2013年3月21日木曜日

【正論】習新政権が軍を御しきれぬ理由 防衛大学校教授・村井友秀―【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【4】

【正論】習新政権が軍を御しきれぬ理由 防衛大学校教授・村井友秀:


防衛大学校教授・村井友秀

「近年、中国軍は近隣諸国を威嚇する行動をとっているが、この行動は共産党から独立しているように見える」(2012年2月10日付米紙ニューヨーク・タイムズ)との懸念は当たっているのであろうか。この1月、東シナ海公海上で中国海軍フリゲート艦が海上自衛隊護衛艦に射撃管制用レーダーを照射した事件は、中国艦艦長が「軍は断固として主権を守らねばならない」(習近平国家主席)といった指導部宣言を、自分なりに解釈し実行したものだという見方が中国国内では多い。

≪レーダー照射が示す軍高政低≫

当初、照射の事実を知らないと答えた中国外務省報道官の発言は何を意味するのか。中国軍と外務省の関係について検討する。

国家には、民族の集合体としての「国民国家」と政府に代表される統治機関としての「国家機関」がある。国民国家において、国家は統治機関としての政府を超えた至高の存在である。だが、共産主義国家では国家は統治機関を意味し、統治機関としての国家、つまり政府は共産党の決定を実行する機関に過ぎない。共産主義国家では党は国家より上位にある。

党と軍が一体となって革命戦争に勝利した中国では、軍は党と不可分の組織であり、党の下にある政府より上に位置する。軍の決定を下位組織の政府が、ましてその一部局に過ぎない外務省が知らされていなかったとしても不思議ではない。軍の行動を外交部が知らなくとも、それは政府が機能していないのではなく、中国の統治機構ではあり得ることである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今回のレーダー照射事案について、ある中国軍関係者は、照射したのは日本の艦船に対してだけだとし、米国やロシアはもちろん、ベトナムや韓国の艦船に対しても同様の行動に出れば反撃されかねないからだとも述べている。

このように日本を軽く見ての軍事、外交、世論の三方向からの対日圧力は、習新政権下で強まりこそすれ弱まりはしない。だから、日本が軍事、外交面で抵抗力 を強めることは当然である。その場合には、中国の圧力は民主主義の弱点である分裂した世論に集中することになろう。軍事、外交は政府の責任だが、世論工作 に抵抗するには、民間の役割も大きい。(むらい ともひで)

この記事の詳細はこちらから!

【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【4

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上の記事でも述べていたように、人民解放軍は、人民の軍隊ではなく、中国共産党の私兵にすぎません。厳密な意味では、人民解放軍一般先進国にみられる軍隊ではありません。一般先進国の軍隊は、政府の配下にあるもので、選挙で国民に選ばれた政府の配下にある国民の軍隊です。その第一の任務は、安全保障です。そもそも、出自が全く異なるのです。

さらに、上の記事では、以下のように習主席の軍に対する影響力を分析しています。
中国で現在、中国軍を指揮しているのは主席ではなく中央軍事委員会である。中央軍事委で軍事問題を議論する際、軍事専門家の意見に軍事の素人が異論をはさ むのは困難であろう。中央軍事委は、文官の習主席と10人の軍人で構成されており、軍人の影響力は絶大である。対照的に、党政治局の会議で軍事問題が議論 されることはほとんどないとされている。
中国の新しい習近平主席は、まだまだ、共産党を掌握しきれていません。 それは、このブログでも以前に掲載しましたが、これに関して中国共産党の人事分析に関しては、以下の記事がかなり秀逸だと思います。


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に昨年11月に新しくなった中国共産党の組織図と、上の記事の結論部分のみを掲載させいただきます。
 こうした状況の中で、「もし改革を本気でやらなければ……」という危機感が党内で共有されていることは、胡錦濤が政治報告で「思想解放」を何度も強調したことでも明らかだ。ただ、だからといって、それが共産党の伝統的価値観を否定するほどまでに強いかといえばそうではない。というのも、胡錦濤は十八大において危機感を強調する一方で、党の役割を肯定的に認めていたからだ。それが「3つの自信」(道路自信、理論自信、制度自信)である。要約すれば、党は正しく、「このままで良い」と言っているに等しい。

 ここからは危機は認めつつも何もしない党の体質がうかがえるのだが、それこそが今回の人事の神髄ではないだろうか。この二律背反する現象は、日本社会でも見られる「危機感を持つ若者」と「気が付きながら何もしない老人」という世代間ギャップにも通じている。

薄煕来の存在が浮き彫りにした、民衆の経済格差への不満を背景とする「左傾」(毛沢東時代への回帰)という変化を排除し、また返す刀で汪洋という急進改革も退けた中国共産党が習近平新体制人事で最終的に選んだのは、伝統的価値観の維持というバランスだった、という落ちなのだろうか。
 このように、習近平主席は、軍を掌握できないばかりか、中国共産党もまともに掌握出来ない状況にあります。そんな中で、中国共産党は伝統的価値の維持というとんでもない道を選んでいます。要するに何もしない、何もできないことの意図の表明です。

日銀が金融引締めによって、中国経済に多大な寄与をしてきましたが、これも、白川総裁から黒田総裁に変わって、もう期待することはできなくなりました。過去20年間、中国は日本銀行の多大な寄与により、社会変革をしなくても、従来の構造のままで何とかやってくることができました。経済がある程度伸びいていたので、軍事力も強化できたし、人民が内紛を起こしそうなれば、力で制圧することができました。

それに、人民が内乱を起こしそうになれば、習近平が昨年実施したように、尖閣問題を煽り、反日デモを煽り、国民の目を日本に向ければ、なんとかなってきました。しかし、それにも限界があります。 反日デモを繰り返しても、結局は何も変わりません。10回も、20回も反日デモに参加したしても、その時は憂さ晴らしにはなるかもしれませんが、それだけで、何も変わりません。

3人とも華僑の出身のAngel Girlのパフォーマンス
今後日本銀行の多大な寄与を期待できないということになれば、中国の残されている道は、二つのみです。一つは、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をして、中間層の拡大に務めることです。そうすることにより、実体経済はまともになり、 経済成長をすることも可能になり、中国の躍進の道が開かれます。

もう一つの道は、もう上にも述べたように、中国共産党が選んでしまった道である、「何もしない、何も出来ない」路線です。この道を選べばどういうことになるか。今後もこれを変えなければ、結論は、これからどこまでも、格差が拡大し、人民の憤怒のマグマは頂点に達して、建国以来毎年平均2万件もあるという暴動などの生易しいものではなく、本格的な内乱になります。そうして、中国は5つから6つくらいの国に分裂することになるでしよう。このままでは、10年以内にそうなります。

現在みられる、中国による日本の領海・領空侵犯や、尖閣問題などは、歴代の日本政府の対応が甘かったため、たまたま、こうした中国の内情を反映した出来事であり、中国の分裂、習近平がラストエンペラーとなることの予兆だとみるべきです。駒を回した方はご存知だと思いますが、回した直後は、安定していますが、止まる直前には、大きく振れます。現代中国共産党はまさにその状況にあります。

独楽回し
日本としては、こういう背景を理解して、上の記事のように、軍事、外交においては政府が毅然とした態度で臨むこと、そうして、民間である私たちもそうすべきです。そもそも、現在の中国の海軍力では、日本の海上自衛隊には対抗できません。もし、軍事衝突が起こった場合、想像できることは、中国艦艇・潜水艦や航空機の全敗です。

日本の対潜哨戒機P1

このブログに掲載したように、日本の対潜哨戒能力は世界一です。この日本が、本気を出して中国海軍と対峙すれば、現状の中国が日本に戦いを挑むのは、あまりに無謀です。自分たちも気付かぬうちに、瞬時に撃破され海の藻屑と消えることでしょう。というより、中国人民解放軍にとっては、自殺行為です。かといって、核兵器を使おうにも、日本はアメリカの核の傘の下にあります。核攻撃すれば、報復を覚悟しなければなりません。

習近平

となれば、通常兵器や、超限戦のみで挑まなければならず、そうなると、軍事的敗北は、必至であり、そうなれば、人民の憤怒のマグマはさらに高まることになるだけです。ただし、最期の最期で、滅亡するときに敗れかぶれになる可能性は、あります。それには、十分を気をつけなければならないと思います。日本としては、自滅を待つか、自滅を誘引するような措置をとるべきと思います。そう思うのは、私だけでしようか?皆さんは、どう思われますか?

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