2024年10月14日月曜日

トランプ氏集会近くで男を逮捕 車内に散弾銃所持か―【私の論評】日本では安倍元総理暗殺事件の解明こそが政治的暴力を防ぐ鍵

トランプ氏集会近くで男を逮捕 車内に散弾銃所持か


 米西部カリフォルニア州リバーサイド郡の保安官事務所は13日、トランプ前大統領が郡内で12日に開いた集会の会場付近で、車内に散弾銃や拳銃、大容量の弾倉を持った男(49)を逮捕したと発表した。男は訴追され、12日に釈放された。トランプ氏や参加者に危害はなかった。

 男の車は会場近くの検問で止められ、車内の拳銃には銃弾が装填されていた。

 トランプ氏は7月に東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃され右耳を負傷。9月には男が南部フロリダ州のゴルフ場で待ち伏せて殺害しようとしたとされ、トランプ氏の暗殺未遂事件が続いた。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事を御覧ください。

【私の論評】日本では安倍元総理暗殺事件の解明こそが政治的暴力を防ぐ鍵

まとめ
  • トランプ元大統領の集会で、会場近くにて武器を所持していた男が逮捕されたが、トランプ氏や参加者には危害は加えられなかった。
  • トランプ氏への暗殺未遂事件が相次いでいる中、安全対策が強化され、バイデン大統領の指示で軍事的保護も提供された。
  • アメリカでは政治的暴力や暗殺未遂事件が増加しており、特にトランプ氏に対する暴力を容認する意見が一定数存在することが問題視されている。
  • 日本でも安倍元総理の暗殺事件に関連して、一部の左派系人物の過激な発言や暗殺犯を称賛する動きが見られ、政治的対立が激化している。
  • 政治的暴力の根本的な解決には、警備の強化だけでなく、民主主義への信頼回復や透明性ある情報公開が不可欠。日本でも、まずは安倍元総理暗殺事件の十分な解明が行われなければ、政治的暴力の根本的な解決にはつながらないだろう。
集会で演説するトランプ氏

トランプ元大統領の集会がカリフォルニア州リバーサイド郡で開催された。その会場近くで、拳銃や散弾銃、大容量の弾倉を所持していた男が逮捕された。この男は訴追された後に釈放されたが、トランプ氏や集会の参加者に対して危害を加えることはなかった。男の車は集会場近くの検問で止められ、装填された銃弾を含む拳銃が発見された。

また、X(旧Twitter)上では、この集会に関する投稿が多く見られた。集会には過去最多の参加者が集まったと報告される一方、警備の厳重さが指摘されている。さらに、集会の雰囲気や参加者の反応、メディアの報道に対する懐疑的な視点も散見された。

今回の事件は、トランプ元大統領が最近経験した複数の暗殺未遂事件に続くものであり、7月にペンシルベニア州で受けた銃撃や9月のフロリダ州での事件と関連して注目を集めている。これらの出来事は、トランプ氏の政治活動に対する脅威と見なされ、その安全対策が再び問われている。

トランプ氏は、自身の安全確保のため、さらなる警護強化を求めていた。イランと関連のあるパキスタン国籍のアシフ・マーチャント容疑者(46歳)が、トランプ氏らの暗殺を企てたとして2023年7月に米当局に逮捕された。この容疑者は、ニューヨーク市で暗殺を計画し、覆面捜査官を殺し屋と勘違いして接触したとされる。

ワシントンDCの米司法省本部

この事件は、イランによるソレイマニ司令官殺害への報復の可能性があると考えられており、これを受けてトランプ氏の警護が一層強化された。バイデン大統領の指示により、軍用機や装甲車を含む軍事的保護も提供されるようになった。

近年、アメリカでは政治家や市民に対する襲撃や暗殺未遂が増加している。象徴的な例として、トランプ元大統領が三度の暗殺未遂に直面したことが挙げられる。シカゴ大学の調査によれば、トランプ氏への暴力を容認する意見が一定数存在し、その割合は有権者の約8.2%に達している。特に極右による過激派事件が頻発し、政治家だけでなく選挙管理委員会や一般市民も標的にされている。

政治的暴力の背景には、党派的イデオロギーやフェイクニュース、精神疾患、銃所有、善悪の単純化、対立を煽るリーダーの存在などが挙げられる。しかし、最も注目すべきは、政治や選挙に対する信頼の低下だ。この信頼の喪失こそが、政治的暴力を助長している可能性が高い。単に警備を強化するだけでなく、民主主義への信頼回復が必要だ。

日本もこうした状況に無縁ではない。例えば、安倍元総理の暗殺事件に関連して、一部の左派系の人物から過激な発言が相次いだ。作家や政治家たちが、暗殺事件を政治的批判の材料に使おうとする傾向が見られたことは、言論空間における問題点を浮き彫りにしている。

代表的なものをあげると、芥川賞選考委員であり、自身も作家で、法政大学国際文化学部教授の島田雅彦氏(62:当時)は、2023年4月14日に生配信した自身のインターネット番組「エアレボリューション」で、昨年7月の安倍晋三元首相暗殺事件を念頭に、「暗殺が成功して良かった」などと発言した。

望月衣塑子と島田雅彦

テロや殺人を容認したと受け取れるうえ、新たなテロを誘発しかねないだけに、ネット上だけでなく言論界からも「とんでもない発言」「リベラリズムからもかけ離れている」などと激しい批判が相次いでいる。発言翌日には、岸田文雄首相(当時)の選挙応援演説会場に爆発物が投げ込まれる事件も発生した。

さらに「山上ガールズ」と呼ばれる暗殺犯のファンクラブのような動きが出現し、一部では暗殺を「やったぜ」と喜ぶ声さえあったという。これらの発言や動きは、日本の政治的対立が激化する中で、言論の自由と表現の適切さのバランスが問われる状況を示している。

さらに、安倍元総理の暗殺事件については、捜査の透明性や背景の解明が不十分だとする声が強まっている。この事件が単なる個人の犯行ではなく、国家レベルの問題と関連している可能性も指摘されている。

事件の解決に向けては、いわゆる犯人とされる人物を罰するだけでなく、政治的な安全保障の見直しや情報管理の改革が求められている。国民の知る権利を尊重しつつ、透明性のある情報公開を行うことが不可欠だ。

アメリカでは、政治への信頼の喪失が政治的暴力を助長している現状がある。日本でも状況同様は異なるものの同様である。しかし、日本においては、まずは安倍元総理暗殺事件の十分な解明が行われなければ、政治的暴力防止の根本的な解決にはつながらないだろう。

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