「大阪維新の会」の代表者、橋下徹大阪市長が国政進出について、初めて否定的な見解を述べた。これに動揺するのは、同会が運営する「維新の会政治塾」の塾生たちだ。高い学費を支払ったのは国政の場に自分の人生を賭けるため。橋下氏の変節で、2000人が路頭に迷うのか?
「報道を見てびっくりしました。これではしごを外されでもしたら…」
30歳代の塾生の一人はこう話す。国政進出は前向きに考えていただけに、もし本当ならショックは大きい。それもそのはずで、5月の終わりに大阪市内で開催された維新政治塾。チューターを務める同会派の大阪府議、市議らが「(選挙費用として)1000万円以上は用意できないといけない。今後のことについては、何も聞かされていないけど」と話していたのだという。
現在の「橋下チルドレン」たちは約2000人。それが選考を経て、1000人弱に絞り込まれ、今週中には各塾生のところに合格の通知が届くようになっている。そして23日に入塾式が行われ、石原慎太郎都知事が講義をすることも決まっている。もしも、撤退ならばまるで途中で道を絶たれてしまった感がある。
参加者たちの中には、30歳代のエリート層も数多く、それなりの資質を備えている上に、収入レベルもソコソコあるということで、維新の会の弱点の一つである、「資金面」を補うことができるとも見られていた。
一人あたりで年間で約12万円、全体では2億円以上という高い学費を集めている以上は、このままということは、通常は考えられない。
【私の論評】橋下氏がすみやかに国政選挙に出で、勝利を収める方法が一つだけある!!
橋下市長は、維新の会を結成後も、塾生を集める前までには、何回か「自分は国政にはでない」ということを何回か明言していました。しかし、塾生を集めてからの発言は、今回が初めてです。そうして今回の発言、私自身は正しいものと考えます。なぜなら、このブログにも過去に何回か掲載してきたように、橋下氏は、未だ国政には疎く、今後短くて5年、長ければ10年くらいは、市長をしながら、国政を真剣に学ぶことがあると思うからです。
国政は、地方政治と比較すれば、かなり難しく、経済一つとっても、マクロ的見方ができなければ、現在の民主・自民・公明の実務者会談のごとく、デフレの最中での増税に関して何の疑問ももたず、増税することを前提とした頓珍漢な論議をするなどという馬鹿真似をして、税率をあげても、税収は増えないどころか、さらにデフレスパイラルに日本をはめ込むということになるこに、全く思いも浮かばないということにもなりかねません。
さらに、安全保障・外交となれば、地方政治の首長の力量では、度し難いことが山積しています。これは、何も、地方政治の首長が簡単などと言っているわけではありません。地方政治にも、難題がたくさんありそれなり難しさはあります。しかし、国政と比較すれば、そもそも、規模が違いますし、考慮しなければならないことは、はるかに多いということです。
それに、目の前に、民主党という事例もあります。彼らは、国政に直接タッチはしてこなかったものの、野党として何年かやってきたはずだし、それに、過去に自民党等の政治家であった人も大勢います。にもかかわらず、あの体たらくです。このようなことを考えると、橋下氏が、国政に参加するにしても、今のままで参加すれば、民主党の二の舞を舞うだけになると思います。
これに関しては、このブログにいくつか書いたことがあるので、本日は、それを以下に引用します。
まずは、過去の経済に関しての発言からです。これは、2009年6月の発言です。
橋下知事が民主の方針転換批判 「赤字国債発行なら大うそつき」-民主党ブーメラン効果で八つ裂きになるか?
政府が赤字国債を増発する方針を固めたことを受けて、大阪府の橋下徹知事は6日、「民主党政権の根幹を揺るがすような方針転換だ」と批判し「金が足りないなら赤字国債ではなく、増税議論を進めないといけない」との見解を示した。橋下氏が、マクロ経済に関してあまり知識がないことは、この発言でも良く理解できました。まずは、デフレという認識がほとんどありません。デフレの最中の増税など、古今東西どこの国でも成功したためしはありません。それに、確かに、民主党は、従来「赤字国債」は刷らないということを名言してきたのですが、この当時でも、そうして現状でも、国債を刷って、公共工事などをやったほうが良いということには変わりありません。この理屈に関しては、本日は、本題ではないので、その理由など知りたい方は、当該ブログなどを読んでいただければ、幸いです。
その後、折に触れて、橋下氏の地方政治の首長としては活躍されていたのですが、やはり、国政音痴的な発言がたびたびありました。そうして、極めつけは、あの維新八策です。これについても、以前このブログで掲載したので、これも以下に要点だけコピペしておきます。
橋下バブルに踊る懲りない“シロアリ”たち―【私の論評】潰し屋に惑わされることなく、今は国家についての認識を高めて自分自身を信じるべき!!
維新八策は、企業であれば、設立趣意書のようなものだと思います。設立趣意書が、長期経営戦略のようであっては良いはずがありません。であれば、あんなに書き連ねるのは間違いだと思います。本来はどんな会派なのかはっきりさせ、さらに、結局何をやりたいのかはっきりさせるだけで良いのであり、そのやり方まで細かく書き連ねることは間違いです。こんなことからも、橋下さんには、今は良いブレーンがついていないことをうかがわせます。
そうして、なぜ、上のように細かなことまで書いてしまうのかといえば、いわゆる、シロアリさんたちなのだとおもいます。このシロアリさんたちの思ったことで、あまり、咀嚼されていないことでも、拙速に入れてしまったのだと思います。ここでは、わざわざ書きませんが、これが、多分このシロアリさん、あれは、多分このシロアリさんと特定できそうな部分さえあります。まずは、大括りで、どのような国にしたいのかを前面に打ち出すだけで良いのであって、そのやり方は、それこそ議論百出で、つめていくというのが正しいやり方だと思います。
維新八策に関しては、あまりに出し方が、拙速であり、粗暴でさえあったと思います。維新八策そのものについては、本日の本題ではないので、詳細をお知りになりたい方は、是非当該ブログを読んでいたたげれば、幸いです。
それに、このブログには掲載しなかったのですが、ベーシックインカムについても、酷い穴があったことが明らかになっています。私自身は、このような重箱の隅をつつくつもりはないのですが、実際維新八策には、このような細かいことまで、記載されいて、全部を検証することなど不可能ですが、それにしても、これは、あまりに酷いほころびなので、敢えて掲載しておまきます。これは、あまりくだくだしく、書くよりも、下にこれを指摘している動画を掲載します。
結局、民主党のマニフェストよりも、さらに細かく政治家ではなく、まるで、木っ端役人が書いたものをあまり検証もせずに、維新細かいことまで記載し自らの手足を縛るようなことをしてしまっています。
これは、要するに、維新の会に結集している人たちの、ベクトルが一致していないため、様々な立場の人の意見をそのまま反映して作成したため、このようなことになっているのだと思います。やはり、国政に対する考え方が、大枠では一致していなければ、選挙互助会である、自民党や、民主党と同じ、いや、自民党の焼きなおしでしかない分劣化している民主党よりも、まだ酷い選挙互助会組織になってしまうと思います。
こういうことを認識しているからこそ、橋下氏は、国政進出について、塾生を集めた後で、初めて否定的な見解を述べたのだと思います。しかし、このようなことに気づくだけ、既存の政治家などよりはるかにまともだと思います。やはり、他の政治家などと異なるということであり、優秀だと思います。松下政経塾出身のボンクラ政治家などとは違います。
松下政経塾塾生 |
それは、現状の民主党、自民党、公明党が、規定路線のように進める増税を粉砕することです。そうして、デフレ克服のみを短期間で実現することを公約に掲げて、選挙に挑み、実際にそれを達成してみせることです。
そうして、それは、意外に簡単に実現できると思います。やることは、大まかにいえば、まずは、増税の棚上げです。そうして、あのノーベル経済学賞を受賞した経済学者ポール・クルーグマン氏が日本に対して提唱するように、マクロ経済的に完璧に誤った、経済・金融政策を根本的に改めて、当面政府の大規模な財政出動を行い、日銀法を改正して、日銀が、金融政策を決めるのではなく、あくまでも、政府が決定し、その決定方針に従って、金融専門家の立場から、その政策のやり方を定めるという、中央銀行の本来の役割を果たすようにさせるということです。そうして、当面は、インフレ目処1%ではなく、インフレターゲットを4%以上にするということです。
ポール・クルーグマン氏 |
これを短期で実施するにしても、5年くらいかかると思います。当面は、このことだけ、やれば良いのです。であれば、今の橋下氏にもできる可能性が十分あります。橋下さん、これに近いことは、過去にもやってきたと思います。そうです。古い不合理で、非常識な慣行を破ることです。デフレ退治自体は、やるべきことは決まっています。そんなに難しいことではありません。ただし、守旧派を徹底的に粉砕する必要があります。これは、橋下氏の得意とするところであり、今の日本では、独壇場といっても良いくらいです。そうして、これを実現しつつ、国政に関して、勉強を重ね。次の選挙のときには、まともに国政が担えるように、橋下氏も成長し、維新の会も成長し、ベクトルが一致するようにもっていくのです。
私は、たとえ今回、増税法案が通ったとしても、それを廃棄するということを選挙公約として、実施すべきと思います。そうして、選挙のときのスローガンは、小泉さんの「郵政改革」、民主党の「政権交代」のようなワンワードポリシーで、「デフレ退治」とすべきと思います。ただし、日本は、財政破綻する可能性がほんどないこと、当面増税などすることは間違いであり、とにかく、デフレ克服が緊急の課題であることを強力に打ち出すべきです。これに反対する人は、いるかもしれませんが、それは、ほんの少数の偏屈者くらいしかいないでしょう。
こうすることによって、かなり有利に戦えると思いますし、本当にデフレを退治すれば、それだけで、それこそ、昭和恐慌のときのデフレ退治をした高橋是清のように、橋下さんの名前は、歴史に残ることと思います。後は、デフレを克服した日本が、どれだけ、経済でけではなく、社会も含めて、多面的に成長・進化できるかが課題になると思います。
ただし、デフレを克服すれば、何もかもすべてがよくなるなどとは、最初から言うつもりはありません。しかし、現実的に、言っても、デフレのままだ、到底不可能なことが10ほどあったとして、少なくとも、そのうちの5つや、6つは、間違いなくできるようになります。というより、それができる条件が整います。そうして、橋下さん、デフレを克服できたら、次にこれをやれば、長期政権も夢ではなくなります。
ともかく、デフレの現状をそのまま放置しておいて、他のことをいくら一生懸命にやったとしても、結局モグラ叩きになるだけです。何かを良くしたら、何かが悪くなる、悪くなったので、これを良くすれば、他が駄目になるという具合でなんらの解決策にもなりません。ましてや、増税などすれば、過去の増税でもわかるように、税収がますます減り、だからといって、また増税すれば、増税スパイラルにはまり、いつまでたっても、デフレから脱却できないことになります。
そうして、残念ながら、今の日本には、これができる人は、橋下さんくらいしかいないです。小沢氏もできるかもしれませんが、橋下さんに比較すれば、今の段階では、様々な面から格段に劣ると思います。第一、大多数の国民が支持するとはとても思えません。
さて、皆さんは、どう思われますか?