2015年10月24日土曜日

【習近平訪英】英王子ら退屈&居眠り? 習近平氏の演説を英紙が「ぶざま」と辛口評論―私の論評】欲の皮を突っ張らせると、シティの連中も大火傷するほど中国の金融空洞化は明白(゚д゚)!


習近平主席のあいさつ中、下を向く出席者
  中国の習近平国家主席は23日、4日間に及ぶ英国の公式訪問の日程を無事終えて帰国した。習氏は訪英中、上下両院や公式晩餐会、金融センター・シティなどで演説を行った。だが、演説を称賛する報道は、英国では見当たらない。反対に、演説中に出席者が居眠りをしているかのような屈辱的な写真が掲載され、「ぶざまな瞬間だ」「強さをひけらかした」など、辛口の論評が目立った。

「外交用に行われるディナーに列席するのは、退屈なのかも…」

  ロンドンのフリーペーパー、メトロ(電子版)は22日、こんな見出しをつけ、習氏が前夜、金融街シティで行った演説の際、主催者が居眠りしているような問題の写真を掲載した。

  ちなみに、習氏が演説を行ったギルドホールでは2013年6月、訪英した安倍晋三首相も自らの経済政策「アベノミクス」について演説した。

  習氏は演説で、中国が過去37年以上の改革・開放政策で世界第2位の経済大国となったことを強調した。英中両国が演説を前に、中国以外で世界初となる人民元建て国債の発行を始めることで合意したのを強く意識した内容だった。

  さらに、演説では、中国は「過去に、立憲君主制や議会、大統領制などを導入しようと試み、失敗し、それに学び、最後に社会主義の道を選んだ。社会主義は人民が求めた結果だ」と説明した。

  演説は約27分間。中国語の演説を、通訳を介して聞いていたことや、一日の疲れもあったのだろう。演説する習氏の隣で、英王室のエスコート役、アンドルー王子らが疲れたような表情で下を向いて話を聞く様子がカメラに収められた。

   一方、20日の議会演説については、英紙フィナンシャル・タイムズが「議会制が誕生した揺りかごでみせた習氏のぶざまな瞬間」と紹介した。

  習氏は演説で「英国は最も古い議会制国家だが、中国は2000年も前から法治の重要性を語ってきた」と述べ、民主主義に関係した中国批判は受け付けないとの姿勢を暗に示した。

  同紙はこれに対し、「法の支配」の理念を生み、近代民主憲法の礎石となったマグナカルタ(大憲章)制定800年を迎え、中国で巡回展示を行う予定が急きょ、当局に中止させられたことを紹介。「中国に法治と民主主義を強調する資格があるのか」「自分たちに有利な歴史だけ言及した」などと批判する議員たちの声を報じた。

  バーコウ下院議長も習氏の演説前に、ミャンマーの民主活動家、アウン・サン・スー・チー氏を「人権のチャンピオン」と呼び、インドを世界最大の民主国家と称賛。中国に「強国としてだけでなく、道徳的霊感を与える国になることを願う」と述べ、「強さをひけらかす中国」(英紙ガーディアン)をけん制した。

  キャメロン英首相は中国の人権問題について批判を封印する。だが、人権や民主主義など価値観をめぐる英中の戦いの行方に、世界の注目は集まっている。

【私の論評】欲の皮を突っ張らせると、シティの連中も大火傷するほど中国の金融空洞化は明白(゚д゚)!

習近平のイギリス訪問に関しては、経済評論家の上念司氏が動画でいろいろと面白おかしく解説していました。その動画を以下に掲載します。


 詳細はこの動画をご覧いただくものとして、以下に上念氏が用いたフリップのキャプチャー画像を掲載します。


このキャプチャ画像のフリップにあるように、習近平はイギリスのキャメロン首相などには歓迎されたものの、それ以外は散々だったようです。

日本の天皇陛下と握手したエリザベス女王
まずは、エリザベス女王が習近平と握手したときに、手袋をつけたままだったということです。これは、日本の天皇陛下が訪問されたときには、エリザベス女王は手袋をはずして、陛下と握手なさったのとは対照的です。

中国国家主席習近平と握手をしたエリザベス女王
それから、BBCをはじめとするメディアのほとんどが、習近平の中国にはかなり批判的な報道をしました。また、多くの人々が抗議のデモに参加しました。


アンドリュー王子に関しては、ブログ冒頭の記事にもあるように、習近平のスピーチの際には、退屈で半分居眠りをしているような素振りであり、それはアンドリュー王子におよばず、王女も、その隣の中東系の人物とみられる人物もそのような素振りをしていました。チャールズ皇太子に至っては、参加すらしませんでした。

チベットのダライ・ラマとも親交のあるチャールズ皇太子
これは、おそらく、習近平は他国でみられるように選挙で勝利して選ばれた政治家ではなく、権力闘争に打ち勝って、上まで登った官僚であるということが原因ではないかと推察します。

ご存知のように、日本の総理大臣も、アメリカの大統領やイギリスの首相など、中国以外の国では、選挙によつて選ばれた政治家が政府のトップになります。日本やイギリスのように政府のトップ以外に皇族や、王族が存在する場合もありますが、いずれにせよ、国のトップは政治家です。

しかし、中国は建国以来選挙もなく、政府のトップは政治家ではなく、官僚です。そのため、中国の幹部は選挙という荒波に揉まれていないので、一般にスピーチが非常に下手です。

中国では、権力闘争に勝つことが官僚のトップになり、国のトップになるということですから、国民に対してわかりやすく平易に話す、感動的な話や、リーダー的な話は必要ありません。金をどれだけ有効に使うか、様々な恫喝や、場合によっては他国であれば、犯罪のようなことをどのくらいためらわず、図太くできるかが重要です。

習の屈辱。英議会での演説では一回も拍手はなかった・・・・
だから、スピーチなど二の次ですから、いざ国外でスピーチをするとなると、習近平に限らず、ほとんど官僚が話下手でとても、他国の政治家のように流暢に抑揚があり、ユーモアのあるような話はできません。それに内容がお粗末ということも手伝ってか、今回の習近平の英国内の演説は、評判は良くはありませんでした。

だから、本当に習近平の話は退屈極まりないものだったのだと思います。

それから、エリザベス女王との会見の場所がトイレの前だったというのは、イギリス流の嫌味だったのだと思います。

習近平の英国訪問は、完璧な失敗だったと言っても良いと思います。上の上念司氏は、おそらくイギリスで中国を歓迎しているのは、シティの連中だろうとしています。

実際そうなのだと思います。

シティの正式名称は、「シティ・オブ・ロンドン・コーポレーション」という。コーポレーションとは、刺繍業組合や皮革加工業組合など1000年も前から存在している123もの同業組合(ギルド)の「共同体」です。 

地理的には、シティはテムズ川左岸のウォータールー橋とロンドン橋を東西の両端とする1.22平方マイル(約2キロ平方メートル)の地区で、別名スクエアマイルとも呼ばれます。ロンドンにはシティグループやHSBCなどの高層ビルが建ち並ぶ再開発地区カナリーウォーフやヘッジファンドの集まるメイフェアもあり、これら新興の金融街と合わせて広義のシティ(ロンドンの金融ビジネス)といわれることもあります。


シティの東の境界、タワーブリッジ     (Photo:©Alt Invest Com) 
2008年のデータですが、シティは国際的な株式取引の半分、店頭デリバティブ取引の45%ちかく、ユーロ債取引の70%、国際通貨取引の35%、国際的な新規株式公開の55%を占めていました。猫の額のような小さな街が、グローバル金融のハブとして圧倒的な強さを誇っています。

シティの競争力の源泉としては、以下の3つがあります。アジアとアメリカの中間にあるという地理的優位性、金融ビジネスの標準語である英語を母語とすること、そして、シティにつらなるタックスヘイヴン群のグローバルネットワークです。

2008年4月には、旧ソ連邦を構成するCIS(独立国家共同体)から100社もの企業がロンドン証券取引所に上場した。これはシティの上場基準が、アメリカ(ウォール街)でADRを上場させるよりはるかに緩いからだ。

それにしても、シティの連中は、中国の現状をあまりに知らなすぎるのではないかと思いす。彼らは、中国の金でシティを活性化させようと目論んでいるでしょうが、その中国ではもうすでに、金融が空洞化していることを知らないのでしょうか。

中国の金融の空洞化については、このブログでも、何度か掲載してきたました。それらの記事のリンクを以下に掲載します。
【お金は知っている】中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」―【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事には「中国の外貨準備と資金流出入のグラフ」も掲載しました。以下にそのグラフとそのグラフに関する説明を掲載します。


さて、このグラフについては、つい昨日も別の記事で説明したので、その説明の内容を簡略にして以下に掲載します。
外貨準備といえば、日米欧の場合は通常、自国通貨が暴落するなどの非常時に備えるためで、大規模である必要は必ずしもありません。しかし、中国の場合、特別の意味があります。 
中央銀行である中国人民銀行は流入する外貨を買い上げて外準とし、その額を基準にして通貨人民元を発行し、その元資金を商業銀行に供給しています。

中国の外貨資産の大半はドルであり、残りはドルと交換できる国際通貨のユーロや円などです。つまり元は事実上、ドルの裏付けがあるという意味での信用を獲得し、増発が可能になっていたのです。 
08年9月のリーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)はドル資金を大量発行する量的緩和政策に踏み切りましたが、米国からあふれ出たドル資金は中国に大量流入し、人民銀行はそれを吸い上げることにより、やすやすと元資金を大量増発できたのです。 
元資金は国有商業銀行を通じて不動産開発投資用に振り向けられ、不動産ブームを支えました。中国経済は投資主導で二ケタ台の経済成長に回帰し、リーマン後の世界でいち早くショックから立ち直りました。10年にはデフレ不況が深刻化する日本の国内総生産(GDP)を抜き去って、米国に次ぐ経済超大国となりました。 
中国の成長モデルは豊富な外貨準備によって支えられてきたわけですが、その外準が増えずに急速に減少することで、成長資金を供給する方程式が成り立たなくなりました。停滞感が強まる景気の刺激に向け、人民銀行はもっと大量の元資金を発行する必要があるのですが、人民銀行の外貨資産は外準の減少を反映してかなり減りました。
このような状況ですから、中国の金融は空洞化しています。金融の空洞化といえば、もっと前から中国の金融の空洞化が指摘されていました。それについても、このブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国経済、崩壊か…中国版アベノミクス不発 社会主義国家を待ち受ける“2つの罠”とは―【私の論評】『保八』も確保できない中国は、本当は雇用状況もかなり悪化しているのに、金融緩和政策も実行できない、その理由は「金が消えた」という驚愕の真実(゚д゚)!
中国の統計はでたらめ、現実にはマイナス成長であろうことは、以前のこのブログにも掲載した

 保八も維持できなくなった中国経済ですが、金融面でもとんでもないことが発覚したことについて掲載しました。そのとんでもないこととは、中国から「大量のマネー」が姿を消しているという驚愕の事実です。その内容を以下に抜粋します。

まずは、この記事で引用した宮崎正弘氏のメルマガの内容を以下にコピペさせていただきます。
 中国から不正に海外へ流れたカネは3兆7900億ドル  外貨準備高より多いカネが不正に海外へでた勘定になるのだが。。。。。
****************************************
グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(GFI,ワシントンの国際金融監視シンクタンク)の調査に拠れば、中国から不正に海外へ持ち出された金額が精密に報告され、驚くべき巨額の事実が浮かび上がって。 
 つい最近まで筆者は1兆800億ドルと、このGFIの数字を援用してきた(これは2002年か2011年の統計とされた)。 
 ところが新しい報告では2000年から2011年までの統計で、実に3兆7900億ドルが不正に海外へ流れた(Illicit flow)。2005年から2011年の統計で2兆8300億ドルとなる新しい数字に上方修正された。 
どの期間の統計かによって、数字が異なるのは当然といえ、もし2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録。邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。 
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。 
以下に掲げる「ワースト・ランキング」はGFIが集計した2002年から2011年の合算統計である。 
1)中国      3兆7900億ドル
2)ロシア      8809億ドル
3)メキシコ     4618
4)マレーシア    3704
5)インド       3431 
桁違いの汚職天国、ロシアのそれも凄いが中国に比べたら何ほどのこともない。
2011年当時ですら、この有様で、最近ではさらに資金流出から加速化したといわれています。だからこそ、最近では、中国の外貨準備高が大幅な黒字から、大幅な赤字に転じたものと考えられます。

このような状況では、シティがいくら中国の資金をあてにしても、無理があるのではないかと思います。

しかし、シティとしては、中国などどうでも良く、中国の富裕層の資金の流出先になることを狙っているのかもしれません。

しかし、もうすでに時期を逸したかもしれません。少なくとも後2〜3年前にこうしたことをしておけば良かったかもしれません。

それにしても、市場関係者というと、イギリスのシティの市場関係者は、中国の事情に疎いようですが、日本のいわゆる市場関係者といわれる人たちの多くも、イギリスの市場関係者を馬鹿にする事はできないと思います。

日本の市場関係者の多くは、8%増税の経済への影響は軽微といっていました。結果は軽微どころか、とんでもない結果になってしまいました。

しかし、考えてみれば、アメリカの市場関係者だってとんでもないです。あのサブプライム・ローンが引き金となって、リーマン・ショックに結びついたわけですが、あのサブプライム・ローンなどの仕組み、素人が考えても、行き詰まることは目に見えたと思います。

市場関係者は、到底常人では考えられないような、とんでもない明白な単純ミスを犯すことがおうおうにしてあります。

やはり、欲の皮が突っ張っていると、現実を見誤り判断を誤るだと思います。イギリスの市場関係者も、中国を等身大にみて、中国という国家をあてにするのではなく、せいぜい富裕層の逃避資金の受け皿になる程度で、後はあまり欲張らないで、適当なところで線を引いて火傷をしないようにすべきものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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