2015年4月7日火曜日

上西氏「エモーショナルな処分」と除名の維新を批判 騒動後初の本会議出席 議員続行を強調―【私の論評】三馬鹿元首相のいる日本では、上西議員のように筋を通して、けじめをつけらない人が出るのは必然か!これを阻止するため歴史を語り継いでいこう(゚д゚)!


衆院本会議を終え、記者団の質問に答える無所属の上西小百合氏=7日午後

国会病欠前後の行動などに問題があったとして維新の党を除名された上西小百合衆院議員(比例近畿)は7日、「エモーショナル(感情的)な感じで処分となったことは残念だ」と述べ、維新の対応を批判した。除名後、無所属として初めて出席した衆院本会議後に、国会内で記者団に答えた。

上西氏は「事実と異なる報道が連日なされていた。(3日夜の)3時間の記者会見でできる限り誤解を解くように努めたが、かなわなかった」と述べた。維新が求める議員辞職については「法律で議員を継続することが認められている以上、国民の声を国政に届けると選挙時に約束したことを貫いていきたい」と議員活動の続行に重ねて意欲を示した。

ただ、記者団に「維新の比例で復活当選したが、維新の議員でなくなったのに議員でいる正当性はどこにあるのか」と問われ、答えに窮する場面もあった。

【私の論評】三馬鹿元首相のいる日本では、上西議員のように筋を通し、けじめをつけない人が出るのは必然!歴史を語り継ぎこれを阻止しよう(゚д゚)!

上の記事の「エモーショナル」という言葉遣いには、驚かされました。日本語でいえば、「感情的」ということですが、今回の処分は、「感情的」なものではないと思います。私自身は、社会一般通年に照らして、国会議員の規範から照らして、非常によろしくない行いをしたということであり、国会議員としての「筋を通さなかった」あるいは、「けじめのなさ」ということが、問題視されたのであり、決して「感情的」なものではないと思います。

このことについては、すでに以前このブログでも掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
上西議員を除名処分、大阪維新の会 「あんな議員につきあって1時まで…」橋下氏陳謝―【私の論評】国立大が入学式に国旗掲揚も国歌斉唱もしないという「けじめ」の欠如した社会が、「モンスター」を生み出した?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、石橋湛山氏が総理大臣だったとき、予算の審議にどうしても出席できなかったため、総理大臣を辞職したことを例にあげました。そうして、予算の審議はそれだけ重要な事であること、この重要な会議にどうしても出席できなかった石橋湛山氏が、首相の座を辞するということで、筋を通してけじめをつけたことを掲載しました。

しかし、現在の社会は、たとえば国立大学であるにもかかわらず、入学式に国旗を掲揚しないとか、国歌を斉唱しないという、「けじめ」なく、「筋」も通さないという風潮があり、こうした社会の有り様が、国会議員でありながらそれが欠如した上西議員のような「モンスター」を生み出しているのだかもしれないということを掲載しました。そうして、まさに、上西議員は、私達の社会をうつしだしている鏡なのかもしれないということを掲載しました。



社会や、組織には、序列や規範が存在します。これらは、昔と比較すると、緩くはなっていますが、厳然として存在します。特に、社会や組織には、やってはいけないこと、すなわち「禁忌」というものが、あります。

国会議員は、今では芸能人がなったりするので、多くの人があまり意識しなくなりましたが、当選序列としては高い地位にありますし、それだけ規範も一般の人よりも高いところまで要求され、そうして厳しいです。

上西氏は、これをはっきりと破ってしまったわけです。ことの重大性に上西氏は全く気づいていないのです。そもそも、政治家としての、「筋」を通したり、「けじめ」をつけることができなかった場合、それなりの償いを自らできれば、今回のような処分はなかったかもしれません。

というより、そもそも、最初から「筋」を通して、「けじめ」をつけて、予算審議に無理をしてでも出るべきでした。そうすれば、後は旅行に行こうが、何をしようが、許容されたのです。

上西氏とその秘書については、「筋を通す」とか、「けじめ」ということに関しては、もともとかなり全く無頓着であると思います。以下の動画をご覧下さい。


この記者会見で、小西氏の秘書は、上の動画でもわかるように、まるでゲームをしているかのように、スマホをいじくりまわしています。何やら、信じられない光景です。たとえ、ゲームをしていなかったにしても、これは不味いでしょう。全く礼儀を欠いています。通常、記者会見のときにこのような馬鹿真似はすべきではありません。

当たり前のことですが、橋下氏はもとより、集まった取材陣に対しても、礼儀としてスマホをいじくりまわすなどということはすべきではありません。普通は、このようなことはしません。このような振る舞いをすべきでないことは、普通の大人なら誰もが理解できることと思います。

どうしても必要なら、会見が終わってからにしても、特段問題はないはずです。にもかかわらず、この秘書は他の人々の目も氣にすることもなく、臆することもなく、堂々とスマホをいじくり回し、この行動に関して、小西氏も気づいているようなのですが、注意するでもなしで、本当に見苦しいものだったと思います。

このような会見で、スマホをいじくり回すような人は、政治家の秘書として、そもそも不適切です。本来、政治家として議員に対して「筋を通す」とか「けじめ」についてアドバイスできるくらいの人でなければ、勤まらないと思います。


それにしても、先に述べたように、国立大学でありながら、入学式に国旗も掲揚しない、国歌も斉唱しないということもあり、こうした風潮が上西議員のような振る舞いをする議員を生み出している土壌にもなっているのだと思います。

そうして、このような風潮は以下の事例でますますはっきりすると思います。
「首相の肩書なくてもよかった。たまたまなったからつきまとっている」…村山・鳩山・菅…困った元首相トリオのおかげで日本中が混乱?
村山、鳩山、菅の三元首相

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要約を掲載しておきます。
 村山富市、鳩山由紀夫、菅直人の3元首相が、メディアやブログを通じて自由な言動を繰り広げている。3人に共通するのは、安倍晋三政権は「許せない」ということだが、日本国内が混乱している印象を国外に与えかねないものばかりで、元首相の肩書を外したいという者まで出るありさまだ。 
 村山氏は、香港フェニックステレビが3日までに行ったインタビューで、9月3日に北京で行われる中国の「抗日戦争勝利70周年」記念式典に出席する意向を示した。 
 鳩山氏は、政府の沖縄政策の最大の障壁となっている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設をめぐり、3月28日の東京・MXテレビ番組で「最低でも県外と言ったが、県外でなくて国外に求めるしか回答はない」と述べ、とうとう「県外」さえも否定した。別のインタビューではは「私が動くと何でも国益に反するとなる。首相なんていう肩書は、もともとなくてもよかった。たまたまなってしまったから肩書がつきまとっている。もっと自由に動きたい」とも語っていた。 
 菅直人氏は、安倍首相に近い中西輝政京都大名誉教授の論文にかみついた。
中西氏は月刊誌「Voice」(PHP)4月号に掲載した論文で「反原発」運動について「人びとの不安に乗じて原発アレルギーを高める半面、わが国が置かれた深刻なエネルギー・電力不足の危機には目をつぶる、これはまさに『反日本』運動といってよい」と批判した。 
 菅氏は3月12日付のブログでこう反論した。 
 「原発ゼロを実現しようとしているドイツのメルケル首相は『反ドイツ』ということになるのか。あまりにも非論理的で、学者の論文とも思えない」 
 今月3日付のブログは「安倍体制翼賛政治」との題で安倍政権を批判した。

ちなみに菅氏は、副総理時代の22年3月の国会答弁で「議会制民主主義とは期限を区切ったあるレベルの独裁を認めることだ」と述べ、衆院選後に首相指名された人物に次の衆院選まで「独裁」を認めるという内容の発言をしていた。
このようなどうしようもな、元総理大臣が三人もいるわけです。この三人はいずれも、石橋湛山氏のように、「筋」を通して、「けじめ」をつけるということとは、無縁のようです。

今の日本社会は、ともかく、このような元首相トリオを誕生させてしまったような社会です。こんな社会では、上西氏のような議員が出てくるのは、必然と行っても良いのかもしれません。


しかし、私はここではっきりといいたいです。右や左、上や下などどうでも良いから、とにかく自分の立場に応じて「筋」を通して、「けじめ」をつけるような人になるべきであると。

どうしても、「筋」を通して「けじめ」をつけられないなら、高い地位につくことはあきらめて、一生人に命令されて作業員でもやっているべきです。

しかし、作業員であったとしても、「筋」を通して「けじめ」をつける人は存在するわけで、そういう人は、多くの人から尊敬されることはあれ、馬鹿にされることはありません。

しかし、高い地位にありながら、「筋」を通して、「けじめ」をつけられない人は、多くの人から馬鹿にされることはあれ、尊敬されることはありません。

それにしても、「筋」を通して、「けじめ」をつけなかった、上西氏を除籍処分にした、維新の党は、何とか「筋」を通して「けじめ」をつけられたと思います。ここで甘い処分をしてしまえば、とんでもないことになったかもしれません。国会議員の規範が一気に緩んでしまったかもしれません。

それにしても、「筋」を通して、「けじめ」をつけられない、三馬鹿首相には誰も処分は下さないのでしょうか?

いや、私達が下そうではありませんか。私達が、歴史の証人となって、次の世代に向かって、「筋」を通して、「けじめ」をつけられない、元首相の存在を後世に語り継いでいこうではありませんか。

実は、日本ではこうしたことがあまり行われていません。過去の歴史が伝えられておらず、先に述べたような、石橋湛山のような素晴らしい首相の行動についても語られませんが、どうしようもなく愚かだった首相や、軍人や、官僚のことなどが語り継がれていません。

このようなことは、歴史の生き証人が語り継がなければ忘れられてしまうのです。後世の人々のために、現在の記憶を忘れることなく、正しく後世の人に伝えていくべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

筋を通し、けじめをつけるということは、どういうことなのか、以下の書籍をご覧いただけれは、お判りいただけるものと思います。

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2015年4月6日月曜日

黒田日銀、異次元の緩和から2年、「2倍、2%」 を批判する前に、もっと勉強しないといけない左派新聞、左派文化人たち―【私の論評】雇用と金融政策の関係を理解しない左派、左翼は百害あって一利なし!そんな輩はすぐにも活動を停止せよ(゚д゚)!

黒田日銀、異次元の緩和から2年、「2倍、2%」 を批判する前に、もっと勉強しないといけない左派新聞、左派文化人たち



2年前の4月4日、黒田日銀総裁は、2年で2倍、2%を目指す異次元緩和を行った。

左派系3新聞の社説がそっくり

この2年間の評価について、4月4日には左派系3新聞が社説を出している。

朝日新聞「黒田緩和2年 拡大続行よりやめ方を」(http://www.asahi.com/articles/DA3S11687276.html

毎日新聞「異次元緩和2年 柔軟な政策へ転換を」(http://mainichi.jp/opinion/news/20150404k0000m070099000c.html

東京新聞「異次元緩和2年 目標未達の説明果たせ」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015040402000156.html

いずれも似ている。円安を罪悪視し、インフレ目標が達成できないことや日銀が国債を買うリスクを問題視している。そして、左派系であるにもかかわらず、雇用の改善はまったく無視している。さらに、消費増税の影響も無視だ。

かつて、東京新聞は金融政策や消費税ではいい社説もあったが、今や朝日新聞や毎日新聞の補完で、安倍総理の行うこと、アベノミクス憎しなのだろうか。

異次元緩和の正確な表現は、つぎのとおりである(http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。

2年で2倍なのはマネタリーベースの拡大であり、2%は「2年程度の期間を念頭に置いて」という程度の話だ。

異次元緩和反対派の予想は完全にはずれ

そもそもインフレ目標は「ガチガチ」のルールではない。かといって「ユルユル」の裁量的なものでもない。バーナンキの言を借りれば、ルールと裁量の双方の性格をもつ「制約された裁量」であり、彼は市場とのコミュニケーションツールともいっている。

インフレ目標ではプラスマイナス1%が許容範囲といわれている。先進国のこれまでの実績では、その許容範囲に7割程度収まっておるが、それが達成できない場合には、説明責任を果たさなければいけない。

マスコミの人は、2年で2%のインフレ目標というのを、「2015年4月で消費者物価総合指数対前年同月比2%」と思い込んでいるが、「2015年4月~2016年3月という1年間で消費者物価総合指数対前年同月比1~3%」という程度である。

ともあれ、過去4年間で、異次元緩和の前後2年の経済パフォーマンスをみてみよう。

インフレ率を消費者物価指数総合の対前年同月比でみると、異次元緩和の前にはマイナス基調だった。その後、異次元緩和で上がりだし、消費増税前までは順調に上昇していた。量的緩和がスタートした2013年4月に▲0.7であったが、2014年5月には1.6%まで上昇した。ところが、消費増税に影響で消費が減退し、2015年2月には0.1%まで低下している(消費増税による見かけ上の影響が2.1%として計算)。(図1)



図1 CPI総合(対前年同月比)の推移
日経平均では、異次元緩和の前までは1万円にもならない横ばい傾向だったが、異次元緩和以降、かなりのペースで上昇している。(図2)



図2 日経平均(月末値)の推移
ドル円は、株価と似た動きだ。異次元緩和の前までは1ドル80円程度の円高であったが、異次元緩和以降、円安が進んでいる。(図3)



図3 ドル円(月中平均)の推移
長期金利は、異次元緩和の前まで低下し、もうそれ以上の低下はないと思われていたが、さらに低下を続けている。異次元緩和になったことは、これ以上の低下はないので、逆に金利上昇し、財政破綻もあるという批判が、異次元緩和への反対論者から出されたが、金利は低下し、そうした人たちの予想はまったく外れている。(図4)





図4 10年国債金利(月末)の推移

左派系には雇用が重要なはずなのに…

雇用はどうだろうか。左派系にとって、雇用が重要なはずだ。しかし、異次元緩和を批判したいために、株価は上がるが、人々の暮らしはよくならないという。しかし、その批判は完全にそらしである。

金融政策による雇用の安定化に着目して、いち早く正統性を主張したのは、ヨーロッパの左派である。ヨーロッパの社会民主主義政党の集まりの「欧州社会党」や共産党などの集まりである「欧州左翼党」の主張を調べてもらえればいい。

「欧州社会党」(ヨーロッパの社会民主主義政党の集まり)は、雇用確保のために欧州中央銀行の政策変更を要求していし、金融政策と財政政策が協調して雇用を確保するために、欧州中央銀行を民主的に管理することを求めている。そして、欧州中央銀行の役割として、物価の安定のみならず、雇用の確保も必要とすべきという。

雇用政策を勉強しなければいけない人たち

なお、米国では、FRB(連邦準備制度)の責務として、物価の安定とともに雇用の確保も入っている。米国の大統領選では雇用や失業は、常に大きな争点である。

筆者はマスコミに雇用問題でどこに取材するかと聞く。ほとんどの人は厚労省に取材するという。もし米国だったらどうだろうか、労働省ではなくFRBだ。政府は統計数字を作るだけで、雇用を拡大することができるのはFRBである。

欧米では、金融政策は雇用政策とほぼ同義であるとされている。というのは、短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線と呼ばれ、右肩下がりとなる)があり、犠牲率の概念が広く共有されている。

その上で、就業者数について、異次元緩和の前後2年をみると、明暗がはっきり分かれる。異次元緩和はしかりと雇用を作り出したのだ。(図5)


図5 就業者数(万人)の推移

雇用を新たに作り出したので、その人たちの暮らしはよくなった。賃金が上がらないとか、雇用が非正規とかいうが、失業がなくなったことをまず評価しよう。経済理論が教えることは、失業がなくなるにつれて、賃金は上がりだし、非正規は正規に変わっていくということだ。つまり、金融政策を否定するのではなく、それを評価し、それを継続すればいいわけだ。

株価と半年後の就業者数には相関関係がある

左派系知識人は、すぐに株価は上がるから資産家はいいが庶民は大変だというレトリックを用いる。これはやめたほうがいい。というのは、株価は半年先の就業者数ときわめて相関しているのだ。つまり、株価が上がると半年先の雇用が増えるのだ。(図6)


図6 日経平均(左軸、円)と6月先就業者数(右軸、万人)

断っておくが、これは株価と半年先の就業者数に因果関係があるというわけではない。景気がよくなると、株価はそれを先取りし、就業者数は半年遅れて上がり出すというわけなのだ。

雇用が増えているので、雇用者などの所得の合算ともいえるGDPも増えている。ただし、消費増税以降、GDPは大きく落ちている。GDPの動きは、インフレ率の動きと若干似ているところがあり、ともに消費増税による需要減退の影響を受けて、消費増税後はさえない。(図7)


図7 実質GDP(兆円)の推移

ちなみに、インフレ率については、マネタリーベース(対前年同月比、3ヵ月ラグ)と消費増税(6ヵ月ラグ)でよく説明できる。(図8)


図8 インフレ率(現実と予測値)の推移

むしろ問題は金融政策ではなく、消費増税であった。このように明らかに消費増税の影響があるにもかかわらず、黒田総裁は言わないのは、ちょっと理解に苦しむ。マスコミからそうした質問が出ないのも理解に苦しむ。黒田総裁もマスコミもともに、消費増税の影響が軽微であると間違ったからである。

インフレ率について、まったく目標に達していないというのではないが、今の状況の説明責任をしっかり果たせば自ずと対応策もでてくる。

もし消費増税の影響とはっきり言えば、消費増税の影響を相殺するためには、一番いいのは、消費減税である。財政策の枠内で、消費減税に似たような効果のある対策はいくらでもだせる。おそらく、年後半になれば、減税補正予算などが政治的課題になってくるはずだ。

左派系知識人、マスコミ、政党がもう少し賢ければ、金融政策ではなく、消費増税を攻めるだろう。

安倍政権も金融政策はいいが、消費増税という失敗があった。そうであるにもかかわらず、左派系知識人は財務省のいいなりで財政再建のためには消費増税というまったく間違ったことをいってきた。消費増税は民主党時代に仕組まれたとはいえ、その地雷を踏んだ安倍政権を攻められない今の左派系はまったく情けない。

安倍首相が、政労使会議に乗り込んで、左派政党のお株を奪う賃上げを要請する姿を見て、民主党は悔しくないのだろうか。このままだと、経済政策で安倍政権にはまったく歯が立たないという状態がつづくだろう。

高橋洋一

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】雇用と金融政策の関係を理解しない左派、左翼は百害あって一利なし!そんな輩はすぐにも活動を停止せよ(゚д゚)!

さすが、高橋洋一氏の解説です。過不足なく、現状の経済の内容を伝えています。そのため、上の記事に関しては、私が付け足すようなことは全くありません。しいて、いえば実質賃金の問題もありますが、それはここでは解説しません。しかし、実質賃金の低下したのは、一時のことであり、その原因はやはり消費税増税であることは、あまりにも明らかです。

消費税が上がれば、どう考えてみても、実質賃金が目減りするのは当然のことであるので、高橋洋一氏はわざわざ解説しなかったのだと思います。それにしても、実質賃金の低下は増税のせいではなく、これも金融緩和のせいであるとか、アベノミクスのせいであるとするマスコミや、似非識者が多いのには本当に困りものです。

上の高橋洋一氏の解説における現状の経済の状況は、短くまとめてしまうと、以下のようになると思います。
そもそもインフレ目標は「ガチガチ」のルールではない。かといって「ユルユル」の裁量的なものでもない。これは、ルールと裁量の双方の性格をもつ「制約された裁量」であり市場とのコミュニケーションツールでもある。 
金融政策は雇用政策とほぼ同義であるとされている。短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線と呼ばれ、右肩下がりとなる)があり、犠牲率の概念が広く共有されている。 
消費増税以降、GDPは大きく落ちている。GDPの動きは、インフレ率の動きと若干似ているところがあり、ともに消費増税による需要減退の影響を受けて、消費増税後はさえない。
この三つに関しては、常識的なものであり、特に経済の勉強などしなくても、まともな報道など見ていれば、良く理解できるはずの筋合いのものです。そんなに難しいことはではありません。しかも、高橋氏は上記のように現実の数字をグラフにして解説しています。これは、何も今始まったことではなく、随分前から実施していることです。なのに、左派新聞や、左派文化人たちはこれを理解してないというから驚きです。

特に左派新聞や、左派文化人、左翼が金融政策と雇用政策が密接な関係があり、ほぼ同義とされることを知らないということは、驚きです。それも、今に至るまで理解できないというのは、全くのん驚きです。 ということは、彼らは、雇用問題に関しては全く理解できないし、していないということです。

これについては、随分前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

この記事は、平成12年9月のものです。この時期は、無論のことまだ野田政権の時代でした。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に雇用政策と金融政策との関係について述べた部分のみ以下に抜粋します。
若年層の雇用情勢の改善に向け、野田佳彦首相の肝いりでまとめられた今回の若者雇用戦略。ただし、その内容は全国の大学にハローワークの窓口を設けるなど、既存の政策を拡充するものばかりだ。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「雇用のことって正直、よく分からないんだよね」。今春まで約8年間、東京都内のハローワークで契約職員として勤務していたある女性は、正規職員の上司が何気なく発した言葉に愕然としたことがある。
これは野田政権のときの、野田首相の若者雇用戦略について述べたものですが、野田政権は、金融緩和にはノータッチで、ハローワークなど既存の政策を拡充することばかりで、結局若者雇用も、それ以外の雇用政策もことごとく大失敗していました。全く効き目がありませんでした。

第三次野田内閣の綿々 誰一人金融政策の意味を知らない


それは、そうです、デフレであるにもかかわらず、金融緩和はせずに、ハローワークを強化してたとしても、そもそも雇用枠が少なくなっているのですから、意味はありません。この記事では、ハローワークの契約社員の方が、「雇用のことって正直、よく分からないんだよね」と正規職員の上司が発した言葉に愕然としたとありますが、私は、この上司の正規職員は正直な方だと思います。

さらに、この記事に続けて、私は金融政策と雇用政策に関して以下のような論評を行いました。
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。 
この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。
民主党政権時代の女子就活は聞くも涙、語るも涙の惨憺たるありさまだった
このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。 
日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。 
無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。
それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。
このように、雇用と金融政策との間には密接な関係があり、それは他の先進国では当たり前のことであり、日本だけが特殊であるということはありません。

しかし、未だに上の高橋洋一氏の記事にも掲載されているように、「筆者はマスコミに雇用問題でどこに取材するかと聞く。ほとんどの人は厚労省に取材するという」という具合に、マスコミは未だに雇用というと、日銀は全く関係なく、厚労省の管轄であると思い込んでいるようです。

しかし、先のハローワークの正規職員の上司のように、厚生労働省は、雇用枠を増やすことなどできません。定まった雇用枠の中で、職業の斡旋や、仲介をするだけです。ですから、厚労省に雇用情勢のことを聴いても分からないのが当たり前です。

厚生労働省と雇用情勢との間に直接の関係はない

それにしても、この記事の当時はまだ平成12年であり、野田政権の時代で、金融緩和もされておらず、この当時であれば、まだ雇用と金融政策の関係について知らなかったとしてもまだ許せるような気がします。無論本当は、全く許せないのですが・・・・・・・・。

しかし、金融緩和をしてから2年たった現在、確かに増税の影響により、雇用は悪化したところもあり、実質賃金も下がった時期もありました。それでも、全体的に見れば雇用は明らかに野田政権のときと比較すれば、大幅に改善しています。動かぬ証拠もあります。上の高橋洋一氏のグラフ以外にも証拠はあります。


このグラフをみれば明らかです。この内定率は、バブル崩壊前の水準に戻っています。増税の影響などなきがごとしです。いや、あったのかもしれません。もし増税がなけば、さらに良くなっていた可能性もあります。

民主党政権下ではこのようになったことは一度もありません。たとえマクロ経済学など勉強しなくても、上の高橋洋一氏のグラフや、このグラフ、その他の様々な数値をみていれば、経済が相対的に良くなってきていることは実感できます。

にもかかわらず、この期に及んで、雇用と金融政策との間の関係を理解できないというのは全く信じられません。他のことは目をつむっても、このことだけは絶対に許せません。

これができない、左派新聞や、左派文化人や、左翼は、百害あって一利なしです。日々頓珍漢で奇妙奇天烈な、言説を振りまき、多くの人々を惑わすだけです。もう活動を休止しなさいと言いたいです。

私は、そう思います。皆さんは、どうおもわれますか?

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【関連図書】

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以下の書籍では、現在の金融緩和政策の正しさを再確認することができます。

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2015年4月5日日曜日

菅官房長官「辺野古移設が唯一の解決策」 翁長知事は移設反対を主張、首相との会談要求―【私の論評】今後の問題は、いつ翁長知事が一旦振り上げた拳を、どう引っ込めるかだけだということはあまりに明白(゚д゚)!


沖縄県宜野湾市の米軍西普天間住宅地区の返還式典に
同席した菅義偉官房長官(左)と翁長雄志沖縄県知事
菅義偉(すが・よしひで)官房長官と翁長雄志(おなが・たけし)沖縄県知事は5日午前、那覇市内のホテルで初めて会談した。

会談は1時間ほど行われた。

菅氏は、普天間飛行場の辺野古移設について「国の安全を守るのは国の責務だ。日米同盟と抑止力の維持、危険性除去を考えたときに辺野古移設は唯一の解決策だ」と述べた。また「一つ一つ負担を軽減し、沖縄と連携しながら信頼を取り戻したい」とも述べ、沖縄の基地負担軽減に努めていくことも伝えた。

翁長氏は「(辺野古に移設しなければ)本当に普天間の固定化につながるのか。危険除去のために負担しろという話をすること自体が日本国の政治の堕落だ」と反論、「辺野古の新基地は絶対に建設できないと確信を持っている」と主張した。さらに「首相に会う機会があればありがたい」と述べた。

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】今後の問題は、いつ翁長知事が一旦振り上げた拳を、どう引っ込めるかだけだということはあまりに明白(゚д゚)!

今回は、双方にとってまったくの手探り状態での会談でした。官邸は強気で面会を拒否してきました。菅氏としては1回会って、批判を和らげようということでしょう。ただ、辺野古移設は日米間の国際公約で、変更はできません。一方、翁長氏としても移設反対で当選したため、簡単に譲歩できません。これから、世論の動向を見ながら、双方が時間をかけて着地点を探ることになることでしょう。

普天間飛行場の移設は、日米両政府が1996年4月に合意しました。それが19年経ても未だ実現していません。私は、沖縄県・尖閣諸島周辺には連日のように、中国艦船や中国航空機が侵入しているのに、「今そこにある危機」から目を閉ざしているようにしか思えません。

1996年4月12日、普天間移設合意を発表する、
橋本龍太郎首相とモンデール駐日アメリカ大使

辺野古埋め立てに関する沖縄県の関与について、制度を確認しておきます。仲井真弘多前知事が埋め立てを承認したのは、公有水面埋立法に基づく県知事の承認によるものでした。同法では「国ニ於テ埋立ヲ為サムトスルトキハ当該官庁都道府県知事ノ承認ヲ受クヘシ」(第42条)とされ、国土利用上適正かつ合理的であること、環境保全・災害防止に配慮していることなどを条件としています。

この県知事の承認は、2013年12月に行われました。もちろん、法律上の要件を満たしているから、承認が行われたわけです。その後、国からの一部変更申請も承認されています。これらの承認に基づき、国は既に埋め立て設計、水域生物等調査検討などの事業を行ってきました。

仲井真全沖縄県知事
既に埋め立て事業が行われてきた中、14年11月の沖縄県知事選で、翁長氏は、辺野古移設反対を政治的に実行できる可能性はほとんどないのに、それを公約としてしまいました。この公約は現実問題として実行するのは所詮最初から無理筋でした。

日米両政府が普天間返還に合意した1996年以降5回の知事選において、翁長知事は、辺野古移設反対を掲げて初めて勝利した知事でした。逆にいえば、それまで反対しなかったので、辺野古埋め立てへの既成事実が積み上げられてきたともいえます。

知事選中、翁長氏は、承認決定をひっくり返すために「過程を検証し、法的問題があれば承認を取り消せる」と主張していました。沖縄県は今年2月に第三者委員会を立ち上げて、6月までに結論を出す予定です。今回、翁長知事が作業中止指示を出したのですが、後からとってつけた強引な話でした。政府はこの中止命令を無効としています。今後司法手続きになるでしょうが、その時に翁長氏の「無理筋」ぶりが明らかになることでしよう。

民主党政権時代、鳩山由紀夫首相(当時)は何の裏付けもなく、普天間基地は「国外、最低でも県外」と言い出しました。しかし、結局のところ辺野古に逆戻りとなりました。ここ20年近くの事実の積み重ねを考えると、辺野古移設以外に解決策を見いだすことは難しいです。

普天間基地移設問題について無責任な発言をした鳩山

この意味で、政権交代で国民、とりわけ沖縄県民に甘いことを言った民主党の責任が大きいです。沖縄県民の期待を裏切り、日米関係を傷つけ、時間を浪費した責任は重いです。鳩山氏は先日も、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島を訪問し、日本政府の立場と180度違う言動を繰り返していましたが、まさに「国賊」といういわれても仕方ない所業だったと言わざるを得ません。

さらに、普天間飛行場は、住宅密集地に強引に建設されたのではありません。畑作が営まれていた丘陵地に基地を建設したら、その後、周辺に人々が住むようになり、学校がつくられたのです。多くの住民は、基地周辺に自ら住むようになったのに、「危険だから、基地は出ていけ」と訴えているのです。



翁長知事は、より安全な辺野古への移設に反対していますが、反対するのみで安全保障や環境を見据えた、現実的な代替計画案を発表したことはありません。単に「普天間飛行場を県外に」「辺野古移設反対」と主張しているだけであり、本質的に先の鳩山氏の主張と何も変わりありません。

私は、国民1人ひとりに「国を守る」という強い意識があってこそ、日本は「真の独立主権国家」たり得ると考えます。米国に国防を依存する意識を脱却して初めて、日米は真の同盟関係になることができます。しかし、辺野古移設とそれとは全くの別問題です。

翁長知事は、政府との交渉だけでは、早晩行き詰まることは明らかと考えてのことでしょうか、米国と直接辺野古移設反対を訴えようとさえしています。

翁長氏は選挙公約で、辺野古移設に反対する自らの考えを、日本政府を通じてではなくアメリカ政府に直接伝えることが目的の、沖縄県駐在職員をアメリカに配置することをうたっていました。4月1日には、2014年9月まで在沖アメリカ総領事館の政治担当特別補佐官を務めた平安山英雄(へんざん・ひでお)氏に辞令が交付されています。

平安山英雄(へんざん・ひでお)氏
平安山氏は、約30年にわたって経済や政治担当として歴代の総領事を支えた。これまでアメリカ国務省職員として辺野古移設を推進する立場にあったことについて、平安山氏は記者団に対し、「知事の命を受け誠心誠意頑張るしかない」としており、「まず国務省、国防総省の方々と会って、知事の考え、県民の考えを伝える」と語りました

こんなことをしても、米国としては、誰かは平安氏と会って話を聴くくらいのことはするかもしれませが、ではそれで何かが変わるかといえば、そんなことは全くあり得ないでしょう。出来ることといえば、情報集収集くらいなものでしょうし、その情報も政府が得られるもの以下ということになるでしょう。

なぜなら、米国にとっては、辺野古移設問題を話あう相手は、日本国の代表であり、それを曲げて、沖縄の代表と話し合うわけにはいかないわけです。

これは、たとえば、ある製品の販売を日本のある総代理店に任せたとすれば、その代理店以外の会社や個人から何か申し出あったとしても、受け付けることはあり得ないのと同じ理屈です。

もし、受け付けてもらいたいとするなら、現状の総代理店を廃し、自からが総代理店になる以外に方法はありません。しかし、主権国家において、安全保障は国の専権事項であり、沖縄県が日本国の代理となることはできません。

どう考えても、辺野古移転は、既製事実であり、翁長知事に勝ち目は全くありません。これで、翁長知事の言い分が通るようであれば、最早日本はまともな民主国家とはいえません。そんなことは、翁長知事も重々承知のはずです。だとすれば、これは単なるパフォーマンスなのでしょうか。

今後の問題は、いつ翁長知事が一旦振り上げた拳を、どう引っ込めるかだけです。政府としては、引っ込めやすくするのか、あるいは強硬に引っ込めさすか二つに一つです。どちらが、最も効果のあがり早期に解決できるか、方法を選択すれば良いだけの話です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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2015年4月4日土曜日

上西議員を除名処分、大阪維新の会 「あんな議員につきあって1時まで…」橋下氏陳謝―【私の論評】国立大が入学式に国旗掲揚も国歌斉唱もしないという「けじめ」の欠如した社会が、「モンスター」を生み出した?


上西議員

維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長は4日午後、大阪市福島区で街頭演説し、体調不良で国会を病欠した同党の上西小百合衆院議員(31)=比例近畿=を、自らが代表を務める大阪維新の会から除名処分としたことを明らかにした。

橋下氏はこれに先立ち、同日午前、同市淀川区内で街頭演説し、上西氏の国会欠席について「大変ご迷惑をおかけしました。本当にすみません」と改めて陳謝した。

橋下氏は「あんな国会議員の記者会見につきあって午前1時ですよ」と苦笑しながら述べ、3日夜から4日未明にかけて上西氏と会見を開いたことを説明。そこで得られた結論として、上西氏が病欠の翌日に旅行へ出かけたとの疑惑については「報道とはちょっと違う。(私的な)旅行ではない」と有権者に理解を求めた。

一方で「国会前日に『おなかが痛い』と言って病院に行っておきながら、(その夜に別の)国会議員と食事に出かけ、予算案の採決を欠席したのはだめだ」と改めて上西氏を批判した。

【私の論評】国立大が入学式に国旗掲揚も国歌斉唱もしないという「けじめ」の欠如した社会が、「モンスター」を生み出した?



橋下氏のこの処分、これで正しいものと思います。上西氏が欠席した国会は、国会の中でも最も重要な予算に関するものであり、他は欠席してもこれだけは欠席してはならない最も重要なものです。

たとえ体調が悪くても、欠席する事自体が、非常に問題です。ましてや、欠席の前日に食事に出かけていて、それで次の日には大事な国会に欠席するというのですから、弁解の余地は全くありません。

このような重要な国会で欠席した事例として、石橋湛山首相の例があります。この事例をwikipedia
から引用します。

石橋湛山
内閣発足直後に石橋は全国10ヵ所を9日間でまわるという遊説行脚を敢行、自らの信念を語るとともに有権者の意見を積極的に聞いてまわった。しかし帰京した直後に自宅の風呂場で倒れた。軽い脳梗塞だったが、報道には「遊説中にひいた風邪をこじらせて肺炎を起こした上に、脳梗塞の兆候もある」と発表した。 
副総理格の外相として閣内に迎えられていた岸信介がただちに総理臨時代理となったが、2ヵ月の絶対安静が必要との医師の診断を受けて、石橋は「私の政治的良心に従う」と潔く退陣した。1957年(昭和32年)度予算審議という重大案件の中で行政府最高責任者である首相が病気療養を理由に自ら国会に出席して答弁できない状況での辞任表明には、野党でさえ好意的であり、岸の代読による石橋の退陣表明を聞いた日本社会党浅沼稲次郎書記長は石橋の潔さに感銘を受け、「政治家はかくありたい」と述べたと言う。
国会とはいっても、予算審議は最も重要なものであり、この国会に欠席せざるを得なかった石橋湛山首相は、潔く首相の座を退いたのです。それほど、予算の審議は重要なものです。

確かに、法律や施策などが決まったにしても、それを実行するための予算が決まらなければ、何もできないわけであり、最も重要な国会審議であるわけです。

話は、少しそれますが、旧大蔵省や現財務省がまるて一大政治勢力のように強大な権力があるのは、まさにこの予算に直接かかわってきたからです。大蔵省や財務省の差配で、各省庁への予算のかなりの部分が決まってしまうわけですから、役所の中の役所といわれるわけです。これは、ネガティブな事例ですが、予算の審議とはそれだけ重要な事なのです。

これだけ、重要な予算審議を病気で欠席し、欠席の前の日に居酒屋に行っていたことが露呈してしまったのですから、これは仕方ないです。出席さえしていれば、後は、前の日だろうが、後日であろうが、私的旅行に行こうが、居酒屋に行こうが、オカマバーに行こうが何の問題もなかったはずでした。犯罪などの法律に触れるようなことさえしていなければ、何も問題にならなかったはずです。

上西議員は、この審議の重要性を認識していなかったのだと思います。国会議員としては、何があろうとも、この審議にだけは参加するというのが、筋であり、けじめというものだと思います。それにしても、これは小西議員だけの問題ではないと思います。このような国会議員が存在するという事自体が、今の日本の社会が病んでいることを示しているのではないかと思ってしまいます。

その病んでいることの査証として、前衆議院議員の中山成彬氏が以下のようなツイートをしています。
評論家の山際澄夫氏が以下の様なツイートをしていました。
以下にこのツイートへの私のコメントと、山際氏とのやりとりを掲載します。
私自身は、国歌斉唱や国旗掲揚はすべきものと考えています。しかし、どうしても国歌斉唱とか、国旗掲揚が嫌だというなら、入学式や卒業式に参加しないという選択肢もありますし、そもそも、そういう学校には行かせない、行かないという選択肢もあるので、少なくとも国立の大学や教育機関などでは、国旗掲揚、国歌斉唱はすべきものと思います。

私は、現在札幌市に在住していますが、近くに区役所があり、区役所では北海道旗、区旗と並んで、日本国旗も掲揚されています。国旗は、中央に配置されています。毎朝警備員の人が、朝はやくに掲揚しています。

このようなことは、規範として重要なことであると思います。規範というと少し難しいですから、「けじめ」「筋」と言い換えても良いかもしれません。国立の教育機関は、国の機関ですから、国旗や、国歌は公式の行事では欠いてはならないと思います。

橋本氏も、国旗、国歌については以前以下の画像ようなことを語っていました。


橋下氏としても、やはり公務員として「けじめ」「筋」について語っていたのだと思います。とにかく、今の社会では、この「けじめ」がないがしろにされていることが多いです。

今の日本では、「公私のけじめをつける」ことや「親子の間にもけじめが必要だ」という認識が希薄化していると思います。

国立大学で入学式・卒業式などの公式な行事で国家斉唱、国旗掲揚をしないことと、上西議員の国会欠席とは一見関係ないようにもみえますが、私自身は多いに関係があると思っています。

今の国立大学は独立法人とはなっていますが、国の予算があってはじめて成り立つ機関であることには変わりありません。国の予算とは、元々は国民の税金です。国民の税金をいただいている国立大学の運営者が、公式の行事のときに国歌斉唱や、国旗掲揚など行うのが当然という社会になっていなければ、予算の審議を軽く見る国会議員がでてくるのも当然といえば、当然です。

民主党政権時代には、このような「けじめ」が政権内でもかなり軽んじられていました。その象徴的な出来事についてはこのブログでも過去に掲載したことがあるので、そのURLを以下に掲載します。
鳩山首相、米へ出発…オバマ大統領と会談へ-初の訪米は国旗に会釈できる鳩山さんが適任だった!? 
初の訪米に向かう鳩山元首相
詳細は、 この記事をご覧いただくものとして、この記事は、民主党鳩役政権が登場したばかりの頃のものです。民主党と国旗にまつわる部分のみ以下にコピペさせていただきます。
今回初訪米が鳩山さんで本当に良かったと思います。16日の首相官邸で行われた、閣僚全員の記者会見の模様がテレビで報道されていました。ご覧になった方も多いと思います。会場には、演壇の斜め後ろあたりに、国旗が掲揚されていました。鳩山さん自身は、登壇、退出の両方とも国旗に対し会釈して、敬意を評していました。その他閣僚で両方ともしていたのは、前原国交相、平野内閣官房長官、中井国家公安委員会委員長だけでした。国旗に対して会釈するなど、主義、主張を超えて、まともな家に育った人なら当たり前のことだと思います。 
しかし、他の閣僚はしていませんでした。岡田さんは、無論していませんでしたし、文部大臣もしていませんでした。しかし、そうしたことにたとえ疎い人であったとても、あるいは、国旗に対して日教組の馬鹿教師と同じような感覚を持っている人であっても、鳩山さんがきちんと、会釈しているのですから、その様子を見て右に倣えで礼をすべきだったと思います。 
まあ、この有様ですから、あの日の丸裁断による民主党旗問題も起こってしまうような土壌が最初からあったのだと思います。それにしても、あのような問題があったのなら、党内で国旗に対する取り扱いなど徹底しておくべきだったと思います。 
私は、自民党の閣僚クラスの人が、国旗に会釈をしなかったというのを見たことがなかったので、驚きました。民主党ではまるで、しないのが当たり前のようでした。しかし、こうした躾のない人達が海外などに行ったとすれば、外国の国旗に対して無礼を働いたり、社会常識を欠いた珍奇な振る舞いをするのではないかと心配です。やはり、要人としての最初の訪米は鳩山さんが適任だったと思います。岡田さんは、外務大臣としても問題ですが、それよりもなりにりも、まずは躾をきちんとしなければ、人前、特に外国には出せませんね。でも、岡田さんもアメリカに行っているんですよね。観光旅行ならいいでしょうが、無礼なことをしなければよ良いですが・・・・・・・・。 
それにしても、情けない~。今回の閣僚の平均年齢は、麻生内閣より年齢が上だったはずですね。いい年をしてとは、まさにこのこと? もう、これくらいの年齢になったら、人にいわれなくても、自分で気をつけてもらいたいものです。
 とにかく、民主党が政権与党だった時代があり、そのときは上記のように「けじめ」がなかったわけです。そうして、教育機関たる国立大学などの国立の機関にこうした「けじめ」がないのですから、重要な国会の予算審議を病欠してしまう国会議員も出てきて当然なのかもしれません。

今後こうした社会を変えていかなければ、上西議員のような「けじめ」のない人間が大勢出てくることになると思います。「けじめ」の全くない人には、家族を支えることはできません。会社を支えることもできません。町を支えることができせん。国家を支えることなども到底無理です。

泣きじゃくり会見をした野々村議員

私は、このように「けじめ」のない社会が、国会議員でありながらそれが欠如した上西議員のような「モンスター」を生み出しているのだと思います。あのなきじゃくり会見の野々村元議員もそうかもしれません。まさに、上西議員は、私達の社会をうつしだしている鏡なのかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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「教師だけ立たないのはおかしい」 現場からは冷静な声 教職員組合は反発 大阪府の国旗国歌条例―【私の論評】いまどきの教師、いまどきの総理、いい加減60過ぎたら大人になれよ!!

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2015年4月3日金曜日

AIIB不参加を批判するリベラル派マスコミは、大勢順応、軍国主義時代と同根―【私の論評】新聞などのメディアは、戦前・戦中から売上第一で今も報道の使命を忘れたままである(゚д゚)!


長谷川 幸洋
中国が提唱したアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加問題をめぐって「日本は孤立した。いつまでも米国追従でいいのか」といった批判が出ている。欧州はじめ50ヵ国近くから参加表明が相次ぐ一方、日本は米国とともに参加を見送ったためだ。この問題をどう考えるか。
不参加批判は大勢順応主義

私は先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42638)で「左翼勢力はかつての軍国主義者たちの思考様式とそっくりだ」と指摘したばかりだが、日本のAIIB不参加を批判するリベラル左派の論調も似たようなものだ。上っ面だけをみて、厳しい現実をきちんと見ようとしない。それから大勢順応主義である。

また東京新聞の社説をとりあげて恐縮だが、典型的で分かりやすいから、仕方ない。東京は社説で次のように書いている。

ーーーーー
米国偏重で「アジアで孤立化」した日本が、アジアのリーダー的な地位を中国に奪われつつあることは明らかである。(中略)懸念があるのなら、参加して他の国々と連携しながら改善の道を探るべきである。(中略)対中国の緊張関係にとらわれ、世界の動きが見えていなかったのではないか。米国とともに行動すれば大丈夫という時代ではなくなったことを理解すべきである(3月31日付。http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015033102000149.html)。
ーーーーー

もう1つ、毎日新聞も紹介しよう。

ーーーーー
政府は参加を全面否定しておらず、将来的な加盟の余地を残している。それなら、組織の枠組み作りから関与し、自国の提案が反映されるよう、内から発言する作戦の方が賢明だったのではないか。(中略)米国とは違い日本はアジアの国である。AIIBに限らず、今後このような中国やインドが主導する構想と向き合わざるを得なくなろう。「慎重」だけでは戦略にならない(4月1日付。http://mainichi.jp/opinion/news/20150401k0000m070155000c.html)。
ーーーーー

ようするに両紙は「日本は世界の流れが見えていない、米国と歩調をそろえるだけではダメだ。AIIBに参加せよ」と主張している。リベラル派の2紙が同じ主張であるのは偶然ではない。後で述べるように、思考パターンが同じだからだ。

脅威としての中国か、中国とウィンウィンの関係か

私自身がどう考えるかといえば、『四国新聞』(3月29日付)と『週刊ポスト』(同30日発売号)の連載コラムで、日本は「米国と歩調をそろえて中国の挑戦を受けて立つ以外にない」と書いた(http://www.shikoku-np.co.jp/feature/hasegawa_column/20150329.htm)。念のために言えば、コラムを執筆したのは、2本とも政府が不参加方針を表明する前の時点だ。私が政府方針に意見をそろえたわけでは、まったくない。鍵は中国の安全保障上の脅威をどう見るか、である。

中国は日本にとって脅威であり、欧州にとっては脅威ではない。今回のAIIBをめぐる対応が欧州と日本で分かれたのは、それが理由である。先に書いたコラムにもぜひ目を通していただきたいが、ここではマスコミの問題を含めて指摘しておきたい。

まず、中国には欧州に軍事侵攻する選択肢がない。中国が欧州に侵攻しようとすれば、核大国のロシアを陸から越境するか、テロの戦火が吹き荒れる中東を横切るか、それとも大艦隊を率いてインド洋から南アフリカを回って欧州に向かうかしかない。中国にとって、そんな選択肢はどれもありえないのだ。

しかし、日本はどうかといえば、日本の領土である尖閣諸島に中国が領土的野心をみなぎらせているのは、言うまでもない。米国はというと、南シナ海で岩礁周辺の埋立工事を急ぎ、軍事基地建設を目論んでいる中国に警戒心を高めている。

中国が南シナ海のど真ん中にいくつも基地を築いて南シナ海全域を事実上、自国の勢力圏にしてしまえば、米国にとって中国はビジネスパートナーである以上に、中国は戦略上の潜在的な脅威である。

リベラル3紙はなぜ間違えるのか

AIIBに参加した国々は、あきらかに「脅威としての中国」ではなく「ビジネスパートナーとしての中国」との関係を優先した。実は中国にとっても欧州は魅力がある。国際金融取引の拠点である欧州は、人民元の国際化を進めるうえで役に立つからだ。中国は人民元国際化に一役買ってもらう見返りに、AIIBのインフラビジネスで欧州に「多少の分け前を与えてもいい」と思っているだろう。まさにウインウイン関係だ。

ロシアは内心、中国の勢力伸長を警戒しているが、米国をけん制するうえで中国との連携は役に立つ。だから付き合った。豪州は中国に警戒心を抱いてはいるが、地理的に遠く海をはさんでいるので、日米ほど直接的な脅威にさらされていない。ブラジルにとって中国はまったく脅威ではない。遠すぎる。

アジアの途上国はどうか。たしかに中国は脅威であるが、インフラ整備を進めるマネーは喉から手が出るほど欲しい。

中国が脅威でないなら参加、脅威ではあっても実利が大きいなら参加、逆に明白な脅威であるなら不参加、という具合に各国の対応が分かれたのである。

ところが、東京や毎日新聞は「世界は雪崩を打って参加した。日本は乗り遅れてしまったら孤立する」と言うだけだ。各国は脅威と実利を天秤にかけたうえでの判断なのに、単に「大勢に従え」と言っているにすぎない。

両紙には、そもそも「中国が日本にとって脅威である」という認識がない。その点は「関与は十分だったのか」と題した朝日新聞の社説(http://digital.asahi.com/articles/DA3S11681087.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11681087)も同じである。ちなみに朝日は参加すべきとも、すべきでないとも言っていない。「国民によく説明せよ」と言うのみで、どっちつかずの姿勢だ。ぶれている。

リベラル3紙に共通するのは、AIIBをもっぱら経済問題としてのみとらえて、外交安保上の戦略的視点が欠落している点である。
「バスに乗り遅れるな」

加えて、リベラル派は「最初に結論ありき」で日本の集団的自衛権行使に反対である。そのためには、できるだけ中国を脅威と認識したくない。中国を脅威と認めてしまえば、直ちに日本はどう対処するのか、が問題になるからだ。そうした思考様式から(脅威ではない)中国が主導するAIIBになぜ参加しないのか、という結論が導かれる。現実の脅威には目をつぶり、理想論で世界を眺めて結論を下すのだ。

中国もときにウインウイン関係という言葉を使う。だが、中国の言うウインウイン関係とは相互依存ではなく、単なる「縄張りの相互尊重」程度ではないか。それがはっきりしたのは、2013年6月の米中首脳会談だった。

習近平国家主席はオバマ大統領に「太平洋は米中両国を受け入れるのに十分、広い」と言った。それは「太平洋は十分に広いから米中両国で分割しよう」という意味のエレガントな外交的表現にすぎない。これは事実上、縄張り分割の提案である。

日本政府はAIIB不参加の理由に「融資の持続可能性や銀行統治(ガバナンス)が健全に保たれるか」といった懸念を挙げている。ここで指摘したような外交安保上の懸念はけっして口にしない。それは当然だ。

そんなことを言ったら、中国に面と向かって「お前は敵だ」と言ったも同然になってしまう。言った瞬間に、あとはどっちが勝つか、力で戦うだけという話になってしまうからだ。

軍国主義時代には「バスに乗り遅れるな」論こそが戦争拡大の鍵になった。欧米が中国や東南アジアを植民地にしていたのを見て、まさに新聞が「日本も大東亜共栄圏を」と旗を振って、仏印(現在のベトナム、ラオス、カンボジア)に進駐したのだ。

いまリベラル派が唱える「バスに乗り遅れるな」論は、日本が置かれた厳しい現実に目を背けて、大勢に順応せよと主張している点では、軍国主義時代とまったく同根ではないか。

長谷川 幸洋

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】新聞などのメディアは、戦前・戦中から売上第一で今も報道の使命を忘れたままである(゚д゚)!

上の記事で、長谷川氏は、「バスに乗り遅れるな」論の戦中と現在の主張は同根であることを主張しています。これは、新聞などのメデイアが過去においては、戦争を煽ったことを理解してないとなかなか、納得できないと思います。

戦時中の新聞紙面 以下同じ
実際、戦中の新聞などのメディアは戦争中には戦争を煽っていました。新聞が戦争報道に熱心だったのは、戦争の記事が良く売れたからです。戦争のことを書き、勝った勝ったと叫びたてればたてる程新聞は良く売れたのです。だから新聞各社は、軍部と結託して戦争熱を煽り、読者の熱狂を新聞の売り上げに結びつけようとしました。軍部もそれをよく理解していて、戦争遂行に最大限新聞を利用しました。

戦争記事が紙面を賑わすようになったのは、満州事変のすぐ後からでした。新聞各紙は毎日のように、戦争の状況を報道し、国民の熱狂を煽りました。新聞社は記事を派手にするために、巨額の金を使って現地取材を行い、また高級軍人に取り入って情報ネタを仕入れようとしくした。半藤一利氏の『昭和史』によると、新聞社の幹部が「星ヶ岡茶寮や日比谷のうなぎ屋などで、陸軍機密費でごちそうになっておだを上げていたようです」と書いています。

そうしたうわさは民間にも流れていたようで、永井荷風などはそれを日記の中で取り上げ、慨嘆しました。

「同社(朝日新聞社)は陸軍部内の有力者を星が岡の旗亭に招飲して謝罪をなし、出征軍人義捐金として金十万円を寄付し、翌日より記事を一変して軍閥謳歌をなすに至りしことありという。この事もし真なりとせば言論の自由は存在せざるなり。かつまた陸軍省の行動は正に脅嚇取材の罪を犯す者と云ふべし(昭和七年二月十一日)」

これは、朝日が一時期戦争に批判的だったことの根拠のひとつとして引合いに出されるものですが、ともあれその朝日も、陸軍の尻馬に乗って「売らんかな」のため「笛と太鼓」で扇動した事実を消すことはできません。



満州国の建国に際しては、朝日新聞は次のように書いて、祝福しました。

「新国家が禍根たりしがん腫瘍を一掃し、東洋平和のため善隣たる日本の地位を確認し、共存共栄の実をあぐるに努力すべきであろうことは、いうだけ野暮であろう」

癌腫瘍とは反日運動のことをさしました、そんなことはやめて日本と共存共栄しようと新国家に呼びかけているわけです。

満州事変をめぐって国際連盟での風当たりが強くなり、日本が孤立を深めるようになると、新聞は次のように言って、孤立を恐れるなと、発破をかける始末でした。

「これ実にこれ等諸国に向かって憐みを乞う怯惰の態度であって、徒に彼らの軽侮の念を深めるのみである・・・我が国はこれまでのように罪悪国扱いをされるのである。連盟内と連盟外の孤立に、事実上何の相違もない」(東京日日新聞・現在の毎日新聞)

そして国際連盟が日本軍の満州からの撤退勧告案を採択すると、新聞は連盟からの脱退に向けて、政府の方針を尻押ししました。

新聞はまた、日独伊三国同盟の締結に熱心であり、そのために反英世論を煽ることにも努めました。昭和14年におこった天津事件を巡って、日本軍はイギリスとの間で緊張状態に入ったのですが、その時に日本の新聞社は次のような共同社説を載せて、反英熱を煽りました。

「英国はシナ事変勃発以来、帝国の公正なる意図を曲解して援蒋(蒋介石を援助すること)の策動を敢えてし、今に至るも改めず。為に幾多不祥事件の発生をみるに至れるは、我等の深く遺憾とするところなり。我らは聖戦目的完遂の途に加えられる一切の妨害に対して断固これを排撃する敵信念を有するものにして、今次東京会談の開催せらるるに当たり、イギリスが東京における認識を是正し、新事態を正視して虚心坦懐、現実に即したる新秩序建設に協力もって世界平和に寄与せんことを望む。右宣言す」

随分と勇ましい宣言でしたが、その勇ましさに的確な現実認識が伴っていないことに、当時の大新聞をはじめ日本国民全体の不幸の原因があったわけです。

戦争末期になると、新聞は事実の報道と云う本質的な機能を全く果たさなくなり、国民に対して嘘の報道ばかりするようになりました。というより、軍部の傀儡となって、軍部のいうことを単に横流しするだけの、情けない存在に堕していったのです。



長谷川氏は戦時中の新聞報道と、戦後の新聞報道とでは内容は異なるものの、こうした傾向があることに警鐘を鳴らしているのです。

確かに、新聞をはじめとする今のマスコミは、戦中と変わりありません。長谷川氏が指摘する、今回のAIIBに関する報道もそうですが、他にもいろいろあります。

特に増税キャンペーンなどの記事はそうでした。大手新聞などマスコミのほとんどは、財務省や日銀などから発表される資料をそのまま報道しました。また、財務省や日銀のポチである似非識者らの意見を報道し、さもデフレ下の増税や、金融引締めが正しいかのように何の恥じらいもなく連日連夜報道を続けました。これは、本当に戦争中の戦争煽り記事と本質的に何も変わりません。

情報の入手先が、軍部から、財務省や日銀などに変わっただけのことです。

さらに、新聞などのメディアは、普段からいわゆる左翼的な意見などを頻々と報道していました。戦後しばらくは、左翼的な考えが幅を効かせ、言論人も左翼的なことをいえば、進歩的文化人として高く評価されました。今から考えると、退歩的野蛮人とでも読んだほうが、ふさわしいような言動でした。

そうして、慰安婦問題などの、歴史修正記事なども堂々と報道し続け、朝日新聞がその誤りを認めたのは、三十年以上もたってからという異常事態を招いてしまいしまた。

新聞などのメディアは、終戦直後からしばらくの間は、いわゆる左翼的な報道をすることにより、売上を伸ばすことができました。しかし、ここ10年くらいは、そうではなくなりました。実際新聞の売上は、毎年低迷しています。


これからも、新聞が戦中と同じく、「バスに乗り遅れ」論などを中心とした、報道を繰り返せば、行き着く先は、廃刊ということになると思います。

今のままであれば、そうなって当然ですし、そうなったほうが良いです。生き残りたいというのなら、自社の立場を明確にして、その立場から報道をするようにすべきものと思います。

私自身は、左翼系なら左翼系、右翼系なら右翼系でも良いと思います。それなら、それなりに自らの立場をはっきりと表明して、その立場から報道すれば良いのです。そうすることによって、読者すらすれば、同じ事象も左翼からはこう見える、右翼からこう見えるということで、物事の本質が見えやすくなります。

一番良くないのは、立場も何もなく、あるいは立場があってもそれを表明することもなく、さも公正中立を装っていながら、その実「バスに乗り遅れ」論のような、その時々の流行にのって部数を増やすことにのみ傾注するようなやり方です。

そのようなやり方は見え透いています、大手新聞はもう世の中はこの10年で随分変わってしまっていることに気づかず、惰性で左翼的な報道を繰り返しているに過ぎません。

このままでは、いずれこの世から消えることになるでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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