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2018年9月13日木曜日

アリババ創業者突然の引退宣言、中国共産党からの「身の危険」…企業家が次々逮捕・亡命―【私の論評】習近平がすぐに失脚すると見誤った馬会長の悲運(゚д゚)!

アリババ創業者突然の引退宣言、中国共産党からの「身の危険」…企業家が次々逮捕・亡命

プーチン露大統領(左)と、アリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)会長(右)
写真はブログ管理人挿入

「そこに座ってロシアのお菓子を食べている若い方に質問したい。馬雲さん、あなたはまだ若いのに、なぜ引退するのか」

「大統領閣下、私は若くありません。昨日、ロシアで54歳の誕生日を迎えました。私は創業して19年間、一生懸命働いてきました。でも、もっと多くの好きなことをやりたいと思っています。例えば、教育や慈善事業です」

これは9月11日、ロシア・ウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」でのひとこま。フォーラムに参加した企業家の円卓会議に出席したプーチン大統領が進行を遮って、冒頭の発言を行ったのだ。大統領が質問をした相手は、中国電子商取引(EC)最大手、アリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)会長だった。

馬氏は前日の10日にはロシア入りしていたのだが、その当日に「教師の日、おめでとう!」と題する声明を発表し、「1年後の来年9月10日に会長を辞任する」と電撃的に宣言したのである。このニュースは世界中を駆け巡り、多忙を極めるプーチン氏の耳に入り、大きな関心を抱いたであろうことは冒頭の質問でもわかる。質問された馬氏は、一瞬きょとんとした表情をしたというが、さすがに当意即妙の返事をするところは、大企業のトップらしい。

プーチン氏は「私は若くはない」との馬氏の返事を聞いて、「あなたは私よりも若い。私はすでに66歳」と切り返したのだが、「66歳の俺が大統領を務めているのに、俺よりも若いお前が、なぜ現役を退くのか」というのが正直な感想だろう。

プーチン氏と同じ疑問は、多くの人が抱いているのではないか。3万6000人もの従業員を抱え、時価総額4200億ドル(約46兆円)の巨大企業トップの座から簡単に降りることはできるのかという疑問は、誰でも感じるだろう。その答えは、馬氏の10日の声明にある。

「東方経済フォーラム」では他にもハプニングがあった・・・

ちなみに、重大発表を行うのに9月10日を選んだのには、3つの意味がある。

まず、馬氏がプーチン氏に答えたように、54歳の誕生日であり、19年前の1999年のこの日に、馬氏を含めて18人がアリババを立ち上げた。さらに、この日は中国の「教師節(教師の日)」でもあり、今後教育に取り組みたいとしている馬氏にとっては特別な日ともいえる。

「私は教育に戻りたい」

10日の声明によると、馬氏が会長職辞任を考えるようになったのは10年前だったという。

「誰であれ、永遠に会社の最高経営責任者(CEO)と会長の仕事を続けることは不可能だ。10年前、私はこの問題を自分に問いかけてみた。馬雲が辞めた後、アリババは依然として健全に発展していけるだろうか? (中略)こう考えて、この10年間、私は絶え間なく努力、実践してきた。(中略)5年前にCEOを譲ったあとも、これまで5年間、順調に推移してきた」

そして後継者の張勇CEOについて触れ、「張勇は卓越した商才と堅実で沈着冷静なリーダーシップを持つ」として、張勇氏がCEOとして13四半期連続で業績を伸ばし続け、2018年の中国で最高経営者の栄誉を受けたとして、張勇氏を後継者に指名することは「私が現在なさなければならない、もっとも正確な決定である」と結論づけている。

そのうえで、馬氏は「私は教育に戻りたいと思う。私が最もやりたいことをするのは、私を非常に興奮させ、この上もない幸福を感じさせるのである」として、最後に「私は皆さんに請け負うことができる。アリババは馬雲だけに属するものではないが、馬雲は永遠にアリババに属していることを――馬雲 2018年9月10日」と結んでいる。

このように読んでみると、「優秀な後継者ができたから、これまでやりたくてできなかった教育の道に戻りたい」ということに尽きるのではないか。

ちらつく中国共産党の影

いわば、馬氏らしからぬ「逃げ」という印象を受ける。というのも、このところ中国では有能な若手経営者が続々と職を追われているからだ。なかには“塀の中”に落ちた者もいる。彼らは例外なく、多かれ少なかれ党中枢の幹部と密接な関係を持っている。

例えば、中国最高指導者だったトウ小平の孫娘と結婚した安邦保険の呉小暉元会長は、のちに離婚したもののその関係を利用して同社を巨大化させた。呉氏は派手な海外投資でニューヨークの著名なホテルなどを買収していったが、いまや詐欺と職権乱用などの罪で懲役18年の実刑判決を受け、個人資産105億元(約1800億円)を没収された。

また、曾慶紅元国家副主席と親しいとされる政商の郭文貴氏は現在、米国に事実上の亡命状態だ。同じく曾氏と親密な関係にあった実業家の肖建華氏は香港の最高級ホテルのスィートルームに滞在中、何者かによって拉致され、中国大陸に連れていかれたと伝えられる。

また、逮捕などはされていないが、やはり海外のホテルなどを買収するなど多額の海外投資を展開してきた大連万達(ワンダ)グループ総帥の王健林会長は、傘下のホテルを売却するなど業績が急速に悪化している。“香港の超人”と呼ばれる李嘉誠長江実業会長もさきごろ引退した。さらに、アリババのライバルでEC第2位の京東集団の劉強東CEOが性犯罪の容疑で米国で起訴されたと伝えられる。一説にはハニートラップに引っかかったとの噂も出ている。

彼らは派手な海外投資で外貨を浪費しているなどとして、中国共産党当局から目をつけられていたとの情報も伝えられていただけに、同じように海外でのビジネスを拡大してきた馬氏も、身に危険を感じたとしても不思議ではない。

馬氏のバックには習近平国家主席が付いているとされる。習氏はかつてトップを務めた浙江省に赴任していたことがあり、浙江時代の腹心は多数、中央の幹部に取り立てられているが、いまや馬氏のアリババは国有企業を差し置いて、中国有数の企業に成長したことで、馬氏と習氏の関係が微妙になっているとも伝えられている。よって、今回の唐突な馬氏の「引退宣言」は、共産党一党独裁体制下の中国という特殊なビジネス環境が大きな原因となったことは間違いないところだろう。

企業家が政治家と癒着するとろくなことがないのは、資本主義国も同じだが、中国では政治家のコネがないと成長できないのは周知の事実であり、中国の企業家は常に危険と隣り合わせているといっても過言ではないだろう。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

【私の論評】習近平がすぐに失脚すると見誤った馬会長の悲運(゚д゚)!

石平氏は、馬雲会長の引退について以下のようなツイートをしていました。

このツイートにある、香港紙とは英字新聞の"サウスチャイナ・モーニング・ポスト"のことです。この新聞は7月に、「中国共産党支配の正統性は好調な経済に支えられてきた。貿易戦争で経済危機が起これば、その正統性は確実に揺らぐ」とする上海の政治学者のコメントを引用し、米中貿易摩擦で効果的な手を打てない習氏は「体制発足後最大の試練を迎えた」と報じています。

この香港氏の報道にもあるように、中国では習近平体制をめぐり“異変”が起きているようです。国家主席の任期を撤廃し長期政権を可能にした今春以降、加速していた個人崇拝の動きに歯止めがかかっているようです。

2012年に発足してから最大の失点と目される貿易問題の影響が及んだ形のようです。先日もこのブログでお伝えしたように、8月上旬から開始された中国共産党の重要会議「北戴河(ほくたいが)会議」にも異変がありました。

これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国急変!習氏“最側近”王氏、8月恒例の「北戴河会議」に姿なし…政策失敗の全責任を負わせ失脚か? ―【私の論評】日米リベラルの中国報道を鵜呑みにすれば末は時代に取り残された化石になる(゚д゚)!
中国の習近平国家主席。米中「貿易戦争」に頭が痛い=7月、南アフリカ・ヨハネスブルク
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、「北戴河(ほくたいが)会議」の異変に関連する部分のみ以下に引用します。
「北戴河に(チャイナセブンの1人)王滬寧(オウ・コネイ)の姿がない」「1カ月近く雲隠れしている」「失脚か?」「影響力を失った」などの内容が、反共産党系中国メディアから噴出している。
歴代中国共産党トップの理論的支柱を務めてきた
王滬寧氏。習近平思想も彼が骨格をつくりあげた。
序列5位の王氏は、「3つの代表」「科学的発展観」「中華民族の偉大なる復興」など、江沢民、胡錦濤、習近平という国家主席3代の重要理論の起草に関与し、中南海の“知恵袋”と言われてきた。第16回党大会(2002年11月)で中央委員入りし、党中央政策研究室主任に就いて16年、現在に至るまで、その地位を維持してきた。
だが、第2次習政権は、その王氏に一連の政策失敗の全責任を負わせ、習政権の“イメージ転換”を図るのだろうか?
海外の中国人ジャーナリストらの弁によれば、「鄧小平時代の『韜光養晦』(とうこうようかい=才能を隠して、内に力を蓄える)の時代とは一変し、習政権が傲慢に『見える』ことで、世界から不評を買ってしまった。その責任が彼(=王氏)にある」という論理だ。2月下旬に封切られた中国の自画自賛映画『すごいぞ、わが国』も4月に突如、上映禁止が報じられた。
習国家主席(党総書記)は3月の全国人民代表大会(国会に相当)で国家主席の任期を撤廃、23年以降の続投に道を開きました。

以後、党規約や憲法に明記された習氏の政治思想は全国の学校や職場での学習が推進され、習氏の著作はベストセラーになりまし。「習主席語録」も一部で出回るなど建国の父、毛沢東以来の個人崇拝が広がっていました。

こうした中、7月、屋内外の習氏の写真やポスターを即刻撤去するよう警察が指示したとする文書がインターネット上で拡散していました。同じく7月初めには、ある女性が上海市内で「独裁、暴政に反対する」と叫びながら、習氏の写真に墨汁をかける動画が公開されていました。

また、陝西(せんせい)省の政府系研究機関、社会科学院で同時期に、習氏の思想・業績を研究するプロジェクトが突然中止されました。同様のケースが相次いでいました。

党機関紙、人民日報の“変調”も指摘されいました。ちょうどその頃1面の見出しの中に習氏の名前が含まれていない日がたまにあることに、"サウスチャイナ・ポスト"が注目し、「単なる偶然ではない」と背景に関心を寄せ、上記のような報道をしたのです。

しかし、馬雲会長はそもそも当初から、習近平と対立していたわけではありませんし、どちらかといえば、習近平を擁護していました。

アリババが香港英字紙である"サウスチャイナ・モーニングポスト(南華早報)"を買収したのは、2015年12月11日のことでした。

サウスチャイナ・モーニングポストはイギリス占領時代の1903年に設立された英字新聞で、創設時はまだ清王朝時代だったため、「南清早報」という中国名を号していました。1912年に「中華民国」が誕生すると「南華早報」に改名し、現在に至っています。

中文版もあり、中英文ともウェブサイトがあります。

政治的立場としては、激しい中国政府批判はしないものの、やや民主的で、2014年の雨傘革命のときには「普通選挙」を支持する報道をしたこともあります。そのため中国の国家的ネット検閲機関である「防火長城(万里のファイヤーウォール、Great Fire Wall)」により中英文ウェブサイトとも完全に遮断されて、中国大陸のネット空間では見ることができなくなりました。

解禁されたのは2015年の9月になってからでした。しかしなお、「港澳台(香港、澳門、台湾)」に関する報道は大陸では封鎖されたままです。

香港の雨傘革命
そのサウスチャイナ・モーニングポストをアリババが買ったのです。

それは何を意味するものだったのでしょうか?

実は2015年6月にも、アリババは「第一財経日報」およびその系列のウェブサイトなどに対して、30%の株を取得して発言権を獲得していました。表面上は「ビッグデータ処理」など、ビジネスが目的だとしていましたが、実際は違うようです。

第一財経のウェブサイトが発信する情報は、中国政府を客観的にではありますが、ときには堂々と批判することもあり、とても中国大陸のウェブサイトとは思えないような大胆さがありました。

ということは、どうもアリババは「民主化的傾向のあるメディア」あるいは、ともすれば「中国政府を批判する可能性のあるメディア」を、次々と買収したり大株主になったりして、その発信内容をコントロールしようという意図があったようにみえます。

特にサウスチャイナ・モーニングポストは、2013年7月に馬雲をインタビューした記事を4日連続で掲載したことがあります。そのときアリババで起きた不祥事に関して責任問題を問うたとき、馬雲は「六四事件(天安門事件)のときにも鄧小平は国家最高の責任者として決断をしなければならなかった。あの決断(民主を叫ぶ若者を武力鎮圧したこと、筆者注)が正しかったように、最高責任者は毅然と決断をしなければならない」という趣旨の回答をしました。

この回答をサウスチャイナ・モーニングポストがウェブサイトに載せると、香港の若者たちが激しい抗議を発信し始め、またたく間に大陸のネット空間へと広がっていっきました。

馬雲は1964年に浙江省杭州市で生まれています。1982年に高校を卒業しましたが、大学受験で数学の点数が悪く(1回目の受験で1点、2回目の受験で19点)、大学受験に失敗。そこで三輪車で雑誌社の本を運ぶ仕事に就きました。その後杭州師範学院で英語と対外貿易を学び、訪米したことからインターネット・ビジネスに興味を持ようになりました。

1999年にアリババを立ち上げるや、爆発的な成功を収め、2000年には雑誌『フォーブス』の表紙を飾るに至りました。大陸にいる中国籍の中国人がフォーブスの表紙に載ったのは、中華人民共和国建国以来、初めてのできごとで、馬雲は一躍有名になりました。

Forbsの表紙を飾った馬雲会長

2002年から2007年まで浙江省の書記をしていた習近平は、「民間企業振興」に力を注ぎました。当然ながら、浙江省で成功した馬雲のアリババを重視していました。2007年から上海市書記になると上海市政府の指導層を引き連れて浙江省視察に出かけ馬雲に会い、「上海市に活動の拠点を移してくれないか」と頼んだほどです。

それくらい馬雲を高く評価していました。だから、国家主席になった後の海外訪問では、馬雲を大規模な企業集家代表団の筆頭として随行させることが多くなりました。たとえば2015年7月の韓国訪問で習近平国家主席がスピーチをした時には、馬雲は代表団の第一列目に並んで「中国を代表する企業」としての存在感を見せつけていました。

中国の経済力によって韓国を中国側に惹きつけておきたい習近平としては、『フォーブス』の表紙を何度か飾っている馬雲は、言うならば中国経済成功のシンボルのようなものだったのでしょう。

では、馬雲と習近平の仲が非常に順調に行っていたかというと、必ずしもそうではありませんでした。

実は2015年1月15日、習近平は中共中央紀律検査委員会第三回全体会議閉幕に当たって、「私人会所」の取締りを厳しくしろという指示を出しています。「私人会所」とはどういうことかというと、党や政府の組織でなく、私人が勝手に団体を作り、富豪のクラブのようなつながりで利益を追求していく行動を指しています。

胡錦濤政権時代、中央司令塔の事務方のトップだったような令計画が当時「西山会」を作って暴利をむさぼり逮捕されていました。

このとき馬雲が浙江省杭州市に作っていた「江南会」も調査の対象になることを、馬雲は事前にキャッチしていました。この「江南会」は2006年に浙江商人8人が発起人となって作った「会所」で、入会費20万元(約400万円)。厳格な入会審査があります。この江南会も西山会同様、捜査の対象になりそうだという情報が入ってきたのです。

2015年1月21日のダボス会議では、李克強首相に随行して、やはり李克強のスピーチの最前列に陣取っていた馬雲でしたが、演台から下りた李克強は、馬雲の顔を見ず、その隣に座っていた企業家代表から握手を始め、立ち去ってきました。

3日後の1月24日、中国国家工商総局はアリババが販売するネットショップ商品の62%以上が偽商品であると発表しました。あらゆるネットショップの中で、最低の評価を受けてしまいました。続けざま、1月28日に国家工商総局は初めて『アリババ集団に対する行政指導状況に関する白皮書(ホワイト・リポート)』(2014年)を刊行しました。

窮地に追いやられ危機を感じ取った馬雲は、変わり身早く、「江南会」を「湖畔大学」に変身させ、私立の「創業者のための大学(専科)」を設立しました。入学資格は3年以上創業経験があり、30人以上の規模の企業を経営していた者。2015年3月からの開校で、150人が受験し、30人が合格しました。学費は3年間で28万元(約500万円強)。

湖畔大学創設メンバーは、「江南会」創設メンバーの8人と同じだ。この8人の中に、2015年12月10日から連絡が取れず「消息不明」となった復星集団のCEO郭広昌がいます。郭広昌は、2015年11月に北海道上川管内占冠村にある星野リゾートトマムを買収したことで注目された人物です。

失踪した原因は、どうやら光明集団の元CEO王宗南と関連があるらしいとされました。王宗南は公金横領により上海市第二中級人民法院(地方裁判所)で判決を待つ身でしたが、審査過程で復星集団と便宜供与などに関する不正な利害関係があったことが判明しています。

郭広昌氏

馬雲も一歩まちがえれば危ないことになったかもしれません。

令計画が捕まり、「私人会所」が取り調べの対象となることを知った瞬間から、馬雲の機転はフル回転し始めたようです。

イノベーションに国運をかける習近平政権の泣き所を突いて「湖畔大学」を設立させただけでなく、北京政府にとって頭が痛い香港の民主化運動を抑えるためのメディアを買収してしまうという戦略に出たのです。

今年9月の習近平訪米のときに随行した馬雲は、経済フォーラムにおける講演の寸前に、26か所も講演原稿を修正して、「習近平国家主席を讃える文言」に変換させたと言われています。

さすが、創業1年で『フォーブス』の表紙を飾っただけのことはあります。

消息不明になった郭広昌のような目に遭わないよう、危機を回避する身変わりの速さを心得ていたようです。

2015年11月11日に、中国の独身者のためのネットショップフェアがあったが、大成功した馬雲に、李克強が祝電を送るという、こちらも変わり身の速さを見せていました。

このようなことから、馬雲の傘下にあるはずの"サウスチャイナ・モーニングポスト"なぜ、習近平指導部の失策を批判するような記事を掲載したのか今のところ謎です。

ここから先は、推測ですが、おそらく変わり身の早い馬雲氏は、様々な出来事から判断して、習近平はすぐにも失脚すると踏んだのではないかと思います。実際7月には、上記にも掲載したように、習近平周辺で様々な異変がありました。

習近平が失脚するとなると、上記のように習近平と近い関係を保ってきたことが今度は裏目に出ます。今度は、反習近平派の江沢民派などと、手を組まなければ、中国内ではうまく商売ができなくなります。

だから、まずは"サウスチャイナ・モーニングポスト"あたりで、習近平を批判させ、さらに様子を見て、徹底的に批判しようとしたのでしょう。そうして、なんとか半習近平派に取り入る機会をつくろうと画策したのでしょう。

しかし、習近平は意外にしぶとく、少なくともここ1年くらいは失脚することはありえないというのが実体なのでしょう。

ここを馬雲会長は、見誤ったのでしょう。そのため、習近平側からの報復を恐れて、はやばやと引退する旨を明らかにしたのでしょう。以前はこの変わり身の速さが、馬雲を救ったのでしょうが、今回はこれが災いしたようです。

中国では、政治と経済が不可分に結びついているので、馬雲会長を単純に批判することはできません。何しろ、中国では、時の政府とうまくつきあえなければ、発展することはあり得ないからです。馬雲会長のような行動をするのは当然といえば、当然です。

このブログでも以前から掲載しているように、中国は民主化、政治と経済の分離、法治国家化がなされおらず、これでは他国と自由貿易もままならないですし、中間層が多数輩出し、それらが自由に社会・経済活動をして富を築くというようなことはできません。

中国の社会構造がこれだけ、遅れていたのに、なぜ経済発展することができたかといえば、中国が他国に対して莫大な人口を抱える中国は、すぐにかなり経済発展するだろうという、幻想を振りまき他国から潤沢な投資を得て、それで盲滅法で巨額のインフラ整備などをしたためです。

しかし、インフラ整備だけでは、いずれ限界がきます。さらに社会構造が遅れた中国では、インフラ整備以外には、新たな産業を生み出すのは至難の業です。それは、現体制の中国では無理です。

今回のアリババ創業者突然の引退宣言は、そんな中国を象徴しているようにみえます。

【関連記事】

2017年11月15日水曜日

トランプ氏、正恩氏に亡命促す? 異例ツイートで“真意”注目、識者「行き着く先はロシアのプーチン大統領」―【私の論評】金ファミリーの亡命も選択肢の一つ(゚д゚)!

トランプ氏、正恩氏に亡命促す? 異例ツイートで“真意”注目、識者「行き着く先はロシアのプーチン大統領」

トランプ氏と正恩氏は水面下で「ディール」を続けているのか? 写真はブログ管理人挿入以下同じ
 ドナルド・トランプ米大統領の“真意”が注目されている。国際社会の警告を無視して「核・ミサイル開発」を強行する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に、原子力空母3隻を集結させる「最大限の圧力」をかける一方で、ツイッターに「友人になれるよう懸命に努力する」と投稿したのだ。米朝による水面下接触のサインなのか、軍事行動前に外交努力をした実績づくりなのか…。関係者の中には、正恩氏の「亡命」を推察する声もあり、具体的国名まで指摘されている。

トランプ大統領のツイート

 日米中露など18カ国が参加する東アジアサミット(EAS)を含む、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が14日、フィリピン・マニラで開かれた。「核・ミサイル開発」で暴走する北朝鮮をめぐる情勢や、南シナ海問題への対処が主な議題となる。

 ASEAN首脳会議の議長声明案では、北朝鮮の「核・ミサイル開発」について「挑発的で脅迫的な行動」と批判。北朝鮮に一連の行動をやめるよう求め、「完全かつ検証可能で不可逆的な朝鮮半島の非核化」への支持を再確認している。

 議長声明では、北朝鮮の行動について「重大な懸念」を表明する見通し。

 軍事的圧力も強まっている。

 世界最強の米軍が誇る原子力空母3隻が11日から、日本海で合同軍事演習を実施した。トランプ氏の「北朝鮮の核・ミサイル保有は許さない」という強い決意の表れに他ならない。

 こうした朝鮮半島の緊張状態と、トランプ氏が12日に投稿したツイッターの内容は相反している。これまで正恩氏を「リトル・ロケットマン」と嘲笑し、強く非難してきたが突然、友人関係を求めたのだ。

 北朝鮮にも変化が見られる。9月15日に北海道上空を通過した弾道ミサイル発射以降、軍事的威嚇を行っていない。

 日米情報当局関係者は「北朝鮮の『核・ミサイル』実験などの中止は、正恩氏が『いま動いたら殺される』『軍事行動の大義にされる』と確信したからだろう。米国としては、北朝鮮が米本土を狙う核ミサイルを持つことは認められない。甚大な被害が出かねない第2次朝鮮戦争も、できれば避けたい」と話した。

 こうしたなか、注目されるのが、米国と中国が8月、「事実上の往復書簡」で交わしたとされる“暗黙の了解”だ。

 往復書簡とは、中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」の社説と、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」に、レックス・ティラーソン国務長官とジェームズ・マティス国防長官の連名寄稿を指したもの。

 前出の日米情報当局関係者は「米中は『北朝鮮という国家は(緩衝地帯として)残す』『正恩氏は排除し、核・ミサイルを放棄させる』『米中戦争にはさせない』という暗黙の了解をしたと受け止められている。トランプ氏は中国訪問(8~10日)で、これを確認したのではないか」と語る。

 北朝鮮を残したままでの「正恩氏の排除」となれば、「暗殺」か「亡命」が考えられる。この延長線上で、トランプ氏の異例のツイートが注目されるのだ。

 日米情報当局関係者は「外交の駆け引きは字面だけで判断できない。ツイートの背景としては、(1)米朝の水面下接触が進んでいる(2)軍事行動前に『外交努力をしたが、北朝鮮が蹴った』という実績づくりのため(3)正恩氏に亡命を促すメッセージ-などが考えられる」と分析する。

 現実として、正恩氏が亡命するような事態が起こり得るのか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「金王朝が滅びることになれば亡命せざるを得なくなるだろう。例えば、米軍機に北朝鮮がミサイルを撃ち、米朝の緊張が高まり、中国人民解放軍が北朝鮮に入ってくるような大混乱となれば、正恩氏は国内を統制できなくなるかもしれない。中国共産党の息のかかった連中がクーデターをやる可能性もある。北朝鮮が体制崩壊となった場合、正恩氏が一番頼りにしているのは、ロシアのプーチン大統領だ。正恩氏の亡命先はロシアしかないだろう」と語る。

 朝鮮半島情勢は、どう展開していくのか。

【私の論評】金ファミリーの亡命も選択肢の一つ(゚д゚)!

いまの北朝鮮は、言ってみれば「プーチンランド」と化しています。ディズニーランドに行けばミッキーマウスに会えますが、北朝鮮に行けば、随所にロシアの「痕跡」が見られます。もはや金正恩政権は、ロシアの傀儡政権と言っても過言ではありません。

北朝鮮のロシア人ツアー客。ロシアでは7月1日から、「オールインクルーシブ」プラン
での5日間の観光ツアーで北朝鮮を訪れることができるようになった
解放記念日(8月15日)の『労働新聞』に、金正恩委員長がプーチン大統領を称えた書簡が大きく掲載されていました。

ロシアの有力紙『モスコフスキー・コムソモーレツ』(9月7日付)には、17kmあるロ朝国境近くに位置するハサン村のルポが掲載されており、村の事務所には、金日成・金正日・プーチンの3人の写真が、並んで掲げられていたのです。

これは、平壌最大の目抜き通り「栄光通り」が、「スターリン大通り」と呼ばれていた時代を髣髴させます。そもそもソ連極東軍88旅団所属の金成柱を、ソ連が「金日成将軍」に仕立て上げて平壌に連れてきたのが、北朝鮮の始まりでした。

現在の北朝鮮は、それから70年近く経て、またもとに戻りつつあるようです。ロシアの最新の世論調査によれば、米朝対立の原因が北朝鮮にあるという回答は、わずか12%。ロシアは北朝鮮の味方です。

9月3日の北朝鮮による水爆実験にも、プーチン政権の影を感じられます。なぜなら5日前の8月29日に、ロシア政府がハサン村の住人約1500人に突然、避難命令を出していたのです。

羅先とウラジオストクを結ぶ北朝鮮の貨客船『万景峰号』も、8月24日に突然、運航中止となりました。

日本のメディアは、「北朝鮮がウラジオストクの港湾使用料を未払いだったため、ロシア側が停泊を拒否した」と報じていましたが、これはとんでもない誤解です。あれも水爆実験の被害を避けようとした措置であるとみられています。

ちなみに実験場所からわずか100kmしか離れていない中国には、事前通告さえなかったそうです。だからこそ、あの水爆実験は、北朝鮮とロシアによる「合作」であるとみなすべきなのです。

そもそも、広島型原爆の10倍規模の威力もある高度な水爆技術を、北朝鮮がこれほど短期間で独自に持てるはずはないです。

カギを握るのは、ウラジオストクに本社がある「ロシア極東山岳建設」という会社です。元はソ連の国土交通省の一組織で、プーチンが大統領になって平壌を訪問した2000年に民営化された「プーチン系」企業です。

ウラジオストックのメインストリート・スヴェトランスカヤ通り
この会社が、北朝鮮のインフラ整備にフル稼働しています。中でも、最も得意とするのが山岳地帯のトンネル建設であり、豊渓里の核実験場の工事を請け負ったのではないかとされています。

これは、坑道を800mも掘ったり、人間の大腸のような複雑な構造にしたりして、放射能漏れを防いでいます。とても北朝鮮の技術とは思えません。

このロシア極東山岳建設は、坑道建設ばかりか、羅先-ハサン間54kmのロ朝間の鉄道建設も請け負っています。

この鉄路建設は、先代の金正日総書記が、'01年から'02年にかけて2年連続でロシアを訪問する中で決めたものです。

その後、建設が延期され、'08年に、ロシアが羅津港を49年間、租借することと引き換えに着工。'13年9月に、羅津港で開通式が行われました。

ロシア極東沿海地方のハサンと北朝鮮北東部・羅先経済特区の羅津港を結ぶ
鉄道区間の改修に伴って実施された列車の試験運行。(2011年10月12日)
開通式には、ロシア鉄道のヤクーニン社長も、モスクワから駆け付けました。その際、一つ不可解なことがありました。計画から着工まで7年もかかったのは、北朝鮮側が建設費用の負担を渋ったからでした。かつて100億ドルも北朝鮮に債務不履行されたロシアが、二の足を踏んだようです。

ところが、着工から竣工までも、丸5年もかかっているのです。もともと植民地時代に日本が敷いた鉄路があり、しかもわずか54kmにもかかわらず、この工事期間は、あまりに長いです。

ロシア極東山岳建設の最も得意な分野は、地下トンネルの建設です。おそらくこの鉄路の地下に、有事の際、金正恩一族が亡命するためのトンネルを建設したのではないかと推察されます。

加えて、両国を結ぶ鉄道建設という名目なので、アメリカのスパイ衛星も警戒心を抱かないです。この鉄路によってロシアとの貿易が急増すると同時に、トップの身の安全も図れるのです。北朝鮮にとっては、まさに一石二鳥です。

これも金正日総書記時代の話ですが、ある高位の亡命者が有事の際の金ファミリーの亡命ルートを告白したということがありました。

その亡命者によれば、平壌の金正日官邸の地下から、黄海の南浦まで、60km近く秘密の地下道が繋がっているそうです。南浦からは空路か海路で中国に亡命すると聞きました。

しかし、いまや習近平政権は、犬猿の仲の金正恩ファミリーを受け入れるはずもないので、このルートは使えません。それでロシアルートを作ったのでしょう。

アメリカから攻撃されて、金ファミリーが、羅先から地下トンネルを伝ってハサンまで逃げたとします。そこから一路、軍港があるウラジオストクまで行くに違いないです。

しかし極東にいたのでは、いつアメリカ軍に襲われるか気が気でないはずです。ロシアとしても、独裁者を匿っていると国際社会から非難を浴びることになります。

実は中国政府も、かつて金正日ファミリーの亡命について、密かに内部で検討したことがありました。'02年にブッシュJr.大統領が、北朝鮮を「悪の枢軸」と非難して、米朝関係が悪化した頃です。

その時の結論は、「ファン・ジャンヨプ方式にする」というものでした。北朝鮮の序列26位だったファン・ジャンヨプ書記が、'97年に北京の韓国領事館に亡命を申請した時、中国政府は、3ヵ月以内に出国することと、米韓以外の第三国に向かうことを条件に、身の安全を保障しました。

同様に金正日ファミリーに対しても「3ヵ月以内の滞在」しか認めないようです。ロシアもそのあたりは熟考したはずです。

それでロシアの結論は、金正恩ファミリーを、ウラジオストクから北極海に面したムルマンスク軍港まで軍用機で運び、そこから約1000km離れたスヴァールバル諸島に、亡命先を用意することです。

この任務を担うロシア保安庁(旧KGB)の特殊部隊RSBが、すでに金ファミリーのボディガードを務めています。

スヴァールバル諸島とは、北極海に浮かぶ群島です。第一次世界大戦の頃、ロシア、ノルウェーなど、多くの国が領有権を争ったため、大戦終結後のパリ講和会議で、スヴァールバル諸島を、永久非武装地帯としました。以下にその位置を地図で示します。


このスヴァールバル条約には、ロシアやアメリカなど40ヵ国以上が加盟していますが、島内にはロシア人居住地区があり、ロシアの法律が適用されています。ここには、世界でもっとも北端に位置するレーニン像があります。

スヴァールバル諸島の面積は、ちょうど九州と四国を足し上げたくらいの大きさです。夏は4〜6度くらいまで気温が上がりますが、冬は-12〜-16度にもなる極寒の島です。

大部分の島が永久凍土に閉ざされ、人が住める島は1つのみ。植物はほとんど生えていません。

「スヴァールバル条約」を批准している国の国民であれば、スヴァールバル諸島に「ビザなし」で住め、しかも「外国人の戸籍のまま商売」ができます。ちなみに、日本もこの条約を批准しています。

2012年時点で、2642人が島で暮らしています。大部分がノルウェー人ですが外国人も暮らしていて、439人のロシア人、10人のポーランド人、その他タイ、デンマーク、スウェーデンの人が暮らしています。

この条約は、今から100年近く前の条約ですが、1920年代から'30年代にかけて各国が加盟しました。ところが昨年になって突然、このスヴァールバル条約に、ロシアの後押しを受けて、北極海になど、何の縁もない北朝鮮が加盟したのです。これは朝鮮人労働者の受け入れの他は、金ファミリーの亡命目的以外には考えにくいです。

しかも現在、島内のロシア人居住地区で、大邸宅の建設が始まっていることまで分かっています。

スヴァールバルはスピッツベルゲン島という名前でも知られている。
今でもロシア人が生活している唯一のバレンツブルクという集落
これを知れば、なぜ金正恩委員長があそこまで強気でいられるのか、その理由が理解できます。いざとなればロシアが逃がしてくれるという「保険」があるのです。

プーチン政権は、核の技術もミサイルの技術も提供したあげく、亡命先まで用意したのです。金正恩にとってこれほど頼もしい庇護者はいません。

しかもプーチン政権には、シリアがあれほど激烈な内戦のさなかにあっても、6年半にわたってアサド政権を守り続けてきたという実績があります。

プーチン政権がそこまで金正恩政権に肩入れする理由としては、やはり極東におけるアメリカと中国という両大国への剥き出しの牽制だと考えられます。

米中露「3大国」とは言うものの、ロシアの経済力は米中に較べて圧倒的に脆弱です。ロシアの現在のGDPは日本の1/5程度です。ロシアの人口は日本よりわずかに多い、1億4千万人、そうして極東には600万人くらいしかロシア人が住んでおらず、強い危機意識を抱いています。だから「東アジアのシリア」を作りたいのです。

もう一つは、天然ガスのパイプラインを、韓国まで引きたいという野望があります。9月6日、7日にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムに、プーチン大統領と韓国の文在寅大統領が揃って参加し、この話を詰めています。気をよくした文在寅大統領は、北朝鮮に800万ドルの人道支援を表明しました。

これも、人道支援を大義名分にしてシリアを支配したプーチン大統領の入れ知恵でしょう。

プーチンロシア大統領
ロシアから韓国に天然ガスのパイプラインを引く計画は、'08年に李明博大統領がロシアを訪問した際に盛り上がった話です。ロシアのハバロフスク、ハサンから北朝鮮の元山を経て、韓国の仁川まで約2000kmを結ぶ壮大な計画です。

北朝鮮にはパイプラインの通行料として年間1億ドルを支払う予定でしたが、韓国の命脈を北朝鮮に握られるという懸念からご破算になりました。


2011年10月3日のボイスオブロシアによれば、ロシアのウラジーミル・プーチン首相は、ロシアの半国営の天然ガス:PNG独占企業であるガスプロム Gazpromに対して、日本、韓国と中国などとの協力発展についての拡大的な提案を準備するよう指示したとあります。

つまり、プーチンの頭の中には、日本、韓国、中国を巻き込んだ「国家成長プログラム」が出来上がったと言う事でした。

東北の大震災直後、当時民主党政権だった、日本政府は将来のエネルギー不足を見越してロシアの天然ガス取得に対して積極策に出ることをロシアに伝え、ロシアはこれを受け、一連の開発を前倒しにし、同時に韓国、中国への供給も早める対応を取りました。

これには、当時次期大統領を着々と狙う、プーチン首相の思惑が働いたとみるべきでしょう。恐らく彼は、日本の大震災を好機と取ったはずです。

すでに、サハリン州の天然ガス田から日本海側の港湾都市ウラジオストクを結ぶ全長約1820キロのパイプラインの完成式典が2011年9月8日ウラジオストクVladivostokで行われ、プーチン氏も参加しました。

次はこれを北朝鮮経由で韓国に送り込む事(2017年稼動予定で、その際には経由する北朝鮮内700kmに1億ドルの収入が見込まれる)の実現で、2011年8月、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が9年ぶりに訪露し、協議の場でロシアは、北朝鮮の協力に対し食糧援助を約束し、これをロシアは2011年9月末に完了しました。

全ては着々と進行し、全てが完成したときに、ロシアは日中韓の経済を握るとの目論見だったのでしょう。しかし、この計画は日本では、民主党政権の崩壊とともに潰え、韓国でも、命脈を北朝鮮に握られるという懸念からご破算となりました。

その計画を、9年ぶりにロシアと韓国、北朝鮮で復活させようというわけです。そんな「密談」が進んでいるところに、安倍首相が出かけて行って、プーチン大統領に「北朝鮮への圧力」を説いたのです。

これを考えると、文在寅の最近の不可解な動きも理解できます。米国は朝鮮半島周辺海域に、原子力空母3隻を集め、11~14日に米日韓3カ国の合同軍事演習を行い、北朝鮮に圧力をかける予定でした。ところが、韓国が突然『日本とやるのは嫌だ』と言い出し、米日、米韓とバラバラになったのです。北朝鮮やロシアは大喜びでしょう。

文在寅は、中国に踊らされただけではなく、裏ではロシアにも踊らされたというわけです。最近、米国のWSJ紙が韓国に対して痛烈な批判を行いましたが、背景にはこのようなこともあったのです。

文在寅とプーチン
さて、いざとなれば、ロシアが金ファミリーを亡命させるという選択肢があるということは、我々も認識しておくべきです。

これに関しては、当然のことながら、トランプ大統領、安倍総理、習近平も知っていることでしょう。その上で、ポスト北朝鮮危機後の世界をなるべく自分たちに有利になるように立ち回っているというのが、実体でしょう。

ブログ冒頭の記事にある、トランプ大統領のツイートは、やはり金ファミリーの亡命を示唆したものであると考えられます。トランプ大統領としては、金ファミリーが亡命し、北朝鮮の体制が変わることを望んているのだと思います。そうなれば、金ファミリーの命は、助けるという意思表示であると考えられます。

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