八幡和郎 |
アベノミクスの応援団長である浜田宏一内閣官房参与(米エール大名誉教授)が「消費税早期引き上げに疑念」を示したり、同じ内閣参与で実務的ブレーンの筆頭といわれる本田悦朗氏が「1%ずつ徐々に上げては」といっているが、卑劣である。
なぜなら、消費税の引き上げを予定通りに実施することは、余程のことがない限り、動かせない。それを誰より知っている彼らが反対論を唱えることは、アベノミクスが思わしい結果を出せなかったときに、責任を問われること回避するための“高等作戦”とみられても仕方あるまい。
消費税のいかんにかかわらず、アベノミクス失速の可能性はある。その引き上げか中止かどちらが、失速のリスクを高めるかも何とも言えない。にもかかわらず「引き上げれば経済が失速する」と主張するのは、「安倍政権の経済政策が自分たちの意図と違う形で行われた」と強弁し、「その失敗は経済理論の間違いでなく、消費税引き上げが理由だ」と言い訳にしたいがためでないか。
それが、浜田氏や本田氏など「アベノミクス支持・消費税引き上げ反対論者」が張ろうとしている予防線なのだろう。
そもそも、消費税引き上げは景気が非常に悪い場合にのみ延期できるというのが3党合意や法律の趣旨だ。改めて白紙で検討して上げないことにするのは、法律上も許されないのではないか。
また、サミットやG7(主要7カ国)での財政再建の約束からも引き上げは国際公約でもある。約束はしたが、気が変わったということを認めたら、ギリシャのような国に国際社会はいうことを聞かせられなくなるから、許すはずもない。
市場も、日本政府を信用しなくなり、金利の急上昇など不測の事態を生じさせる。
サミットについて海外の報道では、アベノミクスの成功を期待するが、財政再建のプログラムをしっかり実施しろと必ず並列になっていた。G7での麻生太郎財務相も、ほかの自民党幹部も、私と同じく「余程のことがない限りは引き上げするのが当然」という発言を繰り返している。
そうしたなかで、外野席のリフレ論者が何を言おうが見識の問題だが、アベノミクスの理論的支柱がこれでは、「アベノミクス破綻に備えて荷物をもまとめて夜逃げの準備をしている」といわれても仕方ない。
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「地方維新vs土着権力」(文春新書)、「本当は誤解だらけの『日本近現代史』」(ソフトバンク新書)など多数。
【私の論評】卑劣な八幡、新手法でアベノミクスを頓挫させようと試みるも、論拠があまりに稚拙か(゚д゚)!
上の記事、新手法でアベノミクスを批判していますが、論拠があまりに幼稚であり、まともな人には通用しないでしょう。稚拙ではありますが、アベノミクス批判の新手法ということで、全文紹介させていただきました。そうして、この論考の稚拙なところを論破していきます。まずは"内閣官房参与(米エール大名誉教授)が「消費税早期引き上げに疑念」を示したり、同じ内閣参与で実務的ブレーンの筆頭といわれる本田悦朗氏が「1%ずつ徐々に上げては」といっているが、卑劣である"であるなどとしていますが、どこが卑怯なのか皆目見当がつきません。
八幡は、「消費税の引き上げを予定通りに実施することは、余程のことがない限り、動かせない」と断言していますが、これは本当にそうでしょうか?消費税を三党合意で決定したときも、「13年度秋の段階における経済状況を勘案したうえで、時の政権が実際にあげるかどうかを決定する」という条項があったのではありませんか?
この条項があり、この条項はその後も生きていることから、八幡のいうことには、無理があります。それから、景気が悪くなったときの、金融緩和は、当たり前のど真ん中であって、それでアメリカ、EUなどの多くの国々が不景気から脱出したことは周知の事実です。特にリーマンショックのときに、震源地であるアメリカ人や、その影響をもろにうけたEUが、大規模な金融緩和を行い、素早く立ち直ったときにも、日銀は緩和をせずに、金融引き締め政策を堅持したため、本来ほとんど影響を受けるはずのなかった、日本が一人負け状態になってたことは記憶に新しいところです。
アベノミクスがどうのこうのという前に、日銀がまともな金融政策を実施しなければならないということは、最早まったく疑いを挟む余地はありません。それに、最近の参院選では、有権者の多くが、アベノミクスに賛成しています。八幡はこうした声を無視しろというのでしょうか?
それに異次元の金融緩和をし始めたのは、本年の4月からであって、今は7月であり、何とまだ3ヶ月もたっていないではないですか?そうして、まだまだ、実感する人は少ないとはいえ、実際に景気動向指数も上向きであり、高校生の就職率は昨年と比較すると40%も上向いているではありませんか。これら、景気が良くなりつつあることの査証については、以前のこのブログでも掲載していますので、以下にその記事のURLを掲載します。
高校生求人 去年比約40%増―【私の論評】今アベノミクスの金融緩和に反対することは、高校生の求人が40%増えても全員が就職できないからやめてしまえと言っているに等しい!馬鹿真似を繰り返し全員討ち死にせよ(゚д゚)!
高校生の就職率の増加をなぜ素直に喜べない? |
さらに、アベノミクス論者を増税すると、経済が失速するというのは卑怯であるとの珍妙奇天烈な論理で非難しています。この人は、アベノミクス第二の矢が何であるかをご存知ないようです。第二の矢は、財政出動です。財政出動とは何ですかと問いたいです。それは、積極財政をすること政府が大規模な投資を行うことです。しかし、財政出動には別のやり方もあります。それは、断じて増税ではありません、減税です。
本来アベノミクス第二の矢を掲げた時点で、安部自民党は、増税などしないと言っているのに等しいのです。無論、減税ならありです。だから、アベノミクス派が、増税に難色を示すのは当然のことなのです。当たり前のど真ん中なのです。これをもって、卑怯などと批判するのは全く的外れなのです。
それに、本当に増税してしまえば、間違いなく景気には悪影響を与えます。これは、マクロ経済学的に言っても、間違いのない事実ですし、このブログでも何回か掲載したように、イギリスでは、付加価値税を大幅に増税した後、景気が低迷し、特に若者雇用が激減したので、イギリス中央銀行であるイングランド銀行が、日本の異次元金融間わに匹敵するような、大金融緩和政策しを実行しましたが、未だに景気が低迷しています。
イギリスの付加価値税は、財政赤字を埋め合わせることを目的として導入されたものですが、景気が低迷し、税収も減り未だ財政赤字を埋め合わせる目処もたっていません。
八幡に問いたいです。上のような事実があるにもかかわらず、金融緩和実施中に、増税すると景気が低迷するかもしれないと主張するアベノミクス派は卑怯といえるのですか?そうして、責任転嫁のための高騰戦術を用いているなどと言えるのでしょうか?そうではないでしょう、自明の理を説いているだけです。
八幡は、日本が増税することは、国際公約であるかのごとく、言いたてています。日本政府が、国際的に増税すると説明したのは、野田内閣のときですが、野田元総理自身が公約ではなく、説明だとしています。
これに関しては、以下の記事をご覧になって下さい。
消費増税は国際公約ではなく「説明」 野田首相
産経新聞2011年11月7日(月)21時58分
野田佳彦首相は7日の衆院本会議で、フランス・カンヌでの20カ国・地域(G20)首脳会議で消費税率の10%への引き上げを表明したことについて、「国内で方針として示したことを国際社会で説明し、アクションプラン(カンヌ行動計画)に入れた。できなかったら責任を取るという話はしていない」と述べ、「国際公約」ではないと強調した。野党が求める消費増税関連法案の提出前の衆院解散・総選挙に応じない考えも重ねて表明した。
最近の民主党の凋落は、金融緩和をしなかったこと、 アベノミクスに反対であったことが最大の理由である |
これに関しては、当時増税反対派が、自らが増税の責任をとりたくないからだと非難が集中していました。しかし、私としては、当時から国際的には「増税しない」という選択肢を残しており、さらに、増税の最終的な決定は、2013年秋の時点での政府という条項とも矛盾しておらず、野田さんのこの発言に関しては、一定の評価をしていました。八幡のような輩が、増税は国際公約であるといいたてるのに反論するためにも、誠に良い妥当な行動をしてくれたことに感謝の念さえ覚えます。
それに、その後財政赤字を優先した政策かことごとく失敗した現在、まともな国の首脳部が、不景気で財政赤字のときには、経済成長より、緊縮財政をすべきなどとは思っていません。なにしろ、この根拠の唯一の拠り所となっていた論文が間違いあったことが、ことしの四月時点で間違いであったことが明らかになっています。
それについては、このブログでも以前掲載したことがありますので、以下にそのURLを掲載します。
「ごめんなさい」では済まされない! 財政切り詰め策の根拠となった論文に誤り 欧州連合の方針に疑問―【私の論評】 これは経済学者というか、科学者として許すまじ行為!!世界を日本を惑わした罪は大きい!!見せしめのために、学会から追放せよ!!日本は、消費税増税絶対にみあわせようぜ!!しかし、このような事実が判明するはるか以前から、マクロ経済的な見地からして、景気が悪くて財政赤字だからといって増税しても決して景気が良くならないことは自明の理でした。やるべきは、まずは金融緩和、財政出動です。
それに、もともとある国の政府が増税するかしないかについて、他国が口を挟めるような事項ではありません。国際会議で、増税の予定などと発表しても、その後事情が変わって、減税したとしても、それがよほどのおかしな政策で、他国に非常に迷惑をかけたとか、あるいはかけることがはっきりしている場合などは、非難されることもあるでしょうが、それはあくまで非難であって、国際公約違反で罰則があるというものではありません。
日本が金融緩和すれば、極端な元安、極端なウォン安政策をとって、日本の円高政策により、ぬるま湯に浸かり、分不相応な我が世の春を謳歌してきた、中韓にとっては危機的な状況になるのはわかりきっています。だから、中韓はアベノミクスに猛反対していました。しかし、この非難はまったくあたっていません。日本は、今までが金融引締めばかりやっていたのが異常だったのです。それが景気が低迷した理由であって、つい最近まで巷を賑わせていた「日本駄目論」など、どう考えてもあてはまらないのです。
それから、八幡は、「市場も、日本政府を信用しなくなり、金利の急上昇など不測の事態を生じさせる」などして、金利の上昇などと語っていますが、いずれ景気が上向けば、マクロ経済からいって、金利がある程度上昇するのは当然のことですが、それにしても、急上昇するなど考えにくいです。それに現在までの金利の上昇など、誤差の範囲にすぎない軽微なものです。これに関しては、このブログでも過去に掲載したことがありますので、以下にその記事のURLを掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】突破不可能!最強使徒が守る国債長期金利―【私の論評】理屈からいっても、データからいっても、国債金利がどうのこうのと今大騒ぎする輩は、馬鹿かスパイのいずれかである(゚д゚)!詳細は、この記事をご覧いただくものとして、日本では国債金利が過度に上昇することは考えにくいです。その論拠の部分のみ以下にコピペさせていただきます。
日本政府の信用が凋落して国債の金利が上がったとしても、日本銀行が金融市場の国債を「買い占める」と、銀行は手元の日本円を政府に貸し出さざるを得なくなります。そうなると、日本国債が買われることになり、国債金利は低下します。というわけで、日本政府が過去に発行した国債が100%日本円建てであり、かつ日本政府の「子会社」の日本銀行が国債を買い入れることができるため、どんなことがあっても、国債の金利が極端に上がるということはなく、したがって、我が国は「政府の財政破綻」「政府の債務不履行」に陥りたくても陥れません。
国民の安全や生命を守るインフラ防災などの公共投資の財源を、日本銀行の建設国債買入に求めている安倍自民党の政策は、現在の日本に適したソリューションです。ただし、日本銀行の国債買入に代償が一つもないわけではありません。それは、インフレ率の上昇です。しかし、今の日本、デフレの真っ最中です。であれば、インフレ率が上昇するというのなら、願ったり叶ったりです。ある程度インフレ率が高まれはやめてしまえば良いだけの話です。もし、日本が、ギリシャのように発行した国債のほとんどがユーロ建てあったように、国債のほとんどが、外貨建てであれば、話は違ってきますが、そうではない限り国債の金利が急上昇するなどということはあり得ません。
このように見てくると、八幡の論考は良くはわかりませんが、とにかくアベノミクスを頓挫させたいと一心なのだと受け取られても仕方ないと思います。理由はわかりませんが、上記のような稚拙な論考で増税の正当性を強調するのは、卑怯です。
上の記事の一番下に、八幡の略歴が掲載されていますが、このような経歴を持ち、上記のような発言をすると、経済などに疎い人ならば、すぐに惑わされてしまうと思います。しかし、多くの人々は、大手新聞などが経済に関しては平気で出鱈目を報道することを学びました。それに、略歴を良くごらんください、八幡は、金融・財政とは縁の薄いことがわかります。専門ではないことにツッコミを入れるということは、たとえば、外科の専門でない内科医などが外科手術にツッコミをいれているようなものです。無論、絶対ツッコミをいれるべきではないと言うつもりはないですが、それにしても、医学の世界では、あくまで内科医であれば、内科医の立場からツッコミを入れるというのなら理解できますが、そうでなければなかなか理解を得られるものではありません。
経済に疎いとか、分からないという人は簡単に惑わされないようにお気をつけください。マクロ経済について多少は知っているとか、エキスパートの方々は、是非このような説、論破しまくってください。経済が専門でない私ですら、八幡の論考はかなりおかしいことが判るくらいですから、詳しいかたにとっては、ツッコミどころ満載だと思います。よろしくお願いします。
それにしても、参院選が終了してから、マスコミはさも増税が当然のことという報道を強め、八幡のような輩もでてきました。しかし、私は、金融緩和は当然、増税は金融緩和による景気浮揚に棹さすもの以外の何ものでもないと思います。
日本では最近医療過誤への認識は高まった が、マクロ経済に対する認識はまだまだ低い |
それに、私は、増税を永遠にするなと主張するわけではありません。むしろ、増税すべきとも思います。ただし、その時期は、金融緩和と同時期にするべきではありません。まずは、金融緩和、財政出動を行って、景気が浮揚し、加熱した頃に実施すべきです。この頃に実施すれば、デフレのときよりも、税収は間違いなく増えているはずですから、どの程度増税すれば良いのかも、見極めをつけやすいです。先ほどの癌治療の例でいえば、致命的でない他の病気は、当面放置しておき、しばらく癌治療に専念し、癌が治ったら、他の病気の治療をせよというのと同じです。自明の理です。
とにかく、これから、アベノミクスを頓挫させたいという勢力、本格的に力を入れてきます。マスコミも、中国も、韓国も、米国も、左翼も、野党も、自民党内の内部からも、これらの勢力がありとあらゆる手段を用いて、日本国民を煽動し、何がなんでも日本の再生を頓挫させるため、大同団結してやってきます。
そうして、利用できるものは何でも利用します。素人の意見でも、門外漢の意見でも、利用できるものは何でも利用して、日本経済再沈没のため、努力を惜しみません。そんな最中にボンヤリしていては、たちまち、奴らに洗脳されます。過去の20年は、多くの日本人が、経済に関しては、彼らに洗脳され続けききたとみるべきです。私人もそうだった時期が短いながらあります。
そうして、最後に言いたいのは、経済とはバランスということです。景気が悪くなれば、金融緩和をして、財政出動をすべきであり、景気が過熱すれば、金融引締め、緊縮財政をすべきです。過去20年日本は、ことごとくこの逆をやってきました。だから、経済がこのように悪化をしたのです。バランスがとれていれば、15年以上もデフレということはあり得ません。
事実、他国は、日本よりはバランスがとれていたので、日本のように長期にわたって、デフレに見舞われた国はありません。経済状況を無視して、いつまでも、増税反対という事はあり得ないし、いつまでも、増税賛成ということはあり得ないのです。それに、増税だけ論議するのではなく、場合によっては、減税を見当しなければならないときもあり得るということです。
この当たり前の真実を多くの人々に当たり前に理解していただきたいと私は思います。私は、八幡批判という形を通して、経済にはバランスが必要という自明の理を説いているだけなのです。皆さんは、どう思われますか?
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