2016年3月10日木曜日

北朝鮮 日本海に向け短距離弾道ミサイル2発を発射―【私の論評】東京大空襲のあった日にミサイル発射の魂胆は?



動画・写真・図表は以下すべてブログ管理人挿入

北朝鮮が10日午前、日本海に向けてスカッドミサイルとみられる短距離弾道ミサイル2発を発射したことについて、韓国軍は、今月7日からアメリカ軍と行っている合同軍事演習に北朝鮮が反発したものとみて、警戒を強めています。

韓国国防省によりますと、北朝鮮は、10日午前5時20分ごろ、朝鮮半島西側のファンヘ(黄海)北道から北朝鮮の上空を通過して東側ウォンサン(元山)の北東方向の日本海に向けてスカッドミサイルとみられる短距離弾道ミサイル2発を発射したということです。

いずれのミサイルも500キロほど飛んで、日本海に着弾したということです。韓国国防省のムン・サンギュン(文尚均)報道官は、10日の記者会見で、「韓国軍は、綿密に追跡と監視を行っており北朝鮮の挑発に対する万全の態勢をとり続けている」と述べ、北朝鮮の挑発に対して警戒を強めていると説明しました。

韓国国防省は、北朝鮮は去年も米韓の合同軍事演習の期間中にミサイルを発射しており、今回も演習に対する威嚇との見方を示しました。

演習について北朝鮮は、韓国大統領府やアメリカ本土などへの先制攻撃も辞さないとする、軍最高司令部の「重大声明」を出したほか、9日、国営メディアを通じて核弾頭の小型化に成功したと主張して米韓両国を強くけん制するなど、合同軍事演習を中止するよう繰り返し求めています。

防衛省によりますと、弾道ミサイルは、午前5時22分ごろと午前5時27分ごろに北朝鮮西岸のナンポ(南浦)の付近から東北東に向けて発射されたとみられるということです。発射されたミサイルは、およそ500キロ飛んで日本海上に落下したと推定されるということです。

「スカッド」 発射の兆候つかむのが難しい

短距離弾道ミサイルの「スカッド」は、1950年代に旧ソビエトが開発し、その後、北朝鮮に輸出されました。北朝鮮は、スカッドの配備や改良を続け、射程はおよそ300キロから1000キロに達するとみられています。

また、スカッドは、車両で運んで発射する移動式の弾道ミサイルで、防衛省は発射の兆候を事前につかむのが難しいとしています。

北朝鮮は、おととし、5回にわたってスカッドとみられる弾道ミサイルを発射したほか、去年3月には米韓合同軍事演習の初日に北朝鮮西部のナンポ(南浦)から日本海に向けてスカッドとみられる弾道ミサイル2発を発射しています。

外相「強く非難する」 北朝鮮に抗議

岸田外務大臣は、参議院外交防衛委員会で、「一連の国連安全保障理事会の決議に違反するものだ。北朝鮮による挑発行為がエスカレートすることは、わが国や地域の安全を脅かし、強く非難する」と述べました。

そのうえで岸田大臣は、北朝鮮に対し、午前8時すぎに、中国・北京の大使館ルートを通じて抗議したことを明らかにしたうえで「引き続き、安保理の場を含め、アメリカや韓国をはじめとする関係国と緊密に連携し、関連情報の収集など、しかるべき対応に努めていきたい」と述べました。

中谷防衛相「さらなる挑発の可能性も」

中谷防衛大臣は、10日午前、防衛省で記者団に対し、「引き続き、アメリカや韓国と緊密に連携しながら、必要な情報の収集や分析、警戒監視に努めていく。北朝鮮が、国連安保理決議や米韓の演習などに反発して、さらなる挑発行動に出る可能性は否定できないので、対応に万全を尽くしていく」と述べました。

また、中谷大臣は、今回発射されたミサイルは、「スカッドミサイル」の可能性があるとしたうえで、「今回の発射が、わが国の領域や周辺海域に到達しうる弾道ミサイルの能力の増強につながるものであれば、わが国の安全保障上、強く懸念すべきものだ」と述べました。

【私の論評】東京大空襲のあった日にミサイル発射した北朝鮮の魂胆は?

本日は、このニュースあまり詳細は、報道されていないので、掲載させていただきました。

ところで、71年前の昭20年3月10日は東京大空襲と呼ばれる、実際には東京大虐殺の日です。東京は1944年(昭和19年)11月14日以降に106回もの空襲を受けましたが、特に1945年(昭和20年)3月10日、4月13日、4月15日、5月24日未明、5月25日-26日の5回は大規模でした。


その中でも「東京大空襲」と言った場合、死者数が10万人以上と著しく多い1945年3月10日の空襲(下町空襲)を指すことが多いです。この3月10日の空襲だけでも罹災者は100万人を超えました。

同時に3月10日は陸軍記念日でもあります。米国はこれに合せ東京大虐殺を企てました。明治38年(1905)日露戦争の天下分け目の奉天会戦で日本が勝利、日露戦争の勝敗を決定づけた。日本軍が奉天(現瀋陽)のロシア軍を駆逐し奉天城に入城した日でもあります。

そのため本日は、私は、平和への祈りを捧げていました、その矢先、ブログ冒頭の記事のように、北朝鮮にやるミサイル発射がありました。本日は、戦争は良くないという趣旨の慰霊祭の声が報道されましたが、どちらかと言えば親米派の私ですら、アメリカのあの爆撃に対しては怒りを感じるにもかかわらず、戦争を反対する人々から当時のアメリカへの怒りが全く感じられないというのは不思議なことです。
「大山巌の奉天入城式典」
わざわざ、この日を選んで、北朝鮮がミサイルを発射したのには、やはり東京大空襲を意識してのことでしょうか。そうして、その狙いは日本に対する威嚇と、日米の分断でしょうか?

このようなことを掲載すると、多くの方々は、「単なる偶然」とおっしゃるかもしれません。しかし、北朝鮮が東京大空襲を考慮したかどうかは、定かではないものの、この打ち上げには前もってかなり周到に準備していたと思われます。

ブログ冒頭の記事では、「演習について北朝鮮は、韓国大統領府やアメリカ本土などへの先制攻撃も辞さないとする、軍最高司令部の「重大声明」を出したほか、9日、国営メディアを通じて核弾頭の小型化に成功したと主張して米韓両国を強くけん制するなど、合同軍事演習を中止するよう繰り返し求めています」としています。

そうして、これに関する本日の朝鮮中央通信の報道全文は以下の通りです。
われわれの警告を誤って判断するな 朝鮮中央通信社論評
【平壌3月9日発朝鮮中央通信】米帝と南朝鮮のかいらい好戦狂らが、われわれの警告にもかかわらず7日から南朝鮮全域で「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル16」合同軍事演習をとうとう開始した。 
クリックすると拡大します
今回の演習は、好戦狂らが公然と唱えた通り、朝鮮革命の首脳部を狙った「斬首作戦」と戦略的要衝を不意に占領するための奇襲上陸作戦、われわれの核打撃手段に対する核先制打撃作戦などを含む「作戦計画5015」の実戦の可能性を確定するのに目的を置いた挑発性と悪らつさ、無分別さにおいて、史上極致を成す大規模な北侵核戦争演習騒動である。 
侵略者は、犯罪的目的を公開した今回の核戦争挑発策動にも「定例的」という看板を公然と付けることによって、自分らの反共和国圧殺野望が過去も、現在も少しも変わっていないということを世界に余地もなくさらけ出した。
今、国際社会は敵対勢力がわれわれの自衛的な初の水爆実験と合法的な地球観測衛星「光明星4」号の打ち上げに言い掛かりをつけてつくり上げた不当極まりない国連「制裁決議」によって生じた朝鮮半島地域の険悪な情勢に懸念を表し、それが一日も早く緩和することをいつよりも切に願っている。 
まさにこのような時に、米国とかいらい一味が膨大な兵力とほとんどすべての3大戦略核打撃手段まで総動員してわれわれの尊厳と自主権を併呑するために最後のあがきをしているのである。 
これこそ、平和と安全を願う国際社会の念願に対する正面切っての挑戦であり、侵略者、情勢破壊の主犯としての正体を赤裸々に見せる明白な証拠である。 
凶器を振り回して横暴非道に襲い掛かる強盗は、いかなる論理や頼みごとによっては絶対に追い出すことができない。 
今日の厳しい現実は、敵の不正義の力を正義の力で圧倒するために、わが共和国が早くから自衛的戦争抑止力、核先制打撃力を千倍、万倍に打ち固めてきたのがどんなに正当で、先見の明のある措置であったのかを再びはっきり実証している。
上の文中にでてくる、「作戦計画5015」とは以下の様な作戦です。以下にハンギョレ新聞の記事をコピペします。
朝鮮半島有事「作戦計画5015」で北朝鮮の核・ミサイルを先制打撃
 2015.08.28

 韓米が今年6月に署名した作戦内容
 韓米軍当局が朝鮮半島の有事を想定し、新たな「作戦計画5015」を作成したことが分かった。安保環境の変化に合わせて先制打撃の概念を適用するなど、従来の「作戦計画5027」より迅速かつ積極的な軍事対応を強調していると伝えられた。 
 軍関係者は27日、「チェ・ユンヒ合同参謀本部議長とカーティス・スカパロッティ韓米連合司令官兼在韓米軍司令官が6月、新たに作成された作戦計画5015に署名したと聞いている」と述べた。この関係者は、「今回に合意された作戦計画は戦争勃発など有事の際、韓米軍事力運用に関する大きな下図に当たる」とし「韓米両軍は、新しい作戦計画に基づいて除隊別の隷下部隊にまで適用される具体的な作戦計画を、年末までに作業することになる」と述べた。作戦計画5015は、来年から本格的に適用される予定であることが分かった。 
 今回の作戦計画5015は、2010年10月、第42回韓米安保協議会(SCM)で韓米国防長官が北朝鮮の脅威と戦略状況の変化に総合的に対応できる新しい作戦計画樹立のため、「戦略企画指針」 (SPG)に合意したことによる後続措置だ。当時、新しい作戦計画の作成は、今年末に予定された戦時作戦統制権(戦作権)の転換に備えるための意味が大きかった。しかし、韓米軍当局は昨年、戦作権の転換を2020年代半ばまで再延期することに合意したが、「作戦計画5015」は当初の計画通りに進めてきた。 
従来の作戦計画5027と新規の作戦計画5015 
年末までに具体的な計画を完成北朝鮮による局地挑発に共同で対応し大量破壊兵器の脅威への備えに焦点既存の「5027」よりも迅速・積極的   
 ミサイルなどの大量破壊兵器の脅威の増加など、軍事安保上の環境の変化に対する韓米連合戦力の軍事的対応に焦点を当てていることが分かった。従来の作戦計画5027は、主に北朝鮮の南侵に伴う全面戦争の状況を想定したシナリオに沿って、6段階の対応で構成されている。北朝鮮軍の奇襲南侵が発生した場合、ソウル北側の防衛線で北朝鮮軍を阻止し、米軍の増援戦力が到着したら、戦列を整備して反撃に出るという概念だ。 
 今回の作戦計画5015は、北朝鮮の局地挑発による戦争拡大の可能性が大きくなるにつれ、韓米連合戦力が局地挑発にどのような手順で対応するかなどが検討されたものと見られる。韓米軍当局は、すでに2013年3月に「局地挑発への韓米共同対応計画」を策定したと発表した。今回の作戦計画5015には、当時合意された内容が以降の状況の変化まで反映して含まれたと伝えられた。軍関係者は、「作戦計画5027が、主に北朝鮮の全面的な南侵に備えるのに焦点を当てているのに比べ、今回の作戦計画5015には、北朝鮮の全面戦争挑発の前に、局地挑発の段階から韓米連合防衛体制をどのように稼働するかなどが盛り込まれた」と述べた。 
 また、北朝鮮の核・ミサイル発射の兆候が見られたら、30分以内に先制打撃するという韓国軍の「キルチェーン」の概念も、今回の作戦計画に反映されたことが分かった。軍関係者は、「北朝鮮の核・ミサイル攻撃の脅威に対しても、韓米連合防衛体制で備えるようになる」とし「北朝鮮が核・ミサイル攻撃をする前に、あらかじめ軍事的に対応して被害を予防することは、先制攻撃ではなく、自衛権に基づく対応」と述べた。 
 一方、チョ・サンホ国防部軍構造改革推進管はこの日、ソウルの戦争記念館で韓国国防安保フォーラム(KODEF)の主催で開かれた安保学術セミナーに参加し、あらかじめ配布した発表文で、「私たち(韓国)主導、私たち優位の非対称戦略概念の開発」の必要性を提起し、心理戦、情報優位性、精密打撃能力とともに「斬首作戦」を例示して問題になった。斬首作戦は、有事の際、敵国が核兵器を使用しようとする兆候が見られたら、核兵器承認権者を除去し、核兵器の使用を防ぐものだという。最近、南北が軍事衝突を防ぎようやく作り上げた対話の雰囲気に、水を差すような発言だという指摘も出ている。
 「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル16」は、かなりの規模の軍事演習です。そうして、新たな軍事作戦「5015」もかなり大掛かりな作戦です。

この新たな軍事作戦「5015」に含まれる、要人斬首のための部隊をすでに米軍が、朝鮮半島に駐屯させていることはこのブログでも以前掲載しました。

北朝鮮の場合は、北朝鮮政府が情報を統制しているので、この軍事訓練の規模など人民には詳細までは知らせないので、混乱などおこりませんが、自分たちの実力を良く知っている幹部連中は心穏やかではないでしょう。特に斬首作戦にはかなり心理的効果があるものと思います。幹部など、警備の手薄なところにはなかなか出かけられないということになります。

最近の金正恩
このようなことを、中国と北朝鮮あたりが、日本の近海で行えば、日本はどうなることでしょう。日本なら大混乱するかもしれません。いや、それどころか、日本国民は再軍備や、核武装などを望むようになるかもしれません。そうなれば、元も子もなくなるので、今までのところ中国や、北朝鮮も日本に対しては、挑発してもある程度以上のことはしなかったのだと思います。

それにしても、斬首作戦など、本当に実行するかもしれません。何しろ、アメリカはあのオサマ・ビンラディンを斬首した国です。

本当に警備などが手薄な場所や日時を特定できたら、実行する可能性は十分にあると思います。そうして、核兵器の使用を承諾できる幹部を全員を斬首または、捕獲できた場合、その後に戦争に雪崩れ込むというシナリオも十分考えられます。

特に、最近は、南シナ海で増長する中国に対して、見せしめのために、中国の目の前でそれを実行するかもしれません。これを実行した場合、中国もパニックに陥ることでしょう。

最近、増長して身の程知らずになってしまった、北朝鮮や中国にとっては、有効な手段であると思います。それにしても、オバマは「アメリカは世界の警察官をやめる」などと公言したり、及び腰の態度で外交に臨んだため、中国、ロシア、北朝鮮、韓国などを増長させてしまいました。

これに対する見せしめにするためには、北朝鮮の要人などは、格好の標的だと思います。

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2016年3月9日水曜日

【国連女子差別撤廃委】日本の国柄・伝統を無視し、「男系継承は女性差別」と勧告しようとした裏でやはりあの国が暗躍していた…―【私の論評】反日国連に日本が大金を拠出すのは不条理(゚д゚)!


16日、ジュネーブの国連欧州本部で開かれた国連女性差別撤廃の対日審査会合
国連女子差別撤廃委員会が、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきだとの勧告をしようとしていたことは、同委がいかに対象国の国柄や歴史・伝統に無理解な存在であるかを改めて示したものだ。勧告の理由は、女性だから皇位継承権を与えられないのは差別であるという単純かつ皮相的なもので、125代の現天皇陛下まで一度の例外もなく男系継承が続いてきた事実、日本国の根幹をなす皇室制度への尊重はみられない。

「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みを踏まえつつ、安定的な皇位継承の維持について引き続き検討していきたい」

安倍晋三首相も2月4日の衆院予算委員会でこう述べている。にもかかわらず、一方的に勧告に皇室典範改正要求が盛り込まれていたら、日本国の象徴であり、事実上の国家元首である天皇のあり方について、国連の重大な内政干渉を許すことになりかねない危うい場面だった。

そもそも、女子差別撤廃委の各委員が締約国に関して深い知識を持っているわけではない。委員がもっぱら情報源としているのが非政府組織(NGO)だがその情報は偏っており、例えば慰安婦問題をめぐっても委員の中には、元慰安婦が家族から業者に売られた事例も知らず、全員が「日本軍によって強制的に連行された」と信じ込んでいる者もいる。

「日本に関する見解をとりまとめた委員は中国の人だ。いろいろな思惑があってやっているのだろう」

政府高官はこう指摘する。皇室典範の件だけではなく、女子差別撤廃委の委員それぞれが出身国の思惑や国益を背景に政治的に動いている部分もある。今回、同委は慰安婦問題に関する「最終的かつ不可逆的な解決」を決めた日韓合意を批判したが、政府内にはこれも日韓の分断が狙いだとの分析もある。

いずれにしろ今回、最終見解案に突如、皇室典範改正の文言が入ってきたことは日本政府に衝撃を与えた。委員会内での議論は非公開のため経緯は不明だが、政府には国連の場で仕掛けられる「歴史戦」に一層、強力に対応していくことが求められる。(田北真樹子、阿比留瑠比)

【私の論評】反日国連に日本が大金を拠出すのは不条理(゚д゚)!


皇室典範
国連女子差別撤廃委員会が日本に関してまとめた最終見解案に皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは女性への差別だとして、皇室典範の改正を求める勧告を盛り込んでいたことが8日、分かりました。日本側は駐ジュネーブ代表部を通じて強く抗議し、削除を要請していました。7日に発表された最終見解からは皇室典範に関する記述は消えていました。

日本側に提示された最終見解案は「委員会は既存の差別的な規定に関するこれまでの勧告に対応がされていないことを遺憾に思う」と前置きし、「特に懸念を有している」として「皇室典範に男系男子の皇族のみに皇位継承権が継承されるとの規定を有している」と挙げた。その上で、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも「皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきだ」と勧告していました。

日本側は4日にジュネーブ代表部公使が女子差別撤廃委副委員長と会い、皇位継承制度の歴史的背景などを説明して「女子差別を目的とするものではない」と反論し削除を求めたていました。副委員長は内容に関する変更はできないが、日本側の申し入れを担当する委員と共有するなどと応じたそうです。7日の最終見解で皇室典範に関する記述が削除されたことについて、委員会側から日本政府への事前連絡はなかったそうです。

皇位の男系継承は「女性差別」とはそもそも全く無関係です。天皇になるのは「権利」ではなく「義務」です。「女性だから天皇になれないのは差別」などには当たりません。国連女子差別撤廃委員会は一体何を勘違いしているのでしょうか。

皇位の男系継承というのは、女性を排除するものではありません。皇室は太古の昔から、民間から妃を受け入れてきましたが、民間の男子を受け入れたことは一度も先例がありません。ゆえに、男子が生まれない宮家は途絶えてきました。女性を排除するのではなく、男性を排除してきたのが「皇位の男系継承」です。

 それにローマ教皇はどうなるのでしょか、ユダヤ教のラビはどうなるのでしょうか、アメリカ大統領は現在に至るまで女性はいません。このような矛盾は放置しておいて、日本の皇位継承権に関して、提言をしようとするなど、おこがましいにも程があります。

日本の国体の根本について、つい最近できた国連ごときにとやかく言われる筋合いは全くありません。しかし、国連は日本人を敵に回して何か得るものがあるのでしょうか。天皇の何たるかも知らない連中が「勧告」など、おこがましいにも程があります。

この国連女子差別撤廃委員会は、とんでもない組織であり、上の記事にもあるように、慰安婦問題に関してもトンデモ歴史観で糾弾する馬鹿者が大勢います。

それについて、以下に掲載します。
国連女子差別撤廃委員会、政府、慰安婦問題説明へ
国連女子差別撤廃委員会は16日(日本時間同日午後)、ジュネーブの国連欧州本部で対日審査を行った。対日審査は2009年7月に行われて以来。日本政府代表の杉山晋輔外務審議官は会合で、慰安婦問題について「日本政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明した。 
 その上で、強制連行に関する日本側の証言者、吉田清治氏についても言及し「日本軍の命令で大勢の女性狩りをしたという事実を捏造して発表した」と指摘。「朝日新聞の報道が国際社会にも大きく影響したが、朝日新聞は誤りを認め謝罪した」と述べた。 
 また杉山氏は会合の冒頭発言で、昨年末の日韓合意で慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決されることが確認されたことに触れ、「現在両国それぞれが合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところだ」と強調。「日本政府としては20世紀において戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするためリードしていく考えだ」と表明した。 
 また、慰安婦問題は日本が女子差別撤廃条約を締約した1985年以前のことで、同条約は締結以前に生じた問題については遡って適用されないことから「慰安婦問題を同条約の実施状況の報告で取り上げるのは適切ではないということが、日本政府の基本的な考え方だ」などと指摘した。 
 今回の対日審査に先立ち、委員会は日本政府に対し慰安婦の強制的連行を示す証拠はないとする公式声明についての「コメント」を求めたほか、中国や東ティモールなどの元慰安婦への補償や加害者の訴追意思、歴史教科書に慰安婦問題を再び記述する考えの有無について質問していた。 
 日本政府は慰安婦問題について「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる『強制連行』は確認できなかった」などとする内容を先月末、委員会からの質問への回答として提出している。
この記事にあるように、 日本が女子差別撤廃条約を締約した1985年以前のことで、同条約は締結以前に生じた問題については遡って適用されないことと決められています。

であれば、慰安婦問題など問題にすること自体が、間違いです。それとともに、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきということも非常に問題です。

なぜなら、女子に皇位継承がないように取り決められたのは、それこそ1000年以上も前のことで、それを今更差別であるとする事自体が、異常です。このような指摘は、まさに問題外と断じてしかるべきでしょう。

国連女子差別撤廃委員会の実施すべき仕事は、1985以降の女子差別の実体を調査し、それを是正することです。

にもかかわらず、皇室典範を問題にしたり、ありもしない慰安婦問題をさらに蒸し返したりということで、これは、歴史の修正であり、そうして何のために修正するかといえば、当然のことながら政治利用のためです。

特にこれらの国々は、日本と異なり歴史があまりにも短く、伝統や文化も継承しておらず、そもそも、為政者たちの統治の正当性が曖昧です。これらの国々の為政者や国家元首など、日本から見れば、馬の骨にすぎず、それらがなぜ統治しているのか、その正当性については甚だ疑問です。

日本では天皇陛下という国家元首が存在し、為政者たちが陛下から認証を受けるという形式で、現在でも任命されています。ところが、中国、韓国・北朝鮮などは歴史も短く天皇陛下のような存在はなく、国家元首や為政者たちの統治の正当性は日本から比較するとはるかに脆弱です。

そのため、彼らは常自分たちの統治の正当性を訴えなければなりません。今回の一連の動きは、その一環であると考えるべきです。

それと、このブログでも以前掲載しましたが、そもそも国連という組織自体が設立当初から今に至るまで、反日的であるということを忘れるべきではありません。

その記事のリンクを以下に掲載します。
【痛快!テキサス親父】左派による洗脳が解けていない国連委 日本の主張を否定する専門家とは誰なんだ?―【私の論評】国連は元々反日!慰安婦問題をより複雑化させたのは日本国内の戦後利得者ども(゚д゚)!
トニー・マラーノ氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、そもそも国連とは英語で"United Nations"であり、これは第二次世界大戦の「連合国」という意味であることを掲載しました。以下にそれに関する部分のみ掲載します。

"
第二次世界大戦の『連合国』と『国際連合』が英語では同じというのが、まさに実態を表しています。

安保理の常任理事国5か国(米、英、仏、露、中)は第二次世界大戦の戦勝国で国連憲章が改正されない限り恒久的にその地位にあり、拒否権も与えられています。

日本やドイツが常任理事国入りするためには、国連憲章の改正が必要で、5常任理事国すべてが賛成しなければならないのです。そうして、国連憲章には敵国条項があり、日本は敵国であるという条項が今でも生きています。

そんな、国連の事務総長が反日的な発言をするというのは、ある意味当然といえば当然です。

世界は今も第二次世界大戦の戦勝国のルールで動いている。日本がいかに世界平和に貢献しようとどんなに多く国連分担金を納めようと(世界2位、下表)常任理事国入りを目指そうと、中国が反対するから無理です。

国連分担金の多い国
順位国名分担率(%)分担金額
(百万未満四捨五入)
1アメリカ合衆国(米国)22.0006億1,850万
2日本10.8332億7,610万
3ドイツ7.1411億8,200万
4フランス5.5931億4,250万
5英国5.1791億3,200万
6中華人民共和国(中国)5.1481億3,120万
7イタリア4.4481億1,330万
8カナダ2.9847,600万
9スペイン2.9737,580万
10ブラジル2.9347,480万

(単位:%、米ドル 出典:外務省 「2011-13年 国連通常予算分担率・分担金」(2013年))
日本の常任理事国入りを認めると、日本を許す、反日を解除しなればならなくなり、中国共産党の正当性が崩壊してしまうことになります。「5常任理事国すべての賛成が必要」という国連憲章も、改正するには5常任理事国すべての賛成が必要です。だから、中国が自滅するまでは、ほとんど不可能です。
"
このような状況ですから、ブログ冒頭の記事に書かれてあるようなことも、中国、韓国、北朝鮮の特亜三国が、自分たちの統治の正当性を強化し、本来自分たちに向けられてしかるべき国民の憤怒のマグマの行き先を日本に向けるため、日本を貶めるため政治利用している、とみるべきです。

そうして、なぜこのような特亜三国の政治利用を国連が許容するかといえば、そもそも国連は反日組織だからです。

こんな理不尽なことをされて、国連に大金を出すのは不条理です。しかし、私と同じようなことを思った人と団体も存在しました。それについて以下に記します。

有識者らでつくる保守系民間団体「慰安婦の真実国民運動」(加瀬英明代表)は8日、安倍晋三首相と岸田文雄外相宛てに、国連女子差別撤廃委員会の日本に関する最終見解に強く反論すべきだとする要望書を提出しました。記者会見した同委員会幹事の藤岡信勝拓殖大客員教授は「怒り心頭だ。日本がいかに足蹴にされているか」と語り、同委員会を厳しく批判しました。


要望書では政府に対し、最終見解への反論手続きを進めるほか、慰安婦を「性奴隷」と認定した国連人権委員会の「クマラスワミ報告書」(1996年)の内容の再調査・撤回を国連に要求することを求めました。

さらに、慰安婦問題に関する国際社会の誤解を解くべく、首相が記者会見を開いて説明するよう要望しました。

藤岡氏は8日の記者会見で、日本政府が2月の対日審査で説明した事実関係が最終見解にあまり反映されていないことを批判し、「(国連は)まともな国際機関としての意味をなさない。日本たたきの道具にしかならない国際機関に日本が大金を出すのは不条理だ」と訴えました。

また、ジャーナリストの西村幸祐氏は「非常にいい加減な最終見解だが、日本が反証していくための材料にもなる。今後、政府や民間の情報発信が重要になる」と述べました。

これからも、特亜三国は、自分たちの正当性を強化するため、日本を貶めるという行動にでることでしょう。そうして、これは中国が自滅するまで、続きます。中国が自滅すれば、北朝鮮や、韓国も鳴りを潜めることになるでしょうが、中国が存在する限りは、特亜三国は絶対にこのようなことを止めません、というより止められません。

このような状況を打破するためにも、日本は国連に対する拠出金を大幅減しても良いのではないでしょうか。こんなことをすると、国連での日本の存在感が薄れるなどという人もいるかもしれませんが、存在感が薄れるどころか、国連は、日本を貶めています。

金を払っても、この有様ですから、拠出金をかなり減額することのほうが、はるかに存在感を増すことができるのではないかと思います。

日本叩きの道具国連に日本が大金を出すのは不条理以外の何ものでもありません。

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2016年3月8日火曜日

田母神氏の事務所に強制捜査、政治資金流用の疑い―【私の論評】衆院選に出馬したことが田母神氏を狂わせた?




  おととし、東京都知事選などに出馬した元航空幕僚長の田母神俊雄氏(67)が政治資金を流用した疑いがあるとして、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出しました。

  業務上横領の疑いで特捜部の家宅捜索を受けたのは、東京・千代田区にある田母神氏の資金管理団体の事務所などです。

  田母神氏は、おととし、都知事選と衆院選に立候補し落選。去年2月に、 「政治資金を会計責任者が使い込んでいた」などと発表し、資金管理団体の収支報告書で、「横領による使途不明金」としておよそ5000万円を計上していました。

  しかし、去年12月、田母神氏の選挙対策本部長を務めた『インターネット放送会社』の社長らが、「田母神氏本人も政治資金流用に関与していた」として、田母神氏と元会計責任者らを東京地検に刑事告発していました。

  「我々から見れば7000万~8000万円の使途不明金がある。私的な流用がメイン。その他にも自分の仲間に配ったのではないか」(都知事選の選対本部長「日本文化チャンネル桜」 水島 総 社長)

  告発した社長は取材に対し、「都知事選後、田母神氏らの指示で、毎週50万円から100万円が引き出され、個人的な使途や選挙運動への謝礼などに使われた」としています。特捜部は押収した資料を分析し、不透明な政治資金の使われ方について、解明を進めるものとみられます。(07日17:42)

【私の論評】衆院選に出馬したことが田母神氏を狂わせた?

田母神氏の疑惑が、最初に表面化したのは、昨年の2月のことでした。これについては、このブログにも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
【田母神事務所不明金】「ショック。会計責任者に少なくとも3千万円横領された」…政治資金の使途不明問題で田母神氏が記者会見―【私の論評】戦後保守の終わりの始まりか?田母神氏と、水島氏の両氏にみる現代人に必要不可欠な"虚実皮膜の間"の真実(゚д゚)!
事務所スタッフによる政治資金横領について、
厳しい表情で語る田母神俊雄氏昨年2月19日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年の2月19日のものです。この記事から一部引用します。
昨年(ブログ管理人注:2014年)2月の東京都知事選や12月の衆院選に出馬した元航空幕僚長、田母神俊雄氏(66)の政治資金の一部が使途不明となっている問題で、田母神氏は19日、都内で記者会見し「少なくとも3千万円が会計責任者に横領されていた。信頼していただけにショックだ」と話した。 
田母神氏側の説明によると、田母神氏の政治団体 「田母神としおの会」には都知事選後に約6千万円の残金があったが、衆院選前には約1千万円に減少。調査の結果、会計責任者の50代男性が横領を認めた。横領したカネは高級クラブでの遊興費や生活費などに充てていたという。
さて、このように記者会見をしていた田母神氏ですが、今回は東京地検特捜部が強制捜査ということで、昨年の2月からほぼ1年くらいの間をおいてからの強制捜査ということです。地検特捜部は、この1年間様々な調査を行い、立件のための準備を行った上で強制調査に踏み切ったのですから、容疑はかなり濃厚なものに違いありません。

上の記事で、『インターネット放送会社』の社長とでていますが、これはチャンネル桜の水島総(みずしまさとる)社長のことです。ブログ冒頭にもあるように、水島社長らが、「田母神氏本人も政治資金流用に関与していた」として、田母神氏と元会計責任者らを東京地検に刑事告発していました。

2010年2月、チャンネル桜と密接な関係にある政治団体「頑張れ日本!全国行動委員会」が設立されると、その会長として田母神氏が擁立されました。同会の実質的な運営は、幹事長に就任したチャンネル桜の創設者で社長でもある水島総(みずしまさとる)氏が指導的役割を果たしました。この団体の設立により、2014年2月の東京都知事選挙に田母神氏を候補として突き進んでいくことになりました。



水島氏は、田母神氏を刑事告発していましたが、ではなぜこのような人物の選挙応援をしたのか、それも遠い過去のことではなく、告訴よりも1年内外の都知事選、衆院選の応援です。選挙が終わって1年もしないうちに、田母神氏を告訴しています。

しかし、田母神氏を選挙で応援していた人たちは、水島氏だけではありません。これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。
都知事選、台風の目は田母神氏 ネットで人気断トツ 応援団に著名人ズラリ―【私の論評】時代背景や、独特のキャラクターから田母神都知事が誕生する可能性はかなり高い(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、保守派の著名人がこぞって、田母神氏を応援していたことを掲載しました。

その部分のみ以下にコピペします。
「もし私が東京都民だったなら、田母神俊雄氏に投票する」
大ヒット映画「永遠の0」の原作者で、本紙でエッセー「大放言」(火曜)を連載する作家の百田尚樹氏は18日、自身のツイッターでこうつぶやいた。百田氏以外にも、田母神氏応援団には、日本維新の会の石原慎太郎共同代表や、同党の平沼赳夫国会議員団代表、評論家の西部邁氏、京都大学の中西輝政名誉教授、作曲家のすぎやまこういち氏、経済評論家の三橋貴明氏、ジャーナリストの大高未貴氏ら、著名人がズラリと並ぶ。
そうして、この田母神氏には、これらに限らず、保守論壇の多くの人々が応援していました。それは、都知事選の頃の下のポスターをご覧いただければわかります。


私も、このようなことから、当時は単純に田母神氏が都知事になるかもしれないという期待を持っていました。しかし、その期待は実現はしませんでした。しかし、その後の衆院選は無理だと思いました。何しろ、知事選で落ちているのですから、衆院選はさらに難しいと思いました。

しかし、それでも、水島社長と、「頑張れ日本!全国行動委員会」それに多くの保守論壇の人たちは衆院選へと突き進み、負けてしまいました。本来であれば、次の機会を待つべきだったと思います。

そうして、今回の強制調査です。保守論壇の方々は、田母神氏という人物を、見定めることができなかったということです。そうして、私自身も反省を含めて、先のブログにも掲載したように、私の座右の銘としている、"虚実皮膜の間"という言葉をあげたいと思います。

これは、原典は詳しくは知りませんが、もともとは芸は実と虚の境の微妙なところにあることを指し。事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする論です。江戸時代、近松門左衛門が唱えたとされる芸術論だそうです。

近松門左衛門の肖像 

そこから発展して、現在では、「虚実」はうそとまこと。虚構と事実。「皮膜」は皮膚と粘膜。転じて、区別できないほどの微妙な違いのたとえとされています。「膜」は「にく」とも読みます。

この言葉、非常に含蓄があるもので、現在正しいとされていることであっても、条件や状況が変われば、正しいとはいえない場合もおうおうにしてあります。だから、「これが絶対に何が何でも正しい」などということは、この社会ではあり得ません。

これは、企業などの組織の中でも同じことです。会社の中で職位が何であれ、私たちは、組織の中で一人ひとりが独立していなければなりません。自分の足で立っていなければなりません。自分の考えを持たなければなりません。しかし会社組織には、多数決という考え方がないことも事実です。責任範囲の狭い人と、責任の範囲の広い人の考え方が最終的に異なった場合、どんなに反対者が多くても、責任範囲の広い人である職位の高い人の意見が優先するのは言うまでもありません。

ただし、だからといって組織人として、自分の意見がないということも許されるものではありません。だから、上司を信じることは良いのですが、上司に頼りすぎるのも良くありません。また、部下をみる場合には、性善説でみる場合と、性悪説で見る場合とを臨機応変に変えていかなければなりません。性悪説でのみ部下と接すれば、そこには信頼関係がなくなります。そのような見方だけをする上司には、部下は誰もついていきません。

かといって、性善説だけで見れば、管理上のリスクが常について回ることになります。時と場合によって、臨機応変に変えなければなりません。片方の見方しかできないようであれば、管理者失格です。管理者や経営者の立場においては、いずれの立場からでも見られるようにしておかなければなりません。

だから、組織人は、組織と個、善と悪に関して、いつもこれらのバランスを図っていく必要があります。そうして、虚実皮膜の間という言葉どおりに、場合によっては個と組織、性悪説と性善説の間を揺れ動きつつ、その場、その場で判断をしていく必要があります。どんな場合にも、全体のためだけとか、個のためだけということはあり得ず、絶対善、絶対悪もないわけで、このバランスをとるという意味合いもこめて、私は「虚実皮膜の間」という言葉を座右の銘の一つとしています。

保守論壇の人々が、田母神氏を見る場合にも、"虚実皮膜の間"という見方ができれば、今回のような騒動にはならなかったと思います。

特に、水島氏やチャンネル桜、「頑張れ日本!全国行動委員会」の人々や保守論壇の人々も、このような見方ができていれば、少なくとも、都知事選で負けた田母神氏を衆議院議員選挙に担ぎあげるということはしなかったのではないかと思います。

冷静に考えれば、都知事選で負けたことで、もっとまともに反省していれば、そうして性善説と、性悪説のはざまに立って、田母神氏が本当に、国政選挙で勝てる人物なのか、そもそも、短い期間で準備ができるのかなどを虚心坦懐に反省して、衆院選に出馬することなど取りやめていれば、今回のような疑惑はそもそも、起こらなかったかもしれません。

そもそも、衆議院選挙に出馬しなければ、衆院選に向けて、選挙運動資金をさらに調達する必要性もありませんでした。短期間に、膨大な資金を集めたということが、今回の出来事を誘発してしまったかもしれません。

良く、「たらねば」の話をしても意味がないともいわれますが、今回の出来事を機に、保守論壇の人々や、私のように言葉の真の意味で保守的立場をとっていると考える人たちは、今回の出来事を他山の石として、今後の保守のあり方を再検討すべきと思います。

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2016年3月7日月曜日

安倍政権が発射準備中の「ダブルバズーカ」〜消費増税スキップとさらなる奥の手 ダブル選はこれで圧勝!? ―【私の論評】野党は腰砕けで全崩壊(゚д゚)!

安倍政権が発射準備中の「ダブルバズーカ」〜消費増税スキップとさらなる奥の手 ダブル選はこれで圧勝!? 

安倍首相は伊勢志摩サミットに向け、世界経済の現状とリスクを分析する有識者会議の設置を表明した。これで、ますます消費増税延期の可能性が高まった。安倍政権は消費増税延期と大型財政出動の「ダブルバズーカ」で圧勝をおさめるつもりだろう。


ピンチをさらなるピンチに変える民主党

まもなく合併する民主党、維新の党のホームページ上に「党名案を募集します」と書かれている。3月2日、新党協議会「党名検討チーム」が初会合を開き、民主党の赤松広隆最高顧問、福山哲郎幹事長代理、維新の党の江田憲司前代表、柿沢未途前幹事長が話し合ったが、折り合いはつかず、党名を公募することになった。募集期間4日(金)~6日(日)とされた。

この党名公募は、ネット上ではバカにされまくっている。「党名すら決められないのか」と、ネット上では両党を揶揄するための面白い党名をアップする、いわゆる「大喜利」状態である。「党名検討チーム」がまとめられないので、公募という時間稼ぎをしたのだが、決められないと印象づけてしまった。8日に予定されていた新しい党名と綱領の中間とりまとめは遅れるかもしれない。

民主党と合流する維新の党の大半、例えば松野頼久代表らは民主党離党組の「出戻り」である。彼らが民主党を離党することになったのは、基本的には民主党内での消費増税議論がきっかけだった。

民主党と維新の党の新党は、他の野党にも参加を打診しているが、小沢一郎氏は排除される見通しだ。というのは、3日の連合の春闘集会で、民主党の野田佳彦前首相が「一番足を引っ張った元代表さえ来なければ、あとは全部のみ込もうと思っている」といい、小沢氏の参加に反対したからだ。

これは、正確にいえば、野田政権がマニフェストに書かれていなかった消費増税を強行しようとした時、小沢氏が反対して党を割って出て行ったことを指して、野田氏は「一番足を引っ張った」といっているわけだ。

この野田氏のロジックが民主党内で主流となっているのであれば、民主党はどのように党名を変更しても、消費増税に対してまともなロジックを構築できない。実際、民主党幹部からは、野田氏が同時に主張していた「議員定数大幅削減」がなければ、消費増税を認められないという話が聞こえてくる。

一方、安倍政権のほうが、明快なロジックである。安倍首相は、表向き消費増税は予定通り進めるというが、菅官房長官は「税収が下がるくらいなら消費増税しない」といっている(もっとも、この発言は、従来から安倍首相が言っている「増税しても、景気が悪くなったら元も子もない」と同じ意味である)。

このため、消費増税延期が徐々に既定路線化している。最近、テレビのコメンテーターで消費増税延期を言い出す人が出てきたが、本コラムの読者からみれば、「遅行指標」の典型例のはずだ。いずれにしても、菅官房長官のほうが民主党と比べればはるかに明快である。
着々と打たれる解散への布石

民主党は、新党名を決められないうえ、経済ロジックもグダグダであることが国民の目にはっきりわかってしまった。雇用政策としても、本コラム読者であれば、安倍政権のほうが遙かにまともであることがわかるだろう。松尾匡・立命館大教授のような左派経済学者でさえも、この点を認めている。

民主党の最も弱いところは、経済政策である。たとえ民維が合併して大きくなったとしても、安倍政権はこの点をついてくるだろう。

そのための布石は着々と打たれつつある。先週の本コラム(「日本のGDPを引き上げ、アベノミクスを「合格点」へと導く効果的な一手をここに示そう」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48049)では、2月27日に閉幕したG20(20ヵ国財務大臣・中央銀行総裁会議)で「財政政策、金融政策の一体発動」が打ち出され、その延長線上に、G7伊勢志摩サミットがあることを紹介した。

先週、その路線をさらにはっきりさせることが国会で明らかにされた。安倍首相は伊勢志摩サミットに向け、世界経済の現状とリスクを分析する有識者会議の設置を表明したのだ。

アメリカの経済学者・スティグリッツ氏の参加も検討されていると報じられており、前回の増税延期前にクルーグマン氏が官邸を訪れたことと重なる。安倍首相の消費増税についての言い回しが微妙に変化していることや、菅官房長の「税収が下がるくらいなら消費増税しない」発言から、この有識者会議について、増税延期とダブル選挙へのお膳立てとの観測も出ている。

この有識者会議は、中国経済の減速や原油価格の低下、金融市場の混乱などをテーマに、今月中頃からサミットまでに5回程度開催される予定だ。これが注目されるのは、これまで消費増税の決定の前は、内閣府・財務省主導による経済財政諮問会議の「点検会合」が開かれており、今回の有識者会合がその点検会合と重なるからだ。

2014年4月からの5%から8%への消費増税では、2013年8月26日から30日まで点検会合が開かれている。そこでは、有識者・専門家60名が参加し、消費増税すべきが7割超、予定変更すべきが1割超との意見が出され、結果として消費増税が実行された。

しかし、消費増税後に景気が腰折れし、点検会合で出された意見の多くは間違いだったことがはっきりした。2014年1月に公表された内閣府の中期財政試算では、消費増税しても景気は落ち込まないと試算していたが、実際には、大きく落ち込んだ。それを示すのが次の図だ。






安倍首相はこの事実を重く受け止め、点検会合に不信感をもったのではないか。
消費増税すれば、政府目標は崩れさる

2015年10月からの8から10%への消費再増税については、やはり経済財政諮問会議の点検会合が2014年11月4日から18日まで開かれている。

ここで、注目すべきは、安倍首相はAPEC首脳会議、ASEAN関連首脳会議及びG20首脳会合出席のために、11月9から17日まで外遊していることだ。この外遊期間をつかって、海外から与党要人に個別に電話をかけて衆院解散を伝えたようだ。要するに、経済財政諮問会議の点検会合による10%への消費再増税ありきの議論を、まったく受け入れるつもりがなかったのだ。

そして、今回も内閣府・財務省主導による各種会議のことはそれほど信用しないだろう。今年1月に公表された内閣府の中期財政試算では、2017年4月からの8%から10%への消費再増税について、前と同じように「消費増税でも、景気は悪くならない」と試算している。

ところが、前回2014年と同じように見通しを誤ると仮定してみると、消費増税した場合には名目GDPは大きく低下するだろう。その場合、2020年度の名目GDPは570兆円弱にしかならず、政府目標600兆円にはとどかない。

一方、消費増税をスキップした場合にはどうなるのか。内閣府が試算する経済成長率が維持できれば、名目GDPは順調に増加して、2020年度には政府目標の600兆円に達する。それを示すのが下図である。



■消費増税スキップは当然

消費増税を行った場合のプライマリーバランスは、内閣府の中期試算より酷くなり、2020年度でもGDP比で11%程度である。一方、消費増税をスキップすれば、2020年度のプライマリーバランスはほぼゼロになる(下図)。


いずれにしても、この試算によって、安倍首相のいう「増税しても、景気が悪くなったら元も子もない」や菅官房長官の「税収が下がるくらいなら消費増税しない」は、かなりまっとうな話であることが確認できる。

伊勢志摩サミットにおいて、世界経済の安定・上昇ためには財政政策と金融政策の同時発動が必要、ということが議論されるはずだが、そうであれば、消費増税スキップは当然であろう。

財政政策としては、消費増税スキップだけではなく、財政出動もあると筆者は思っている。先週の本コラムでも言及した「財投債」は、プライマリーバランスを悪化させずに、今のマイナス金利環境を生かす政策でもある。さらに、本コラムでかねてより指摘してきた外為特会や労働保険特会の埋蔵金である。

埋蔵金や財投債を財源とすれば、30兆円程度の財政出動が可能である。埋蔵金は減税・給付金系の政策、財投債は公共事業系の政策とすれば、バランスのとれた財政出動が可能になる。マクロ経済の観点から、財政政策は有効需要を作るが、減税・給付金は短期的な有効需要を作りやすい。一方公共事業は、供給制約から短期的な有効需要を作りにくいが、長期的な計画で安定的に有効需要が作れる。

いずれにしても、30兆円程度の財源を、プライマリーバランスの悪化なしで用意できるのだから、これらを利用しない手はない。

ダブルバズーカ、発射

消費増税スキップによって有効需要を減少させずに、埋蔵金・財投債による財政出動によって有効需要をかさ上げする財政政策をとれば、景気がよくなるのは明らかだろう。

しかも、これらの政策手段を可能にしているのが、アベノミクスの成果である。外為特会や労働保険特会の埋蔵金、財投債を可能にするマイナス金利環境はすべてアベノミクスの果実である。その果実をさらに政策に投入することによって、さらなる成長が可能となる。

5月26、27日伊勢志摩サミット、6月1日国会会期末という政治日程を考えると、次の戦略が浮き彫りになる。

まず、有識者会議で「世界経済の安定のためには緊縮財政からの脱却が必要」との方針を打ち出し、サミットで世界の首脳がその方針を確認し、そうした外交成果も踏まえて国会で報告し、国会会期末までに衆院解散だ。解散から40日以内に総選挙を行うという憲法54条があるので、7月10日が衆参ダブル選挙になる。

もちろん、解散総選挙は総理の専権事項なので、安倍首相以外は誰にもわからないが、多くの政治家は、ますますこのスケジュールを意識せざるを得ないだろう。ダブル選挙の争点は経済になるだろう。ダブル選挙には、消費増税スキップと埋蔵金・財投債による大型財政出動というダブルバズーカが発射されるのではないか。

〔付記〕本コラムをまとめた新著『数字・データ・統計的に正しい日本の針路』が発売された。過去の予測はそれほど外れていないと思う。これからの未来を見るために、参考にしていただければ幸いである。

数字・データ・統計的に正しい日本の針路 (講談社+α新書)

高橋洋一

【私の論評】野党は腰砕けで全崩壊(゚д゚)!

上の記事の最後で高橋洋一氏が、推奨している書籍、私も購入して読み始めています。ちなみに、私自身はこのウェブサイト「現代ビジネス」のコラム「ニュースの深層」は毎回楽しみに読ませていただいていますので、特段目新しいことはないのですが、それでも一冊の書籍にまとまっているというが非常に良いです。

とにかく、図表が多く、高橋氏がこの書籍でご自身が語っておられるように、とにかく数値に基づいて物事を見るという姿勢が貫かれています。そうして、経済、そうして数値というと、マクロ経済学の小難しい数式などを思い浮かべがちですが、この書籍には、そのようなものはなく、中学校程度の学力があれば、誰にでも理解できるようなグラフや図表が満載です。

この、書籍を一度読まれれば、日本の経済の現状についてあまり知らない方でも、マクロ経済学など一度も学ばれたことのない方でも、今の日本の経済・金融のことが手に取るように理解できます。

ブログ冒頭の記事、そうしてこの書籍を読まれれば、高橋洋一氏の語っている「消費増税スキップと埋蔵金・財投債による大型財政出動というダブルバズーカの発射」は、おそらく実行に移されるであろうことを確信を持って理解できます。

消費増税スキップと埋蔵金・財投債による大型財政出動というダブルバズーカの発射

実際、これを実行しなかった場合、安倍政権は長期政権にはなり得ないと思います。まずは、最近の中国経済の減速、アメリカの利上げ、過去に見ないほどの原油価格の下落、南シナ海、北朝鮮だけではなく、今や世界中に存在する地政学的リスクの顕在化しています。

そのため、株価が下がったり、円高傾向になっていて、そこに8%増税の悪影響がさらにじんわりと浸透すると、夏頃には顕在化します。平成13年4月より実施してきた、金融緩和による効果の成果であり、増税後もなお継続していた、雇用状況の改善が後退し始める可能性が大です。

参院選の頃には、株価が下がり、GDPの成長率も鈍化、さらなる円高に見まわれ、野党は実体経済を正しく分析することもなく、「それみたことかアベノミクスは頓挫した」と一斉に安倍内閣を糾弾することになります。

国民も経済が落ち込むと、安倍自民党への支持を撤回する人も多くなると考えられます。安倍自民党としては、全く何も良い材料がない中で、苦しい選挙戦を強いられることになります。

そうして、消費税増税10%をそのまま継続すれば、それこそ、日銀が白川体制だった頃に逆戻りになり、またデフレが再発して、その時の政権が誰のものであれ、以降短期政権が続くことになります。そうして、そのようなことを繰り返していれば、2009年に政権交代があって、自民党が下野したようなことの再現になるかもしれません。


消費税増税10%を実施すれば、日本はまた
白川日銀体制のときのようにデフレに!

私は、よもや安倍総理がそのような愚かなことはしないと思います。高橋洋一氏が指摘しているように、10%増税だけは踏みとどまるべきです。

10%増税スキップ、埋蔵金・財投債による大型財政出動というダブルバズーカの発射ということになれば、上の記事で高橋氏も指摘しているように、野党は腰砕け状態ですから、かなり楽にそうして、有利に選挙戦を戦えることになります。そうなると、安倍政権はおそらく長期政権となり、東京オリンピックの頃にも安倍政権が継続している可能性が高くなると思います。

野党の腰砕け状態は、まさに安倍政権にとって追い風です。上の記事では、民主党などの腰砕けを掲載していましたが、他党の腰砕けぶりも酷いものです。

昨年11月7日のテレビ番組で、「北朝鮮、中国にリアルの危険があるのではなく、実際の危険は中東・アフリカにまで自衛隊が出て行き一緒に戦争をやることだ」と堂々と言っていた共産党委員長の志位和夫は、今年の年頭の北朝鮮“自称”水爆実験を受け、「地域と世界の平和と安定に対する極めて重大な逆行だ。暴挙であり、厳しく糾弾する」との談話を出していました。

志位は、過去に支那や北朝鮮が脅威ではないと言っていながら、北朝鮮の“自称”水爆実験を批判して見せまたが北朝鮮はこれまでにも複数回核実験を行っていました。にもかかわらず、危機はないと言い放った昨年11月7日の発言に関して、志位は未だに説明責任を果たしていませんし、果たすつもりもないようです。



それに、共産党は、国会開会式への出席等安易な路線変更などもしました。良い、悪いは別にして、一貫性を売りにしてきた、共産党なのに、なぜこのようなことをしたのか理解に苦しみます。

社民党の福島みずほは、『福島みずほのどきどき日記』というブログで「日本国憲法殺人事件を許すな」(http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/blog-entry-2909.html)と題し、「安倍総理が日本国憲法を殺そうとしている」と主張していましたが、憲法は人ではないですから、殺人ということばが成立するはずもなく、言うならば「憲法の破壊」とでも言えばいいものを、わざわざ「殺人」という言葉遣いをして、政権批判をしたつもりなのでしょう。しかし、日本語くらい正しく遣ってていただきたいものです。



1月4日から衆議院予算委員会が始まり、民主党の幹事長枝野氏を筆頭に四人が質問にたっちました。しかしながら、内容は散々でした。

枝野氏は質疑中、「民主党政権下での実質GDPの伸び率が5.7%で、安倍政権の2.4%の2倍だ」と自賛していました。しかし、これはリーマンショック以前の時点での成果が影響しているだけで、リーマンショック以降は大幅マイナスになっています。それを、安倍政権になって+5.6%、+3.2%分とV字回復させたことには触れていませんでした。

山井和則氏の質問は、安倍総理にワタミの前経営者を参議院議員に立候補させたことへの謝罪を遺族に求めました。企業と個人間の問題と、自民党総裁の候補者の任命権の問題を同一に論じ、「安倍総理は悪人だ」と感情論で印象付けたかったのあろうが、こじつけにあきれるばかりです。

また、当時の数日間の株価下落を取り上げ、「過去最大の下げ幅で年金運用損は4兆円に上る」と指摘して総理にその答弁を求めたり、「年金運用にギリシャ国債を買っている」などと糾弾していましたが、ギリシャ国債を買っている事実はなく、理論的な整合性の全く無い、思い込みや改竄されたデーターでの質問姿勢は民主党の浅薄な見識を疑わざるを得ない。

年初からして、この調子で、馬鹿げたこれからも、国会質疑が繰り返されるのかと思うとげんなりしたものです。そうして、これは、その後も変わらず、現在も似たような状況というか、ますます酷くなっています。

そのせいでしょうか、甘利大臣の辞任後であるにもかかわらず、世論調査では、安倍自民党の支持率が上がるという、野党にとっては不甲斐ない結果となっています。

このような野党の動向を見る限り、高橋洋一氏が主張するような、経済の問題を抜きにしたとしても、参議院選挙の結果は与党の圧勝になるのではないかと思われます。

民主党参議院議員は現有五十九議席、今回の改選議員数はそのうち四十二名となっていますが、ほとんどが落選するとの予想もあり、民主党は歴史的大敗を期し、旧社会党と同じ道を歩むのは確実な情勢です。

それに、旧社会党と同じように、民主党の名称はこの世から消えることは、民主・維新の合同ですでに決まっています。この新党も、維新はもともと民主から分離した議員も多いことから、新党となっても、惨敗するのは目に見えています。

民主・維新は、両党の合流に向けて新しい党名を国民から募集することを決めた。
社民党は、間違いなく絶滅危惧種です。現有国会議員はわずか五名。衆議院に二席を得ていますが、残り三名の参議院議員のうち、福島瑞穂と吉田忠智現代表は今回の改選組です。前回の参院選での比例得票率は2.36%、衆院選の比例得票率は2.46%と、安定した低空飛行を続けています。55年体制以降、最大野党を誇った旧社会党の面影は最早微塵もありません。

選挙結果は蓋を開けてみるまでわからないですが、野党惨敗が予想されるなか安倍総理が参議院選挙に合わせて衆議院を解散しダブル選挙に打って出る可能性はかなり高まっていると思います。

争点は「消費増税の是非」「憲法改正の是非」などが考えられますが、何れにせよ自民党の圧勝でしょう。

そうして、このような事態を招いてしまったのは、高橋洋一氏が語るように、経済、特に金融政策に対する無理解であることもいうまでもありませんが、もっと根源的な理由は、野党には我が国をどのような国にしたいのか、というビジョンもないまま、ただただ与党自民党に対峙し、自民党を自分たちのところまで、引きずり下ろしてやろうというだけで、汲々とし、政策論争も何もしないという実体が多くの国民に見透かされたのだと思います。

夏には、安倍総理は衆参両院同時選挙に踏切、それに先立って、ダブルバズーカを発射し、日本経済の将来を確かなものにし、腰砕け野党を粉々に粉砕してほしいものです。そうして、その後は、既存の野党が十分に反省するか、それができないというのなら、新たに政策論議の出来る健全な野党の台頭に期待をしたものです。

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2016年3月6日日曜日

政府発表の統計を精査しない新聞の怠慢〜なぜ同じ「賃金」なのに10万円も違うのか―【私の論評】根底には、金融・雇用政策が密接に結びついているという観念がないというお粗末さが(゚д゚)!

政府発表の統計を精査しない新聞の怠慢〜なぜ同じ「賃金」なのに10万円も違うのか

経済に限らず、安全保障にも疎い新聞は平気で奇妙奇天烈で、摩訶不思議な報道を繰り返す。
たとえば、過去の政府や内閣法制局が憲法解釈をコロコロ変えてきたという事実すら知らない。

朝日と毎日、どっちが正しい?

アベノミクスの最重要課題とも言える「賃金」について、二つの統計がまったく異なる数字を算出し、波紋を広げている。

一つは、2月18日に発表された2015年の「賃金構造基本統計調査」。これを報じた毎日新聞によると、フルタイム労働者の月額賃金は前年比1・5%増の30万4000円だったという。

一方、同月8日に発表された「毎月勤労統計調査」では、2015年におけるフルタイム労働者の月額賃金は前年比0・4%増の40万8416円とされている。こちらは、朝日新聞が報じた。

どちらの統計も、まとめたのは厚労省。にもかかわらずなぜ、これほど差があるのか。

はっきり言えば、統計に違いはない。報道した新聞各社の統計の見方が間違っているのだ。

より詳細に賃金統計を調べているのが、「賃金構造基本統計調査」である。年齢や勤続年数といった労働者個々人の情報まで調査されているため、各企業内の賃金構造がわかる。従業員10人以上の事業所のうち、約6万6000事業所を抽出。大規模な調査のため、年1回、毎年6月に調査している。

続いて、「毎月勤労統計調査」。これは「賃金構造基本統計調査」の簡易版だ。毎月行われるので、短期的な動向を知ることができる。従業員5人以上の事業所のうち、約3万3000事業所を抽出。個々の労働者のことではなく、事業所全体の状況を聞くことで回答負担を軽減している。

また、「賃金構造基本統計調査」における賃金とは、「所定内給与額」のことで、ボーナスや残業代は除く。一方、「毎月勤労統計調査」における賃金は「現金給与総額」のことで、ボーナスや残業代も含まれる。当然、後者の「賃金」のほうが高く算出される。

新聞本来の機能を果たしていない

このように、二つの統計が示しているのは、違う「賃金」の概念である。そのことは統計資料をきちんと読みさえすればわかるはずだが、新聞各社はそれを怠っているのだ。彼らはこれらの統計の中身を知らずに、同じ「賃金」という用語だけに注目して報じてしまっている。

  事実、「毎月勤労統計調査」が前年比で0・4%しか上がっていないとしてネガティブに扱われたのに対し、「賃金構造基本統計調査」が出ると1・5%も上がっているとポジティブに報じられた。

  なぜ、同じ「賃金」なのにこれほど違うのか。それを踏まえてきちんと説明するのが、新聞の本来の役割だろう。政府が流す情報だけを見てその中身を精査しないのでは、「御用メディア」と言われても仕方がない。

  ちなみに、賃金についての統計には、国税庁の「民間給与実態統計調査」と人事院の「職種別民間給与実態調査」もある。前者は一人でも給与所得者がいれば調査対象になる統計で、後者は従業員50人以上の企業が対象である。

  国税庁「民間給与実態統計調査」が小さな事業所を最も多く含み、「毎月勤労統計調査」、「賃金構造基本統計調査」と続く。人事院「職種別民間給与実態調査」は大企業が多くなる。

  人事院「職種別民間給与実態調査」は、公務員の給与を決める指標として使われる統計だが、本来なら国税庁「民間給与実態統計調査」を使うべきだろう。

【私の論評】根底には、金融・雇用政策が密接に結びついているという観念がないというお粗末さが(゚д゚)!

まずは、上の記事に掲載されている毎日新聞と、朝日新聞の記事そのものを以下に掲載します。

最初に毎日新聞の、2月19日の記事を掲載します。
非正規労働者、パートなど短時間労働者賃金も過去最高

厚生労働省は18日、雇用形態別の賃金実態を調べた2015年の賃金構造基本統計調査の結果を公表した。女性や非正規労働者、パートなどの短時間労働者の賃金が過去最高となり、同省賃金福祉統計室は「女性の賃金の伸びは勤続年数の増加や役職者の増加が、非正規は労働需給の逼迫(ひっぱく)が賃上げの要因になった」と分析している。

従業員10人以上の民間事業所に、昨年6月に支払われた手当などを含む賃金額を尋ね、5万785社から回答を得た。それによると、短時間労働者以外の一般労働者(非正規含む)の平均賃金は30万4000円(前年比1.5%増)だった。うち女性は24万2000円(同1.7%増)で過去最高額。男性を100とした男女の賃金格差は、過去最小だった昨年と同じ72.2だった。

雇用形態別の平均賃金は正社員が32万1100円(同1.1%増)。非正規は過去最高の20万5100円(同2.4%増)。短時間労働者も時給1059円(同1.7%増)で過去最高だった。【東海林智
次に朝日新聞の、2月8日の記事を掲載します。
実質賃金、4年連続マイナス パート比率増加など影響

 厚生労働省が8日発表した2015年の毎月勤労統計(速報)によると、物価の伸びを超えて賃金が上がっているかどうかを見る実質賃金指数が前年を0・9%下回り、4年連続でマイナスになった。企業の好業績が賃上げにつながる経済の「好循環」がまだ広がっていない実態が示された。 
 名目賃金にあたる労働者1人平均の月間の現金給与総額は31万3856円。2年連続で増えたものの、伸び率は0・1%にとどまった。一方で、15年の消費者物価指数(生鮮食品を含む、持ち家の帰属家賃はのぞく)は、14年4月の消費増税の影響が15年1~3月に出たほか、生鮮食品が値上がりしたこともあり、1・0%上昇した。このため、くらしの実感に近い実質賃金は0・9%のマイナスとなった。マイナス幅は前年の2・8%から縮まった。 
 名目賃金を働き方でみると、フルタイム労働者は前年比0・4%増の40万8416円だった。春闘でベースアップが相次ぎ、基本給などが7年ぶりにプラスになったためだ。パート労働者も、人手不足による時給の上昇などを反映し、0・5%増の9万7818円だった。 
 それでも名目賃金全体の伸びが0・1%にとどまったのは、賃金水準が低いパートが全労働者にしめる割合が30・46%と前年より0・64ポイント高まり、平均賃金を押しさげたためだ。ボーナスを中心とする「特別に支払われた給与」も0・8%減の5万4558円で、3年ぶりに減少に転じた。 
 実質賃金は昨年7月以降、いったんプラスに転じたが、11月から再びマイナスとなり、12月(速報)も0・1%減だった。 
 労働組合の連合の集計では、春闘での定期昇給分を含む平均賃上げ率は2年続けて2%を超えたが、労働者全体でみると賃上げが力強さを欠く状況が続いている。(末崎毅
 結局「賃金構造基本統計調査」における賃金とは、「所定内給与額」のことで、ボーナスや残業代は除く。一方、「毎月勤労統計調査」における賃金は「現金給与総額」のことで、ボーナスや残業代も含まれる。当然、後者の「賃金」のほうが高く算出されるということなのですが。

いずれの新聞社も、自らが報道している賃金の統計に関して、それがどのような統計に基づいているのか、全く説明していません。これでは、購読者は両方の記事を見れば、とまどってしまうことでしょう。

統計の取り方がわかっていなければ、その統計が何を意味するのかわからなくなってしまうのが当然です。

この2つの統計を見比べていると、フルタイム労働者の「所定内賃金」が上昇していて、「現金給与総額」はそうでもないという最近の傾向が良くわかります。

これは、とりもなおさず、雇用が改善されていることを示すものだと思います。人の雇用が増えているからこのような状況になるのです。雇用が悪化していれば、「所定内賃金」は下がり、「現金給与総額」は上昇傾向になるはずです。

それは、中企業以上などのことを考えると良く理解できます。所定内賃金を上げるということは、人を雇用するためには、上げなければならないということです。「現金給与総額」があまり上がらないということは、人を採用しているため、残業が以前よりは少なくなっていることと、新人の場合はボーナスやその他の手当も少ないです。

それともう一つ気になるのは、これは、ブログ冒頭の記事のフルタイム労働者とは直接は関係ないのですが、朝日新聞が未だに実施賃金の低下についてネガティブに掲載していることです。

そうして、朝日新聞の記事には、実質賃金が低下した原因について、誤解を招くような説明してあります。

それは、「賃金水準が低いパートが全労働者にしめる割合が30・46%と前年より0・64ポイント高まり、平均賃金を押しさげたためだ」という部分です。

しかし、この説明も不十分です。就業者数全体は、直近では増えています。しかし、朝日新聞はそれを説明せず、パートが全労働者にしめる割合が30.46%と前年より0.64ポイント高まったことだけを説明しています。

これだと、これを読む人は、就業者数全体はあまり変わっていないのに、パートが全労働者にしめる割合が増えたと錯覚してしまうおそれがあります。

毎日新聞と、朝日新聞の記事を比較すると、両方とも統計数値の意味などの説明が足りないという共通点はあるものの、毎日新聞のほうはよりポジティブであり、朝日新聞のほうはよりネガティブです。

そうして、毎日新聞や朝日新聞がこのように、二つの統計が示しているのは、違う「賃金」の概念に関して無頓着で、これらの統計の中身を知らずに、同じ「賃金」という用語だけに注目して報じてしまう理由としては、両方とも雇用のことを理解していないことが大きな原因なのではないかと思います。

そうして、雇用を理解してないのは、何もこの両新聞だけではありません。他のメディアもほとんど理解していないようです。これは、メディアだけではなく、政治家、特に野党の議員で理解をしている人ほとんどいません。それに、世間から雇用問題の識者とみられている人でも理解していない人が多いです。

特に、雇用と金融政策が密接に結びついているということを知らない人があまりに多すぎです。「金融政策イコール雇用政策」であるという点について、勉強不足の人が多いです。

難しい理論などわからなくても、少なくとも政治家やマスコミは「金融政策で失業をなくせる」ことだけでも理解すべきです。

これは、フィリップス曲線など見れば明らかです。フィリップス曲線とは、縦軸にインフレ率(物価上昇率)、横軸に失業率をとったときに、両者の関係は右下がりの曲線となるというものです。これは、フィリップスが発見したものですが、彼が初めて発表した時は縦軸に賃金上昇率を取っていたのでが、物価上昇率と密接な関係があるため、最近では縦軸に物価上昇率を用いることが多いです。

以下に日本のフリップス曲線を掲載しておきます。

フィリップス曲線

このグラフは、総務省の作成したものですが、これは、別に日本でなくても、どの国でもあてはまるものです。大まかに言ってしまえば、デフレは失業を増加させます。インフレは、失業を減少させます。

日本やアメリカのように、人口が億単位以上の国であれば、インフレ率が数%あがっただけで、他には一切何もしなくても突如として、雇用が数日約万人分増えます。

これは、厳然たる事実であって、これをインチキだという人は、まともなマクロ経済学を否定することになります。

実際に、米国のFRB(連邦準備制度制度理事会、日本の中央銀行である日銀に相当)は、雇用者数を増やし、失業率を下げるために金融政策を行っています。というより、雇用の悪化の原因はFRBの責任という観念がアメリカにはあります。そうして、これは、米国だけでなく、どこの先進国でも同じことです。過去においては、日本だけがそうではありませんでした。

ただし、雇用が増えても、雇用のミスマッチなども存在する場合もありますから、それで何もかも解決というわけではありません。さらに、インフレ傾向のときに、何らかの原因で、雇用が悪化した場合、金融緩和政策をとれは、ハイパーインフレになる可能性も否定できません。

しかし、過去の日本においては、金融緩和政策が雇用枠を広げるという観念が日本人にはほとんどなかったので、デフレを放置して、雇用を悪化させてしまいました。しかし、安倍政権になってからは、金融緩和策で、雇用者数は100万人増えています。


これに対して、メディアや野党などは、「雇用が増えたと言っても非正規ばかり」などといいますが、これは全く反論になっていません。正規だろうが、不正規だろうが職があるほうが、無職よりは良いのは明白です。それに、雇用が増加に転じるときには、まずは非正規から増えるのが当たり前です。

これに関しては、何も国レベルで考えなくても、企業レベルで考えても良く理解できます。企業が業績が良くて拡大傾向にあるときには、まずはパート・アルバイトの雇用が増えます。その後に正社員を増やします。

実質賃金に関しても、企業レベルで考えても良く理解できます。企業が業績が良くで、拡大傾向にあるときには、まずはパート・アルバイトの雇用が増え、次に正社員が増えるといいましたが、その時に実質賃金はどうなるかを考えてみてください。そこかららに、業績が良くなると、役員報酬や正社員の給料を上げるので、平均賃金も上がります。

パート・アルバイトが増えると、これも含めて会社の平均賃金を計算すると、平均賃金は当然下がります。次に、正社員を増やしたにしても、正社員も入社当初は賃金が低いので、やはり会社全体の平均賃金を計算すると、低くなります。

これとは、逆に企業が業績が悪くて、縮小傾向にあるときは、まずはパート・アルバイトの雇用が減ったり、解雇するため、その時には平均賃金は上昇します。そこからさらに悪化が続けば、役員報酬をカットしたり、正社員の賃金も下げたりするので、賃金全体が下がることになります。

企業が業容を拡大するときには平均賃金は下がる(゚д゚)! 

こんな理屈もわからないで、まともな会社の取締役会で、企業業績が上がっている最中に、平均賃金が下がった大変だなどといえば、「馬鹿」といわれておしまいになると思います。今のマスコミや政治家の多くも、まともな会社の人事部員としても務まらないということです。

今まさに、雇用が増えています。だからこそ、実質賃金が下がっているのです。これもいずれ上がっていきます。そうして、金融緩和をすると、雇用状況が良くなり、実質賃金が低下傾向になるということは、まともなマクロ経済学の教科書には既定の事実として掲載されています。

毎日新聞や、朝日新聞は、このようなことさえ、知らずに報道しているのだと思います。基本的な理屈がわかっていないので、ブログ冒頭のような記事を掲載して、読者を混乱させてしまうのです。

そうして、このような基本がわかっていないと、いずれまた頓珍漢で摩訶不思議な報道をすることになります。これは、今から予言しておきます。

特に、8%増税に関しては、GDPのマイナスなどかなり実体経済に悪影響を及ぼしています。たとえ、10%増税が見送られたにしても、そのままにしておけば、今のところあまり雇用に悪影響を及ぼしていませんが、そろそろ今年の夏くらいに雇用にも悪影響を及ぼすことが十分考えられます。

本当にそのようなことになった場合、マスコミは、8%増税の悪影響が雇用に悪影響を及ぼしたことなど報道せずに、アベノミクスが頓挫したなどと報道しかねません。

それだけならまだしも、マスコミ、識者、政治家、財務官僚などが徒党を組、8%増税を既定路線にしたごとく、アベノミクス大失敗で、金融緩和策などやめて、金融引き締めに転ずることにでもなってしまえば、またぞろ日本は、デフレスパイラルに逆戻りして、円高傾向になり、雇用がとんでもなく悪化していまうことになります。

マスコミはこのような報道は厳に謹んでいただきたいものです。何を報道にするにしても、そもそも、基本的な理屈がわかっていないので、統計数値に基づいてさえ、トンデモ報道になっていることが多いです。

それが、多くの人々の判断ミスを誘発し、日本がどんでもない方向に行くことだけは、避けたいものです。

そのために、マスコミの諸君は、マクロ経済の基本だけでも知っておくべきです。いまのマスコミは、例外は少数あるものの、マクロ経済、特に金融政策、財政政策についてあまりに知らなすぎます。そのため、ブログ冒頭の記事のように、官庁発表の統計などその背景を十分に吟味せず、部分的に掲載し、読者の誤解を招くようなことを平気でするか、特定の意図に誘導するため、あえてそのようなことをしています。

こんなことでは、全くメディアの意味がなくなります。こんなことを繰り返していれば、いずれ消え去るしかなくなります。

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