トランプ政権の功績と負の遺産 拉致に理解示し対中国姿勢一貫、連邦議会乱入事件を機に問われる民主主義
高橋洋一 日本の解き方 米ドナルド・トランプ政権が終わったが、この4年間でどのような功績があったのか。逆に負の遺産となったものは何か。
日本から見ると、拉致問題に最も理解があった米大統領だったといえる。来日した際に拉致被害者と面会し、2017年9月19日の国連総会では「日本の13歳の少女が拉致された」と訴えてくれたほどだ。
経済でも、日米間で貿易摩擦があるのが普通だったが、トランプ政権時代にはほとんどなかった。米国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱後、日本との交渉で武器である自動車関税を持ちださなかったのは、日本にとって大きかった。
もちろん、安倍晋三前首相とトランプ氏の個人的な関係があったからだが、それにしても、日本にとってトランプ氏はありがたい存在だった。通例ならば日本に向かう批判が全て中国に向かったのも、日本の国益からみればよかった。
安全保障についても、日本に過度な負担を明示的に求めなかったのも幸運だった。さらに、尖閣諸島や台湾をめぐっても、中国からの脅威に対抗する姿勢は一貫しており、中国の覇権に対する歯止めになった。
世界から見ても、ウイグルの人権問題、香港問題、中東和平で大きく貢献した。これらは、トランプ氏の遺産だろう。
負の遺産はやはり今年1月6日の米連邦議会乱入事件だ。もちろんトランプ氏や支持者らの言動は褒められたものではないが、関連してGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など米巨大IT企業が行った「トランプ氏排除」もひどかった。これは、民主主義にとって負の遺産だと筆者は思っている。
日本から見ると、拉致問題に最も理解があった米大統領だったといえる。来日した際に拉致被害者と面会し、2017年9月19日の国連総会では「日本の13歳の少女が拉致された」と訴えてくれたほどだ。
経済でも、日米間で貿易摩擦があるのが普通だったが、トランプ政権時代にはほとんどなかった。米国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱後、日本との交渉で武器である自動車関税を持ちださなかったのは、日本にとって大きかった。
もちろん、安倍晋三前首相とトランプ氏の個人的な関係があったからだが、それにしても、日本にとってトランプ氏はありがたい存在だった。通例ならば日本に向かう批判が全て中国に向かったのも、日本の国益からみればよかった。
安全保障についても、日本に過度な負担を明示的に求めなかったのも幸運だった。さらに、尖閣諸島や台湾をめぐっても、中国からの脅威に対抗する姿勢は一貫しており、中国の覇権に対する歯止めになった。
世界から見ても、ウイグルの人権問題、香港問題、中東和平で大きく貢献した。これらは、トランプ氏の遺産だろう。
負の遺産はやはり今年1月6日の米連邦議会乱入事件だ。もちろんトランプ氏や支持者らの言動は褒められたものではないが、関連してGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など米巨大IT企業が行った「トランプ氏排除」もひどかった。これは、民主主義にとって負の遺産だと筆者は思っている。
ツイッターの創業者の一人ジャック・ドーシー |
たとえばツイッター社はトランプ氏のアカウントを永久凍結した。20日の大統領就任式での不測の事態を避けるためだったというが、ちょっとやり過ぎだろう。
ツイッター社が私企業だと割り切れば、個人アカウントの凍結までは理解の範囲だ。しかし、「独占はいけない、優越的地位の濫用(らんよう)はいけない」という独占禁止法の原則がある。それがどのように担保されるかというと、ツイッターと代替的なものを別の企業がSNSで提供できることが必要だ。その代替手段が確保されているのが民主主義国であり、全体主義の国と違うところだ。
「パーラー」というトランプ氏の支持者に人気のSNSアプリについて、グーグルとアップルが提供を停止した。さらに、アマゾンはパーラーの運営サービスの提供を打ち切った。ツイッターと代替的な関係であるフェイスブックもトランプ氏のアカウントを凍結した。GAFAが結託して優越的な地位を行使するような状況の方が、民主主義国としては気味が悪い。
こういうことは、本来米国の独禁法の世界では許されない。歴史的に独禁法運用に厳しいのは民主党政権だったので、新政権の課題がさっそく出たともいえる。独禁政策をどうするのか、どのようにして競争を確保して民主主義の世界を保つかについて、本件は試金石になるだろう。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】トランプの登場と退場は、日本の貢献が世界を救うことを示した(゚д゚)!
日本人は、これから先もトランプ大統領が歴代の米大統領の中で、拉致問題に最大の理解を示した大統領であったことを忘れるべきではありません。
「拉致問題は私の頭の中に常にある」。一昨年5月、東京・元赤坂の迎賓館で家族と面会したトランプ氏はこう断言しました。平成29年に続き2度目の対面となった家族らと向き合い、「きっと会える」と励ましました。
拉致に関心を寄せる米大統領は過去にもいました。18年に訪米した早紀江さんとホワイトハウスで面会したジョージ・W・ブッシュ元大統領は「国の指導者が拉致を奨励するのは心がない」と指弾。協力を約束しました。
26年に来日したオバマ前大統領も滋さん、早紀江さんら家族と面会。「政治家ではなく娘2人を持つ親の立場として許せない」などと北朝鮮を非難しました。ただ長年、米朝交渉の主題は北朝鮮の非核化でした。
こうした中、トランプ氏は被害者家族と面会後の30年6月に行われた史上初の米朝首脳会談で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に拉致解決を提起。一昨年2月の会談でも「顕著な進展を見せていない」と迫りました。
拉致被害者との面談で身を乗り出して話を聴くトランプ大統領 |
トランプ氏は一昨年6月、有本恵子さん(60)=同(23)=の父、明弘さん(92)に手紙を寄せました。同年5月の訪日時、明弘さんが米関係者に託した被害者救出を切望する手紙に応え「全力を尽くしています。あなたはきっと勝利する」と激励。明弘さんは「解決が近づいているように感じた」と涙を拭いました。
このトランプ氏のアカウントが凍結されたというのは、本当に大ショックでした。GAFAを始めとするIT大手企業に対しても「公共インフラ」として、国民が(あくまで公正な)選挙で選んだ政府(の制定する法律)が、厳しく監督する時代になったのだと考えます。
GPSを搭載したコマツの建設機械がいま世界で約30万台稼働しています。これは「KOMTRAX(コムトラックス)」と呼ばれる機械稼働管理システムで、どの機械がどの場所にあって、エンジンが動いているか止まっているか、燃料がどれだけ残っているか、昨日何時間仕事をしたか、すべてがコマツのオフィスで分かる仕組みになっています。
現代のITビジネスの基盤を築いたのは、1993年に発足したビル・クリントン政権だと言えるかもしれないです。
大統領候補のクリントン氏と副大統領候補のゴア氏は、 1992 年の大統領選挙期間中に「すべての家庭、企業、研究室、教室、図書館、病院を結ぶ情報ネットワークをつくる」と公約しました。さらに当選後の93 年に、シリコンバレーでアメリカの産業競争力強化のための「情報スーパーハイウェイ」を 2015 年までにつくるという構想を発表しました。
その後のIT・インターネットの発展ぶりは、ここであえて語るまでもないですが、IT・インターネトの発展と米国金権政治の浸透、そして共産主義中国の密接な関係については、昨日もこのブログに掲載した、翟東昇の動画から「媚中派大統領のクリントン、オバマ、バイデンとウォール街の行状」には大きな疑問符がつきます。
GAFAを始めとするIT大手は、現在しゃにむにデジタル全体主義の道を歩んでいるように見えますが、彼らは実は「表面に見える道具」に過ぎないのかもしれないです。つまり、「ビッグブラザー」というコンピュータが支配している裏には「闇の帝王」が存在するのではないのかということです。無論それは、中共である可能性が高いです。そうして、中共と協力する勢力が米国に存在する可能性が高いです。
もしこれが本当だとすれば、日本でも「媚中派」の政治家が多いですから、米国と同等あるいはもしかしたらそれ以上にデジタル全体主義が進行しているのかもしれないです。
オールドメディアは、「デジタル化で日本は中国に遅れているから追いつけ」などと述べていますが、利便性の陰に隠れた「デジタル全体主義」の浸透が遅れているとしたら不幸中の幸いともいえます。
確かに、たとえば自民党の二階氏が「デジタル全体主義」に協力できるのかということもあります。たとえば、麻生氏も自身のアカウントはないですが、事務局のアカウントはあります、しかしアカウント取得直後にいくつかツイートした他は、その後ほとんど使われていません。
一方、日本はビックデータにおいて独自の行動をとっています。たとえば、先日も掲載したコマツの建機の例です。
KOMTRAZの概念図 |
KOMTRAX導入のメリットは次のとおりです。
JR東海は東海道新幹線の走行車両からブレーキやドアなど機器の動作データを取得して「状態基準保全(CBM)」を推進している。連続するデータの変化点を管理して故障発生前に予兆を検出し、適切なタイミングで保守作業を実施。営業時間内の不具合抑制や作業効率化を実現した。新幹線の安全、安定運行レベルを高めるアプローチの一つが、車両ビッグデータ(大量データ)の活用です。今後は、安全運行だけではなく様々な分野で活用されていくことでしょう。
多くの先進国においては、右派の伝統的な支持基盤はそれほど変わっていないのですが、高学歴左派の支持基盤が大きく変わって、ブルーカラー労働者の味方がいなくなるというエア・ポケットが生まれたのです。
事実、どの国でも、低学歴層の投票率は時を追うごとに低下しています。そしてこの変化に気づいたのは、フランスでも米国でも、左派ではなく右派でした。マリーヌ・ル・ペンであり、ドナルド・トランプです。
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(1)→ 建設機械の故障原因推定の容易化、修理の迅速化これ以外に、コマツの建設機械は、契約に反して機械のローンが返済されなくなった時に、度重なる警告を経て遠隔操作でエンジンを停止させて返済を促 すことができます。また、使用状況が分かり、保守・点検が的確になされていることが把握できるので、中古機械の価格も他社製より高く、その点も顧客から評 価されているのだそうです。
(2)→建設機械の盗難防止(持ち主が意図しない場所に建設機械が移動していることが分かれば、遠隔操作でエンジンを停止する)
(3)→ 顧客側へのコスト削減提案(収集・集積したデータを分析し、適切な点検時期や部品の交換時期の提案、効率的な配車計画や作業計画の作成支援、燃費改善方法の提案など、顧客側のコスト削減につながる価値を創出する)
(4)→ 製品の需要動向予測(建設機械の稼働状況を国や地域ごとに分析し、市場動向を予測。稼働状況が高い地域や企業に対しては、販売増を狙い営業強化。一方、稼働状況が低くなったら、早めに生産を絞り在庫調整を行う)
このコマツの建機、ほとんどの中国の建築土木現場で使われています。中国側としては、コマツのような建機は作れないし、無理に作ったとすれば、割高になるのだと思います。これは、日本による平和的な中国への浸透ともいえます。
トヨタ自動車は、通信機能を備えた「コネクテッドカー(つながる車)」を生かした交通事故撲滅に本格的に乗り出しました。高齢ドライバーに多いペダル踏み間違い事故を防止しようと、今夏からコネクテッドカーから得られたビッグデータを解析・開発した新機能「急加速抑制機能」を導入します。
道路上の障害物の情報を車両間で共有できるシステムについても、2020年度内にめどをつける見込みです。実現すれば、コネクテッドカーが事故防止だけでなく社会課題を解決する切り札となります。
将来トヨタの車は、すべて「コネックテッドカー」になり、様々なビッグデータの解析により、ペダル踏み間違いをなくすことは無論のことKOMTRAXと同じように様々な便益を顧客に提供することになるでしょう。そうして、そのような車が世界のあるゆるところで走り、世界各地で車社会の様々な問題の解決に貢献していくことになるでしょう。
JR東海は東海道新幹線の走行車両からブレーキやドアなど機器の動作データを取得して「状態基準保全(CBM)」を推進している。連続するデータの変化点を管理して故障発生前に予兆を検出し、適切なタイミングで保守作業を実施。営業時間内の不具合抑制や作業効率化を実現した。新幹線の安全、安定運行レベルを高めるアプローチの一つが、車両ビッグデータ(大量データ)の活用です。今後は、安全運行だけではなく様々な分野で活用されていくことでしょう。
これからの世の中では、パソコンやスマホだけが、ビッグデータの入り口ではありません。それは、ほんの一部に過ぎません。スマート電力計などをはじめ、ありとあらゆる、ビックデータの取得と、その解析によって世界は変わっていくことでしょう。
その中において、日本は独自の位置を占めていくいくことになるでしょう。新たなイノベーションに必要な周辺技術、基盤技術のほぼ全てを兼ね備えている産業構造を持つ国は日本だけです。中国、韓国、台湾、ドイツはハイテクそのものには投資していながら、その周辺や基盤技術の多くを日本に依存しています。GAFAも例外ではありません。そもそも、半導体製造の工作機械が日本の独壇場です。
中国やGAFAなどのデジタル改革は、どちらかというと、パソコンやスマホ等に偏りすぎています。無論一企業ができることにはいくら企業規模が大きくても、限界があります。過去においてはEコマースなどで、自分たちの能力を存分に活かすことができたのですが、消費者の直接的な消費は社会活動のごく一部にしか過ぎません。その偏りが将来的にはGAFAや中国を苦しめることになるでしょう。
今日のGAFAや中国の全体主義的な動きは、そうした将来を予感させるものかもしれません。将来に希望があり、明るい未来が開けていれば、そもそも全体主義的な動きなどせず、明るい未来に向けて、努力を続けるはずです。実際は、中国やGAFA自体が閉塞感、逼迫感にとらわれているのではないでしょうか。
事実、どの国でも、低学歴層の投票率は時を追うごとに低下しています。そしてこの変化に気づいたのは、フランスでも米国でも、左派ではなく右派でした。マリーヌ・ル・ペンであり、ドナルド・トランプです。
そうして、これは正しいです。なぜなら、会社などの組織であれば、仕事のできない人や会社にあわない人は、会社の外にほうりなければそれですみますが、国はそうはいかないからです。
国は、ブルーカラー等の貧困層を放置しておけば、深刻な社会問題を生み出すことになります。
私自身は、米国におけるトランプ大統領の登場、GAFAの全体主義への傾斜は、こうした社会問題の解決が必要であることを顕在化したものであると考えています。
この問題を解決するには、既存の枠組みで考えていては、無理であり、日本のビッグデータによる取り組みが参考になり、それが社会を変えていくのではと期待しています。
考え見てください、一部の高学歴エリートだけで、来るべきビッグデータの時代は、乗り切れないはずです。CPUや半導体、それにOSやアプリと、Eコマース、スマホやコンピュータそれと金融界による金儲け等だけでは、社会問題は解決できないのです。
私自身は、そもそも米国の左派・リベラル系高学歴エリートは、そもそも社会変革など必要と思っているのかどうかさえ疑問符がつきます。彼ら、結局貪欲な中国の官僚(中国には選挙がないので、厳密な意味で政治家は存在しない、その意味では習近平も官僚)と変わらないのではないでしょうか。
日本産業の裾野の広さは、金を出せば購入できるとは限りません。実際、トヨタの見学は自由だそうですが、それを見学した諸外国の自動車会社が、すぐにトヨタのやり方を真似できるわけではないのです。
社会問題の解決という視点でみれば、様々なビックデータの活用が考えられます。そこには、エリートだけではなく、社会の様々な部門で働く人たちが必要であり、その人達の仕事の質が、これからの社会の質を規定していくのです。
うまい表現が思い浮かばないのですが、それこそ地が足についた活動が必要不可欠なのです。人々の頭だけでなく、多くの人々の手足と経験と感性が必要不可欠なのです。中国や、GAFAだけではこれは不可能です。
今こそ、日本がビッグデータの活用の一角で大変革をおこし、世界に貢献していくべきです。
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