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2013年6月8日土曜日

哲学者・適菜収 木を見て森を見ない人々―【私の論評】ニッポン人は、いつから大きな枠組みも、大きな時代の流れも見えなくなったのか?

哲学者・適菜収 木を見て森を見ない人々

適菜収

「客観的事実」を伝えることは難しい。程度の差こそあれ「事実」は主観の産物であるからだ。紅茶に砂糖を入れたら甘くなるのは「客観的事実」だが、最終的に「甘い」と判断するのは人間だ。これが、歴史認識や戦争の問題になると一筋縄にはいかなくなる。それどころか、一部の「事実」をクローズアップすることで全体像が隠蔽(いんぺい)されることもある。

作家の開高健(1930~89年)は、戦時下のベトナムを取材した。戦争の不条理を毎日のように目撃し、自身も命を落としかけながら、米軍の武装ヘリコプターとベトコン兵士の戦闘について「広大な熱帯のサフラン色に染まった夕焼けのなかで双方の曳光弾(えいこうだん)は苛烈に美しかった」(『ベトナム戦記』)と書いた。

開高健

開高は朝日新聞社臨時特派員としてベトナム共和国軍に従軍し、帰国後はベ平連に加入している。にもかかわらず、開高は当時のイデオロギー的熱狂を拒絶し、目の前にある「事実」を描写し続けた。ニョク・マム(魚醤(ぎょしょう))の臭い、街角の血の臭い、熱帯夜の臭い、昼寝をするベトナム人、地雷、日常化し数字にすぎなくなった「死」…。ベトコン少年の公開処刑を見た開高は、吐き気を覚えながらも感傷に走らない。

「もしこの少年が逮捕されていなければ彼の運んでいた地雷と手榴弾(しゅりゅうだん)はかならず人を殺す。五人か一〇人かは知らぬ。アメリカ兵を殺すかもしれず、ベトナム兵を殺すかもしれぬ」

この記事の続きはこちらから!!

【私の論評】ニッポン人は、いつから大きな枠組みも、大きな時代の流れも見えなくなったのか?

上の記事、ひさしぶり開高健氏の名前をみつけたので、掲載しました。開高氏といえば、私の中で晩年の写真集「オーパ!」が懐かしいです。今でも、実家にかえればあの写真集が私の本棚のなかにはるはずです。

それにしても、開高氏の報道姿勢は本当に素晴らしいものだったと思います。とにかく、戦争報道など、イデオロギーなどの枠組みにとらわれることなく、目の前の事実を執拗に追い続けたという姿勢は高い評価に値すると思います。


戦争報道など、いらぬ視点など抜きにして、報道するというのが本来のあり方ではないかと思います。伝聞・二次情報などではなく、現場情報、一時情報にこそ価値があります。イデオロギーの手垢にまみれた情報などとは異なり、一時情報は、時がたってもますます価値が増します。だからこそ適菜氏は、「開高のルポタージュは、こうした自己に対する厳しい視点から生まれた。イデオロギーの垢(あか)にまみれた結論ありきの「正論」を開高は嫌ったのだった。ベトナムについて書かれたルポタージュの多くが、戦争の実態が明らかになるにつれ価値を失ったのに対し、開高の報告は輝きを増し続けている」と高く評価しているのだと思います。 

ところが、一方橋下大阪市長の「従軍慰安婦」等の発言に関しては、手厳しく批判しています。特に橋下氏の「侵略」発言に関しては、「学術上(の定義が)定まっていなくても敗戦の結果として侵略だった」とのわけのわからない論理により、わが国の国際的立場を著しく低下させたということだ」という発言に関しては、「一割の正論に目をくらませられ、九割の暴論を見逃す人々がいる」として手厳しく批判しています。

橋下大阪市長
私自身は、「慰安婦問題」に関しては、確かに橋下氏の言い分は、間違ってはいないと思います。しかし、「侵略」に関してはどうしても納得はできませんでした。これに関しては現在の尺度で当時をみて、それで侵略か侵略でないかなどと、とうていはかりきれるものではありません。

マッカーサーが朝鮮戦争からアメリカに帰国して、その直後に公聴会で証言をしていますが、その証言で、「日本が行った戦争は、侵略戦争ではない、あくまでも自分たちを守るための防衛戦争だった」と証言しています。マッカーサーは、実際に朝鮮戦争を戦って、イデオロギーまみれの二次情報だけではなく、自ら一次情報を得ることにより、なぜ日本がわざわざ満州帝国を建国したのか、実際に朝鮮や中国でどのような統治をしていたのか、あるいは、当時の中国国民党軍と日本の事変とはどのようなものであったのか、なぜ朝鮮戦争は起こったのかなど一次情報を集めた結果、そう結論づけたのです。
 
公聴会で証言するマッカーサー

そうして、その読みは正しかったのですが、その当時の純粋無垢でアメリカのいわゆる良き小市民にすぎないトルーマン大統領にとっては、当時はソ連やスターリンをアメリカの親しい友人とみなし、日米の戦争や、日中の衝突、朝鮮戦争でさえ、背後にソ連が控えていたことを見破ることはできませんでした。 マッカーサーは日本の手によって一大工業地帯となっていた満州への核攻撃まで主張したのですが、これに対しトルーマンは「それは戦略的には正しいのだろうが、政治的には受け入れられない」と一蹴しました。

ここに至って、ついに1951年4月マッカーサーは解任されました。しかし、この際に、マッカーサーが主張したようなことを実行するか、核をつかわないまでも、もっと厳しい措置をとっていたら、アジアの未だ解消されていない冷戦構造ははやめに解消されていたかもしれません。あるいは、その後の日本の運命も変わったかもしれません。


典型的にアメリカの善良な小市民であったトルーマン

これような歴史的事実を知ってから知らずしてか、橋下市長は、「敗戦の結果として侵略だった」としてわが国の国際的立場を著しく低下させたわけです。

そうして、そのことに本人はもとより、これらに幻惑されているニッポン人も大勢いるということです。橋下市長はもとより、多くのニッポン人(日本的な伝統文化を継承していない日本人という意味)が、何事を見るにおいても、大きな枠組みも、大きな時代の流れも考慮にいれず、ただただ目の前の事実をすでにある他者の視点から眺めて、そこで事実を理解しています。だからいつまでたっても、木を見ていて森をみることができません。

そうして、どうしてそのようになってしまったといえば、何か一つの事象を捉えるにしても、日本はもとより、もっと大きな範囲、さらには、今という時点だけではなく、過去にもさかのぼって考えるという習慣をなくしてしまったからではないかと思います。

慰安婦の問題や、侵略の定義にしても、それこそ大きな世界枠組みの視点から、時間的にも少なくとも100年前からたどってみれば、真実が見えてくるはずです。そうして、このような見方は、従来の少なくとも戦前の日本人なら簡単にできたはずです。特に、コミンテルンなどのイデオロギーに煽られる前の日本人であればできたはずです。しかし、戦争に突入する直前から以降そうではなくなり、戦後はさらに大きく失われてしまったと思います。

コミンテルン(共産党世界組織)の総元締スターリン

そうして、戦後は、戦後体制にどっぷりと漬かってしまった多くのニッポン人が、今なお日本は戦後体制であることを意識しないどころか、忘れ去っています。

日本人は、いまだに戦後体制というサファリパークの中にいる動物のようなものです。自由きままのようにみえて、実はある一定の閉鎖空間に閉じ込められています。中には、あまりに長い間このサファリパークにい続けたので、サファリパークが自然であるかのように錯覚する日本人も増えてきています。そうして、日本的伝統文化を受け継いでいないのに、人種だけが日本人であるようなニッポン人も増えてきています。

ニッポン人はサファリパークの住人のようなもの

このような人たちは、戦前やその前と、戦後の日本とは全く別ものと考えています。本来そんことはありえません。人間だって、生まれてから死ぬまで周りの環境や、自らの考えも随分変わったりはしますが、自分の人生のある一定期間だけをそれは自分ではないと否定することはできません。たとえ、その期間の自分が好きであろうが、嫌いであろうが、良くても悪くても、それを完全否定となどできません。

良くも悪くも、その期間があるからこそ、現在の自分があるはずです。それを完全否定する人は、いつまでも何らかのトラウマを引きずり続けることになるか、精神に異常をきたすことになります。

今の日本という国が、まさしくそうなっているのかもしれません。良いことも、悪いこともその過去をすべて受け入れることができなければ、大きな枠組みも、大きな時代の流れも捉えられず、木を見て森を見ずという状態から抜け出ることができなくなります。

そんな状態にあれば、どういうことになるかといえば、本来自分の視点から、それも真の自分の視点からではなく、他者のイデオロギーという観点からしか物事が捉えなれなくなります。そうして、真の自分の視点といった場合、好むと好まないにかかわらず、日本人という視点、日本国という視点が含まれることはいうまでもありません。

アベノミクスは、戦後体制からの脱却のうちの一里塚の一つにすぎない

たとえば、現在のアベノミクスなど大きな枠組みでは、戦後体制からの脱却のいくつもあるうちの、ほんの最初の一里塚でしかありません。ところが、ニッポン人は、株価高、円安にばかり目がいって、株価に一喜一憂、為替レートに一喜一憂するという有様です。

本日は、習近平がアメリカを訪問しています。 この訪問の大きな目的は、アジアを中国と米国の覇権下に収め、アジアを米中で管理しようと画策していると噂する人々もいます。これはまるで、「蒋介石の背後には英米が!」と煽った偽装転向コミンテルンの再来のようです。

しかし、この米中首脳会談に、アメリカ国内の法輪功などが抗議活動をしています。これについては、以下の記事を御覧ください。
 法輪功などが抗議活動

 同じ中国人でも味方にしなければいけない人たちもいます。彼らは米国籍を持ち、米国内で活動中です。やはりアメリカは一枚岩ではありません。米中一体化などという妄想は、中国共産党、習近平の妄想であり、アメリカはそのような妄想にのることはありません。
さらに、以下の様な記事もあります。
米中会談前日にサイバー攻撃制裁法案…米議会

何と、習のアメリカ訪問の前日に、アメリカ議会で、サイバー攻撃制裁法案が提出されているのです。アメリカ議会の中にはこういう動きもあるのです。この法案を提出したロジャース氏は声明で、「米国の知的財産を(サイバー攻撃で)盗めば、結果が伴うことを中国に知らせる重要な一歩だ」と述べました。米政府は、中国からのサイバー攻撃の一部に、中国政府が関与したとみています。アメリカは親中派ばかりではありません。一枚岩じゃないということです。

米安保トップ、突然の交代劇 オバマ米政権 中国傾斜に懸念も

オバマ大統領は5日、ホワイトハウスのドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任と、その後任にライス国連大使を起用すると発表ました。ドニロン氏は7、8両日にカリフォルニア州で行われる習近平国家主席との米中首脳会談の地ならしのために訪中し、帰国したばかりでした。
 

バイデン副大統領に近いドニロン氏は、欧州や中東から、外交・安保の比重を東アジアに移す「ピボット」(軸足旋回)を推進してきた実績があります。
大きな枠組みでものを考えられない、大き時代の流れの中で木を見て森を見れなくなったニッポン人は、戦争直前にも、米中一体化という妄想を信じて、戦争にひた走りました。現在も、そのような妄想を信じるニッポン人がいて、一枚岩ではないアメリカの動向の一部分のみをつまみとって、喧伝しています。この妄想は、中国共産党中央政府、習近平の妄想であるにすぎません。

米中一体化など習の妄想にすぎない!

さて、日本が本当の意味で再生するためには、いずれ戦後体制からの脱却は必須であり、その道のりは長く、場合によっては、もう1世代から2世代までも時間を要するかもしれません。しかし、その時々で、妥協できることには妥協しても、一歩、一歩着実に進めていなかければなりません。

その間においても、大きな枠組み、大きな時の流れの中に身を置くことで、自らが何者であり、何に属していて、ざまざまな出来事に出くわしたときに自分独自の視点からものが見えるようにすべきと思います。そうでなければ、いつまでたっても、木を見て森を見ない愚かなニッポン人になってしまいます。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年5月30日木曜日

池田信夫 blog : 自称「慰安婦」の矛盾だらけの証言 - ライブドアブログ―【私の論評】池田先生GJ(・.・;)従軍慰安婦問題を語る輩は余程の馬鹿か、詐欺師(゚д゚)!ところで、橋下氏は策士?

池田信夫 blog : 自称「慰安婦」の矛盾だらけの証言 - ライブドアブログ

慰安婦問題には物的証拠は何もなく、彼女たちの「証言」が唯一の根拠だ。しかしNYタイムズの田渕記者などは、いまだに記者会見で橋下徹氏に「慰安婦が嘘つきだというんですか!」などと詰問しているので、彼女たちが嘘つきであることを証明しておこう。

金福童

橋下氏に面会するといって来日しながら、なぜか直前にキャンセルした金福童(87)と吉元玉(84)の2人は、大阪市内で開かれた集会には参加した。朝鮮新報によれば、「金福童さんはまず、14歳の時に軍需工場に連れて行くと騙され、南洋群島の戦場に慰安婦として送られた」という。彼女の証言は次のようなものだ。

吉元玉

 最初、中国・広東の慰安所に入れられた。そこには陸軍司令部の本部があり、私たちは将校と軍医官に身体検査をされ、すでに用意してあった部屋に行かされた。日本政府は『自分たちがやったことではない』と言っているが、民間人がどうやって軍人相手のための慰安所を作ることができるのか。

まず彼女が最初に送られたのが南洋群島(パラオ・サイパンなど)なのか広東なのかという事実が、同じ記事の中で食い違っている。さらに金は「広東から香港、マレーシア、スマトラ、インドネシア、ジャワ、シンガポール…、前線地帯の戦地を日本軍と共に転々とした」という。日本軍の部隊でも、このように太平洋を数千kmも移動した将兵はなく、まして慰安婦がそれに随行することはありえない。

金は87歳というから、「14歳の時」というのは1939年か40年だ。そのころ朝鮮半島に徴用令は出ていないので、「軍需工場に連れて行くと騙した」のは民間人だろう。軍医が身体検査をするのは当然で、衛生管理のためである。「民間人が軍人相手のための慰安所を作る」のはもうけるためで、何の不思議もない。要するに、彼女は民間人にだまされて民間の慰安所で働いたと言っているのだ。どこにも「強制連行」は出てこない。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】池田先生GJ(・.・;)従軍慰安婦問題を語る輩は余程の馬鹿か、詐欺師(゚д゚)!ところで、橋下氏は策士?


池田信夫

池田氏というと、私は嫌いですし、このブログでは、過去には非難ばかりしてきました。しかし、上の記事は素晴らしいです。私が見たなかでは、最高のグッド・ジョブです。池田氏はこんな論考もするのですね。経済の論考はげんなりするものばかりですが、これは素晴らしいです。池田氏もう、経済の論評はやめて、従軍慰安婦問題とか、反日とかに特化すると良いのではないかと思ってしまいます。

私も、 橋下氏に面会するといって来日しながら、なぜか直前にキャンセルしたのは、弁護士でも橋下氏に徹底的に追求されるのを恐れてであるというように以前このブログで掲載しました。そのURLを以下に掲載します。

「謝罪パフォーマンス」情報源は日本?韓国? 元慰安婦面会キャンセル―【私の論評】橋下市長のパフォーマンスは半端ではないことを恐れた、韓国人女性と市民団体の退散(゚д゚)!!?さよなら韓国(・.・;)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみコピペさせていただきます。
 従軍慰安婦だったとする、韓国人女性と、その支援団体、橋下市長との面会について、軽く考えていたのが、実際に会う段になると、自分たちにとって非常に危険であると察知し、取りやめたのだと思います。

何しろ、橋下市長は元弁護士です。それに、過去においては大阪府で徹底的にどのような妨害にもたじろがず地方公務員改革をやってきた人間です。一筋縄ではいかないのは、当然のことです。
これに関しては、維新の中山成彬氏も似たようなことを語っており、誰がみてもそのようにしか見えないのだと思います。彼女らが、詐欺師でないというのなら、どうどうと橋下市長と渡り合うべきだったと思います。

ところで、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は29日の記者会見で、旧日本軍の慰安婦をめぐる自身の発言について「今は国民の皆さんの理解を得られていない」との認識を示しています。

一連の発言が国内外から批判を受けているのを踏まえ「日本だけが不当な侮辱を受けている。言うべきことは言わないといけない」と重ねて主張。「そうしないと外交戦争で負けっぱなしになる」と持論を展開しました。

 6月中旬の米国視察中止に伴い、キャンセル料約180万円が公費負担になることについては「個人では負担しない。そんなことしたら、この仕事は務まらない」と発言しました。

また、維新が夏の参院選で敗北して自身が共同代表から退く事態に至った場合でも、大阪市長は辞任せず、職 務を継続する意向を明らかにしています。「(共同代表辞任と)市長とは全然関係ない」と語っています。ちなみに、橋下氏の市長任期は2015年 12月まです。
橋本氏、私は何らかの意図や戦略があって、あのような発言の仕方をしたのかと思いましたが、どうもそうでもないようです。発言の仕方、順序、背景について少し間違ったのかもしれません。

しかし、今回は、やはり戦略的なものもあったのかもしれません。橋下氏はもともと、今回の参院選には出馬しないと語っています。これは、私のうがった見方かもしれませんが、今回もし維新が参院で大勝利をするということにでもなれば、国会議員でもない橋下氏の影は薄くなります。最近、東京と大阪で、意思の疎通がうまくできていないことがクローズアップされていました。もし、参院選大勝利ということにでもなれば、この亀裂がさらに大きくなって、収拾がつかなくなるかもしれません。であれば、まだ国会議員でもない橋下氏にとっては、何も良いことはないです。

大飯原発稼働容認発表をした橋下市長
今回の参院選は、大勝利とまではいかないほうが橋下氏にとっては都合が良いのかもしれません。これに関しては、あの大飯原発の稼働容認のことが思い出されます。あれに関しては、私は、もしどこまでも稼働反対として突っ張っていれば、橋下氏は、政治生命を失ったと思います。まあ、国会議員にもなれて、維新の会の代表にはなれるかもしれませんが、大きな流れになることは完璧に不可能になったことでしょう。

あのとき、橋下氏をかなり見直しました。それまでは、あまり政治のことを知らなすぎ、特に国政に関しては知らなすぎと思っていました。しかし、橋下氏はかなり勉強しているようで、日に日に変わっています。今回もし、橋下氏が、私が述べたような背景で、あのような発言を意図して意識してしたとしたら、橋下氏相当器が大きいですし、相当の策士ですし、将来大物になると思います。いずれせよ、後一二年は見てみないとわからないとは思いますが、私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年3月23日土曜日

日銀・黒田新体制を待つ罠 異例の人事で不気味な兆候も…―【私の論評】日銀反リフレ派主流派の攻撃を阻止するには、縦深防御で臨め!!

日銀・黒田新体制を待つ罠 異例の人事で不気味な兆候も…
左より、岩田副総裁、黒田総裁、中曽副総裁

日銀は21日、黒田東彦(はるひこ)総裁(68)率いる新体制が本格始動する。黒田総裁は同日午後に日銀本店に初出勤、岩田規久男副総裁(70)とともに「2%のインフレ目標」早期達成へ、追加金融緩和の検討に着手する。だが、日銀内部の「抵抗勢力」が罠を張り巡らせているとの懸念もある。

黒田総裁と岩田副総裁は、従来の日銀に批判的で、国債購入の大幅な強化など金融政策を大胆に転換する構えだ。日銀プロパーにとって、これまでの政策ミスを突き付けられるだけに、歓迎ムードではないようだ。

ある元日銀マンは「正副総裁の講演原稿に日銀の意向に沿った文言を盛り込んで言質を取ったり、スケジュールを詰め込んで外部から情報を取れなくするなどしてコントロールしようとするだろう」と日銀プロパーによるレジスタンス活動に注意が必要とする。

すでに不気味な動きも出ている。日銀内で「将来の総裁候補」と目される雨宮正佳氏(57)が新体制発足直前、大阪支店長からわずか10カ月で理事に呼び戻される異例の人事があった。

「あれだけ批判された白川方明(まさあき)前総裁ですら、日銀内部では“最も金融緩和に積極的な人物”という評価」(前出の元日銀マン)だという。黒田、岩田両氏は“伏魔殿”に乗り込む覚悟が必要だろう。

【私の論評】日銀反リフレ派主流の攻撃を阻止するには、縦深防御で臨め!!

雨宮正佳氏

上の記事あまり長い記事ではないので、全文引用させていただきました。この中で気になるのは、異例の人事ということで、雨宮正佳氏が大阪支店長からわずか10ヶ月で理事に呼び戻されたという人事です。しかし、この人事はそんなに勘ぐらなくても良いと思います。

この人事は、おそらく日銀による維新の会対策ではなかろうかといわれていたからです。

この人事は昨年、5月11日付で発令されたものでした。この時に市場で関心をひいたのが、政策担当理事で「量的緩和政策」立案の中心人物だった雨宮正佳氏の大阪支店長への異動でした。

日銀は表向き、「雨宮氏に支店長経験がないため」と説明していましたが、この人事の正しい解釈は、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」対策だったと言われています。

さて、大阪維新の会は当時日ごとにその存在感を増していました。消費税増税や原発再稼働問題ではことごとく民主党政権の逆の政策を打ち出し、ついには倒閣まで口にしていました。次期総選挙で台風の目になることは確実でしたし、場合によっては政権を握る可能性すら秘めていました。

その場合、日銀としては気がかりだったのが当時の橋下氏の言動でした。日銀に関しても、「独立性が強すぎる」「(金融政策の)目標は(日銀ではなく)政府が決めるべきだ」と世界標準の正論を語り、インフレターゲット設定などを盛り込む日銀法改正にも前向きとされていたからです。そして、そんな橋下氏を説得して路線変更させられる力量の持ち主は、雨宮氏しかいないというのが実情だったのです。

ここで、日銀がどうやって政治家に取り入ってきたかのべておきます。まずは目をつけた政治家に金融関係のデータをこまめに届けることが第一歩です。そのうち、「ご説明に上がりたい」と接触し、定期的にアポが取れるようになったら、しめたものです。次の段階で、夜の会合に誘い出します。そうして日銀は、人目を気にせず夜の宴会ができる立派な施設を各地に持っています。

強みはなんと言っても経済情報です。民間金融機関の懐具合を知っているので、かなりの極秘情報も持っています。また、金融機関やそのシンクタンクに天下りも大勢おり、彼ら元日銀マンたちは古巣の情報などを元に経済情勢などを上手に語るので、政治家の講演会などにはうってつけのゲストになります。こうしたマンツーマンの人間関係で政治家に食い込むのです。

橋下市長

問題は、こうした日銀のお家芸が橋下氏に通用したかどうかです。橋下氏は議論を徹底的にオープンにしています。部内の会議でさえ公開していますし、記者会見はユーチューブで見られるようにしています。日銀の得意技であるマンツーマンの対人戦法は橋下流とは対極にあります。

日銀の大阪支店は、御堂筋を挟んで大阪市役所の真正面に位置する。「地の利」は果たしてメリットになったでしょうか。おそらく、ならなかったものと思います。その証拠として、私は日々橋下市長のツイートも追跡してますが、日銀大阪支店長との会談のことなどついに一言もみられませんでした。

日銀伏魔殿

おそらく、日銀としては、過去の民主党の歴代の野田、菅、鳩山総理大臣それに自民党の谷垣総理大臣などに対して、上にように取り行って、もっともらしい情報をたれこみ、日銀のどうしようもない馬鹿げた金融政策を正しい政策のように思い込ませることに大成功したのだと思います。これらの馬鹿総理大臣は、日銀にも財務省にもたやすく懐柔されて、意のままの操り人形となっていたというのが実情です。財務省には、あたかも日本がすぐに財政破綻するように信じこまされ、日銀には、日銀は十分に金融緩和をやっているかのごとく幻惑され、信じこんでいたというのが実情だと思います。

勝栄二郎元財務次官

ただし、財務省においては、従来の勝栄二郎財務次官は、すでに財務省を放逐され、IT企業に天下りました。財務高級官僚にとって、銀行や財務省関連の外郭団体などへの天下りならば、順当な天下りですが、IT企業などへの天下りなどは、放逐、島流し以外のなにものでもありません。やはり、財務省主流派は、勝氏の増税路線などは問題外の挙動だったのだと思います。ちなみに、財務省引き際の勝氏は、真砂財務次官から、部屋を取り上げられたそうです。真砂氏は、まさに、神か悪魔かといわれるような凄まじい人間ではないかと思います。それに、勝氏は財務省出身者の元老たちからは、末席に座らせてもらえないというとてつもない、しっぺ返しをくらわされたということです。

財務省はこのような状況ですが、日銀は違います。あくまでも、金融引締めが主流派の考え方であり、白川元総裁は、主流派からみれば、手ぬるい引き締めしかしなかったという評価です。ですから、とにかく歴代の総理や、これから、勢力を強める政治家などには、とにかくとりいって、日銀主流派の考え方が正しいことを吹き込むというのが、 常道です。

しかし、橋下市長には全く通用しなかったのでしよう。だから、これ以上雨宮氏を大阪に置いておいても、意味がなくなったのだと思います。それに、橋下大阪維新の会は分裂傾向にありますし、そんなことよりも、日銀にとっては、安倍総理が徹底的な金融緩和を進めること、それを実現しそうな、黒田総裁、岩田総裁が日銀に入り、先日のブログでも掲載したように、日銀政策決定委員会9人のメンバーのうち、これで4人が強力なリフレ派になったというお家騒動にどう対処するかが、大問題であり、そちらのほうが、大阪のことよりもはるかに重要なので、今回の異例の人事で雨宮氏を本店に戻したものと考えられます。

日銀は日銀なりに徹底抗戦を挑むつもりです。この抗戦に対してどう対処するかが、これからの大きな課題となります。

先日のブログでは、日銀政策決定委員会のうち、4人がリフレ派、4人が反リフレ派、1人がどっちつかずの、日銀出身の中曽宏日銀理事だった副総裁ということで、おそらく金融緩和政策に転じることが可能になることを掲載しました。そのブログのURLを以下に掲載します。

黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」―【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!


詳細は、このブログを読んでいただくものとして、私はこの記事を書いた時点においては、かなり楽観的な見方をしていました。

しかし、上の記事では、厳しい内容になっています。やはり、こういう厳しい見方をしておいたほうが良いと思います。考えてみれば、日銀政策決定委員会のうち、4人だけがリフレ派で、あとの政策決定委員会のメンバーは反リフレ派、それに日銀の大部分の人間が反リフレ派ということです。中曽副総裁が、日銀主流派に懐柔されるなどいうことは多いに考えられることです。それに、マスコミは反リフレ派です。自民党の中でも、本当のリフレ派は少数派です。他政党でも、リフレ派は少数派です。ふりかえってみれば、ほとんどが安倍総理や黒田総裁、岩田副総裁それに、政策委員会の二人と一部のリフレ派を含めても、周りは敵だらけです。

現在の政策委員会審議委員 

職名 氏名 就任年月日 任期満了日 前職等 任命した内閣 年齢
総裁 黒田東彦 2013年3月20日
(平成25年)
2013年4月8日
(平成25年)
財務官
アジア開発銀行総裁
第2次安倍内閣 68歳
副総裁 中曽宏 2013年3月20日
(平成25年)
2018年3月19日
(平成30年)
日本銀行理事 第2次安倍内閣 59歳
副総裁 岩田規久男 2013年3月20日
(平成25年)
2018年3月19日
(平成30年)
学習院大学経済学部教授 第2次安倍内閣 70歳

宮尾龍蔵 2010年3月26日
(平成22年)
2015年3月25日
(平成27年)
神戸大学経済経営研究所教授 鳩山由紀夫内閣 48歳

森本宜久 2010年7月1日
(平成22年)
2015年6月30日
(平成27年)
東京電力取締役副社長 菅内閣 68歳

白井さゆり 2011年4月1日
(平成23年)
2016年3月31日
(平成28年)
慶應義塾大学総合政策学部教授 菅内閣 (2改) 50歳

石田浩二 2011年6月30日
(平成23年)
2016年6月29日
(平成28年)
三井住友ファイナンス&リース
代表取締役社長
菅内閣 (2改) 65歳

佐藤健裕 2012年7月24日
(平成24年)
2017年7月23日
(平成29年)
モルガン・スタンレーMUFG証券
マネージングディレクター
野田内閣 (2改) 51歳

木内登英 2012年7月24日
(平成24年)
2017年7月23日
(平成29年)
野村証券金融経済研究所
経済調査部長
野田内閣 (2改) 49歳

上の名簿のうち、黒田総裁、岩田副総裁、佐藤、木内審議員のみが、リフレ派であとは、反リフレ派です。

こうした、状況を打破するには、攻撃するよりも防御が重要になると考えます。防御とはいっても、単純な防御ではなく、縦深防御が必要になってきます。縦深防御(じゅうしんぼうぎょ、英語: defence in depth, elastic defence)は、戦闘教義の1つです。縦深防御は、攻撃側の前進を防ぐのではなく、前進を遅らそうとすることを目的とします。それにより、時間を稼ぎつつ、攻撃側の前進による占領地域の増加と引き換えに敵の犠牲者を増加させる戦略です。日本語では、深層防御(しんそうぼうぎょ)と呼ばれることもあります。対義語に水際作戦があります。

この縦深防御の考え方は、非軍事的な戦略の記述においても広く使われています。この場合、日本語では、階層的防御、多層防御、多重防御の名前で呼ばれます(英語での表記は同一である)。

この防御は、横一線に陣地を築いて防御するというのではなく、縦に深く陣地を構築して、侵入してきた敵を弱らせ、最終的に勝利を得るという方式です。これ は、第二次世界大戦の独ソ戦では、ソ連軍のゲオルギー・ジューコフ司令官がとった戦法で、この戦法により、優勢だったドイツ軍を敗退させました。

ゲオルギー・ジューコフ

とにかく、日銀側の攻勢に備えて、横一線の単純な防御をするにのではなく、深く深く防御をするのです。そのためには、たとえば、日銀主流派にとって、針のむしろを用意するにしても、このむしろを一重ではなく、二重、三重、四重、五重までつくって、徹底的にいたぶり、五重を突破したころには、へろへろにさせるのです。

日銀醜聞を流布するにしても、日銀官僚の身辺を徹底的に洗い、最初は週刊誌、次はテレビ、次は、新聞、次はネットとこれも、幾重にも防御をはりめぐらして、これも、全部を突破するまでにはへろへろになるまで徹底するのです。

次に、ネット上でも、最初は通常の文字によるものから、写真、その次は動画と幾重にも防御をはって徹底的に攻撃して、ここでも、ヘロヘロにするのです。

そうして、日銀法改正案についても、1次案では、比較的ゆるいもので、日銀側を安心させ、2次案では、それよりも厳しくして、案が出されるたびに厳しくし、10次案まで出すのです。最終的には、11次案をだして、そこには、本当に厳しい条項を盛り込みます。

そうなると、日銀側は、必死で旧来手法により、政治家などに接触などして、とにかくとりいって、日銀主流派の考え方が正しいことを吹き込み厳しい日銀法の成立を阻止しようとします。そのときがこちらのつけ目です。これら取り込み屋のうち数人が精神に異常をきたすまで追い込むくらいの勢いで責め立てるか、懐柔してこちらに取り込むかして、日銀主流派の攻勢を阻むべきです。

これからの裏の駆け引き、表には、出てこないでしょうが、これくらいの覚悟がないと、過去20年間とんでもない日銀の行状は直りません。それにしても、日本の戦後体制からの脱却への道はまだまだ遠いです。まず身内からこのようにして日本を防御しなければならないということが情けないといえば情けないです。しかし、現実は、現実です。

本格的にやるつもりなら、このくらい、あるいはもっと上をいくくらいの覚悟で取り組んでいただきたいものです。そうして、安倍総理には、その覚悟があると思います。そう思うのは私だけでしょうか?_

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