2008年11月27日木曜日

フィンランドのノキア,日本市場の端末販売から撤退-まさに正しい判断か?

フィンランドのノキア,日本市場の端末販売から撤退
写真●ソフトバンクモバイルが発表したNokia N82
写真●ソフトバンクモバイルが発表したNokia N82
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 フィンランドのノキアは2008年11月27日,日本での携帯電話端末の販売を打ち切ると発表した。2008年12月に発売予定としていると高級端末Vertu(ヴァーチュ)については,国内での販売活動を継続する。

 同社の発表によると「現在の厳しい世界的な経済傾向の中では,日本独自の製品展開のための投資を続けていけない」と判断したという。国内の研究開発拠点における海外向け製品の開発や,国内での部品調達事業は続ける。

 同社製品では,ソフトバンクモバイルが11月28日に「Nokia N82」(写真)を発売する予定としていた。ソフトバンクモバイルによると「突然のことで,状況が把握できていない」という。NTTドコモも「Nokia E71」を2009年2月~3月発売予定としていた。

フィンランドの金融危機の影響は?

フィンランドの動きは、前から少し気になっていました。奇跡の回復とか、IT産業の興隆、それから国際競争力NO1にここしばらく選ばれ続けたフィンランドの今の状況はどうなのだろうか?

11月17日のダウ・ジョーンズは以下のように報じている。

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)携帯電話機メーカー最大手であるフィンランドのノキア(NYSE:NOK)(NOK1V.HE)は14 日、個人消費の「急速な変化」が同社の利益に響き、来年は世界携帯電話機市場の収縮をもたらす、との見方を明らかにした。

同社は、経済危機によって中核のデバイス・サービス事業で今年10-12月期と09年通期に売上高と利益が打撃を被るだろう、との見通しを示した。また、そのため外部の下請け業者やサービスの利用を減らすなど追加のコスト削減策を実施し、来年の営業費用を削減する、とした。

同社は「世界的な景気減速は、未曽有の激しい為替変動と相まって、過去数週間で世界の個人消費の急速な冷え込みをもたらした」と指摘した。その上で、今年の世界携帯電話機販売台数の見通しを12億4000万台と、10月時点の12億6000万台から引き下げた。09年については今年の水準を割り込む見通しとした。

ウエストLBのアナリスト、トーマス・ランガー氏は、世界携帯電話機市場は2000-01年にも収縮したが「今回の方が消費支出の冷え込みは大きいだろう」とコメントした。

ノキアによる見通しの下方修正は、消費者信頼感の急激な落ち込みが、携帯電話機メーカーや通信事業者に与えている影響を示す最新の兆候。英携帯電話サービス大手ボーダフォン・グループ(NYSE:VOD)は11日、2009年3月期通期の売り上げ見通しを下方修正するとともに、10億ポンド(約15億ドル)のコスト節減を目指す計画を発表した。

一方、独シーメンス(NYSE:SI)との合弁会社、ノキア・シーメンス・ネットワークスは11日、追加人員削減によりリストラ策を強化し、09年末までに年間20億ユーロ(約26億ドル)を節減する方針を明らかにしている。

それでもノキアのオリペッカ・カラスブオ最高経営責任者(CEO)は「当社は規模の利、有力なブランド、優れた物流、低価格、幅広い製品構成が競争上の強みとなり、厳しい09年に競合他社との差別化を可能にすると確信している」と語った。

同社はこの日、10-12月期のモバイル機器市場における自社のシェアについて、前期比で「横ばいからやや拡大」との見通しをあらためて示した。

11月5日のロイターでは、以下のように報じている。

 [ヘルシンキ 5日 ロイター] フィンランドのバンハネン首相は5日、ドル安は米経済状況を反映しており、すでにフィンランドの産業に打撃を与えている、との認識を示した。

 首相は「米ドル相場は市場によって決定され、米経済状況を反映している。現在のドル安はすでに、われわれの産業に実質的な困難をもたらしている」と語った。

 さらに、特に製紙業界への打撃が大きいが、問題解決の方法はあくまで競争力の改善であり、1990年代にとられた通貨切り下げの類ではない、とした。

各国の輸出比率

フィンランドの輸出依存度(輸出/GDP)は40%を超えているが、これは世界的に見ても高い水準です。ちなみに、下に金融危機前の各国輸出、輸入依存度を掲載します。

ドイツ 輸出46.8% 輸入39.7%
韓国 輸出46.4% 輸入45.3%
中国 輸出41.3% 輸入31.3%
ロシア 輸出30.3% 輸入21.9%
イタリア 輸出29.2% 輸入29.5%
フランス 輸出26.9% 輸入28.5%
イギリス 輸出25.8% 輸入29.5%
インド 輸出22.4% 輸入25.9%
オーストラリア 輸出19.8% 輸入21.5%

日本 輸出17.6% 輸入15.9%

ブラジル 輸出13.8% 輸入12.1%
アメリカ 輸出11.9% 輸入17.1%

アメリカは別格として、上記で輸出依存度の30%以上の国も、そうして特に40%以上の国々は、今回の金融危機でかなりの影響をこうむるでしょう。日本に関しては、ひところまで輸出比率は低かったのですが、それでも17%です。日本人の多くが思っているほどには高くはありません。今回の金融危機も比較的軽微ですむでしょう。注目すべきはブラジルです。かなり輸出比率が低いです。金融危機からの立ち直りも新興国ではもっとも早くなるでしょう。

ドイツ 、韓国、中国、フィンランドは特に深刻です。しかし、フィンランドは復活できる可能性はこの中で一番かもしれません、なぜならフィンランド(516万人)ともに人口が少ない国だからです。人口が少ないということは欠点のように思われるかもしれませんが、人口が少ない分対応がしやすく、金融危機などの事態には対応しやすいです。意思決定とその実行が早いということです。何か手を打てば、効果は速いです。韓国は人口が少ないですが、それでも4000万人以上あります。一度不況に陥るとなかなか難しいです。人口が一番多いのは中国です。これはかなり、大変なことになると思います。

今回のノキアのすばやい対応、まさに正しい選択だと思います。

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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

コメントありがとうございます。中国と金融危機の関係については私も関心がありました。ブログを興味深く読ませていただきました。また訪問します。

山田 豊 さんのコメント...

june様 コメント有難うございます。ノキアのことを通じていろいろ調べていたら、中国の貿易比率も知り、これは大変だということが、数字上からも判りました。このブログ中国関係の記事も多いです。これからも、是非お立ち寄りください。よろしくお願いします。

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