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2016年4月30日土曜日

スカボロー礁で“米中軍事衝突”懸念 中国艦船が周辺で測量 米国防長官指摘―【私の論評】日米はいつ実行動を起こすのか?その時を定めておくべき(゚д゚)!

スカボロー礁で“米中軍事衝突”懸念 中国艦船が周辺で測量 米国防長官指摘

カーター米国防長官
 米軍が南シナ海で、中国への軍事的圧力を強めている。米海軍の事実上の拠点であるフィリピン・スービック湾に近く、領有権問題があるスカボロー礁(中国名・黄岩島)で中国が測量を始めるなど、軍事基地化の構えを見せているからだ。米軍はA10攻撃機などを連日のように警戒監視させている。米中が軍事衝突する可能性が出てきた。

「非常に深刻に受け止めている。(埋め立てと軍事拠点化は)軍事衝突を引き起こし得る」「そうした懸念があるため、われわれはフィリピンと取り組み、軍事施設を構築し態勢を強化するようにしている」

カーター米国防長官は28日、上院軍事委員会の公聴会で、中国がスカボロー礁を埋め立てる可能性について、強い懸念を示した。

スカボロー礁はフィリピン北部ルソン島の約200キロ西にあり、中国が実効支配している岩礁や人工島の中で、米軍が利用している旧米海軍基地のスービック湾や、クラーク旧米空軍基地などに最も近い。

スカボロー礁 ランドサットから撮影
 米海軍のジョン・リチャードソン作戦部長は今年3月、中国艦船が同礁周辺で測量を行っていることを指摘し、「新たな人工島を造成するための埋め立ての前兆だ」とみていることを明らかにした。

中国の挑発行為を黙ってみている米軍ではない。

米太平洋空軍は29日までに、スカボロー礁近くの上空を、今月19日から21日にかけて米軍のA10攻撃機(サンダーボルトII)4機と、HH60救難ヘリ2機が警戒監視のため飛行したと発表した。A10は米軍が「航行の自由」作戦を実施している地域での軍事力補強のためで、数週間、同様の飛行を続ける。

A10は冷戦時代、ソ連軍機甲部隊を食い止めるべく開発された対地攻撃専用機で、「最強の地上攻撃機」と呼ばれる。湾岸戦争などで大活躍した。中国の測量・埋め立てへの強烈な牽制になるとみられる。

米軍のA10攻撃機

これに対し、中国国防省の呉謙報道官は28日の定例記者会見で、「中国に対する政治的、軍事的な挑発であり、不測の事態を招きやすく危険だ。海空で監視を続け必要な措置を取る」と批判した。

オバマ米大統領の残り任期が来年1月に迫るなか、中国は「軍事的衝突を避ける傾向があるオバマ氏のうちに、南シナ海の支配力を強化する」と考えているフシがある。

史上最強の米軍としては、これ以上、中国に好き勝手させるわけにはいかず、「関係国やアジア太平洋地域の安定化に向けて、公海での航行や公海上空の飛行の安全性を促進する」(米太平洋空軍)としている。

【私の論評】日米はいつ実行動を起こすのか?その時を定めておくべき(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事に出てきた、A10 サンダーボルトⅡの性能などについては以下の動画をご覧ください。


この動画をご覧いただければ、A10は地上攻撃に特化した航空機であり、さらに現状では最強の地上攻撃機であることがわかります。

この航空機の持つ特性から、これだけでスカポロー礁の攻撃を行うことはできないかもしれませんが、他の航空機やミサイルなどによりピンポイントで、中国側の地対空ミサイルなどを破壊し終わった後で、地上の戦車や兵舎や滑走路などの施設を破壊するには、最も効果的な兵器であることが理解できると思います。

これが、スカボロー礁の近くを4機も警戒監視のため飛行したというのですから、中国側としては、かなり神経を尖らしたものと思います。

それにしても、中国側としてはいくら米国がこのような示威行動を行ったにしても、所詮示威行動に過ぎず、実力行使はしないであろうと踏んでいると思います。

南シナ海の中国の暴挙については、数年前からマスコミなどでも報道するようになりましたが、中国南シナ海への進出は1980年代から始まっていました。すでに、20年以上もの歴史があります。

今から22年前の、1994年にフィリピンが実効支配していたミスチーフ礁(中国名: 美済礁)を中国が占拠して建造物を構築したいたことを、1995年2月フィリピン政府が公表しました。

以下に動画と写真で、その歴史の一部を掲載します。

「無から有へ」。占領当初のファイアリー・クロス礁。これが今はとんでもない規模に!

中国によるベトナム侵略の証拠
環礁上の構築物も当初はこの程度の掘っ立て小屋にすぎなかったのだが・・
そんなに前から徐々に進出して、最近では大規模な埋め立てを行い、滑走路まで構築するようになったわけですから、中国側としては、南シナ海の環礁をすでに長期にわたって実効支配しており、もう自分たちの領土のように思っています。

さらに、この間この海域では、かつての中ソ国境紛争のような大掛かりな紛争や、中ロ国境紛争で屈辱的な敗北を味合わされ、ロシアに一方的な譲歩をしたということもなく、周辺諸国も、米国も結局は中国に対して実力行使もしてきませんでした。

だから、中国側としては、米国も周辺諸国も自分たちの行動を認めてきたと判断していると思います。残念ながら周辺諸国は、中国から比較すると軍事的にあまりに非力で、中国の意図をくじくこともできませんでした。

しかし、過去のいずれかの時点で、米国は、中ソ国境紛争のように本格的に中国に対峙すべきでした。


中国側は、上記の九段線が中国の領海であると主張しています。しかし、この九段線は、そもそもが中華人未共和国の、国民党軍の高官が酔っ払ったときに、これが中国の領海だとしたとルトワックの著書『中国4.0』に掲載されています。

そもそも、中国が南シナ海の九段線が自分たちの領海であると主張する根拠はこれだけであり、何の根拠もありません。

そこを20年以上にわたって執拗に自分たちの領海であると主張し続け、今日に至っているのですから、今後も中国はこの路線を継続すると考えるべきです。

だとすれば、これはどこかで止めなければ、中国はどこまでも突き進むのは、必定です。

もうすでに、中国は環礁に滑走路まで構築し、完璧に軍事基地化しています。このまま放置しておけば、中国の軍事基地はさらに増強されることになります。

そうして、その果てにあるのは、尖閣諸島を奪取して、これも軍事基地化することです。その後には、沖縄奪取、それがすめば、第一列島線、第二列島線までの進出です。

それが完成すれば、日本奪取です。その後は、ハワイより西側を自分達の領域にする腹です。過去の中国の動きからして、彼らはこれを何年かかってもやり遂げる腹です。


2014年には、上の地図が、「中国2050年の国家戦略地図」がネット上で話題になっていました。これは、中国外務省から流出されたとの噂がありました。この地図です台湾や朝鮮半島、インド、ベトナム、日本までもが中国の領土として記載されていました。

更にはインドネシアやオーストラリアも中国と同じ色になっており、アジア太平洋地域が全て中国の物となってしまっています。

ネット上では「誇大妄想」などと言われていますが、実はこの計画を示唆する言葉が中国の軍関係者から飛び出ています。数年前に米太平洋軍司令官(海軍大将)のキーティングは、議会証言で中国軍幹部からある「提案」を受けたことを明らかにしました。

それによると、2008年に中国軍幹部が「太平洋のハワイから東部を米国が、西部を中国が取るというのはどうか」という提案をアメリカ海軍大将に持ち掛けたとのことです。更にはその2年前にも胡錦濤国家主席が軍会議で、「中国は海洋大国である」と宣言し、「海洋権益を擁護するために強力な海軍が必要だ」と述べました。

その後、中国は南シナ海に面した場所で続々と大型の軍艦が入港できる海軍基地の建設を開始しました。2014年には、ベトナムの漁船と中国海軍がぶつかっていましたが、これもその計画の延長線上で発生した事です。

ただし、この地図はどうも中国が作成したものとは思えません。そもそも、中国語表記におかしなところがありまます。さらに、周辺諸国が全部中国の植民地になっているにもかかわらず、パキスタンやミャンマーが独立を維持しているというのが解せません。

他にも、辻褄の合わないところがあります。中華人民共和国が計画的な移民浸透作戦を繰り広げているアフリカが領土化されていません。中華人民共和国よりも人口が多くなっているであろうインドが領土化されています。大中華構想”の北限目標である“悲願のバイカル湖”が領土化されていない

中国共産党というか、漢族から見た中華思想による他地域の統治は以下のようなものです。

かつて漢族に朝貢外交していた地域は全部、漢族のものである。しかし、漢族が大多数を占めてないと不安なので、人口の多い異民族地域は領土にしないし、異民族が多数を占めることを避ける傾向があります。

現在でも、その傾向はひきつがれていて、モンゴル族、ウイグル族、チベット族などの異民族とは、直接関わりたくないので自治権を与えて懐柔するという政策をとっています。

漢民族は、もともとそういうヘタレなので、漢族は大帝国を築いたとしても、結局は人口の少ない側にいつも歴史的大敗を喫するということを繰り返しました。

この地図だと、漢族の人口よりも異民族の人口がはるかに多いことになります。この地図はどうも、漢族が作成したものとは思えません。

結論から言えば「これは中国語が多少解るパキスタン人等が作成したいたずらに過ぎないと私は思います。そもそも、漢族がこのような大帝国をつくり、すべてを自分の直轄にするなどということは考えられません。過去において、現在の中国も含む最大の版図をつくりあげたのは、漢族ではありません。それは、モンゴルです。

東は日本海から西は地中海に至る史上最大の帝国”モンゴル帝国”
しかし、そうは言っても、このような地図が作成され、ネットで話題になったのは、中国の高官による、「太平洋のハワイから東部を米国が、西部を中国が取るというのはどうか」という発言もあったからでしょう。

私自身は、この高官の発言は、漢族のセンスから言っても、ハワイから西部を中国が取るというのは、何もすべてを領土にするというのではなくて、中国の覇権の及ぶ範囲にしたいという意味だと思います。

現在のアメリカはオバマが「世界の警察官」をやめたとはいいながらも、何か重大な事態が発生すれば、ロシアや中国等の覇権の及ぶ国々以外のところには、今でも軍隊を派遣できます。

それと同じように、中国の軍艦部の発言は、中国も将来はハワイより西側および、アジア一帯を自らの覇権の及ぶ範囲として、何かがあれば、軍隊を派遣できるようにしたいということを意味していたのだと思います。要するに、世界を半分にして、米中の二国間体制を築きたいという、意図の表明です。これに関しては、習近平も会談でオバマに提案しましたが、無論にべもなくオバマに断られていました。

オバマ・習近平会談
このようなことは、米国にとっては、無論のこと日本としても絶対に許すことはできません。

過去の失敗は、悔いてもしかたありません。どこかで、中国のこの動きは完璧に封じ込めなければなりません。

米国としては、上記のような順序で中国が海洋進出をはかることははっきりわかっているわけですが、いずれかの段階に来たときに、反撃を加えることを予め計画しておき、その時がきたらそれを実行するようにすべきです。

既に、示威行動だけで済むような状況ではないことは、明らかです。日本としては、少なくとも自らの領海と、領空は守り切ること、そうしてできれば、南シナ海での哨戒活動にも協力できる体制を整えるべきです。

特に東シナ海でも、領海の侵犯をしたり、尖閣を奪取しようとしたときには、具体的にどのような状況になったら実力行使をするのか、今から定めておくべきです。

そうしなければ、中国は、覇権主義をさらに拡大させ、とどまるところを知らなくなることは明らかです。

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