2013年10月17日木曜日

痛み分け?「内閣人事局」新設 法案了承…残った人事院関与―【私の論評】官僚だろうが企業だろうが、最大のコントロール手段は人事であることを忘れてはならない!人事権を握るものが、組織を制する!(◎_◎;)

痛み分け?「内閣人事局」新設 法案了承…残った人事院関与


政府は16日、中央省庁の幹部人事を一元管理する「内閣人事局」新設を柱とした公務員制度改革関連法案の修正骨子案を公明党に示し、了承された。自民党も了承済みで、政府は月内に法案を今国会に提出し成立を目指す。法案をめぐっては、権限を失う人事院や「応援団」の自民党議員が反発していたが、人事院の関与を残すことで決着。運用面で不透明な部分もあり、火種はくすぶり続けそうだ。

「しっかりやっているので、協力してください」

安倍晋三首相は15日の自民党両院議員総会で、公務員制度改革に慎重な参院幹部に頭を下げた。公務員制度改革は「首相肝いりの政策」(周辺)。だが、結局は官邸と霞が関双方の「痛み分け」となった。

当初の政府案は、人事院の業務のうち、職員の任用や各府省庁の定員を給与ランクごとに決める「級別定数」認定の権限を内閣人事局に移管する内容だった。幹部人事を掌握し、政治主導を強めたい官邸側に対し、人事院は「労働基本権が制約される公務員の利益を守る人事院の代償機能の役割が損なわれる」などの懸念を示していた。

自民党行政改革推進本部の総会でも、首長経験者や官僚出身議員が「人事院の役割が損なわれる」「内閣が多数の省庁幹部を把握できるのか」と政府案を批判。一方、菅義偉官房長官の指示で推進派議員が10人単位で推進本部総会に投入されるなど紛糾を続け、政府が目指した臨時国会冒頭の法案提出は断念せざるを得なかった。

結局、来春の内閣人事局発足を急いだ政府は修正案骨子に、級別定数について「人事院の意見を求め、尊重する」と明記。審議官以上の「600人」規模の人事は予定通り内閣人事局が管理するが、幹部候補者の名簿作成の際に「あらかじめ人事院の意見を聴取」することにし、人事院の一定の関与を残す形とした。

官僚側も「衆参ねじれ」が解消された国会で抵抗するだけでは、意向が反映されない法案が成立してしまうとの危機感があった。

「官邸と霞が関が勝ち負けを判定できっこないぎりぎりのところで折り合った」
慎重派の自民党議員は、こう振り返る。

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【私の論評】官僚だろうが企業だろうが、最大のコントロール手段は人事であることを忘れてはならない!人事権を握るものが、組織を制する!(◎_◎;)



内閣人事局の設立は、公務員制度改革の一環として、民主党政権の時代には政治主導をキャッチフレーズにあげながらも、結局見送られました、そうして、民主党政権の前の自民党政権の自体から懸案になっていたことです。人事院の関与は、残るもののこれがようやっと成立する運びになったということです。

さて、人事の問題というと、やはりドラッカーの箴言が非常に参考になります。
「貢献させたいのならば、貢献する人たちに報いなければならない。つまるところ、企業の精神は、どのような人たちを昇進させるかによって決まる」(『創造する経営者』)
ドラッカーは、組織において真に力のあるコントロール手段は、人事の意思決定、特に昇進の決定だといいます。

それは組織が信じているもの、望んでいるもの、大事にしているものを明らかにする。
人事は、いかなる言葉よりも雄弁に語り、いかなる数字よりも明確に真意を明らかにする。
組織内の全員が、息を潜めて人事を見ている。小さな人事の意味まで理解している。意味のないものにまで意味を付ける。この組織では、気に入られることが大事なのか。
“業績への貢献”を企業の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”の決定において、真摯さとともに、経済的な業績を上げる能力を重視しなければならない。
致命的になりかねない“重要な昇進”とは、明日のトップマネジメントが選び出される母集団への昇進のことです。それは、組織のピラミッドが急激に狭くなる段階への昇進の決定です。
そこから先の人事は状況が決定していきます。しかし、そこへの人事は、もっぱら組織としての価値観に基づいて行なわれなければなりません。
「重要な地位を補充するにあたっては、目標と成果に対する貢献の実績、証明済みの能力、全体のために働く意欲を重視し、報いなければならない」(『創造する経営者』)
以上のドラッカーの箴言を理解すれば、いかに人事、特に幹部の人事が重要であるか理解できます。

ドラッカー氏

官僚の人事も、政治主導という考え方からすれば、特に官僚のうちでも、高級官僚に関しては、官僚が組織する人事院よりも、政治家が主体となって内閣人事局が行うべきが本筋です。なぜなら、政治は国民の信託を受けた政治家が国民のために実施するものだからです。

官僚は、選挙で選ばれた人たちではありません。しかし、特に高級官僚への昇進は国民社会や経済に大きな影響を及ぼします。であれば、信託を受けた人が関与する内閣人事局などの組織がそれを決定するのがより良い決定方法です。


今回新設の、内閣人事局がどこまての人事を行うか、まだきっきりしていませんが、本筋を通すという意味では、正しい方向性であることには間違いありません。

官僚は本来縁の下の力持ちになるべき存在

いずれにせよ、官僚だろうが、企業であろうが、幹部クラスへの人事は、組織の価値観を示すものであり、これがなおざりにされては、組織がたちゆきません。民間企業においては、この考え方は、概ね受け入れられていて、最大のコントロール手段としてある程度機能しているようです。そうでないところもありますが、それに比較すると、今までの過去の官僚組織はそうはなっておらず、それが、いわゆる官僚の暴走を招いた面は、否めないと思います。

とにかく、成功しようが、失敗しようが、人事院のコントロールは、生ぬるいものでした。そのため、官僚は、国民のことなどそっちのけで、省益最優先で物事を考え方というのが当たり前になっていました。そうして、人事院による人事では結局、官僚のこのような行動を防止することはできませんでした。そりや、そうです。どこの会社でも、普通の人事なら人事院に相当する人事部が考え、それが実施されるのが当然のことです。しかし、執行役員異常の重要な人事に関しては、どこの会社でも、最終的に取締役会に諮るのが普通です。

今までの、人事院による官僚による官僚のための人事では、まともな人事政策など行なわれるはずがありません。中級以下の人事は、今までのように人事院でも良いかもしれませんが、それ以上の人事では、会社で取締役会が最後に決定するように、内閣人事局により、それも、政治家が絡む形にするのが当たり前です。

縁の下の力持ち

今回の、内閣人事局の新設は、こうした組織のゆるみ、たるみなどにカツを入れるものであり、いずれ本来あるべき、人事の姿にするための、一里塚になるものでもあると思います。今の公務員の人事は、身分保障ばかり強調されていて、まともな人事はできません。民間企業なみに、怠業すれば、解雇もあり得るという形すべきものと思います。

官僚の人事だけが、特殊であるということは許されません。職務分掌、権限など明確にして、その通り実行している限りにおいては、身分保障されるという形式に改めるべきです。それに、政府の方向性にそって仕事をしなければ、怠業とみなす規程なども盛り込むべぎです。

そうしてこういうことを実施していくことにより、官僚の中にも色濃く残っている、「戦後体制」からの脱却の一里塚にもなるものと確信します。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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