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2018年1月25日木曜日

安倍首相はなぜ「リフレ派」になったのか―【私の論評】ポスト安倍は金融政策を理解しなければ国民からNOをつきつけられる(゚д゚)!

安倍首相はなぜ「リフレ派」になったのか

第196回国会における施政方針演説を行う安倍首相 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 経済評論家の上念司氏が面白いものを書いていた(“週刊「1億人の平成史」 第19回 上念司さんの「アベさんがアベノミクスにたどり着くまで」”)。

 もっとも、この記事は上念氏らが「リフレ派」に入った経緯を書いているが、安倍首相のことは書かれていない。安倍首相がどのようにリフレ派になっていったのか、筆者はその当時のことを知っている。

 それは2006年3月の日銀の量的緩和解除の「失敗」までさかのぼる。

関心の最初は06年の量的緩和解除の「失敗」

 上念氏が書いたものは、時系列的には、安倍氏が日銀の量的解除失敗で金融政策に関心を強め、安倍氏や自民党が在野の時代に、党内の勉強会などで内々に勉強した後、表に出て行ったときの話である。

 その頃には安倍氏は、日銀政策審議委員として金融政策をしていた当時の経済学者やエコノミストよりもはるかに勉強しており、金融緩和がデフレ脱却、雇用環境の改善に大きな効果があることを確信していた。


 この国会答弁によれば、いわば「指南役」は、山本幸三代議士(前地方創成・規制改革担当相)、イエール大学名誉教授の浜田宏一先生と、筆者となっている。

 安倍氏の国会発言の背景を説明しよう。

 時は、12年前の小泉政権と第一次安倍政権に遡る。小泉政権の末期だったが、2006年3月、福井俊彦総裁時代の日銀が、2001年3月から実施してきたそれまでの量的緩和策を解除した。

量的緩和に解除を受けて会見する福井俊彦・日銀総裁=2006年7月14日午後、日銀本店
 この量的緩和策については、中央銀行の手法として、「量的緩和は効果がない」という声と、逆に「副作用が強過ぎてハイパーインフレになる」という二つの極端な批判的な意見が多かった。

 特に、日本では、著名な学者が批判論者であった。

 実は、量的緩和策の先駆者は先進国でいち早くデフレに陥った日本だ。

 日本では、デフレ解消の策として、速水優総裁時代の2001年3月から実施された。

 筆者は、当時の小泉政権で竹中平蔵・総務相補佐官をしていて、政権内で量的緩和の有効性を説き、弊害がないことを指摘していた。

 当時の日銀の量的緩和の問題点は、量の面で不十分であったことだ。

 ところが、量的緩和そのものに反対している学者やマスコミが多く、日銀は2006年3月に量的緩和を解除してしまった。筆者はこれを批判、デフレ脱却が遠のくことを予測し、それは的中した。

 そのことが誰の目にも明らかになったのは、小泉政権の後の第一次安倍政権になってからだ。

「デフレ状態」なのに金融を引き締めた

 その理由は単純で、形式的なインフレ率が0.5%とすると、物価指数の上方バイアスを考えれば、物価はマイナス0.1%という、「デフレ状態」なのに、量的緩和を解除し金融引き締めをしてしまったからだ。

 筆者は、バーナンキ・元FRB総裁やクルーグマン教授がいたプリンストン大学に留学した経験があり、その関係で各国の中央銀行にも知り合いがいた。念のために彼らの意見を聞いたが、やはり量的緩和解除は「時期尚早」だったと言っていた。

 しかし、当時、筆者の意見に賛同してくれた政治家は、竹中総務相、中川秀直自民党政調会長と山本幸三代議士だけだった。

 この事情をよく覚えていたのが、当時の官房長官だった安倍氏だ。

 安倍氏は2度目の首相になった後でも、2006年の量的緩和の解除は時期尚早で失敗だったと言っている。これが、上に引用した国会発言である。

 それ以外にも、その類いの発言はしばしば行い、2006年3月の量的緩和解除は失敗であり、その失敗を踏まえて、2%のインフレ目標を明確に導入したアベノミクスを作ったと言っている。

 もし、その当時に、2%インフレ目標があれば、量的緩和解除の失敗をしなかったはずだと、筆者も考える。

 安倍氏は、記憶力がいい。誰がどのような意見を言って、誰の予測が正しかったのか、間違っていたのかをよく覚えている。

 これは、政治家に求められる資質である。

 経済見通しなどの予測の当たらないエコノミストの話を聞いても時間の無駄であり、予測の打率の高い人の意見を聞いたほうがいい。

 おそらく、その当時から、いろいろなエコノミストの打率を安倍氏は把握するようになったのだろう。

 筆者は、しばしば安倍氏から個別のエコノミストの評価を聞かれることもあるが、安倍氏の論評はかなり正確である。

首相辞任後、金融政策に改めて関心

 ただし、残念ながら、安倍氏はそうした勉強成果を生かす間もなく、2007年9月に首相を辞任してしまった。

 健康問題とはいえ、突然だった。筆者はその当時、官邸勤務だったが、朝の国会質問答弁の打ち合わせを終え、国会に向かうところで体調不良になって、驚くばかりだった。

 その後、かなり療養していた。しばらくすると政治活動を再開したが、安倍氏自身が国会答弁で話したように、時間がたくさんある。

 そうした中、金融政策に関心を持ち始めたように見えた。

 金融政策については、小泉政権の時は、安倍官房長官、竹中大臣、中川政調会長の間で、筆者が説明役になって、しばしば議論していた。

 例えば、中央銀行の独立性について、日本では単に独立性というが、世界では、目的の独立性と手段の独立性を区別して、中央銀行には手段の独立性はあるが、目標の独立性はない、などである。

 そして、金融政策は、海外では雇用を確保する「雇用政策」の側面があり、例えば、アメリカの中央銀行(FRB)は、「物価の安定」とともに「雇用の確保」という責務を担っているとも説明していた。

 筆者の印象では、このときの安倍氏は、そういうものもあるのかという感じで、それほど確信していたわけではないように見受けられた。

自民在野時代に勉強会浜田イエール大教授とも親交

 その後、安倍氏は、健康を回復し政治活動に復帰後、自民党内で金融政策などについての内々の勉強会を開いていたが、その時の会合の発起人は、安倍氏、山本幸三氏、中川秀直氏だった。そこの事務局で筆者も手伝っていた。

 民主党政権になっていたころだ。

 ちょうどその時、筆者のところに浜田先生が訪ねてきた。

 聞くところによると、浜田先生は、安倍フェローシップから研究助成を受けているという。

 もっとも、安倍フェローシップは、安倍氏の父である安倍晋太郎氏のフェローシップである。それならということで、浜田先生を内々の勉強会に呼び、金融政策を様々な角度から話してもらった。

 山本代議士、浜田先生そして筆者は、2006年3月の量的緩和解除の失敗や、2008年9月のリーマンショック以降の金融緩和不作為の失敗、2011年3月の東日本大震災後の政策の失敗などを話した。

 安倍氏はこうした議論を通じて、国会答弁で明らかにしているように、「リフレ派」になっていったようだ。

 その段階で、自民党の中でも、他党を含めても、有数の「リフレ派」になっていた。なお、上記の政策の失敗についての筆者の意見は、本コラムのバックナンバーを見ればわかる。

「金融政策は雇用政策」との理解深める

 その後は、上念氏が書いているように、派閥、党を超えて、安倍氏は積極的に活動を広げていった。

 筆者は、その中で、安倍氏に、「金融政策は雇用政策なので、海外では左派政策と思われるがいいか」と何度も確認している。

 安倍氏は、まったくかまわないし、そのほうが相手のお株を奪えると、まさに政治家らしい反応だった。

 そういえば、トランプ大統領も共和党なのに雇用重視である。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)

【私の論評】ポスト安倍は金融政策を理解しなければ国民からNOをつきつけられる(゚д゚)!

第一次安倍政権のつまづきは、諸説ありますが、やはり最大のものは、小泉政権の末期だったが、2006年3月、福井俊彦総裁時代の日銀が、2001年3月から実施してきたそれまでの量的緩和策を解除したことでしょう。

ここで、解除しないで緩和を続けていれば、数年で日本はデフレから脱却できていたことでしょう。この時点で金融引締めをしてしまったのは、完璧な失敗でした。その後、日本の経済はふるわず、第一次安倍政権は短命に終わりました。

その後2013年まで金融引締めが続き、その煽りを受けて、第一次安倍政権の後の政権も短命に終わり、政権交代によって成立した民主党政権における政権もすべて短命に終わりました。

このようにどの政権もすべて短命に終わったのは、雇用も経済もふるわなかったせいです。少なくとも、金融緩和を維持していれば、雇用は改善されていたので、国民の不満もおさまりこのように短期政権が続くようなことはなかったでしょう。

平成12年には安倍総裁の自民党が衆院選で大勝利し、平成13年4月からようやっと金融緩和に転じました。そのため、現在に至るまで雇用情勢の改善が継続されています。ただし、平成14年春から消費増税をしてしまったため、経済の成長率はあまり伸びていないというのが現状です。

やはり、当時の福井日銀総裁による量的緩和の解除は日本経済に甚大な悪影響を及ぼしました。

そうして、最近当時の日銀の議事録が公表されています。以下にそれに関する新聞記事のリンクを掲載します。
日銀、06年1~6月の議事録公表 量的緩和解除要因に外圧も
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、量的緩和解除要因が外圧であったことをうかがわせる部分のみを引用します。

当時の水野温氏日銀審議委員 
同年1月の会合では、水野温氏審議委員が「(量的緩和による)低金利が他国に迷惑を掛けているという論調が(世界の)中央銀行の中である」と指摘。福井俊彦総裁も量的緩和が招く円安に言及し、「『これを単純にエンジョイするのか』という感覚が(国際会議の)共通の認識」と呼応した。
ただし、この発言は明らかに間違いでした。そもそも、世の中には「通貨戦争」なる考えがありますが、それは全くの虚妄です。

ある国が「通貨戦争」をするつもりで、金融緩和をすれば、どうなるかといえば、確かに通貨安になります。 それは、他国の通貨に比較して、自国の通貨の量を意図的に増やすわけですから、当然そうなります。

しかし、さらに自国の通貨を安くするために、量的金融緩和を継続し続けるとどうなるかといえば、今度は国内が大インフレになります。だから、「通貨安」のために量的緩和を続けることはできず、インフレになる前に「緩和」を打ち切るのが普通です。

ある国が大インフレになっても良いからと、どこまでも「金融緩和」を続けたとしたら、その先はハイパーインフレになり、金融破綻してしまいます。だから、どこか妥当なところで緩和をやめざるを得なくなります。

そもそも、「通貨戦争」など幻想に過ぎないのです。当時「円安」を非難する国があれば、この話をして反論すれば、それですんだと思います。実際、まともな経済学者であれば、「通貨戦争」の幻想など誰も信じていません。水野氏はこのような考えができなかったのでしょう。

それに、本当にそのような圧力があったかどうかも、疑問です。たとえば、話は少し違いますが、8%の消費税増税に関して、麻生財務大臣は「国際公約だ」などと語っていましたが、これは麻生財務大臣が国際会議の席上で「増税」すると語っただけの話であり、いずれの国からも「日本は増税すべきだ」などとの声は上がっていませんでした。

独立国に対して「増税しろ」「金融緩和をやめろ」などということは内政干渉です。

私は、水野氏の外圧という話も、麻生氏の「増税は国際公約」ような程度のものであり、日本に対して「金融緩和をやめろ」とはっきり言った国など存在しなかったと思います。

ただし、これには例外はありました。それは中国人民銀行総裁の周小川です。しかし、それも2012年に自民党安倍総裁が政権交代のあかつきには金融緩和をすると表明した時であり、2006年当時はそのような声はなかったと思います。ネットで検索しても、ヒットしません。どなたか、その事実をご存知の方は教えていただきたいものです。

中国人民銀行行長(日本では総裁)
それに周小川の要求は、虫の良い話でした。当時の円高、元安はとんでもない水準で、日本企業が日本で製品を製造して国内で販売するより、中国に材料を送って、中国で組み立てて、それを日本に輸入して販売たほうが、安く製品を販売できるという異常事態でした。

これは、中国にとってはぬるま湯のようなもので、日本の製造業はこぞって中国に進出していました。このような異常事態がいつまでも続くと考えるほうが異常でした。

そうはいいながら、周小川の懸念はピタリとあたって、日本が金融緩和したあたりから、中国の経済成長は政府によって公表されている信憑性の低い数字ですら、かなり下がっています。しかし、これは日銀の金融引締めにあぐらをかいて、中国が分不相応なことをしていたというだけであって、何ら日本が批判の対象にされるいわれはありません。

実際、中国を除いた国ではほとんどそのような苦言を呈した国はありませんし、周小川もその後は苦言を呈したことはありません。

さて、2006年の金融緩和解除がいかに異常なものであったのかは、以上のことからもご理解いただけるものと思います。

それにしても、今思えば、2006年当時は、安倍晋三氏を含めたほとんどの政治家が金融政策を理解しておらず、たまに理解している人がいたにしても、今日の安倍総理のように、金融政策を理解しつつ、高い地位にいて影響力のがある人はいませんでした。

だからこそ、当時金融緩和解除はすんなりと実現してしまったのです。

しかし、その後安倍晋三氏は金融政策について真摯に学び、再び総理大臣になることができました。もし、安倍晋三氏が金融政策について理解をしていなかったら、総理大臣に返り咲きもできなかったかもしれません。私自身も、安倍総理が金融政策について理解を示したことを知る前までは、失礼ながら「過去の人」と思っていました。

私はここに、現在の政治家、特にポスト安倍と目されている人たちに警告を発しておきます。あなた方は、安倍晋三氏が真摯に学んだように、2006年から2012年までの日本の金融政策の間違いについて真摯に学ぶべきです。


そうでないと、誰が次の総理大臣になったとしても、その政権は短命に終わります。それでも、金融政策を理解せず正しい金融政策を実行しなければ、自民党そのものが衰えていきます。そうして、その果には金融政策を正しく理解する新たな勢力に政権を奪われることになります。

その後自民党が、与党に返り咲くことはかなり困難になります。日本国民はそれほど馬鹿ではありません。一度安倍総理が、金融政策の有効性に関して範を示したにも関わらず、それを反故にするような、総理大臣や与党には、それが自民党であれ他の党であれ、国民の大多数は当然のことながら、NOを突きつけます。国民を馬鹿にしないで下さい。

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2017年4月18日火曜日

日銀審議委員候補に「リフレ派」片岡氏-三菱UFJ銀の鈴木氏も―【私の論評】片岡氏登場で日本がデフレに舞い戻る確率はかなり減ったが(゚д゚)!

日銀審議委員候補に「リフレ派」片岡氏-三菱UFJ銀の鈴木氏も

片岡剛司氏 写真はブログ管理人が挿入 以下同じ
  政府は18日、日本銀行の審議委員に三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員の片岡剛士氏、三菱東京UFJ銀行取締役常勤監査等委員の鈴木人司氏を充てる人事案を国会に提示した。

  任期は5年間。参院が記者団に資料を配布した。

  ブルームバーグが入手した政府の国会提出資料によると、片岡氏は44歳。経済政策の調査に約20年間携わっており、理論やデータに基づく「分析手法は高い評価を得ている」という。「アベノミクスのゆくえ-現在・過去・未来の視点から考える」(光文社新書)などの著書がある。慶応大学大学院商学研究科修士課程修了。

  昨年4月、自民党の有志議員の勉強会「アベノミクスを成功させる会」(会長・山本幸三地方創生担当相)に講師として出席し、消費増税の凍結を提唱した。代替の社会保障財源として相続税や資産課税の強化を挙げていた。

  昨年11月4日付の片岡氏のリポートでは、「2%のインフレ目標に向けたモメンタムが維持されているとは全く思えない」とした上で、「早期の追加緩和という具体的なアクションを行うことが定石であり、かつ必要である」との見解を示していた。

  鈴木氏は63歳。1977年に慶応大学経済学部を卒業後、当時の三菱銀行に入行した。東京三菱インターナショナル・ロンドン副社長を経て、三菱東京UFJ銀行の市場企画部長や副頭取などを歴任し、2016年6月から現職。金融市場の実務に精通していることや国内外の幅広い人脈が評価された。
量にこだわり

  片岡氏は木内登英氏、鈴木氏は佐藤健裕氏の後任で、木内、佐藤両氏の任期は7月23日まで。日銀審議委員人事は国会の同意が必要だが、自民、公明の与党が過半数を占めるため、6月18日までの今国会中に衆参両院で承認される見通し。承認が得られれば、片岡氏と鈴木氏は9月20、21両日の金融政策決定会合から参加する。

  岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストは、片岡氏について、金融緩和に積極的な「リフレ派の中心的な人物」と評価。ただ金融政策の実務では「あまり極端な主張に走らず、事務方と調整してバランスの取れた投票行動を取るのではないか」とみる。鈴木氏についても、銀行の経営に携わっていることから、金融緩和の「出口戦略の議論において貢献できるのではないか」と述べた。

  SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは片岡氏について「リフレ派であることは間違いない」とした上で、岩田規久男副総裁、原田泰審議委員の路線に近く、金融緩和の「量にこだわりのある人が選ばれた」と指摘する。鈴木氏については「出口政策に向けて必要な、知見のある方が選ばれてよかった」と評価。2人の加入で「金融政策の方向性が変わることはないだろう」と分析している。

【私の論評】片岡氏登場で日本がデフレに舞い戻る確率はかなり減ったが(゚д゚)!

片岡剛司氏については、ぶれないリフレ派としてかねてから有名でした。私自身はそのことを前から知っていて、ツイッターで以前から片岡氏をフォローしていました。それに、書籍も2冊くらいは購入したことがあります。

片岡氏は、少し前からツイッターをやめていたようです。以前もあまりにくだらないコメントがあったりしたのか、一度やめたことがあり、今度もそのためかなとも思っていたのですが、今回は日銀の審議員になるということもあってやめたのかもしれません。

ツイッターではかなり今回の件で、片岡氏のことがツイートされているようですが、あまり知らない人もいるものと思いますので以下に略歴など掲載します。
愛知県常滑市出身。1991年3月、愛知県立半田高等学校、1996年3月 慶應義塾大学商学部卒業後、同年4月、三和総合研究所に入社(現:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。2001年3月、慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了(計量経済学専攻)。 
2010年6月から2ヶ月の間、東北大学大学院法学研究科客員教授を担当。2012年4月、早稲田大学政治経済学術院非常勤講師。 
また、公職として、2015年10月から参議院第二特別調査室客員調査員と会計検査院特別調査職を担当し、客員調査員は2016年6月迄担当。

2012年時点で、円高が問題であると主張していました。 
消費税の8%への増税に批判的であり、2014年4月1日には、財務省の広報戦略の中で「ご説明」の際に渡される資料の数々の写真を公開しつつ、批評を行っていました。
民間シンクタンクという実践的な場でリサーチャーとして活躍する一方で、日本のデフレーション脱却を果たすために、インフレターゲットの設定を主張していました。
片岡氏のような民間のエコノミストなどに関しては、私はほとんど信用していないのですが、片岡氏は例外です。 例外どころか、他のエコノミストなどとは異なり、まともな経済感覚と過去の研究をもとに、まさにその時々で日本経済に対する適切で妥当な提言を行ってきました。

だからこそ、私は片岡氏のことを信頼しているのです。他のエコノミストに関しては、ほとんど信用していません。なにせ、彼らは、為替でも何でも、目の前の数ヶ月間のことをもとにしか、予測などできないようですし、実際そうなのだと思います。

そうして、なぜか経済に関する一般常識はもとより、日本や世界の経済史的なことも知らずに、日々頓珍漢な発言や、素っ頓狂な予言を出してほとんど当たった試しもありません。しかし、片岡氏は、過去には妥当な発言をし、予測はほとんど当たっています。

そうして、何よりもも片岡剛司氏は、あの悪手中の悪手であるデフレから回復しきっていない時期の8%増税に対して反対の意見を主張していたことです。これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【お金は知っている】消費増税の災厄もたらす御用学者と無責任議員 自身の「誤り」にダンマリ ―【私の論評】増税推進派の似非論評に騙されない方法(゚д゚)!
衆院第1委員室に到着し、質問者の民主・野田佳彦前首相(左)とあいさつ
しながら着席する安倍晋三首相=国会内で2016年2月19日午後0時58分
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から以下に、2013年当時政府の指揮者会議で2014年4月からの8%増税に関して、賛成・反対の意見をまとめたリストを掲載します。


さて、このリストの一番右の「☓反対」の欄の上から二番目に片岡剛司氏の名前が掲載されています。この有識者会議には、民間のエコノミスト・アナリストも参加していますが、その中で増税に反対したのは片岡剛司氏ただ一人です。

民間エコノミスト・アナリストの中で私が信用するのは、片岡剛司氏と村上尚樹氏くらいなものです。他にも、信用できる人はいるのかもしれませんが、本当の実数は少ないです。

それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
NHK日曜討論「徹底分析 日本経済のゆくえは」―【私の論評】いつも予想を外す酷すぎる分析をするエコノミストの提言は、完全無視せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、NHK日曜討論で昨年の2月のNHK日曜討論という低劣な番組で、大学教授と民間のエコノミストらがとんでもない経済の分析と提言を行っていたことを中心に掲載しました。

以下に、一部分を掲載します。
本日のNHK日曜討論の内容は、本当に酷いものでした。特にひどかったのは、昨年の10-12月期のGDPのマイナス成長に関して、討論参加者の誰からも、8%増税の悪影響をあげた人はいなかったということです。 
もうこの時点で、この討論は奇妙奇天烈、摩訶不思議で、まともに聴いている価値はないと判断しましたが、それでも我慢して聴いていると、マイナス金利についてもなにやら筋違いの話ばかりしていました。 
この討論を聴いていると、本当に脱力感を感じてしまいました。この人たちは全員見当違い、筋違いの話をしているとしか思えませんでした。 
ここで討論している人たちは、経済分析や予想を大外ししている人たちばかりです。それに、8%増税の日本経済に与える影響は軽微と予測していました。こんな人たちが、偉そうに日本の実体経済を語る資格はないです。ツイッターのつぶやきをみていると、こう思うのは私だけではないことが良くわかります。以下にいくつかあげておきます。
私自身は、このような経験がこの番組だけではなく、過去にも何度も重なったため、民間のエコノミスト・アナリストという人たちは、結局自社の商品を売るために、出鱈目の話をして売り込みをする人たちなのではないかと思っています。

しかし、このブログには片岡剛士氏の記事そのものを元記事として掲載したこともあります、その記事のリンクを以下に掲載します。
GDPマイナス成長は暖冬のせいではない―【私の論評】増税派はどこまでも、8%増税が大失敗だったことを認めたくない(゚д゚)!

この記事は、昨年2月の季節外れの気温の高さがGDPが伸びない原因であるなどと、8%増税賛成派が、屁理屈を主張したことに対して片岡氏が反論したものです。

以下に一部を引用します。
 今回公表されたGDP統計では、家計消費の推移が自動車や家電製品といった耐久財、衣料品などの半耐久財、食品などの非耐久財、輸送・通信・介護・教育などを含むサービスといった4つの品目群(GDP統計では形態と言う)別にまとめられている。2015年7-9月期と比較しても、1年前の2014年10-12月期と比較しても、家計消費の落ち込みに最も大きく影響しているのは耐久財消費の落ち込みである。石原大臣の述べるとおり、家計消費の落ち込みの主因が冬物衣料品などが大きく落ち込んだことにあるのならば、その影響は半耐久財消費の大幅減という形で現れるはずだが、統計データを参照する限り、そうはなっていない。 
 思い起こせば、天候不順が消費低迷の主因であるという指摘は、2014年4月の消費税増税以降繰り返されてきた。確かに天候不順が消費を落ち込ませる可能性はゼロではない。しかし消費意欲が旺盛であれば、多少の天候不順でも、消費の落ち込みがこれほど長くかつ深刻な形で続くことはないだろう。GDP速報値の結果からは、2015年10-12月期の民間最終消費支出の値は304.5兆円だが、これは、消費税増税直後に大幅な落ち込みとなった2014年4-6月期の305.8兆円をも下回っているのである。これほどの大きな変動が天候不順で生じると考えられるのだろうか? 
 やや長い目で民間最終消費支出の推移をみれば、2002年から2012年までの10年間の民間最終消費支出は前期比0.2%程度のペースで緩やかに増加していたことがわかる。2013年に入るとこのペースがやや拡大したが、2014年4-6月期以降になると、民間最終消費は落ち込みが続き、2015年10-12月期の民間最終消費支出は、統計的に見て、前期比0.2%増のトレンドから有意に下ぶれしたと結論できる。つまり、統計的に「消費の底割れ」が生じたというのが今回の結果だということだ。
いたって、まともな分析です。私も、当然のことながら、当時GDPがマイナスだったのは、天候のせいであるとはとても思えませんでした。

それにしても、8%増税をしても日本経済に与える影響は軽微であるとか、実際に8%増税して、GDPがマイナスになると、今度は天候のせいにするような人たちを雇っている企業は、このことを何とも思わないのかと疑問に感じてしまいます。

その中にあって、片岡剛司氏や村上尚樹氏などは例外で、まともな経済感覚を持ち、まともな提言を行っています。

片岡剛士に関して8%増税に反対したことをあげましたが、当然のことながら、日銀の金融緩和政策に関してもまともな判断力を持っておられます。それについてもこのブログでとりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
アベノミクスの破綻を煽る「金融岩石理論」は簡単に論破できる―【私の論評】常識を働かせば金融岩石論にははまらない(゚д゚)!
晴れ着姿の女性が見守る中でスタートした東京株式市場
この記事は、今年の1月17日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる「金融岩石理論」が、理論的にも実証的にも成立しがたいことを、丁寧に解説した『アベノミクスは進化する』(中央経済社)を原田泰・片岡剛士・吉松崇編著で出版したことを掲載しました。

ちなみに、「金融岩石理論」とは坂に岩石があり、びくともしません。しかしこれをいったん動かすと、猛烈な勢いで坂を転がりだしてしまう。これと同じで、日銀がマネーをどんどん増やしても物価はまったくあがらない。しかしいったん上がりだすと、どんどん物価は上昇してハイパーインフレ(猛烈なインフレ)になってしまう、という理論です。

片岡剛士氏は、この書籍の中でも、明確に金融岩石理論が成り立たないことを示しています。

このまともな経済感覚を持ち、まともな分析をする数少ない民間のエコノミストの一人である、片岡剛士氏が今回日銀の審議員になったことはまことに喜ばしいことです。

片岡氏が日銀新議員になったことで、また日銀の誤った金融政策で、日本がデフレに舞い戻る確率はかなり減ったと思います。
これからも、片岡氏のような民間エコノミストが大勢出てきて、まともな予測や提言を行い、日銀の審議員や、政府の中でも大勢活躍するようになってほしいです。そうなれば、デフレの最中に増税したり、金融引締めをしたりするようなバカマネをするようなことはなくなると思います。

しかし、これはまだ政府が人事案を国会に提出したという段階です。これに対して、野党はどう反応するのでしょうか。よもや、また反対というということになってしまったら、本格的に堪忍袋の尾が切れると思います。そうなれば、私だけではなく他の多くの人々もそうなるでしょうから、次の選挙では大惨敗して、雲散霧消するでしょう。

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男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか―【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派 という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか

総務省が2016年10月発表した平成27年国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、初の減少に転じた日本の総人口。厚生労働省がまとめる人口動態統計の年間推計でも2016年に生まれた子どもの数が1899(明治32)年の統計開始以来、初めて100万人を割り、98万1000人にとどまる見通しであることが明らかになりました。こうした少子化の最も大きい要因として挙げられるのが結婚しない男女の増加です。

人口減少時代

 未婚者が結婚しない理由には何が考えられるのでしょうか。平成28年版少子化対策白書(内閣府)から探っていきます。

9割弱が「いずれ結婚するつもり」…でも「結婚資金が足りない」未婚男性の3割

 白書によると、国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査(独身者調査)」では、「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者(18~34歳)の割合は、2010年で男性86.3%、女性89.4%でした。1987年時の男性91.8%、女性92.9%よりは下がりましたが、結婚に対する意欲は高い水準にあるといえます。

 また、未婚者(25~34歳)に独身でいる理由を尋ねたところ、「適当な相手にめぐり会わない」の選択肢を選ぶ割合が男性46.2%、女性51.3%と最も多く、次いで「まだ必要性を感じない」男性31.2%、女性30.4%となりました。しかし一方で、男性は「結婚資金が足りない」(30.3%)も大きな理由になっています。(2010年第14回調査結果、回答は選択肢から3つまで選択可)

高年収ほど結婚している割合が多くなる

 では、収入の違いが、結婚に影響しているのでしょうか。25~29歳、30~34歳、35~39歳の各年代で年収別に配偶者がいる男性の割合を比べてみました(グラフ1)。すると、25~29歳の年収100万円未満の男性では、結婚している割合は1割を切りますが、500万円以上の年収がある場合、およそ半数が結婚している結果になっています。


 年収が高いと既婚者が増える傾向はほかの年代も同様で、30~34歳は年収500万円以上でおよそ7割が結婚、有配偶者率の最も多い年収800~899万円は、87.4%になりました。35~39歳の場合は、年収200万円未満の場合、配偶者がいる比率は4割に届きませんが、500万円以上になるとおよそ8割に。結婚している割合が最も多い800~899万円は88.8%にのぼりました(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 ちなみに平成27(2015)年国政調査によると、男性の有配偶者率は25~29歳26.3%、30~34歳50.8%、35~39歳は61.7%です。グラフ1を見ると、25~29歳と30~34歳は年収300万円以上、35~39歳は年収400万円以上になると、その割合より多く家庭を持っているとわかります。

若い世代の収入は20年前と比べ、低所得にシフト

 それでは若い世代(20、30代)はどのくらいの所得の人が多いのでしょうか。1997(平成9)、2007(同19)、2012(同24)年の所得分布を見てみます(グラフ2)。すると20代の雇用者では、1997年時は年収300万円台が最も多かったのに対し、2007、2012年になると300万円台の比率が低下、200万円台前半とほぼ同じ割合になっています。


 30代では、1997年には年収500~699万円台が4分の1近く占めていましたが、2007、2012年は300万円台が2割弱で最も多く、500~699万円の収入を持つ割合は15%前後にまで落ち込んでいます。1997年から10年間に20、30代の所得分布は低所得層にシフトし、その状態が続いている、と白書は指摘しています。

 また、正社員の男性は25~29歳31.7%、30~34歳57.8%が結婚していますが、パート・アルバイト雇用の男性は25~29歳7.4%、30~34歳13.6%と有配偶者率が大きく下がり、就労形態によって家庭を持つ割合に大きな違いが生じていることがうかがえます(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 国挙げて、働き方改革の取り組みが必要とされていますが、若い世代の雇用のあり方や収入を増やすことができるかが、未婚率に影響しそうです。

【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派
という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

上の記事を読んでいると、いろいろと分析はしているのですが、肝心要の結論は、結局のところ若者の雇用を増やすことと、収入を増やすことができるかが、未婚率に影響することを言っているのですが、それに対する解決法に関しては何も触れていません。

なぜ、こういうことになるかといえば、この記事を書いている人の頭の中に、金融政策と雇用とは密接に結びついているという事実が全く欠落しているからです。

現在若者の雇用そのものについては、アベノミクスの一環であった金融緩和政策により、かなり改善されて良くなっています。

それについては、何度かこのブログにも掲載しています。その記事の最新のもののリンクを以下に掲載します。
人手不足は金融緩和による雇用改善効果 さらに財政政策と一体発動を―【私の論評】年頭の小さな変化に気づけない大手新聞社は衰退するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 年末年始は人手不足などの事情で宅配便の遅配が生じたという。また、ファミリーレストランでは24時間営業をやめるところも出てきている。 
 筆者は日用品でも宅配便を利用しているが、たしかに筆者のところへの宅配便も遅れた。それほど緊急性のないものだったので別に気にしなかったが、到着予定日より2日ほど遅れたものもあった。 
 百貨店も昔は元日営業が当然だったが、元日は休みで2日から初売りも多くなり、一部では3日から初売りというところも出てきている。さらに三が日は休業し4日からの初売りを検討するところもある。これらの正月休業の動きは従業員に配慮する観点からとされている。 
 いずれも人手不足感が出てきた証拠であり、これまでアベノミクスで金融緩和を続けたことの成果だといえる。
そうして、これを裏付けるような統計資料もあります。そのグラフを以下に掲載します。


このグラフにも示されているように、昨春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高となった。高卒の就職率も同じような状況です。

さて、失業率が下がっていることについて、「生産年齢人口の低下によるものだ」と主張する人がいます。しかし、この議論は、「デフレの原因は人口減少だ」というのと同じくらい、間違った考え方です。

それは、生産年齢人口が増えていた以前の方が、失業率が低かったことからもすぐ分かります。こうしたトンデモない議論をする一部の識者や経済評論家は、統計データのリテラシーに欠けていると言わざるを得ません。

失業率と生産年齢人口の推移をみても、最近の失業率の低下は生産年齢人口の低下によるものだとの結論にはなりません。まともに統計分析すれば、生産年齢人口はコンスタントに減少する一方、失業率は景気によって上下するので、傾向を除去して考えれば両者は無関係であることが分かります。

失業率は、労働力人口から就業者数を引いたもの(完全失業者)を労働力人口(就業者数+完全失業者)で除して定義されるものです。労働力人口は15歳以上の人口で、生産年齢人口は15歳以上65歳までの人口であり、両者はパラレル(並列的)な概念です。労働力人口(生産年齢人口)が減少するとき、それを所与として経済状況によって就業者数が決まってきます。なので失業率は分子も分母も労働力人口の動きを見込んだものとなり、景気だけに左右されます。



マクロ経済の基本概念として、総供給と総需要の差である国内総生産(GDP)ギャップがあります。景気の良し悪しは、GDPギャップで計ることもできます。

金融緩和と財政出動はともにGDPギャップを縮めます。短期的な効果は財政出動の方が強いが中長期的には金融緩和も効果が出ます。となると、継続的に実施しやすい金融緩和の方が、失業率低下の累積効果は大きくなります。

財政出動は公的部門の有効需要を直接創出するので分かりやすいです。一方、金融緩和については、実質金利の低下、為替安などによる民間部門の有効需要への効果は、短期的には少ないが、長期的な累積額でみると大きく作用します。民間部門の有効需要創出なので、効果ラグ(時間のずれ)があって民間雇用に効いてきます。

こうしたマクロ経済学の理解があれば、金融緩和が失業を減らすということも分かるはずです。そうして、インフレ目標は緩和しすぎないための歯止めになります。

雇用を守るべき立場のはずの日本の左派系識者や経済評論家にはそうした常識が欠けています。しかし、実は右派にもそのような常識に欠る人が多いです。

金融政策と雇用の関係はマクロ経済学の基本中の基本です。日本では、金融政策を正しく理解している人がその知識に基づいて様々な主張をしているにもかかわらず、そのような主張をする特殊なグループであるかのように「リフレ派」と呼ばれ、特殊扱いされてしまいます。

私は、このブログでマクロ経済学の基本から、全くたり前の主張をしていたにもかかわらず、Twitterで「リフレ派」と呼ばれて批判されてしまい、釈然としなかったことが何度かあります。

そもそも、世の中に「リフレ派」なる派閥が存在し、日々会合を開き、意見を集約させているなどということは聞いたこともありません。

そして、もし、「リフレ派」なる集団が存在するとしても、彼らはただ「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」という考えを共有するだけであり、その他の政策については必ずしも意見の集約はないようです。

デフレ対応をめぐって、いろいろ分析した方のブログ記事から、リフレ派、デフレ派の分類を以下に掲載します。


この分類では、広義リフレ派をいくつかに分類していますが、その共通項は結局、「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」ということです。

そうして、気づいたことが一つあります。それは、「リフレ派」という言葉自体が、日本には存在しますが、日本以外の国には存在しないという事実てす。そうなのでは、「リフレ派」などという言葉は、米国にも英国にも、その他の国々にも存在しません。

リフレ派もそうなのですが、「リーマン・ショック」という言葉も外国には存在しません。これは、純然たる和製英語です。

リーマン・ブラザーズが破綻して、経済に悪影響を与えた直後各国の中央銀行の動きを振り返ってみると、直後に景気が落ち込み、これに対処するために、各国の中央銀行は、大規模な金融緩和に踏み切りました。

緩和の量的規模や、期間はまちまちにしても、ほとんどの国が大規模な金融緩和に踏み切ったのは事実です。しかし、唯一例外がありました。それは、日本です。日銀だけは、大規模な金融緩和に踏み切らなかったため、どうなったかといえば、強烈な円高と、当時日本はデフレだったのですが、さらに強烈なデフレスパイラルに見舞われることになりました。

そのため、震源地であるアメリカや、かなり大きな影響を被った英国など含め金融緩和に踏み切った国々が、いちはやく不況から脱したにもかかわらず、日本はなかなか不況から脱却することができず、世界の中でひとり負けの状態になりました。

しかし、この時いわゆるリフレ派と言われる人々は、無論私も含めて、日銀は大規模な金融緩和に踏み切るべきだと主張しましたが、他の人々はそうではありませんでした。

そのため、リーマン・ブラザーズ破綻の悪影響が、日本にだけ長期間にわたり深刻な事態をもたらしました。その悪影響があまりに大きかったので、日本では「リーマン・ショック」という言葉が生まれたのでしょう。

しかし、現実には、日本はサブプライムローンの悪影響などほとんなかったので、本来はリーマン・ブラザース破綻の悪影響はなかったはずなのですが、日本以外の他国がこぞって大規模な金融緩和に走ったにもかかわらず、日本だけはそうしなったため、あれだけ深刻な状況を招いてしまったのです。

こうして、考えてみると、「リーマン・ショック」の原因は、金融緩和すべきときにしなかったこと、「リフレ派」は「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」と主張する人々のことであり、両方とも金融緩和という共通項があります。

そうして、「リーマン・ショック」「リフレ派」という言葉が、日本には存在するものの、日本以外にはないというこの事実から、はっきりわかることは、やはり日本では「金融政策」の重要性が日本以外の国々のようには理解されていないということです。

そうして、日本でほとんど未だに理解されていないのが、雇用と金融政策の関係です。

さて、ブログ冒頭の記事の、未婚率を減らすために、「若者の雇用を増やすことと、収入を増やす」ことのうち、若者雇用を増やすことはもうすでに実現されていることを述べました。もう一つは、収入を増やすという部分です。

これは、実質賃金などが未だ上昇してないという事実があり、まだ達成されていません。のでは、これを達成するにはどうすべきかということになりますが、それを実現するには、マクロ政策的に観点からは、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。無論、積極財政もすべきですが、これは比較的短期間で効き目が薄れてきます。

本格的に賃金をあげるためには、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。その根拠として、このブログでは、過去に完全失業率について掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日銀の資金供給 8か月連続で過去最高を更新―【私の論評】金融緩和政策は限界でなく、まだまだ不十分なだけ(゚д゚)!
過去の失業率の推移

さて、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このブログでは、上の過去の失業率の推移のグラフから、日本の完全失業率は2.7%程度あろうということを掲載ました。

そうして、現在の日本は、物価目標2%も達成されておらず、さらに完全失業率も3%を切っていない状況なので、追加の量的緩和が必要であることを主張しました。

しかし、このことはいわゆる「リフレ派」以外の人にはなかなか理解不能のようです。しかし、本来的にマクロ経済的な観点からすれば、これはきわめてまともな主張です。

日本では、そもそも「リフレ派」とか、「リーマン・ショック」という和製英語があるように、他国と比較すると、マクロ経済の基本的なことが理解されていないのです。

それにしても、特に若者は、若者の雇用状況が新卒の就職率の良さによって、かなり改善されたことを理解している人もかなり多いことですから、20・30代の所得をあげるには、まずはさらなる量的金融緩和を実施し、2%物価目標を達成するのは、無論のこと完全失業率を2.7%台にもっていくことが、前提条件であるということを理解して頂きたいです。

そうして、理解するだけではなく、そのような主張をするとともに、選挙のときには、まともにマクロ経済を理解している政治家に投票するように行動すべきです。

若者かそのように率先して行動すれば、やがて日本からも「リフレ派」なる言葉は消えて、マクロ経済に関してまともになり、政府がデフレを長期間放置して、若者を苦しめるということはなくなると思います。

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2016年7月6日水曜日

韓国で日本との通貨スワップ再開論 協定終了のいきさつを棚上げ?―【私の論評】リフレ派皆無の韓国を通貨スワップで助けても全く無意味(゚д゚)!

韓国で日本との通貨スワップ再開論 協定終了のいきさつを棚上げ?

歴史を修正して反日姿勢を崩さない朴槿恵大統領

韓国政府から、日本と緊急時に通貨を融通し合う「通貨交換(スワップ)協定」の再開を望む声が強まっている。英国の欧州連合(EU)離脱決定や中国経済失速などの要因でウォン暴落や外貨流出の懸念があるためだ。ただ、朴槿恵(パク・クネ)政権の反日姿勢で協定が終了した経緯もあり、その身勝手さにあきれる声も聞かれる。

今月1日に駐日大使に就任した李俊揆(イ・ジュンギュ)氏は2日付の日本経済新聞のインタビューで、日本との通貨スワップ再開について「危機はいつ誰に訪れるかわからず、通貨スワップは危機対応として互いに役立つ」として望ましいとの姿勢を示したという。

韓国は中国と最大の通貨スワップ協定を結んでいるが、調達できるのは人民元だ。一方、2001年に締結した日韓通貨スワップは、韓国はウォンを日本に渡し、米ドルと日本円を受け取ることができるものだった。

11年には700億ドル(約7兆1960億円)の規模に拡大したが、反日姿勢を強めた朴政権側から「協定延長は不要」との声が出て、昨年2月に打ち切られた。

その後も韓国で経済不安が発生するたびに、韓国側の政財界やメディアからスワップ再開話が浮上していた。今年6月には英国民投票で離脱派が勝利したことでウォンや人民元など新興国の通貨が軒並み売られたことから、崔相穆(チェ・サンモク)企画財政部次官が日本や米国との通貨スワップ再開に言及した。

韓国内では、外貨準備高が今年5月末時点で3709億ドル(約38兆880億円)にのぼるため、通貨安や資本流出にも対応可能との論調もある。また、円高とウォン安が進むことは、日本と競合する韓国の輸出産業にとっては有利だ。

ただ、ウォンの対ドルや対円レートは英国民投票直後の急変からいったん落ち着いたが、韓国への影響が大きい中国の人民元も下落が続いているうえ、今後の米国の追加利上げ観測もあることから先行きは予断を許さない。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、「米国に為替操作国と認定される恐れがあるため、韓国は介入に頼れなくなり、通貨スワップ再開の動きが出てきている。ただ、日本にとっては韓国とのスワップを再開するメリットは小さく、事実上は韓国救済になることを韓国政府はわきまえるべきだろう」と指摘している。

【私の論評】リフレ派皆無の韓国を通貨スワップで助けても全く無意味(゚д゚)!

韓国経済は、このままだと低迷しいずれ過去日本のように「失われた20年」に突入するのは必定です。そのような国を通貨スワップで救済しても無意味です。

現在、韓国では、過去の1990年代後半からの20年に及ぶ経済停滞( 失われた20年)を警戒する論調が盛んになっています。そうして、韓国の政策当事者や経済学者、エコノミストたち主流派の意見は、韓国経済低迷の主因を「構造的要因」に求めているのが一般的です。

日本の小泉純一郎政権発足間もない頃に標語になっていた「構造改革なくして景気回復なし」と同じ議論です。しかし、小泉政権のときもそうでしたが、韓国経済の低迷もまた、「構造問題説」でとらえるのは間違いです。

日本では90年代から経済成長率が低迷し、失業率が高止まりし、低インフレからデフレへの長期継続といった現象が観測されていました。この原因は、消費や投資など総需要不足であることは全く疑いがありませんでした。ところが、当時の政府はもとより、マスコミや経済学者まで経済の無駄をなくせというばかりで、やるべきであった金融緩和など一切せず、何かといえば構造改革一本槍ということが続けられました。

小泉内閣時代の自民党のポスター
この状況を解消するべく方向転換をしたのが、第2次安倍晋三政権のアベノミクスでした。その中でも、異次元の金融緩和とも呼ばれた、大規模な金融緩和が功を奏しました。しかし、本来積極財政を行うべき、財務省が緊縮財政の手法である消費税増税に拘りつづけ、8%増税が実施され、GDPは伸びませんでした。

しかし、雇用のほうは改善し、それこそ数十年ぶりの回復をみました。そうして、今年は消費税10%への増税はまた、延期されました。

日本はなぜ、20年近くにも及ぶほど正しい経済政策を取れなかったのでしょうか。簡単にいうと、それは財務省は積極財政をすべきときに緊縮財政を行い続け、日本銀行は、金融緩和をすべきときに、金融引き締めを行いつづけたからです。

日銀は、金融政策の間違いを、財務省は財政政策の間違いを頑として認めず、あろうことか、それを政治家やマスコミ、多くの経済学者までもがそれを許容してきたからです。

すでに2014年あたりから、韓国の経済指標は日本の失われた20年の時代と同じような兆候

同じようなことが今の韓国経済にもあてはまります。問題の本質は、総需要不足であり、構造改革は問題解決になり得ないどころか、解決を遅らせるだけで、「害」をもたらす政策以外の何ものでもありません。

韓国銀行(日本の日銀にあたる韓国の中央銀行)は度重なる金利低下を実施しています。しかし、韓国銀行は金融緩和をせずにこれを実施しているので、為替レート市場では一貫してウォン高が進行しています。これが韓国の代表的な企業の国際競争力を著しく低下させていることには疑いの余地はありません。

では、なぜ韓国は大胆な金融緩和政策を採用できないのでしょうか。田中秀臣氏などのリフレ派かみると、韓国政府や韓国銀行は、大胆な金融緩和を行えば、一挙にウォン安が加速し、ウォン建て資産の魅力は急減することを恐れているとみなしているようです。

そうなると、海外の投資家たちは韓国市場から投資を引き揚げ、株価なども大幅に下落してしまうことを恐れているというのです。しかし、私はそれだけが原因では無いと思います。

元々、韓国の個人消費は、GDPの50%程度しかなく、これはかなり低い水準です。日本などの先進国では、これが60%台であるのが普通です。米国では、これが70%にも及びます。日本は失われた20年でデフレ・スパイラルどん底に沈んでいるときですら、60%近くを維持していました。

極端なグローバル化で歪な韓国経済
どうしてそのような構造になったのかといえば、極端なグローバル化を進めた結果です。しかし、韓国政府は低い個人消費を伸ばそうという意識はないようです。だからこそ、金融緩和などには、無関心なのでしょう。

しかし、現状をそのまま放置しておけば、過去の日本の失われた20年のように、韓国経済は長期停滞に埋没していくのは必定です。これを打開するためには、個人消費を伸ばす政策を採用すべきです。それを実行するには、金融緩和は不可欠です。

そうして、構造改革をするというのなら、何をさておいても、内需を拡大することを優先すべきです。そのためには、金融緩和、積極財政は欠かせません。

日本には、韓国が大胆な金融緩和を行えないのは、日韓スワップ協定などで潤沢なドル資金を韓国に融通する枠組みに欠けているからだ、と指摘する人もいます。確かに、その側面はあるかもしれません。しかし、これよりよりもはるかに深刻なのは、朴政権と韓国銀行に蔓延している間違った構造改革政策です。

このようなニュースがまた、報道されるかもしれない。日韓スワップ協定は、
事実上の韓国への支援、ただし支援しても何の効果も期待できない
日韓スワップ協定による、潤沢なドル資金がなかったにしても、ウォンは韓国の貨幣なのですから、韓国銀行はウォンを増刷することができます。であれば、韓国内で金融緩和はできるはずです。それを実行すれば、日韓スワップ協定を再開しなくても、韓国は自力でも何とか困難を回避できるはずです。

しかし、これを実行せずに、昔の日本のように「構造改革ありき」などとしていれば、韓国も「失われた20年」に見舞われるのは確実です。そうして、これは日韓スワップ協定を再開したとしても、そもそも政策が間違っているのですから、改善されることはあり得まず、無意味です。

それにしても、韓国はどうして日本が「失われた20年」を招いてしまったのか、理解できないのでしょうか。虚心坦懐に日本での出来事をみていれば、理解できるはずです。

しかし、彼らは「反日」で目が曇っています。だから、日本の状況を正しく判断する事ができないのだと思います。日本のリフレ派の識者がこれを、韓国に対して説明しても彼らは聞く耳を持たないでしょう。であれば、全く効果が期待できないので、支援しないのが一番です。支援しても、何も効果がでないので、さらに日本に対して面妖な要求をつきつけるようになるだけです。そんなことは、私達は過去の例で嫌というほど、見せつけられています。

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2013年3月23日土曜日

日銀・黒田新体制を待つ罠 異例の人事で不気味な兆候も…―【私の論評】日銀反リフレ派主流派の攻撃を阻止するには、縦深防御で臨め!!

日銀・黒田新体制を待つ罠 異例の人事で不気味な兆候も…
左より、岩田副総裁、黒田総裁、中曽副総裁

日銀は21日、黒田東彦(はるひこ)総裁(68)率いる新体制が本格始動する。黒田総裁は同日午後に日銀本店に初出勤、岩田規久男副総裁(70)とともに「2%のインフレ目標」早期達成へ、追加金融緩和の検討に着手する。だが、日銀内部の「抵抗勢力」が罠を張り巡らせているとの懸念もある。

黒田総裁と岩田副総裁は、従来の日銀に批判的で、国債購入の大幅な強化など金融政策を大胆に転換する構えだ。日銀プロパーにとって、これまでの政策ミスを突き付けられるだけに、歓迎ムードではないようだ。

ある元日銀マンは「正副総裁の講演原稿に日銀の意向に沿った文言を盛り込んで言質を取ったり、スケジュールを詰め込んで外部から情報を取れなくするなどしてコントロールしようとするだろう」と日銀プロパーによるレジスタンス活動に注意が必要とする。

すでに不気味な動きも出ている。日銀内で「将来の総裁候補」と目される雨宮正佳氏(57)が新体制発足直前、大阪支店長からわずか10カ月で理事に呼び戻される異例の人事があった。

「あれだけ批判された白川方明(まさあき)前総裁ですら、日銀内部では“最も金融緩和に積極的な人物”という評価」(前出の元日銀マン)だという。黒田、岩田両氏は“伏魔殿”に乗り込む覚悟が必要だろう。

【私の論評】日銀反リフレ派主流の攻撃を阻止するには、縦深防御で臨め!!

雨宮正佳氏

上の記事あまり長い記事ではないので、全文引用させていただきました。この中で気になるのは、異例の人事ということで、雨宮正佳氏が大阪支店長からわずか10ヶ月で理事に呼び戻されたという人事です。しかし、この人事はそんなに勘ぐらなくても良いと思います。

この人事は、おそらく日銀による維新の会対策ではなかろうかといわれていたからです。

この人事は昨年、5月11日付で発令されたものでした。この時に市場で関心をひいたのが、政策担当理事で「量的緩和政策」立案の中心人物だった雨宮正佳氏の大阪支店長への異動でした。

日銀は表向き、「雨宮氏に支店長経験がないため」と説明していましたが、この人事の正しい解釈は、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」対策だったと言われています。

さて、大阪維新の会は当時日ごとにその存在感を増していました。消費税増税や原発再稼働問題ではことごとく民主党政権の逆の政策を打ち出し、ついには倒閣まで口にしていました。次期総選挙で台風の目になることは確実でしたし、場合によっては政権を握る可能性すら秘めていました。

その場合、日銀としては気がかりだったのが当時の橋下氏の言動でした。日銀に関しても、「独立性が強すぎる」「(金融政策の)目標は(日銀ではなく)政府が決めるべきだ」と世界標準の正論を語り、インフレターゲット設定などを盛り込む日銀法改正にも前向きとされていたからです。そして、そんな橋下氏を説得して路線変更させられる力量の持ち主は、雨宮氏しかいないというのが実情だったのです。

ここで、日銀がどうやって政治家に取り入ってきたかのべておきます。まずは目をつけた政治家に金融関係のデータをこまめに届けることが第一歩です。そのうち、「ご説明に上がりたい」と接触し、定期的にアポが取れるようになったら、しめたものです。次の段階で、夜の会合に誘い出します。そうして日銀は、人目を気にせず夜の宴会ができる立派な施設を各地に持っています。

強みはなんと言っても経済情報です。民間金融機関の懐具合を知っているので、かなりの極秘情報も持っています。また、金融機関やそのシンクタンクに天下りも大勢おり、彼ら元日銀マンたちは古巣の情報などを元に経済情勢などを上手に語るので、政治家の講演会などにはうってつけのゲストになります。こうしたマンツーマンの人間関係で政治家に食い込むのです。

橋下市長

問題は、こうした日銀のお家芸が橋下氏に通用したかどうかです。橋下氏は議論を徹底的にオープンにしています。部内の会議でさえ公開していますし、記者会見はユーチューブで見られるようにしています。日銀の得意技であるマンツーマンの対人戦法は橋下流とは対極にあります。

日銀の大阪支店は、御堂筋を挟んで大阪市役所の真正面に位置する。「地の利」は果たしてメリットになったでしょうか。おそらく、ならなかったものと思います。その証拠として、私は日々橋下市長のツイートも追跡してますが、日銀大阪支店長との会談のことなどついに一言もみられませんでした。

日銀伏魔殿

おそらく、日銀としては、過去の民主党の歴代の野田、菅、鳩山総理大臣それに自民党の谷垣総理大臣などに対して、上にように取り行って、もっともらしい情報をたれこみ、日銀のどうしようもない馬鹿げた金融政策を正しい政策のように思い込ませることに大成功したのだと思います。これらの馬鹿総理大臣は、日銀にも財務省にもたやすく懐柔されて、意のままの操り人形となっていたというのが実情です。財務省には、あたかも日本がすぐに財政破綻するように信じこまされ、日銀には、日銀は十分に金融緩和をやっているかのごとく幻惑され、信じこんでいたというのが実情だと思います。

勝栄二郎元財務次官

ただし、財務省においては、従来の勝栄二郎財務次官は、すでに財務省を放逐され、IT企業に天下りました。財務高級官僚にとって、銀行や財務省関連の外郭団体などへの天下りならば、順当な天下りですが、IT企業などへの天下りなどは、放逐、島流し以外のなにものでもありません。やはり、財務省主流派は、勝氏の増税路線などは問題外の挙動だったのだと思います。ちなみに、財務省引き際の勝氏は、真砂財務次官から、部屋を取り上げられたそうです。真砂氏は、まさに、神か悪魔かといわれるような凄まじい人間ではないかと思います。それに、勝氏は財務省出身者の元老たちからは、末席に座らせてもらえないというとてつもない、しっぺ返しをくらわされたということです。

財務省はこのような状況ですが、日銀は違います。あくまでも、金融引締めが主流派の考え方であり、白川元総裁は、主流派からみれば、手ぬるい引き締めしかしなかったという評価です。ですから、とにかく歴代の総理や、これから、勢力を強める政治家などには、とにかくとりいって、日銀主流派の考え方が正しいことを吹き込むというのが、 常道です。

しかし、橋下市長には全く通用しなかったのでしよう。だから、これ以上雨宮氏を大阪に置いておいても、意味がなくなったのだと思います。それに、橋下大阪維新の会は分裂傾向にありますし、そんなことよりも、日銀にとっては、安倍総理が徹底的な金融緩和を進めること、それを実現しそうな、黒田総裁、岩田総裁が日銀に入り、先日のブログでも掲載したように、日銀政策決定委員会9人のメンバーのうち、これで4人が強力なリフレ派になったというお家騒動にどう対処するかが、大問題であり、そちらのほうが、大阪のことよりもはるかに重要なので、今回の異例の人事で雨宮氏を本店に戻したものと考えられます。

日銀は日銀なりに徹底抗戦を挑むつもりです。この抗戦に対してどう対処するかが、これからの大きな課題となります。

先日のブログでは、日銀政策決定委員会のうち、4人がリフレ派、4人が反リフレ派、1人がどっちつかずの、日銀出身の中曽宏日銀理事だった副総裁ということで、おそらく金融緩和政策に転じることが可能になることを掲載しました。そのブログのURLを以下に掲載します。

黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」―【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!


詳細は、このブログを読んでいただくものとして、私はこの記事を書いた時点においては、かなり楽観的な見方をしていました。

しかし、上の記事では、厳しい内容になっています。やはり、こういう厳しい見方をしておいたほうが良いと思います。考えてみれば、日銀政策決定委員会のうち、4人だけがリフレ派で、あとの政策決定委員会のメンバーは反リフレ派、それに日銀の大部分の人間が反リフレ派ということです。中曽副総裁が、日銀主流派に懐柔されるなどいうことは多いに考えられることです。それに、マスコミは反リフレ派です。自民党の中でも、本当のリフレ派は少数派です。他政党でも、リフレ派は少数派です。ふりかえってみれば、ほとんどが安倍総理や黒田総裁、岩田副総裁それに、政策委員会の二人と一部のリフレ派を含めても、周りは敵だらけです。

現在の政策委員会審議委員 

職名 氏名 就任年月日 任期満了日 前職等 任命した内閣 年齢
総裁 黒田東彦 2013年3月20日
(平成25年)
2013年4月8日
(平成25年)
財務官
アジア開発銀行総裁
第2次安倍内閣 68歳
副総裁 中曽宏 2013年3月20日
(平成25年)
2018年3月19日
(平成30年)
日本銀行理事 第2次安倍内閣 59歳
副総裁 岩田規久男 2013年3月20日
(平成25年)
2018年3月19日
(平成30年)
学習院大学経済学部教授 第2次安倍内閣 70歳

宮尾龍蔵 2010年3月26日
(平成22年)
2015年3月25日
(平成27年)
神戸大学経済経営研究所教授 鳩山由紀夫内閣 48歳

森本宜久 2010年7月1日
(平成22年)
2015年6月30日
(平成27年)
東京電力取締役副社長 菅内閣 68歳

白井さゆり 2011年4月1日
(平成23年)
2016年3月31日
(平成28年)
慶應義塾大学総合政策学部教授 菅内閣 (2改) 50歳

石田浩二 2011年6月30日
(平成23年)
2016年6月29日
(平成28年)
三井住友ファイナンス&リース
代表取締役社長
菅内閣 (2改) 65歳

佐藤健裕 2012年7月24日
(平成24年)
2017年7月23日
(平成29年)
モルガン・スタンレーMUFG証券
マネージングディレクター
野田内閣 (2改) 51歳

木内登英 2012年7月24日
(平成24年)
2017年7月23日
(平成29年)
野村証券金融経済研究所
経済調査部長
野田内閣 (2改) 49歳

上の名簿のうち、黒田総裁、岩田副総裁、佐藤、木内審議員のみが、リフレ派であとは、反リフレ派です。

こうした、状況を打破するには、攻撃するよりも防御が重要になると考えます。防御とはいっても、単純な防御ではなく、縦深防御が必要になってきます。縦深防御(じゅうしんぼうぎょ、英語: defence in depth, elastic defence)は、戦闘教義の1つです。縦深防御は、攻撃側の前進を防ぐのではなく、前進を遅らそうとすることを目的とします。それにより、時間を稼ぎつつ、攻撃側の前進による占領地域の増加と引き換えに敵の犠牲者を増加させる戦略です。日本語では、深層防御(しんそうぼうぎょ)と呼ばれることもあります。対義語に水際作戦があります。

この縦深防御の考え方は、非軍事的な戦略の記述においても広く使われています。この場合、日本語では、階層的防御、多層防御、多重防御の名前で呼ばれます(英語での表記は同一である)。

この防御は、横一線に陣地を築いて防御するというのではなく、縦に深く陣地を構築して、侵入してきた敵を弱らせ、最終的に勝利を得るという方式です。これ は、第二次世界大戦の独ソ戦では、ソ連軍のゲオルギー・ジューコフ司令官がとった戦法で、この戦法により、優勢だったドイツ軍を敗退させました。

ゲオルギー・ジューコフ

とにかく、日銀側の攻勢に備えて、横一線の単純な防御をするにのではなく、深く深く防御をするのです。そのためには、たとえば、日銀主流派にとって、針のむしろを用意するにしても、このむしろを一重ではなく、二重、三重、四重、五重までつくって、徹底的にいたぶり、五重を突破したころには、へろへろにさせるのです。

日銀醜聞を流布するにしても、日銀官僚の身辺を徹底的に洗い、最初は週刊誌、次はテレビ、次は、新聞、次はネットとこれも、幾重にも防御をはりめぐらして、これも、全部を突破するまでにはへろへろになるまで徹底するのです。

次に、ネット上でも、最初は通常の文字によるものから、写真、その次は動画と幾重にも防御をはって徹底的に攻撃して、ここでも、ヘロヘロにするのです。

そうして、日銀法改正案についても、1次案では、比較的ゆるいもので、日銀側を安心させ、2次案では、それよりも厳しくして、案が出されるたびに厳しくし、10次案まで出すのです。最終的には、11次案をだして、そこには、本当に厳しい条項を盛り込みます。

そうなると、日銀側は、必死で旧来手法により、政治家などに接触などして、とにかくとりいって、日銀主流派の考え方が正しいことを吹き込み厳しい日銀法の成立を阻止しようとします。そのときがこちらのつけ目です。これら取り込み屋のうち数人が精神に異常をきたすまで追い込むくらいの勢いで責め立てるか、懐柔してこちらに取り込むかして、日銀主流派の攻勢を阻むべきです。

これからの裏の駆け引き、表には、出てこないでしょうが、これくらいの覚悟がないと、過去20年間とんでもない日銀の行状は直りません。それにしても、日本の戦後体制からの脱却への道はまだまだ遠いです。まず身内からこのようにして日本を防御しなければならないということが情けないといえば情けないです。しかし、現実は、現実です。

本格的にやるつもりなら、このくらい、あるいはもっと上をいくくらいの覚悟で取り組んでいただきたいものです。そうして、安倍総理には、その覚悟があると思います。そう思うのは私だけでしょうか?_

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2012年12月7日金曜日

2012-12-06 ニコ動・安倍晋三元総理がリフレ派に転向した訳―【私の論評】安倍総裁の主張する財政・金融政策は、強い日本をつくり最終的に「戦後レジームからの脱却」を目指すものだ!!

2012-12-06 ニコ動・安倍晋三元総理がリフレ派に転向した訳

自民党安倍総裁の財政・金融政策には、自民党内でも異論があり本当に賛成しているのは1/4くらい?
12月2日に自民党安倍総裁が演壇に立ち、安倍氏がリフレ政策に転向した経緯と、現在の持論を展開している様子がニコニコ動画に掲載されていて、大変興味深いものがありました。 今朝の日経でも次の衆議院選挙で自公で過半数を取る勢いとも言われていますので、次期首相最有力の安倍総裁の考え方に耳を傾けてみましょう。
ここで私たちはどういう主張をしているかといえば、自民党の山本幸三さんという元財務省の人が主張していたことなんですね。 それを私は聴いていて、これは暴論だなと思っていたんですね。 実は私も誰も相手にしていなかったんです。 これは日銀の言うことの方が正しいのかな、と思ってきたんです。それがぱっとある時、必ずしもそうではなくて、山本さんの言うことの方が正しいのかなと。 
 私はこの分野(マクロ経済)は全然勉強をしてきたわけではないんですが、最近急にこれ(マクロ経済)についてお話を聴く機会を得ながら久しぶりに勉強したんですがね、今こそ山本氏の言う方がいいんじゃないか、と思ったら、国際的には、山本さんの言う方が主流なんですね。 
 先般もエール大学の浜田教授がやって来まして、…、「(リフレ政策を)堂々と主張してください」と言われました。 つまり我々が主張していることは、まずは現下のデフレを脱却しなければいけない。
このつづきは、ニコニコ動画から!!

【私の論評】安倍総裁の主張する財政・金融政策は、強い日本をつくり最終的に「戦後レジームからの脱却」を目指すものだ!!

この動画、もともとはChannelAjer(チャンネルアジャー)に掲載されたものの一部のようです。これは、1年ほど前の、もののようで、私自身も、見過ごしたものです。そうして、全部で7つくらいの動画があり、そのトップの動画を以下に掲載しておきます。そうして、1年前ですから、まだ安倍総裁になっていない頃の動画です。上のニコニコ動画は、この動画のうち、財政・金融政策に関して述べているものを再度、ニコニコ動画に投稿されたものです。以下に、YouTubeからそのトップ動画を掲載します。



最近このブログでは、安部自民党の応援する内容のものが多いです。それは、上の安部総裁の主張に全面的に賛成だからです。しかし、私自身は、安部総裁を前から支持してきたわけではありません。特に総理だった時代には、このブログでもほとんどとりあげたことはありませんでした。

確かに当時の安倍総理が主張する「戦後レジーム」からの脱脚は、絶対に必要だとは思っていました。今でもその考えに変わりはありません。しかし、そのために何をするかという点で、目ぼしいのは、教育に関するものでしたが、特に経済・金融対策は、その当時には何ら目ぼしいものはなく、これで本当にできるのだろうかと非常に疑問でした。しかし、安部総裁、総理辞任から5年間でずい分勉強されたようです。この財政・金融政策であれば、まずは、経済を回復させて、日本を強くすることができ、本当に「戦後レジーム」からの脱脚ができそうです。だからこそ、このブログでも、最近とみに安部総裁のことをとりあげているのです。

さて、上の動画では、 話言葉でもあり、安部総裁の主張が明確に伝わりにくいところもあると思いますし、要点をさっと知りたい人もいると思いましたので以下に若干補いつつ安部総裁の目指す、リフレ派に転向したきっかけなどの部分は省き、安倍総裁の財政・金融政策に関わる根幹部分のみを掲載させていただきます。
リーマン・ショック後の各国の対応を見ると、まずアメリカは貨幣の発行量をリーマン・ショック前の2007年の2.5倍にしている。イギリスは3倍に増やしている。中国は、4倍にしている。日本は1.1倍程度だった。日本銀行はなぜか、過去20年間本格的な金融緩和は、実施したことがなく、他国と比較すると、引き締め傾向で推移してきた。このようなことを続ければ、世界金融市場で、円の需要は増し円高になるのが、当然の帰結である。また、デフレからも20年間脱却できないのも当然のことである。他国がマネタリーベースを増やしているのに、日本だけそうではなく、本来はほとんど影響を受けるはずのなかった日本が、リーマンショックの被害が世界で最も長引いたのも当然の帰結である。
日本は、金融緩和をしなかったため、震源地のアメリカよりも、
リーマン・ショックからの回復が立ち遅れた
そこで、デフレから本格的に脱却するためにはマネタリーベース(日銀が市中銀行に供給するお金のこと)を拡大しなければならない。震災対策を奇貨として15兆円から20兆円政府が国債を発行し、これを基本的には全量日銀に買いオペ(市中銀行から買う)してもらう。本来は、日銀直接引き受けの方が効果は大きいし、他国では当たり前に行われていることであるが、なぜか日本ではこれは各界の抵抗が大きいため、次善の策として、新発国債は金利も低く、今でも市場で十分吸収できる状況にあるので、日銀に全部買いオペで買って貰う。さらに、デフレから脱却を強力に推進するため、さらに15兆円から20兆円新たにお札を刷ってもらうということにする。
これは復興のために、直ちに建設などの投資に向かうので、お金は政府などを経由することなく、直ちに市中に出回ることになる。これにより、間違いなく円安そしてインフレに誘導されるわけだ。しかし、過度のインフレにはならないように、インフレにはある程度の目安をつけておく必要がある。これは本来財務省と日本銀行が相談して決めることなのだろうが、他国の共通認識としては、本来は(CPI)4(%)が良いと言われているが、4%という目標を掲げると、日本では、インフレを嫌う人々も多く、2%から3%として抵抗なく受け入れてもらえるようにし、これを上回った場合には直ちに日本銀行がインフレ是正を目指して金融引き締めを行う。政府が緊縮財政を行うという方向に持っていくのが望ましい。
インフレ・ターゲットの設定は、かつての自民党では疑問視されていた
安部総裁が、以上のような主張すると総裁の、総理大臣時代や官房長官時代の財務省の秘書官が直ちにやってきて提示した、資料によると、総裁が国債を日銀が、全部買い取りすべきだという話が出たとたんに国債の金利があがったことを示すものであったという。要するに官僚は、安部総裁が、上記のような発言をしたことにより、金利が上昇し、国債の信用が落ちたというのである。しかし、このような現象は、マネーゲームの世界の事象であり、金融業界は、上記のような総裁の発言を利用して国債金利を上下させて利益を得ようとするのが当然のことである。
では、麻生政権の時に15兆円、大量の国債を発行した。あの時は、金利は、1%以下の0.9%になった。ところが、財務官僚などは、下がった時には何も言わず、上がった時にだけそれを大きく拡大した提示する。(注:国債の金利があがるということは、それだけの金利をつけなければならない程度に国債の信用が落ちたということ。国債の金利が下がったということは、それだけ金利をつけずとも売れるということで、信用度があがったということ)
麻生総理は、大規模な財政出動を行ったが、日銀の金融緩和はなかったこのとき、
金融緩和も同時に行えば、日本は、今頃デフレから脱却できていたかもしれない
論理的には国債を日本銀行が全部買い取る買いオペをしようとしているのだから、特に国債の信用が落ちて暴落するようなことはあり得ない。それよりも、日銀がもう本当に国債をいっさい買い取れないという事態におちいった場合こそ暴落が起きる筈である。だから、日銀は、現段階では、十分買いとれるし、全部買い取ったとしても、それによって、国債の信用は落ちるということはあり得ない。
安部総裁は、現在でも日本銀行は月に1.8兆円位の買いオペを実施していることも例に出している。今回の買いオペは、それをかなり増やすだけのことであるともしている。日銀は、買いオペをリーマン・ショックより前は1.4兆円だったものを、今では1.8兆円に増やしている。しかし、金利が特に上昇したということはない。だから国債金利の上昇を恐れる必要はないと認識している。
いずれにしても、日本銀行は紙とインクで(紙幣を)刷る。20円で1万円を刷ることにより、9,980円貨幣発行費(益)が出る。貨幣発行費については基本的には政府に納付するため、これは政府が紙幣を発行するというのと同じと考えて良い。これは余り政治家が言うと、円の信任を傷つけるケースもあるので、これを余り強調することは控えるが、このような仕組みになっているので、これが、すぐに孫子の代にツケを残すということにはならない。それよりも、紙幣を増やすことでも、デフレを解消すべきである。
現在日本は、20年間もデフレに悩んでいる。安倍政権の時に財政赤字が、あと6兆円で解消できるまでになっていた。しかし、あの時もデフレであった。あの時に、もし(実質)成長率1%にインフレ率2%が乗れば、名目は3%の成長率になっていたはずであり、恐らくその段階で税収は60兆を越えて財政赤字が性解消された可能性が十分ある。2007年から8年には、解消されていたに違いない。
日本が、世界第二の経済大国出会った時代は40年にも及ぶ
この10年間、もし日本経済がデフレから脱却していて、2.3%のインフレ率に1%の(実質)成長を乗せて、もし4%の名目成長をしていれば、日本のGDPは600兆円から700兆円となっていたはずである。これは、断然中国より大きかったはずである。そういう状況になっていれば税収がかなり増えていたはずである。
我々はまずデフレから脱却し、経済を成長させ、税収をあげていかなければならない。そうして、安定的に成長した段階では、将来の年金・医療や介護(費用)、これに対応するための消費税増税というものを考えなければいけないことは確かである。しかし、そのためにも、今は震災対応や、デフレ脱却に活用すべきである。デフレ解消の前に、増税すれば、さらなるデフレスパイラルに落ち込むことになり、税収は増えないことは、以前の5%への消費税増税によっても、増税前の税収の水準を一度も上まったことがないことが雄弁に物語っている。
以上のような、安部総裁の財政・金融政策はデフレ脱却ための方策としては、かなりまともであり、期待できます。上記で、補足するとすれば、不景気なときにマネタリーベースを増やせば、ハイパーインフレになるとする意見もありますが、これはあてはまらないことが、はっきりしてきたことくらいです。

ジャパニーズ・ドリームが描ける未来は来るのか?
上の写真は、杉本彩さんの写真集の表紙
事実、アメリカは、QE1、QE2そうして、現在は、QE3という大幅な金融緩和を過去三度にわたって行ってきたが、物価は安定しています。ハイパーインフレなどからは、程遠いです。イギリスは、2010年に大幅な付加価値税増税を実施した直後から、特に若年層の雇用がかなり悪化したため、これに対処すべく、2011年にイングランド銀行(イギリスの中央銀行)がかなりの増刷を行い、金融緩和を行い、インフレ率が上昇し、一時4%を超えた時期がありました。これは、不景気なときにマネタリーベースを増やすと、ハイパーインフレになるという論者の有力な根拠となってきましたが、そうなることはなく、今年に入ってから、2%台になり、落ち着いています。

すでに、今回の衆議院選挙では、自公は圧勝しそうな勢いです。これで安部政権が誕生すれば、景気が上向く可能性はかなり高いです。さらに、来夏の参議院選挙で、自民が振るわず、自公維体制ができあがるとか、ねじれ国会になるとかの不測の事態になることなく、安部自民が圧勝でき、上記の財政・金融政策がそのまま実行されるようになれば、景気はかなり上向くことが予想できます。そうなった場合、多くの企業の業績回復や、新興企業がたくさん躍りでてくることになると考えられます。素晴らしいことです。そうして、国民は、景気が良くなっても、かつてのバブルのときのように浮かれることなく、安部総裁の本当の改革は、「戦後レジーム」からの脱脚であることを知り、その方向性でさらに頑張り、新しい日本を創ることに邁進しようではありませんか?私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?





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高橋洋一「日本の解き方」 ■ 経産省が素案公表「エネルギー基本計画」の読み方 欧米と比較、日本の原子力強化は理にかなっている 国際情勢の変化を反映すべき まとめ 経済産業省はエネルギー基本計画の素案を公表し、再生可能エネルギーを4割から5割、原子力を2割程度に設定している。 20...