2010年9月18日土曜日

中国巨大な壁にぶちあたる【China Hits A Great Wall】―この記事の内容は、このブログでも再三掲載したことであり驚くには値しない!!

【Forbs】中国巨大な壁にぶちあたる(この内容すでにご存じの方は、この項は読み飛ばしてください)


Gordon G. Chang


今月9月9日のアメリカ、フォープス誌に"Chaina Hits A Great Wall"と題した、コラムニストのゴードン・チャン氏の記事が掲載されていた。最近、尖閣列島の件で、全く盗人たけだけしい態度をとる中国ですが、この記事を読むと、やはり、中国幻想は間違いであり、私のブログに過去に掲載してきたものと同様の内容で、私の考えが故なきことではないことが証明されるものと思います。以下のその要約を和訳したものを掲載します。


なお、原文は以下のURLをご覧ください。
http://goo.gl/lbKi
日本語のものでは、日本経済新聞にも掲載されていたので、下のURLをご覧ください。
http://goo.gl/9qCQ
“百万の真実”があるとされ、地球上で最も急激な社会的変化を遂げつつある中国は、いかなる予測も無力にみえる。だが私はあえて、どんな預言者でもしり込みするような大胆な予測をしてみたい。今後十年の中国について、確実に言えることが三つあると思っているのだ。 
 まず、今の時代は“中国の世紀”と呼ばれるようになるだろう。中国はちょうど日本を抜いて世界第2位の経済大国に躍り出たばかりであり、首位の米国も射程圏内に入った。



だが中国の世紀は短命だろう。長くても数年。世界史上最も速く過ぎ去る“世紀”になりそうだ。2011年末までに中国の経済成長率は2ケタを割り込むだろう。国内総生産(GDP)は10年にわたる減速が始まる。
なぜそんなことがあり得るのか?現在の中国の経済成長率はシンガポールに次ぐ世界第2位だ。しかし超のつくこの急成長は幻影のようなものだ。中国も米国の先例に倣い、炭鉱業が衰退し、中小の製造業や小売業も減少する新たな現実に適応していかなければならない。
だが中国の内閣に相当する国務院は2008年11月、政府支出によってそうした適応の痛みを回避することを決めた。こうして昨年、1兆1000億ドルという見事な景気刺激策を実施した結果、同年上半期の経済成長率は11.1%という高水準に達した。だが不幸なことに、中国ではたいていのモノが有り余っている。居住用マンションはどうか? 8000万戸もの空室があるなどということが信じられるだろうか? それでも控えめすぎる評価かもしれない。新築物件の空室率は50%を大きく上回り、北京では65%以上と見られる。
今後想定されるシナリオは2つしかない。たいていの国でそうなるように不動産市場が崩壊するか、中央政府が人為的に市場を支えるかである。中国の指導部は後者を選択する可能性が高く、そうなればごくわずかな経済成長が何年も続くような政策を取らざるを得ない。バブル崩壊後の日本を考えてみると良い。中国の停滞は日本より深刻になるだろう。2013年には日本は再び中国を追い越し、世界第2位の経済大国に返り咲くだろう。
第2に、2015年までに200万人の難民が発生するような環境災害が起こるだろう。今や季節ごとに何らかの大災害が起こるようだ。今年は明朝以来の深刻な干ばつに見舞われた。畑の穀物が枯れ果てる中、飢餓に苦しむ北朝鮮の人々に倣い、野草で食いつなぐ人々も出た。その後は一転大雨となり、一度の嵐では25万人が自宅から避難しなければならなくなった。
たった1件の環境災害で、200万人もの人々が家を失うものか、と驚くかもしれない。だがこれもさほどとっぴな予測ではない。世界銀行は2020年までに中国では3000万人もの環境難民が生まれる可能性があると見ている。個別の自然災害ではなく、全般的な水不足がその原因だ。
第3に、中国の人口は2020年までにピークに達する。人口統計学者の間では現在、その時期を2025~2030年と見るのが一般的だ。だが彼らは常に人口成長の鈍化を過小評価してきた。中国政府の統計学者らの名誉のために言い添えておくと、彼らは自分たちがどれほど間違っていたかを認め始めている。
これから人口増加の減速が続くだろう。新生児の性別の異常な偏り(公式統計では女児100人に対し、男児119人以上)は、今後さらに深刻な問題となる。簡単にいえば、女性が足りないのだ。しかも率直に言って、他の東アジアの国々と同様に、大都市に住む中国の女性は何百年来の社会規範を拒絶し、出産を先延ばししたり、まったく子供を生まない人が増えている。最初に野放図な人口成長を奨励し、その後は厳しく取り締まるといった数十年にわたる中国政府の無謀な人口政策のツケが回ってくるのだ。
こうしたことから、現在の中国に対する思い込みは捨てた方がいい。10年後の中国は我々の目に、今とはまったく違う姿に映っていることだろう。





この記事の内容は、このブログでも再三掲載したことであり驚くには値しない!!



さて上の動画は、米国政府関係者や研究者らとの親交や、国際政治・米国金融アナリストとしてのご経験を通し、米国から見た祖国・日本と、日本をとりまく国際情勢の危機的状況を冷静な視点で見通しておられる伊藤貫氏に、変動しつつある国際政治バランスについてのインタビューをした内容です。この中で、氏は、中国特に、中国経済に関して上記フォーブスのゴードン・チャン氏が書いた内容とは全く対局的な見方をしているので、ここに掲載してみました。この動画、後にも掲載しますが、パワー・オブ・バランスの歴史と今に関する知識をてっとりばやく得たい方には、必見の動画です。

私は、やはり、こと中国に関してはゴードン・チャン氏の見方のほうが正しいと思います。伊藤貫氏の見方は、現在のアメリカの大勢を占める見方です。こうした、見方に対して"The Coming Collapse of China"という著書で、警鐘を鳴らしたのがチャン氏です。このようなことは、過去にもありました。それは、旧ソ連に対する見方です。ソ連については、すで1950年代にアメリカのアナリストが、ソ連経済はあまりに単純で、経済学的用語いうところの「投入=産出」であり、付加価値が産出されていないことから、いずれ崩壊することを予言していました。にもかかわらず、この予言は、無視されソ連を過大視する傾向がありましたが、ソ連崩壊後にそれは、全く過ちであったことが判っています。

中国の経済対策については、10年以上前にドラッカー氏もその著書「ネクスト・ソサエティー」で、それこそ、上記に書いてあったチャン氏のコラムのような内容を書いていました。

その内容は、中国の経済対策は、景気が悪化すれば、大規模な財政支出を行う。財政支出を行ない、インフレ傾向になれば、財政支出をとりやめる、財政支出をとりやめて、景気が悪くなれば、また、財政支出を行うというものです。これを交互に繰り返しているだけというものです。要するに、自転車操業をしているようなものです。

ドラッカー氏は、当時からこのやり方は、永遠には続かいないとし、根本的な解消法として、中国全土の上海化を提示していました。要するに、中国全土に上海で実現しているような産業をおこすべきことを提唱していました。

結局は現在に至るも、これは成功していません。だから、もう、中国政府が過去にやってきたようなことは成功しない確率がかなり高まってきています。中国全土の上海化には、これから10年以上の年月を要することでしよう。もう、自転車操業は機能しないということです。チャン氏が言っているようなことは、もうすでに、中国では5年くらい前から顕著になってきており、最近はますますそれがはっきりしてきています。

上のチャン氏のコラムでは「中国はちょうど日本を抜いて世界第2位の経済大国に躍り出たばかりであり、首位の米国も射程圏内に入った」と書いていましたが、これについては、間違いであることは、このブログにも掲載しました。以下に、その内容を書いたブログの記事のURLを貼付けておきますので、詳細を知りたい方は、こちらも是非あわせてご覧になってください。

「小日本」の大と「大中国」の小―中国のGDPの意味合いは、先進国のそれとは全く異なりすぎる!?


要するに、中国政府によるGDPの発表は、ほとんど欺瞞であるし、様々な兆候からして、中国の最近のGDPは本当は6%未満であると推察されます。とすれば、GDPのレベルでも、中国は世界第二の経済大国にはなっていないと推察できます。そうして、今後少なくとも10年以上、もしかすると、今のままでは、永遠に第二の経済大国にはなれません。このブログ記事には、アメリカはこれからも人口が伸びつづけるものの、中国ではそうではないことを示し、アメリカを侮るべきではないことも掲載しました。

それに、チャン氏も、伊藤氏も、国の見方の尺度として、経済特にGDPのみをみています。これも、違うのではないかと思います。今や、アメリカも、GDPはトップではありません。日米が上位なのは、資産です。資産に限っていえば、日本は、国民の金融資産が1400円兆を超えておりでこれは、世界第二位その中でも、現金・預金(いわゆる貯蓄)は世界一です。無論金融資産のトップはアメリカが世界一です。

インフラがある程度整備されてしまった成熟したアメリカや、日本などと、これから不十分なインフラを整備する中国などのような新興国をGDPだけで単純比較するということには無理がありすぎると思います。

それに、経済だけでも、国力は推し量ることはできません。中国は、他国に比較して民主化、政治と経済の分離、法治国家が決定的に遅れています。これらが、充実しないと国としては、まだまだということです。これらがしっかりと、インフラとして整備されていない国は、不安定そのものです。

政治と経済の分離に関しては、これは、中国の官僚に言っても理解不能です。中国で事業を成功させようと思えば、他国のように、優れた経営者のマネジメント能力などあまり必要ではありません、それよりも、中国共産党の幹部との太いパイプがものをいいます。だから、大陸の中国人は資産家とはいっても、他国の感覚での優れた経営者・企業家などとみるべきではないです。

とにかく、このブログでもさんざん書いてきたように、中国幻想からは早く脱却すべきです。本日は、チャン氏のコラム非常に良くまとまっているので、これ以上あまりくだくだしく書くつもりはありません。もっと詳しく知りたい方は、下の関連記事のところに、過去の記事のURLを貼りつけておきますので、是非そちらをご覧になってください。

それから、上の動画の伊藤貫氏のインタビュー内容、中国経済を過大視しているという点はあまり参考にはなりませんが、他のことではかなり参考になります。とくに、パワー・オブ・バランスに関する、過去の歴史からその移り変わりと日本の進むべき進路など、分厚い本など読まなくても、かなり簡潔にわかりやすくまとまっていると思います。それに、彼が言うように、中国の軍事力はかなり高まっているのは事実なので、日本が自主防衛すべきことなどの意見かなり参考になります。パワー・オブ・バランスの歴史をを理解せずに、今の世界を語ることはできません。この動画の内容は、大学などで近現代史の覇権に関する講義の一期分に相当するような内容がコンパクトにまとまっており、これらの知識をてっとりばやく得たい方には、必見の動画だと思います。


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2 件のコメント:

wombat さんのコメント...

GDPだけで国富は計れませんね。
日本の国富のかなりの部分は、日本の土地の価値にありますから、製造業が全部だめになっても、大勢に影響はないでしょう。
対する中国の土地の価値ですが、環境破壊が進んでいて価値があまりありません。
これは極端な見方ですが、そういう傾向はあるのだと思います。

山田 豊 さんのコメント...

wombat様 コメントありがとう御座います。中国の場合、土地の所有権も認められていませんから、他国とはことなるところがありますが、使用権はありますから、結局は同じようなものだと思います。
土地の価値といえば、日本はインフラが相当充実していますから、たとえば、ハイチ沖地震は、日本の新潟の地震よりはるかに規模が大きいのですが、被害総額は新潟のほうがはるかに大きくなってしまいます。中国も、インフラが整備されていませんから、同じ面積を共通の尺度ではかれたら、日本の土地のほうがはるかに価値が高いでしょう。
これからも、お気軽にお立ち寄りください!!

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