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2018年1月10日水曜日

仏女優C・ドヌーブさん、男性の「女性口説く権利」を擁護―【私の論評】ポリティカル・コレクトネスなどクソ食らえ(゚д゚)!


仏女優のカトリーヌ・ドヌーブさん(2017年2月14日撮影、資料写真)
フランスを代表する女優のカトリーヌ・ドヌーブ(Catherine Deneuve)さんが9日、男性には女性を「口説く自由」が認められるべきと、仏女性ら100人が連名で発表した書簡で述べた。この中でドヌーブさんらは、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)をめぐる一連のスキャンダルによって新たな「ピューリタニズム(清教徒の思想)」に拍車がかかっていると非難した。

書簡は一連のセクハラの「告発」を嘆く内容で、ドヌーブさん他、約100人のフランス人女性作家や役者、学者らが連名で発表。仏紙ルモンド(Le Monde)に掲載された。告発の流れは、米ハリウッドの元プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏が、数十年にわたり性的暴行やいやがらせをしていたとの訴えがきっかけとなって起きた。

こうした告発の波を「魔女狩り」と称し、性的自由を脅かすものだと主張する書簡には、「レイプは犯罪だが、誰かを口説こうとするのは、たとえそれがしつこかったり不器用だったりしても犯罪ではないし、紳士的な男らしい攻めでも違う」「誰かの膝に触ったり唇を盗もうとした途端に、男性たちは罰されて職場を追放されている」とつづられていた。

公開書簡はまた、ハッシュタグ「#MeToo(私も)」などのソーシャルメディアのフェミニスト運動を「禁欲的な…清浄化の波」と批判しており、「女性が、特にキャリアの上で性的暴力の犠牲となったことへの合法的で必要な抗議」が魔女狩りに変わってしまっているとも指摘した。

「女性に声を上げさせようとする解放への働きかけが、今や逆に作用しており、人々に『正しく』発言することを強要し、それに同調しない人々を黙らせ、(新しい現実に)寄り添わない人を共謀者や裏切り者として位置づけている」 (c)AFP/Fiachra GIBBONS / Jessica LOPEZ

【私の論評】ポリティカル・コレクトネスなどクソ食らえ(゚д゚)!

このニュースをTwitterで知った私は、すぐに以下のようなTweetをしました。
フランスやイタリアでは、女性を口説くのは、礼儀であるともされています。フランスやイタリアで、すべての男が女性を口説かなくなったら、とんでもないことになりそうです。

そのようなことが、世界中に広まって、それが普通になってしまったとしたら、世界はとんでもないことになるでしょう。

現在の日本にそのような風潮が広まってしまえば、少子高齢化にさらに拍車がかかってとんでもないことになりそうです。

それを考えると、カトリーヌ・ドヌーブさんの主張は当然のことだと思います。カトリーヌ・ドヌーブさんというと、フランスのミュージカル有名なミュージカル「シェルブールの雨傘」で主演女優をされた方です。

すべての台詞にメロディがつけられ語りが一切無い完全なミュージカル 1964年のフランス映画です。とにかくすべてにおいて美しい映画でした。後世に残したい名作です。久しぶりに彼女の顔を見ました。そうして、面影がまだ残っていることに驚嘆しました。

以下に映画「シェルブールの雨傘」より、抜粋した動画を掲載します。


このようなフランスの「美」を代表するような大女優が、男性の「女性口説く権利」を擁護したというのですから、その影響力も大きいと思います。

世の中がおかしなことにならないように、この主張が多くの人々に理解されると良いと思います。

このポリティカル・コレクトネスという病気、最近では日本でも無縁ではなくなってきました。たとえば、以下の記事のようことがありました。
ゼロ戦展示で論議「戦争美化になる」「史実を隠すな」 愛知県が“苦肉”の暫定展示 
間近に見ることができるゼロ戦。当時の最高の技術水準がわかるが、展示にあたっては
「戦争美化につながる」と反対の声もあった=愛知県豊山町のあいち航空ミュージアム
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の開発をきっかけに航空産業の発展を期して愛知県が昨年11月、豊山町にオープンした航空博物館「あいち航空ミュージアム」に、第二次大戦時の戦闘機「ゼロ戦」の復元機が展示されました。 
展示に際しては「戦争賛美につながる」などと反対の声が出るなど議論もありましたが、かつて世界の航空界をリードした技術の結晶として暫定公開にこぎ着けました。現代の若者にも人気を集める「ゼロ戦」。訪れた人からは「史実を隠してはならない」「公開で戦争は絶対あってはならないと訴えることも大切」といった声が聞かれました。
ドイツなどでは、メッサーシュミットなどの機体を陳列することにほとんど異論はでないそうです。イギリスでもそうです。実際、第二次世界多飲中のドイツの名機であ、メッサーシュミット Me109が、英国王立空軍博物館に展示されています。それが以下の写真です。


それにしても、もし零戦展示が戦争美化と言うなら、瓶詰・缶詰、トレンチコート、ランドセルなども使用禁止を訴えるべきということになってしまいます。これらの品々は「戦争」の中で開発、使用されたものです。

瓶詰めの開発者 ニコラス・アペール

零戦展示反対派は、これをどのように捉えるのでしょうか。ちなみに瓶詰めは、19世紀、ナポレオンの軍用食保存技術の公募に応じてアペールによって発明された瓶詰を湯煎し食品を長期保存する方法です。これは、金属容器を使う缶詰のルーツでもあるのです。

瓶詰が使われるようになった当初はコルク栓で、その上から蝋を垂らすことで密封していました。後にねじ巻式の蓋が開発され、瓶詰の蓋の主流となっています。現在でも、コルク栓が使われている瓶詰は存在します。

軍用・携帯用としては重くて割れやすい事から缶詰に取って代わられましたが、家庭用としては再度蓋ができて中身が見える事、空いた瓶を転用できる事などから現在も広く用いられています。

さて、話が少しずれてしまいましたが、上で現在の日本に女性を口説くことを忌避するような風潮が広まってしまえば、少子高齢化にさらに拍車がかかってとんでもないことになりそうであることを主張しました。

そうして、これと零戦の展示への異論(すなわち戦争忌避)とは一見関係ないように見えまずか、これは多いに関係しているところがあります。

エドワード・ルトワック氏
それは、米国の戦略家であるルトワック氏の『戦争にチャンスを与えよ』という書籍を読んでいるときに感じました。

著者のエドワード・ルトワック氏はルーマニア生まれの戦略家で、本の帯にある写真を見るとムキムキのマッチョで、いかにも喧嘩が強そうな風貌です。

本書の自伝的部分を読むと、確かに喧嘩っ早いです。少年のころ入ったイタリアの学校で、発音がおかしいと言って馬鹿にしたクラスメイトをぼこぼこに殴って退学になったそうです。

移ったイギリスの学校でも同様ないきさつで暴力沙汰を起こしました。ところが、イギリスの学校は彼を退学にしませんでした。

その理由が面白いです。学校の校長は彼の両親を呼んで、こう言ったそうです。「お宅の息子さんはまだ英語がうまく喋れないようだし、授業についてこれるかどうかも分かりません。それでも彼は大丈夫です。彼は自分の世話を自分でできるからです」

方法はどうあれ、自分に降りかかった問題を自分で解決する気力と能力がある。そういう人間を評価するのがイギリス人だとすれば、そこにイギリスという国の強さがあると、筆者は考えているように見えます。

人生のマネジメントは国家のマネジメントにつながり、それはさらに国家と国家とが渡り合う戦略につながります。その戦略によって、小さな島嶼国家が大英帝国として世界に君臨したのです。

そういう世界の現実を見るとき、戦争にはそれなりの意義があると、筆者は言うのです。戦争の意味は、戦う双方が気力でも物資でも疲弊し尽くすところにあります。そこでやっと停戦に至り、戦後の復興に取り組むことができ、平和が訪れます。。

「戦争にチャンスを与えよ」とは、そういう意味なのです。

その視点から見ると、国連やNGO、米ソなどの大国が他国の戦争に介入して無理やり休戦に持ち込むのは、戦争の真の目的を達成させないばかりか、むしろ戦争状態を長引かせ、本当の平和をもたらさないので最悪だとルトワックは指摘しています。その典型が朝鮮半島だとも言えるかもしれません。

これがルトワックの論法です。極論にも思えますが、論旨は清々しいほどに明瞭です。この他にも筆者独自の戦略論が展開されますが、いずれも論旨は明瞭。「なるほど、そうか~」と唸ることも再三でした。

例えば、今の日本は北朝鮮の脅威に対して、「何もしていない」。最悪の対応をしていると指摘しています。

ルトワックによれば、国と国との関係でできることには、
① 降伏
② 先制攻撃
③ 抑止
④ 防衛
などがありますが、現状の日本はこのどれも選択していません。今の日本の北朝鮮に対する対応は、「まあ大丈夫だろう」という無責任な態度だというのです。

そう言われれば確かに、北朝鮮がミサイルを飛ばす度に日本政府は、「遺憾だ。断固抗議する」とは談話を発表するものの、実質的には上の4つのうち、どれも選択していないようです。

さらに、もう一つ、面白いと思ったのは、「男は戦いを好み、女は戦士を好む」という筆者の人間観です。

男たちが戦争を嫌うようになれば、女たちは愛すべき戦士を失い、子どもを産まなくなるとしています。

これが今、ヨーロッパをはじめ、多くの先進諸国で起こっている「少子化」現象なのです。日本も、もちろん例外ではありません。

これは一見極論のように思えますが、考えるべき点も多いです。女性はどのような男性の子どもを産みたいと思うか、ということです。

そうして、ブログ冒頭の記事おけるカトリーヌ・ドヌーブさんの男性の「女性口説く権利」を擁護するという発言は、背後にはやはりこのようなことを意識しているのではないかと私は思いたいです。

伊藤博文 1841年10月
そうして、ルトワック氏はこの書籍で、戦争が平和につながり、平和が戦争につながるとも主張しています。長い間平和が続きすぎると、それが戦争の温床となるというのです。

実際、過去の歴史を紐解いてみると、確かに平和が長く続くと、戦争が起こっています。

男が一切戦いをしなくなり、戦士がこの世から姿を消し、男は女性を口説かなくなり、女性は戦士を失い、子どもを産まなくなり、それでも平和が続くと、やがて戦争になるということなのでしょう。

そう考えると、最近の若者の草食化などを考えると、日本はこのままでは、戦争に巻き込まれるのではないかと思ってしまいます。

これは、どこかで軌道修正しないと大変なことになりそうです。まさに「ボリティカル・コレクトネスなどクソ食らえ」と言う精神が今こそ必要なのかもしれません。

【関連記事】

2017年7月28日金曜日

【国防最前線】必要性が低い女性防衛相 圧倒的に男性が多い自衛隊、弱体化しかねない「客寄せパンダ」的施策―【私の論評】現状で、憲法9条だけが変わっても無意味(゚д゚)!


稲田防衛大臣 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
私はそもそも「女性を防衛相にする必要性は特にない」と思っている。非常時でも、すっぴんで髪ボサボサというわけにいかないだろうから、そういう意味で適さない。

 小池百合子防衛相時代も、演習場視察の前日から自衛官がひたすら散水を続けたり、動線に敷物をしたり、あれこれ心を配っていたことを思い出す。本人が知れば「そんなことは無用だ」と言うだろうが、やはり男性大臣よりも神経を使うことは確かだ(=ほとんど注意を払わせない、身だしなみなど気にしない女性ならいいかもしれないが)。

 もし、「女性活躍の象徴」として女性防衛相を選んだのだとしたら、何の意味もなさない。

 自衛隊には圧倒的に男性が多い。それは男性にしかできない任務が多いからだ。ただ、女性にできる分野もあり、これまで開放されなかった職種を希望する女性も出てきている。昨今は女性も活躍の場を広げつつあるが、それは人口減に伴う労働者不足を補わなければならない日本全体が抱える状況と同じ。つまり、人手不足が大きな要因だ。

 本来、戦場では女性は足手まといになる。女性防衛相が就任して応募が増えたというなら効果があるといえるが、おそらく、そのような成果は出ないだろう。まして、女性の魅力で(?)沖縄問題が進展したり、憲法改正に理解が広がるなどということもない。

 今後、本気で女性枠を拡大させるならば、女性防衛相を据えることなどではなく、インフラ投資のために防衛費のGDP枠2%以上へ増額など、相当の覚悟をすべきだ。スーパーマーケットとまでは言わなくても、基地や駐屯地に低料金か無料の託児所を完備するなりの徹底した措置を施した上で将来も女性を簡単に諦めさせない体制を構築すべきだろう。

今現在は「任務に全力をささげたい」と考えている女性隊員らが、ある時に価値観が変わり、家庭が優先順位のトップになることは大いにあり得る。その時に、引き留める要素が何もないのなら、それは組織の怠慢となる。

 しかし、問いたいのは、それだけの投資・支出を国民は許容できるのかだ。

 莫大(ばくだい)な経費を要するミサイル防衛、サイバー、宇宙など、日本の防衛に必要な金はまったく足りていない。それらを抑えてまでやるのか? あるいは別枠予算でも付けるか?

 マンパワー獲得という真の目的からかけ離れた、「客寄せパンダ」的な安易な施策では、自衛隊が弱体化しかねない。防衛省をめぐる一連の騒ぎは、自衛隊PKO(国連平和維持活動)のあり方、女性活用の今後を熟考する契機にすべきではないだろうか。 

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 防衛問題研究家。1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。テレビ番組制作などを経て著述業に。防衛・安全保障問題を研究・執筆。著書に『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出版)、『自衛官の心意気-そのとき、彼らは何を思い、どう動いたか』(PHP研究所)など。

桜林美佐さん

【私の論評】現状で、憲法9条だけが変わっても無意味(゚д゚)!

ブログ冒頭の桜林美佐氏の、論評はやはり女性の軍事問題研究科だからできるというとろがあると思います。男性や、軍事の素人ではなかなか、ここまではっきりとは書けないです。このようなことを男性が書くと、女性差別主義者であるとみなされてしまうかもしれません。

それに、誰が正しいとか、誰が間違いなどというような、倒閣のために自衛隊を利用する輩共とは異なり、不毛な議論ではなく、何が正しい、何が間違いという観点から論じていて、理解しやすいですし、こういう論点なら、正しい意思決定のきっかけづくりにもなりえると感じました。

対戦車ヘリのパイロットの訓練を受ける女性自衛官
私も、女性の防衛大臣は必要ないと思います。これは、直接は関係ないのかもしれませんが、たとえば戦場で戦闘中に用を足すことを考えた場合、女性はなかなか難しいと思います。

昔聴いた話ですが、戦闘中に用を足したくなった場合は、無論我慢はするのですが、我慢しきれなくなった場合、米兵のほとんどは戦闘のその場で、銃をうちながら、大便でも小便でも、用を足すのが当たり前なのですが、日本兵は特に大便の場合など、人目をはばかり、人の見えないところまで行って用を足すものが多く、その間に敵から撃たれるものが結構いたという話をきいたことがあります。

これは、当然のことながら、米兵のやり方が正しいです。戦闘中には、その場で銃をそばにおきいつでも敵に対応できるようにして、用を足すべきです。

1945年3月 硫黄島 
このようなことは、確かに女性には難しいことだと思うのです。とはいいながら、女性のほうがが向いている役割も多いです。

しかし、そうはいっても、桜林さんが主張するように、「女性活躍の象徴」として女性防衛相を選ぶというのは、全く無意味だと思います。

そうして、桜林さんの語っているように"マンパワー獲得という真の目的からかけ離れた、「客寄せパンダ」的な安易な施策では、自衛隊が弱体化しかねない。防衛省をめぐる一連の騒ぎは、自衛隊PKO(国連平和維持活動)のあり方、女性活用の今後を熟考する契機にすべき"です。

自衛隊に関しては、憲法9条を変更する前に、できることは多くあります。また、憲法9条が変わったとしても、自衛隊がすぐに変わることを意味するわけでもありません。

それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。
【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
安倍内閣で防衛費が5年連続増額しているのを、評価する向きもあるでしょう。しかし、防衛費1%枠などという何の根拠もない霞が関の掟を頑なに守っている枠内での話に過ぎません。 
トランプ米大統領は、「同盟国は義務を果たすべきだ。せめて防衛費を文明国水準のGDP2%にまで引き上げよ」と訴えています。 
これは大きなチャンスです。増やせば良いのです。これだけ北朝鮮が暴れまわり、中国やロシアといった不安定要だらけの隣国に囲まれているのです。日本が防衛費をGDP2%に増やしたとて文句を言うのは敵国だけです。 
しかし、国内には防衛費増額を拒む勢力がいます。財政支出抑制を金科玉条とする財務省主計局、彼らに唯々諾々と従う防衛省自衛隊、そしてそれを是とする政治家。
ある自衛隊の駐屯地でのトイレットペーパーに関する注意書き。予算の問題はこんなところにも。
防衛費増額と憲法は何の関係もありません。それとも、自衛隊が、「米軍並のファーストエイドキット携行できるにようにするとか、軽武装をできるだけの人数を充足させる、アメリカ軍楽隊よりもマシな訓練を行えるようにする、トイレットペーパーの減り具合を気にしないで済むようになする」というような、これらの予算請求もすべて憲法改正をしなければできないのでしょうか。そんな馬鹿な話があるはずがありません。
平成27年度自衛隊音楽まつりに参加した米軍の軍楽隊
本気で戦争に備えているのであれば、防衛省は予算の拡大を要求するはずです。現状を見るに、自日本の本気で戦争する気は無いように思えます。このような現状は仮想敵国には見透かされているでしょう。であれば、自衛隊の抑止力はかなり低いと考えられます。 
憲法を改正する以前に、努力してより自衛隊を実戦的に変えることは可能なはずなのです。ところが威勢のいいことを言う「保守の論客」はこのような小さな問題をコツコツと掘り起こし、解決しようという地道な努力をしようとしません。 
世論を煽り、新しい玩具を買え、防衛費を増やせ、自衛隊の定員を増やせ、憲法を変えろと叫ぶだけです。まあ、その方が楽だし人気もでるのかもしれません。しかし、いくら喰うためとはいえ、そんなことで良いのでしょうか。 
できるかどうかもわからない、非常にハードルが高い憲法改正を叫び、それが出来れば世の中は変わると主張し、小さな努力はしない。それでは沖縄で反基地闘争をやっている連中と同じではありませんか。
私は、憲法9条を変えるという安倍総理の考えには、賛成ですが、 その前にできることはするべきです。

そうして、憲法9条を変えさせまいとする野党や、マスコミが、ここにきて一気に日報問題で、稲田防衛大臣を辞任に追い込みました。

稲田大臣は、確かに安倍内閣の中で最も評判が悪い閣僚になっていました。失言も多く、メディア出演・答弁・記者会見も頼りないものでした。記者懇談会に出ないこともあってメディア等からの視線も厳しく、連日連夜、稲田大臣と彼女を支えている統幕・内局に不利な一部の陸自幹部からと思しきリーク情報が報道されていました。

政治指導者の過ちをただし国民に直接説明するという姿勢は一見もっともらしいですが、極めて危険です。なぜならば「国民」とは実際にはひとかたまりではなく、多種多様だからです。

「国民のため」という発想は、「天皇陛下の御為」「国民の為」を掲げた226事件がそうであったように、「自分と同じ考えの国民」という独善に陥りやすいです。だからこそ、今回のリークはクーデターであり、重大なのです。

日本を震撼させた2.26事件
このことを野党やマスコミも指摘すべきであるにもかかわらず、普段は過去の軍部の暴走の危険を例に出し、文民統制の重要性を指摘しておきながら、今回は、目的があくまで倒閣なので、稲田防衛大臣個人や、安倍政権を攻撃するだけです。

とはいいながら、リークの全てを否定するものではありません。例えばパワハラ等への内部告発はもっと行われるべきです。しかし、それはあくまでも文民統制に反しない限り、つまり政治的活動に関与しない範囲であるべきなです。
しかし、それにしても、稲田大臣が辞職し、制服組がリークによって大臣を辞職させ、首相の政治生命すら危うくさせたという前例を作ってしまったということは非常に残念であるし、かなり危険なことでもあります。

なぜなら、今後の防衛大臣が陸自に対して“忖度”せざるを得なくなってしまう可能性があるからです。その結果、陸自の不祥事を追及できず、陸自も含めた防衛省改革が不可能になるおそれがあります。

要するに、今後、稲田大臣に変わって優秀かつ能力があり、熱意あふれる防衛大臣が誕生し、改革を断行しようとしても、真偽不明の内部リークで潰されてしまう、もしくはそうされることを恐れて断念してしまう可能性がでてきたのです。

こうした事態を避けるため、今回の日報問題を踏まえた文書管理のありの方針を決めるべきです。それこそが、本来稲田大臣がとるべき責任であったはずでし、それを稲田大臣にやらせるべきでした。辞任はその後でも良かったはずです。

南スーダン派遣自衛隊日報
部隊がどこいるか補給物資や弾がどれくらいあるかといった部隊の安全に関わる情報が満載された何十ページにも及ぶ日報が、その都度、情報公開請求されれば、部隊にとっては大きな負担になります。

今回のように、その都度情報公開の判断をさせれば、部隊の活動の政治問題化、部隊への政治介入が起こり、部隊にも隠蔽のインセンティブが働いてしまうことになります。このままでは現場の部隊は、上級部隊に何も意味のある報告できなくなり、現場と上級舞台は、分離されてしまうことになります。そんなことになれば、自衛隊は崩壊します。

これらの日報は自衛隊全体では、膨大なものになります。これを逐一、政治家などが日々全部読んで、様々な判断をするなどということは不可能です。無論、自衛隊の幹部などもそのようなことは不可能です。

現場の日報は、何のためにあるかといえば、当該部署の1年間の流れを把握するという意味もあると思います。はじめてその部署についた人でも、日報をみれば大体の流れをすぐに把握できます。だから、現場で日報をある期間保存するというのは当然といえば、当然です。3年間くらいは保存したいところでしょう。5年前のものだと、随分状況が変わっているので、現場でも破棄しても良いかもしれまん。

そこで今後は、このような現場の実情も踏まえて、文書管理の方法を設定すべきです。PKO部隊なら活動が終わった直後あるいは年一回を区切りとして、他の部署なら3年に一回として、活動終了後3年といった公開時期を設定し、あらかじめ公開すべき内容と公開すべき範囲、非公開にすべき内容を定め、特異な事象が発生した場合には即公開するといった基準を設けるべきです。

こういうと、すべてをのべつまくなくリアルタイムで公開すべきであるという愚かな人もでてくる可能性もありますが、この日報は、いわば軍隊のものであり、そもそも最初から公開すべきでないものもあります。たとえば、部隊の脆弱性に関するものなど、一般に公にすれば、仮想敵に対して有益な情報を与えるだけになります。あるいは、当初は重要でなかったものが、後で重要であることがわかるということもしばしばあるはずです。

このあたりも、他国の軍隊のやり方を見習い、慎重に定めるべきでしょう。それから、稲田大臣は辞任しましたが、今後の議論が稲田大臣個人の問題や、安倍総理個人の問題に矮小されることなく、文民統制や日報管理のあり方、そもそも一義的な文民とは国民なのか、政治指導者なのか、まともに議論されべきものと思います。

そうして、憲法9条を変えることも重要なのですが、その前に文書管理等を明確にし、予算も増やすべきです。そうして、文書管理をまともにするためには、他の事柄もかえなくてはないらないことがいろいろと出て来るはずです。それも逐次変えていくべきです。今の状況で、憲法9条だけが変わっても、無意味です。

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2017年1月15日日曜日

男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか―【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派 という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか

総務省が2016年10月発表した平成27年国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、初の減少に転じた日本の総人口。厚生労働省がまとめる人口動態統計の年間推計でも2016年に生まれた子どもの数が1899(明治32)年の統計開始以来、初めて100万人を割り、98万1000人にとどまる見通しであることが明らかになりました。こうした少子化の最も大きい要因として挙げられるのが結婚しない男女の増加です。

人口減少時代

 未婚者が結婚しない理由には何が考えられるのでしょうか。平成28年版少子化対策白書(内閣府)から探っていきます。

9割弱が「いずれ結婚するつもり」…でも「結婚資金が足りない」未婚男性の3割

 白書によると、国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査(独身者調査)」では、「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者(18~34歳)の割合は、2010年で男性86.3%、女性89.4%でした。1987年時の男性91.8%、女性92.9%よりは下がりましたが、結婚に対する意欲は高い水準にあるといえます。

 また、未婚者(25~34歳)に独身でいる理由を尋ねたところ、「適当な相手にめぐり会わない」の選択肢を選ぶ割合が男性46.2%、女性51.3%と最も多く、次いで「まだ必要性を感じない」男性31.2%、女性30.4%となりました。しかし一方で、男性は「結婚資金が足りない」(30.3%)も大きな理由になっています。(2010年第14回調査結果、回答は選択肢から3つまで選択可)

高年収ほど結婚している割合が多くなる

 では、収入の違いが、結婚に影響しているのでしょうか。25~29歳、30~34歳、35~39歳の各年代で年収別に配偶者がいる男性の割合を比べてみました(グラフ1)。すると、25~29歳の年収100万円未満の男性では、結婚している割合は1割を切りますが、500万円以上の年収がある場合、およそ半数が結婚している結果になっています。


 年収が高いと既婚者が増える傾向はほかの年代も同様で、30~34歳は年収500万円以上でおよそ7割が結婚、有配偶者率の最も多い年収800~899万円は、87.4%になりました。35~39歳の場合は、年収200万円未満の場合、配偶者がいる比率は4割に届きませんが、500万円以上になるとおよそ8割に。結婚している割合が最も多い800~899万円は88.8%にのぼりました(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 ちなみに平成27(2015)年国政調査によると、男性の有配偶者率は25~29歳26.3%、30~34歳50.8%、35~39歳は61.7%です。グラフ1を見ると、25~29歳と30~34歳は年収300万円以上、35~39歳は年収400万円以上になると、その割合より多く家庭を持っているとわかります。

若い世代の収入は20年前と比べ、低所得にシフト

 それでは若い世代(20、30代)はどのくらいの所得の人が多いのでしょうか。1997(平成9)、2007(同19)、2012(同24)年の所得分布を見てみます(グラフ2)。すると20代の雇用者では、1997年時は年収300万円台が最も多かったのに対し、2007、2012年になると300万円台の比率が低下、200万円台前半とほぼ同じ割合になっています。


 30代では、1997年には年収500~699万円台が4分の1近く占めていましたが、2007、2012年は300万円台が2割弱で最も多く、500~699万円の収入を持つ割合は15%前後にまで落ち込んでいます。1997年から10年間に20、30代の所得分布は低所得層にシフトし、その状態が続いている、と白書は指摘しています。

 また、正社員の男性は25~29歳31.7%、30~34歳57.8%が結婚していますが、パート・アルバイト雇用の男性は25~29歳7.4%、30~34歳13.6%と有配偶者率が大きく下がり、就労形態によって家庭を持つ割合に大きな違いが生じていることがうかがえます(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 国挙げて、働き方改革の取り組みが必要とされていますが、若い世代の雇用のあり方や収入を増やすことができるかが、未婚率に影響しそうです。

【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派
という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

上の記事を読んでいると、いろいろと分析はしているのですが、肝心要の結論は、結局のところ若者の雇用を増やすことと、収入を増やすことができるかが、未婚率に影響することを言っているのですが、それに対する解決法に関しては何も触れていません。

なぜ、こういうことになるかといえば、この記事を書いている人の頭の中に、金融政策と雇用とは密接に結びついているという事実が全く欠落しているからです。

現在若者の雇用そのものについては、アベノミクスの一環であった金融緩和政策により、かなり改善されて良くなっています。

それについては、何度かこのブログにも掲載しています。その記事の最新のもののリンクを以下に掲載します。
人手不足は金融緩和による雇用改善効果 さらに財政政策と一体発動を―【私の論評】年頭の小さな変化に気づけない大手新聞社は衰退するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 年末年始は人手不足などの事情で宅配便の遅配が生じたという。また、ファミリーレストランでは24時間営業をやめるところも出てきている。 
 筆者は日用品でも宅配便を利用しているが、たしかに筆者のところへの宅配便も遅れた。それほど緊急性のないものだったので別に気にしなかったが、到着予定日より2日ほど遅れたものもあった。 
 百貨店も昔は元日営業が当然だったが、元日は休みで2日から初売りも多くなり、一部では3日から初売りというところも出てきている。さらに三が日は休業し4日からの初売りを検討するところもある。これらの正月休業の動きは従業員に配慮する観点からとされている。 
 いずれも人手不足感が出てきた証拠であり、これまでアベノミクスで金融緩和を続けたことの成果だといえる。
そうして、これを裏付けるような統計資料もあります。そのグラフを以下に掲載します。


このグラフにも示されているように、昨春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高となった。高卒の就職率も同じような状況です。

さて、失業率が下がっていることについて、「生産年齢人口の低下によるものだ」と主張する人がいます。しかし、この議論は、「デフレの原因は人口減少だ」というのと同じくらい、間違った考え方です。

それは、生産年齢人口が増えていた以前の方が、失業率が低かったことからもすぐ分かります。こうしたトンデモない議論をする一部の識者や経済評論家は、統計データのリテラシーに欠けていると言わざるを得ません。

失業率と生産年齢人口の推移をみても、最近の失業率の低下は生産年齢人口の低下によるものだとの結論にはなりません。まともに統計分析すれば、生産年齢人口はコンスタントに減少する一方、失業率は景気によって上下するので、傾向を除去して考えれば両者は無関係であることが分かります。

失業率は、労働力人口から就業者数を引いたもの(完全失業者)を労働力人口(就業者数+完全失業者)で除して定義されるものです。労働力人口は15歳以上の人口で、生産年齢人口は15歳以上65歳までの人口であり、両者はパラレル(並列的)な概念です。労働力人口(生産年齢人口)が減少するとき、それを所与として経済状況によって就業者数が決まってきます。なので失業率は分子も分母も労働力人口の動きを見込んだものとなり、景気だけに左右されます。



マクロ経済の基本概念として、総供給と総需要の差である国内総生産(GDP)ギャップがあります。景気の良し悪しは、GDPギャップで計ることもできます。

金融緩和と財政出動はともにGDPギャップを縮めます。短期的な効果は財政出動の方が強いが中長期的には金融緩和も効果が出ます。となると、継続的に実施しやすい金融緩和の方が、失業率低下の累積効果は大きくなります。

財政出動は公的部門の有効需要を直接創出するので分かりやすいです。一方、金融緩和については、実質金利の低下、為替安などによる民間部門の有効需要への効果は、短期的には少ないが、長期的な累積額でみると大きく作用します。民間部門の有効需要創出なので、効果ラグ(時間のずれ)があって民間雇用に効いてきます。

こうしたマクロ経済学の理解があれば、金融緩和が失業を減らすということも分かるはずです。そうして、インフレ目標は緩和しすぎないための歯止めになります。

雇用を守るべき立場のはずの日本の左派系識者や経済評論家にはそうした常識が欠けています。しかし、実は右派にもそのような常識に欠る人が多いです。

金融政策と雇用の関係はマクロ経済学の基本中の基本です。日本では、金融政策を正しく理解している人がその知識に基づいて様々な主張をしているにもかかわらず、そのような主張をする特殊なグループであるかのように「リフレ派」と呼ばれ、特殊扱いされてしまいます。

私は、このブログでマクロ経済学の基本から、全くたり前の主張をしていたにもかかわらず、Twitterで「リフレ派」と呼ばれて批判されてしまい、釈然としなかったことが何度かあります。

そもそも、世の中に「リフレ派」なる派閥が存在し、日々会合を開き、意見を集約させているなどということは聞いたこともありません。

そして、もし、「リフレ派」なる集団が存在するとしても、彼らはただ「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」という考えを共有するだけであり、その他の政策については必ずしも意見の集約はないようです。

デフレ対応をめぐって、いろいろ分析した方のブログ記事から、リフレ派、デフレ派の分類を以下に掲載します。


この分類では、広義リフレ派をいくつかに分類していますが、その共通項は結局、「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」ということです。

そうして、気づいたことが一つあります。それは、「リフレ派」という言葉自体が、日本には存在しますが、日本以外の国には存在しないという事実てす。そうなのでは、「リフレ派」などという言葉は、米国にも英国にも、その他の国々にも存在しません。

リフレ派もそうなのですが、「リーマン・ショック」という言葉も外国には存在しません。これは、純然たる和製英語です。

リーマン・ブラザーズが破綻して、経済に悪影響を与えた直後各国の中央銀行の動きを振り返ってみると、直後に景気が落ち込み、これに対処するために、各国の中央銀行は、大規模な金融緩和に踏み切りました。

緩和の量的規模や、期間はまちまちにしても、ほとんどの国が大規模な金融緩和に踏み切ったのは事実です。しかし、唯一例外がありました。それは、日本です。日銀だけは、大規模な金融緩和に踏み切らなかったため、どうなったかといえば、強烈な円高と、当時日本はデフレだったのですが、さらに強烈なデフレスパイラルに見舞われることになりました。

そのため、震源地であるアメリカや、かなり大きな影響を被った英国など含め金融緩和に踏み切った国々が、いちはやく不況から脱したにもかかわらず、日本はなかなか不況から脱却することができず、世界の中でひとり負けの状態になりました。

しかし、この時いわゆるリフレ派と言われる人々は、無論私も含めて、日銀は大規模な金融緩和に踏み切るべきだと主張しましたが、他の人々はそうではありませんでした。

そのため、リーマン・ブラザーズ破綻の悪影響が、日本にだけ長期間にわたり深刻な事態をもたらしました。その悪影響があまりに大きかったので、日本では「リーマン・ショック」という言葉が生まれたのでしょう。

しかし、現実には、日本はサブプライムローンの悪影響などほとんなかったので、本来はリーマン・ブラザース破綻の悪影響はなかったはずなのですが、日本以外の他国がこぞって大規模な金融緩和に走ったにもかかわらず、日本だけはそうしなったため、あれだけ深刻な状況を招いてしまったのです。

こうして、考えてみると、「リーマン・ショック」の原因は、金融緩和すべきときにしなかったこと、「リフレ派」は「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」と主張する人々のことであり、両方とも金融緩和という共通項があります。

そうして、「リーマン・ショック」「リフレ派」という言葉が、日本には存在するものの、日本以外にはないというこの事実から、はっきりわかることは、やはり日本では「金融政策」の重要性が日本以外の国々のようには理解されていないということです。

そうして、日本でほとんど未だに理解されていないのが、雇用と金融政策の関係です。

さて、ブログ冒頭の記事の、未婚率を減らすために、「若者の雇用を増やすことと、収入を増やす」ことのうち、若者雇用を増やすことはもうすでに実現されていることを述べました。もう一つは、収入を増やすという部分です。

これは、実質賃金などが未だ上昇してないという事実があり、まだ達成されていません。のでは、これを達成するにはどうすべきかということになりますが、それを実現するには、マクロ政策的に観点からは、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。無論、積極財政もすべきですが、これは比較的短期間で効き目が薄れてきます。

本格的に賃金をあげるためには、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。その根拠として、このブログでは、過去に完全失業率について掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日銀の資金供給 8か月連続で過去最高を更新―【私の論評】金融緩和政策は限界でなく、まだまだ不十分なだけ(゚д゚)!
過去の失業率の推移

さて、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このブログでは、上の過去の失業率の推移のグラフから、日本の完全失業率は2.7%程度あろうということを掲載ました。

そうして、現在の日本は、物価目標2%も達成されておらず、さらに完全失業率も3%を切っていない状況なので、追加の量的緩和が必要であることを主張しました。

しかし、このことはいわゆる「リフレ派」以外の人にはなかなか理解不能のようです。しかし、本来的にマクロ経済的な観点からすれば、これはきわめてまともな主張です。

日本では、そもそも「リフレ派」とか、「リーマン・ショック」という和製英語があるように、他国と比較すると、マクロ経済の基本的なことが理解されていないのです。

それにしても、特に若者は、若者の雇用状況が新卒の就職率の良さによって、かなり改善されたことを理解している人もかなり多いことですから、20・30代の所得をあげるには、まずはさらなる量的金融緩和を実施し、2%物価目標を達成するのは、無論のこと完全失業率を2.7%台にもっていくことが、前提条件であるということを理解して頂きたいです。

そうして、理解するだけではなく、そのような主張をするとともに、選挙のときには、まともにマクロ経済を理解している政治家に投票するように行動すべきです。

若者かそのように率先して行動すれば、やがて日本からも「リフレ派」なる言葉は消えて、マクロ経済に関してまともになり、政府がデフレを長期間放置して、若者を苦しめるということはなくなると思います。

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2014年7月14日月曜日

若い世代「幸福度」低め 女性より男性さらに低く ―【私の論評】ちょっ待ってくれ、若い世代が「幸福度」低めなのはあたり前ではないかい?日本は、過去15年以上もデフレのど真ん中でありそれが不幸の最大の原因だから(゚д゚)!

若い世代「幸福度」低め 女性より男性さらに低く 

デフレ下では若者の幸福度が低いのはあたり前ではないか?

高齢者に比べて若い世代の「幸福度」は低め――。厚生労働省が20~80代の男女を対象にした健康意識に関する調査で、こんな傾向が明らかになった。仕事や職場の人付き合いに悩みがある人の方が幸せを感じておらず、厚労省は「仕事上のストレスが現役世代の幸福度を押し下げている」と分析している。

今年2月、全国の20~80代の男女5千人からインターネットで回答を得た。調査結果は8月ごろの閣議に報告する2014年版の厚生労働白書に盛り込まれる。

自分がどの程度幸せかを10点満点で尋ねたところ、平均は6.38点。世代別では、65歳以上は6.92点だったが、40~64歳は6.25点、20~39歳は6.03点と若い世代ほど低かった。性別でも差があり、女性全体の6.62点に対し、男性全体は6.12点だった。

この記事の続きはこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ちょっ待ってくれ、若い世代が「幸福度」低めなのはあたり前ではないかい?日本は、過去15年以上もデフレのど真ん中でありそれが不幸の最大の原因だから(゚д゚)!

上の記事、重要な視点をすっかり忘れています。それは、この日本は長年デフレが続いているということです。もう15年以上もデフレが続いています。確かに、アベノミクスの包括的金融緩和によって、景気は回復しつつあります。

ただし、今年の増税により、33年一回というくらいの水準で5月にはかなり消費が落ち込みました。日本は、まだまだデフレからは脱却できていません。

デフレという状況は、現在はともかく過去においては諸外国では珍しい状況でした。だから、多くの人々はデフレの状況を知りません。欧米における長期デフレといえば、金融恐慌のときです。あの金融恐慌の原因は、様々に憶測されていましたが、1990年台の研究により、今ではデフレということがはっきり解明されています。

だから、直接経験した人はもうほとんど生存しておらず、たとえかろうじて生存していたとしても物心のついていない時の話であり、多くの人達にとって伝承によるものでしかありません。

しかし、その伝承においても様々な艱難辛苦に悩まされたという事実が継承されています。世界恐慌は、深刻なデフレであり、このような過去の話からもデフレにおいては、多くの人々が幸せを感じるなどということはないということが理解できます。

ちなみに、NHKで過去に放映された「大草原の小さな家」は、大恐慌すなわち、深刻なデフレの時に、父親が投資に失敗して、生きるために田舎暮らしをはじめたインガルス一家の、一人の女の子を主人公とした物語です。

「大草原の我が家」のインガルス一家
あの物語は、単なる開拓者精神の物語のようにも受け取られていますが、現実はそうではありません。深刻なデフレによって、都会暮らしができなくなった一家が田舎暮らしを余儀なくされ、それでも健気に生きていくという、大恐慌にもめげず、創意と工夫で生きたあの時代のモニュメント的な作品なのです。

あの番組がアメリカでも評判になっていたのは、深刻のデフレ時代の先人の苦労が各々の家庭にも伝承されており、それが共感を読んだためでもあります。

日本は、その頃は貧乏ではありましたが、それにしても、世界恐慌により甚大な影響を受けていたのはほんの短い期間であり、第二次世界大戦前には、高橋是清のりフレ政策によって、完璧にデフレから脱していました。アメリカが本格的にデフレから脱客したのは、第二次世界大戦突入からしばらくしてからでした。

このような事情を知らない多くの日本人は、「大草原の小さな家」を単なる開拓者精神や、のどかな田舎の牧歌的な生活の物語と思っているようです。

欧米でも、デフレのときは、何をやってもうまくはいきませんでした。雇用が悪化、賃金が下がり、特に若者にとっては将来に夢や希望を持てない時代でした。何かを是正すると他の何かが駄目になるという状況で閉塞感にさいなまされました。

デフレにおいては、物の値段が下がり、賃金が下がり、雇用が悪化します。しかし、デフレにおいては、急激に物価が下がったりせず、じわじわと下がっていきます。それは、最大でも年率では2%くらいです。インフレでもハイパーインフレだと、年間で者の値段が2倍とか、10倍、場合によっては100倍にもなって、誰の目にも明らかに理解できます。

ハイパーインフレに見舞われたジンバブエ、少しの買い物をするにも、こんなにお金の
持ちあせがないとできなくなった。デフレはじわじわ進むため、多くの人が認識できない。

しかし、デフレは、じわりじわりとやってきますので、多くの人々が認識できないうちに、だんだと悪くなっていきます。実際、そういうこともあって世界恐慌の真の原因がデフレであったこともなかなかそれが解明されず、はっきり解明されたのは、1990年台のことです。これが、解明される前には、それこそ、ユダヤ陰謀説とか、アメリカ陰謀説その他、妙ちくりんな様々な説が流布されていました。

今の日本も似たような状況になっています。日本は、世界恐慌のとき(日本では昭和恐慌)に、高橋是清のりフレ政策によって、素早くデフレ状況から脱却しました。しかし、この当時はケインズの理論(金融政策ならびに財政政策)も世にでておらず、高橋是清の良識によって、事が進められました。だから、今でも、日本では高橋是清の経済対策の本質や、世界でもっともデフレから脱却したという事実があまり継承されていません。

高橋是清

今となっては、このようなことよりも、日本が日米戦争に巻き込まれ、原爆を投下され、歴史上初めて他国に屈服したという記憶のほうがかなり生々しくインパクトがあり、忘れされらているのだと思います。

だからこそ、私たちの日本は、やすやすとデフレの罠にはまり、長期間抜け出すことができなくなったのだと思います。

だからこそ、私たちは、今一度欧米の金融恐慌の時代を振り返り、デフレ下においては特に若い世代の幸福度が低いことは当然であり、これを解消するには、まずは何をさておいても、デフレ脱却であるとの認識を深める必要があります。

デフレ下においては、物価が下がり、賃金が下がり、そうして雇用情勢が悪化するのは当然です。しかし、それだけではありません。日本の経済が悪化し、様々な方面に悪影響を及ぼしていきます。

若い世代の幸福度を低くする真の原因はデフレですが、この真の原因によって、様々な問題が発生します。

賃金の問題、雇用の問題、これらによる先行き不安、企業の投資意欲の減退によって、もたらされる、雇用減以外の職場環境の問題などもあります。税収が減って、社会福祉に回す原資が少なくなります。また、日本だけがデフレで、他国はそうでなければ、円高傾向になり、これらが悪影響を及ぼします。こんなことから、多くの人々が将来に絶望します。

ダイエットに成功した人の写真デフレの害はダイエットの害などと次元が異なる(゚д゚)!


こうしたもろもろの問題が、10個程あったとして、デフレから脱却すれば、少なくとも5個から6個位は自動的に解消します。他の5個から4個の問題に関しては、デフレが解消したからといって、すぐには解消しないかもしれません。

しかし、解消の糸口くらいはつかめるようになります。しかし、デフレから解消できなければ、この10個の問題すべてが解消の糸口さえつかめなくなります。

こんなときに、デフレという大きな問題にとりくまず、個人の問題や企業の問題はては、企業の中の部署や個人の問題に帰したり、政府の問題に帰したり、地方自治体のせいにして、これらのいずれを是正したとしても、また何かが駄目になるだけです。

まずは、デフレを解消しなければ何も始まりません。

そうして、実際に日本は、昨年から日銀が異次元の包括的金融緩和を行いました。その後、皆さんもご存知のように、経済指標などが良くなりつつありました。

しかし、今年5月には、消費が低迷し、その低迷ぶりは、33年に一度の悪さでした。やはり、増税は景気に深刻な影響を与えそうです。これに関しては、このブログでも掲載しましたので、その記事のURLを掲載します。
過去33年でワースト2!消費税増税がもたらした急激な消費落ち込みに政府は手を打てるか―【私の論評】総白痴化した支配層にはこんな自明の理も理解できなくなっている!中華や財務省・マスコミの陰謀があったにしても酷すぎ・・・!しかし、希望はある(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとし、やはり増税後の5月の経済指標はかなり悪いです。前2回の増税後の落ち込みよりもかなり落ち込んでおり、これは、33年に一度あるかないかの水準です。
若い世代の幸福度をあげるのはデフレ解消が最優先
やはり、デフレ下の増税はデフレ脱却を遠のかせるものであり、禁じ手と言っても良いくらいの愚策だと思います。

若い世代の幸福度をあげるためにも、特に来年の10%増税は、絶対にさせるべきではありません。デフレ脱却ための、金融緩和政策は、十分行なわれています。しかし、デフレ脱却のための、財政政策は行なわれるどころか、増税という緊縮財政をやってしまったという体たらくです。

来年からの10%増税は絶対に阻止して、公共工事の供給制約のある現在は、積極財政としして減税、給付を大々的に行うべきです。

そうして、一刻もはやくデフレから脱却し、若い世代の幸福度をあげるべきです。若い世代の幸福度があがれば、この国は将来性のある国に生まれ変わり、他の世代にとっても良いことです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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