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2018年5月4日金曜日

歴史が教える「朝鮮半島に深入りすると日本は必ず失敗する」―【私の論評】日・米の戦略の間違いが、冷戦、北朝鮮問題、中国問題を生み出した(゚д゚)!

歴史が教える「朝鮮半島に深入りすると日本は必ず失敗する」

東京通信大学教授、早稲田大学名誉教授の重村智計氏

 「今こそ日本には、朝鮮半島に関わらない戦略が必要」--朝鮮半島を長きにわたり取材・分析してきた東京通信大学教授の重村智計氏は、こう断言する。

 * * *

 電撃的な米朝首脳会談の決定を受けて、日本の「乗り遅れ」や「置き去り」を危惧する論調が目立つ。しかし、そうした声は日本と朝鮮半島の歴史を全く理解していないゆえのものといえる。

 歴史が教えるのは、「朝鮮半島に軍事的、政治的に深入りすると、日本は必ず大失敗する」という事実だ。中国が必ず介入するからだ。

 古くは660年、百済が滅びた後に朝鮮半島に介入した倭国(日本)は、白村江の戦いで唐・新羅連合軍に大敗を喫した。近世においては豊臣秀吉の朝鮮出兵が大失敗に終わったこともよく知られる。いずれも、中国の介入で大敗北した。

白村江の戦いの絵画 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 近代になり、“朝鮮半島は日本の生命線”との覚悟で臨んだ日清、日露戦争では勝利を収めたが、戦争は列強の干渉を招き、日本が国際社会から孤立する一因となった。その後の植民地支配もうまくいかず、日本は韓国と北朝鮮からいまも恨まれている。

 逆に日本が参戦しなかった朝鮮戦争では、戦中も戦後も「朝鮮特需」という大きな果実で経済が潤った。この戦争も中国の介入で膠着状態に陥り、米国の実質的な敗北で終わった。半島国家である南北朝鮮はともに小国であり、常に周辺国を巻き込んで利益を得ようとする。

 冷戦時代、北朝鮮は文化大革命下の中国から独裁体制を批判されるとソ連に接近し、デタント(緊張緩和)で米ソ関係が改善すると中国にすり寄った。冷戦終結後の1990年代も、南北対話が上手くいかないと米朝交渉に向かい、それがダメなら日本に秋波を送った。

 こうした「振り子外交」は北朝鮮のお家芸だ。周辺国に「乗り遅れ懸念」をまき散らし、自国に有利な状況をつくろうとする。

1990年9月の訪朝時。金丸信氏(左)、金日成主席(中)、田辺誠社会党副委員長

 かつての日本は「乗り遅れ」と「置き去り」を怖れ、1990年の「金丸訪朝団」をはじめ、渡辺美智雄氏(1995年)、森喜朗氏(1997年)らが競って北朝鮮を訪問したが、“援助”としてコメなどを奪われただけで日朝関係は一向に改善しなかった。これもまた大きな教訓である。

 【PROFILE】重村智計(しげむら・としみつ)/1945年、中国・遼寧省生まれ。毎日新聞記者としてソウル特派員、ワシントン特派員、論説委員などを歴任。朝鮮半島情勢や米国のアジア政策を専門に研究している。『金正恩が消える日』(朝日新書)、『外交敗北』(講談社刊)など著書多数。

【私の論評】日・米の戦略の間違いが、冷戦、北朝鮮問題、中国問題を生み出した(゚д゚)!(゚д゚)!

日本が、朝鮮半島や中国に関わると、ろくなことがないということは、ジャーナリストの西村幸祐氏も同じようなことを語っていました。それどころか、あの福沢諭吉氏が、日本が中国、朝鮮にかかわるとろくなことがないとして、「脱亜入欧論」(後進世界であるアジアを脱し、ヨーロッパ列強の一員となることを目的とした思想)を唱えていました。

福沢諭吉

確かに、過去の世界史を紐解いてみるとそういうことがいえそうです。特に歴史上はっきりしているのは、「大国は小国に勝てない」という現実です。

日露戦争で、ロシアは当時小国であった日本に勝てず、フィンランドにも勝てませんでした。中国はベトナムに勝てず、アメリカすらベトナムに敗北しています。このような事例は多く存在します。

これについては、米国の戦略家であるルトワック氏も同じようなことを語っています。

ルトワックは「戦略的バランシングが発生するので大国は小国に勝てない」と語っていました。例えば中国がフィリピンに圧力をかけても、アメリカや日本がフィリピンのバックアップに回るのでフィリピンが屈することはありません。

ベトナムもしかりです。大国であるアメリカがベトナムと戦争をした時も、中国やソ連、ラオスなどがベトナム側について、アメリカはベトナムから撤退するしかありませんでした。

ロシアもそうでした。日露戦争ではイギリス、アメリカの支援を受けた日本に敗れています。

勝利のための戦略を立て、それを推進すれば必ず勝利できるというのは間違いであり、自分たちが行動をすれば、必ず相手のリアクションがあって、戦略の修正や見直しを余儀なくされます。これをルトワック氏は逆説的論理と呼んでいます。

ルトワック氏

この前提を無視すると逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)が発動して大国は小国に勝てなくなるのです。真珠湾攻撃で対米戦を始めた日本も戦略的には大きな間違いを犯しており、逆説的論理に苦しめられることになりました。

では当時の日本にとってベターな戦略は何だったかと言えば、真珠湾攻撃の直後に降伏することだったとルトワックは述べています。確かにそうすれば、良かったのかもしれません。

私としては、日本としてはルトワック氏のやり方以外にも方法はあったと思います。そもそも、真珠湾攻撃などせずに、日本が1943年に定めた絶対国防圏を守り抜き、朝鮮半島と満州はあくまでソ連が侵攻してくるのを防ぐためとして統治し、中国大陸にはかかわらず、ソ連とだけ対峙していれば、いずれ米英と和平の講話することもできたと思います。


講話の条件は、連合国側が石油の禁輸などを解くかわりに、絶対国防圏に含まれる国々を独立させると確約すれば確実に和平が成り立ったと思います。

そうなると、冷戦もなかったかもしれません。北方領土もソ連にとられることはなかったかもしれません。

そうして、ナチスドイツは消え、軍事大国の日本が残れば、それにソ連はこれに備えなければならず、ソ連の台頭により東欧がソ連に蹂躙されることもなかったかもしれません。

実際、スターリンは日本の関東軍が関東軍特種演習(当時ソ連と対峙していた日本の関東軍による軍事演習)が開催されるたびにいつ攻め込まれるかと恐れおののいていたそうです。

ノモンハン事件に関しては、過去においては日本の一方的な負けとされていましたが、ソ連崩壊後のロシアが様々な文書が公開され、それによれば、ノモンハン事件ではソ連側もかなりの大打撃を受けており、実際にはどちらかというとソ連側の負けであると考えたほうがふさわしかったということがわかっています。

日本がそのように動いていれば、今日世界は北朝鮮問題や、中国の問題にさらされることもなかったかもしれません。

これは、夢物語のように聞こえるかもしれませんが、米国の保守系の歴史学者らも同じようなことを語っています。ルーズベルトがスターリンのソ連に接近し、ソ連に対峙していた日本を攻撃したことは間違いだったとしています。

結局、日本と米国の戦略の間違いが、冷戦、そうして今日の北朝鮮問題、中国問題を生み出しているのです。

そうして、今日過去の間違いを正すことはできませんが、これを反省材料として未来を考え、良い方向に導くことはできます。

福沢諭吉は脱亜入欧論を主張していましたが、今日のアジアをみてもその考えを変えなかったたでしょう。

日米は今度こそ間違えることなく、一時的に安全保障などで朝鮮半島や中国に関わることはあっても、本格的に関わりを持つようなことはすべきではありません。

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2017年12月18日月曜日

病的ともいえる日本の「増税第一主義」の問題点―【私の論評】いずれの経済対策も中途半端をすれば失敗する(゚д゚)!

病的ともいえる日本の「増税第一主義」の問題点
上げりゃいいってもんじゃない

財務省に気を使ったの…?


税制改革が話題になっているが、アメリカでも税制改革が行われており、比較すると、日米での改革が好対照な状況になっている。

アメリカでは、共和党が35%の連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案を決定した。個人所得税の最高税率も現在39.6%から37%に下げ、概算控除も2倍に増やすという。その結果、全体の減税規模は10年間で1.5兆ドル、年間円換算で17兆円となる。この減税規模は、過去最大とされた2001年の「ブッシュ減税」を上回るものとなる。

一方、日本では、自民党の税制改正大綱が決定され、法人税では「事業継承税制「賃上げ・設備投資減税」があったが、結果として「増税減税ゼロ」「所得税は900億円増税」、たばこ税は2400億円増税などで、結果的に全体で2800億円の増税である。

アメリカと比べて日本の状況をみると、なんとも寂しい気持ちになってくる。今の自民党税調の主要メンバーは財務省OBなので、ほぼ財務省の意向と同じ方向で行動しているからこうなるのだろう。

今回は予算編成の真っ最中に衆院解散・総選挙があった。その際、2019年の消費増税は予定通りとして、同時に財政再建は棚上げにした。官邸は財務省と交渉して「消費増税は飲むが財政再建は飲まない」としたのだ。

しかし、増税するがそれを財政再建には充てず、支出に使うというのは、経済学者から見れば、あまり賢いやり方とは言えない。本来なら増税なしで歳入をそのままとして、歳出の中身を入れ替えるべきだからだ。

ところが、政治の世界では、歳出の中身の変更は、個別分野の利益代表による反対が生じるので難しい。それよりも増税に反対する方が少ないと判断される場合には、増税で歳出増が選択される傾向にある。今回の場合、経済界が消費増税に賛成なので、「消費増税で財政再建棚上げ」という選択肢が取られることになった。

結局は財政再建路線か…


財務省は経済界に消費増税を賛成してもらったので、その見返りに、法人税、租税特別措置には手をつけられない。特に、経団連企業は、租税特別措置で大きな利益を得ているので、この見直しは政治的には不可能に近かった。

また、いくら企業の内部留保が大きすぎると指摘されても、それへの課税は検討されることはなかった。麻生財務大臣は、何度も内部留保が大きいことを指摘していたが、結局それへの課税(実質的に法人税増税)を言及せず、逆に内部留保の活用をした企業には減税措置をする、と言い出す始末だった。

こうして、消費税も法人税も何も手をつけられないとなれば、消去法として、所得税しか手をつけられない。その結果、今回の税制改正は所得税が中心となったわけだ。

といっても、実は本格的な所得税改正ではない。税率変更となると、所得再分配をどうするかという大きな政治問題にもつながるのだが、控除額の増減という技術論でごまかしたという印象である。これ以降、官邸としては自民党税調・財務省にお任せになる。税制中立であればまだわかるが、結局少ない額とはいえ、不公平な増税になったことには間違いない。

「税率変更はしていないので大改正ではない」「控除額の変更で所得再分配をした」といいながら、細かな増税の積み重ねで、税収の確保はちゃっかり実行するという、いかにも財務省のやりそうな税制改正、というのが感想だ。実際、細かな増税策が積み重なると、結局は財政再建路線が進められるおそれがある。

危険な議論


財務省が進める財政再建路線をサポートするものとして、「将来の日本のために、いまは痛みに耐えるべきだ」という議論がある。これは、いまだに学者やメディアの見解で見受けられる。

「痛みに耐える」論の有名なものとして、「米百俵の精神」というものがある。これは小泉政権発足直後の国会の所信表明演説に引用されたことで有名になったが、長岡藩の藩士小林虎三郎による教育にまつわる故事であり、百俵の米を食べずに売却して、学校設立資金に充てたという話だ。

今の財政で考えると、政府支出をする際、消費支出を削って投資支出に振り替えたことに相当する。当面の消費支出を我慢できるのであれば、将来投資にかけてみるというのは、(それが正しい投資であれば)妥当な判断になる。

いまは、その故事を曲解して使っているのが問題なのである。しばしばいわれるのが、「いま消費増税をして、日本の債務を返済して、将来の不安を解消しよう」という類いである。

いま消費増税するのは、いま政府支出を削減することと、マクロ経済から見れば同じである。そこでとりあえず(その是非は別として)、消費増税と歳出削減は実質的に同じとして話を進めよう。

その上で、その次にくるのが「債務削減」である。ここがポイントであるが、「債務削減」と「投資支出」は似て非なるものだ。

こういうと、「痛みに耐える」論者からの反論がある。債務はマイナスの投資であり、それを削減することは実質的に投資を行うことと同じ、というものだ。そのうえで、いま消費増税(歳出削減)して債務を返済するのは、米百俵の精神に合致するという。

しかし、正しい投資であれば、投資による将来の収益は、債務による将来の利払いを上回るものだ。たしかに、債務はマイナスの投資の側面はあるものの、その収益率を考えると、債務のマイナスの収益率は、投資の収益率を下回る。つまり、消費増税(歳出削減)したら、債務の返済に回すのではなく、適切な分野を選んで将来投資するのが正しい政策となる。

次に、消費増税(歳出削減)という前提が正しいのかどうか。米百俵の場合、米が他藩から送られてきたという他力的なところから事実がスタートしている。しかし、消費増税(歳出削減)は他力ではなく主体的に行うものだ。

さて、マクロ経済からみれば、失業をなくすのが人的資源の最高活用になる。そうでないと物的資源も活用できない。つまり投資不足にもなる。投資不足になると社会的な人的・物的投資が最適水準より低くなって、将来の富をも減少させる。

そのため、失業率が最低水準で完全雇用の状態でなければ、消費増税(歳出削減)は、将来のマクロ経済状況を悪化させ、ひいては将来の財政事情も危うくするので、不適切な選択となる。「痛みに耐える」論は、本来の趣旨から逸脱しているのみならず、現在の人をも痛め、さらに将来の人をも痛める可能性がある危険な議論なのだ。

安倍政権になってから…


マクロ経済からみると、経済運営の良しあしが見やすくなる。マクロ経済政策としては、金融政策と財政政策があるが、それらは下図のように運営されるべきである。


マクロ経済状況で着目すべきは、インフレ率と失業率である。周知のようにインフレ率と失業率は逆相関関係(フィリップス関係)にある。ただし、失業率はある一定からは下がらない(経済学でいうインフレ率を加速させない失業率NAIRUとほぼ同じ)。それを達成する最低のインフレ率を「インフレ目標」とする。

失業率がNAIRU、インフレ率がインフレ目標であれば、雇用状況は完璧であり、賃金上昇もあり、その結果として適度なインフレ率になるので、これが理想的な経済状況「最適点」となる(図の中の黒丸)。この場合、名目成長もベストになるので、財政問題も自ずと改善する。
マクロ経済運営としては、「最適点」の左側では金融緩和・積極財政、右側になったら金融引締・緊縮財政を採る、というのが基本である。

日本の場合、インフレ目標2%、NAIRU2%台半ば、というのが現状だ。5年前の民主党政権時代では、遙か左であったが、安倍政権になってから、徐々に右にシフトしてきた。2014年の消費増税は失敗であったが、それでも何とか「最適点」に近づいてきた。とはいえ、まだ左である(10月のインフレ率(消費者物価総合)0.2%、失業率2.8%)。

なお、8月21日の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52640)において、2%台半ばの失業率と2%インフレを達成するために、GDPの4.5%程度の有効需要が必要であると書いたが、2%程度のミスタイプであったので、訂正しておきたい。

「緊縮病」に陥ってやいないか


さて、日銀は昨年9月から長期金利をゼロ%程度にするように調整しており、その意味では、マネタリーベースの増加額は金利維持のために必要な額となるので、長期金利がゼロ%になっていれば、それが低下すること自体はさほど意味があるわけでない。

12月4日、新発10年国債の利回りは0.035%であり、ほぼゼロ%金利水準は達成されていると言えよう。今年初めからの動きをみても、概ね0~0.1%の範囲になっているので、日銀の意図した金利になったとも言える。問題は、それでインフレ目標2%が達成できるかどうかである。

過去10年間の10年国債利回りの推移をみると、昨年9月以前はマイナスレンジであったが、日銀がゼロ金利を打ち出してから、若干のプラスレンジになっている。それとほぼ同時期に、日銀のマネタリーベースの増加額が減少し始めるが、それは日銀の国債購入額の減少によるものだ。つまり、国債購入額の減少が長期金利の若干の金利高をもたらしている。

こういう日銀のオペレーションは、はたしてインフレ目標達成のための近道になっているのだろうか。

データを見る限り、失業率の低下は足踏み状態だし、インフレ率についても、11月の全品目消費者物価異数対前年同月比は0.2%。生鮮食品を除いてみると0.8%、食料とエネルギーを除くと0.3%であり、インフレ目標2%にはほど遠い状況だ。こうしたデータから、筆者は、日銀のオペレーションは短期的には正しい方向に進んでいるとは見ていない。

さらに、今回の税制改正である。これでは、財政面でも日銀の目標達成を後押ししているとはいいがたい。要するに、まだ日本経済は最適点の左なのに、(最適点を目指すために)金融緩和・積極財政を進めようとしているとは言いがたいのだ。

一方、アメリカの場合、インフレ目標2%、NAIRU4%程度である。今は、ほぼ「最適点」であるが、少しだけ左側だ(10月のインフレ率(PCE)1.6%、失業率4.1%。)。

アメリカの金融政策はやや引き締め基調になっている。また、財政面では、今回の減税政策から積極財政に入っている。やや金融引き締め・積極財政なので、アメリカ経済を最適点にさらに近づけるかややインフレ気味の過熱経済を目指しているかのようだ。

先進国では、「痛みに耐える」論のような緊縮財政への訴えがしばしば聞かれる。しかし、今回の税制改正を見る限り、やはり「痛みに耐えるべき」と訴えるのは、ある種「緊縮病」というべき異様さを感じざるをえない。

【私の論評】経済対策は中途半端をすれば失敗する(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるように、日経新聞などメディアや学界の多数派は財務官僚に同調し、まるで念仏を唱えるかのように緊縮財政に固執していますが、米国ではデフレ圧力のもとでは財政赤字が有効という財政論「シムズ理論」が主流になりつつあります。日本の“主流派”もいい加減、目覚めたらどうなのでしょうか。

安倍総理の経済アドバイザーを務める浜田宏一内閣官房参与(米エール大学名誉教授)、彼をして「目から鱗」と言わしめたのが、いわゆる「シムズ理論」です。これは2011年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の「物価水準の財政理論 (FTPL)」を言います。

米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教
これはざっくり言えば、物価目標を達成するには金融政策では限界があるとして、財政支出を拡大し、増税は先送りして、国民に「政府は債務を返済できない」と不安がらせ、返済しきれない分を物価上昇で穴埋めする、という考え方です。つまり、政府の無責任によって国の信用を低下させ、通貨価値を下落させることで物価を押し上げようというものです。

シムズ教授は、日本の消費税増税後のデフレ圧力を念頭に、金融緩和を生かすためには財政支出拡大が必要と論じています。日銀はマイナス金利政策を続けていますが、マイナス金利は政府の金利負担を減らす代わりに、家計など民間の金利所得を減らすことになります。収益の減少を恐れる銀行は融資を渋るので、デフレ不況になります。それを回避するためには、政府が財政赤字にこだわらず財政支出を拡大すべきで、消費税率引き上げは脱デフレを達成した後に繰り延べるべきだという理論です。

先進国の間ではすでに財政による成長支援、インフレ率引き上げが採用されつつあり、その流れの中にあって、日本も積極財政に転換しました。そこへこの「シムズ理論」が入ってきたために、政府は公然と「2020年度もプライマリーバランスは均衡せず、8兆円以上の赤字が残る」と言ってはばかりません。

この「シムズ理論」の核心は、政府の「いい加減さ」にあり、国債も全部は償還できない、財政赤字を増税などで穴埋めもしない、と言って国民を不安に陥れることにあります。そして2017年度予算が通りました。歳出が97兆4500億円、税収は57兆7100億円で、前年に比べて税収が1000億円増加する一方、歳出は7000億円増加し、「いい加減さ」は見せました。

ところが、この2017年度予算に対して、財務省幹部は「管理された財政拡張」つまり、歳出増大によって借金は増えるが、まだ財政当局のコントロール下にある、と言っています。これは、ある意味では「シムズ理論」の「邪魔」になります。国民に不安にさせるのが「シムズ理論」のミソですが、当局の管理下にあると説明しては、いずれ赤字削減策がとられると期待させてしまいます。

そうなると、将来の増税、歳出削減などを国民が予想するので、結果的にデフレになる、とシムズ教授自ら指摘しています。日本はこれまでさんざん財政赤字を拡大し、世界の主要国の間でも最もGDP比で債務残高が大きな国となりました。

とは、いいながら、これはこのブログで何度か説明してきたことですが、実は日本政府には世界一の資産、それも金融資産を所有しているので、これを相殺すれば、さほどの金額ではなく、むしろ米英よりもGDP比では政府債務は少ないです。

ただし、財務省は日本のメディアや識者を利用して、日本の財政赤字を大問題として煽ってきました。そのため、実体はどうなのかは別にして、大多数の国民は、日本政府の借金はとんでもないことになっていると思い込んでいるのです。

それでもインフレにならない理由として、シムズ教授は「いずれ増税で穴埋めされる」との国民の期待がデフレをもたらしていると説明しているのです。


今の日本は、このシムズ理論を中途半端に利用しようとしているように見えます。財政赤字拡大を正当化する裏付け理論としてシムズ理論を使いながら、その処方箋に従わず、財政赤字は当局の管理下にある、としています。これでは不安からくる通貨価値の下落にはつながりません。

もっとも、当局が言うほど、今の日本では財政赤字が当局のコントロール下にあるとも思えません。そうなると、都合の良い所だけシムズ理論を使って財政赤字を正当化し、それでも将来の赤字補てんをイメージさせるために、かえって赤字がデフレ要因となり、従ってインフレ目標はいつになっても達成されず、ずるずると財政赤字だけが拡大する形になります。

ガスに火をつければお湯も沸き、料理もできますが、ガスを全開にしながら火をつけなければ、ガス中毒になって倒れてしまいます。抗生物質も菌が死ぬまで飲み切らずに、中途半端に止めてしまうと、抗生物質の利かない菌が発生して手に負えなくなります。

シムズ理論に絶対的な評価をするのであれば、とことんその処方箋に従って使う必要があり、インフレの実現が見えれば早急に引き締め転換する必要があります。逆に、シムズ理論が望ましい成果をもたらさないとの疑問があれば、中途半端にこれを使わず、つまり安易に財政赤字を拡大しないことです。

財政赤字の縮小に目途が立ち、年金など将来の不安もなくなれば、消費者も安心して消費を拡大し、需要の拡大、成長促進となり、デフレも心配なくなるかもしれません。そもそも、国民は物価が上がらない状況に不満はなく、逆に賃金が上がらないままインフレになることこそ、国民の敵です。国民生活を犠牲にして政府の債務負担だけ軽減されるインフレは誰も望んでいません。

ただし、日本の財政赤字は上でも示したように、財務省が創造した幻想に過ぎません。であれば、理屈から言って財政赤字が多少増えたにしても、何の問題もないわけですから、ここはやはりシムズ理論に処方箋も含めて素直に従うべきでしょう。

日本ではシムズ理論は、政府債務の削減を目標とするのではなく、あくまでも物価目標を達成するために実行すべきです。そうして、ブログ冒頭の高橋洋一氏の経済対策も、結局NAIRUなどの指標を用いているものの、結局シムズ理論の適用に近いものになると思います。

経済を良くするのは、結局アプローチが違っても似たようなものになるのでしょう。金融緩和をしながら一方では、増税などの緊縮策をするというのは、全くおかしいです。甚だしい中途半端です。車でいえば、一方でアクセルを踏みながら、他方でブレーキをかけているようなものです。

いずれにしても、中途半端はいけません。中途半端をすれば、どんな経済政策でもいずれ必ず失敗します。

【私の論評】

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2017年10月26日木曜日

選挙戦術で失敗した希望・小池代表、左派マスコミも批判 知事の実績積めばまだ好機も―【私の論評】小池氏は次のチャンスを目指せ(゚д゚)!


パリで続投宣言をした小池百合子希望の党代表
 希望の党は衆院解散当時の勢いから失速した。その理由は何か。党代表の小池百合子都知事に政治家として次の一手はあるのか。

 小池氏が結党を表明したのは、安倍晋三首相が解散表明をした9月25日だ。それも安倍首相の会見の直前に行い、「全てをリセットする」と宣言してそれを上回る脚光を浴び、さすが、小池氏はプロの政治家だとうならせた。その際、「寛容な保守」という表現で、すべての勢力をのみ込むというしたたかな戦略だった。

 筆者は、各種の世論調査から、衆院選での獲得議席の予測をしているが、9月末時点で希望の党は150議席近くと予測できた。その勢いを維持していれば、どえらいことになると予想した人もいる。

 全ての勢力をのみ込むということを野合というのは政治評論家であり、「数こそ政治」という基本からすると、この戦略は正しい。実際、自民党も、政策としては、共産・社会主義を除き、保守からリベラルまでカバーしており、数を基本としているから強いわけだ。

 それなのに、何を勘違いしたのか、小池氏はリベラルを「排除」すると言い出した。

 この発言で、リベラルを目指すグループは、希望の党から排除されることになって、本来は丸のみされるはずだった民進党は、希望の党への移籍、無所属、立憲民主党に分裂した。

 小池氏の排除発言以降、排除された側の枝野幸男氏が結成した立憲民主党は、勢いが出てきて、その半面、希望の党は勢いを失った。これは、判官びいきのため、立憲民主党を応援したくなった人が増えていったことに加え、反安倍政権の受け皿になることを期待していた左派系マスコミが一斉に小池批判に転じたことも影響しているのだろう。

 ハッキリ言えば、枝野氏は筋を通したわけでなく、希望の党に入るつもりが排除されただけであり、本当に筋を通したいのであれば、もっと早く無所属での出馬を表明していたはずだ。

 なぜ、小池氏が早い段階で排除発言したのか不思議だ。せめて、立憲民主党が結党できないようなタイミングまで、選挙戦術としては発言すべきではなかった。

 排除発言以降、希望の党では悪循環が始まった。もともと政策というより、ムードや勢いといった空中戦を得意とする小池氏であったが、政策で「12のゼロ」や内部留保課税、ベーシックインカムなどを言い始めた。12のゼロは昨年の都知事選の劣化コピーであり、都知事としての実績がなかったと指摘されかねないものだった。

 内部留保課税は事実上、法人税増税であり、その効果も怪しいものだ。ベーシックインカムは学者の議論としては面白いが、事例もなく選挙戦では使いにくい。これらの政策は素人談義になりやすく、案の定、叩かれている。こうなってくると、弱り目にたたり目だ。

 今後の希望の党は分裂含みで、他党の草刈り場にもなりうるが、まずはそれを抑える必要がある。その上で、小池氏は都知事としての実績を重ねておけば、まだチャンスはあるのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】小池氏は次のチャンスを目指せ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は、小池氏は都知事としての実績を重ねておけば、まだチヤンスがあるのではないかと述べています。これについては、根拠があります。

それは、得票数からみても判断できます。2017年希望の党得票数は、「小選挙区1,144万票 比例得票数967万票」でした。


これを2014年衆院選民主党得票数「小選挙区1,191万票 比例得票数977万票」と比較するとほとんど変わりません。あれだけの、逆風がありながら、この数字です。これでは、小池百合子氏に責任転嫁し、辞任まで求める元民進党系議員たちの主張は全く筋が通りません。

希望の党の看板がなければ民進党系の議員のほとんどは落選していたことでしょう。 小池氏を批判できるのは、我々有権者であって、彼らではないはずです。マスコミはあたかも、「排除」という1つの発言で希望の党の票が伸びなかったと報道していますが、そういうことの以前に民進党などから集まった寄せ集めが多いのでこのような結果になったことを理解していません。


彼らは、民進党のままでは死滅すると考えて、小池氏を頼ったはずです。一度頼ったなら失敗しても支えるのが当たり前だと思います。当選したら手の平返しをするとは、とても二大政党制の一翼など担えないでしょう。

それにしても、もし希望の党を含めた野党が共闘していれば、多数派にはなれないにしても、自民党から40~60議席は奪える可能性がありました。もしそうなっていれば、安倍晋三首相は辞任を余儀なくされたかもしれません。ところが、このチャンスを小池氏は自ら不意にしてしまいました。

しかし、私は今回は、これはこれで良かったと思います。もし、希望の党が民進党の議員を全員受け入れていたとすれば、確かに大きな勢力にはなっかもしれませんが、今になってわかるように、これだけわがままで非常識な議員を大勢含む民進党議員を受け入れれば、それは希望の党ではなく最早第2民進党です。

執行部もできていなかった、希望の党は、民進党の執行部に頼ることになったことでしょう。そうなると、やはり寛容な保守政党というよりは、いわゆるリベラル政党の道を選ばざるを得なくなってしまったでしょう。

結果として、結局55年体制は維持されることになったでしょう。それに先程の述べたように、安倍総理は辞任に追い込まれたかもしれません。金融緩和による雇用の改善、北朝鮮問題が深刻になりつつある現在それだけは、避けるべきでした。

社会党の統一を見て、日本民主党 と 自由党 も、それまでのわだかまりを
捨て1955年11月15日、保守両党が合同し、自由民主党 が誕生した
ちなみに、55年体制とは、1955年(昭和30)秋に、左右両派社会党の統一によって再発足した日本社会党と、日本民主党と自由党の保守合同によって結成された自由民主党の2党を軸として成立した政党制をいいます。

1951年にサンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約の締結への賛否をめぐって左右両派の対立が激化、分裂してから4年ぶりに統一した社会党と、戦後の保守勢力の離合集散に終止符を打って誕生した自民党によって、政治勢力が2極的に配置される形となり、この体制は、二大政党制の幕開けとして広く歓迎されました。

ただし、その後二大政党制になることなく、国会の勢力は、憲法改正に必要な3分の2議席を自民党が占めるのを社会党などがかろうじて阻止する事態が続きました。自民党と社会党は「1と2分の1」体制とも呼ばれました。この55年体制は、93年7月の総選挙で自民党が下野したことによって、38年間で崩壊したとされます。

ただし、その後自民党が再度与党となり、その後の野党は万年野党にすぎず、旧社会党のように単なる反対勢力となり、私自身は、55年体制は未だに続いていると認識しています。

希望の党が躍進していれば、この55年体制は本格的に終焉を迎えたはずだ主張する人もいますが、たとえ希望党が今回、旧民進党全員を受け入れて、選挙に臨んだとしても、結局は第2民進党ととなり、旧民進党と同じく万年野党の単なる反対勢力となり果て、55年体制が続き、安倍総理は辞任ということになるか、ならないまでも、かなり力が減衰され、虻蜂取らずの状況になったと思います。

そのため、希望の党が現時点では、失速したのは良かったと思います。

一方、枝野氏の立憲民主党が、権力を握ることになれば、日米関係には危機が訪れることなるでしょう。しかし、立憲民主党がすでに成立した安保法制撤回にこだわり、集団的自衛権を拒否している限り、自民党に太刀打ちできる政党にはなることはないでしょう。ましてや、55年体制を終わらせる、政権交代可能な野党になることなど到底不可能です。

枝野氏は10月23日夜の記者会見で「永田町の権力ゲーム、数合わせに巻き込まれてはいけない」と述べ、選挙期間中の演説でも「永田町のゲームに参加するつもりはない」などと発言していました。

しかし、この発言は、聞こえは良いですが完全に無意味です。現実的でなく自滅行為に過ぎません。数を増やす以外に、勝ち目はないのです。「永田町のパワーゲーム」に勝つことこそが、政治の世界でリーダーシップを握るということです。

そうして、小池氏には間違いなく今回の衆院選で間違いなくそのチャンスがありました。しかし、そのチャンスを活かしていたとして、今回政権交代するまでにはいかなくとも、自民党から40~60議席を奪うまでになったとしても、希望の党に、安保法制撤回にこだわり、集団的自衛権を拒否する勢力が残り、希望の党の中で大きな勢力を占め、これを懐柔することは、困難を極めたことでしょう。というより、数の論理で圧倒され、懐柔など不可能だったでしょう。

結論からいうと今回はあまりにも準備期間が短すぎたのです。執行部もないまま、選挙戦に臨まざるをえなかったことがそれを如実に物語っています。このような状況で国政に挑戦するのは無謀といわざるをえません。

希望の党の公約を発表する小池百合子氏
希望の党の公約をみていると、その場しのぎで作成したことがありありと分かる内容です。あれでは、たとえ政権を担ったり、そこまでいかなくても、キャスティングボードを握ることができるようになったとしても、いずれの党が与党になったにしても、旧民主党のように短期政権で終わり、希望の党はその後は万年野党の道を歩むことになり、結局55年体制を崩し、政権交代できるような党になることはなかったでしょう。

安倍総理は、第一次安倍内閣が崩壊した後、真摯に過去を反省して、まともな安全保障政策、外交政策、経済政策をじっくり考え、来るべき時期を目指しました。

小池氏は、今後まずは都知事としての成果を残すようにした上で、しっかりと準備をととえて、わかり易い言葉で有権者に話しかけるようにし、安倍総理のように不死鳥のように蘇り、また国政に果敢に挑戦していただきたいものです。

安倍総理のように真摯に考え、まともな安全保障政策、外交政策、経済政策ができるような体制を整えたのなら、今度は私は、小池氏を応援することもやぶさかではありません。

この日本に、自民党だけではなく、他にも政権を任せられ得る政党ができれば、これは日本にとって良いことです。小池氏に限らず、志ある政治家の多くが、それを目指して頑張って頂きたいものです。

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2017年6月20日火曜日

小池百合子都知事、「豊洲に市場移転」「築地を再開発」の基本方針表明―【私の論評】築地は売却すべき、都が資産をもって事業をしても大失敗するだけ(゚д゚)!

小池百合子都知事、「豊洲に市場移転」「築地を再開発」の基本方針表明

築地市場の豊洲移転問題で会見する小池百合子都知事=20日午後、都庁
 築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、小池百合子知事は20日午後、臨時の記者会見を開き、中央卸売市場を豊洲に移転する基本方針を表明した。一方、築地市場については「築地ブランドを守っていく」として、5年後をめどに市場機能を残した「食のテーマパーク」とする再開発を行い、築地に戻ることを希望する仲卸などの業者を支援するとした。

 豊洲市場については「新たな中央卸売市場だ」と明言した上で、冷凍冷蔵・物流・加工などの機能強化を図っていくとした。東京ガスの工場跡地に整備された同市場の開場条件となっていた汚染の「無害化」は達成されていないが、追加対策を実施していくとした。

 小池氏は会見で「築地と豊洲を両立させることが最も賢い(お金の)使い道だ」と述べた。一方で、そのための工程、予算、財源などについては今後、検討していくとした。

 小池氏が昨年8月に築地市場の移転延期を表明して以来、都政の懸案となった市場問題で、豊洲、築地の双方を活用する小池氏の基本方針が示された。23日告示の都議選をめぐり、小池氏と対立する自民党が公約として豊洲への早期移転実現を掲げ、小池氏と連携する公明党は選挙前の決断を求めており、選挙情勢にも影響を与えそうだ。

 東京ガスの工場跡地に整備された豊洲市場をめぐっては、環境基準超えの有害物質が検出された地下水への対応が焦点だった。都の追加対策は、(1)地下水をくみ上げ、浄化する地下水管理システムの機能強化で中長期的に水質改善を図る(2)気化した有害物質が建物の地下空洞に侵入して1階部分に入ることを防ぐため換気設備などを設置する-などとしている。

 小池氏は豊洲の汚染対策に加えて市場会計の持続可能性も重視し、築地のブランド力と好立地に注目。都は小池氏の指示で、築地の跡地を売却せずに民間に長期間貸し出し、日本の食文化の発信拠点などとして活用する案を検討してきた。

【私の論評】築地は売却すべき、都が資産をもって事業をしても大失敗するだけ(゚д゚)!

小池知事は、サンクコストという言葉の定義に関して、間違って理解していて、その間違いにもどいたサンクコストの忌避方法が、今回の小池氏「豊洲に市場移転」「築地を再開発」という基本方針であると考えられます。

1月14日に開かれた専門家会議では、都が実施した豊洲市場の地下水モニタリング調査の結果、最大で環境基準の79倍のベンゼンが検出され、シアンが数十カ所で検出さました。



しかしそもそも、この「環境基準」は飲料水の基準であり、地下水を飲まない豊洲市場では何の問題もありません。もともと去年11月に築地から移転する予定だったのを小池百合子知事が「都民の不安」を理由に延期したのですが、出てきたのは風評被害だけでした。

そもそも「基準値」には、飲用水の基準とは別に工場が下水に流す際の「排水基準」があり、排水基準の場合、飲用水基準より10~100倍の濃度まで許容されています。
9月末に豊洲の地下水モニタリングでベンゼンとヒ素が『基準値超え』と報じられましたが、これはハードルが高い飲用水基準を超えたということです。排水基準から見れば全く問題がない値でした。
建物下でもない場所の地下水で、市場の仲卸業者ですら触れもしない水なのに“生涯にわたって飲み続けて大丈夫か”というレベルの基準でチェックがなされていることをどれだけの人がわかっているのか甚だ疑問です。

これを受けて、小池知事は「豊洲には既に6000億円つぎ込んでいるがどうするのか」という毎日新聞の質問に「豊洲という場所に決めたことには私自身、もともと疑義がある。サンクコストにならないためにどうすべきか客観的、現実的に考えていくべきだ」と答えていました。

これが「豊洲への移転をやめると6000億円の投資が無駄になる」という意味だとすると、小池知事はサンクコスト(埋没費用)の意味を取り違えています。サンクコストとは投資が終わって回収できない費用のことであり、6000億円はすでにサンクコストです。だから、「サンクコストにならないためにどうすべきか」という問いはありえないのです。
確かにサンクコストが問題になる場合もあります。「これだけ費用をかけたから、もう少し出費することによってこれまで払った費用が丸々損しないで済む」、と考えて赤字の事業が続けられることもあります。しかしこの経営判断は、「損している上に、もっと大損しよう」と判断しているのと同義です。過去に使ってしまって回収できないお金は既にサンクコストです。

人が行動した結果、その際に生じたコストが、後の意思決定に影響することをサンク・コスト効果と言います。図で示すと以下のようになります。


サンクコストに打ち勝つためには「勇気を伴うあきらめ」が必要なのも事実です。しかし、豊洲の移転問題はまた別です。豊洲に移転して、赤字続きでどうしようもないとか、それが今から確実に予想されるいうのなら、わかりますが、そうではありません。

それに、豊洲問題に関しては、確証バイアスの影響もあったものと思います。確証バイアス(かくしょうバイアス、英: Confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことです。

豊洲でも、環境問題に執着するあまり、本来飲みもしない地下水を検査し、環境基準に適合しないなどとされましたが、豊洲の地下水元々使用しないものです。豊洲近辺は、不動産でもかなり人気があり、高層のタワーマンションなどもすぐに完売するほどの盛況です。

無論、この高層タワーマンションに住む人も、地下水を飲むこともないし、直接豊洲の土に触れる機会もないことから、そのようなことは何も心配していないのでしょう。

豊洲の建築途上のタワーマンション
先に示したように豊洲の6000億円はすでにサンクコストです。これは、豊洲に移転しようがしまいが、築地をどうするなどということは全く関係なしに、サンクコストです。これは、もう回収できません。

このサンクコストに加えて、築地の開発をするとなるとここでもサンクコストが発生します。

このサンクコストとは別に、支出と収入の面から豊洲問題で過去にいわれてきた方式と、今回の小池知事の方式を加えたものを比較してみます。

1.豊洲市場に移転
豊洲市場の維持費(支出) 
豊洲市場で検出された有害物質への対策費(支出)
2.移転中止・築地市場の継続
豊洲市場の維持費(支出) 
築地市場の維持費+衛生管理費(支出) 
豊洲市場の売却益(収入)
3.移転中止・第三の新市場を建設
豊洲市場の維持費(支出) 
新市場の建設費+維持費(支出) 
豊洲市場の売却益(収入)
 4.豊洲に移転・築地市場の継続・開発 
豊洲市場の維持費(支出) 
豊洲市場で検出された有害物質への対策費(支出) 
築地新市場の建設費+維持費(支出)
細かな点は別にして、結局豊洲移転・築地市場継続断念に踏み切る方がコストパフォーマンスは良い計算が成り立ちそうです。やはり、築地は売却して、地元自治体か民間業者に再開発を任せたほうが良いでしょう。過去の経緯からいっても、東京都が資産をもって事業をやろうとするとろくなことがありません。またまた、膨大なサンクコストが発生することになります。小池知事はそれを繰り返そうというのです。

感情論を先行させ、メディアを煽り、都議会で議席数を伸ばすという “政局” を目的に利用する上では豊洲問題は格好のネタです。しかし、それで利益を得られるのは知事派の界隈だけに限定されるということを覚えておく必要があります。

小池知事の豊洲と築地のダブル運営は、「築地ブランド」という魔法の言語で素人を騙しているだけです。築地ブランドはそもそも、築地という土地についたものではありません。仲卸が80年間の努力で積み重ねられた信用のことです。決して土地ではなく彼らが作り上げた誇りです。豊洲に行っても引き継いで更なる信頼の増幅を努力することによって、そのブランドは維持されるのです。ブランドは、あくまで人の努力によって形成されるものなのです。

市場のブランドは土地ではなく、市場で働く人々によって創造される

要するに小池知事は、とてつもない将来債務を発生させる装置をふたつ抱えます、と断言しているということに過ぎません。

それも自分の都議選勝利のために選挙直前まで引き延ばして、それに伴う都民の金銭的負担も別物で発生させつつ、結局この有様です。

無駄遣いなくすと言ってた小池知事が究極の無駄遣いをすると断言しているに過ぎません。小池さん、ずいぶん前からおかしくなっていたようですが完全にぶっ飛んでしまったようです。

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2017年6月16日金曜日

骨太方針から消えた「消費税」 財政再建は事実上終わっている、英政権は「緊縮病」で失敗―【私の論評】度々財政を間違える英国だが、日本はいつも間違えてばかりだった(゚д゚)!

骨太方針から消えた「消費税」 財政再建は事実上終わっている、英政権は「緊縮病」で失敗

「骨太の方針」の表紙

 政府が閣議決定した「骨太方針」から消費税の引き上げに関する言及が消えたと報じられている。

 昨年の「骨太2016」では、「『成長と分配の好循環』の実現に向け、引き続き、『経済再生なくして財政健全化なし』を基本とし、消費税率の10%への引き上げを2019年(平成31年)10月まで2年半延期するとともに、2020年度(平成32年度)の基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標を堅持する」との記述があった。

 今回の「骨太2017」では、「『経済再生なくして財政健全化なし』との基本方針の下、引き続き、600兆円経済の実現と2020年度(平成32年度)の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す」とされ、消費税増税については書かれていない。

 もっとも、消費増税については、法律で予定されているものなので、政府としてその方針には変更はない。つまり、骨太方針に書かれていないといっても、新たな法律を制定しない限り、19年10月の10%への消費増税が実行されることになる。

 ただし、財政再建至上主義者にとっては、先日の本コラムで書いたように、財政目標でプライマリーバランス(基礎的財政収支)の重要性が当面なくなったことで、財政健全化の動きが大幅に後退すると心配しているかもしれない。

 ちなみに、「財政健全化」という言葉は、「骨太2016」では12回使われていたが、「骨太2017」では6回に減っている。これも彼らの懸念に拍車をかけていることだろう。

 実際のところは、債務残高対GDP(国内総生産)比とプライマリーバランスの間には密接な関係があり、債務残高比対GDP比を発散させないような経済運営が本来であるので、財政再建至上主義者の懸念は的外れである。

 これまで何度も書いてきたように、財政状況は、連結ベースの統合政府バランスシート(貸借対照表)でみるべきである。であれば、理論的には財政再建目標は、債務から資産を差し引いた「ネット債務残高対GDP」を低位に保つことが重要となる。

 現状において、ネット債務残高対GDPはほぼゼロであるので、そもそも財政を気にする必要がないというのが、理論的な帰結である。

 このような状況を安倍晋三首相はよく把握しているのだろう。ノーベル経済賞学者のジョセフ・スティグリッツ氏やクリストファー・シムズ氏を呼んで講演してもらっているのも、そうした意見を補強するという意味でうなずける。

 安倍首相はさらに、憲法改正で教育無償化を打ち出した。これに必要な財源はざっと見ても4兆~5兆円である。教育投資国債を抜きにして賄うことはまずできない。

 ネット債務残高対GDPはほぼゼロという事実からみれば、消費増税は必要なく、また投資のための国債を発行しても、財政状況を悪化させる要因にならない。

 財政再建至上主義者はこれらに反対だろうが、理論的根拠は乏しく、「緊縮病」を患っているようにみえる。英総選挙で、緊縮財政を指向したメイ政権は過半数を取れなかった。緊縮財政は政治的にも経済的にも失敗することを示した。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】度々財政を間違える英国だが、日本はいつも間違えてばかりだった(゚д゚)!

骨太の方針については、以下のリンクからご覧いただけます。


骨太の方針は、本来は「背骨(バックボーン)の方針」とするべきでしょう。背骨から生える各あばら骨という「政策」は、全てバックボーンの影響を受けます。

バックボーンの方針で「プライマリーバランス黒字化」が決定された場合、予算措置を伴う全ての政策が、「新たな支出をするならば、他の予算を削るか、もしくは増税する」という、狂った方針に従わざるをえないことになりかねません。

問題の「財政健全化目標」については、以下の通りとなっています。

『経済財政運営と改革の基本方針2017(略)基礎的財政収支(PB)を2020 年度(平成32 年度)までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。このため、「経済再生なくして財政健全化なし」との方針の下、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革という「3つの改革」を確実に進めていく必要がある。(後略)』

結局、2020年までのPB黒字化という狂った目標は、骨太の方針に残ってしまいました。何とか「債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す」を盛り込むことはできましたが、「基礎的財政収支(PB)を2020 年度(平成32 年度)までに黒字化」を削除することはできませんでした。大変、残念です。

PB目標が残ったことで、2017年の日本の再デフレ化の懸念を考えざるを得ない状況になってしまいました。

すでにして、GDPデフレータが対前期比▲0.5%と、デフレ化の方向に突き進んでいるにも関わらず、デフレギャップを埋める財政拡大は難しいでしょう。何しろ、PB目標がある限り、

「財政を追加的に拡大するならば、他の予算を削るか、増税」
 
という話になってしまいます。

ちなみに、経済がデフレ化すると、名目GDPが伸びにくくなります。実際、2017年1-3月期の名目GDPは、対前期比▲0.3%でした。

名目GDPの停滞は、既に2016年から始まっています。GDPデフレータも、2016年からマイナスが始まりました。

つまりは、日本経済は2016年から「再デフレ化」した可能性が濃厚なのです。まだ、推移をみてから判断する必要はありますが、それにしても、厳密にはデフレではなかったとしても、デフレすれすれという現実は変えようがありません。

経済がデフレ化し、名目GDPが伸びなくなると、税収が減ります。理由は、我々は所得から税金を支払っており、所得の合計がGDPになるためです。

そんなことは、あるはずがない! などと思う方々に、残念なお知らせがあります。
国の税収、プラス成長でも7年ぶり減 16年度   
国の2016年度の税収が7年ぶりに減収に転じ、政府の見積もりも2年連続で割り込む見通しだ。所得税収は7年ぶりの前年割れで、法人税収も伸び悩んだ。税収は今年1月時点で55.8兆円と見込んだが、さらに数千億円減るもよう。プラス成長でも税収が減った形で、安倍政権が経済運営の基本に掲げる「成長による税収増」の土台が揺らいでいる。(後略)
これは、現在の「プラス成長(=実質GDPの成長)」は、名目GDPが伸び悩む中、GDPデフレータというインフレ率がマイナスに落ち込んでいる結果を計算しているに過ぎないわけですから、こうなるのが当然のことです。

このような税収の減少は、財政再建至上主義者らの「このままでは財政破綻する! 早期のPB黒字化を!」という声を大きくします。

結果、我が国はデフレ脱却に必要な財政出動ができず、デフレが深刻化し、名目GDPが伸び悩み、税収が減るという悪循環に突っ込む可能性も高くなります。これは、結局のところ昨日のこのブログにも掲載したように、やはり8%増税の悪影響です。以下のグラフを見てもわかるように、消費性向が16年から急激に落ち込んでいます。


一方『骨太の方針』からは、消費税増税という文字は完璧に消えました。これは、安倍総理の増税はしないとの決意の表れともとれます。

これは、ブログ冒頭の記事にある高橋洋一氏が主張する統合政府ベースではすでに、政府の借金はないということからも、明らかです。借金をする必要のない政府が、増税をする必要性など全くありません。

上の記事でも、「英総選挙で、緊縮財政を指向したメイ政権は過半数を取れなかった。緊縮財政は政治的にも経済的にも失敗することを示した」とありますが、全くそのとおりです。

緊縮財政で足をすくわれた英国メイ首相
イギリスは良く財政政策を間違います。このブログでもかなり前に、増税の失敗を掲載したことがあります。これは、日本の8%増税の前に実施されたものですが、これは惨憺た大失敗でした。特に、若者雇用がかなり酷く悪化しました。その失敗を補うために、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)は大規模な金融緩和に踏み切りました。それでも回復までには、かなりの年月を要しました。それについてはこの記事の最後のほうの【関連記事】のところに掲載しますので、是非ご覧になって下さい。

さて、メイ首相は、前のキャメロン政権で治安対策の責任者である内相を務めました。当時の保守党は緊縮財政を進めるため、警察官を2万人削減。このことで、メイ首相を批判する声が出ています。労働党のコービン党首らは、メイ首相に辞任を求めています。

これに対し、メイ首相は6日の演説の中で、「選挙の数日前には、新たな政策を数多く発表するつもりはないが」と前置きした上で、「テロ行為で有罪判決を受けた人々の刑期を長くするべきだ」「当局が外国人のテロ容疑者を、自国に送り返すことをより容易にすべきだ」と述べ、移民の権利を手厚く保護する「人権法」を改正することで、さらなる対テロ対策を実施する方針を示しました。

 英タイムズ紙は13日、関係筋の話として、有権者による緊縮財政への忍耐が限界に達していることをメイ首相が認めたと報じました。

記事によるとジョンソン外相、デービス欧州連合(EU)離脱担当相や他の与党保守党議員らは、首相に対し、緊縮財政に対する国民のムードを首相は読み違えたと述べたといいます。

首相は前週の総選挙で単独過半数を取れず、北アイルランドのプロテスタント系民主統一党(DUP)との連立協議を開始しました。

このように、緊縮をすれば、経済が落ち込み国民の反発は必至です。緊縮、それも日本経済がデフレに再突入したか、しないかの現在の状況で緊縮をすれば、とんでもないことになるのはわかりきっています。GDPは伸びは更に落ち込み、マイナス成長になりデフレに逆戻りです。

緊縮は本当に高くつくということを日本の政治家は忘れてしまったようです。緊縮財政を続けてきた過去の日本の政権は、全部短期で終わっています。例外はありません。財政再建至上主義の政治家はまたこれを繰り返したいのでしょうか。

どうやらそのようです。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に否定的な自民党有志による「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」(野田毅会長)が15日、2回目の会合を国会内担当で開き、石破茂前地方創生相ら議員約30人が出席しました。講師の早川英男元日銀理事は「デフレ脱却による高成長は幻想だ」とアベノミクスを批判し、石破氏は記者団に「原油安と円安に頼る経済政策であってはならない」と述べました。

石破茂前地方創生相
どうやら、彼らは財政件至上主義で増税などすれば、国民をデフレスパイラルのどん底に落とし、塗炭の苦しみを与えるこになり、そうなれば、国民の反発を招きそもそも政権を維持することすら困難になりかねないということに気づいていないようです。まあ、私達国民としては、どのような政権になったにしても、まずは経済がまともであれば良いということなのですが、では野党はどうなのかといえば、経済に関してはほとんどが落第生です。それ以前に、森友・加計問題で、騒ぎ回る馬鹿集団です。問題外です。

そうなると、やはり経済を考えれば、今は安倍政権を支持するという選択肢しかありません。本当に困ったものです。


上には、英国の例を出しましたが、考えてみれば、日本は英国よりも財政政策を間違えてばかりです。こんなことですから、現在に至っても未だ、GDPの伸びは英国はおろか、韓国すら上回っていない状況です。馬鹿な政治家どもに言いたいです、いい加減に気づけよと・・・・!

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2017年5月16日火曜日

実は不動産会社だった? 日本郵政が野村不動産買収との報道、その狙いは―【私の論評】官製企業から再度完全民営化しなければこれかも失敗し続ける(゚д゚)!

実は不動産会社だった? 日本郵政が野村不動産買収との報道、その狙いは

日本郵政が不動産大手の野村不動産を買収するとの報道が出ています。郵便局が不動産会社を買収するというのはピンと来ませんが、どのような意図があるのでしょうか。


 各種報道によると同社は野村證券グループの不動産会社である野村不動産に対してTOB(公開買い付け)を実施する方向で検討を進めているそうです。野村不動産は大手デベロッパー5社に入る企業で、「プラウド」というブランド名でマンションを展開しているほか、オフィスビルの運用を行っています。

 郵便事業を営む会社が不動産会社を買収というのはあまりピンと来ませんが、郵便事業の半分は不動産業ともいえます。全国に郵便を届けるためには、各地にその拠点を備える必要があり、日本郵政は2万カ所の郵便局を所有しています。

 また同社はもともと国営の事業だったこともあり、逓信病院などの医療施設、かんぽの宿といった宿泊施設など、民間では考えられないような多数の不動産を抱えています。所有する土地の面積は東京ドーム5万5000個分にもなり、建物などを加えた固定資産の総額は3兆円に達します。

 同社はNTT以来の超大型銘柄として鳴り物入りで上場を果たしましたが、郵便事業は縮小が余儀なくされており、今後の成長シナリオを描く必要に迫られています。

 しかし、現実はそう簡単ではありません。2015年5月に6200億円もの巨費を投じて買収したオーストラリアの物流会社は、予定の業績を達成することができず、はやくも4000億円の損失が発生している状況です。海外事業で躓くということになると、選択肢は日本国内にある不動産の有効活用しかありませんが、日本郵政には不動産運用に関するノウハウはほとんどありません。野村不動産をわざわざ買収することにはこうした事情があると考えられます。

「プラウド」というブランド名でマンションを展開している野村不動
 野村不動産の株式を過半数取得するということになると、最低でも2000億円以上の資金が必要となりますが、15兆円以上の純資産を持つ日本郵政からすれば微々たるものでしょう。

 買収による増益効果についても、野村不動産の売上高が全額連結決算に反映されたとして数%という程度ですから、業績への影響は軽微です。重要なのは、野村不動産のノウハウを今後、どのように自社の不動産運用に活用できるのかというところに絞られてくるでしょう。

 日本郵政が野村不動産を買収すること自体は不自然ではありませんが、海外の物流会社を買収して損失を計上したかと思えば、今度は国内の不動産会社を買収するなど、収益拡大に向けて無軌道に会社を買い続けているという印象は否めません。経営陣の戦略性がより厳しく問われることになるでしょう。

【私の論評】官営企業から再度完全民営化しなければこれかも失敗し続ける(゚д゚)!

日本郵政については、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本郵政 豪物流事業の業績悪化で巨額損失計上か―【私の論評】財務省御用達人材が、東芝、日本郵政を駄目にした(゚д゚)!
この記事では日本郵政の業績悪化の原因と思われるものについて掲載しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にそれに関わる部分のみ掲載します。
日本郵政の社長は、元東芝の社長であった西室泰三氏です。東芝も西室氏のころから危なくなりました。日本郵便は事業や投資に関しては、官僚だけの素人集団です。これでは先行きかなり厳しいです。ちなみに西室氏が日本郵政社長になった当時の日経はかなり高く評価していましたが、どうしてそうなるのか理解できません。以下にその紙面を掲載します。
郵政民営化を簡単に振り返ると、小泉政権の時に民営化法成立し、民営化が実施されました。ところが、民主党政権になって民営化を否定し実質上「再国有化」されました。

郵政民営化のときには西川氏が本当に民間会社にするつもりで、大量の民間人を引き連れてきました。ところが、再国有化されると、西川氏とその仲間の多量の民間人は追いだされ、財務省御用達の西室氏だけがトップで来て、周りはほぼ官僚だけとなりました。これでは、海外投資業がうまくいくはずがありません。
以上のように、日本郵政の業績不振は、まずは西室氏の経営者としての能力が低いこと、さらには現在の日本郵政の幹部は西室氏を除いてすべて元官僚によって占められていることです。

さて先週末のニュースで意外性があったのは、この報道です。野村不動産ホールディングスの時価総額は約4000億円。この株式の一部あるいは全部を日本郵政が取得し、不動産開発事業を加速させる狙いがあります。

日本郵政は土地保有額の上場企業ランキングで6位に入っています(下のグラフをご覧になってください)。しかも、郵便局などの土地建物は、鉄道のターミナル駅近くにある場合が多く、都心の一等地の不動産を、有効活用できれば収益性を高めることができます。



有名な例では、東京駅の前に出来たJPタワーがあります。かつての東京中央郵便局を再開発し、大型商業施設として生まれ変わりました。また名古屋駅前にもJPタワー名古屋を開業し、博多でも同様の商業施設が博多駅前にオープンしています。

昨年、200兆円の資産を保有するゆうちょ銀行が、今後5年程度で、国内外の不動産や未公開企業などのオルタナティブ投資と呼ばれる資産に、最大6兆円を資産配分すると報道されました。ゆうちょ銀行の資産運用は金融資産が運用対象の中心で、その中でもリスクの低い国債が過半を占めていました。日銀がマイナス金利を導入したことで、運用利回りの低下が大きな経営課題になっています。

不動産開発や不動産投資事業は、日本郵政が従来手掛けてきた、郵便事業や金融資産を中心とした資産運用とは、異なるノウハウが必要です。社内で人材を育てていては間に合わないので、不動産会社を買収することで、新事業の経営ノウハウを一気に手に入れようということです。

日本郵政が保有する土地が、マンション開発などに活用されれば、住宅供給が増えて需給にとってはマイナスの影響が予想されます。一方で、JPタワーのような商業施設が駅前に開業すれば、その駅の周辺の開発が加速され、不動産価値の上昇というメリットが出るかもしれません。

今後不動産有効活用を検討する大手企業が追随する可能性もあり、国内不動産事業への注目が高まることは確実です。唐突な感じがした、今回の買収記事ですが、買収価格はともかく、有休不動産保有企業と不動産開発業者の組み合わせという点で、シナジーが期待できます。

買収額は数千億円規模といわれます。日本郵政は全国2万以上の郵便局をはじめ多くの不動産を保有していますが、不動産ビジネスのノウハウはなく、いわば宝の持ち腐れでした。今回の買収劇からは、不動産業を経営の柱に据えたいという意気込みが伝わってきます。

日本郵政も不動産開発には全く無関係だったというわけではく、2007年の民営化後、東京駅前の商業施設「KITTE(キッテ)など不動産開発を手掛けてきました。ただ、遊休地の活用など経営課題は多いです。

日本郵便初の商業施設「KITTE(キッテ)」
日本郵政は17年3月期に約400億円の最終赤字を見込んでいます。15年に買収したオーストラリアの物流大手トール社に絡み、4000億円以上の減損を計上するためです。こうしたマイナスイメージから脱却するため、成長性のある不動産ビジネスへの進出をブチ上げたのでしょう。

上でも掲載したように、西室氏は東芝時代に、米ウェスチングハウス社の買収に暗躍し、日本郵政では豪トール社買収を主導しました。両案件とも巨額損失につながっただけに、西室氏の責任を問う声大きいです

実は、野村不動産と東芝の関わりは深いのです。08年、野村不動産が東芝不動産(現NREG東芝不動産)の株式65%を取得し、子会社化しています。当時、西室氏は相談役でしたが、東芝社内への影響力は絶大でした。

NREG東芝不動産は、人気の商業施設として知られる「ラゾーナ川崎プラザ」(川崎市)を開発。隣は、東芝未来科学館の入る「ラゾーナ川崎東芝ビル」です。

ほぼ10年前に野村不動産グループとなった「東芝ビル」を、日本郵政が手に入れようとしている。そこかしこに東芝のドンのカゲがチラつきます。

とはいえ西室氏はすでに経営の第一線から退き、療養中だとされています。今回の日本郵政による野村不動産買収に口出しするとは思えません。しかし、本当はどうなのか外部からうかがい知ることはできません。

そうして、今後の不動産業界を考えると、不安がよぎります。

リーマンショック以降、不動産業界ではマンションの価格下落、ビルの空室率上昇、賃料の下落、不動産投資市場の低迷など暗いニュースが続いていました。しかし、ここ最近は、東京オリンピックの開催が5年後に迫ってることもあり、東京都心部の一部では活発に不動産取引が行われています。

一方、地域別にみると苦戦を強いられているエリアが存在するのも事実であり、都心部と地方の格差は拡大するばかりです。
また、一部の業者による「物件の囲い込み」の実態が明るみになったりと何かと世間を騒がせているのもこの業界ならではないでしょうか。オリンピックが開催する2020年までには、海外投資家が投資した東京都心部の収益物件が次々と売却される恐れもあるため、今以上に不動産市場の需要と供給のバランスが保てなくなる可能性も否定できません。

国立社会保障・人口問題研究所による推移において、市区町村別の数値が公表されるのは人口だけで、残念ながら世帯数は都道府県別にとどまります。2013年3月に公表された市区町村別人口推計を見ると、2040年の人口が現在の半数を割込むところも少なくないです。中には3分の1程度まで減少する町村もあるようです。


もちろん東京都でも、人口減少とは無縁でいられません。2040年の人口が2010年より増えると予測されているのは以下だけになります。

【東京都】
中央区、港区、新宿区、墨田区、江東区、練馬区、三鷹市、東村山市、稲城市の6区3市、それにもともとの人口が少ない御蔵島村だけです。
【大阪府】
大阪市の西区、天王寺区、鶴見区、北区の4区、大阪府下では田尻町のみが増加となっている。また、大阪市内には2割以上の人口減少が見込まれている区も多いようです。
【愛知県】
名古屋市で守山区と緑区だけが増加なのに対して、その周辺では安城市、大府市、高浜市、日進市、みよし市、長久手市、東郷町、豊山町、大口町、大治町、幸田町が増加すると予測されています。
いずれにせよ大都市圏でも大半の市区町村で人口の減少が避けられず、それに数年ずつ遅れながら世帯数の減少も進行していくことでしょう。人口および世帯数の減少は街の活気を奪い、不動産市場も次第に縮小していくことでしょう。現在もすでに住宅の数が充足し、逆に家余りが社会問題となっています。2014年7月に総務省が発表したデータによると、日本全国では820万戸空き家があり、空室率は13.5%まで上っているのです。

国内における人口の減少、それに続く世帯数の減少は、不動産業界のあり方も大きく変えることになります。

市場規模の縮小を見越して、一部の住宅メーカーはすでに海外の不動産市場へ参入を始めているほか、国内では住宅ストックの活用に軸足を移している例も多いです。

また、単身者世帯、高齢者世帯の割合の増加に合わせた商品企画も求められます。特に2020年からは、単身者世帯が最も多くなります。以下のグラフをご覧になって下さい。
今後単独世帯、夫婦のみ世帯が増加する見込み

2020年には大半の都道府県で単独世帯がもっとも多い家族類型に
間取りの変化だけでなく、留守の時間が長くなりがちな単身者世帯のセキュリティ対策、高齢者向けのバリアフリーなど普段の生活が快適に過ごせるような工夫も重要になるでしょう。さらに、顧客と長くお付き合いができる体制を作らなければ、需要が減退していく社会の中で生き残ることは困難です。

一棟マンション・アパートにはじまる収益物件をメインに扱う不動産会社であれば、「投資」という部分にフォーカスした、より高い知識が営業担当者に求められます。

投資家が求めているサービスを提供するためには、投資アドバイザーという立場から、不動産以外に資産全体の組み替えを含むポートフォーリオのアドバイス、実際の買収・売却請負、財務分析、資産評価などを行うほか、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定などについて工夫し、助言することが要求されるようになるでしょう。

新築分譲を手掛ける不動産会社であれば、販売後のアフターサービスがますます重要になるでしょう。それも従来のような物件の定期点検や保証といった範囲にとどまらず、入居後の生活全般に対するフォローが欠かせなくなります。インテリアのアドバイスやリフォームの提案、さらに将来の売却、場合によっては子育て相談や生活相談まで、住まいに関するトータルサービスを提供することが求められます。

不動産仲介会社であれば、整備されつつある中古住宅流通市場の中で、他社より「優れたサービス」を考えることが重要です。契約時における的確な情報提供や物件調査のスキルアップはもちろんのこと、これまでのように「物件の引渡しが済んだらそれで終わり」というスタンスからは卒業しなければならなくなります。入居後の生活全般をトータル的にサポートする等、従来の不動産業からの脱却を目指すことも必要になるでしょう。

株式上場計画について記者会見する日本郵政の西室泰三社長(当時)=2014年12月26日

このように将来の不動産業界の変化を見通すことは、原子力産業の将来を見通せなかった、西室氏には到底無理なことです。そうして、現在日本郵政の幹部のほとんど占めている官僚出身者にも到底無理です。

さて、日本郵政の不動産事業はこれからどうなるかは、わかりませんが、まずは野村不動産買収に成功した場合、まずはどのような人事政策をとるかが鍵になると思います。

野村不動産の運営には、西室氏や官僚出身の幹部らは一切かかわらず、金や資産を差し出すことはしても、運営には一切口を挟まないという体制が築かれれば成功する見込みも少しはあります。

現在は、2016年4月1日付で、西室泰三日本郵政社長の病気による退任に伴い、ゆうちょ銀行の代表執行役社長職を退き(取締役としては留任)、後任の日本郵政取締役兼代表執行役社長に就任しています。

ただし、現状をみてみると、どうも疑問です。そもそも西室氏のように経営力に不安のある人物しかリーダーになれなかった日本郵政の体質にも問題があるといえるでしょう。実際のところ、本当に優秀な経営者であれば、政府が株式を保有しているために制約が多い会社に来ようとは思わないでしょう。

仮に一人あるいは数人の優秀な民間経営者が来たとしても、野村不動産を買収できたとしても、周りを元官僚で固められています。頭だけ民間に代えても、首の下は官営企業そのものです。

そうして、西川氏更迭のときに追放された民間人も悲惨な待遇を受けています。そのときは西川氏の尽力で救済された人も多いそうですが、これは彼にしかできない芸当でもあります。

この顛末をよく知っている経営者は、日本郵政のかじ取りに二の足を踏んでしまいます。民間から人を連れてくれば、このような憂き目にあうかもしれないということになれば、二の足を踏まざるを得なくなります。こうした何重もの制限がある日本郵政が赤字になるのは当然のことです。これからも、今のままでは、失敗することは目に見えています。

方法としては、もう一度完璧な民営化を目指すこと以外にはありません。

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2017年4月16日日曜日

北朝鮮ミサイル発射「失敗」への不安 「不安定な武力ほど危ないものはない」―【私の論評】核ミサイルがすべて破壊されても北は核攻撃できる(゚д゚)!

北朝鮮ミサイル発射「失敗」への不安 「不安定な武力ほど危ないものはない」

北朝鮮は2017年4月16日午前(日本時間)に、弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは発射直後に爆発し、失敗したと見られる。ソウル聯合ニュースが報じた。ミサイルの種類は不明としながらも、4月5日に発射されたものと同系列と見られるとした。

米国との緊張関係が極度に高まるなかで、4月15日に北朝鮮によるミサイル発射や核実験があるのではないか、という憶測がネット上で広まっていたが、失敗に終わったとはいえ、その翌日に北朝鮮がミサイルを発射した事実ついて、今後の北朝鮮の動きを不安視する声がネット上では目立った。

北朝鮮の「労働新聞」に掲載された弾道ミサイル発射の模様(画像は今回の発射のものではない)

 米副大統領の訪韓の前に発射

韓国メディアなどによると、北朝鮮がミサイルを発射したのは16日午前6時21分(日本時間同)ごろでで、東部・新浦近くからミサイル1発を発射したが、直後に爆発したという。

ミサイル発射の前日の15日は、北朝鮮では故・金日成主席の105回目の誕生日「太陽節」の式典が開催された。式典では大規模な軍事パレードが行われ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られる新型ミサイルも公開された。

それを受けて、日本のネットユーザーの間では「15日にミサイルが発射される可能性が高い」という憶測が流れていた。

また、米国のペンス副大統領は、ミサイル発射の際、北朝鮮情勢に関する協議に向けて韓国へ移動中で、その最中のミサイル発射は、米韓に対する牽制という見方も根強い。いずれにせよ、このタイミングでは北朝鮮は自制するのではないかという見方は崩された。

米国のマティス国防長官は、北朝鮮のミサイル発射と失敗を受けて、「大統領も米軍も、北朝鮮のごく最近のミサイル発射失敗について把握している。大統領からのそれ以上のコメントはない」と、米国時間15日(日本時間16日)、米国防総省のサイト上で短い声明を出した。日本政府も、北朝鮮のミサイルの発射が安全保障に直接影響することはないと、NHKなどに対してコメントするなど、総じて冷静な受け止め方を示している。

 「次は失敗する可能性が少なくなるってこと」

結果として、16日の発射が失敗に終わったことについては、ツイッターでは様々な声が上がっている。
北朝鮮が強気な姿勢を示した直後に、ミサイル発射に失敗したことを揶揄する投稿がある一方で、そうした投稿を「平和ボケ」と批判し、実際に発射が行われたことを重く見る人も多く、
「失敗したとはいえミサイル発射してるじゃないか...日本人平和ボケしすぎ...」
「ミサイル打ち上げに失敗したってことより撃とうとした、いや実際に撃ったってことの方が重要だと思う」
「発射した事実が怖すぎるねんけど 成功したら確実に戦争やで」
「威嚇のために日本近海に落とすつもりが、システムトラブルで日本に届いちゃった...みたいな事にはならないのかな。不安定な武力ほど危ないものはないような気がします。」 「失敗したってことは次は失敗する可能性が少なくなるってこと」
などの意見が投稿されている。

【私の論評】核ミサイルがすべて破壊されても北は核攻撃できる(゚д゚)!

北朝鮮のミサイル発射が失敗しても、北の脅威は変わることなく存在し続けます。今後、この脅威が日本から消えてなくなることはありません。そのことは、絶対に忘れるべきではありません。

それに関しては、昨日述べたばかりです。昨日の記事のリンクを以下に掲載します。

【北朝鮮情勢】トランプ米政権、北朝鮮に「最大限の圧力」で核放棄迫る 空母カール・ビンソン、間もなく朝鮮半島周辺へ―【私の論評】日本は安全か?リベラル・左翼・マスコミ・野党政治家はなぜ騒がないのか??
南シナ海を航行する米空母カール・ビンソン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に北朝鮮の核ミサイルがすべて破壊されたとしてもなお、北朝鮮は日本に核攻撃できる可能性は捨てきれない理由を示した部分のみを掲載します。

そうして、この原発に対するテロに関しては、過去にそのような計画があったことが明らかになっています。

以下の内容は、Yahoo ニュースなどに掲載されていた内容ですが、現在ではリンク切れになっています。

"
北、対日原発テロ計画 韓国侵攻前「戦意そぐ」
 
 元軍幹部証言北朝鮮の朝鮮人民軍が対韓国開戦直前に日本全国にある原子力発電所施設に特殊工作員計約600人を送り込み、米軍施設と同時に自爆テロを起こす計画を策定していたことが28日、軍元幹部ら脱北した複数の関係者の証言で分かった。計画実施に向け工作員を日本に侵入させ、施設の情報収集を重ね、日本近海でひそかに訓練も行っていたという。北朝鮮による原発テロが現実的脅威に浮上した。 
 元幹部らによると、計画は、金日成(キム・イルソン)主席の後継者だった金正日(ジョンイル)総書記が「唯一指導体系」として朝鮮労働党と軍双方の工作機関に対する指示系統を掌握した1970年代半ば以降、具体化に動き出し、90年代に入って本格化したという。 
(略) 
 作戦のため、現地の協力者らが施設周辺を撮影するなどし毎年、情報を更新。特殊工作員が潜水艇で日本に上陸、施設内に忍び込んで情報収集することもあったという。 
(略)

 原発が最重要ターゲットとされたのは、爆破すれば、「甚大な損害を与えられ、核兵器を使う必要がなくなる」(元幹部)との思惑からだという。さらには、広域に放射能が拡散することで「日韓両国民の間に戦争に反対する厭戦(えんせん)ムードが広がり、日米韓の戦意をそぐ政治的効果を狙った」と元幹部は説明した。
仮に、北朝鮮の核ミサイルが米軍のイージス艦などですぺて撃墜され、さらに、米軍の攻撃によって、核ミサイル基地などがすべて破壊したとしても、このような脅威はつねについてまわります。

さらに、 "天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れ"と言った場合、北朝鮮は金正男氏暗殺にサリンを用いたとされてることから、当然のことながら、サリンをテロに用いる可能性も否定することはできません。

"
実際に北朝鮮が、原発テロを起こせば、たとえ北の核ミサイルがすべて破壊されたり、撃墜されたにしても、日本に対して核攻撃と同じ効果をもたらす攻撃は可能なのです。

私としては、このようなことが過去に明らかになっていることから、それは表には出さずとも、警察や場合によっては自衛隊がそのような自体に対処できるようになっていると信じたいです。ただし、これは表に出せば混乱を招くので、表には出ていないものの、いくつかの筋書きが作られていると思いたいです。

ただし、テロ等準備罪がまだ審議途中であることなとがら、このような攻撃が予知されていても、現状では逮捕したり、自然に阻止することができない可能性も否定しきれないです。

リベラル・左派、左翼の連中は、テロ等準備罪には真っ向から反対です。しかし、彼らは北朝鮮による原発テロ攻撃の阻止に関して、絶対に反対なのてじょうか。

これに関しては、メディアや野党が悪質な印象操作を行っています。彼らは、パレルモ条約は 「テロを対象としたものではない」から、テロを対象とするのテロ等準備罪はおかしいなどとの奇妙な論理を用いて、テロ等準備罪に反対しています。

 しかし、パレルモ条約は「テロだけを対象としたものではない」ものであり、当然 テロも対象になります。 パレルモ条約とは、当然のことながら、テロも含めて「一定刑以上の重要犯罪の合意」を取り締まるという条約であり、187か国締結(残り10か国程度)しているものです。そうして、残り10 カ国程度のうちの一国が日本なのです。

パレルモ条約がテロ集団を対象としないという解釈はフェイク
今国会 においては、2003年に署名はしたものの条件を整えられず批准できないパレルモ条約について、 その条件を整えるために政府はテロ準備罪を提出したわけです、そうしてこれは最低条件であるとしているわけです。

テロであるないに関わらず、「重大な犯罪を行うことの合意」がパレルモ条約の内容であり、目的を限定したものではないのです。 パレルモ条約はテロを対象としていないとするもっともらしい発言は事実ではないのです。

にもかかわらず、民進党などの野党もこれに対してまでどこまでも反対するのでしょうか。しかし、この緊急事態が目の前に存在するわけですから、百歩譲って北朝鮮によるテロ攻撃の可能性に絞り、当面の北朝鮮の脅威が去るまでの時限立法という形でも良いから賛成するということはできないものなのでしょうか。

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2016年11月23日水曜日

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力―【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力

東京基督教大学教授・西岡力氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 韓国の自由民主主義体制が揺れている。親北左派政権が誕生し、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もゼロではない。

 ≪本質を欠く朴スキャンダル報道≫

 朴槿恵大統領スキャンダルに関する大量の報道は、重要な2つの論点を欠落させている。第1に大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えられていない。第2に半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどない。その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が分からない。

 第1の点から論じよう。2015年11月に、過激な反体制運動を行ってきた労組である全国民主労働組合総連盟(民主労総)や、農民団体など50以上が集まって「民衆総決起闘争本部」が結成された。国家保安法に基づき「利敵団体」と規定された北朝鮮とつながる3つの極左団体「祖国統一汎民族連合南側本部」「民族自主平和統一中央会議」「民主民生平和統一主権連帯」が含まれている。

その「民衆総決起闘争本部」が今年のデモを計画していたところ、崔順実スキャンダルが発覚したため急遽(きゅうきょ)、鉄パイプなどを使わないソフト路線に切り替えて、10月29日から毎週土曜日に集会とデモを行っている。11月12日と19日の集会とデモは「朴槿恵政権退陣非常国民運動」が主催したが、前記闘争本部に「参与連帯」「民主社会のための弁護士会(民弁)」「韓国女性団体連合」「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」など1500団体が加わった連合組織だ。特記すべきは、野党はそこに入っていないということだ。

 私が現場で取材した12日の集会でも、参加した野党の幹部や次期大統領有力候補らは司会者が名前を紹介しただけで、壇上にあがって演説することはなかった。壇上で演説したのは、挺対協女性代表、「416の約束(セウォル号事件)国民連帯」女性活動家、ソウル大学病院女性労組員、民弁弁護士などで、崔順実問題についてはほとんど言及せず、朴槿恵政権の対日外交、経済政策などを取り上げて激しい糾弾演説を行った。

 ≪左に偏った半島の政治勢力≫

 「朴槿恵は下野せよ、朴槿恵を下獄させよ」というフレーズが繰り返し出てくる集会の主題歌「これが国か」を作詞・作曲した尹ミンソク氏は、1992年に北朝鮮工作員が作った地下党の傘下組織に加入し、金日成を称(たた)える歌を作ったことをはじめ、これまで4回、国家保安法違反で逮捕された親北活動家である。

尹ミンソク
 半島全体の政治勢力の配置を概観すると、一番左端に金一家の世襲独裁政権がある。国連人権理事会調査委員会はこの政権はヒトラーやポル・ポトに匹敵する「人道に対する罪」を犯していると指摘した。その独裁政権は官営媒体やネットサイトを使って「朴槿恵退陣闘争を進めよ」と煽(あお)っている。

 闘争本部はそのすぐ隣あたりに位置する。運動方針が北朝鮮の煽動(せんどう)とほぼ一致している。なお昨年1月には北朝鮮系ネットサイトで崔順実被告と朴槿恵大統領の関係についての「白書」が公開されていた。

 野党は闘争本部よりは少し右だが親北であることは間違いない。第1野党の文在寅前代表は盧武鉉政権で大統領秘書室長をしていたとき、国連北朝鮮人権決議に賛成してもよいかと北朝鮮に事前に問い合わせ、否定的回答があったので棄権させたという。当時の外相が最近出した回顧録で暴露した。

 第2野党の幹部、朴智元氏は金大中政権時代、南北首脳会談実現の対価として4億5千万ドルの外貨を北朝鮮に送金した事件で逮捕され、実刑判決を受けている。

 ≪自由民主主義を守れるかが焦点≫

 その少し右に与党セヌリ党が位置するが、親朴槿恵派と非朴槿恵派に割れ、内紛を繰り返して4月の総選挙で敗北した。その右に退役軍人や教会などを背景にする保守勢力が配置される。

 保守系有力新聞の朝鮮日報や三星財閥系の中央日報などが左派新聞と競うように暴露合戦を続け、国民の大部分が朴槿恵大統領への失望と怒りを募らせたことは確かだ。しかし、朴槿恵政権がこの間、北朝鮮と国内の親北左派に対して毅然(きぜん)たる対応をとってきたことは保守派から評価されている。

 19日のデモは12日に比べて動員が落ちた。数万人のデモ隊が大統領官邸を囲む中で大統領が辞任を強制されるという「革命的状況」はほぼなくなった。今後は憲法秩序の下で、特別検事の捜査と国会での弾劾審議が進むだろう。

 その間に保守陣営が、朴槿恵大統領の崔順実被告との非正常な関係は批判するが、政権の保守的政策は維持発展させるという立場を整理できるかが勝負だ。それができれば、落ち着きを取り戻した国民に親北左派か自由民主主義派かという選択を示して次期大統領選挙で勝てる可能性も十分ある。焦点は親北左派が政権を握ることを韓国の保守が阻止できるかだ。(東京基督教大学教授・西岡力 にしおか つとむ)

【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

韓国では、日々北朝鮮からの浸透の脅威にさらされています。北朝鮮と韓国は国境を接しており、様々な方法をつかって、北朝鮮の工作員が韓国に侵入し、ことあるごとに政府転覆工作を図っています。

過去においては、北朝鮮の指令を受ける地下党組織員出身の韓明淑、金正日の海外秘密資金口座へ4億5000万ドルを不法送金した事件の主謀者の朴智元、左翼革命資金を用意するための強盗傷害犯だった李学永(写真下)が民主統合党の議員として国会に入っていました。

李学永
彼らが歌う党歌は、スパイ事件連累者が作詞し、金日成称賛歌の作曲家が曲を作っていました。韓国マスコミは、このような驚天動地の事実を韓国の国民に知らせてきませんでした。

にもかかわらず、「国民の知る権利」云々する民主党出入り記者たちは記者に偽装した工作員かもしれません。 韓国では、個人的な信念のために事実を隠蔽する者らは地位の上下を問わず、マスコミから追放してこそメディア界が浄化されるとの声が高まっていました。

ジョージ・オーウェルは、「1足す1は2だと言える体制は自由が護れる」と言いましたが、そういう言論の自由を与えても偏向した北の体制に売り払ってしまう記者たちが韓国の自由主義体制を崩壊させることにもなりかねません。韓国の多くの記者たちは「自由の敵」なのです。
李哲禹
民主統合党の党歌が独裁者称賛歌のブログ冒頭の記事にもでてきた、作曲家尹ミンソク、によって作曲された事実を故意に黙殺する記者たちは民主統合党や党歌の作詞家李哲禹(写真上)、や作曲家と理念的な同志なのでしょうか? それとも左翼が怖くて彼らに不利な記事は国民に知らせないのでしょうか? まさに、「党歌事件」は韓国のマスコミの左傾化を告発する事件だったのです。

以上のように韓国マスコミは左傾化しています。だからこそ、ブログ冒頭の西岡氏がかたるように、韓国のマスコミは、朴槿恵大統領スキャンダル報道をするにしても、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えていないし、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどないのです。

その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が韓国民も分からないのです。

そうして、日本のマスコミは、左傾化した韓国マスコミの内容を日本国内で垂れ流すのみです。そうして、この構造は次期米国大統領トランプ氏の報道においても同じ構造でした。

このブログに何度か掲載してきたように、米国のマスコミは、リベラル・左派系が90%を占めており、保守系マスコミは10%を占めるに過ぎず、保守系が何かを主張しても、リベラル・左派系の大声によってかき消されるというのが実体でした。

この構造を脇に置いたとしても、韓国・日本のメディアには大問題があります。それについては、このブログにも最近掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは―【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!
朴槿恵大統領の辞任を求めるデモ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、韓国においては過去に何度となく、大統領が海外逃亡をしたり、暗殺されたり、自殺したり、不正に関わっていたことがあることを掲載しました。

これだけ不祥事がつづているわけですから、韓国の大統領による統治のシステムは、欠陥があるとみて間違いありません。であれば、朴槿恵大統領のみを主に倫理的な観点から追求していたとしても問題は解決しないはずです。

これは、最早個人の問題ではなく、システムの問題なのです。であれば、大統領制による統治のシステムの問題点を改善したり、改革したりすることが、問題の根本的な解決になるはずです。

18日、米華字メディア・多維網は記事「THAAD配備に訪日、朴槿恵大統領の頼みの綱とは」を
掲載した。死に体と揶揄される朴槿惠大統領だが、THAAD配備や日本とのGSOMIA締結など
外交については着々と業務を進めている。資料写真。
しかし、韓国では、もっぱら朴槿恵氏自身の倫理的側面が追求されるのみです。これでは、全く何の解決にもならないどころか、北朝鮮側に朴槿恵スキャンダルを利用され、それこそ、西岡氏が主張するように、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もでてきます。

もし、韓国メディアや日本メディアなど、韓国の大統領による統治のシステムの問題点を明らかにするという姿勢で臨んでいれば、当然のことながら、その過程で西岡氏が主張しているように、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であり、これに対処する方法をどうすべきかとか、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方ができていたものと思います。

韓国メディアがそのようなことができないにしても、日本のメデイアは本来韓国から少し離れている日本にいるわけですから、記者などに現地取材をさせることをするにしても、もっと違った角度から取材して客観的に報道できたはずです。

しかしながら、米国大統領選挙の報道でも、そのようなことができなかった左下(左傾化しているだけなく、能力が低いということ)のマスコミには、韓国の朴槿恵スキャンダルにおいても、それは不可能なのでしょう。

それにしても、日本の新聞やテレビなどの朴槿恵スキャンダル報道など全く視聴する価値がないどころか、視聴して単純に鵜呑みにしていれば、馬鹿になるだけということは、確かなようです。

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