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2015年1月7日水曜日

【日本の解き方】インフレ目標2%に黄信号 黒田日銀は審議委員人事でピンチも ―【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!


消費増税による景気の落ち込みを予測できなかった黒田東彦日銀総裁

日銀が黒田東彦(はるひこ)総裁体制になって4月で2年となる。

黒田総裁は「2%のインフレ目標」を掲げているが、これは達成できそうにない。その理由は、消費増税による景気の落ち込みを予測できなかったからだ。

消費増税前の2014年3月まで、物価は順調に上がっていた。消費者物価指数(生鮮食品除く総合)の対前年同月比でみると、13年3月は0・5%減、6月が0・4%増、9月が0・7%増、12月が1・3%増、そして14年3月は1・3%増だった。

同年4月に消費増税されて形式的には4月が3・2%増と3%を超え、5月には3・4%増となったが、その後は低下し、11月は2・7%まで下がった。

消費増税による物価の押し上げは2%程度なので、それを差し引くと、ピークだった5月の1・4%増はほぼ2%目標の圏内であり、消費増税がなければ、おそらく今頃、2%程度まで上昇していただろう。しかし、黒田総裁は消費増税の影響を見通せなかった。消費増税の押し上げ分を除くと、11月は0・7%増にとどまっている。

現在の経済状況は、GDPギャップ(需要と供給の差)が15兆円程度と、13年1~3月期の状況と似ている。当時は10兆円規模の補正予算と4月からの金融緩和でGDPギャップを急速に縮小させた結果、1年後にはインフレ目標2%の直前までいった。ところが、今回は、補正予算は3・5兆円しかない。昨年10月末に追加緩和があったものの、短期的にGDPギャップを縮めるほどの力強さはない。原油価格の下落は中期的には日本経済に朗報であるが、短期的には物価を押し下げる。この点も考慮すれば、15年中のインフレ目標達成は黄信号だ。

達成したい場合、15年度予算を大型にしなければいけない。本コラムで再三主張しているように、外為特会の含み益10兆円以上を使って、15年度予算の特別枠を設定するのがいい。そこで地方創生などへの重点支出を行うわけだ。さもなければ、15年前半に追加緩和が必要だ。いずれか、または両方がないと、15年中のインフレ目標2%はかなり危ういだろう。

15年の日銀では、人事が注目される。追加緩和に賛成した宮尾龍蔵審議委員は3月に、反対した森本宜久委員は6月に交代する。先の追加緩和決定の際には賛成5対反対4と薄氷を踏む思いだったが、3月に宮尾委員が交代する場合、黒田緩和に反対する人が次期委員になると、追加緩和の可能性がなくなり、黒田日銀はピンチになる。

今の物価動向からみて、15年度のインフレ率見通し1・7%も4月の展望リポートで下方修正に追い込まれる可能性もある。宮尾委員は再任される可能性もあるが、3月の政策決定会合が一つの山場になるだろう。

いずれにしても、3月、6月の審議委員人事で追加緩和賛成派を増やせるかどうかが日銀運営のカギを握る。審議委員の指名では、衆参両院で与党が多数を握っているので、人選の事務を担う財務省がポイントになってくる。財務省のお眼鏡にかない、追加緩和に賛成の人は誰だろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!

確かに、日銀の黒田東彦総裁は、8%増税しても影響なしという発言をしており、増税の悪影響を予測することはできず、昨年の10月末日、かなり経済が落ち込むことがはっきりした後に、ようやっと追加金融緩和を発表しました。全く遅きに失しました。あれは、大失敗でした。本来は、8%増税の前か、少なとも直後に追加金融感を実施すべきでした。

日銀政策決定委員会会合

それにしても、日本国の金融政策の方針を決めるのが、日銀の政策決定委員会であり、その人事権は、衆参両院ということになっていますが、政治化のほとんどが、金融音痴であり、高橋洋一氏が上の記事の最後のほうに掲載しているように、結局人選の事務を担っている財務省の考えが、かなり大きな影響力を持っているというのが現実です。

このようなシステムはもう破綻したことが、はっきりしています。日銀の政策決定委員会は、結局のところ過去20年間もデフレ政策を実行し、日本はデフレ・スパイラルの底に沈んだからです。

このような間違いや、欠陥をマスコミは糾弾することもなく、政治家も是正することもできず、政策決定委員会のメンバーも誰も責任をとらず、無論、日銀の総裁や幹部も誰も責任をとにらず、結果として、失われた20年です。

もう、このような欠陥システムは、是正されてしかるべきです。日銀などもともと、政府の一下部機関にすぎないのですから、日銀の政策決定委員会のメンバーの人事は政府が行うようにすべきです。また、結果として、金融政策が失敗すれば、政策決定委員会の更迭も政府が実行すべきです。

日本国の金融政策の方針は、人銀行政策委員会が決定している

そもそも、日銀の政策決定委員会が日本国の金融政策の方針を決めるのが問題であって、これは政府が定めるべきです。政府が定める、金融政策の方針に従い、日銀の政策決定委員会が、専門家的立場から、その具体的実施方法を選択するという具合にすべきです。

実際、世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。

特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument independence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。

しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。

しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。

日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。

もう、まともな金融政策を実行したい人々の立場からすれば、現状のように、日銀の政策決定委員会の人事を巡って薄氷を踏みような思いをしなければならない現状のシステムは、変更するのかだ当然です。

現行の政策決定委員会は、1997年の日銀法改悪によって、現在の方式になったものです。

旧法下
図
新制度
図
新制度になった次の年から日本は、本科的にデフレに突入して、そこからずっとデフレで、昨年あたりからようやっとデフレではなくなったというのが日本の現状です。

これは、どう考えも、現行システムがまともだとは思えません。

それにしても、今のマスコミや、民主党等の野党など、日銀の独立性は神聖不可侵のようなものにとらえて、政治家などが批判することも、それを侵しているかのように、考え、その事自体を糾弾するというようなバカ真似を繰り返すのはもうやめにすべきです。

マスコミなど、総理大臣などしょっちゅう批判するし、そもそもわけのわからない愚鈍的な理由で糾弾するのに、日銀は糾弾しないし、糾弾する事自体が日銀の独立性に違反するかのような報道はやめるべきです。

日本の司法も、国会も、政府のどのような立場の人であれ責任があるのはあたり前であり、バカなことをしたり、失敗すれば、批判されるのは当然のことです。

まして、過去20年間も不適当な金融政策を実施して、日本のデフレスパイラルの泥沼に追い込んだ、日銀総裁をはじめとする幹部や、政策決定委員会のメンバーなど、過去においては、徹底的に糾弾されるべきであったし、今でも過去にさかのぼって、糾弾されるべきです。それをしない、マスコミは単なるバカの集まりであると糾弾されても仕方ない思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年3月21日金曜日

【日本の解き方】高く評価できる黒田日銀の1年目 懸念は増税による成長率下振れ―【私の論評】財政政策にも限りが、追加財政政策をしたとしても、公共工事の供給制約がある(゚д゚)!

【日本の解き方】高く評価できる黒田日銀の1年目 懸念は増税による成長率下振れ 

黒田日銀総裁

日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は20日に就任1年を迎えた。この1年で金融政策はどのように変わったのか。そして経済状況は日銀の想定通りになっているのだろうか。

黒田日銀になって、2%のインフレ目標がしっかりと定められた。以前の日銀はインフレ目標を否定的にとらえ、結果として金融政策に失敗していたが、それを改めたのは日銀としては画期的なことであった。周回遅れではあるが、世界の中央銀行に並ぶことができたので高く評価できる。

・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・

13年度の実質GDPは日銀の見通しより下振れする可能性が高い。ということは、その後の消費税増税によって経済が下振れしたときには、その影響はより大きくなるわけだ。

黒田日銀における政策委員の14年度実質GDP成長率見通しは、1・0~1・5%(中央値1・4%)だ。13年度の足元が低くなっているので、この伸び率が仮に達成できたとしても、実質GDPの水準は日銀の見通しを下回るだろう。

また、これまで景気は下振れしているのだから、消費税のマイナス効果は日銀が見ているほど楽観的には考えられない。おそらく14年度の実質GDPも、日銀見通しより下振れする可能性が高いだろう。

つまり、黒田日銀の1年目は素晴らしかった。大リーグデビューしていきなり20勝した投手のようなものだ。しかし、2年目のジンクスが待っているといった状況だろう。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】財政政策にも限りが、追加財政政策をしたとしても、公共工事の供給制約がある(゚д゚)!

上の記事、要するに黒田金融政策は今年は素晴らしかったのですが、来年はそうはならないことが考えられること。その原因は、増税によるものであるということです。

これに関しては、このブログでは何回も掲載してきたことです。年始めの高橋洋一先生の記事などもそうでした。以下に、その記事のURLを掲載します。

高橋洋一・嘉悦大教授が占う2014年の日本経済 消費増税で成長鈍化は必至 ―【私の論評】高橋洋一氏の読みは正しい、なぜなら先行事例がかなりあるから!!ただし、経済が伸びないからといって、安部総理を個人攻撃すれば中国・韓国、マスコミの思う壺(゚д゚)!

高橋洋一氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にその一部をコピペさせていただきます。
実質経済成長率を見てみると、13年度は消費税増税前の駆け込み需要も加わり2・7%程度で着地しそうだが、増税が実施される14年度の成長率をどう見るか。政府は1・0%、日銀は1・5%、民間シンクタンク11社は0~1・6%とばらついているが平均は0・7%だ。 
筆者はマイナス0・1%~プラス0・9%とみている。金融政策によって実質2%成長は確保されているが、増税前の駆け込み需要の反動減でマイナス0・7%、さらに増税の悪影響がフルに出るとマイナス1・3%程度とみる。 
幅をもたせているのは、政府の出方がわからないからだ。今のままの5兆円程度の財政対策なら、0%程度で最悪はマイナスもありえるだろうが、追加財政対策や追加金融緩和があれば、景気の鈍化は和らげられる。
この記事でも、やはり今年の4月の増税以降は厳しいことがうかがえます。ただ、このときは、私は多少楽観的だったところがあります。要するに、政府が財政支出の追加対策を行い、公共工事などを大々的に行えば、増税の悪影響は免れるだろうという考えです。

確かににそうなのですが、現在ふりかえってみると、過去20年間政府が財政支出を控え、それも公共工事をかなり控えてきたため、星の数ほどあった、建築、土木のような企業がどんどん消えましたし、それに就労する労働力もかなり減りました。

そのため、大規模な公共工事を実施しようにも、人手があまりに少なく、実施しようにもできないという事実があります。この事実を公共工事の供給制約といいます。

これについて、若干説明します。

公共事業の経済波及効果を否定したいわけではありませんが、その経済効果は工事を受注し実行して初めて発現します。しかし、供給不足が存在する状態では予算をつけても、その予算を完全に消化することはできません。

つまり、公共投資拡大の頭を抑えこまれてしまっている。これが今の日本の現状です。

建築・土木業界の人手不足を伝える最近の地方新聞


私自身は、公共事業の供給不足問題は認識していましたが、現状のように余裕がないとは思っていませんでした。

国土強靭化をぶち上げれば人がそれなりに集まると考えていたのですが、長引くデフレ不況、その間のマスコミの土建業批判と予算の削減により虐げられてきたこの業界が復活するには時がかかるというのが現実です。

以下のグラフは公的固定資本形成(公共事業費)と建設業許可業者数の推移です。


公的固定資本形成の増減に対して、建設業者数が遅れて追従しているのが分かります。

大体5年くらいの遅れでしょうか。国土強靭化により公共事業を拡大しても供給能力が元に戻るには5年くらいの時間がかかってしまうという事です。

これでは、財政支出を増やして、公共工事をどんどんやろうにもできないということです。供給を増やしたとしても、それができるようになるには、5年くらいのタイムラグがあるということです。それにしても、過去20年にもわたって、公共工事を削り続けてきた結果がこれです。こんなことからも、糞馬鹿低能民主党が政権後退のスローガンとした「コンクリートから人へ」は大間違いだったことがわかります。



民主党は単純に、公共事業を多めにすべきだったのです。これと金融緩和をしていれば、今でも政権を維持できたかもしれません。ああ、それなのに、それなのに、あの空き菅から、増税路線に一気に突っ走ってしまいました。あの馬鹿共には、公共工事の供給制約なんて、今でも理解できないかもしれません。それは、自民党とて同じことです。ただし、安部総理は最後の最後まで、増税は本意ではなかったと思います。安倍長期政権を樹立するためには、やむを得ないことだっと私は今でも信じています。

これは、かなり重大な問題です。やはり、今年の増税は何が何でも絶対見送るべきだったということです。

そうはいっても、国土強靭化などの公共工事は絶対に必要です。であれば、5年くらいかけて、徐々に増やしていくということは絶対にすべきものと思います。ただし、当面の即効的な景気対策にはならないということです。

そうなると、当面公共工事は、経済の安定化政策の手段としては非効率ということです。賃金高騰、資材高騰している現状では、公共工事に無理やり公共投資をするよりは、同じ額を減税や給付に回した方が景気の安定化に資するということになると考えます。

戦略爆撃機B29

平成15年度は、増税は絶対に駄目です。それどころか、減税をすべきです。また、給付をするにしても、即効性のある給付の仕方をしなければならないと思います。それとも、アメリカが第二次世界大戦で実施したように、建築・土木関係の人材を急速に育てるようなブログラムを開発するなどということも考えられます。あの戦略爆撃B29の爆撃機と、乗員を急ピッチで育てる戦略ブログラムを実施するなんていかがですか?それにしても、来年1年間は、そのようなこともすぐには効果があがりません。やっぱり、本当は増税すべきではなかったということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年3月20日水曜日

黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」―【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!

黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」

日銀黒田新総裁
日銀の白川方明(まさあき)総裁(63)と2人の副総裁が19日退任し、20日に黒田東彦(はるひこ)次期総裁(68)、岩田規久男次期副総裁(70)ら新体制がスタートする。“黒・岩コンビ”が掲げる「2年間でインフレ目標2%」の実現に必要なマネー投入の額は50兆〜100兆円規模と識者は分析。アベノミクスの「第1の矢」である積極的な金融緩和により、日経平均株価2万円、不動産価格上昇、給料増など、日本経済大復活への道が開けてくる。

「やれることは何でもやる」。黒田氏は国会の所信聴取でこう意気込みを示した。長年にわたり日銀を批判し、金融緩和の重要性を訴えてきた岩田氏も「最高の責任の取り方は辞職すること」と述べ、職を賭してデフレ脱却に取り組む構えだ。

次回の金融政策決定会合は4月3、4日の予定だが、前倒しで臨時会合を開くとの観測もある。新体制は白川体制と何が変わるのか。

日銀は2010年以降、「包括緩和」という複数の金融政策を打ち出してきたが、デフレ脱却はならなかった。その理由について、早大の原田泰教授はこう指摘する。

「“包括”というほど緩和していなかったからだ。マネタリーベース(日銀が供給する通貨)は2割弱しか伸びておらず、他国が2倍、3倍に増やしているときにはまったく足りなかった」


・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

国民のフトコロ具合も変わる。前出の村上氏は著書の『日本人はなぜ貧乏になったか?』(中経出版)で、日銀の政策ミスでデフレが続き、日本人の給料が下がっていると鋭く批判。そして、まともな金融政策が実行され、1ドル=100円の円安となれば「失業率は3%前後まで低下し、給料は平均で年率3・5%以上伸びる。税収の伸びで財政赤字は10年以内で解消される」と分析する。

市場の一部には金融緩和の副作用を懸念する声もあるが、村上氏は「米国は4年間で140兆円の量的緩和を行ったが、2%程度のゆるやかなインフレしか起きていない」と一刀両断する。

「総裁や副総裁が変わっても、日銀プロパーには金融緩和を嫌うDNAが染みついている」(元日銀マン)と、内部の“抵抗”を懸念する声もあるが、強い日本経済を取り戻すには、金融緩和の断行は待ったなしだ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!



上のグラフは各国の賃金上昇を示したものです。ごらんいただければわかるように、日本だけが、プラスでも1%くらい、酷いときには-4%くらいになっています。これってなぜかといえば、日本は過去ずっとデフレだったからです。なぜデフレであったかといえば、日本の生産性とか、国際競争力などとは全く無関係に、一重に日銀が金融引き締め政策を、政府が緊縮財政をしてきたからです。他の事柄は副次的なことにすぎません。新自由主義の経済学者など、様々な屁理屈をこねたりしますが、そんなことは全く関係ありません。

韓国の場合は1997年にかなり、伸び率が落ち込んでいますが、これは、アジア通貨危機の影響です。しかし、その後は賃金の伸び率がまたあがっています。

いかに、日本のデフレが凄まじかったかわかります。特に賃金に関しては、日銀の金融引き締めが大きな影響を与えてきました。

他の国と、日本とを良く比較してみてください。他の国でも不況などあったにしても、毎年、数パーセント必ず伸びています。毎年数パーセントであっても、これが、10年、20年と続けばどうなりますか?誰にでも理解できます。20年も続けば、最初の2倍以上にはなると思います。無論インフレが続いているわけですから、インフレ率を差し引いても軽く1.5倍になります。伸び率が多少高ければ、軽く2倍です。

そうして、この意味するところは、同じ会社に勤めていて同じ職位であったとしても、20年働いていれば、それたけで、実質的に1.5倍か運が良ければ2倍になるということです。ということは、職位があがっていけば、もっと上がるというわけです。今までの日本ではデフレだったので、こういうことはなかっので、多くの人がこのような当たり前の状況を理解できないでいます。

会社の中にいて、あまり能力がない人であっても、20年間勤めていれば、給料は1.5倍、運が良ければ、2倍になると認識すれば、随分考え方は違ってきます。能力のある人なら、確実に2倍どころか、数倍になると認識すれば、これまた随分考え方が違ってくると思います。

これって、まるで打ち出の小槌のようですか?そんな馬鹿なと思われますか?もしあなたがそう思うなら、あなたは相当過去のデフレにどっぷりとつかり、まと もにモノが考えられなくなっている恐れがあます。その考えは、放置しておくとそのまま固まり、何というか頑迷固陋な老人のようになり、これらからの世の中 においてきぼりを喰ってしまうかもしれません。 

これは、魔法のようなことですか?そんなことはありません。たとえば、皆さんが、ホテルでドア・ボーイをやっていたとします。20年間やりつづけた ら、さすがに熟練して、ホテルやお客様にとって本当に良いドア・ボーイとなり、賃金もあがると思いませんか?あるいは、ハンバーガーシヨップにつとめてい たとして、20年やったとしたら、それこそかなり熟練して、一人で数人分の仕事をこなせるようになれると思いませんか?そうなれば、シヨップに勤めていら れる限り、賃金が倍になってもおかしくありません。

これは、他の多くの事象にあてはまります。日本人が普通に働いていれ ば、特に努力しなくても、1年も同じ仕事をしていれば、慣れや工夫で、それなりに効率があがると思います。2%くらいは効率が良くなるのは普通だと思いま す。それは、日本経済だって同じことです。普通に、していれば、生産性か、付加価値は2%あがるのが当然のことです。であれば、それにあわせて貨幣も増え ていかなけばどういうことになりるのか、わかりきっています。デフレです。

日銀は、このようなことを無視し続けて、どこまでも、金融引締めを推し進め、日本をデフレの奈落の底に落とし続けてきたのです。このような不自然なことはもう終了です。 では、なぜそのようなことを自信を持っていえるかといえば、まずは以前の日銀政策決定委員会のメンバーを以下にあげます。

政策委員会委員

白川方明
総裁
白川方明
山口廣秀
副総裁
山口廣秀
西村清彦
副総裁
西村清彦
宮尾龍蔵
審議委員
宮尾龍蔵
森本宜久
審議委員
森本宜久
白井さゆり
審議委員
白井さゆり
石田浩二
審議委員
石田浩二
佐藤健裕
審議委員
佐藤健裕
木内登英
審議委員
木内登英

のメンバーで日本の金融政策が決定されてきました。このうち、リフレ派は、2人のみです。あとの7人は、 強烈な反リフレ派です。これでは、いくら二人が頑張ってリフレ方向にもっていこうにも、7人ががんとして譲らなければ、どこまでも、金融引締めをして円高・デフレ傾向が続いたわけです。過去のメンバーもこのようなメンバーが反リフレ派が多く、その中でも、白川氏は、きわめつけでした。そのため、本来ずっと以前に金融緩和をすべきものと、過去20年近くにわたって、そのようなことはなされず、引き締めばかりしてきたというのが実情です。

さて、今回の日銀人事によって、総裁は、黒田氏に、副総裁のうち一人は、岩田規久男(現大学教授)に、もう一人は、日銀出身の中曽宏日銀理事がなります。

中曽氏

交代したメンバーを含めて、次の日銀政策決定委員会のメンバー9人のうち、黒田総裁、岩田副総裁、佐藤健裕審議員、木内登英審議員の4人が強力なリフレ派です。他の5人は、すべて反リフレ派です。ただし、新しい副総裁の中曽氏は、典型的な小心者の官僚タイプで、まわりに追随することはあっても、周りに強力に反対して、反リフレ路線歩むようなタイプではないそうです。

そうなると、強烈なリフレ派4人、強烈な反リフレ派が4人、どっちつかずが1人という構成になります。そうなると、数の上では、リフレ派、反リフレ派が拮抗しています。そうはいいながら、今後は、日銀がいつまでも、まともな金融緩和を行わなければ、安倍総理を含め、政府関係筋から、ことああるごとにねちり、ねちりと攻めたてられるわけで、反リフレ派は針のむしろに座らされることになります。

それに、最近の市場はアベノミクス期待だけで、円安・株高方向に振れているわけで、反リフレ派が突っ張れば、市場が反応して、円高・株安方向にふれるわけで、これは今までとは異なり、市場から反発され、批判の対象となるのは、明らかです。過去のように、20年もデフレを続けて、誰からも非判を受けないなどということはあり得ません。非判どころか、大糾弾されることになるでしょう。

日銀反リフレ派は針のむしろに座らせよう!!
 このようなことに中曽副総裁は耐え切れないことでしょう。しかしながら、中曽氏が、日銀官僚に弱みを握られたり、因果を含められて、反リフレ派にまわったとしたら、どういうことになるかといえば、安倍総裁など徹底的に反リフレ派をいたぶり、完膚なきまでに責め立てると考えられます。

そうして、それでも、反リフレ派が金融引締めを推し進めようとすれば、安倍総裁は、日銀法改正で反リフレ派に対して、とどめを差すことでしょう。日銀法改正でも、反リフレ派がいうこときかず、あくまで、金融引締めに拘りつづけたとたら、まだ、最終兵器があります。そうです、かつて大蔵省、財務省になったように、日銀解体ということになり、日銀は財務省の一下部機関に成り下がることになります。その過程で、かつての大蔵省官僚が「ノーパンしゃぶしゃぶ」で非判されたような、醜聞が聴かれることになります。


こんなことから、今回はどうあがいても、いくら日銀が石にかじりついて、金融引締めを行おうとしても、抗うことはできないでしょう。

多くの人は、上の私の記事に対して「なぜここまでするの?」などと考えるかもしれません。しかし、このくらいの措置が妥当なのです。なぜなら、過去の日銀はどこまでも、どこまでも、金融引締めを貫いており、多少のことではこれを変えるつもりはないからです。それについては、このブログにも、過去に掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。

日銀総裁、インフレ目標に否定的 「現実的でない」―【私の論評】インフレ目標を否定する、白川総裁本音炸裂!!マスコミはその協力者!!


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく、日銀の過去は、あの手この手をつ使って、涙ぐましいまでに、絶対に金融緩和をしないというものでした。最も姑息だと思ったのは、市中銀行から国債を買い取ると、市中銀行にお金がいくので、一見金融化緩和しているようにみえますが、日銀は、ほんとに償還期間がかなり間近にせまっている国債のみを買い取るというようなトリックをしていました。これだと、実質現金をやりとりしているのと同じなのですが、それでいて国債を買い取ることで、あたかも金融緩和をしているように見せかけることができます。

しかし、こんなことは、もう黒田総裁も、安倍総理もわかっていることなので、そんなことは絶対にさせません。今回は、安倍首相も本気です。どこまでも、日銀に金融緩和を迫ることでしょう。

だから、金融緩和は間違いなく実施されることになります。そうなると、インフレ傾向になります。そうなるとどうなるかといえば、物価も、賃金もあがって、上のグラフで示した、日本以外の他国のようになるわけです。

そうして、これからの企業は、今まで、モノが売れないとか、円高とか、いわゆるデフレ圧力に耐えなけばならなかったのが、今度はインフレ圧力に耐えなければならなくなります。

インフレ圧力に関しては、このブログの以前の記事にも掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。

21世紀のナレッジワーカーの常識。「BYOD」と「ワーカー・アプリ」―【私の論評】インフレ圧力が高まるこれからの日本では、ナレッジワーカーの生産性を高めなければならない!!そのためには、独自の条件があり、その条件を満たさなければ何を導入しても生産性は向上できない!!

詳細は上の記事をご覧いただくものとして、以下に要点をコピペさせていただきます。
さて、インフレ圧力とは何かといえば、インフレを引き起こす要因が、インフレに推移するように働きかけていること。その働きかけが大きいことを、インフレ圧力が強い、または高いといいます。具体的には、食料品やエネルギーの価格上昇、自動車の値上げ、ドル安などインフレの兆候を示すあらゆる事象がインフレ圧力になり得ます。また、それらの事象が長期化することもインフレ圧力となります。

インフレ圧力を抑制するためには、金利を引き上げることが有効であると考えられています。また、世界同時不況による景気の停滞により、インフレ圧力は一時的に弱まったといわれており、景気の停滞もインフレ圧力を抑制します。ご存知のように、日本はここ20年間デフレだったので、インフレ圧力はありませんでしたが、今後アベノミクスで物価があがりインフレ基調になっていきます。そうなると、インクフレ圧力が高まるわけです。

そうして上の文脈では、インフレ圧力があるときには、自分たちの会社が提供するサービスも値上げをしなければ相対的に経済的に負けてしまいます。しかし、顧客に値上げしても受け入れられるためには、それなりの付加価値をつけていく必要があります。この付加価値がつけられなければ、経済的に負けてしまうわけで、いつも付加価値をつけなければならないというストレスにさらされることになります。このストレスに打ち勝たなければ、経済的に敗北を喫してしまうのです。

賃金が上がっていくことが当然の時代においては、逆にいえば、このようなインフレ圧力に負けないように生産性をあげ付加価値をつけていく必要があります。賃金が上昇することを理解できない人は、このようなことも理解できず、自分だけデフレマインドで、限界的な存在になっていくのだと思います。時代が変われば、変わった時代に合わせて、自らを変えていかなければ、頑迷固陋になるだけです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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