、テロに関しては、「あってはならないことだが、仮にシリアから入ってきた難民などからテロを実行する人間が出てきたら、『クリントン氏はこういうリスクのある人を入れようとしている』ということで、数ポイントは(トランプ氏支持に)動くのではないか」とみる。

 現実的な情勢としては、クリントン氏がやや有利といい、島田氏は「米国の選挙のプロは激戦区のペンシルベニア、オハイオ、フロリダの3つの州が大事だとみている。トランプ氏はこの3つを全部取らないといけないし、取れば勝てる」と話す。

 クリントン氏の問題に加え、トランプ氏のセクハラ疑惑も取り沙汰され、「泥仕合」となった大統領選。最後まで情勢は流動的のようだ。

【私の論評】大統領選ですべてが決まるわけではない、忘れてはならないもう一つの選挙(゚д゚)!

米大統領選と同じ8日に投開票される連邦議会選も注目されています。特に、上院選は注目の的です。

なぜなら、大統領選挙に勝利しても、議会選挙で民主党が勝てなければ、就任初日からヒラリー政権は「レームダック」政権になってしまう可能性があるからです。

仮にヒラリー政権が実現したとしても、その行方を握るのは連邦議会選挙の勝敗だから
です。アメリカの大統領の立法権限は極めて限られています。大統領側の政党が議会で多数派を握ってなければ、野心的な法案は何も通ることはありません。

振り返れば、オバマ大統領の大型景気刺激策、医療保険改革法など目玉の立法成果は、すべて1期目の最初の2年間だけでした。なぜなら、その時期だけ民主党が上下両院で多数党だったからです。

2010年の中間選挙(大統領選挙がない年の連邦議会選のこと)で民主党は大敗し、下院で少数党に転落しました。この時には、ティーパーティの台頭もあって、「片肺飛行」のオバマ政権は立法面で立ち往生しました。さらに民主党は2014年中間選挙で、上院も喪失。オバマ政権2期目の目玉法案「銃規制」「移民改革」を実現することができませんでした。

アメリカ大統領というと、日本では権限が集中して何でもできるように考える人も多いですが、それは間違いです。平時は、世界で最も権限の弱いリーダーです。ただし、大規模な戦争となり、それに参戦することを議会が認めた場合、戦争を遂行するために一挙に大統領に権限が集中するようになっています。

平時においては、司法が最も強力なのがアメリカです。そうなると、現状では拮抗しているものきが、クリントン氏が大統領になることによって、民主党系の人間が判事になった場合、司法はリベラル・左派が多数になるわけです。これは、保守派にとっては確かに耐え難いことです。

さらに、政治の継続性の原則から、アメリカではたとえ政権交代(議会最大党派の政党の人間が大統領になる)が起こった場合でも、政権交代が起こったからといって何もかも変わるというわけではなく、新製権も6割から7割り程度は、旧政権の政治を継続し、残りの3割から4割程度で新製権らしい政策を実行するという具合です。

しかし、その政権交代の実現も未だはっきりしません。直近の情勢は上院が接戦で、下院は共和党が優勢だ。現有勢力は上下院とも共和党が多数派を占めオバマ大統領の手足を縛っていました。両候補ともに議会選の勝利は悲願です。

議会選は上院(100議席、任期6年)の3分の1と、下院(435議席、任期2年)の全議員が改選されます。上院の現有議席は「共和54、民主46」で、下院は「共和246、民主186」です。
上院は接戦です。米紙ニューヨーク・タイムズによる上院獲得議席の予測は「共和46、民主46」で未定は8。議席は「50対50」と同数になる可能性が最も高いとみています。この場合は上院議長を兼任する副大統領が可否同数の採決で1票を投じるため、大統領選で勝った陣営が多数派となります。

ブロク冒頭の記事にもあるように、最高裁判事は定員9人で、2月に保守派の1人が死去。現状は保守とリベラルが4人ずつで拮抗しています。オバマ氏は後任を指名したのですが、共和党支配の上院が承認を拒んでいます。上院を民主党が奪還すれば、最高裁のバランスがリベラルに傾く可能性があります。

一方、下院は共和党が優勢です。米政治専門サイトのリアル・クリア・ポリティクスの獲得議席予測は共和224、民主190で未定は21人。共和党はすでに過半数(218人以上)を固めています。

トランプ大統領が現実のものとなった場合、トランプ政権は共和党議会指導部としても制御不能かつ予測不可能です。それよりは、共和党議会多数派の維持のほうが、共和党の主流派の望む保守政治継続の確実な道でもあります。

実は、今回の連邦上院選挙は民主党に追い風です。2010年のティーパーティ旋風で「棚ぼた」当選した議員の再選年が、今年2016年に集中しているからです。

改選議席は民主の10に対し、共和は24。トランプ勝利でも、民主党は上院で5議席勝利すれば多数派の地位を奪還できます。ヒラリー勝利の場合は、副大統領が議長として1議席に含まれるので、さらに少ない4議席でよいことになります。

11月1日時点の「リアル・クリア・ポリティクス」世論調査平均の予想では、共和党は落選確実が1議席、当落線上が7議席もあるのに対して、民主党は落選確実が0で、当落線上も1議席だけです。

トランプに対する好悪が共和党内で割れていることは、議会選挙の結果予測を複雑にさせています。通常、中間選挙は地元議員を支持する党派的な有権者しか参加しないので投票率が低いのに対して、大統領選挙は議会選挙の票を活性化します。

しかし、今回はトランプを好まない共和党有権者が「棄権」を選択し、それが議会選挙に悪影響を与える可能性も皆無ではありません。

各州の有権者が候補者に秘密投票で特定の候補者投票を宣言している代議員に投票する予備選挙では、共和党参加者が民主党を上回っていました。その点だけを切り取れば、共和党の本選投票率は高くなるかに思えます。

アイオワ州の党員集会前日、トランプ候補の選挙キャンペーンに参加する支持者たち(2016年1月31日)
しかし、熱心なトランプ支持者の多くは、初めて予備選に参加した無党派層です。彼らは反移民、保護貿易主義などでトランプ個人を好いています。大統領選挙の投票率を底上げしてくれるのですが、共和党には関心がなく、議会選挙を左右する献金や動員など草の根活動にも興味を示さないという問題があります。

主流派の票の行方も見えません。女性問題でトランプに嫌悪感を感じている郊外女性や穏健派を失えば、議会選挙の共和党候補が巻き添えをくらうことになります。地盤の弱い共和党議員から順に、トランプ支持を取り下げているのはそのためです。

レストラン「フーターズ」でご満悦のトランプ氏
11月8日(現地)の投票日は、大統領選挙の勝敗以外に、連邦議会選挙で民主党が上院で多数派を握れるか、下院の議席がどの程度縮まるかも注目点です。

クリントン大統領で、上院が民主党が多数派になる、トランプ大統領で共和党が多数派になるということであれば、これからの米国の出方を予想するのは比較的簡単なのですが、クリントン大統領で、上院が共和党多数派になった場合と、トランプ大統領で、上院が民主党多数派となった場合は見極めが難しいです。

まだ、まだわかりませんが、今のところ大統領選挙はクリントン氏勝利、上院は均衡、下院は共和党が多数派というねじれ状態になる可能性が高いと個人的には思います。この場合の経済的な予測それもミクロのみ簡単に掲載します。

予算の先議権を持つ下院が共和党となることで各種政策の実行性に問題が生じる可能性があり、短期的に米ドルの下落が発生するかもしれません。

とはいえ、米国建設・土木関連セクターについては共和党もインフラ改善を重要視しているので上昇を期待できそうです。また、米国軍事関連セクターもオバマ外交への批判からタカ派が優勢となると思われ、上昇を期待できそうです。一方で、米国製薬セクターはクリントン氏だけでなく共和党も高額医薬品に批判的で弱含むかもしれません。

日本株全体としては円高と製薬株の下落懸念に加えて、12月のFOMCにおける利上げが強く意識されて若干の弱含みとなるかもしれません。米ドル対相場は一旦円高に向かうも米国の利上げにより値を戻すと予想します。

大統領選と蓮舫議会上院の選挙でアメリカは変わる(゚д゚)!

大統領選がトランプ氏勝利で、上院均衡、下院共和党多数派となったとすると、軍事関連セクターは若干弱含みになるかもしれまんが、いずれにせよ経済的にはあまり変わりはないと思います。その他は、なんとなく想像はつくのですが、それにしても大統領が決まっていいない現在では、それを掲載する意味がありません。

その他、安全保障や、対日本政策については、いずれが大統領になるかによってかなり大きく変わってくると思います。これについては、選挙が終了してから掲載しようと思います。

いずれにせよ、現在日本のメディアは大統領選ばかり熱心に報道しますが、連邦議会の上院選の結果もこれからのアメリカを占う上で重要だということです。

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2016年11月2日水曜日

天皇陛下発言の政治的利用を許してはならない―【私の論評】マスコミは宮内庁内の非公式組織の情報を垂れ流したことを猛反省すべき(゚д゚)!


独善的な解釈を堂々と掲載する朝日新聞

古森 義久

国際福祉協会の創立60周年記念慈善晩さん会に出席時にダンスを披露される天皇皇后両陛下
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

    天皇陛下の「生前譲位」をめぐる議論が波紋を広げている。

この議論において、国民も政治家も絶対に避けるべきなのは、天皇陛下の発言を政治的に利用することだ。ご発言の「真意」なるものを自分の政治的な主張に都合のよいように曲解し、「天皇陛下は実はこう思われているのだ」と断じる政治操作である。

なぜなら、天皇陛下ご自身が日本の政治には直接関与せず、あくまで中立の立場を保たれることが絶対に守られなければならない鉄則だからだ。

日本国憲法第1章「天皇」の第4条は、天皇陛下は「国政に関する機能を有しない」と明記している。天皇は憲法の交付や国会の召集などの国事行為を委ねられていても、それらの行為はすべて「内閣の助言と承認」に基づき、「国民の総意」が大前提とされる。天皇はあくまでも内閣や国民が決めたことの儀礼的な手続きの実施にあたるだけである。つまりは、政治の実権には関わらない「象徴」なのである。

だから今回の「生前譲位」も、天皇陛下は単に自らの譲位を求められただけであり、その背景に政治的な意図や意思があるはずがない。あってはならないのだ。

  久米氏の発言を誘導する菅沼記者

ところが、そうであるにもかかわらず、朝日新聞はその「ご発言」に政治的な意図があると勝手に断じる記事を堂々と載せている。

朝日新聞では10月17日夕刊から「人生の贈りもの わたしの半生」という合計10回からなるインタビュー記事の連載が始まった。登場するのは、テレビやラジオで活躍する久米宏氏(72)である。インタビュアーは朝日新聞記者で「報道ステーション」にも出ていた菅沼栄一郎氏だ。

記事が掲載されていたのは夕刊の文化面である。普通に考えれば、タイトル通り、インタビューされる人物の半生をいろいろな角度から紹介し、文化や芸術という視点からその生き方に光を当てる記事であるはずだ。

ところがこの記事は、冒頭から朝日新聞のお決まりの政治的主張が展開される。以下のような具合である。

――(菅沼記者の質問)やはり、戦後、新憲法世代ですね。

久米宏氏 「日本国憲法はたぶん、日本が世界に誇れる唯一のものだと思うんです。日本という国があってよかったな、と世界の人が思ってくれる要素は何があるかな、と考えると、ウォークマンは作ったりしたけれど。こういう憲法が先進国の中にあるんだ、っていうのは自慢のタネですよ。せっかくの宝ものをなくすことはないと思う」

――先日のラジオで、「生前譲位」会見を取り上げました。天皇陛下の「お言葉」は「今の新しい憲法を守ってください」との意味を含んでいる、と。

「『象徴』という言葉を8回も使っていた。天皇が象徴だというのは現憲法で初めて使われた言葉ですから、国民の総意に基づいた象徴であると、なぜ、これほど繰り返したのか。現憲法を尊重しているからだと思う。

『お言葉』が発表されたのが8月8日でした。広島に原爆が落とされた6日と長崎の9日に挟まれた日を選んだのは、平和を守って欲しい、というメッセージではないか。ぼくの勝手な解釈ですよ。私は、天皇制(ブログ管理人注:共産党用語)にはやや疑問を持っていますが、天皇と皇后の大ファンであることは間違いない」

  政治的な意図や思惑を排して議論するべき

まず、菅沼記者が久米氏を誘導する形で、久米氏の憲法論を引き出している。そして久米氏がそれに乗るように、明確な根拠のない独善的な主張を展開している。

久米氏は民放ラジオの番組で、天皇のご発言の本当の意図は憲法改正への反対表明だという“解説”をしたようである。インタビュアーの菅沼記者はその解説を知って、久米氏の言葉を改めて引き出したということだろう。朝日新聞が自分たちの政治的主張を発信するために、久米氏を引っ張り出したのだとも言える。

個人のブログならまだしも、大手全国紙が「天皇の発言にはこんな政治的意図がある」という解釈を堂々と載せている。自分の政治的主張を述べることはもちろん自由である。だが、天皇陛下のご発言に独自に政治的解釈を加え、それをマスコミが大々的に発信するのはプロパガンダであり、デマゴギーである。

これからの天皇のの問題を考え、論じるには、まずこうした政治的な意図や思惑をすべて排することが必要だ。それこそが、健全な民主主義の国のあり方の論議であろう。

【私の論評】マスコミは宮内庁内の非公式組織の情報を垂れ流したことを猛反省すべき(゚д゚)!

上の記事で問題になっている朝日新聞の記事をデジタル版からそのまま引用します。
(人生の贈りもの)わたしの半生 放送人・久米宏:1 72歳
ラジオに戻ってからの発言は、テレビ時代より踏み込んだ「直球」が少なくない
■他の人がやらないことをやっていく 
――生まれたのは戦争が終わる約1年前。戦中派ですか。 
 埼玉県の児玉(現本庄市)という所に疎開して、農家のワラぶき小屋に6人家族で住んでいました。ベニヤ板で半分に仕切られた向こう側には別の家族が住んでいました。近くの川で毎日、シジミをとっていました。「シジミは滋養があるからね」と母親はいつも言っていた。飢え死にはしたくない、と子ども心に思っていたことを、はっきりと覚えています。ただ、戦争の記憶はまるでない。 
 ――やはり、戦後、新憲法世代ですね。 
 日本国憲法はたぶん、日本が世界に誇れる唯一のものだと思うんです。日本という国があって良かったな、と世界の人が思ってくれる要素は何があるかな、と考えると。ウォークマンは作ったりしたけれど。こういう憲法が先進国の中にあるんだ、っていうのは自慢のタネですよ。せっかくの宝ものをなくすことはないと思う。 
 ――先日のラジオで、「生前退位」会見を取り上げました。天皇陛下の「お言葉」は「今の新しい憲法を守ってください」との意味を含んでいる、と。 
 「象徴」という言葉を8回も使っていた。天皇が象徴だというのは現憲法で初めて使われた言葉ですから。国民の総意に基づいた象徴であると、なぜ、これほど繰り返したのか。現憲法を尊重しているからだと思う。 
 「お言葉」が発表されたのが8月8日でした。広島に原爆が落とされた6日と長崎の9日に挟まれた日を選んだのは、平和を守って欲しい、というメッセージではないか。ぼくの勝手な解釈ですよ。私は、天皇制(ブログ管理人注:天皇制は左翼用語、正しくは朝廷とすべき)にはやや疑問を持っていますが、天皇と皇后の大ファンであることは間違いない。 
 フィリピンなど、かつての戦地にご夫妻で何度もいらっしゃる。あれは明らかに昭和天皇の贖罪(しょくざい)の旅だ、と、ずっと思いながら見ていました。皇太子時代の家庭教師だったバイニング夫人は徹底したリベラルな人でしたから。全ての日本人のなかで一番リベラルなのは、いまの天皇だと思っています。国旗国歌問題の時に、「やはり、強制になるということではないことが望ましい」とおっしゃったことがあります。 
 ――放送では「万が一天皇が聞いていたら」と。 
 聞いている可能性はゼロじゃないでしょ。天皇はどんな番組を見たり聞いたりしているかは言わないという、暗黙のルールがあるそうです。本人が聞いているかも知れない、という前提で話したんです。 
 ――その後で、「違うよ久米さん。そんなことは言っていませんよ」と陛下の感想を想像しました。 
 何を話すかはぼくの自由ですから、他の人がやっていないことをやろう、というだけです。そうでないと、この仕事をやっている意味がないじゃないですか。 
 (聞き手・菅沼栄一郎)=全10回

くめ・ひろし 1944年埼玉県生まれ。早大卒業後、TBSに入社。79年フリーに。85~2004年、「ニュースステーション」(テレビ朝日系)。現在は、TBSラジオ「久米宏ラジオなんですけど」、BS日テレ「久米書店」に出演中。
 これは、ブログ冒頭の記事で、古森 義久さんが指摘したように、完璧な天皇陛下の政治利用以外の何者でもありません。完璧な憲法違反です。

特に、久米宏が一番最後に語った、「何を話すかはぼくの自由ですから、他の人がやっていないことをやろう、というだけです。そうでないと、この仕事をやっている意味がないじゃないですか」という発言には驕り高ぶりを感じます。

これは、行間を読みつつ平たく言えば、「何を話すのも自分の自由だ。他の人がやっていないしできない憲法違反でも、自分は敢えてやる。そうでないと、マスコミの仕事をやっている意味がない」といようように読むことが出来ます。

マスコミの人間なら、報道のためには、手段を選ばず、明らかに憲法違反であっても、敢えてやってやると公言しているようなものです。

確かに、マスコミには報道の自由があります。しかし、憲法違反をしてまでの報道はいくらマスコミ関係者であっても、許されるものではありません。

そこには、明らかにマスコミなら報道のためなら何をやっても良い、天皇陛下が語っていない言葉ですら、自分の考えで、おそらくこういうことを考えているのではないかという憶測を語っても許されると考えているようです。大きな間違いです。

無論、久米氏が天皇陛下が心の中でこのような考えをしておられるのではないだろうかという憶測をすること自体は自由です。しかし、それを新聞という公のメディアで、披露するのは明らかな間違いです。しかも、事柄が天皇陛下の政治的意図に関するものであっては、これは明らかに憲法違反といって差し支えないです。

そうして、このような発言を引き出した菅沼記者にも無論問題があるし、それを堂々と新聞に掲載したデスクや、朝日新聞そのものにも大きな問題があります。これは、朝日新聞が自分たちの独自の政治的主張を発信するために、新聞紙面を利用して、明らかに陛下の発言ではない発言を掲載したということです。

それにしても、そもそも「生前退位」という言葉自体が非常に良くありません。非常に不敬な言葉です。

天皇陛下が国民向けビデオメッセージの中で、生前退位の意思を表明されたとして、大きく新聞や、テレビで報道されています。

しかし、陛下はメッセージの中で、退位や生前退位という言葉は使っていません。識者の中には、「生きている間に、という意味で『生前』という言葉を使うのは不敬」という指摘もあります。

宮内庁のホームページでお言葉を述べられる天皇陛下

以下に、天皇陛下のビデオメッセージを掲載させていただきます。



そもそも退位自体に「生きているうちに地位権力を手放す」という意味があり、崩御により皇位継承された場合は退位とは言いません。

現在の日本国憲法や皇室典範では、皇位継承は崩御を前提とし、退位についての規定がありません。

また、生前という言葉には、「亡くなった人が生きていたとき」という意味で使われることが多く、「生前を偲ぶ」「生前の功労により」といった表現で用いられます。現に生きている人に対して「生前」という言葉は通常は使いません。

ご存命中に後継者である皇太子殿下に譲位する、という意味であれば、「退位」もしくは「譲位」と表現すれば趣旨は伝わります。陛下のご意向を最初に報じたNHKが、ニュースの肝である「存命中に」ということを強調するためか、敢えて「生前退位」と表現したために、標準ワードとなってしまいました。

10月28日の段階で、産経新聞だけが、「生前退位」という言葉を使わずに「譲位」ということばを使うことを表明しました。しかし、他のマスコミは未だに「生前退位」という言葉を使っています。

天皇陛下の退位を巡っては、元号をどうするか、不在となる皇太子をどうするか、皇室典範改正か一代限りの特別法制定にすべきかなど、解消すべき政治的課題が多くあります。大きく言えば、法の下の平等や人権に関わる憲法上の問題にも及ぶテーマであり、安倍政権の対応が注目されます。

なぜ、「生前退位」などという不敬な言葉をNHKtが最初につかったのかということも明らかになっていませんが、現在ふりかえつてみると、この「譲位」もしくは、「退位」騒動には最初から不思議なことがあります。

7月14日、ほぼすべての新聞社が“天皇陛下「生前退位」のご意向示す”と一面トップで報じました。

しかし、宮内庁長官も宮内庁次長もその日のうちに「陛下は憲法上、制度や国政に関する発言はしていない」「生前退位について官邸と相談しているということはない」と否定しています。この否定記事は朝日新聞には小さく出ていましたが、ほかの新聞にはすべて、「ご意向がある」ということが一面に出ていました。その場合は、本来は、ニュースソースを明示しなければならないはずです。

各新聞はそれを明示せずに「宮内庁関係者」としています。宮内庁は一つの組織です。組織は一体であり、その最高責任者が「発言はしていない」「相談しているということはない」と言っているのならば、新聞各紙は「ない」ことを一面で報じたことになります。

このような場合は情報源が「宮内庁関係者」という匿名ではあってはいけないはずです。なぜかというと、宮内庁の長官が「否定していること」は事実でした、そうなると宮内庁長官はウソをついている、とすべての新聞が報じることになるわけですから、その根拠となる情報源が匿名の下に隠れてるべきではないのです。

新聞も、テレビも、何か重要なことを報道するのであれば、必ず裏取りをしなければならないはずです。この場合、裏取りをした先の名前を出すべきだし、その名前が出せないというなら最初から報道すべきではありませんでした。

にもかかわらず、報道したのには何が裏があるはずです。それは、宮内庁内の問題ではないかと考えられます。宮内庁の長官をトップとする宮内庁のヒエラルキーの組織ではなく、天皇陛下に近い非公式な組織がそのようなことを言い出したとしか考えられません。

非公式組織は、組織の運営をする上においては、プラスになる場合もあります。しかし、組織として意思を表明するときには、この非公式組織が表にでるようなことがあってはならないです。

それは、会社の組織を考えてもわかります。会社には社長や会長をトップとする、組織図に掲載されている組織の他に、派閥などの非公式な組織があります。日々の運営などをすすめていく上で、この非公式な組織は役立つことも多いです。

たとえば、一昔前の大学病院には、「医局」なる組織がありました。これは、ほとんどの場合非公式な組織です。そうして、医局は多くの場合、名称も何もつけられていない部屋が使われていた事が多いようです。特に「医局」を定めた一般的なルールはありません。非公式の人と人とのつながりです。大学によっては明文化されたものにサインさせたり、名簿を作ることもあるかもしれませんが、それになにか法律的なものが絡むわけではありません。別にその取り決めを破ったからといって契約違反に問われるということはないです。つまり、慣習や因習による人のつながりが中心です。

病院の組織図に「医局」なる言葉が掲載されることは、今も昔もありません。今は、これが多くの病院で廃止されたようで、病院の運営に支障をきたすようなこともあるようです。

ある病院の医局
「医局」は教授の権力の基盤ともなっていましたが、別な側面からみると、新米の医師を育てるなどの役割も担っていました。また、医師不足の地方に医師を送り込む際にも、医局が大きな役割を担っていたこともありました。

現在でも、この非公式組織が残っている大学病院もありますが、完璧に廃止したところもあります。そのようなところでは、地方への医師の派遣が円滑にいかないところもあるようです。

このようなこともあるので、私自身は、正式な組織の中に非公式組織があること自体は否定しません。これは、プラスの面で考えると、正式な組織の中にできる私的なコミュニティーであるとも考えられます。単なる会社の中の仲良しグループだって、非公式な組織であることにはかわりはないですから、このプラスの側面があることからこのブラスの面を助長するものならあるべきだとすら思っています。

しかし、今回のような宮内庁のような組織で、そうして、天皇陛下の「譲位」にかかわるような重大なことで、正式な組織を無視して、非公式組織が、マスコミ等に「譲位のご意向」があるなどと漏らしていいたとしてら、とんでもないことです。

会社であれば、会長、社長、人事部などの会社の組織を無視して、外部の人間に「会長は退任のご意思がある」と漏らすようなものです。これは、まともな組織であれば、禁忌とされるべきものです。この禁忌を破った人間には、厳しい罰が下るのが普通です。

それにしても、宮内庁の中の、非公式組織にはそのような常識もない輩が存在するということです。そうして、そのような輩から、情報を受け、それを報道してしまったマスコミにも大いに罪があります。

ちなみに、外務省出身の佐藤優氏は、この宮内庁の中の非公式組織について次のように語っています。
宮内庁には(正式の組織以外に)もう一つのルートがあるんです。いわゆる奥の院と言われている侍従長です。

表には出てこないことになっている現在の侍従長は、元外務事務次官の河相周夫(かわい・ちかお)さんです。長官と次長が「否定していることが事実ではない」というのなら、新聞はその裏を取らなければ記事にはできません。少なくともこの侍従長に当てて、実名でそれを書かなくてはいけないんです。 
いわゆる天の声をこういう形で出すことで物事を進めようとしているのは、今の一部の宮内庁の人たち──つまり、外務省出身の人たちの動きだと思いますけれど、国家の民主的な統制からすると、ものすごく違和感がありますね。
佐藤優氏にいわせると、宮内庁には元外務省の官僚による、非公式組織があって、それが陛下のあるかないかも定かではない「譲位」の意図をマスコミに漏らしたということです。これが、本当かどうかは確かめようはないですが、どのみち、宮内庁には非公式組織があり、その組織が外部に情報を漏らしたのは確実だと思います。

陛下としては、内部の人間を信頼して、まさか外部に漏れるなどとも考えずに「譲位」の意向など話したのかもしれませんが、もしそうだとすれば、非公式組織の人間は弾劾されるべきです。なぜなら陛下は、日本国内が混乱しないために、火消しのために「ビデオメッセージ」を発信した可能性もあるからです。

いずれにせよ、禁を破った宮内庁の非公式組織に関しては、これは厳しく責任を問い、当然のことながら、この非公式組織は叩き潰すべきでしょう。

マスコミは、朝日新聞のように酷い憲法違反をしたり、見当違いの報道ばかりせずに、宮内庁の非公式組織を徹底的に追求すべきでしょう。

おそらく、新聞やテレビはこれは、しないしそもそもできないでしょう。おそらくこれをするのは、また週刊誌でしょう。

また、マスコミは非公式組織の情報を垂れ流したということで、国民はもとより何よりも天皇陛下に対して謝罪すべきでしょう。

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2016年11月1日火曜日

米大統領選「隠れトランプ支持者」がカギ?―【私の論評】トランプ氏台頭の背景には、米保守派の憤懣の鬱積がある(゚д゚)!



    アメリカの大統領選挙で、共和党・トランプ候補の支持率が再び民主党・クリントン候補に迫っている。トランプ氏を支持すると公言できない「隠れトランプ支持」の人たちに注目した。接戦となっている州で勝敗を左右する可能性がある。

東部ペンシルベニア州に住むヘンリックさん。部屋の中にはトランプ氏の人形。そして庭仕事では、トランプ氏と同じ赤い帽子をかぶるというほどの熱烈な支持者だ。

--既存の政治家は大口献金を受けていて国民の利益のために働いていない。トランプ氏は、その堕落した状態を変えようとしている。

ペンシルベニア州では接戦が続いているため、戸別訪問にも参加しているが、訪問した先では、トランプ氏への支持を表だって言い出せないという人に出会うという。

--(戸別訪問先には)トランプ氏支持者も多いが、彼らは「リベラルな考え方の友達が多く、怖くてトランプ氏支持だと言い出せない」と言う。

また、各地で家の外に置かれたトランプ氏を支持する看板が盗まれたり、焼かれたりする被害が報告されている。

--(隠れたトランプ氏支持者は)安全のために、そして周りの目を気にして言わないのよ。

クリントン氏が優勢だとするアメリカメディアなどの世論調査は信じられないと主張するトランプ氏。世論調査に詳しい専門家は、隠れたトランプ支持者の声が世論調査に反映されていない可能性を指摘する。

カーリン・ボーマン氏「トランプ氏支持だと言わない人がいるかもしれない。(世論調査にあらわれない声が)選挙戦で重要になる可能性がある」

隠れたトランプ支持者が戦いの行方を左右するのか、運命の日は来週に迫っている。

【私の論評】トランプ氏台頭の背景には、米保守派の憤懣の鬱積がある(゚д゚)!

このブログには、以前からアメリカのメディアはかなり偏りがあって、リベラル・左派が9割方を占めている状況です。残りの1割が保守系メディアなので、保守系の声などはかき消されてしまいます。

とはいいながら、声がかき消されたにしても、現実には保守系は半分近くは米国に存在していて、特に軍関係などには存在していて、様々な研究を続けたりしています。これは、このブログで何度か掲載してきたことなので、ここでは詳細は述べません。

その上、アメリカではアカデミズムの世界でもリベラル・左派一色であり、ルーズベルトを礼賛しなければ、学問の世界では生き残っていけない程です。それに関しては、以下の動画をご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。


このようなことを掲載すると、米国ではもとより、日本でもほとんどの人がルーズベルトというと、ニューディール政策でアメリカの経済を建て直し、第二次世界大戦を勝利に導いた英雄ということになっているので、何のことやらわからないという人も多いと思います。そのため簡単に以下に説明します。

上の動画でも、「ヴェノナ文書」という言葉が出ていましたが、この文書のことを知ると、ルーズベルトがどのような人物であったのかわかります。これについては、以前このブログにも掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
アメリカを巻き込んだコミンテルンの東アジア戦略―【私の論評】他の陰謀論など吹き飛ぶ! これこそ陰謀中の陰謀だ! 世界は、日本は、あなたはとうに滅亡したソビエトにまだ欺かれ続けるのか? 
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、以下にこのきじのさわりの部分のみ掲載しておきます。
ヴェノナ文書とは、第二次世界大戦前後の時期にアメリカ内のソ連のスパイたちがモスクワの諜報本部とやり取りした秘密通信を、アメリカ陸軍情報部が秘密裡に傍受し解読した記録である。1995年、アメリカ国家安全保障局(NSA)が公開した。 
これら機密文書が次々と公開され、その研究が進んできた結果、ルーズヴェルト大統領の側近であったアルジャー・ヒス(1)[以下、主要人物に通し番号を附し、共産党員または協力者と思われる人物は傍線を引く]を始めとする200人以上のスパイ(あるいは協力者)が政府官僚として働いていたことが立証されつつあるのだ(中西輝政監修『ヴェノナ』PHP研究所)。 
ルーズヴェルト政権内部にソ連のスパイたちがいるという疑念は、60年以上前からあった。1948年、下院非米活動委員会において『タイム・マガジン』記者のH・チェンバースが、アルジャー・ヒス(1)を「ソ連のスパイだ」と告発した。1950年には、ジョセフ・マッカーシー上院議員が「国務省に潜む共産党員の名簿を入手した」と発言し、容共政策を進めた国務省や陸軍の幹部たち、特にジョージ・マーシャル国務長官(2)や、蒋介石政権の顧問を務めたオーエン・ラティモア(3)らの責任を激しく追及した。「マーシャル国務長官(2)やラティモア(3)らはソ連に通じており、ひそかに中国共産党政権の樹立を支援した」というのだ。 
確かに彼らはソ連や中国共産党に好意的な発言をしていたが、ソ連のスパイだと断定する証拠も当時は見つからなかった。しかも、ソ連のスパイだと名指しされた人物が次々と自殺をしたため、リベラル派のマスコミは、「マッカーシー上院議員らが根拠なく言論弾圧を行った結果、自殺に追い込まれた。これは現代版の魔女狩りで許されることではない」などと、保守派批判を繰り広げたのである。
マッカーシー上院議員 彼の考えは結局正しかったことになる。 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
以後、ソ連や中国共産党に好意的な言動を理由に批判することはタブーとなってしまった。アメリカでも戦後、ソ連や中国に親近感をもつリベラル派にマスコミは支配され、保守派は肩身が狭かったのだ(リー・エドワーズ著『アメリカ保守主義運動小史』明成社)。 
それだけに、ヴェノナ文書がアメリカの知識人たちに与えた衝撃は大変なものだった。「国連創設にまで関与したアルジャー・ヒス(1)らがソ連のスパイであるはずがない」と断言していたリベラル派の学者やマスコミは沈黙を余儀なくされた。
この文書は衝撃的な内容であるのですが、アメリカの保守派はこの事実を前々から知っていたようですが、その情報を公開できないこともあって、なかなかその事実を認めてもらうことはできなかったのです。しかし、このヴェノナ文書の公開によって、真実が明るみに出たのです。

この文書によれば、いわゆる赤狩り、魔女狩りをした悪い奴という定説がつけられてしまった生粋の保守派マッカーシーは正しかったということになります。しかし、ご存知のようにマッカーシー氏は誰にも自分の主張を認められず、結局失意の内に生涯を閉じました。

このルーズベルトはもちろん、民主党です。ルーズベルトは、ソ連のスパイに自らの政府に浸透され国策を誤り、対日強硬論に染まり、ソ連と対峙していた日本と戦争するという愚かな選択のみでなく、ソ連と手を組むという愚かなことをした大統領なのです。

そのころは、日本も近衛内閣もルーズベルトの政府と同じように、尾崎秀実などソ連のスパイに浸透されており、対米強硬論に傾いていきました。はっきりいえば、日米双方が戦争するようにソ連に仕向けられたということです。

経済面でも、ルーズベルトは、ニューディール政策でアメリカを救ったとされていますが、これも誤りで、世界で一番はやく世界恐慌から抜けだしたのは、日本でした。日本は、高橋是清による今日でいえば、リフレ政策とよばれる政策を実行したため、昭和恐慌(世界恐慌の日本での呼称)からいち早くぬけ出すことができたのです。

アメリカが恐慌から抜けだしたのは、第二次世界大戦の半ば過ぎのことでした。それも、ルーズベルトの政策によるものではなく、長引く戦争が、兵器製造などの長期の需要を生み出したせいです。この需要が長期にわたって続いたので、アメリカは日本よりは恐慌からぬけ出すのがはるかにおそかったのですが、日本以外の国よりよりは一番先にぬけ出すことができました。

ヴェノナ文書によって旧ソ連の陰謀は白日の下に晒された

こんなことから、ルーズベルトはアメリカを不幸に導いた元凶とも言える人物です。そうして、アメリカにとってさらに不幸だったのは、ルーズベルトの次に大統領になったトルーマン氏が、小市民の代表のような人物であって、到底スターリンの敵ではなかったことです。そうして、それはベノナ文書から導かれる結論であり、十分なエビデンスに基づいた結論です。

しかし、今日のアメリカでは、未だにリベラル・左派の考えが、マスコミでは9割方、アカデミズム世界は100%とも言って良いくらい圧倒的な多数を占めているため、ルーズベルト悪人論はなかなか表に出てこないどころか、アメリカの歴史学の世界はルーズベルトを礼賛しないと生き残れない状況なのです。

唯一の救いは、軍部のほとんどが保守派であるということと、民主党の中にもまともなリベラル派がいて、この歴史上の真実を受け入れているか、受け入れつつあるということです。このような状況ですから、アメリカで歴史などまともな研究をしたいと思えば、大学に残ったとしても不可能です。選択できる道は、軍の研究機関などに入るしかないのです。

今回のトランプ現象は、以上のようなアメリカの実体を知らないとなかなかみえてきません。

70年以上もの間、アメリカの世論は本当は、リベラル・左派と保守に真っ二つに割れていたにもかかわらず、メディアの世界ではリベラル・左派の考えが幅を効かせあたかも、半分の保守の意見などなきがごとくに無視され続けています。

その実体を示す、TEDの動画を見つけました。以下にその動画を掲載します。これは、TEDの動画を"conservative"というキーワードで検索して発見した動画です。

TEDxNYEDで、元”少年共和党員”だったラリー・レッシグは、民主党支持者が相対する党である共和党からコピーライトについて何を学ぶことができるかを語ります。リミックス・カルチャーへの驚くべき視点です。

ラリー・レッシング
以下に、このTEDの動画から、彼の発言内容の一部を以下に抜粋します。詳細は、この動画をご覧になって下さい。会話の前の数字は、動画が始まってからの分数を掲載しています。

0:12
今日は保守的な人達からー 何を学べるのかをお話しします 私も過去を懐かしむ年齢ですから みなさんに白状します 実は子供の頃は 保守主義者で 10代の少年共和党員の リーダーでした 各地の代表団の中でも 最年少でした ロナルド・レーガンが 共和党大統領候補の時です
0:43
ええ 知っています (笑) ”インターネットを探しても―” ”ウィキペディアにも書いていない” まあ これは一例なんです いかに大量の情報のゴミが ネットを流れているかのね ウィキペティアには ペンシルバニアの元下院議員が 最年少リーダーと 書かれていますが それは間違いです (笑) イヤなので修正しましょう (笑) (拍手) これでよし うん完璧 完璧だね (笑) ローレンス・レッシグが 発表と 正しくなりますよ もう少しで終わりです さあ ”…最年少共和党員” っと これを保存して さあ どうだ これで修正されました これは これくらいにします
16:38
私の話に戻りましょう 愚かな右派だった子供の頃 現在はどうか やや左寄りです まちがいなく左利きですよ では左派の人々が 自由な使用権の環境を 築くでしょうか この世界には 自由な使用に反対する 巨大な勢力があり このような左派の有名人が 法律を押し付けて 政府の調査の開示要求を 効果的に禁じてしまうのです 大統領が支持しているのは ミレニアム著作権法という おかしな法律で国民を 規制することです この適用で私達は アウトも同然なのですが 他の国でも適用が進んでいます まだ一つの改正例も 出されていないのです この社会体制では 近いうちには 変化はない
17:51
だから寛容さというものを 私達は学ぶべきなのです 別の価値観に 耳を傾けるのです 話し合いが必要です 自由利用権という価値は 規制を制限し クリエイターを尊重します 右派からの影響で こうした価値を学ぶか 自ら具体化すれば 少しは改善されます 左派から学ぶ価値観は 保健医療の実施や 温暖化規制法ですか

私は、ラリー(ローレンス)・ミッシング氏は、アメリカ合衆国の法学者です。専門は憲法学及びサイバー法学です。その先見性を私は、高く評価し、尊敬もしています。だから、この動画における発言も特に問題があるというわけではありません。むしろ、この発言の最後のところで、「寛容さというものを私達は学ぶべきなのです」などと発言し、保守からも左派からも学ぶ価値観があるということを主張しているということで、大いに学ぶべきところがあります。

そんなことより、ラリー・ミッシング氏が主張の背景には、アメリカの価値観が真っ二つに分かれていることを前提にして話をしていて、そうして私達(アメリカ人)は、双方の価値に対して寛容になり学ぶべきところは学ぶべきことを主張していることに注目すべきです。

現実のアメリカは、本当にリベラル・左派と保守派に真っ二つに割れていて、おそらく比率は半々くらいなのでしょうが、マスコミ・学界などが、完璧にリベラル・保守に握られており、これによって形成される世論は、リベリラル・左派的な価値観が大勢を占めているということです。

ラリー・ミッシング氏は上の話の序盤で「実は子供の頃は 保守主義者で 10代の少年共和党員の リーダーでした」と語っていますが、アメリカでは、有名人などがこのような告白をすることは良くあることです。特に、メデイア関係者や、映画、テレビ関係者などはそのようなことをすることがあります。これらのコミュニティーでは保守派であることは、周りにネガティブに受け止められるだけなのでしょう。

誰でも、保守派の家に生まれば、最初は当然「保守的」な考えを持つのでしょうが、学校に入ったり、もっと上の学校に行けば、そこはリベラル・左派が大勢を占めています。さらに、社会人になれば、職場でも表向きはリベラル・左派な考えが大勢を占めています。場合によっては、リベラル・左派的な考えを否定すれば、職場で周りと馴染めないどころか、場合によって追い出されてしまいかねません。

しかし、ヴェノナ文書や、ソ連解体後のロシアによる文書公開などで、自分が子どもの頃に親から受け継いだ価値観は、決して間違いではなかったということが理解できます。そうして、周りとのギャップに気づくに違いありません。アメリカでは、自分は保守派であることを公にすることは、自らが低学歴であるとか、時代遅れの人物とか、下手をするとKKKの片割れと見られかねません。

白人至上主義を主張するクー・クラックス・クラン
だがこそ、アメリカにはこのブログの冒頭の記事のように、「隠れトランプ支持者」も大勢いるのでしょう。

このようなことが長い間続くとどのようなことがおこるでしょうか。テレビを見ても、新聞を読んでも、保守派の考えはマイナーな扱いです。保守的な考えを持つ人々には、当然のことながら憤懣が鬱積していきます。その憤懣をぶつける場所は残念ながら従来のアメリカにはありませんでした。

ところが、その憤懣を受け止める、トランプ氏という大統領候補が出てきたのです、そうして、この大統領候補はうわべを飾ることなく、ずけずけとものを言いますし、兵役経験者ならわかるように、何かを語って説得する場合でも決して丁寧な言葉など使いません。どちらかというと、汚いくらいの言葉を使って、話相手にショツクを与えて、これからおこらことは相手が予測もしないことであることを悟らせるというような方式をとります。

実は、アメリカは変わりつつあるのです。その先駆けとなったのが、当初泡沫候補であるといわれたトランプ氏がここまでしぶとく大統領選を闘いぬいているという事実なのです。

そうして、もしトランプ氏が大統領になることがあれば、この流れは確実に定着することでしょう。もし、ヒラリー氏が大統領になったとしても、この流れはとどまることはないでしょう。なぜなら、ヒラリー氏は、一昨日のこのブログにも掲載した河添恵子先生の言葉によれば、"ヒラリー候補は「紅いアメリカの政治家の筆頭」" だからです。

クリントン氏が大統領になれば、保守派の憤りは、憤りを超えて、危機感にまで高まるものと思います。70年ほど前には、ルーズベルト大統領はソ連に操られることを許してしまい、おかけで米国はとんでもない犠牲を払いました。多くの若者が戦死ししまた。にもかかわらず、アメリカは第二次世界大戦が終了した後も、ほんど戦争に勝ったことによる利益を得ることはできませんでした。結局第二次世界大戦で一番得をしたのは、ソ連でした。英国に至っては何も得られないどころか、失うばかりでした。

しかし、「紅いアメリカの政治家の筆頭」であるクリントン氏が大統領になれば、またお同じことが繰り返されかねません。口では、対中国強硬論を唱えておきながら、それとは裏腹に政府が中国に浸透され、ルーズベルトのような愚かなことをしかねません。

アメリカの保守派は、クリントン氏の動向をつぶさに観察するようになるでしょう。保守派の軍関係の研究者などは、事あるごとにクリントン氏の誤りについて指摘するようになるでしょう。その果てに、クリントン氏に、今日の朴槿恵大統領のような将来が待っているかもしれません。

いずれにせよ、この流れはもう止められません。

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米大統領選 選挙最終盤に衝撃 クリントン氏、捜査再開―【私の論評】実はトランプ氏よりはるかに色物、際物であるクリントン氏落選はまだ五分五分(゚д゚)!




2016年10月31日月曜日

【激震・朴政権】朴槿恵大統領友人・崔順実氏 取り調べへ 機密漏洩疑惑で四面楚歌 支持率も就任以来初の10%台に急落 与党も見放し―【私の論評】特定秘密保護法がなかったら、この事件は日本では最初から無罪放免(゚д゚)!

【激震・朴政権】朴槿恵大統領友人・崔順実氏 取り調べへ 機密漏洩疑惑で四面楚歌 支持率も就任以来初の10%台に急落 与党も見放し

ソウル中央地検に出頭した崔順実氏
韓国の検察は、朴槿恵(パク・クネ)大統領から機密資料を提供されたとして、国政への介入疑惑が浮上している友人の女性実業家、崔順実(チェ・スンシル)氏を31日午後、容疑者として取り調べる方針だ。検察は31日午後3時に召喚することを崔氏に通告済みという。夕刊フジは朴大統領が今回の疑惑で「四面楚歌」に陥り、支持率が急落したと報じている。

 友人女性への機密情報提供疑惑で、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は四面楚歌(そか)の状況に陥った。支持率は就任以来初の10%台に下落し、弾劾や下野を求める世論も高まっている。与野党から真相解明や責任追及を求める声も止まず、特別検察官(特検)による捜査も避けられない見通しだ。朴氏は徐々に追い詰められつつある。

 「朴氏の支持層は急速に崩壊している」。韓国の世論調査機関、リアルメーターは27日、朴氏の支持率下落の理由をそう分析する。

 同社によると、10月24~26日の調査で支持率は21・2%で、前週から7・3ポイント減少。26日だけに限ると17・5%と、就任以来初となる10%台に落ち込んだ。逆に不支持率は就任後最高の73・1%で、前週から8・6ポイント上昇した。朴氏の弾劾や下野を求める意見は42・3%にのぼっている。

 原因はいうまでもない。「朴政権の陰の実力者」と呼ばれる友人の崔順実(チェ・スンシル)氏に、演説草稿や閣議資料などの機密資料が事前に渡された疑惑だ。

 韓国の聯合ニュースによれば、韓国最高検は27日、疑惑捜査のため、特別捜査本部を設置することを明らかにした。

 与党も朴氏を見放しつつある。最大野党「共に民主党」などが求めた特検による捜査について、与党セヌリ党も、特検の任命を求めることを決定したのだ。特検は、政府高官らが捜査対象になった場合に与野党の合意で導入され、制限なく独自に捜査することができる。

 一方、セヌリ党は大統領府に、大統領府高官や閣僚の人事刷新を伝達しており、朝鮮日報(電子版)によると、朴大統領がセヌリ党の李貞鉉(イ・ジョンヒョン)代表に電話をかけ、「国政刷新要求について熟考する」と述べた。

 政権内も疑惑に困り果てているようだ。ハンギョレ新聞(同)は大統領府の参謀の意見として、「(疑惑の)全貌を知らないため、できることもない」と紹介した。

 別の記事では、公務員の「大統領を信じられなくなった。初めて経験することなので複雑で惨憺たる気分だ」「大統領があやつり人形のように感じられた。脱力する」などという意見を報じた。

 中央日報(同)は社説で、「朴大統領は自身に対する聖域のない捜査だけが現政権を救う最後の機会であることを銘記する必要がある。捜査を拒否したり形式的に捜査を受けるだけなら、全国で『下野しろ』という叫びがあふれる日が近づくだろう」と記した。

 しかし、ジャーナリストの室谷克実氏は朴氏の早期の辞任はないとみて、こう話す。「(朴氏は)奇想天外な発想や期待外れの反応をする人だから予想がつきがたいが、恐らく下野することなく、最後まで(大統領の職に)しがみつくだろう。人事を入れ替えて反省するふりをして、権力装置を使って野党の誰かを汚職か何かで逮捕するなど悪あがきを続けるのではないか」

 まだ泥沼が続きそうだ。

【私の論評】特定秘密保護法がなければ、この事件は日本では完全無罪(゚д゚)!

この問題については、一度は掲載しないと思いましたので、本日掲載することにしました。

以下に今回の疑惑をチャートとしてまとめたものを掲載しておきます。



韓国にも、日本で成立するはるか以前から、特定秘密保護法に相当する法律はあったので、今回の事件で崔順実は確実に有罪になることでしょう。ただし、朴槿恵大統領に関しては何ともいえません。裁判の行方を見守るしかありません。

なぜなら、崔順実氏はKスポーツ財団や、ミル財団などを私物化していたこともあり、これらの団体の多数の証言者などが裁判で証言したり、物証を提供することが予想されるため、これは有罪は免れないものと思います。

しかし、室谷克実氏が語るように、朴槿恵氏はあらゆる手を講じて、下野するどころか、最後までしがみつくことになるでしょう。そもそも、大統領は権力者ですから、あらゆる手を講じて、今回の事件の最重要である特定機密漏洩の事実を隠蔽したり、隠蔽できなくても、自分は関与していないとして、関与を否定するでしょう。

それにしても、日本の特定秘密保護法を批判していた人は、韓国を批判する資格はありません。もし、日本で特定秘密保護法が成立していなかったとすると、今回の韓国の問題のようなことが日本で持ちあがった場合、汚職などは別にして、特定機密の漏洩に関しては、対処のしようがありません。

もし情報が漏洩してることが露呈したとしても特定秘密保護法が成立する以前の法律では情報を漏らした公務員しか罰することはできませんでした。

今回の事件のように、公務員でもない朴槿恵氏や、一民間人である崔順実が関与するとみられる今回の事件のような事が日本で発生した場合、たとえ罪状が明らかになったとしても法律で裁くことはできませんでした。特定秘密保護法が成立していかなった場合、日本では朴槿恵氏はおろか、崔順実氏ですら法廷に引きずり出すこともできず、最初から無罪放免しなければならなかったことでしょう。


しかし、特定秘密保護法が成立した後は、情報を聞き出した人間が公務員であろうが、なかろうが、これを逮捕拘留して家宅捜索し誰から情報を受け取ったか調べることができ、これに厳しく対処することもできます。

日本のマスコミは、今回の事件では、韓国内から提供される情報に関しては、熱心に報道しますが、こうした観点は全く報道しません。本当に困ったものです。マスコミの大方も、特定秘密保護法に関しては反対の立場から報道していたので、今更このようなことを報道できないのでしょう。

今回の事件は、単に韓国内の出来事と捉えるだけではなく、日本において特定秘密保護法の施工は正しかったということを再認識させるものとして、捉えるべきものと思います。

特定秘密保護法に関しては、反対派が主張するように、確かに問題点がないとは言い切れません。


しかし、問題点があるからといって、特定秘密保護法案を成立させなかったとしたら、崔順実のような人物が野放しになり、それによって毀損される日本国と日本国民の利益ははかり知れません。

そもそも、防衛、外交、スパイ活動、テロ活動に関して国家秘密などが漏洩したとしても、それに関与した人間が公務員でなかったら、無罪放免などということは、まともに考えれば異常です。これを放置しておくことのほうが、特定秘密保護法に問題点があるからという理由で成立させないことのほうが余程恐ろしいです。本当に、日本はとてつもない恐ろしいことをよくも長期にわたって、継続してきたものです。

今回の韓国の事件に関しては、先にも述べたように、朴槿恵大統領を処罰することは難しいかもしれません。しかし、朴槿恵氏は、大統領就任中は何とか体面を保てるかもしれませんが、大統領をやめた場合、いかなる形でも、政治に復帰することは困難でしょう。事実上政治生命を絶たれたも同じです。

特定秘密保護法も同じようなものです。確かに問題点は全くないとはいいませんが、特定秘密保護法で問題を起すような政府は、次の選挙の機会に投票せずに落として政治生命を断てば良いのです。

特定秘密保護法による問題点よりも、特定秘密保護法がないことによる、脅威のほうがはるかに大きいのは明らかです。日本のリベラル・左翼にはこういう認識は全くないようです。

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2016年10月30日日曜日

米大統領選 選挙最終盤に衝撃 クリントン氏、捜査再開―【私の論評】実はトランプ氏よりはるかに色物、際物であるクリントン氏落選はまだ五分五分(゚д゚)!


メール問題を巡るFBIの捜査再開を受けて、遊説先で緊急の記者会見を行う
ヒラリー・クリントン氏=米中西部アイオワ州デモインで2016年10月28日
米連邦捜査局(FBI)のコミー長官は28日、民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官(69)が在任時に私用メールアドレスで公務を行っていた問題で、新たな関連メールが見つかったため捜査を再開したと明らかにした。クリントン氏は訴追はないと主張するが、共和党のドナルド・トランプ候補(70)は批判を強化。投開票日を11日後に控えた最終盤で、クリントン氏が優勢だった流れが変わる可能性もある。【ワシントン西田進一郎、ロサンゼルス長野宏美】

「7月の(訴追見送りとの)結論を変えるものではないと確信している」

クリントン氏は28日夜、遊説先の中西部アイオワ州で緊急記者会見を開き、潔白を主張した。「我々の生涯で最も重要な選挙の11日前で、(期日前)投票も既に進行中だ」とも語り、FBIに捜査に関する情報を国民に公表するよう求めて数分間で打ち切った。

クリントン氏にとり、メール問題は信頼性を疑われ支持率が下がる契機になった深刻な問題だ。コミー氏は今年7月、訴追に相当しないと司法省に勧告し、捜査は一度は終結していた。捜査再開に選対責任者のポデスタ氏は「大統領選直前に異常な動きだ」と不快感を示した。

コミー氏の議会宛て書簡によると、再開の理由となったメールは、メール問題とは別件の捜査で見つかった。焦点は機密情報の有無だが現時点では「不明」で、訴追につながるかも分からない。

米メディアによると、別件とは、クリントン氏の側近フーマ・アベディン氏の夫が、未成年者にわいせつなメッセージを送ったなどとするもの。夫婦の共有端末から問題のメールが見つかったという。

大統領選の情勢は9月下旬以降、クリントン氏に少し傾きかけている。各種世論調査の平均支持率では、トランプ氏を5ポイント以上リード。当選に必要な選挙人の獲得見通しでも、複数の主要報道機関が「クリントン氏優勢」を予想する。

劣勢のトランプ氏にとり、捜査再開は久々に得た「攻撃材料」だ。書簡送付が報じられた直後に東部ニューハンプシャー州で演説して捜査の再開を歓迎した。会場では「彼女(クリントン氏)を逮捕しろ」の大合唱の中、「ついに正義が行われる。(ニクソン大統領を辞任に追い込んだ)ウォーターゲート事件より重大だ」などと主張した。

【私の論評】実はトランプ氏よりはるかに色物、際物であるクリントン氏落選はまだ五分五分(゚д゚)!

クリントン氏に関しては、上記のような問題の他に、重大な問題があります。それは、このブログでも以前掲載したように、クリントン財団がチャイナマネーの献金を受けているという事実があることです。

当該記事のリンクを以下に掲載します。
米産業界、トランプ氏へ懸念の声 グーグルも対策議論?―【私の論評】日本にとって自腹で動くトランプが大統領になるより、中華マネーで動くヒラリーのほうがはるかに危険(゚д゚)!
クリントン財団が、中国から献金を受けいたのは公然の事実であり、それはアメリカでは、広く知られている事実です。ただし、クリントン氏はこの事実があっても、居直っているだけです。その主張は、結局献金をもらっていても、自分の政治姿勢には何も変化はないということです。

さて、この記事のクリントン献金問題について暴露した書籍『クリントン・キャッシュ』に関する部分のみを以下に引用します。

クリントン・キャッシュ
著者のピーター・シュバイツァー氏はこれまでにも議員の不正行為などを果敢に暴いてきました。彼が今回、目を向けたのは、クリントン一家が運営している「クリントン財団」をめぐるお金の動きです。 
著者は財団の財務情報や、各国での報道などを調べ上げ、同財団に海外政府や企業などが多額の献金を行ってきた事実を丹念に描き出しています。しかも彼らは、クリントン一家がアメリカ政府を動かし、自分たちに便宜を図ってくれることを期待して、お金を振り込んでいた可能性があるというのです。 
こうしたスキャンダルにまみれたヒラリーは、ついに国民の過半数から「嘘つき」「信用できない」と思われるまでになってしまい、選挙戦でも痛手を被ったのです。こうした裏事情を知らなければ、大統領選の真相は見えてきません。ヒラリーの疑惑に斬り込んだ本書は、まさに大統領選を語る上で必読の書と言えます。 
この書籍で、もう一つの重要な点は、「チャイナ・マネー」です。南シナ海に人工島を建設するなど、中国による周辺国への脅威は日を追って増すばかりです。日本にとっても、同盟国アメリカと連携して、いかに危険な行動を抑止していくべきかが問われています。アメリカ大統領選は、外交政策を担っていくのかという問題でもあります。
『クリントン・キャッシュ』を通じて浮き彫りになってくるのは、「ヒラリー大統領」は日本の安全にとってはマイナスであるという点です。外国からの献金をやすやすと受け取ってしまう一家に、アメリカの外交を任せられるのでしょうか。 
実際に、夫のビル・クリントン氏が大統領だった時代には、米民主党が中国からの多額の献金を受けて問題になったこともあります。この書籍から、「チャイナ・マネー」に弱い米大統領が誕生することの危うさを読み取っていただければ、幸いです。
クリントンの献金問題に関しては、河添恵子先生が解説した以下の動画をご覧いただくと、さらに理解が深まるものと思います。


この動画では、河添恵子先生は、ヒラリー・クリントン候補に関して、かなり多くの「中国マネー」が流れており、ヒラリー候補は「紅いアメリカの政治家の筆頭」と指摘しています。

また、お金が流れるルートとしては現地(アメリカ)の関連するペーパーカンパニーや実業家と称する者から献金があるようです。詳細は、この動画をご覧になって下さい。

この献金の事実は、中国側からも明らかにされています。中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の常務委員会は東北部・遼寧省の代表45人が、金銭などを使って違法に選出されていたとして、資格を無効にする異例の決定を行っています。そのなかに、米大統領選の民主党候補に決まっているヒラリー・クリントン氏が夫のビル・クリントン氏とともに運営するクリントン財団に200万ドルもの巨額の献金をしていた中国人実業家が含まれていることが判明したのです。


この多額の献金がヒラリー氏の大統領選の費用に流用された疑いも取りざたされていたのですが、渦中の中国人実業家が全人代委員の資格を無効にされたことで、汚職に関わっていた疑いが濃厚になりました。

全人代常務委は2013年1月に選出された遼寧省の代表102人のうち45人が金銭やそのほかの賄賂を使っていたとして、その資格を無効にする決定を行ないました。この背景には、汚職や腐敗の摘発を強める習近平指導部の意向があるのは確実です。

その45人のなかでも、遼寧省丹東市に本社を置くゼネコンを主体とする遼寧日林実業グループの王文良会長は腐敗問題で良からぬうわさが飛び交っていました。

王文良氏
王については、ジャーナリストの相馬勝氏が『SAPIO』2016年8月号の連載企画「ラストエンペラー習近平の難局」で、そのうさん臭さをすでに報じていました。

王は日林建設や丹東港の開発を手掛ける丹東港集団、さらに米国などとの穀物輸入や食用油の製造販売、このほか造船会社などを手広く経営。同グループは2013年の中国企業トップ500に選出され、営業利益は246億元(約4000億円)と415位にランクインされています。

王はかつて丹東市政府で働いていたコネクションから、市上層部に食い込みを図りました。そこで知り合った当時の市長だった陳鉄新に言葉巧みに取り入り、食用油の製造工場の建設を持ち掛け許可を得ました。2004年夏には陳を米国の企業関係者らに紹介するために米国に招待するなど密接な関係を構築。陳が工場建設を承諾した謝礼として、3万ドルを渡したとされます。

さらに、王は陳の口利きを受け、当時の遼寧省トップの聞世震・同省党委書記との面識を得て、陳の米国視察のあと、聞も米国に招待し良好な関係を築きました。その後、聞は王に同港の再開発プロジェクトを任せることでゴーサインを出しました。市長と省トップを抱き込んだことで、王は巨利を得ることになりました。米政府が運営する報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、2人に巨額の賄賂が渡ったといいます。

王が米国内で名前を知られることになったのが、いわゆる「マコーリフ事件」です。

「クリント夫妻に最も近い知人」といわれるバージニア州のマコーリフ知事が王から違法な選挙資金の提供を受けた疑いで米連邦調査局(FBI)と米司法省によって調べられていることが分かったからです。

2014年12月8日午前、京畿道庁状況室で行われた「京畿道-バージニア政策
協議会設置合意書」の署名式で、ナム・ギョンピル知事がテリー・マコーリフ
米バージニア州知事と握手をしている。写真はブログ管理人挿入。
しかも、王は知事を介して、クリントン財団にも200万ドル(約2億4000万円)も寄付しており、外国人からの選挙資金の提供禁止という米国の法律に違反している可能性も浮上していました。ただし、これに関しては確たる証拠がないため、起訴はされていませんが、それでもこの疑惑が晴れたわけではありません。

ヒラリー・クリントンに関しては、このようなトンデモ疑惑があり、それこそトランプよりはるかに色物、際物政治家であることがいえると思います。

トランプ氏には少なくとも、ヒラリーのように中国から多額の献金を受けているという事実ありません。上記のメール問題や、献金問題はアメリカでは広く知られており、だかこそクリントン氏は意外なほど苦戦しているのです。

さて、このような事実はアメリカでは広く知られている事実です。そのせいもあるのでしょうか、今月の21日には、トランプ氏の支持率上昇、クリントン氏に4ポイント差まで迫る状況になっていました。これについては、このブログにも掲載しましたので、その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ氏の支持率上昇、クリントン氏に4ポイント差まで迫る―【私の論評】驚天動地の急上昇の背景には何があるのか、日本はどう対処すべきか(゚д゚)!
10月21日、ロイター/イプソスが発表した米大統領選に向けた支持率調査によると、共和党候補の
ドナルド・トランプ氏の支持率が上昇した。写真は同日、ノースカロライナ州で演説するトランプ氏
この記事では、この驚天動地の急上昇の背景には何があるかを解説しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下その背景2つについて簡単に掲載します。
1.ヒラリー候補が大統領になった場合、おそらく現オバマ大統領の政策が継承され、あまり変わりがないことが予想される。
オバマ大統領は最悪の大統領とも評されています。クリントン候補が大統領になった現オバマ大統領の政策がそのまま継承されるようなことは、多くのアメリカ国民は望まないでしょう。
2.アメリカのメディアは非常に偏っていて、そのほとんど9割がリベラル・左派勢力に握られており、保守派は1割に過ぎないという実体があるということです。そのため、日本でも報道されるアメリカは、アメリカのメディアによるものがほとんどで、多くの日本人はアメリカの半分しか知らないというのが実情です。
この状況ですから、どうしてもアメリカはリベラルな民主党のクリントン候補を贔屓目に報道しますし、アクの強いトランプ氏は、それこそ色物、際物的に報道しがちです。

 しかし、どちらがより色物・際物的かといえば、どう考えてもクリントン氏です。日本のマスコミはアメリカのマスコミの論調をそのまま垂れ流すところが多いので、当然日本でも、トランプ氏は色物・際物扱いです。

しかし、そのような見方をしていては、大統領選の趨勢を見誤ります。現状でも、五分五分といえると思います。

本来民主党優勢のハイオ州は、かねてから接戦州となっていましたが、26日段階では、隣のペンシルバニアが民主優勢州から接戦州になりました。トランプのこの驚異的な粘りはどこから出てくるでしょうか。無論多くの有権者はクリントン氏に嫌気がさしているということもあります。

しかし、それだけではなさそうです。不正選挙が行われる可能性をトランプ氏は指摘しています。これが、トランプ氏の奥の手になる可能性もあります。

選挙に負けた場合法的措置をとる可能性を示唆したトランプ氏
トランプ氏は20日、19日の米大統領選の第3回テレビ討論会から一夜明け、 激戦州オハイオ州で集会を開きました。落選した際に選挙結果を受け入れるかどうかは「そのときに考える」と討論会で述べたことについて、 トランプ氏は「もちろん選挙結果が明らかなら受け入れるが、疑わしい結果に備えて異議申し立てや法的措置の権利を留保する」と説明しました。

トランプ氏は「偉大で歴史的な選挙結果を完全に受け入れることを有権者、支持者、全国民に約束したい。もし私が勝てばの話だが」と語りました。
副大統領候補のインディアナ州知事、マイク・ペンス氏(57)も西部ネバダ州の集会で、トランプ氏と同じく法的措置の可能性について言及しました。

トランプ陣営の選対責任者、ケリーアン・コンウェー氏は20日のテレビ番組で「(トランプ氏は)民主主義の原則を尊重する」と釈明に追われた。 ただ「完全に公正な民主主義が機能しているわけではない」と、不正選挙を懸念するトランプ氏の訴えを繰り返しました。 

アメリカでは大統領選挙の不正が行われているのは、前々から周知の事実です。それも、民主党・共和党双方とも不正選挙をしています。その手口は、不法移民などを有権者に仕立てて、投票させるという手口です。

ただし、民主党の方が共和党よりもはるかに大量に不正選挙に手を染めているようです。そうなると、トランプ氏は大統領選に当選すれば、そのようなことはしないでしょうが、もし落選した場合、異議申し立てや法的措置をとることも考えられます。そうして、当然のことながら、トランプ氏側は、不正選挙の証拠となるものを現状でも相当収拾しており、これからも収拾するものと思います。

トランプ氏が、法的手段に訴え、クリントン氏側が負けた場合、選挙のやりなおしということにもなるかもしれません。そうなると、クリントン氏側は圧倒的不利となります。それはわかりきっていることなので、そうなればクリントン氏は再選挙には出馬しないかもしれません。

日本では、まるでもう大統領選挙の趨勢はもう決まりきっていて、トランプは落選、クリントン氏が大統領と決まっているようというな感覚でいる人が多いですが。

それは明らかに間違いです。トランプ氏よりはるかに色物、際物であるクリントン氏が大統領選に落選する可能性は、今でも五分五分とみるべきです。

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2016年10月29日土曜日

消費税率10%引き上げ延期法案 民進が反対決定―【私の論評】自ら地雷を踏みまくり解党するしかなくなった民進党(゚д゚)!

消費税率10%引き上げ延期法案 民進が反対決定

「次の内閣」を開催した民進党
民進党は「次の内閣」を開き、消費税率を10%に引き上げる時期を来年4月から2年半延期するための法案について、アベノミクスの失敗によるものだとして、今後の採決で反対することを決めました。

民進党は28日に「次の内閣」を開き、衆議院で審議が行われている消費税率を10%に引き上げる時期を、来年4月から平成31年10月に2年半延期することなどを盛り込んだ法案への対応を協議しました。

その結果、アベノミクスの失敗により増税を先送りするものであり、税率の引き上げに合わせて導入される食品など一部の品目の税率を8%に据え置く「軽減税率」は、低所得者対策にならないなどとして、今後の採決で反対することを決めました。

一方で、会合ではことし5月、当時の岡田代表のもと、「増税できる経済状況ではない」として、消費税率の引き上げを延期するための法案を提出していることから、「国民から党の方針が一貫していない」などと批判を受けるおそれがあるとして、党執行部に対し反対の理由を丁寧に説明するよう求める意見も出されました。

【私の論評】自ら地雷を踏みまくり解党するしかなくなった民進党(゚д゚)!

消費税率を10%に引き上げる時期を来年4月から2年半延期するための法案について、アベノミクスの失敗によるものだとして、今後の採決で反対することを決めましたとはいったいどういうことなのでしょう。

つまり、民進党の皆さんは「8%への消費税率引上げが経済の回復をぶち壊した」とは思ってはおらず、アベノミクスが悪いのだとして、次の選挙では「私たち民進党は必ず消費税率を10%に引き上げます」と主張するということです。正気の沙汰とは思えません。

そもそも、増税など全く必要ないことは、このブログでも何度も述べてきました。その中の極めつけは、やはりもうすでに財政再建は終了している可能性が高いというものだと思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では財政再建はもう終了しかけていることを掲載しました。以下に一部引用します。
まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。
このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。 
さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。
日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。 
日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、俄にこの事実を信じられない人もいるでしょう。そのような方には、まずはこの記事を読んでいたたくともに、以下の記事も読まれることをおすすめします。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、2014年の政府債務を日銀も加えた連結のBSで計算しました。その結果は、政府純債務GDP比は35%まで減少していたことが示されました。実数としては、160兆円程度です。

国の借金1000兆円などというのは、全くのまやかしであるに過ぎないことがわかります。財政再建が、完璧に終了して、いるであろう2017年の4月には、どうみても消費税増税などする必要性などないわけです。

にもかかわらず、財務省は増税キャンペーンを繰り返すし、民進党はそのキャンペーンにのって、まるで経済対策は、

それにしても、財務省はなぜ増税をしたがるのでしょうか。財務省の権益は、歳出権の拡大です。予算は支出できる権利(=歳出権)の塊です。増税は、予算上、新規国債発行額を一定とすれば、歳出権の拡大に作用します。

簡単に言えば、予算を膨らませ、要求官庁に多くの配れるわけです。要求官庁に大きく予算を配ることができれば、要求官庁の関係団体に財務省から天下ることができ、財務省の組織拡大になるのです。他の省庁とは異なり、財務省だけは、会計担当と称して各省の天下り法人にも天下ることができます。これは予算を握っている財務省だけの特権です。

だから、景気が良くなった、結果として歳入が増えるなどということは、財務省の権益とはならないわけで、あくまで予算を膨らます増税こそが財務省の権益となるのです。そのため、国民生活などどうでも良いので、景気が悪くなっても財務省の権益を増大させるためには、財務省は何が何でも増税したいのです。

民進党の執行部は頭おかしいのでしょうか。これ掲げて次の選挙戦うのでしょうか。野田の一派は自民党にどうしても勝たせたいと思っているのでしょうか。おそらく、衆院解散総選挙の時期は迫っています。もう時間はありません。民進党の党員は現執行部を引き摺り下ろすべきです。

それにしても、この民進党の「次の内閣」は、どのような面々なのでしょうか。以下にその名簿を掲載します。

どれも明らかに人材不足としか言いようがない、内閣です。全体的に酷いのですが、まずは、二重国籍問題が明るみに出て、明らかに議員になった頃から、つい最近まで二重国籍であったことが明るみにでてしまったため、明らかに自らの国籍に関して虚偽に虚偽を重ねてきた蓮舫氏が総理大臣などというのは全く問題外です。

それに、法務大臣に有田芳生はないと思います。これでは、完璧に亡国内閣です。蓮舫氏はこの内閣によって、明らかに日本を極度に弱体化することを目指しているとしか思えません。この内閣が本当に発足した場合、史上最低の内閣になのは目に見えています。

さらに、内閣ではなく、党の幹部の人事も大間違いをしています。特に、野田氏を幹事長にしたのは明らかな間違いです。野田氏は、増税指向であるだけでなく、民主党政権時代に、なし崩し的に原発再稼働を認めた張本人でもあります。これが野党共闘が徹底しない理由にもなっています。

国会でアベノミクスを批判した蓮舫氏だが・・・・
さらに、民進党はアベノミクス批判ということで、とにかく安倍総理の経済政策を全面否定しています。本来のアベノミクスのうち、景気循環対策である財政政策は本来積極財政をすべきだったのが、増税などというデフレから脱却するためには、禁じ手といっても良い政策である増税をしたのは完璧に間違いでした。それを反省して、安倍総理は消費税増税を延期したのです。

アベノミクスのもう一つの景気循環的対策である、金融緩和は雇用が改善され、はっきりと効果が出ています。まずは、高校・大学の新卒の雇用がかなり改善したというか、数十年ぶりの良さです。実質賃金は当初は、想定どおりに低下したため、民進党の面々はその理屈もわらず、「実質賃金がー」と与党を批判していました。

しかし、この「実質賃金」も最近ジワジワと上がり始めています。これも想定通りです。できれば、追加の量的緩和をすれば、この傾向はより顕著なものになります。ただし、本日はその話に触れていると長くなるのでこれは、また別に機会を改めて掲載します。

特に若者の雇用はかなり改善しているので強く実感できるのでしょうが、年金暮らしの高齢者などにはこれを実感できません。そうして、民進党はアベノミクス全部を批判しているので、当然のことながら、金融緩和政策も否定しています。

しかし、これは明らかな間違いです。デフレの時に金融緩和政策をするというのは、日本以外の国では当たり前のことであり、これは労働者の雇用を改善するということで、労働組合などが推進を望む政策です。

これは、当然のことながら、民進党の支持団体「連合」が望む政策です。しかし、民進党は、金融緩和政策を否定しています。

このあたりの状況をみて、自民党の二階俊博幹事長が民進党と、その支持団体「連合」に分断作戦を仕掛けています。

二階氏は、26日夜、東京・新宿の京王プラザホテルの日本料理店「蒼樹庵」で、民進党の支持団体である「連合」の神津里季生会長と会食しました。連合内では、共産党を含む野党共闘に突き進む民進党執行部への不満が高まっています。

新宿の京王プラザホテルの日本料理店「蒼樹庵」
林幹雄幹事長代理と森英介労政局長も同席し、安倍晋三政権が進める「働き方改革」など連合と一致できる政策課題について議論したといいます。この中では、無論のこと金融緩和政策は「連合」の労働者の雇用も改善することについて説明されたものと思います。

連合は新潟知事選や衆院東京10区、福岡6区補選で民進党の対応に反発しており、同党との間にすきま風が吹いています。二階氏の動きは、次期衆院選をにらんで連合と民進党にくさびを打ち、あわよくば味方に引き入れようという思惑があるものと推察できます。

東京10区と福岡6区の両補選では、共産党に候補取り下げを要請し、野党候補が事実上一本化ました。しかし、政策協定を結ばず中途半端に終わりました。そもそも、自衛隊を違憲だと言い切る共産党と政策協定を結ぶのは、民進党にとってあまりにリスクが大きいものです。共産党の主張が「原発即ゼロ」ということも民進党にとっては、本来受け入れられるものではありません。

ところが、現状では野党候補を一本化しないと自民党とは勝負になりません。そこで、表向き共産党とは違うといいながら、裏では手を組むという対応をせざるを得ないのですが、こうした姿は有権者に見透かされています。

私は、民進党のことをことごとく批判をしていますが、本来は健全な野党は与党の政権運営にも必須だと思っています。だから、本当はまともな野党が出てきて欲しいと思っています。

しかし、増税推進を是とし、金融政策を雇用政策として認めず、シャドーキャビネット(次の内閣)の陣容はそもそも蓮舫総理大臣からして決定的な大間違いで、執行部も野田幹事長というとんでもないものであり、何というか自ら地雷を踏みまくっているようです。それも、はっきりとわかる地雷原に踏み入らないようさえすれば良いものを、自らすすんで地雷原に突入したようにしか見えません。

フォークランドの地雷原に生息するペンギン。ペンギンは体が軽いので、たとえ地雷を踏んでも爆発
しない。しかし、人間が踏めば爆発する。地雷原はペンギンの聖地にはなるが、民進党には土台無理。

まずは、民進党は共産党と裏で協力しなくても戦える体力を蓄えなければなりません。そのために必要なのは、上記の地雷を踏んでしまったことを帳消しにする以外には方法はありません。

帳消しにするには、民主党から民進党に名前を変えたようなことでは、無理です。本当に解党すべきです。一度解党して、地雷原に自らはまって自爆した連中は排除した上で、新党をつくるべきです。そのほうが、ずっと良い結果を生むことでしょう。

今のままでは、旧社会党と同じで、消え去る運命です。官邸は蓮舫氏の二重国籍問題について、事実関係を完全に把握した上で故意に緩い対応をとって、泳がせたのです。蓮舫氏の国籍関係の事実を政府が詳細に把握するのは容易なことです。

そこで、あえて早急に蓮舫氏のクビを取るよりも、選挙相手としてくみしやすい状態であるほうが、与党にとって好都合と考えているでしょう。蓮舫氏が代表であるうちに、間違いなく安倍総理は衆院を解散して、総選挙を実施するでしょう。

蓮舫氏が事前に準備して、もっと早く問題を認めて謝罪していれば、ここまで追い詰められることはなかったでしょう。しかし、ここまで傷口が広がれば、手遅れです。これは、次の衆院選ではっきりすることでしょう。次の衆院選ですぐに消え去るということはないでしょうが、その趨勢が明々白々になることでしょう。

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