2024年10月12日土曜日

高市早苗氏 「ポスト石破」への党内基盤固めへ全国応援行脚 既に100人超の依頼―【私の論評】高市早苗と安倍晋三の「雨降って地固まる」状況:日本政治の新たな転換点に

高市早苗氏 「ポスト石破」への党内基盤固めへ全国応援行脚 既に100人超の依頼

まとめ
  • 高市早苗氏は衆院選で全国を応援するため飛び回り、旧安倍派を含む候補者の支援を行う予定。
  • 彼女の動きは党内での基盤固めと多数派形成を狙ったもので、依頼があれば非公認候補も応援する可能性がある。
高木けい衆議院議員【東京12区/北区・板橋区】『高市早苗先生との2連ポスター』

 高市早苗前経済安全保障担当相は、地元の奈良県庁で開いた記者会見で衆議院選挙において全国を応援するため奔走することを表明した。彼女は旧安倍派の議員や他の派閥の候補者も支援する予定で、特に自民党の裏金事件で重複立候補が認められなかった旧安倍派の議員の選挙区を回る可能性がある。この動きは、党内での影響力強化と多数派形成を目指すものと見られる。

 高市氏は、全国遊説に力を入れる考えを示し、自身の選挙区に割ける時間は1日弱、数時間程度と語った。また、総裁選で旧安倍派から支援を受けたことを背景に、依頼があれば応援に赴く意向を明言し、すでに100人以上の候補者から依頼を受けている。党内からは、非公認でも党員、非公認候補への応援も反党行為とはいえず、あり得るという意見も出ている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】高市早苗と安倍晋三の「雨降って地固まる」状況:日本政治の新たな転換点に

まとめ
  • 「雨降って地固まる」の状況: 高市早苗氏と安倍晋三氏は、それぞれの困難な状況を乗り越え、政治的基盤を強化している。
  • 安倍晋三氏の復活: 第一次政権での失敗を経て、健康を回復した安倍氏は巧妙な戦略で再登場し、長期政権を築いた。
  • 安倍氏の政策の影響: 「アベノミクス」により日本経済をデフレから脱却させ、安保法制の改正やインド太平洋戦略の提唱、QUADの設立を通じて国際的な地位を強化した。
  • 高市早苗氏の挑戦: 高市氏は総裁選での敗北や閣内の制約を経験しつつも、保守派の支持を固めて次期選挙での逆襲を目指している。
  • 次期衆院選への期待: 高市氏の戦略と進撃が新たな政治の地図を描く可能性があり、彼女の行動が歴史的な転換点を導くことになるだろう。
以前、このブログで「雨降って地固まる」という言葉で現代政治の様相を分析した。その記事のリンクを以下に貼る。
詳細は記事に譲るが、その結論部分を以下にまとめてみよう。

高市早苗氏がもし総裁選で勝利し総理となっていた場合、彼女の政策実行は極めて困難なものとなっただろう。党内の反対勢力や財務省という強大な壁が立ちはだかっていたからだ。彼女が岸田内閣の経済安全保障担当大臣として、不本意ながらもLGBT理解増進法案に賛成せざるを得なかったことが、その圧力の強さを如実に示している。

しかし、時代は変わりつつある。次回の選挙では、従来の抵抗勢力が弱体化し、保守派の台頭が予想されている。日本保守党の影響力拡大や他の保守系野党の動きも期待され、まさに「雨降って地固まる」状況が到来しようとしている。

日本保守党 代表 百田尚樹氏(左)と事務総長 有本香氏

自民党の高市氏への敵対勢力である、リベラル・左派系の議員たちは、行き場を失い多数落選する可能性もでてきた。わたしたちは、今、この状況を目の当たりにしているのだ。すでに高市氏には100人以上の候補者から支援依頼が殺到している。これは単なる偶然ではない。彼女が培ってきた信念と戦略が、まさに保守派結集の磁石となりつつある証だ。

さて、「雨降って地固まる」という言葉がこれほどまでにピタリと当てはまる政治家といえば、やはり安倍晋三を置いて他にいない。彼の復活劇は伝説そのものだ。第一次政権では、彼は健康問題や政権運営の混乱により失脚を余儀なくされた。しかし、それがかえって彼の政治家としてのキャリアを強化するターニングポイントとなった。安倍はその後、持病であった潰瘍性大腸炎の治療法を見つけ、見事に体調を回復。そして、自民党内での地道な人脈再構築とともに、戦略的に再起の道を進んでいった。


ここで忘れてはならないのが、2012年の総裁選における安倍の驚異的な政治的駆け引きだ。民主党政権への国民の失望が頂点に達し、経済は停滞し、日本全体が不安に包まれていた時期。党内には新しいリーダーを求める声が強く、過去に挫折した安倍に対する懸念も少なからずあった。

だが、安倍は一歩も引かず、「アベノミクス」という大胆な経済政策を掲げて党内外の支持を獲得。さらに、盟友たちとの連携を再構築し、党内保守派を結束させた。そして、石破茂氏という強敵を相手に総裁選を勝ち抜いたのだ。この戦略的な動きこそが、彼を長期政権の座に押し上げた原動力となった。

安倍の再登場は単なる個人の復活劇ではない。彼が掲げた「アベノミクス」は、日本経済に新たな息吹を吹き込み、国内外の市場に影響を与えた。大胆な金融緩和、機動的な財政政策、成長戦略の三本柱は、日本をデフレから救い出す転換点となり、政治の安定ももたらした。さらに、安倍は安全保障政策においても重要な役割を果たし、集団的自衛権の行使を認めるため安保法制を改正した。

この決断は、日本の安全保障政策において大きな転換をもたらし、国際的な信頼を高めることにつながった。また、QUAD(米国、オーストラリア、インド、日本の戦略的対話)を設立し、インド太平洋戦略を提唱することで、地域の安定に寄与し、日本の国際的な立場を強化する基盤を築いた。これらの政策は、安倍政権が日本の安全保障においても新たな時代を切り開いた証拠となる。

進撃する高市早苗

このように、安倍晋三と高市早苗は、異なる困難を乗り越えながらも、共に「雨降って地固まる」という状況を生み出している。安倍が第一次政権での失敗を乗り越えて再登場し、長期政権を築き上げた姿は、日本政治に安定感をもたらし、経済政策の刷新にまで影響を及ぼした。そして今、高市早苗もまた、総裁選での敗北や閣内での制約を経験しつつ、保守派の支持を確固たるものとし、次の選挙での逆襲を狙っている。彼女がこの困難な状況から得た経験が、必ずや新たな政治の地図を描く力となるだろう。

今こそ、次の衆院選で彼女がどのような勝利を掴み取るのか、その瞬間に日本政治がどれほど大きく変わるのかを見届けよう。高市早苗の進撃が、まさに新たな時代の幕開けとなるのだ。挫折を糧に変え、再び立ち上がる力。それが真のリーダーシップであり、我々はその現場に立ち会おうとしている。「雨降って地固まる」、その意味がいかに重いか、この瞬間が歴史を証明することになるだろう。

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