まとめ
- 自民・公明の与党は衆院選で大幅に議席を減らし、過半数を割り込む見通しとなった。今後のシナリオは以下のようなことが考えられる。
- 第一のシナリオは、石破首相が続投し少数与党体制を維持する案であり、立憲民主党の野田との首班指名決選投票になる可能性がある。
- 第二のシナリオは、石破が退陣し、高市早苗などの新総裁を立てる案であるが、党内分裂の懸念もある。
- 第三のシナリオは、立憲民主党や維新、国民の一部が連立に加わる大連立構想だが、各党間の対立があり実現は容易でない。
- 自民中心の安定期から、多党による連立政権を形成する不安定期へと日本の政治が移行するのは間違いないだろう。
衆院選で自民・公明両党は大幅に議席を減らし、過半数の233議席を割り込む見通しだ。選挙戦中に浮上した政治資金不記載問題や非公認議員への送金疑惑が、与党の支持率を急速に低下させた結果である。今後の政権運営にはいくつかのシナリオが考えられる。
第一のシナリオは、石破首相が続投し少数与党として政権運営を続ける場合だ。立憲民主党、維新、国民民主党がいずれも連立に加わらなければ、石破はそのまま特別国会の首班指名に臨むだろう。この場合、立憲の野田佳彦と決選投票になる可能性が高い。自民党は維新と国民に「白票=棄権」を依頼し、「予算成立後の石破退陣」を条件とする可能性もある。
第二のシナリオは、石破が惨敗の責任を取って退陣し、新たな自民党総裁が特別国会前に選出されるというものだ。この場合、僅差で2位だった高市早苗が有力とされるが、現執行部が林芳正や加藤勝信を後継に据える案もある。しかし、こうした動きが党内分裂を招く恐れもある。
第三のシナリオは、立憲民主党、維新、国民のいずれかが連立に加わることである。立憲は野田が代表に就任し、原発ゼロや消費減税といった公約を削除し、自民党に歩み寄る姿勢を示しているが、大連立の実現は難しいだろう。維新と国民が連立に加わる場合でも、自民・公明・維新・国民の4党連立が必要となり、複雑な政権構成が求められる。
これらのシナリオを通して、日本は安倍、菅、岸田の3代にわたる自民中心の安定期から、多数政党が連立を組む不安定期に移行することが予想される。
第一のシナリオは、石破首相が続投し少数与党として政権運営を続ける場合だ。立憲民主党、維新、国民民主党がいずれも連立に加わらなければ、石破はそのまま特別国会の首班指名に臨むだろう。この場合、立憲の野田佳彦と決選投票になる可能性が高い。自民党は維新と国民に「白票=棄権」を依頼し、「予算成立後の石破退陣」を条件とする可能性もある。
第二のシナリオは、石破が惨敗の責任を取って退陣し、新たな自民党総裁が特別国会前に選出されるというものだ。この場合、僅差で2位だった高市早苗が有力とされるが、現執行部が林芳正や加藤勝信を後継に据える案もある。しかし、こうした動きが党内分裂を招く恐れもある。
第三のシナリオは、立憲民主党、維新、国民のいずれかが連立に加わることである。立憲は野田が代表に就任し、原発ゼロや消費減税といった公約を削除し、自民党に歩み寄る姿勢を示しているが、大連立の実現は難しいだろう。維新と国民が連立に加わる場合でも、自民・公明・維新・国民の4党連立が必要となり、複雑な政権構成が求められる。
これらのシナリオを通して、日本は安倍、菅、岸田の3代にわたる自民中心の安定期から、多数政党が連立を組む不安定期に移行することが予想される。
まとめ
- 高市早苗氏が20名以上の議員を引き連れ、自民党からの離党をほのめかすことで、党内のキャスティング・ボードを握る戦略が考えられる。
- 1970年代の三木武夫が実践した「三木おろし」の手法と類似しており、党内の権力闘争における重要な要素である。
- 三木は「クリーンな政治」を掲げつつも、権力掌握のために手段を選ばぬ策略を用い、党内での立場を強化した。
- 高市氏は離党の意志をちらつかせることで、党内交渉における優位性を確保し、新たな保守系グループを形成する可能性がある。
- 彼女の戦略は自民党内の派閥対立を激化させる一方、保守政策を実現する道を開く可能性があり、党の未来に大きな影響を与えることが考えられるが、今後の自民党の命運を握る鍵となるのは間違いない。
高市早苗氏 |
「三木おろし」は、三木武夫首相が党内の反発を受けて失脚した自民党内の権力闘争である。三木は「クリーンな政治」を掲げ、特にロッキード事件に対して厳格な姿勢を示し、金権政治を批判したが、これにより田中角栄派などの有力派閥との対立が激化した。
しかし、この「クリーンな政治」の姿勢はあくまで権力を掌握するための建前であり、実際には手段を選ばぬ立ち回りで党内での立場を強化しようとしたのだ。彼の戦略は、表向きの理想と裏に潜む政治的計算が交錯する複雑なものであった。
三木派は1970年代初頭、約20~30人の議員で構成されていた。これは自民党内の主要派閥に比べて少なく、田中派や福田派に対しては明らかに劣っていた。しかし、三木は党内抗争や派閥間のパワーバランスを巧みに利用し、与党内での影響力を高めていった。彼は一度党外に出ることで「保守本流」に異議を唱え、再び戻ることで自らの立場を確立する柔軟さを持っていた。この巧妙な戦略により、三木は自らの派閥を守りながら、党内での優位性を確保したのである。
三木派は1970年代初頭、約20~30人の議員で構成されていた。これは自民党内の主要派閥に比べて少なく、田中派や福田派に対しては明らかに劣っていた。しかし、三木は党内抗争や派閥間のパワーバランスを巧みに利用し、与党内での影響力を高めていった。彼は一度党外に出ることで「保守本流」に異議を唱え、再び戻ることで自らの立場を確立する柔軟さを持っていた。この巧妙な戦略により、三木は自らの派閥を守りながら、党内での優位性を確保したのである。
三木武夫 |
高市氏もこの手法を模倣しつつも現在の状況に適応させつつ、実際に離党するしないかは別にして、離党の意志をちらつかせることで党内交渉における優位性を確保し、自民党執行部や主流派に圧力をかけることができる。彼女が支持する議員を伴うことで、新たな保守系グループを形成し、少数派でも政権運営における重要なキャスティング・ボートの役割を果たす可能性がある。
ただし、高市氏がすぐにこの戦略を実行することは考えにくい。ここしばらくは、様子見をするだろう。来年の参院選が近づくにつれて、石破おろしの風が実際に吹き始める頃に、明らかになるかもしれない。本来は、石破や岸田などが、三木のような動きをすべきとも思うが、彼らにはそのような度量も知恵もなさそうだ。
特に、自公が過半数割れの状況に陥った現在、少数派の離党は強力な交渉手段となり得る。高市氏は、党内の保守層や積極財政派、石破に対して恨み骨髄に徹する旧安倍派等を味方に引き入れることで、さらなる影響力を持つことを狙う可能性がある。
この戦略は自民党内の派閥対立を激化させ、党全体の統一性を損なう可能性があるが、おそらく連立内閣運営において高市派の要求が通りやすくなる結果も招く。現政権や次期連立政権の政策方針に影響を与え、高市氏が狙う「自主憲法制定」、「防衛力強化」、「積極財政」といった保守的政策を実現する道が開かれるかもしれない。このシナリオは、党内外の力学を巧みに操ることで、自民党政権の未来を大きく左右するものとなり得る。
この戦略は自民党内の派閥対立を激化させ、党全体の統一性を損なう可能性があるが、おそらく連立内閣運営において高市派の要求が通りやすくなる結果も招く。現政権や次期連立政権の政策方針に影響を与え、高市氏が狙う「自主憲法制定」、「防衛力強化」、「積極財政」といった保守的政策を実現する道が開かれるかもしれない。このシナリオは、党内外の力学を巧みに操ることで、自民党政権の未来を大きく左右するものとなり得る。
ただし、高市氏がすぐにこの戦略を実行することは考えにくい。ここしばらくは、様子見をするだろう。来年の参院選が近づくにつれて、石破おろしの風が実際に吹き始める頃に、明らかになるかもしれない。本来は、石破や岸田などが、三木のような動きをすべきとも思うが、彼らにはそのような度量も知恵もなさそうだ。
この状況下で、高市氏がどのような動きを見せるか、そして自民党の運命をどのように変えるかは、政治の行く末にとって非常に重要な要素となる。この戦略が成功すれば、高市氏は自らの地位を一層固め、さらなる権力の座を手に入れる可能性がある。彼女の動きは、今後の自民党の命運を握る鍵となるのは間違いない。
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