「年収2000万円未満お断り」のローストビーフ シェフが「日本一高い」理由を激白!
「年収2000万円超の違いがわかる皆様へ」。熊本市のレストランがこんなキャッチフレーズで、「日本一高い」という「最高級ローストビーフ」の
販売をネット上で始めた。
つまり「違いがわからない」お客様はお断りだということだ。一体どんな店なのだろうか。
「凡人には理解し難い超高級ローストビーフ」
販売サイトは、2014年12月10日にオープンした。カリフォルニア料理専門店「KAWAZOE」が運営しており、オーナーシェフの写真も出ている。
「貧乏人お断り」「No.1の自信あり」。サイトは、とにかくPRが派手だ。注意事項として、前もって次のような断り書きが書かれている。
「当サイトでは、凡人には理解し難い超高級ローストビーフを提供しているため、年収が2000万円以上あるような経済的・精神的に裕福な方を対象としています。それに満たない貧乏人の方や、当サイトの趣旨にご理解いただけない方は閲覧・ご利用をご遠慮くださいますようお願い致します」
ローストビーフには、熊本県・阿蘇産の赤牛を使っており、化学調味料や添加物を一切使わず、注文から24時間かけてじっくり作るという。値段の方は、サーロインローストビーフが、500グラムで3万3480円、1キロなら5万6160円、2キロなら9万9360円、と超高額だ。
貧乏人お断りの理由については、「化学調味料や添加物等で、舌の感覚が麻痺している」、「値段だけでしか物の価値をはかれず、作り手の情熱を軽視する」、「見当違いなクレームを言ってきそう」という3点を挙げた。そのうえで、「私は日本一命懸けで料理に向き合っています。その覚悟と情熱をご理解いただける方とのみ、お付き合いしていきたいと考えています」と言っている。
こうした派手なPR方法は、ネット上で話題になり、その意図について様々な憶測が出ている。
熊本・赤牛のPR狙ったものの、まだ売れず
「店にも客を選ぶ権利はあるわな」「これはうまい作戦だ」と、理解を示す声はある。しかし、「炎上商法かよ」「なんか商材売ってるサイトみたい」「企業イメージが悪くなるだけと思うんだけど」などと、疑問や批判の方が多い。
では、いったいどんな意図で、このようなPRをしたのだろうか。
この店のオーナーシェフをしている川添賀一さん(44)は、取材に対し、次のように告白した。
「熊本の赤牛は、生産が少ないので、宣伝して地元に貢献しようと思いました。そこで、値段はいくらにしようかと考え、『そうだ、神戸牛や松阪牛より高くしよう!』と思い付きました。とてもおいしい赤牛で、ローストビーフにぴったりと絶対的な自信があったからです。そして、その値段を付けましたが、まったく売れませんでした。おいしくなかったからではなく、値段が高かったからでしょう。では、これを食べられる人たちはどのくらいの年収かと考えて、2000万円なら余裕で食べられると考えて、宣伝する名目でサイトを作りました」
そうした狙いのため、2000万円以上でないとダメなわけではないという。そのよさが分かるなら、どんな所得階層の人にも食べてもらって構わないそうだ。店では、1000円のランチなどを出し、だれでも歓迎しており、ローストビーフは時間がかかって店では出せないため、ネットだけで売っているとしている。
サイトの宣伝効果については、12月12日昼過ぎまでにネット通販業者から試食用に1回注文があっただけで、まったく売れていないと明かした。電話やメールは、2日間で20件ほどあったが、「マイナス12個くれ」といったイタズラばかりだといい、「日本人の道徳観はこれだけ落ちたかと、不愉快でした」と漏らしていた。
【私の論評】アベノミクスが信任された今、この企画、これが成功するかしないかは、別にして新たな時代の先鞭をつけるものになるかもしれない(゚д゚)!
このサイト『Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理』と銘打っていながら、ここ数年ほとんどレストランの話題など提供していませんでした。サイトの開設当時は、レストランの運営など担当していましたから、その話題も提供していましたが、最近でもっぱら時事問題ばかり掲載してきました。
本日は、久しぶりにレストランの話題を提供させていただこうと思います。そのなこともあり、上の記事を掲載させていただきました。
さて、実際に、上記の記事にある、サイトを訪問してみました。実際訪問してみたところ、この上の記事に掲載されていた写真は、以下のように変わっていました。
「年収2000万超の違いのわかる皆へ」、「貧乏人お断り」という文言が消えていました。やはり、ここまで掲載すると露骨だし、さらに批判があったり、からかいもあったため、消したのだと思います。
そもそも、この販売の仕方には、二つ程疑問があります。
まず、第一に、やはりこのようなキャッチをつけるのは、誤りであったと思います。お店でも、通販でも、無論ターゲットは想定はしますが、だからといって、自分たちが提供したいターゲットをあからさまに、明示して、それ以外はお断りなどとするのは、販売する側の奢りであり、とんでもないことだと思います。
無論、ターゲットを設定して、そのターゲットに向けて、そのターゲットに対して
ベネフィットを想定ししてそれに対して、解決案(ソリューション)を提供するのは当然のことではありますが、こうした想定は、あたることもありますが、外れることもあります。外れたときには、修正しながら販売するというのが普通です。
そうして、経営学の大家のドラッカー氏は、予期せぬ顧客を見逃さないことや、購入しない顧客の動向にも目を配るべきと提唱しています。
私も、そうすべきものと思います。確かに、これだけ高い食料品であれば、顧客は高所得層に限られるかもしれません。しかし、そうではない顧客も存在するかもしれません。
たとえば、普段はこのような高価なものを口にしない人でも、肉食好きで本当に美味しいローストビーフを食べたいと思っている人が、病気を患って余命1年などと、宣告されたとしたら、まだ元気で味覚がおかしくならないうちに、食べてみようと思うかもしれません。
あるいは、食育などに興味のある人たちの集まりがあったとして、その人達が本当に美味しいローストビーフを自分や自分たちの子供に食育の一環として、このようなものを食べさせてみたいと考えるかもしれません。そうして、大勢の人々が集まって、一切れずつでも試食の機会をつくろうとするかもしれません。大勢で注文すれば、個々人の負担は少なくてもすみます。
上記は、思いつきで掲載してみたのですが、他にも予期せぬ顧客が存在するかもしれません。こうした顧客を発見した場合、そうした顧客層を開拓するなどということも十分考えられます。
それと、ドラッカーの提唱するように、購入しない顧客層についても十分目を配るべきです。ドラッカー氏は、デパートの衰退の原因の一つとして、デパートで購入しない顧客の動向を見なかったことをあげています。
デパートの多くは、デパートで購入する顧客にばかり注目して、それ以外の顧客をみることをしなかったため、多くの顧客が、ショッピングセンターや、モールで購入するようになった理由を知ることなく、ますます減少する顧客の情報ばかり集め、その人々に対する研究をして品揃えなどするようになったため衰退するに至ったと警告していました。
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消費税見送りと、アベノミクスで日本のデフレからの脱却も近い? |
このような高給ローストビーフも、購入する顧客以外の情報にを気を配るべきと思います。現状では、安倍総理が主張しておられたように、「アベノミクスの信任」を得るための選挙でもあり、ご存知のように与党は、衆議院選挙で大勝したため、これから景気が良くなる可能性は十分にあります。
これから、このような高いローストビーフを購入する顧客以外も、飲食にももっとお金をかけるようになる可能性が高いです。そうなると、いままではこのようなものを購入しなかった高所得層も抵抗なく購入するようになるかもしれません。
その意味では、今の時期にこのような商品を売り出すことは、少しタイミングが早かったかもしれませんが、かといって時代の趨勢から全く離れているということもなく、先鞭をつけるという意味で決して悪くないタイミングだったと思います。
しかし、このレストランのシェフは、そこまでは考えていなかったと思います。そこまで、考えを巡らせていれば、もっと良い販売方法を企画できたと思います。
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ローストビーフ・サンドは欧米では保存食料の使い回し |
それと、もう一つ疑問に感じたことがあります。それは、通信販売での提供ということです。このブログでも、ブログを創設したばかりの頃は、レストランの話題も掲載しており、ローストビーフのことも話題にあげていました。そのため、私自身もローストビーフという食べ物については、多少は知識があります。
その多少の知識の範囲でも、ローストビーフはどのタイミングでいただくと最も美味しいかはわかります。そのタイミングとは、やはり焼きあがった直後、オーブンから取り出し、数十分程度も冷まして、ほんのりあたたかみが残っているものを切り分けた直後が最も美味しいです。
欧米などでは、家庭で、ローストビーフをつくると焼きあがって、冷ました直後のものをその夜に食べられる分だけ切って、より分けて、残りは冷蔵庫などに格納して、保存食料として使います。この保存食料としての、ローストビーフを出来たてのものと区別して、コールド・ローストビーフという場合もあります。
大体一週間程度で、使いきります。食べ方としては、いろいろあります。それこそ、薄く切って、フライパンでさっと火を通して、それこそビーフステーキのようにして食べるとか、あるいは、サンドイッチにするとか、いろいろ使い回しをします。ローストビーフ・サンドは、あくまでこのコールド・ローストビーフを用いるものであり、これをつくるためにロースト・ビーフを料理するということはありません。
コールド・ローストビーフと、ローストビーフでは、味に雲泥の差があります。やはり、出来たてのものが本当に美味しいです。日本の家庭では、ローストビーフを焼くという習慣はほとんどありません。結婚式の披露宴などの祝い事にも、コールド・ローストビーフが出されることもありますが、まずは出来たてのローストビーフが出されることはほとんどありません。スーパーなどで、販売されるのもコールド・ローストビーフです。
少し前置きが長くなってしまいましたが、通信販売で販売するとすれば、無論コールド・ローストビーフになると思います。しかし、これでは、本来のローストビーフの美味しさを提供することはできません。ここがもう一つの疑問なのです。
せっかく、最高の品質の材料を用い、時間もたっぷり使い、最高のロースト・ビーフを作っているにもかかわず、それを通販で販売するということに非常に疑問を感じるのです。先に、コールド・ローストビーフは、出来たてと比較すると格段に味が落ちるということを掲載しました。
このサイトを運営しているレストランのシェフもそのことは知っていると思います。おそらく、ある程度のグレードの肉を使ってローストビーフの焼きたてを提供すれば、さほど高い肉ではなくても、かなり高級な肉を使ったコールド・ローストビーフよりはるかに美味しいと思います。
このシェフは、コールド・ローストビーフでもかなり美味しいものを提供しているのでしょうか。それにしても、そのあたりはサイトを見ても、何も説明されていません。このあたりが非常に疑問です。
このロースト・ビーフが売れない理由はこのあたりにも原因があるのではないでしょうか。
おそらく、日本人はあまり出来たてのローストビーフを食べたことのある人は意外と少ないかもしれません。ただし、出来たての近い味を提供するレストランもあります。それは、保温装置のついたワゴンにローストビーフの固まりを入れて、焼きたて直後の状態を保存し、顧客のテーブルの近くまで行って、その場で顧客に切り分けて提供する方式です。
言葉で説明すると長くなってしまうので、下に写真を掲載します。下の写真は、保温装置のついたワゴンの上で、ローストビーフを切り分けている写真です。このワゴン、蓋をすることができます。中に保温装置がついており、オーブンで焼きあがったばかりのものをこのワゴンの中に格納し、お客様のテーブルの近くまで持って行き、その場で切り分けてお客様に提供します。
その場で切り分けるため、本当に焼きたてのものをすぐ食べるのと近い味を提供できます。ローストビーフは長時間ロースト(蒸し焼)してあるため、脂分がかなり落ちていますので、かなり食べやすく、細身の女性でも2キロくらいなら、楽に召し上がることができます。
私自身は、ローストビーフは、焼きたてを冷まして、食べごろになったのが最高に美味しいと思います。どんなに良い材料をかけて、手間暇かけて調理したとしても、コールド・ローストビーフでは、味の良さが半減してしまいます。
だから、通信販売には疑問符がつくのです。いくら美味しいものでも、コールド・ローストビーフの通信販売では、自宅で焼いたものよりは、格段に劣ると思うのです。
これからの季節、ローストビーフを調理したり、召し上がったりする機会も多いと思います。ある程度グレードの高い肉を用意し、自宅で焼けば、この通信販売のような高価のものと同等かそれ以上の味のものを召し上がることができると思います。
以下に、このブログに過去に掲載したローストビーフの作り方の記事のURLを掲載します。
簡単なローストビーフの作り方
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で簡単にできるローストビーフのレシピを掲載しました。これからの季節、自宅でローストビーフを焼けば、経費も低く押さえられますし、何よりも良いご馳走になると思います。1~2回くらい、安い肉で実戦してみれば、要領がわかり、誰にでも簡単にできます。是非挑戦して見て下さい。
少し話が脱線しましたが、本日紹介した、超高価なローストビーフの通信販売、少し前まではデフレで景気が落ち込んでいたので、とても考えられないような企画でしたが、今回の選挙をでは与党が大勝利10%増税もスキップされ、おそらく8%:増税による経済対策もなされると思います。
そうなると、本格的に景気が良くなることもが十分予想できます。そうなれば、今回紹介したような、超高価なローストビーフの販売企画なども珍しいものではなくなるかもしれません。
そのようになる前から、もっと飲食にお金をかけるようになる人が大勢出てくるようになると思います。そうなれば、ここまで高価なローストビーフでなくとも、上で紹介したようなワゴンサービスをさらに拡張したようなサービスも成り立つようになるかもしれません。
欧米では、かなり大きなスチームオーブンがあり、一度に数十羽の鶏や、数十個もの牛肉をローストし、ローストした後は、スチームオーブンで、温蔵できるような巨大オーブンがあり、来店したお客様に、いつも出来たてのものを提供できるようにしているレストランなども存在します。
ものの値段など、原材料や、人件費を安く抑えることができれば、いくらでも安くできます。本日このブログで、紹介した高価なローストビーフも、現在の枠組みの中で考えているから高価でないと提供できないですが、その前提を、これと同じような品質の肉牛を大量に飼育できて、原材料として安価に提供できるようにしたり、調理も大量に一度にできるようにして、自動化すれば、かなり低価格にすることも可能になると思います。
10年もかけて、これに取り組めば、同品質のしかも出来たてのものをお客様に従来の半分とか、1/10で提供できるかもしれません.
そうなると、2000万以上の年収の人でなく、もっと多くの人々に保存食品のコールド・ローストビーフではなく、出来たてのローストビーフを提供できるようになるかもしれません。
最近では、熟成肉などいまさらのように人気ですが、欧米では高級レストランでは熟成肉を出すのがあたり前でした。そうして、コールドではないローストビーフ、無論熟成肉のローストビーフなど、味わった人は、日本では意外と少ないです。
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日本でも美味しいローストビーフを手軽にいただける時代は来るか? |
そのようなものを提供できるようになれば、全く新しい需要を呼び起こすことができるかもしれません。そうして、新たな市場を創りだすことができるかもしれません。
しかし、このようなことを実現するための、大きな条件があります。それは、少なくともデフレではない状況です。デフレであれば、人々は飲食に新しさを求めるのでなく、美味しさの中にも、節約を求めます。
そのような時代には、今回この記事の冒頭で紹介したような、超高価なローストビーフが売れて、事業になるということはなかなか考えられません。しかし、デフレから脱却できれば、このような超高価なものも売れるようになるでしょうし、上で私が述べたようなこともできるようになる可能性も高くなります。
そうして、今回の安倍総理の大勝利によって、アベノミクスは国民の信任を得ました、安倍総理が8%増税による経済の悪化に対して手を打ち、必要ならばさらに金融緩和を行うことなどによって、日本はデフレから脱却するどころか、成長軌道に乗る可能性も十分あります。
そうなれば、上で述べたような新たなチャレンジもまた可能になることでしょう。そんなときには、上の超高価なロースト・ビーフの企画なども、目立つものではなくなることになるでしょう。その意味では、
この企画、これが成功するかしないかは、別にして新たな時代の先鞭をつけるものになるかもしれません。
それにしても、このような試みがなかなかてきなかったのが、デフレの時代です。デフレから脱却できれば、飲食の分野でも、このような新たな試みがどんどんなされるようになり、皆さんの選択肢も増え、財布の紐も緩むというものです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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