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2019年4月23日火曜日

「令和おじさん」菅義偉、そろい始めたポスト安倍の3条件―【私の論評】自民議員のほとんどがマクロ経済を理解しないが故にこれは党内政治において強力な武器に(゚д゚)!

「令和おじさん」菅義偉、そろい始めたポスト安倍の3条件

川上和久(国際医療福祉大学教授)

 「亥(い)年選挙のジンクス」と言われている現象がある。亥年は、春の統一地方選と参院選が12年に1度重なる。統一地方選で地方議員が「選挙疲れ」することで、参院選で地方組織がフル回転せず、自民党が議席を思ったように取れない、というジンクスだ。

 過去の亥年選挙は、比例代表制が初めて実施された1983年の参院選では自民党が68議席を獲得しているものの、95年の参院選では46議席、2007年の参院選では37議席と惨敗している。特に、07年は第1次安倍内閣の下で行われ、安倍晋三首相退陣の引き金ともなった。

 選挙は歴史であり、その時々の政治事情が色濃く反映する。地方組織がフル回転しないで自民党の議席が伸び悩む、という仮説に対しては、「言い過ぎではないか」との批判も寄せられている。

 2019年、統一地方選の前半戦では、41道府県議選で自民党が1158議席を獲得した。過半数に達し、15年の前回選挙の獲得議席を上回った。だが、「大乱の前兆」を感じ取った人も少なくないのではないか。

 統一地方選で、本人が意識していたかどうかはともかくとして、「令和(れいわ)効果」を見せつけたのが菅義偉(よしひで)官房長官だ。11道府県知事選で唯一の与野党激突となった北海道知事選。自らの主導で38歳の鈴木直道前夕張市長を担ぎ出し、反発して他の候補を模索した自民党の道議会議員らをねじ伏せた。結果は鈴木氏が約162万票を獲得し、野党統一候補となった石川知裕元衆院議員に60万票以上の大差をつけた。

 特筆すべきは投票日前日の4月6日、札幌市で行われた演説会に菅氏が登場した時だ。「あ、令和おじさんだ!」と観衆の大注目を浴び、スマートフォンのシャッターがひっきりなしに切られていたという。

 もちろん、官房長官としての在任期間は2012年12月26日に就任してから既に6年半になろうとしており、記者会見でのやりとりがしょっちゅうニュースになる。東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者とのバトルでも、ポーカーフェースで淡々とこなす印象が強かった。

2014年8月1日、閣議前の写真撮影で、安倍首相、麻生副総理らが不在のため、
首相臨時代理として中央に座り、談笑する菅義偉官房長官

 しかし、「令和」発表記者会見での笑顔がそれを一気に覆した。ふだん官房長官の記者会見を見る人の数とは次元が違う。官房長官が「令和」を掲げた写真の号外は奪い合いの人気となり、「令和おじさん」の名前が一気に広がった。

 4月13日に新宿御苑(ぎょえん)で行われた内閣主催の「桜を見る会」でも、菅官房長官との記念撮影のために並ぶ行列がひときわ目立った。

 それにひきかえ、この間、菅氏と並び「岸破義信」と言われたポスト安倍と目される自民党の岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長、加藤勝信総務会長は「令和おじさん」の前に、圧倒的に存在感を欠いた。石破氏は「令和には違和感がある」というようなコメントをして、「これだから、『安倍政治ノー』などと言い続けている左派の連中から支持される野党政治家に成り下がったと言われるんだ」と、党内からもさらに顰蹙(ひんしゅく)を買った。

 一方、菅氏と安倍政権を支える「三羽ガラス」麻生太郎副総理・財務相、二階俊博幹事長はどうか。麻生氏は、自らの地元、福岡県知事選で、現職の小川洋知事の対抗馬として元厚生労働省官僚の武内和久氏をぶつけ、安倍首相に直談判して自民党の推薦までもぎ取った。小川氏には、8年前に自分が主導して知事にしたにもかかわらず、補選の際に自分が立てた候補を応援してくれなかった意趣返しといわんばかりだ。

 あげくの果てに、麻生氏の元秘書で麻生派所属の塚田一郎前国土交通副大臣が地元の道路建設をめぐり、安倍首相と麻生氏に「忖度した」と発言し、同5日に副大臣辞任に追い込まれた。

 結果は小川氏が約129万票に対し、武内氏は約35万票とトリプルスコアで惨敗した。これでは、さすがに傲慢(ごうまん)な麻生氏も「自らの不徳の致すところ」と頭を下げざるを得なかった。

 二階幹事長は、統一地方選前半で道府議選で自民党候補が過半数を得た。ところが、地元の和歌山県議選の御坊市選挙区で、鉄壁の当選8期を誇った自らの元秘書の現職が共産党新人の元同市議に敗北するというまさかの結果となった。3年前の御坊市長選で、二階氏が現職に対して長男を立てて敗れたこともあり、地元での対立が共産党候補に敗れるという結果になってしまった。

 それに追い打ちをかけたのが、二階派の櫻田義孝五輪相の失言による辞任だ。岩手県選出の高橋比奈子衆院議員のパーティーのあいさつで、「復興よりも高橋さんが大事」と口を滑らせ、事実上の更迭となった。

 元はといえば、櫻田氏を閣僚に推挙したのは派閥領袖(りょうしゅう)の二階氏だ。安倍首相は「任命責任は私にある」と殊勝に頭を下げたが、櫻田氏を押し込み、かばい立てした挙げ句にしりぬぐいさせられた二階氏への屈託は察するに余りあるものがある。

 麻生、二階の両氏が傷つき、他のポスト安倍候補が存在感を示せない中にあって、菅氏が「令和効果」でダントツのポスト安倍候補に躍り出た。

 それにひきかえ、この間、菅氏と並び「岸破義信」と言われたポスト安倍と目される自民党の岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長、加藤勝信総務会長は「令和おじさん」の前に、圧倒的に存在感を欠いた。石破氏は「令和には違和感がある」というようなコメントをして、「これだから、『安倍政治ノー』などと言い続けている左派の連中から支持される野党政治家に成り下がったと言われるんだ」と、党内からもさらに顰蹙(ひんしゅく)を買った。

 一方、菅氏と安倍政権を支える「三羽ガラス」麻生太郎副総理・財務相、二階俊博幹事長はどうか。麻生氏は、自らの地元、福岡県知事選で、現職の小川洋知事の対抗馬として元厚生労働省官僚の武内和久氏をぶつけ、安倍首相に直談判して自民党の推薦までもぎ取った。小川氏には、8年前に自分が主導して知事にしたにもかかわらず、補選の際に自分が立てた候補を応援してくれなかった意趣返しといわんばかりだ。

 あげくの果てに、麻生氏の元秘書で麻生派所属の塚田一郎前国土交通副大臣が地元の道路建設をめぐり、安倍首相と麻生氏に「忖度した」と発言し、同5日に副大臣辞任に追い込まれた。

 結果は小川氏が約129万票に対し、武内氏は約35万票とトリプルスコアで惨敗した。これでは、さすがに傲慢(ごうまん)な麻生氏も「自らの不徳の致すところ」と頭を下げざるを得なかった。

 二階幹事長は、統一地方選前半で道府議選で自民党候補が過半数を得た。ところが、地元の和歌山県議選の御坊市選挙区で、鉄壁の当選8期を誇った自らの元秘書の現職が共産党新人の元同市議に敗北するというまさかの結果となった。3年前の御坊市長選で、二階氏が現職に対して長男を立てて敗れたこともあり、地元での対立が共産党候補に敗れるという結果になってしまった。

 それに追い打ちをかけたのが、二階派の櫻田義孝五輪相の失言による辞任だ。岩手県選出の高橋比奈子衆院議員のパーティーのあいさつで、「復興よりも高橋さんが大事」と口を滑らせ、事実上の更迭となった。

 元はといえば、櫻田氏を閣僚に推挙したのは派閥領袖(りょうしゅう)の二階氏だ。安倍首相は「任命責任は私にある」と殊勝に頭を下げたが、櫻田氏を押し込み、かばい立てした挙げ句にしりぬぐいさせられた二階氏への屈託は察するに余りあるものがある。

 麻生、二階の両氏が傷つき、他のポスト安倍候補が存在感を示せない中にあって、菅氏が「令和効果」でダントツのポスト安倍候補に躍り出た。

2013年10月、衆院予算委員会に臨み、二階俊博委員長(右)に話しかける麻生太郎
副総理・財務金融相

 産経新聞社とFNNが2019年4月に実施した合同世論調査では、次期首相にふさわしいとして、菅氏が5・8%の支持を集めた。自民党の小泉進次郎厚生労働部会長の25・9%、石破氏の20・7%らに次ぐ4位に浮上した。昨年10月の調査では、菅氏への支持は2・7%で、全体の6位にすぎなかった。しかも、自民党支持層に限ると、菅氏は9・4%の支持を集めている。

 そこで思い起こされるのが、長く官房長官を務めて、首相に駆け上がった福田康夫氏の例だ。福田氏は、2000年10月27日から04年5月7日まで、森喜朗内閣、小泉純一郎内閣の二つの内閣にまたがって1289日間官房長官を務め、第1次内閣での安倍首相の退陣に伴って首相となった。

 官房長官は基本的に、首相官邸から離れることがほとんどできない。したがって、外務大臣のように、外交で華々しい脚光を浴びることもないし、幹事長のように、選挙を仕切って党内からその実力を認められることも難しい。最低限、三つの条件がかみ合わないと、たとえ官房長官を長く務めても、首相になるのは至難の業だ。

 その三つの条件は「前職が、かなり急な形で首相の座を降りる形になった」「前職の首相の後を継ぐ政治家として、適材がいない」「官房長官としての手腕を認められており、幹事長経験や重要閣僚の経験がなくても、周囲がその手腕で政権を運営することを期待される」というものだ。

 菅氏は5月9日から異例の訪米を行う。もちろん、安倍首相の指示による訪米だが、「安倍首相は、自分が万が一のときに備え、米国に『この政治家もよろしく』とサインを送っている」との見立てもある。当然、米国も菅氏が自らの国益に合致する人材かどうかを徹底的にマークし始めるだろう。

 ポスト安倍として実績を伴う存在感がある政治家はいないし、菅氏は官僚への抑えも効いている。第2、第3の条件は整っていると見ていいだろう。そこに、「亥年ジンクス」で自民党の参院選大敗、安倍首相の退陣などという事態になれば、野党支持層に人気の高い石破氏などに絶対に政権は渡せない、という思いが安倍首相にはあろう。

 菅氏は秋田県湯沢市の出身だ。これまでの歴代首相の中で、東北出身の首相は岩手県に偏っている。原敬(第19代)、斎藤実(第30代)、米内光政(第37代)、鈴木善幸(第70代)と4人の東北出身の首相はいずれも岩手県出身だ。

 「秋田県から初の首相を」という期待は地元ではいやがうえにも高まっている。令和への改元効果と統一地方選による実力者の蹉跌(さてつ)で、菅氏の存在感は高まるばかりだ。

 だが、当の菅氏は「絶対にない」とポーカーフェースを貫いている。おそらく、安倍首相が首相である限りは安倍首相を支え続ける、というスタンスを貫き続けながら、ここまで支えてくれた菅官房長官なら、自分の政治を引き継いでくれる、と思ってくれるような安倍首相との信頼関係を何より大事にしているのだろう。

2018年3月31日、衆院予算委で自らの携帯電話を楽しそうに安倍晋三首相(左)に
見せる菅義偉官房長官

 天の時、地の利、人の和。「令和おじさん」への大きな流れができつつある。後継首相として解散・総選挙を打っても、「令和おじさん」のプラスのイメージは計り知れないだろう。選挙に強い、となれば、自分が落選したくない議員たちはますます「令和おじさん」に右に倣(なら)えとなる。

【私の論評】自民議員のほとんどがマクロ経済を理解しないが故に、これは党内政治において強力な武器に(゚д゚)!


過去において、平成おじさんだった小渕恵三は、後に総理大臣となっています。だから、令和おじさんの菅氏が総理大臣になることは十分にあり得ると思います。

冒頭の記事では、最低限、三つの条件がかみ合わないと、たとえ官房長官を長く務めても、首相になるのは至難の業だとしています。

その三つの条件は「前職が、かなり急な形で首相の座を降りる形になった」「前職の首相の後を継ぐ政治家として、適材がいない」「官房長官としての手腕を認められており、幹事長経験や重要閣僚の経験がなくても、周囲がその手腕で政権を運営することを期待される」というものです。

私自身としては、安倍総裁四選の声もでている昨今、菅官房長官がすぐにこの三条件を満たして、安倍総理が現在の任期を終えたときにすぐに総理大臣になることもあながちあり得ないことではないと思います。

また、安倍総理はこの「三条件」の他に、次の総理大臣になるにはもう一つの重要な条件が必要と考えていると思います。

それは、マクロ経済への理解ではないかと思います。無論マクロ経済への理解とはいっても、経済学者のように緻密に理解しなければならないということではなく、その時々の経済情勢にあわせて、どのような財政政策と金融政策を取ればよいのか、その方向性を理解できるくらいの能力は必要と考えているのではないかと思います。

あわせて、専門家の意見を聞いて、どの人物の意見が、実体経済に即したマクロ経済的な政策を提言できるのかを判断できる能力が必要と考えていると思います。

なぜそのようなことがいえるかといえば、安倍晋三氏が、第一次安倍政権が崩壊して退陣して、第二次安倍政権が成立する直前まで、何をしていたかを知れば、理解できると思います。

安倍首相といえば、安全保障や歴史認識などの保守的なイメージが強かったのですが、この間に経済・金融政策に興味を持つようになりました。

メディアでは安倍さんは経済が苦手だとしていましたが、安倍氏はもともと細かい産業政策などチマチマした話に興味がなかったようです。安倍氏は一段高いもっと大きなことをやるべきだと考えていて、実は前政権時代から「マクロ経済に興味がある」といっていたそうです。それを第一次安倍政権が崩壊した直後5年ほど、勉強し続けていたようです。

安倍さんは東北震災後からデフレ・円高解消の勉強会をやろうと言い出し、議連をつくりました。当時から、人集めに動き出していたのです。

その後、与野党いっしょに「デフレ脱却議連」をつくりました。超党派の議連で、会長をどうするかということになって、山本幸三・衆院議員に頼まれて会長まで引き受けたのです。

そのくらいマクロ経済や金融政策に関心があったし、その頃から多数派工作も考えていたんだと思います。

安倍氏は、世界標準、グローバルスタンダードにこだわっています。金融でも規制緩和でも、それから国防軍という名前まで世界標準に合わせようとしているのです。

こういう姿勢はブレていないというより、DNAのようです。細かいところに目が行く人と、そうでない人がいます。安倍氏は、大きなことに目が行くDNAなのだと思います。そうして、これは政治家として重要です。

過去の日本の例が示すしように、マクロ経済政策が失敗している最中に、ミクロ経済政策をいろいろやってもことごとく失敗します。特に、ミクロ経済政策に関しては、企業努力でもなんとかなるところがありますが、マクロ経済政策に関しては、政治家が頑張らないと、特に政権が頑張らないとどうしようもありません。

政治家によるマクロ経済の理解がなけば、経済政策はことごとく失敗してしまいます。そのため、実際平成年間の経済政策はことごとく失敗して、平成年間のほとんど時期日本は、デフレスパイラルのどん底に沈んでいました。

平成年間の末期に安倍政権ができあがり、当初はまともなマクロ経済政策で雇用も経済も順調に伸びたのですが、2014年の消費税増税でまた経済が落ち込んでしまいました。安倍総理としては、財務省や多くの政治家、エコノミストまでが「増税しても日本経済への影響は軽微」という主張に抗えず、増税してしまったものの、その悪影響は甚大で、日本経済はデフレ基調にもどってしまいました。

         マクロ経済政策の間違いにより平成年間(1989年1月8日から2019年4月30日まで)
         のほとんどはデフレだった

その後も、消費税増税をすべきという風潮がありましたが、安倍総理は二度も増税を見送りました。私は、このブログでも掲載したように、今年10月の増税を見送り、国民の信を問うため、衆院を解散し、衆参同時選挙を実行すると思います。

マクロ経済学を理解している国会議員(候補)リストをあげると、 安倍総理、 菅官房長官 、渡辺よしみ、 馬淵澄夫、金子洋一(もと参議院議員)くらいなものです。山本幸三氏は財務省の影響が強すぎるのて、このリストには掲載できないと思います。

自民党の議員は、残念ながら次期総裁候補と見られる人々の中にも、ただの一人もマクロ経済理解者が存在しません。

そうなると、安倍総理は菅官房長官を次期、総理にと考えるのは当然のことだと思います。

ただし、二階氏が「安倍四選もあり得る」と発言していること、さらには菅氏の年齢が70歳と高齢なことから、私自身は、安倍総理が四選後に、マクロ経済政策を理解している総裁候補者が現れない限りにおいて、菅氏に白羽の矢が当たることは十分あり得るシナリオだと思います。

安倍総理が四選した場合、安倍総理は、菅氏を外務大臣もしくは幹事長などの要職につけ、総裁候補として経験を積ませるのではないかと思います。

今回の参院選(もしくは衆参同時選挙)で、自民党がボロ負けすれば、菅氏が急遽総理大臣になるというシナリオも十分あり得ると思います。

本当は、ポスト安倍の有力候補が、マクロ経済政策を理解してくれれば、このようなことにはならのでしょうが、残念ながらそうはならないのが、現実です。

自民党議員の皆さんの中で本当にマクロ経済政策を理解する人が現れ、そうして、財務省に籠絡されることなく、うまく扱える能力を身につければ、誰もが総裁候補になり得ると思います。安倍総理が再び不死鳥のように総理に返り咲くことができたのは、一重にマクロ経済の理解によるものだと思います。そうでなれば、返り咲きはあり得なかったでしょう。

安倍氏がマクロ経済を理解しているので、市場がこれを好感し、安倍氏が自民党の総裁になった途端に、まだ総理大臣にもなっておらず日本経済が円高、デフレから脱していない頃から株価が上昇しはじめたことを忘れるべきではありません。

菅官房長官が、総理大臣になったとしたら、これも、無論菅氏人柄によるところも否定できませんが、何よりもマクロ経済の理解によるものと思います。

菅氏を除くポスト安倍の候補者らが、生彩を欠くのは、やはりマクロ経済を理解していなからでしょう。彼らは、そのことを理解できないので、頓珍漢な行動をしたり、生彩を欠く結果になっていますが、なぜそうなるのかその理由を理解できないようです。

自民党の議員は、国民のためにも自分のためにも、一日もはやくマクロ経済を理解すべきです。ほとんどの自民議員がマクロ経済を理解しないが故にこれは党内政治においても強力な武器になると思います。より高いポストを得るためにも、これからは、マクロ経済の理解は欠かせないです。いくら、党内政治でうまく立ち回ろうとしても、これを欠けば、総理大臣のポストは永遠にまわつてこないと考えるべきです。

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2017年10月28日土曜日

【日本の解き方】5年たってもアベノミクスをまともに分析できない人たち、マクロ経済知らずけなすだけ ―【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!


アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない  写真はブログ管理人挿入
衆院選後の各メディアのアベノミクスに関する報道では、「金融緩和の出口や財政再建が課題」「景気の実感が薄い」「雇用の劣化が進んでいる」といったものがみられた。安倍晋三政権発足から5年が近づくが、いまだにアベノミクスをまともに分析できているとは思えない。

 今や海外の経済ニュースが、そのまま衛星放送などで見られる時代だ。日本の総選挙での安倍政権の勝利も報道されていたが、その理由として「金融緩和が継続された結果」と分析されていた。

 筆者の米国滞在経験では、金融政策が雇用政策であるという認識は、マスコミだけでなく一般人にもあった。米連邦準備制度理事会(FRB)が「物価安定」と「雇用確保」の2つを目標としているからだ。

 マスコミも「雇用を良くするために金融を緩和し、物価を過度に上げないために金融を引き締める」という認識で報道していた。金融緩和は実質金利を下げるので、民間需要が増えるとともに、人への投資増、つまり雇用が増えるという経済理論の裏付けがあるものだ。

 しかし、これを日本でわかっている政治家、学者、マスコミはごく少なく、特に日本の左派・リベラルでは皆無に近い。

 米国では、2008年のリーマン・ショック直後から量的緩和政策が行われており、既に9年が経過した。失業率は4・2%まで改善しており、これ以上の低下は期待できず、インフレ率が上がろうとしている。そこで、量的緩和の「出口」に向かっている。

 日本では、アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない。今の段階で「出口」を主張するのは、よほど経済が分かっていない人か、量的緩和に反対してきて、バツが悪く居場所のない人だろう。

 「金融緩和の出口」は、マクロ経済政策としては緊縮であるが、「財政再建が課題」というのも同種の緊縮策だ。今の段階でこれを叫ぶ人は、マクロ経済オンチをさらけ出している。

 「景気回復の実感がわかない」というのもマスコミでしばしば聞かれるが、1980年代後半のバブル景気でも同じような声がよく聞かれた。そこで、どうなると景気の実感がわくのか、と質問すると、「自分の給料が倍になったら」という答えが多い。そういう意味では、多くの人が「景気の実感がわく」というのはあり得ないので、この種の報道は今の景気をけなす意味しかない。

 「雇用の劣化」という言い方は、2、3年前までは、「有効求人倍率が改善していても、非正規雇用が多い」と批判する意味合いで使われていた。ところが、正規雇用の有効求人倍率も1倍を超えてしまったので、この論法は使えなくなった。

 今では、賃金が上がらないことを「雇用の劣化」と表現しているのだが、賃金が上がらないのは、失業していた人が職に就くときには低い賃金になり、平均値を押し下げるためだ。

 失業率がこれ以上下げられない構造失業率に近づき、人手不足が本格化すると賃金は上がり出す。残念ながら、こうしたメカニズムを把握した報道にお目にかかることはめったにない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!

日本では5年たっても、アベノミクスをまともに分析できる人が少ない一方、CNBCのシーマ・モーディという女性レポーターが、日本の総選挙の与党の大勝について「安倍首相が勝利したのは金融緩和が続いた結果です」と解説しています。ブログ金融緩和が雇用政策であるのは欧米では常識です。日本の新聞やテレビはあまりにもポンコツすぎて、こうい分析が全くできないようです。

冒頭の記事で、高橋洋一氏は「日本では、アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない。今の段階で「出口」を主張するのは、よほど経済が分かっていない人か、量的緩和に反対してきて、バツが悪く居場所のない人だろう」と語っています。

この主張は正しいと思いますが、もっと詳細に言ってしまえば、元々経済がよくわかっておらず、「 政権や権力と戦うのが自分たちの使命」と思いこんでしまった、左派やリベラル(新左翼)のメディアや政治家が、とにかく「安倍には反対」という姿勢に凝り固まり、金融緩和にまで反対してしまったというのが真相だと思います。

一方保守と見られている、安倍総理はどうして欧米では左派がとる政策である金融緩和政策をとったのでしょうか。

それは、保守の本来の意味を認識していないと理解できないかもしれません。保守とは本来「安全保証では、○○」、「経済では、△△」という立場を取っているから保守などというものではありません。それについては、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドラッカーの言う「改革の原理としての保守主義」とは何か ―【私の論評】 保守主義の本質は 左右、新旧とは関係ない。自由で機能する社会を前提として、その都度具体的な問題を解決していくという原理だ!!
若い頃のドラッカー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に保守に関する部分のみを引用します。
それは、第1に、過去のためのものではない。正統保守主義とは、「明日のため」のものである。あくまでも未来志向のものである。 
正統保守主義とは、第2に、なんらかの青写真に沿って社会を形成しようとするものではない。なんらかの万能薬を服さしめようとするものでもない。 
それは、ケース・バイ・ケースで問題を解いていこうとするものである。医学にしても、万能薬を求めているあいだは進歩しなかった。風邪には風邪、腹痛には腹痛の治療を求めてから急速な進歩が見られた。したがって、それは、「具体的な問題を解決していくものである」。 
正統保守主義とは、第3に、手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具を使って問題を解こうとするものである。理想的な道具を新たに発明しようとしても無理である。「それは、既に存在するものを基盤とし、既に知られているものを使うものである」。 
かくしてドラッカーは、改革のための原理は、保守主義たるべしとする。 
「第一に、過去は復活しえないことを認識することが必要である。第二に、青写真と万能薬をあきらめ、目前の問題に対する有効な解決策をみつけるという、控え目で地味な仕事に満足することを知ることが必要である。第三に、使えるものは既に手にしているものだけであることを知ることが必要である」(『産業人の未来』)
古今東西で、景気が悪い時、雇用情勢が悪い時には、金融緩和を実行すると良いということがすでに幾多の例で実証されています。欧米でも、過去の歴史をたどるとそれが良い結果をもたしたことが知られています。

日本でも、過去の歴史を調べると、景気の悪いときに、通貨の量を増やす今でいうと金融緩和策を実行した場合には、良い結果を招いたことが記録されています。

反対に、景気の悪い時に、通貨の量を増やすこともせず、質素倹約例などを出すとかえって景気がさらに落ち込んだことが、歴史に記録されています。

日本では、最も良い事例は、高橋是清による、いまでいうところの金融緩和策、積極財政策です。世界恐慌のときには、日本も昭和恐慌と呼ばれる大恐慌に見舞われましたが、日本は高橋是清のこれらの政策によって、世界で一番はやく恐慌から脱出することができました。

高橋是清
歴史上では、不況時には金融緩和策、積極財政の試みがされて成功していましたが、それを最初に理論的にまとめたのはケインズです。

ケインズは、有効需要に基いてケインズサーカスを率いてマクロ経済学を確立させました。日本では、過去においては、なぜかケインズは財政政策についてのみ語っているような認識のされかたがしていましたが、それは間違いです。金融政策が大事であることも語っています。

ケインズによりマクロ経済学の基本が設立され、その上にさらなる様々な学者の努力が積み重ねられたものが、現代のマクロ経済学です。


現在では、労働者の雇用を良くするということから、世界では左派系の人々がこの政策を推進すべきであると唱えていることが多いので、これは左派系の政策であると見られることもありますが、これはの歴史をたどっていけばいくほど、ドラッカーのいうとろの「手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具」であることが理解できます。

安倍総理は、デフレ脱却のための実証済みの道具である金融緩和政策を用いて、成功を収めたのです。これは、正統保守主義者の立場からすれば、当然といえば当然です。一方、安倍総理は、デフレ脱却のためには、悪手とされた道具である増税をして大失敗をしました。そのため、その後増税は延期しています。

一方、いわゆる日本の左派・リベラル(新左翼)は、これら歴史的に実証されている方法は否定し、枝野氏のように「金利をあげる」とか、構造改革を主張するなど実証済みでない道具に固執し、まともに実効性のある政策提案ができません。

最近では、日本以外の国々のリベラル・左派が主張し、正統保守主義者である安倍総理が手持ちの道具とした、デフレのときの金融緩和策という道具は、日本のマスコミや多くの政治家にはなかなか理解できないようです。

ドラッカーは、保守主義について以下のようにも語っています。
保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。(ドラッカー名著集(10)『産業人の未来』)
「すべてめを覆う結果」については、私達は痛いほど経験しています。そうです。失われた20年です。後から考えると、これはデフレであるにも関わらず、日銀は金融引締めを行い、政府は緊縮財政を実行し続けたからです。本来ならば、この時期には、すでに知られている方法である金融緩和政策と、積極財政を実行すべきだったのです。

現在リベラル・左派の主張する経済政策を実行すれば、「すべて目を覆う結果」になることは必定です。

政治改革には、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していく姿勢を貫くべきなのです。これをマスコミと政治家も理解すべきです。

【日本の選択】今の日本に必要な「ガラパゴス左翼」との決別 本来の「リベラル」とかけ離れた思想は国民にとって不幸―【私の論評】意味が理解出来ない言葉を平気つかう人はまともな社会人にさえなれない(゚д゚)!


「ポスト安倍」も問題だらけだ! 財務省や日銀の言い分信じて財政や雇用理論を間違える人―【私の論評】今のままでは再びデフレスパイラルの無間地獄にまっしぐら(゚д゚)!

2017年1月15日日曜日

男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか―【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派 という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか

総務省が2016年10月発表した平成27年国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、初の減少に転じた日本の総人口。厚生労働省がまとめる人口動態統計の年間推計でも2016年に生まれた子どもの数が1899(明治32)年の統計開始以来、初めて100万人を割り、98万1000人にとどまる見通しであることが明らかになりました。こうした少子化の最も大きい要因として挙げられるのが結婚しない男女の増加です。

人口減少時代

 未婚者が結婚しない理由には何が考えられるのでしょうか。平成28年版少子化対策白書(内閣府)から探っていきます。

9割弱が「いずれ結婚するつもり」…でも「結婚資金が足りない」未婚男性の3割

 白書によると、国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査(独身者調査)」では、「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者(18~34歳)の割合は、2010年で男性86.3%、女性89.4%でした。1987年時の男性91.8%、女性92.9%よりは下がりましたが、結婚に対する意欲は高い水準にあるといえます。

 また、未婚者(25~34歳)に独身でいる理由を尋ねたところ、「適当な相手にめぐり会わない」の選択肢を選ぶ割合が男性46.2%、女性51.3%と最も多く、次いで「まだ必要性を感じない」男性31.2%、女性30.4%となりました。しかし一方で、男性は「結婚資金が足りない」(30.3%)も大きな理由になっています。(2010年第14回調査結果、回答は選択肢から3つまで選択可)

高年収ほど結婚している割合が多くなる

 では、収入の違いが、結婚に影響しているのでしょうか。25~29歳、30~34歳、35~39歳の各年代で年収別に配偶者がいる男性の割合を比べてみました(グラフ1)。すると、25~29歳の年収100万円未満の男性では、結婚している割合は1割を切りますが、500万円以上の年収がある場合、およそ半数が結婚している結果になっています。


 年収が高いと既婚者が増える傾向はほかの年代も同様で、30~34歳は年収500万円以上でおよそ7割が結婚、有配偶者率の最も多い年収800~899万円は、87.4%になりました。35~39歳の場合は、年収200万円未満の場合、配偶者がいる比率は4割に届きませんが、500万円以上になるとおよそ8割に。結婚している割合が最も多い800~899万円は88.8%にのぼりました(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 ちなみに平成27(2015)年国政調査によると、男性の有配偶者率は25~29歳26.3%、30~34歳50.8%、35~39歳は61.7%です。グラフ1を見ると、25~29歳と30~34歳は年収300万円以上、35~39歳は年収400万円以上になると、その割合より多く家庭を持っているとわかります。

若い世代の収入は20年前と比べ、低所得にシフト

 それでは若い世代(20、30代)はどのくらいの所得の人が多いのでしょうか。1997(平成9)、2007(同19)、2012(同24)年の所得分布を見てみます(グラフ2)。すると20代の雇用者では、1997年時は年収300万円台が最も多かったのに対し、2007、2012年になると300万円台の比率が低下、200万円台前半とほぼ同じ割合になっています。


 30代では、1997年には年収500~699万円台が4分の1近く占めていましたが、2007、2012年は300万円台が2割弱で最も多く、500~699万円の収入を持つ割合は15%前後にまで落ち込んでいます。1997年から10年間に20、30代の所得分布は低所得層にシフトし、その状態が続いている、と白書は指摘しています。

 また、正社員の男性は25~29歳31.7%、30~34歳57.8%が結婚していますが、パート・アルバイト雇用の男性は25~29歳7.4%、30~34歳13.6%と有配偶者率が大きく下がり、就労形態によって家庭を持つ割合に大きな違いが生じていることがうかがえます(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 国挙げて、働き方改革の取り組みが必要とされていますが、若い世代の雇用のあり方や収入を増やすことができるかが、未婚率に影響しそうです。

【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派
という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

上の記事を読んでいると、いろいろと分析はしているのですが、肝心要の結論は、結局のところ若者の雇用を増やすことと、収入を増やすことができるかが、未婚率に影響することを言っているのですが、それに対する解決法に関しては何も触れていません。

なぜ、こういうことになるかといえば、この記事を書いている人の頭の中に、金融政策と雇用とは密接に結びついているという事実が全く欠落しているからです。

現在若者の雇用そのものについては、アベノミクスの一環であった金融緩和政策により、かなり改善されて良くなっています。

それについては、何度かこのブログにも掲載しています。その記事の最新のもののリンクを以下に掲載します。
人手不足は金融緩和による雇用改善効果 さらに財政政策と一体発動を―【私の論評】年頭の小さな変化に気づけない大手新聞社は衰退するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 年末年始は人手不足などの事情で宅配便の遅配が生じたという。また、ファミリーレストランでは24時間営業をやめるところも出てきている。 
 筆者は日用品でも宅配便を利用しているが、たしかに筆者のところへの宅配便も遅れた。それほど緊急性のないものだったので別に気にしなかったが、到着予定日より2日ほど遅れたものもあった。 
 百貨店も昔は元日営業が当然だったが、元日は休みで2日から初売りも多くなり、一部では3日から初売りというところも出てきている。さらに三が日は休業し4日からの初売りを検討するところもある。これらの正月休業の動きは従業員に配慮する観点からとされている。 
 いずれも人手不足感が出てきた証拠であり、これまでアベノミクスで金融緩和を続けたことの成果だといえる。
そうして、これを裏付けるような統計資料もあります。そのグラフを以下に掲載します。


このグラフにも示されているように、昨春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高となった。高卒の就職率も同じような状況です。

さて、失業率が下がっていることについて、「生産年齢人口の低下によるものだ」と主張する人がいます。しかし、この議論は、「デフレの原因は人口減少だ」というのと同じくらい、間違った考え方です。

それは、生産年齢人口が増えていた以前の方が、失業率が低かったことからもすぐ分かります。こうしたトンデモない議論をする一部の識者や経済評論家は、統計データのリテラシーに欠けていると言わざるを得ません。

失業率と生産年齢人口の推移をみても、最近の失業率の低下は生産年齢人口の低下によるものだとの結論にはなりません。まともに統計分析すれば、生産年齢人口はコンスタントに減少する一方、失業率は景気によって上下するので、傾向を除去して考えれば両者は無関係であることが分かります。

失業率は、労働力人口から就業者数を引いたもの(完全失業者)を労働力人口(就業者数+完全失業者)で除して定義されるものです。労働力人口は15歳以上の人口で、生産年齢人口は15歳以上65歳までの人口であり、両者はパラレル(並列的)な概念です。労働力人口(生産年齢人口)が減少するとき、それを所与として経済状況によって就業者数が決まってきます。なので失業率は分子も分母も労働力人口の動きを見込んだものとなり、景気だけに左右されます。



マクロ経済の基本概念として、総供給と総需要の差である国内総生産(GDP)ギャップがあります。景気の良し悪しは、GDPギャップで計ることもできます。

金融緩和と財政出動はともにGDPギャップを縮めます。短期的な効果は財政出動の方が強いが中長期的には金融緩和も効果が出ます。となると、継続的に実施しやすい金融緩和の方が、失業率低下の累積効果は大きくなります。

財政出動は公的部門の有効需要を直接創出するので分かりやすいです。一方、金融緩和については、実質金利の低下、為替安などによる民間部門の有効需要への効果は、短期的には少ないが、長期的な累積額でみると大きく作用します。民間部門の有効需要創出なので、効果ラグ(時間のずれ)があって民間雇用に効いてきます。

こうしたマクロ経済学の理解があれば、金融緩和が失業を減らすということも分かるはずです。そうして、インフレ目標は緩和しすぎないための歯止めになります。

雇用を守るべき立場のはずの日本の左派系識者や経済評論家にはそうした常識が欠けています。しかし、実は右派にもそのような常識に欠る人が多いです。

金融政策と雇用の関係はマクロ経済学の基本中の基本です。日本では、金融政策を正しく理解している人がその知識に基づいて様々な主張をしているにもかかわらず、そのような主張をする特殊なグループであるかのように「リフレ派」と呼ばれ、特殊扱いされてしまいます。

私は、このブログでマクロ経済学の基本から、全くたり前の主張をしていたにもかかわらず、Twitterで「リフレ派」と呼ばれて批判されてしまい、釈然としなかったことが何度かあります。

そもそも、世の中に「リフレ派」なる派閥が存在し、日々会合を開き、意見を集約させているなどということは聞いたこともありません。

そして、もし、「リフレ派」なる集団が存在するとしても、彼らはただ「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」という考えを共有するだけであり、その他の政策については必ずしも意見の集約はないようです。

デフレ対応をめぐって、いろいろ分析した方のブログ記事から、リフレ派、デフレ派の分類を以下に掲載します。


この分類では、広義リフレ派をいくつかに分類していますが、その共通項は結局、「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」ということです。

そうして、気づいたことが一つあります。それは、「リフレ派」という言葉自体が、日本には存在しますが、日本以外の国には存在しないという事実てす。そうなのでは、「リフレ派」などという言葉は、米国にも英国にも、その他の国々にも存在しません。

リフレ派もそうなのですが、「リーマン・ショック」という言葉も外国には存在しません。これは、純然たる和製英語です。

リーマン・ブラザーズが破綻して、経済に悪影響を与えた直後各国の中央銀行の動きを振り返ってみると、直後に景気が落ち込み、これに対処するために、各国の中央銀行は、大規模な金融緩和に踏み切りました。

緩和の量的規模や、期間はまちまちにしても、ほとんどの国が大規模な金融緩和に踏み切ったのは事実です。しかし、唯一例外がありました。それは、日本です。日銀だけは、大規模な金融緩和に踏み切らなかったため、どうなったかといえば、強烈な円高と、当時日本はデフレだったのですが、さらに強烈なデフレスパイラルに見舞われることになりました。

そのため、震源地であるアメリカや、かなり大きな影響を被った英国など含め金融緩和に踏み切った国々が、いちはやく不況から脱したにもかかわらず、日本はなかなか不況から脱却することができず、世界の中でひとり負けの状態になりました。

しかし、この時いわゆるリフレ派と言われる人々は、無論私も含めて、日銀は大規模な金融緩和に踏み切るべきだと主張しましたが、他の人々はそうではありませんでした。

そのため、リーマン・ブラザーズ破綻の悪影響が、日本にだけ長期間にわたり深刻な事態をもたらしました。その悪影響があまりに大きかったので、日本では「リーマン・ショック」という言葉が生まれたのでしょう。

しかし、現実には、日本はサブプライムローンの悪影響などほとんなかったので、本来はリーマン・ブラザース破綻の悪影響はなかったはずなのですが、日本以外の他国がこぞって大規模な金融緩和に走ったにもかかわらず、日本だけはそうしなったため、あれだけ深刻な状況を招いてしまったのです。

こうして、考えてみると、「リーマン・ショック」の原因は、金融緩和すべきときにしなかったこと、「リフレ派」は「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」と主張する人々のことであり、両方とも金融緩和という共通項があります。

そうして、「リーマン・ショック」「リフレ派」という言葉が、日本には存在するものの、日本以外にはないというこの事実から、はっきりわかることは、やはり日本では「金融政策」の重要性が日本以外の国々のようには理解されていないということです。

そうして、日本でほとんど未だに理解されていないのが、雇用と金融政策の関係です。

さて、ブログ冒頭の記事の、未婚率を減らすために、「若者の雇用を増やすことと、収入を増やす」ことのうち、若者雇用を増やすことはもうすでに実現されていることを述べました。もう一つは、収入を増やすという部分です。

これは、実質賃金などが未だ上昇してないという事実があり、まだ達成されていません。のでは、これを達成するにはどうすべきかということになりますが、それを実現するには、マクロ政策的に観点からは、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。無論、積極財政もすべきですが、これは比較的短期間で効き目が薄れてきます。

本格的に賃金をあげるためには、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。その根拠として、このブログでは、過去に完全失業率について掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日銀の資金供給 8か月連続で過去最高を更新―【私の論評】金融緩和政策は限界でなく、まだまだ不十分なだけ(゚д゚)!
過去の失業率の推移

さて、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このブログでは、上の過去の失業率の推移のグラフから、日本の完全失業率は2.7%程度あろうということを掲載ました。

そうして、現在の日本は、物価目標2%も達成されておらず、さらに完全失業率も3%を切っていない状況なので、追加の量的緩和が必要であることを主張しました。

しかし、このことはいわゆる「リフレ派」以外の人にはなかなか理解不能のようです。しかし、本来的にマクロ経済的な観点からすれば、これはきわめてまともな主張です。

日本では、そもそも「リフレ派」とか、「リーマン・ショック」という和製英語があるように、他国と比較すると、マクロ経済の基本的なことが理解されていないのです。

それにしても、特に若者は、若者の雇用状況が新卒の就職率の良さによって、かなり改善されたことを理解している人もかなり多いことですから、20・30代の所得をあげるには、まずはさらなる量的金融緩和を実施し、2%物価目標を達成するのは、無論のこと完全失業率を2.7%台にもっていくことが、前提条件であるということを理解して頂きたいです。

そうして、理解するだけではなく、そのような主張をするとともに、選挙のときには、まともにマクロ経済を理解している政治家に投票するように行動すべきです。

若者かそのように率先して行動すれば、やがて日本からも「リフレ派」なる言葉は消えて、マクロ経済に関してまともになり、政府がデフレを長期間放置して、若者を苦しめるということはなくなると思います。

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2015年5月19日火曜日

橋下氏、与野党が争奪戦突入 都構想敗れ「政界引退」も国政転身に含み―【私の論評】今のままでは、無理!少し休んで、国政とマクロ経済を学んでから、国政に出馬していただきたい(゚д゚)!


僅差ながら大阪市民から「NO」を突き付けられた橋下氏=18日、大阪市内
★鈴木哲夫の核心リポート

大阪市を廃止し、5つの特別区に分割する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票は17日投開票が行われ、反対が賛成を約1万票上回り、大阪市の存続が決まった。大阪市民を二分する激しい戦いを繰り広げた維新の党最高顧問の橋下徹市長は、12月までの市長任期を全うしたうえでの「政界引退」を宣言した。ただ、首相官邸や野党幹部が来年夏の参院選などを見据えて、「橋下争奪戦」に動き出しているという。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が迫った。

「市民のみなさんは重要な意思表示をしてくれた。僕が打ち出した大阪都構想。受け入れられなかったことは、間違っていたんでしょうね」「負けは負け」「政治家は僕の人生から終了です。僕のような敵を作る政治家は必要な時に出てくるワンポイントリリーフに過ぎない。権力者は使い捨てがいい」

橋下氏は17日夜、住民投票の結果が出た後の記者会見で、サバサバとした表情で、こう語った。次期大阪市長選挙には出馬せず、政界からの引退を表明した。笑顔も見せた。

大阪維新の府議は「これまで、橋下氏の失言があっても賛成がずっと上回っていたが、『浪速のエリカ様』こと上西小百合衆院議員(維新の党を除名)の国会病欠問題をきっかけに反対が増えた。『都構想反対』を掲げる自民党と公明党、民主党、共産党の組織戦もあって挽回できなかった。橋下氏は統一地方選から、もう2カ月もぶっ通しの街頭演説で力尽きた感じだ。引退は本音でしょう」という。

しかし、本人がいくら「政界引退」を口にしても、周りはそう簡単には収まらない。

橋下氏は「市長は一種の特別職で公務員ですから全体の奉仕者です。でも、国民の奴隷ではありません。これからは自分の人生をしっかり歩んでいきたい。弁護士としてプロフェッショナルというプライドもある。依頼された仕事を、求められたら結果を出す人生を歩み出したい」と語った。

だが、記者が「原発再稼働問題のときに『野田政権を倒す』とまで言っていたが」と食い下がると、橋下氏はやや気色ばみ、こう続けた。

「国民の奴隷ではありません。職業選択の自由もあります。そういうことであれば、クライアントとして報酬を払ってくれるならやります」

これは、国政転身に含みを持たせた発言ではないのか。

大阪都構想はついえても、橋下氏争奪戦は当分国政を揺るがしそうだ。

■鈴木哲夫(すずき・てつお) 1958年、福岡県生まれ。早大卒。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経て、現在、フリージャーナリスト。著書に『最後の小沢一郎』(オークラ出版)、『政治報道のカラクリ』(イースト&プレス)、『ブレる日本政治』(ベスト新書)など多数。

■住民投票開票結果

反対 705585

賛成 694844

(選管最終)
この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】今のままでは、無理!少し休んで、国政とマクロ経済を学んでから、国政に出馬していただきたい(゚д゚)!

上の記事でも、あるように橋下氏に対する期待の声は、未だ大きいものがあります。橋下氏引退による、喪失感もかなり大きなものがあります。

これについては、以下の記事をご覧いただくと良くお分かりになると思います。

「橋下喪失」続く動揺 維新、涙の慰留 国政転身期待も 民主は静観
維新の党の幹事長室会議の前に、記者にマイクを
向けられる松野頼久幹事長=18日午後、国会内

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にその一部をコピペさせていただきます。
維新の党は18日、反対多数となった「大阪都構想」の住民投票の結果を受け、対応に追われた。代表辞任を表明した江田憲司氏の後任には松野頼久幹事長が有力だが、大阪選出議員を中心に政界引退を明言した橋下徹最高顧問(大阪市長)を失うことへの衝撃は大きく、動揺は続いた。 
 橋下氏が記者会見で「敗戦の弁」を述べた大阪市内のホテル。18日午前1時すぎまで約2時間に及んだ会見を終えた橋下氏や松井一郎大阪府知事を、馬場伸幸国対委員長ら大阪選出の議員が別室で取り囲んだ。 
 「まだまだやることがいっぱいある」 
 涙を流しながら橋下氏に引退撤回を迫る馬場氏。だが、橋下氏は「そう言わないで。また飲みましょう」と答えるだけだった。住民投票の1週間前から頻繁に大阪入りした江田氏も、党幹部を前に「もっと早い段階から頑張ればよかった。私に責任がある」と“男泣き”した。
私自身も、橋下氏の政界引退は非常に残念な気がします。ただし、橋下氏が国政に打って出ることは今のままだと非常に難しいと思います。

そもそも、国政と地方自治体とは言葉では、同じ政治とはいえ全く異なります。

議会制民主主義とはいっても、地方議会と国政は非常に異なります。国政は、個人の力や人気だけで動きません。他の政治家や官僚、民間をうまく動かし調整して初めて動くものです。総理大臣も直接できることはたとえば衆議院の解散などに限られており、現実には議会と政党が力を持っています。だから根回しが第一です。 これが首長に権限が集中している地方議会との違いです。



上の動画をご覧いただくと、国政と地方議会の違いをご理解いただけるものと思います。残念ながら、橋下氏個人で国政を改革することは難しいです。橋下氏が今までやってきた、地方議会のやり方は全く通用しないということです。

そのことは、橋下氏自身も良く知っていると思います。橋下氏が、国政に打って出るなら、今までとはやりかたを随分変えなければならないです。

それと、橋下氏は、今まではマクロ経済など考えなくても良かったのですが、国政に参加するということになれば、それは許されませくん。マクロ経済に関しては、石原慎太郎氏はほとんど理解していなかったようですし、先の選挙で惨敗した次世代の党もあまり理解はしていないようでした。

橋下氏は、マクロ経済、その中でも金融政策をきちんと理解していなければ、石原氏や、次世代の党の二の舞いになる可能性が大です。やはり、マクロ経済に疎くて、結局経済を良くすることに消極的な政治家はどんなに人気があっても、最終的には姿を消すことになると思います。

だから、私は、橋下氏は国政とマクロ経済をしっかり学び、国政にチャレンジして頂きたいと思います。そうして、学ぶ期間は少なくとも一年間、できれば二年間は必要ではないかと思います。

それなしに、国政にいきなりチャレンジしても、うまくはいきません。しかし、しっかりと国政と、マクロ経済を学んで国政にチャレンジすれば、かなり良い政治家になれると思います。そうなれば、かなり期待できます。しかし、そうでなければ、凡庸な政治家で終わります。それなら、出馬しないほうが良いでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年7月25日木曜日

【安倍自民大勝利…永田町時限爆弾】アベノミクス支持者の卑劣な予防線―【私の論評】卑劣な八幡、新手法でアベノミクスを頓挫させようと試みるも、論拠があまりに幼稚か?

【安倍自民大勝利…永田町時限爆弾】アベノミクス支持者の卑劣な予防線
八幡和郎

 アベノミクスの応援団長である浜田宏一内閣官房参与(米エール大名誉教授)が「消費税早期引き上げに疑念」を示したり、同じ内閣参与で実務的ブレーンの筆頭といわれる本田悦朗氏が「1%ずつ徐々に上げては」といっているが、卑劣である。

 なぜなら、消費税の引き上げを予定通りに実施することは、余程のことがない限り、動かせない。それを誰より知っている彼らが反対論を唱えることは、アベノミクスが思わしい結果を出せなかったときに、責任を問われること回避するための“高等作戦”とみられても仕方あるまい。

 消費税のいかんにかかわらず、アベノミクス失速の可能性はある。その引き上げか中止かどちらが、失速のリスクを高めるかも何とも言えない。にもかかわらず「引き上げれば経済が失速する」と主張するのは、「安倍政権の経済政策が自分たちの意図と違う形で行われた」と強弁し、「その失敗は経済理論の間違いでなく、消費税引き上げが理由だ」と言い訳にしたいがためでないか。

 それが、浜田氏や本田氏など「アベノミクス支持・消費税引き上げ反対論者」が張ろうとしている予防線なのだろう。

 そもそも、消費税引き上げは景気が非常に悪い場合にのみ延期できるというのが3党合意や法律の趣旨だ。改めて白紙で検討して上げないことにするのは、法律上も許されないのではないか。
 また、サミットやG7(主要7カ国)での財政再建の約束からも引き上げは国際公約でもある。約束はしたが、気が変わったということを認めたら、ギリシャのような国に国際社会はいうことを聞かせられなくなるから、許すはずもない。

 市場も、日本政府を信用しなくなり、金利の急上昇など不測の事態を生じさせる。

 サミットについて海外の報道では、アベノミクスの成功を期待するが、財政再建のプログラムをしっかり実施しろと必ず並列になっていた。G7での麻生太郎財務相も、ほかの自民党幹部も、私と同じく「余程のことがない限りは引き上げするのが当然」という発言を繰り返している。

 そうしたなかで、外野席のリフレ論者が何を言おうが見識の問題だが、アベノミクスの理論的支柱がこれでは、「アベノミクス破綻に備えて荷物をもまとめて夜逃げの準備をしている」といわれても仕方ない。

 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「地方維新vs土着権力」(文春新書)、「本当は誤解だらけの『日本近現代史』」(ソフトバンク新書)など多数。

【私の論評】卑劣な八幡、新手法でアベノミクスを頓挫させようと試みるも、論拠があまりに稚拙か(゚д゚)!

上の記事、新手法でアベノミクスを批判していますが、論拠があまりに幼稚であり、まともな人には通用しないでしょう。稚拙ではありますが、アベノミクス批判の新手法ということで、全文紹介させていただきました。そうして、この論考の稚拙なところを論破していきます。

まずは"内閣官房参与(米エール大名誉教授)が「消費税早期引き上げに疑念」を示したり、同じ内閣参与で実務的ブレーンの筆頭といわれる本田悦朗氏が「1%ずつ徐々に上げては」といっているが、卑劣である"であるなどとしていますが、どこが卑怯なのか皆目見当がつきません。

八幡は、「消費税の引き上げを予定通りに実施することは、余程のことがない限り、動かせない」と断言していますが、これは本当にそうでしょうか?消費税を三党合意で決定したときも、「13年度秋の段階における経済状況を勘案したうえで、時の政権が実際にあげるかどうかを決定する」という条項があったのではありませんか?

この条項があり、この条項はその後も生きていることから、八幡のいうことには、無理があります。それから、景気が悪くなったときの、金融緩和は、当たり前のど真ん中であって、それでアメリカ、EUなどの多くの国々が不景気から脱出したことは周知の事実です。特にリーマンショックのときに、震源地であるアメリカ人や、その影響をもろにうけたEUが、大規模な金融緩和を行い、素早く立ち直ったときにも、日銀は緩和をせずに、金融引き締め政策を堅持したため、本来ほとんど影響を受けるはずのなかった、日本が一人負け状態になってたことは記憶に新しいところです。

アベノミクスがどうのこうのという前に、日銀がまともな金融政策を実施しなければならないということは、最早まったく疑いを挟む余地はありません。それに、最近の参院選では、有権者の多くが、アベノミクスに賛成しています。八幡はこうした声を無視しろというのでしょうか?

それに異次元の金融緩和をし始めたのは、本年の4月からであって、今は7月であり、何とまだ3ヶ月もたっていないではないですか?そうして、まだまだ、実感する人は少ないとはいえ、実際に景気動向指数も上向きであり、高校生の就職率は昨年と比較すると40%も上向いているではありませんか。これら、景気が良くなりつつあることの査証については、以前のこのブログでも掲載していますので、以下にその記事のURLを掲載します。
高校生求人 去年比約40%増―【私の論評】今アベノミクスの金融緩和に反対することは、高校生の求人が40%増えても全員が就職できないからやめてしまえと言っているに等しい!馬鹿真似を繰り返し全員討ち死にせよ(゚д゚)!
高校生の就職率の増加をなぜ素直に喜べない?
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このように景気が上向いているという事実があるのに、アベノミクスはあたかもまったく無効であるかのような言い草は完璧に間違えています。この記事で示しているように、実体経済でも明らかに回復していることを示す指標はかなりありますし、これからさらに出てくることが予想されます。そうなったら、八幡はどう弁明するのでしょうか。

さらに、アベノミクス論者を増税すると、経済が失速するというのは卑怯であるとの珍妙奇天烈な論理で非難しています。この人は、アベノミクス第二の矢が何であるかをご存知ないようです。第二の矢は、財政出動です。財政出動とは何ですかと問いたいです。それは、積極財政をすること政府が大規模な投資を行うことです。しかし、財政出動には別のやり方もあります。それは、断じて増税ではありません、減税です。

本来アベノミクス第二の矢を掲げた時点で、安部自民党は、増税などしないと言っているのに等しいのです。無論、減税ならありです。だから、アベノミクス派が、増税に難色を示すのは当然のことなのです。当たり前のど真ん中なのです。これをもって、卑怯などと批判するのは全く的外れなのです。

それに、本当に増税してしまえば、間違いなく景気には悪影響を与えます。これは、マクロ経済学的に言っても、間違いのない事実ですし、このブログでも何回か掲載したように、イギリスでは、付加価値税を大幅に増税した後、景気が低迷し、特に若者雇用が激減したので、イギリス中央銀行であるイングランド銀行が、日本の異次元金融間わに匹敵するような、大金融緩和政策しを実行しましたが、未だに景気が低迷しています。

イギリスの付加価値税は、財政赤字を埋め合わせることを目的として導入されたものですが、景気が低迷し、税収も減り未だ財政赤字を埋め合わせる目処もたっていません。

八幡に問いたいです。上のような事実があるにもかかわらず、金融緩和実施中に、増税すると景気が低迷するかもしれないと主張するアベノミクス派は卑怯といえるのですか?そうして、責任転嫁のための高騰戦術を用いているなどと言えるのでしょうか?そうではないでしょう、自明の理を説いているだけです。

八幡は、日本が増税することは、国際公約であるかのごとく、言いたてています。日本政府が、国際的に増税すると説明したのは、野田内閣のときですが、野田元総理自身が公約ではなく、説明だとしています。

これに関しては、以下の記事をご覧になって下さい。
消費増税は国際公約ではなく「説明」 野田首相
産経新聞2011年11月7日(月)21時58分 
 野田佳彦首相は7日の衆院本会議で、フランス・カンヌでの20カ国・地域(G20)首脳会議で消費税率の10%への引き上げを表明したことについて、「国内で方針として示したことを国際社会で説明し、アクションプラン(カンヌ行動計画)に入れた。できなかったら責任を取るという話はしていない」と述べ、「国際公約」ではないと強調した。野党が求める消費増税関連法案の提出前の衆院解散・総選挙に応じない考えも重ねて表明した。
最近の民主党の凋落は、金融緩和をしなかったこと、
アベノミクスに反対であったことが最大の理由である

これに関しては、当時増税反対派が、自らが増税の責任をとりたくないからだと非難が集中していました。しかし、私としては、当時から国際的には「増税しない」という選択肢を残しており、さらに、増税の最終的な決定は、2013年秋の時点での政府という条項とも矛盾しておらず、野田さんのこの発言に関しては、一定の評価をしていました。八幡のような輩が、増税は国際公約であるといいたてるのに反論するためにも、誠に良い妥当な行動をしてくれたことに感謝の念さえ覚えます。

意外と野田さん、今頃前財務次官勝栄二郎氏の呪縛から解かれて、自分が政権を担っているときに、大規模な金融緩和と、財政出動をしておけばよかったの後悔の臍を噛んているかもしれません。今回の参院選の民主党の凋落は、やはりアベノミクスに大反対という争点しかなかったことだと思います。


それに、その後財政赤字を優先した政策かことごとく失敗した現在、まともな国の首脳部が、不景気で財政赤字のときには、経済成長より、緊縮財政をすべきなどとは思っていません。なにしろ、この根拠の唯一の拠り所となっていた論文が間違いあったことが、ことしの四月時点で間違いであったことが明らかになっています。

それについては、このブログでも以前掲載したことがありますので、以下にそのURLを掲載します。
「ごめんなさい」では済まされない! 財政切り詰め策の根拠となった論文に誤り 欧州連合の方針に疑問―【私の論評】 これは経済学者というか、科学者として許すまじ行為!!世界を日本を惑わした罪は大きい!!見せしめのために、学会から追放せよ!!日本は、消費税増税絶対にみあわせようぜ!!
しかし、このような事実が判明するはるか以前から、マクロ経済的な見地からして、景気が悪くて財政赤字だからといって増税しても決して景気が良くならないことは自明の理でした。やるべきは、まずは金融緩和、財政出動です。

それに、もともとある国の政府が増税するかしないかについて、他国が口を挟めるような事項ではありません。国際会議で、増税の予定などと発表しても、その後事情が変わって、減税したとしても、それがよほどのおかしな政策で、他国に非常に迷惑をかけたとか、あるいはかけることがはっきりしている場合などは、非難されることもあるでしょうが、それはあくまで非難であって、国際公約違反で罰則があるというものではありません。

日本が金融緩和すれば、極端な元安、極端なウォン安政策をとって、日本の円高政策により、ぬるま湯に浸かり、分不相応な我が世の春を謳歌してきた、中韓にとっては危機的な状況になるのはわかりきっています。だから、中韓はアベノミクスに猛反対していました。しかし、この非難はまったくあたっていません。日本は、今までが金融引締めばかりやっていたのが異常だったのです。それが景気が低迷した理由であって、つい最近まで巷を賑わせていた「日本駄目論」など、どう考えてもあてはまらないのです。

それから、八幡は、「市場も、日本政府を信用しなくなり、金利の急上昇など不測の事態を生じさせる」などして、金利の上昇などと語っていますが、いずれ景気が上向けば、マクロ経済からいって、金利がある程度上昇するのは当然のことですが、それにしても、急上昇するなど考えにくいです。それに現在までの金利の上昇など、誤差の範囲にすぎない軽微なものです。これに関しては、このブログでも過去に掲載したことがありますので、以下にその記事のURLを掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】突破不可能!最強使徒が守る国債長期金利―【私の論評】理屈からいっても、データからいっても、国債金利がどうのこうのと今大騒ぎする輩は、馬鹿かスパイのいずれかである(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、日本では国債金利が過度に上昇することは考えにくいです。その論拠の部分のみ以下にコピペさせていただきます。
日本政府の信用が凋落して国債の金利が上がったとしても、日本銀行が金融市場の国債を「買い占める」と、銀行は手元の日本円を政府に貸し出さざるを得なくなります。そうなると、日本国債が買われることになり、国債金利は低下します。というわけで、日本政府が過去に発行した国債が100%日本円建てであり、かつ日本政府の「子会社」の日本銀行が国債を買い入れることができるため、どんなことがあっても、国債の金利が極端に上がるということはなく、したがって、我が国は「政府の財政破綻」「政府の債務不履行」に陥りたくても陥れません。 
国民の安全や生命を守るインフラ防災などの公共投資の財源を、日本銀行の建設国債買入に求めている安倍自民党の政策は、現在の日本に適したソリューションです。ただし、日本銀行の国債買入に代償が一つもないわけではありません。それは、インフレ率の上昇です。しかし、今の日本、デフレの真っ最中です。であれば、インフレ率が上昇するというのなら、願ったり叶ったりです。ある程度インフレ率が高まれはやめてしまえば良いだけの話です。
もし、日本が、ギリシャのように発行した国債のほとんどがユーロ建てあったように、国債のほとんどが、外貨建てであれば、話は違ってきますが、そうではない限り国債の金利が急上昇するなどということはあり得ません。

このように見てくると、八幡の論考は良くはわかりませんが、とにかくアベノミクスを頓挫させたいと一心なのだと受け取られても仕方ないと思います。理由はわかりませんが、上記のような稚拙な論考で増税の正当性を強調するのは、卑怯です。

上の記事の一番下に、八幡の略歴が掲載されていますが、このような経歴を持ち、上記のような発言をすると、経済などに疎い人ならば、すぐに惑わされてしまうと思います。しかし、多くの人々は、大手新聞などが経済に関しては平気で出鱈目を報道することを学びました。それに、略歴を良くごらんください、八幡は、金融・財政とは縁の薄いことがわかります。専門ではないことにツッコミを入れるということは、たとえば、外科の専門でない内科医などが外科手術にツッコミをいれているようなものです。無論、絶対ツッコミをいれるべきではないと言うつもりはないですが、それにしても、医学の世界では、あくまで内科医であれば、内科医の立場からツッコミを入れるというのなら理解できますが、そうでなければなかなか理解を得られるものではありません。

経済に疎いとか、分からないという人は簡単に惑わされないようにお気をつけください。マクロ経済について多少は知っているとか、エキスパートの方々は、是非このような説、論破しまくってください。経済が専門でない私ですら、八幡の論考はかなりおかしいことが判るくらいですから、詳しいかたにとっては、ツッコミどころ満載だと思います。よろしくお願いします。

それにしても、参院選が終了してから、マスコミはさも増税が当然のことという報道を強め、八幡のような輩もでてきました。しかし、私は、金融緩和は当然、増税は金融緩和による景気浮揚に棹さすもの以外の何ものでもないと思います。

日本では最近医療過誤への認識は高まった
が、マクロ経済に対する認識はまだまだ低い
金融緩和をしなが増税するということは、致命的な癌治療で、抗癌剤を投与するとともに、他の致命的な病気でない病気を治療するために、抗癌作用を薄める治療薬を同時に投与するようなものです。このようなチグハグなことをする必要性は全くないと思います。このようなことで、癌治療が阻害されて、患者さんがなくなるということにでもなったら、これは医療過誤と認定されてしまいます。金融緩和をしながら、同時に増税するということは、それくらいチグハグなことです。

それに、私は、増税を永遠にするなと主張するわけではありません。むしろ、増税すべきとも思います。ただし、その時期は、金融緩和と同時期にするべきではありません。まずは、金融緩和、財政出動を行って、景気が浮揚し、加熱した頃に実施すべきです。この頃に実施すれば、デフレのときよりも、税収は間違いなく増えているはずですから、どの程度増税すれば良いのかも、見極めをつけやすいです。先ほどの癌治療の例でいえば、致命的でない他の病気は、当面放置しておき、しばらく癌治療に専念し、癌が治ったら、他の病気の治療をせよというのと同じです。自明の理です。

とにかく、これから、アベノミクスを頓挫させたいという勢力、本格的に力を入れてきます。マスコミも、中国も、韓国も、米国も、左翼も、野党も、自民党内の内部からも、これらの勢力がありとあらゆる手段を用いて、日本国民を煽動し、何がなんでも日本の再生を頓挫させるため、大同団結してやってきます。

そうして、利用できるものは何でも利用します。素人の意見でも、門外漢の意見でも、利用できるものは何でも利用して、日本経済再沈没のため、努力を惜しみません。そんな最中にボンヤリしていては、たちまち、奴らに洗脳されます。過去の20年は、多くの日本人が、経済に関しては、彼らに洗脳され続けききたとみるべきです。私人もそうだった時期が短いながらあります。

そうして、最後に言いたいのは、経済とはバランスということです。景気が悪くなれば、金融緩和をして、財政出動をすべきであり、景気が過熱すれば、金融引締め、緊縮財政をすべきです。過去20年日本は、ことごとくこの逆をやってきました。だから、経済がこのように悪化をしたのです。バランスがとれていれば、15年以上もデフレということはあり得ません。

事実、他国は、日本よりはバランスがとれていたので、日本のように長期にわたって、デフレに見舞われた国はありません。経済状況を無視して、いつまでも、増税反対という事はあり得ないし、いつまでも、増税賛成ということはあり得ないのです。それに、増税だけ論議するのではなく、場合によっては、減税を見当しなければならないときもあり得るということです。

この当たり前の真実を多くの人々に当たり前に理解していただきたいと私は思います。私は、八幡批判という形を通して、経済にはバランスが必要という自明の理を説いているだけなのです。皆さんは、どう思われますか?

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2012年6月13日水曜日

橋下徹氏「変心」で進路に困る維新政治塾生―【私の論評】橋下氏がすみやかに国政選挙に出で、勝利を収める方法が一つだけある!!

橋下徹氏「変心」で進路に困る維新政治塾生:



「大阪維新の会」の代表者、橋下徹大阪市長が国政進出について、初めて否定的な見解を述べた。これに動揺するのは、同会が運営する「維新の会政治塾」の塾生たちだ。高い学費を支払ったのは国政の場に自分の人生を賭けるため。橋下氏の変節で、2000人が路頭に迷うのか?


「報道を見てびっくりしました。これではしごを外されでもしたら…」

30歳代の塾生の一人はこう話す。国政進出は前向きに考えていただけに、もし本当ならショックは大きい。それもそのはずで、5月の終わりに大阪市内で開催された維新政治塾。チューターを務める同会派の大阪府議、市議らが「(選挙費用として)1000万円以上は用意できないといけない。今後のことについては、何も聞かされていないけど」と話していたのだという。

現在の「橋下チルドレン」たちは約2000人。それが選考を経て、1000人弱に絞り込まれ、今週中には各塾生のところに合格の通知が届くようになっている。そして23日に入塾式が行われ、石原慎太郎都知事が講義をすることも決まっている。もしも、撤退ならばまるで途中で道を絶たれてしまった感がある。


参加者たちの中には、30歳代のエリート層も数多く、それなりの資質を備えている上に、収入レベルもソコソコあるということで、維新の会の弱点の一つである、「資金面」を補うことができるとも見られていた。

一人あたりで年間で約12万円、全体では2億円以上という高い学費を集めている以上は、このままということは、通常は考えられない。

【私の論評】橋下氏がすみやかに国政選挙に出で、勝利を収める方法が一つだけある!!

橋下市長は、維新の会を結成後も、塾生を集める前までには、何回か「自分は国政にはでない」ということを何回か明言していました。しかし、塾生を集めてからの発言は、今回が初めてです。そうして今回の発言、私自身は正しいものと考えます。なぜなら、このブログにも過去に何回か掲載してきたように、橋下氏は、未だ国政には疎く、今後短くて5年、長ければ10年くらいは、市長をしながら、国政を真剣に学ぶことがあると思うからです。



国政は、地方政治と比較すれば、かなり難しく、経済一つとっても、マクロ的見方ができなければ、現在の民主・自民・公明の実務者会談のごとく、デフレの最中での増税に関して何の疑問ももたず、増税することを前提とした頓珍漢な論議をするなどという馬鹿真似をして、税率をあげても、税収は増えないどころか、さらにデフレスパイラルに日本をはめ込むということになるこに、全く思いも浮かばないということにもなりかねません。

さらに、安全保障・外交となれば、地方政治の首長の力量では、度し難いことが山積しています。これは、何も、地方政治の首長が簡単などと言っているわけではありません。地方政治にも、難題がたくさんありそれなり難しさはあります。しかし、国政と比較すれば、そもそも、規模が違いますし、考慮しなければならないことは、はるかに多いということです。


それに、目の前に、民主党という事例もあります。彼らは、国政に直接タッチはしてこなかったものの、野党として何年かやってきたはずだし、それに、過去に自民党等の政治家であった人も大勢います。にもかかわらず、あの体たらくです。このようなことを考えると、橋下氏が、国政に参加するにしても、今のままで参加すれば、民主党の二の舞を舞うだけになると思います。














これに関しては、このブログにいくつか書いたことがあるので、本日は、それを以下に引用します。

まずは、過去の経済に関しての発言からです。これは、2009年6月の発言です。



橋下知事が民主の方針転換批判 「赤字国債発行なら大うそつき」-民主党ブーメラン効果で八つ裂きになるか?
政府が赤字国債を増発する方針を固めたことを受けて、大阪府の橋下徹知事は6日、「民主党政権の根幹を揺るがすような方針転換だ」と批判し「金が足りないなら赤字国債ではなく、増税議論を進めないといけない」との見解を示した。
橋下氏が、マクロ経済に関してあまり知識がないことは、この発言でも良く理解できました。まずは、デフレという認識がほとんどありません。デフレの最中の増税など、古今東西どこの国でも成功したためしはありません。それに、確かに、民主党は、従来「赤字国債」は刷らないということを名言してきたのですが、この当時でも、そうして現状でも、国債を刷って、公共工事などをやったほうが良いということには変わりありません。この理屈に関しては、本日は、本題ではないので、その理由など知りたい方は、当該ブログなどを読んでいただければ、幸いです。

その後、折に触れて、橋下氏の地方政治の首長としては活躍されていたのですが、やはり、国政音痴的な発言がたびたびありました。そうして、極めつけは、あの維新八策です。これについても、以前このブログで掲載したので、これも以下に要点だけコピペしておきます。

橋下バブルに踊る懲りない“シロアリ”たち―【私の論評】潰し屋に惑わされることなく、今は国家についての認識を高めて自分自身を信じるべき!!
維新八策は、企業であれば、設立趣意書のようなものだと思います。設立趣意書が、長期経営戦略のようであっては良いはずがありません。であれば、あんなに書き連ねるのは間違いだと思います。本来はどんな会派なのかはっきりさせ、さらに、結局何をやりたいのかはっきりさせるだけで良いのであり、そのやり方まで細かく書き連ねることは間違いです。こんなことからも、橋下さんには、今は良いブレーンがついていないことをうかがわせます。 
そうして、なぜ、上のように細かなことまで書いてしまうのかといえば、いわゆる、シロアリさんたちなのだとおもいます。このシロアリさんたちの思ったことで、あまり、咀嚼されていないことでも、拙速に入れてしまったのだと思います。ここでは、わざわざ書きませんが、これが、多分このシロアリさん、あれは、多分このシロアリさんと特定できそうな部分さえあります。まずは、大括りで、どのような国にしたいのかを前面に打ち出すだけで良いのであって、そのやり方は、それこそ議論百出で、つめていくというのが正しいやり方だと思います。

維新八策に関しては、あまりに出し方が、拙速であり、粗暴でさえあったと思います。維新八策そのものについては、本日の本題ではないので、詳細をお知りになりたい方は、是非当該ブログを読んでいたたげれば、幸いです。

それに、このブログには掲載しなかったのですが、ベーシックインカムについても、酷い穴があったことが明らかになっています。私自身は、このような重箱の隅をつつくつもりはないのですが、実際維新八策には、このような細かいことまで、記載されいて、全部を検証することなど不可能ですが、それにしても、これは、あまりに酷いほころびなので、敢えて掲載しておまきます。これは、あまりくだくだしく、書くよりも、下にこれを指摘している動画を掲載します。





結局、民主党のマニフェストよりも、さらに細かく政治家ではなく、まるで、木っ端役人が書いたものをあまり検証もせずに、維新細かいことまで記載し自らの手足を縛るようなことをしてしまっています。

これは、要するに、維新の会に結集している人たちの、ベクトルが一致していないため、様々な立場の人の意見をそのまま反映して作成したため、このようなことになっているのだと思います。やはり、国政に対する考え方が、大枠では一致していなければ、選挙互助会である、自民党や、民主党と同じ、いや、自民党の焼きなおしでしかない分劣化している民主党よりも、まだ酷い選挙互助会組織になってしまうと思います。

こういうことを認識しているからこそ、橋下氏は、国政進出について、塾生を集めた後で、初めて否定的な見解を述べたのだと思います。しかし、このようなことに気づくだけ、既存の政治家などよりはるかにまともだと思います。やはり、他の政治家などと異なるということであり、優秀だと思います。松下政経塾出身のボンクラ政治家などとは違います。

松下政経塾塾生
私は、この橋下氏の考え、全く正しいと思います。ただし、私は、橋下氏が国政に早期に、たとえば、次の衆議院議員選挙に出て、成功する道が一つだけあると思います。

それは、現状の民主党、自民党、公明党が、規定路線のように進める増税を粉砕することです。そうして、デフレ克服のみを短期間で実現することを公約に掲げて、選挙に挑み、実際にそれを達成してみせることです。

そうして、それは、意外に簡単に実現できると思います。やることは、大まかにいえば、まずは、増税の棚上げです。そうして、あのノーベル経済学賞を受賞した経済学者ポール・クルーグマン氏が日本に対して提唱するように、マクロ経済的に完璧に誤った、経済・金融政策を根本的に改めて、当面政府の大規模な財政出動を行い、日銀法を改正して、日銀が、金融政策を決めるのではなく、あくまでも、政府が決定し、その決定方針に従って、金融専門家の立場から、その政策のやり方を定めるという、中央銀行の本来の役割を果たすようにさせるということです。そうして、当面は、インフレ目処1%ではなく、インフレターゲットを4%以上にするということです。

ポール・クルーグマン氏
そうして、景気が過熱してきた場合、すみやかに、景気対策を打ち、緊縮財政、金融引き締めに転じるということです。そうして、そのときに、必要ならば増税するということです。

これを短期で実施するにしても、5年くらいかかると思います。当面は、このことだけ、やれば良いのです。であれば、今の橋下氏にもできる可能性が十分あります。橋下さん、これに近いことは、過去にもやってきたと思います。そうです。古い不合理で、非常識な慣行を破ることです。デフレ退治自体は、やるべきことは決まっています。そんなに難しいことではありません。ただし、守旧派を徹底的に粉砕する必要があります。これは、橋下氏の得意とするところであり、今の日本では、独壇場といっても良いくらいです。そうして、これを実現しつつ、国政に関して、勉強を重ね。次の選挙のときには、まともに国政が担えるように、橋下氏も成長し、維新の会も成長し、ベクトルが一致するようにもっていくのです。


私は、たとえ今回、増税法案が通ったとしても、それを廃棄するということを選挙公約として、実施すべきと思います。そうして、選挙のときのスローガンは、小泉さんの「郵政改革」、民主党の「政権交代」のようなワンワードポリシーで、「デフレ退治」とすべきと思います。ただし、日本は、財政破綻する可能性がほんどないこと、当面増税などすることは間違いであり、とにかく、デフレ克服が緊急の課題であることを強力に打ち出すべきです。これに反対する人は、いるかもしれませんが、それは、ほんの少数の偏屈者くらいしかいないでしょう。

こうすることによって、かなり有利に戦えると思いますし、本当にデフレを退治すれば、それだけで、それこそ、昭和恐慌のときのデフレ退治をした高橋是清のように、橋下さんの名前は、歴史に残ることと思います。後は、デフレを克服した日本が、どれだけ、経済でけではなく、社会も含めて、多面的に成長・進化できるかが課題になると思います。


ただし、デフレを克服すれば、何もかもすべてがよくなるなどとは、最初から言うつもりはありません。しかし、現実的に、言っても、デフレのままだ、到底不可能なことが10ほどあったとして、少なくとも、そのうちの5つや、6つは、間違いなくできるようになります。というより、それができる条件が整います。そうして、橋下さん、デフレを克服できたら、次にこれをやれば、長期政権も夢ではなくなります。

ともかく、デフレの現状をそのまま放置しておいて、他のことをいくら一生懸命にやったとしても、結局モグラ叩きになるだけです。何かを良くしたら、何かが悪くなる、悪くなったので、これを良くすれば、他が駄目になるという具合でなんらの解決策にもなりません。ましてや、増税などすれば、過去の増税でもわかるように、税収がますます減り、だからといって、また増税すれば、増税スパイラルにはまり、いつまでたっても、デフレから脱却できないことになります。

そうして、残念ながら、今の日本には、これができる人は、橋下さんくらいしかいないです。小沢氏もできるかもしれませんが、橋下さんに比較すれば、今の段階では、様々な面から格段に劣ると思います。第一、大多数の国民が支持するとはとても思えません。

さて、皆さんは、どう思われますか?


【私の論評】

自民、10%へ2段階上げ同意=軽減税率を主張―消費税3党協議―【私の論評】自民党が次の選挙で勝利するためには、次の総裁選で谷垣総裁を討ってデフレ退治を全面に打ち出すことだ!!



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