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2016年5月16日月曜日

【衆院予算委】安倍首相が民進・山尾志桜里政調会長に「議会の運営を少し勉強してほしい」 キレた山尾氏は「男尊女卑政権だ!」―【私の論評】思考停止したバカ=山尾志桜里のような人間を論破する方法(゚д゚)!

【衆院予算委】安倍首相が民進・山尾志桜里政調会長に「議会の運営を少し勉強してほしい」 キレた山尾氏は「男尊女卑政権だ!」


16日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が、質問に立った民進党の山尾志桜里政調会長に「勉強した方がいい」と“忠告”する一幕があった。

山尾氏は今年1月の衆院本会議で首相が「政策を国民に提案することから逃げて、逃げて、逃げ回っているようでは、国民の負託に応えることはできない」と民進党を皮肉ったことに対し、保育士の処遇改善など議員立法による対案を示してきたことを説明し「なぜ私たちの提案から逃げて、逃げて、逃げまくっているのか」と述べ、首相が審議を拒否しているとの反論を展開した。

首相が「国会で議論してほしい」と述べると、山尾氏は、首相の意向で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を巡る質疑が優先的に行われたと主張し、首相が主導して対案を審議するよう求めた。

これに対し、首相は「山尾委員は議会の運営を少し勉強してほしい。(法案を)国会に一度付託したら委員会で決めることだ」と国会運営のイロハを説明した。

興奮冷めやらぬ山尾氏は、首相の姿勢を「女性活躍政権ではなく、男尊女卑政権だ」と批判。首相は「誹謗中傷だ。議論をすり替えている。だから議論が軽薄になる」と非難した。

【私の論評】思考停止したバカ=山尾志桜里のような人間を論破する方法(゚д゚)!

男尊女卑政権なる言葉を発した時点で、山尾氏は、かなり感情的になり、非論理的になっておりこの時点で安倍総理に完璧に負けています。

世の中には議論の場において不真面目な発言をしたりいい加減なことばかり言う人がいます。安倍政権を、「男尊女卑政権」だと言う発言は、完璧のこの種の発言です。

そういう人に対し、真正面から議論をしようとして資料の妥当性や論理の矛盾点をついも
全く意味がありません。

この人たちは議論をしないので、会話が成立しません。「馬鹿は論破できない」という言葉もありますが、放置するわけにもいかず、非常に厄介です。以下に、バカは論破できないというKAZUYA氏の動画を掲載します。



上の動画で、KAZUYA 氏は、バカは思考停止していると語っていましたが、以下に思考停止度チエックリストを掲載しておきます。

  1. 毎日の行動パターンが決まっている 
    YES NO
  2. 上司や先輩に言われたとおりにしている
    YES NO
  3. この24時間以内に一度も「なぜ?」と思わなかった
    YES NO
  4. 抗議や講演を聞いて質問したことがない
    YES NO
  5. クイズや問題集をやるとすぐに答えを見る
    YES NO
  6. 「ブランド品」であれば間違いないと思っている
    YES NO
  7. 「どれが大事?」と聞かれると「すべて」と答えることが多い
    YES NO
  8. 会話中、気がつくと自分ひとりでしゃべっていることがある
    YES NO
  9. 自分の経験から判断することが多い
    YES NO
  10. 昔話をよくする
    YES NO
YESが3つ以下・・・思考停止していません
YESが4~7つ・・・注意しないと思考停止します
YESが8つ以上・・・思考停止状態寸前です
上のチエックリストの最後の「昔話をよくする」ですが、これは経験が豊かになってきた人ほど多くなりがちな思考停止状態です。

つまり思い出すことは昔の体験ばかり、新しいことは二の次になっていることの表れです。

思考停止状態から抜け出すためのマジックワードは「なぜ?」です。

疑問をもつことで常に頭が回転している状態になるので他の人には考えつかないような柔軟な考えだったり、新しいアイデアだったりが浮かんできます。

そして日々の行動パターンにも目を向けることも大切です。

「なぜ?」と考えることができない思考停止状態の多くはあまり仕事で結果を残すことができません。
テレビの討論番組などでこういう思考停止をした馬鹿な人達を見るたびに、私はいらいらします。あまりに腹立たしいので自分ならどう対処するか考えてみました。国会でも、「日本死ね」などという言葉が散りばめられていような、どこの誰だかもわからないような、匿名のブログ記事をとりあげて質問をするなどという山尾志桜里のような議員がでてくというような嘆かわしい事態が発生するようになりました。

山尾志桜里
こんなことは、実は昔からあったことです。いわゆる「怪文書」という類です。あの「日本死ね」のブログは、ネット社会が発展していなかった時代にもあった「怪文書」と本質的に何も変わらないです。それが匿名のネット社会になったため、多くの人が「怪文書」であると認識できなくなったか、しにくくなっただけのことです。「怪文書」は「怪文書」です。

私は、こういう、議論の場でおかしな発言を繰り返す人に対する有効な手段としては、決定的におかしな発言をした直後、「○○さんは今~と発言しましたが、本当にそう考えているのですね?」と聞き返すことが有効な手段になると思います。。

細かい変更はいろいろ考えられます。「○○さんは本当にそう思っているのですか?「確認させてもらいますが、○○さんは~という意見で間違いないのですね?」

「発言者の名前と、発言内容を復唱して、再び本人に内容を確認させる」これが有効な攻撃方法になります。

これは、一見、何の意味も無い質問に見えます。しかしこれにはかなり効果があると思われます。

まともに、議論できない人にも二種類あります。自分でも気が付かずに、破茶目茶なことを言う人(無意識派と以下で呼称します)と、意図して意識して破茶目茶なことをいう人です(自覚派と以下で呼称します)。

無意識派に「発言確認」をするとどうなるでしょうか。まず、自分自身が出したばかりの発言なので、意識的には一旦受けれざるを得ません。それでいてその内容を改めて考え、おかしさに気づいたとき、否定することになります。自分の意見がいい加減だったことに気づきます。

次に肯定する場合も有ります。これによって、この人物は自分は変な意見を言う人だと認めるとなり、イエスノーどちらに答えても自分がおかしな発言をしたことになります。

国語の教科書に載っている短篇 『少年の日の思い出』(ドイツの小説家ヘルマン・ヘッセ作)にエーミールの「そうかそうかつまり君はそういう人だったんだな」という発言があります。

これに心をえぐられた人も多いのではないでしょうか。同じことです。そのあとにどういう行動をとるのかわかりません。しかしこの「発言確認」を何度か繰り返せば、少しはおとなしくなるのではないでしょうか。


自覚派に、「今あなたは矛盾したこと言ってる」とか「●●に失礼だ」とか
「資料と合わない」とか「あなたの過去の発言と一貫性がない」とかいろいろ言う事はできます。

普通の人に対して、これらの発言をすれば、相手は少なからずダメージを受けるはずですが、自覚派はびくともしません。なぜなら彼らにとっては、事実はどうでもいいからです。

自覚派が、何を目的にしているのかといえば、彼らにとって事実とか真実とはどうでも良く、その目的は、情報操作、印象操作、ネガティブキャンペーン、思想誘導など様々ですが、結局彼らの目的は自分たちの利益のために意図的に事実を捻じ曲げて、「事実ではなく」「イメージを広めること」です。

事実に基づかない、嘘のイメージを広め、自分(たち)に有利になるように周りを誘導することこそ、彼らの目的であり、目標でもあるのです。

しかし政治や社会問題の議論の場において嘘でたらめを広めることは断じて許されることではありません。ましてや国会議員のおかしな発言は厳しく非難されるべきです。

そうして、自覚派は議論の場において、その場にいる人にだけに向けて発言してはいません。それを国会の審議なら、それを多くの聴衆、視聴者に向け、自分たちの発言でそのイメージが少しでも広まることを狙っているのです。そのため、意見のおかしなところをまともに突いても、全く気にせずに発言を続けるのでほとんどダメージがありません。

イメージ拡散のために発言した内容は、発言者から離れ、その意見の「印象」だけが見ている人の心に留まります。繰り返しているうちに、視聴者の中であまり物事を深く考えない人にとっては、それが正しいことであるかのような気になってきます。これが自覚派の戦術です。これは、特に「集団的自衛権の部分的行使を含む安全保障法案」の審議のときにも、民主党( 現民進党)などの野党による「戦争法案」というレッテル貼りです。

国会論戦で浮き彫りになった、野党のレッテル貼りによるイメージ拡散戦略

しかし、そうなる前に、「発言確認」をするとどうなるでしょうか。何かおかしな発言をした瞬間、これをするとどうなるでしょうか。

まず、視聴者に対して、無責任に広めていた「イメージ」が、その人の発言として固定化されたものになります。

つまり「なんとなくの情報」から「○○さんが話した情報」に格落ちするのです。しかもその情報が「少しでも考えるとおかしなこと」だった場合、「その発言者もおかしな人間なのではなかろうか」ということまで視聴者に気付かせてしまうことになります。

自覚派も、嘘を語っていただけなので、それが正しいかどうかという「議論の場」に戻されることになり、対応につまることになります。今更撤回はできませんし、もちろん正しいことですと発言するとイメージよりも「その人が断言したこと」という印象になって、イメージ拡散力が減ります。

視聴者も、発言内容に疑いを持つ可能性が高くなります。一見何の問題も無さそうな意見も、もう一度妥当性を考える余地が生まれます。視聴者にそういう機会を与えるだけでも、立派な攻撃になります。

つまり「発言確認」はイメージ拡散を妨害してくれるだけでなく、おかしな発言者に負のイメージを付けることになるのです。

しかし、もし相手が堂々と肯定してきた場合はどうなるでしょうか。実はこうなったにしても、こちらが持論を展開できる流れに変わります。発した情報に対して、おかしなところを少しでもつけば、その情報と発言者の信頼性が一気に崩壊します。

しかも自覚派は一度自分の発言を認めているため、持論の展開中は割って入り辛い流れになります。妨害すれば「肯定したにも関わらず、反論されることに自信がないのか」
というイメージがつくので、黙って聞くしかありません。

相手が肯定の否定のどちらをしても、おとなしくさせるのに有効ではないでしょうか。

以上、まとめると、「発言確認」は、無自覚派に対しては、「再び思考させる」効果を、自覚派には「議論の場に引き戻すことで自覚派の狙うイメージが拡散を阻止すると同時に、発言者に負のイメージを与える」という効果をそれぞれ期待できます。

それにしても、山尾志桜里を筆頭に、民進党はかなり、前からそうでしたが、最近ではさらに思考停止が著しく、政策論争はそっちのけで、何かといえばイメージ戦略を展開し、馬鹿の巣窟化しています。

この状況じゃ、夏の参院選は惨敗ですね。バカに対しては、おかしな発言に対して、何度も何度もしつこいくらい「発言確認」すれば、本人は気づかないかもしれませんが、周りの人間には、その馬鹿さ加減が良くわかり、効果的です。特に、周囲に多くの人がいるところで、はっきりと矛盾したことを何度も確認すると効果的です。

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2015年11月10日火曜日

民主党議員よ、頼むから少しは経済を勉強してくれ!~『朝ナマ』に出演して改めて感じた、日本の野党のお粗末さ―【私の論評】第二社会党の道を歩む民主に期待は無駄!本当は増税政党の自民も無理!期待できるのは今は次世代の党のみ!


民主党議員には視力検査が必要だ

6日深夜放送の『朝まで生テレビ』(テレビ朝日系)に出演した。これまで安全保障問題についての野党のダメぶりは、本コラムで何回も書いてきた。

安保法について、その本質をいえば、①同盟関係の強化により戦争リスクを最大40%減らし、②自前防衛より防衛費が75%減り、③個別的自衛権の行使より抑制的(戦後の西ドイツの例)になるという点だ(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44375)。

それにもかかわらず、民主党はまったくトンチンカンで、「戦争法」との誤ったレッテル貼りをしてしまった。これでは極左政党と何ら変わりはない。民主党内でも意見は対立、良心的な松本剛明氏が離党し、比較的まともな党内右派はだんまりを決めてしまった。

2012年の総選挙で、安倍自民党が勝利し政権を奪取したのは、「金融政策とは雇用政策である」ということを理解していたからだ。それを、本コラムでは「安倍自民の勝因は争点を金融政策にしたこと」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34351)と書いた。

『朝ナマ』のテーマは、アベノミクスの総括と社会保障の議論だったが、出演した民主党の山井和則氏は、いまだに雇用政策における金融政策の重要性を理解できていないようだった。山井氏は社会保障分野の専門家であり、そこでは随所に鋭いところも見せるが、肝心の雇用政策では残念ながら知識不足だ。

筆者は、「金融政策の効果を見るには就業者数をみればいい」と、次の図を出した。



このデータほど、安倍政権と民主党政権の金融政策の差を如実に示すものはない。はっきりいって、民主党の完敗である。

ここまで明らかなのに、何を見ているのか、山井氏は民主党時代、「就業者数は増えている」と言い張った。図をもう一回出して、「よく見てくれ」と言おうと思ったが、大人げないのでやめた。

テレビの視聴者からは、「民主党議員は経済政策の勉強ではなく、視力検査が必要」という声もあった。

ピケティにもそっぽを向かれた民主党

ちなみに、マクロ経済の知識があれば、株価から将来の就業者数、将来の大卒内定率も予想することができる。それらは以下の図のとおりだ。株価は、金持ちだけのものだと公言する民主党には辛いデータだろう。何しろ株価が上がるとかなりの確率で、就業者数が伸び、大卒内定率が高まるのだから。






もっとも、金融政策の無理解は山井氏だけの問題ではなく、民主党全体の問題である。

(あえていえば、自民党も、2012年の総裁選では、安倍氏以外は金融政策をわかっていなかったが。2012年9月17日付け本コラム「金融政策のイロハも知らない自称「金融財政のスペシャリスト」も登場!「経済政策」から見た自民党総裁選5氏の「通信簿」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33559 )。

民主党は、ピケティ・ブームにあやかり、ピケティ氏に金融政策を否定させようとしたが、見事に振られた。テレビでも言ったが、ヨーロッパの左派政党は、金融政策を理解して雇用確保のためにそれを使っている。

民主党内にも、金子洋一氏や馬淵澄夫氏ら金融政策をきちんと理解している者もいるので、そうした人に頼んで党内で早く勉強会でもやるべきだ。

左派経済学者の中にも、「左派政党がもっと金融政策を勉強すべき」という人もいるので、そうした人を講師にでも呼び、きちんと勉強すればいい。そうでないと、「雇用の党」の看板が泣くだろうし、政権交代なんて夢のまた夢だ。
そもそも「新アベノミクスの基礎」を分かっていない

『朝ナマ』で言ったのは、アベノミクスの3本の矢は、政策手段としてはオーソドックスで、金融政策と財政政策というマクロ政策、それに規制緩和(成長戦略)というミクロ政策からなるものだということ。これは世界どこでも標準的なもので、代えようがない。

新3本の矢は、以上のマクロ政策とミクロ政策によって「達成すべき目標」である。達成すべき目標のうち、わかりやすいものを3つあげているだけだから、あえて言えば「3本の的」だろう。

これについて、マスコミは新味がないと馬鹿げたことういうが、政策とは手段は世界共通であり、目標もおおざっぱに言えば、GDP増大と雇用の拡大と、これもだいたい世界で同じである。

それをいかにうまくやるかが重要であり、新聞ネタになるような新味なんてあるはずない。マスコミは、こうした基本的な素養がないので、「新味がない」などというトンチンカンな指摘をするのだ。

「一億総活躍社会」というネーミングはどうか、というのはわかる。あえていえば、就業者数が増加して完全雇用状態になることを目指しているのだろう。要するに、すべての人が適材適所で働けるような社会、という意味だ。

これを達成するのは、金融政策や財政政策などのマクロ経済政策を理解していれば、それほど難しくない。失業率を3%程度までに持っていけば、完全雇用状態になって、ほとんどの業者で人手不足になって、賃金が上昇するようになる。

そのためには、金融緩和と財政政策によって、GDPギャップをゼロになるようにすればいい。以下の図も、朝ナマで示した図であり、今のところのGDPギャップ10兆円について、金融緩和を行うとともに、補正予算10兆円で埋めれば、半年程度で完全雇用状態になるだろう。





まず、財政政策であるが、10兆円補正というと、すぐ財源論が出てくる。早くも、「補正は3兆円程度」などととくだらない声(これは財務省のリーク)が聞こえてくる。

本コラムの読者であれば、外為特会で20兆円の含み益があることを知っているだろう。『朝ナマ』でもこれを紹介した。民主党時代は円高だったので、含み損20兆円となっていたが、今や円安になって含み益は20兆円。これは全部国民に還元するべきなのだ。

さらに、労働特会での差益も紹介した。アベノミクスで失業率が下がったので5兆円以上余裕がある(2013年度の労働保険特会雇用勘定資産負債差額は7兆円)。放っておくと厚労省役人がムダものに使う可能性ありがあるので、まず雇用保険料を取り過ぎたといって労働者に半分還元するのが筋だろう。

残り半分を企業に返すかどうかは政策判断であり、これを社会保障財源に充当するのは検討に値する案である。もちろん、こうしたことを官僚任せにするのではなく、政治が必要と判断すれば、法改正を主導すべきである。

『朝ナマ』に出演していた社会保障関係の民間人はいい人ばかりなので、財務省やその走狗に「社会保障財源の確保のため」といわれると、すぐ増税賛成となってしまう。はっきり言えば、消費税が社会保障財源になるといっても、強固なヒモツケではなく、ゴムのようなものだから、消費増税が社会保障増には直にリンクしない。

それを説明してもわかりにくいので、政治的に手が届きやすい「財源」の例を言ったまでだ。これに対して、財務省は筆者の指摘する財源は恒久財源でないと反論するが、恒久財源ではなく当面3年の財源でもいい。当面3年がないとその先もないのだから。

金融政策もぜひ理解してほしい

以上を考えれば、補正10兆円なんて、簡単にできる。その中で、番組内で問題になっていた介護や保育の問題も当面3年は解決できる。

この点は、山井氏も納得できたようだ。もっとも、労働特会も外為特会も、単にアベノミクス効果が出たので、それを素直に国民に還元するというだけの話である。役人の営業努力などまったくないのだから当然だろう。金融政策を理解していないと、これらの財源を役人から取り上げるのも大変だろう。

次に金融政策であるが、ここでは、ちょっと日銀に苦言を呈しておこう。

日本銀行は10月31日、2015年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を公表するとともに、金融緩和を見送った。

その展望レポートの中で、「構造失業率はこのところ3%台前半である」と書かれているが、これは間違いだろう。つまり、今現在でほぼ完全雇用というわけだからだ。

また、日銀が今を完全雇用というのは、同レポート中の図でも現時点でGDPギャップはないとしていることからもわかる。


これは筆者の示したものとまったく違っている。もし、GDPギャップがゼロならば、物価はもっと上がっているはずだし、実質賃金も上がっていなければおかしい。この点は、かつて完全雇用失業率を2%台と主張していた日銀審議委員の原田泰氏から、日銀はよく意見を聞くべきだ。

それにしても、日銀の経済見通しはまったく外れている。2年で2%のインフレ目標もどんどん先延ばしされている。

基本的な経済状況も外している。2014年度の経済成長率について、2013年4月の展望レポートでは1.4%と予想していたが、2014年度が終わった2015年4月には▲0.9%だった。2014年度のインフレ率は、2013年4月の1.6%が2015年4月に0.8%だった。


2015年度も外している。成長率は2014年4月に1.5%だったが、今回の2015年10月には1.2%。インフレ率も2014年4月に1.9%を今回の2015年10月は0.1%まで下方修正している。インフレ率はもう下方修正はないかもしれない。


しかし、成長率では、4-6月期はマイナスとなって、7-9月期もマイナスが予想され、まさに二四半期連続のマイナス成長で景気後退にならんとしている。次の来年1月の中間評価では成長率はさらに下方修正に追い込まれるだろう。
弱い野党が日本をダメにする

逆にいえば、これほどまで足元の経済が悪化しているにもかかわらず、10-12月期以降、急反発すると日銀は考えているのだろうか。かなり甘い経済見通しであるといわざるを得ない。

また、黒田日銀総裁は、「長期的にみれば予想物価上昇率は上昇するという傾向は維持されている」という。予想物価上昇率は金融政策のカギだが、展望レポートのデータをどう読んだら、基調として予想物価上昇率が上がっているのか、少なくとも筆者にはわからない。素直に読めば、予想物価上昇率は下がり気味である。

本来であれば、今回の展望レポートにあわせて追加緩和すべきであった。これほど見通しを外して、政策を打たないというのは、筆者には理解できにくい。

こうした批判は、金融政策を理解できない民主党にはできないだろう。きちんと勉強しないと、健全な野党にもなれないというわけだ。

ここまで民主党ダメだと、安倍政権は民主党が今の体制のうちに、解散総選挙を仕掛けたくなってしまうのではないか。与党がそんな手を打てなくなるような野党が必要である。

高橋洋一

【私の論評】第二社会党の道を歩む民主に期待は無駄!本当は増税政党の自民も無理!期待できるのは今は次世代の党のみ!

民主党のお粗末さは、このブログでも何度も掲載してきました。高橋洋一氏が上で述べていることは、全く正しく的を射たものばかりだと思います。そのため、高橋氏の主張に対して反論するとか、批判するなどということは全くありません。

ただし、自民党の議員も多かれ少なかれ、民主党の議員と同じく「頼むから少しは経済を勉強してくれ」といいたいです。自民党の議員の多くも、民主党ほど酷くはないというだけで、酷いものです。

そもそも、8%増税の事の発端を思い返してみれば、それは良く理解できます。8%増税を言い出したのは元々は、自民党です。

その8%増税に乗っかった形で、自民、民主の連立政権を目論んで、民主党を増税推進派に変えたのがあの菅元総理です。そもそも、自民党は増税推進派が多数派であり、是が非でも、増税したいとする議員が大勢を占めています。これに関しては、このブログにも過去に掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
消費増税の理由 ありとあらゆる理屈つけ8回も政府は変えた―【私の論評】結局、決め手に欠ける来年4月時点での消費税増税の理屈?これで国民は納得するのか、本当に増税してしまえば、増税派議員、財務省に非難が集中することを覚悟しておけ!
8%増税が決まったときの財務事務次官は木下康司だった
 増税論議は、【1】「財政危機論」からスタートした。2006年の段階で、谷垣禎一・財務相(現法相)は、「長期債務(国の借金)のツケを子や孫の世代に先送りしない」と消費増税を主張した。借金穴埋めのための増税は財務省の悲願であり、同省出身の野田毅・自民党税調会長も「消費税を上げないと財政破綻する。国債大暴落になる」(2010年2月)と財政危機を煽った。 
民主党政権は増税反対だったが、菅直人氏が首相になると180度姿勢を転換した。折からの欧州経済危機で「このままいったらギリシャのようになってしまう」(2010年7月)と消費税10%を参院選公約に掲げた。「子孫にツケを回さない」も、「ギリシャにならない」も、財政再建のために増税が必要という論理である。 
しかし、参院選で国民が増税ノーを突きつけ、菅政権が敗北すると増税の理由はコロコロと変わっていく。 
次の口実は東日本大震災だ。菅首相は震災後、参院選敗北でお蔵入りさせた増税論議を【2】「復興財源のため」という口実で再開した。 
面白いことに震災復興のための消費増税に反対したのは自民党と公明党だった。復興財源のための臨時増税にすれば、復興が終われば税率を戻さなければならない。そこで消費増税を恒久増税にするため、当時の石原伸晃・自民党幹事長らは「消費税は社会保障に充当すべきだ」と言い出した。
菅首相の後を継いだ野田佳彦首相はそれを丸呑みし、【3】「消費税増税分は全額、社会保障に使う」(岡田克也・副総理)と国民に説明して民自公3党合意を結んだ。 
それがなぜか【4】「公共事業のため」にすり替わる。国土強靱化を掲げる自民党は増税法案の修正協議で財源を「成長戦略並びに事前防災」に使う条項を盛り込み、「財政破綻する」といっていた野田税調会長まで「税収のうち5兆円は公共事業に使える」ことを認めた。 
そうなると、法案を成立させるためなら何でもありだ。【5】「3党合意だから増税すべし」という理屈が出てくる。公明党の山口那津男・代表は「3党協議で結論を出す政治を確立しないと期待が地に落ちる」と本末転倒な論理を展開し、民自公3党で法案は成立した。 
この時点で、政治家は公共事業拡大に欲の皮が突っ張り、「子孫のため」も「社会保障」もどうでもよくなっていたのである。
そして今度は麻生氏が7月23日のG20会議後に【6】「国際公約になっている。上げなかった方がよほど大きな影響を受ける」と発言。
「経済指標を見極めて判断する」といっていた安倍首相も、東京五輪の招致が決まった途端、増税実施へと大きく舵を切った。【7】「五輪が来たから増税できる」という思惑が透けて見える。
だめ押しは、国債暴落のリテールリスク論で、非常に可能性は低いが、起きたら対応できないリスクのことを意味する。つまり最後の増税理由は【8】「隕石落下ほどわずかな可能性のリスクを避けるため」だったというのである。 
次々と繰り出した増税の理屈の自己矛盾に苦しんだ挙げ句、強引に増税を決め、“七転八倒”の苦しみだけを国民に押しつけたことがよくわかる。
この記事の過去の政府の増税の理屈のうち、【7】の安倍総理が、「五輪が来たから増税できる」と考え、増税に踏み切ったという見方は、私は間違いであると思います。ブログ冒頭の記事で、高橋氏が指摘しているように、安倍総理はマクロ経済政策について、理解しているので、増税には消極的だったと思います。

しかしながら、あの時点では、財務省は無論のこと、野党はもとより、自民党内のほとんどが増税一色で、マスコミも増税一色、識者も増税一色であり、この状況ではさしもの安倍総理も、増税に踏み切らざるを得なかったのだと思います。

「五輪が来たから増税できる」という思惑も、安倍総理がそう考えたというのではなく、自民党議員の多くがそう考えて、総理にその理屈も含めて、増税すべき根拠を示して、増税を迫ったのだと思います。

このような状況で、増税しなければ、それこそ、発足したばかりの安倍政権が崩壊する恐れもあったので、渋々承諾したというのが事実だと思いす。

実際、昨年の暮れには10%増税の見送りを選挙公約に掲げて、実際に大勝利して、延期しています。

そもそも、自民党議員も少しも経済の勉強をしておらず、経済に関しては全く知見を欠いた議員が多いというのが実情です。だから、ほとんどの議員は腹の中では増税すべきと思っています。

ただし、現状では、自民党総裁の安倍総理が、増税をしないという方針を掲げて選挙で勝利しているため、党の方針として、増税はしないということで、一致しているだけであり、「頼むから少しは経済の勉強をしてくれ」というお粗末な議員の集まりであることには今でも変わりありません。

その詐称として、安倍総理自身も今後の活躍に期待した、女性閣僚ですら、増税すべきことを主張しています。それに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
増税派に堕ちた自民党大物議員がアベノミクスを潰す!?―【私の論評】財政再建も安保法制も何でも、周りの空気に流されるな!地頭で考え抜け(゚д゚)!
増税派に堕ちた自民党大物議員 稲田朋美議員 
写真は、ブログ管理人挿入 以下同じ

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、稲田政調会長がそのような発言をしたタイミングについては、この記事には掲載していないので、以下のそのタイミングに関する記事のリンクを掲載します。
甘利氏「論理矛盾」×稲田氏「雨乞い」 財政再建で対立
2015年6月13日06時48分 朝日新聞デジタル
 政府の財政再建をめぐり、甘利明経済再生相と自民党稲田朋美政調会長の対立が12日、表面化した。経済成長による税収増を期待する甘利氏が、歳出額の数値目標を掲げない方向で議論を進めているなか、稲田氏が「2018年度に歳出額の目標設定を行う」との党方針を決定。甘利氏が「論理矛盾」と反発すれば、稲田氏は成長重視路線を「雨乞い」と批判し返した。 
 稲田氏が委員長を務める党財政再建に関する特命委員会はこの日、財政健全化策の最終報告案を決定。党は昨年12月の衆院選で「国・地方の基礎的財政収支(PB)を2020年度に黒字化」と公約しており、中間段階の18年度に歳出額の目標を設定することを明記した。社会保障費の伸びを「年5千億円程度」に抑える目標も掲げた。 
 政府が示す今後の経済成長率(名目3%、実質2%)については「楽観的」と指摘して、「経済成長だけではPB黒字化のめどが立たない」とした。 
 一方、甘利氏が担当相を務める政府の経済財政諮問会議が10日に示した2015年度「骨太の方針」の骨子案では、「18年度のPBの赤字を国内総生産(GDP)比で1%に抑える」としただけで、歳出の上限額は盛り込まれていない。安倍晋三首相が「経済再生なくして財政健全化はなし」という方針を示しており、歳出抑制よりも経済成長による税収増で財政健全化を目指しているためだ。 
 このため、甘利氏は12日の記者会見で党の方針について「(首相の考え方を)共有していながら、経済成長と無関係に歳出を縛るのは論理矛盾だ」と述べ、いら立ちを隠さなかった。 
 これを聞いた稲田氏は反発。「当てにならない(経済)成長を当てにして、雨乞いをしてPB黒字を達成させるとか、そういう話ではない」と語った。稲田氏は16日に首相あてに最終報告を提出するが、党方針が「骨太の方針」に反映されるかは不透明だ。(相原亮、鯨岡仁
ブログ冒頭の記事を書いた、高橋洋一氏は過去に「経済成長なくして、財政再建なし」と述べています。私も、そう思います。日本のGDPの60%以上は、他の先進国と同じように、個人消費によるもので、デフレから完璧に脱却していない状態で、さらに10%増税など実行してしまえば、個人消費が減り、結局のところ税収も減ることになります。

税収が減れば、財政債権もままならなくなります。そんなことよりも、今は金融緩和と、増税などの緊縮財政などはやめて、積極財政を実行して、デフレからいち早く完全脱却することが、最優先課題のはずです。

そんなときに、増税するなどと語るのは、全くの経済オンチとしか、いわざるをえません。

こういう流れをみていると、自民党も本当は、民主党と変わらないくらい経済オンチの集団であるということがいえると思います。

ただし、民主党と比べて自民党にはまだ希望があります。実は甘利氏自身が、従来は経済オンチであり、無論増税推進派であったのですが、それがあの粘り強いTPP交渉をしているうちに、いつの間にか経済に関しても上記のようにまともな発言をするようになりました。

甘利明経済再生相

まともに、国民や日本という国をまともに真剣に考えた場合、やはり甘利氏のようになるのが当たり前だと思います。そうして、特に安倍総理の意を組めば、甘利氏のようになるのが当たり前のことだと思います。これからすると、稲田朋美に関しては本当に疑問符がつきます。

残念ながら、民主党にはそのような事例は見受けられませんし、そもそも党代表が純然たる経済オンチですし、安全保証に関しても、頓珍漢を通り越して、摩訶不思議な領域に達していますから、確かにごく一部金子議員や馬渕氏のようにまともな議員もいますが、私としては、もう民主党は、次の選挙でボロ負けして、過去の社会党のような道をたどるものと思います。期待するほうが、無理というものです。ただし、まともな議員が数少なくとも存在するということでは、かつての社会党よりはましかもしれません。

さて、こんなことを考えると、自民党も野党も特に経済、特にマクロ経済に関しては、まともに理解している議員が少ないです。大阪維新の党に関しても、まずは橋下氏があまり経済に明るくないです。それに、大阪維新の党は、そもそも大阪を地盤とする党ですから、経済というとまずは、緊縮財政というほうに傾くのは当然のことで、国政、その中でも、マクロ政策ということになると、現状ではかなり無理があるものと思います。

こうした中で、最近随分とまともなことを言う政党が出てきました。それは、あの次世代の党です。次世代の党の政策については、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【次世代の党ニュース】経済の現状を踏まえた緊急提言を提出―【私の論評】野田聖子も、稲田朋美もまとな政治家の器ではない!まともなのは輝きを増す中山恭子氏だ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、次世代の党の政策は、以下のようなものです。

"デフレ脱却まで徹底した金融緩和・消費増税10%の延期外為特会の含み益20兆円を活用した補正予算を組み景気対策・金融緩和で名目成長率5%をめざす" 

非常にまともです。これでは、高橋洋一氏も両手を上げて大賛成でしょう。高橋氏は、当然のことながら、次世代の党に関してはお粗末とは思っていないでしょう。

ただし、次世代の党は成立してからまだ間もないし、それに議員数も少ないです。参議院議員5人、衆議院議員0人、地方議員は8人です。

この状況では、まだまだ国政に大きな影響を及ぼすことはかないません。高橋洋一氏の言うように、日本の野党は、民主党をはじめとして、非常にお粗末です。

その中で、特にマクロ経済政策に関して、はじめてまともなことをいう政党がでてきたわけですが、残念ながらまだまだ小さな存在です。

しかし、まだ昨年結党されたばかりの政党ですから、今後の頑張り次第です。何とか、党勢を拡大して、国政に大きな影響を与える存在になっていただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年4月6日月曜日

黒田日銀、異次元の緩和から2年、「2倍、2%」 を批判する前に、もっと勉強しないといけない左派新聞、左派文化人たち―【私の論評】雇用と金融政策の関係を理解しない左派、左翼は百害あって一利なし!そんな輩はすぐにも活動を停止せよ(゚д゚)!

黒田日銀、異次元の緩和から2年、「2倍、2%」 を批判する前に、もっと勉強しないといけない左派新聞、左派文化人たち



2年前の4月4日、黒田日銀総裁は、2年で2倍、2%を目指す異次元緩和を行った。

左派系3新聞の社説がそっくり

この2年間の評価について、4月4日には左派系3新聞が社説を出している。

朝日新聞「黒田緩和2年 拡大続行よりやめ方を」(http://www.asahi.com/articles/DA3S11687276.html

毎日新聞「異次元緩和2年 柔軟な政策へ転換を」(http://mainichi.jp/opinion/news/20150404k0000m070099000c.html

東京新聞「異次元緩和2年 目標未達の説明果たせ」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015040402000156.html

いずれも似ている。円安を罪悪視し、インフレ目標が達成できないことや日銀が国債を買うリスクを問題視している。そして、左派系であるにもかかわらず、雇用の改善はまったく無視している。さらに、消費増税の影響も無視だ。

かつて、東京新聞は金融政策や消費税ではいい社説もあったが、今や朝日新聞や毎日新聞の補完で、安倍総理の行うこと、アベノミクス憎しなのだろうか。

異次元緩和の正確な表現は、つぎのとおりである(http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。

2年で2倍なのはマネタリーベースの拡大であり、2%は「2年程度の期間を念頭に置いて」という程度の話だ。

異次元緩和反対派の予想は完全にはずれ

そもそもインフレ目標は「ガチガチ」のルールではない。かといって「ユルユル」の裁量的なものでもない。バーナンキの言を借りれば、ルールと裁量の双方の性格をもつ「制約された裁量」であり、彼は市場とのコミュニケーションツールともいっている。

インフレ目標ではプラスマイナス1%が許容範囲といわれている。先進国のこれまでの実績では、その許容範囲に7割程度収まっておるが、それが達成できない場合には、説明責任を果たさなければいけない。

マスコミの人は、2年で2%のインフレ目標というのを、「2015年4月で消費者物価総合指数対前年同月比2%」と思い込んでいるが、「2015年4月~2016年3月という1年間で消費者物価総合指数対前年同月比1~3%」という程度である。

ともあれ、過去4年間で、異次元緩和の前後2年の経済パフォーマンスをみてみよう。

インフレ率を消費者物価指数総合の対前年同月比でみると、異次元緩和の前にはマイナス基調だった。その後、異次元緩和で上がりだし、消費増税前までは順調に上昇していた。量的緩和がスタートした2013年4月に▲0.7であったが、2014年5月には1.6%まで上昇した。ところが、消費増税に影響で消費が減退し、2015年2月には0.1%まで低下している(消費増税による見かけ上の影響が2.1%として計算)。(図1)



図1 CPI総合(対前年同月比)の推移
日経平均では、異次元緩和の前までは1万円にもならない横ばい傾向だったが、異次元緩和以降、かなりのペースで上昇している。(図2)



図2 日経平均(月末値)の推移
ドル円は、株価と似た動きだ。異次元緩和の前までは1ドル80円程度の円高であったが、異次元緩和以降、円安が進んでいる。(図3)



図3 ドル円(月中平均)の推移
長期金利は、異次元緩和の前まで低下し、もうそれ以上の低下はないと思われていたが、さらに低下を続けている。異次元緩和になったことは、これ以上の低下はないので、逆に金利上昇し、財政破綻もあるという批判が、異次元緩和への反対論者から出されたが、金利は低下し、そうした人たちの予想はまったく外れている。(図4)





図4 10年国債金利(月末)の推移

左派系には雇用が重要なはずなのに…

雇用はどうだろうか。左派系にとって、雇用が重要なはずだ。しかし、異次元緩和を批判したいために、株価は上がるが、人々の暮らしはよくならないという。しかし、その批判は完全にそらしである。

金融政策による雇用の安定化に着目して、いち早く正統性を主張したのは、ヨーロッパの左派である。ヨーロッパの社会民主主義政党の集まりの「欧州社会党」や共産党などの集まりである「欧州左翼党」の主張を調べてもらえればいい。

「欧州社会党」(ヨーロッパの社会民主主義政党の集まり)は、雇用確保のために欧州中央銀行の政策変更を要求していし、金融政策と財政政策が協調して雇用を確保するために、欧州中央銀行を民主的に管理することを求めている。そして、欧州中央銀行の役割として、物価の安定のみならず、雇用の確保も必要とすべきという。

雇用政策を勉強しなければいけない人たち

なお、米国では、FRB(連邦準備制度)の責務として、物価の安定とともに雇用の確保も入っている。米国の大統領選では雇用や失業は、常に大きな争点である。

筆者はマスコミに雇用問題でどこに取材するかと聞く。ほとんどの人は厚労省に取材するという。もし米国だったらどうだろうか、労働省ではなくFRBだ。政府は統計数字を作るだけで、雇用を拡大することができるのはFRBである。

欧米では、金融政策は雇用政策とほぼ同義であるとされている。というのは、短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線と呼ばれ、右肩下がりとなる)があり、犠牲率の概念が広く共有されている。

その上で、就業者数について、異次元緩和の前後2年をみると、明暗がはっきり分かれる。異次元緩和はしかりと雇用を作り出したのだ。(図5)


図5 就業者数(万人)の推移

雇用を新たに作り出したので、その人たちの暮らしはよくなった。賃金が上がらないとか、雇用が非正規とかいうが、失業がなくなったことをまず評価しよう。経済理論が教えることは、失業がなくなるにつれて、賃金は上がりだし、非正規は正規に変わっていくということだ。つまり、金融政策を否定するのではなく、それを評価し、それを継続すればいいわけだ。

株価と半年後の就業者数には相関関係がある

左派系知識人は、すぐに株価は上がるから資産家はいいが庶民は大変だというレトリックを用いる。これはやめたほうがいい。というのは、株価は半年先の就業者数ときわめて相関しているのだ。つまり、株価が上がると半年先の雇用が増えるのだ。(図6)


図6 日経平均(左軸、円)と6月先就業者数(右軸、万人)

断っておくが、これは株価と半年先の就業者数に因果関係があるというわけではない。景気がよくなると、株価はそれを先取りし、就業者数は半年遅れて上がり出すというわけなのだ。

雇用が増えているので、雇用者などの所得の合算ともいえるGDPも増えている。ただし、消費増税以降、GDPは大きく落ちている。GDPの動きは、インフレ率の動きと若干似ているところがあり、ともに消費増税による需要減退の影響を受けて、消費増税後はさえない。(図7)


図7 実質GDP(兆円)の推移

ちなみに、インフレ率については、マネタリーベース(対前年同月比、3ヵ月ラグ)と消費増税(6ヵ月ラグ)でよく説明できる。(図8)


図8 インフレ率(現実と予測値)の推移

むしろ問題は金融政策ではなく、消費増税であった。このように明らかに消費増税の影響があるにもかかわらず、黒田総裁は言わないのは、ちょっと理解に苦しむ。マスコミからそうした質問が出ないのも理解に苦しむ。黒田総裁もマスコミもともに、消費増税の影響が軽微であると間違ったからである。

インフレ率について、まったく目標に達していないというのではないが、今の状況の説明責任をしっかり果たせば自ずと対応策もでてくる。

もし消費増税の影響とはっきり言えば、消費増税の影響を相殺するためには、一番いいのは、消費減税である。財政策の枠内で、消費減税に似たような効果のある対策はいくらでもだせる。おそらく、年後半になれば、減税補正予算などが政治的課題になってくるはずだ。

左派系知識人、マスコミ、政党がもう少し賢ければ、金融政策ではなく、消費増税を攻めるだろう。

安倍政権も金融政策はいいが、消費増税という失敗があった。そうであるにもかかわらず、左派系知識人は財務省のいいなりで財政再建のためには消費増税というまったく間違ったことをいってきた。消費増税は民主党時代に仕組まれたとはいえ、その地雷を踏んだ安倍政権を攻められない今の左派系はまったく情けない。

安倍首相が、政労使会議に乗り込んで、左派政党のお株を奪う賃上げを要請する姿を見て、民主党は悔しくないのだろうか。このままだと、経済政策で安倍政権にはまったく歯が立たないという状態がつづくだろう。

高橋洋一

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】雇用と金融政策の関係を理解しない左派、左翼は百害あって一利なし!そんな輩はすぐにも活動を停止せよ(゚д゚)!

さすが、高橋洋一氏の解説です。過不足なく、現状の経済の内容を伝えています。そのため、上の記事に関しては、私が付け足すようなことは全くありません。しいて、いえば実質賃金の問題もありますが、それはここでは解説しません。しかし、実質賃金の低下したのは、一時のことであり、その原因はやはり消費税増税であることは、あまりにも明らかです。

消費税が上がれば、どう考えてみても、実質賃金が目減りするのは当然のことであるので、高橋洋一氏はわざわざ解説しなかったのだと思います。それにしても、実質賃金の低下は増税のせいではなく、これも金融緩和のせいであるとか、アベノミクスのせいであるとするマスコミや、似非識者が多いのには本当に困りものです。

上の高橋洋一氏の解説における現状の経済の状況は、短くまとめてしまうと、以下のようになると思います。
そもそもインフレ目標は「ガチガチ」のルールではない。かといって「ユルユル」の裁量的なものでもない。これは、ルールと裁量の双方の性格をもつ「制約された裁量」であり市場とのコミュニケーションツールでもある。 
金融政策は雇用政策とほぼ同義であるとされている。短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線と呼ばれ、右肩下がりとなる)があり、犠牲率の概念が広く共有されている。 
消費増税以降、GDPは大きく落ちている。GDPの動きは、インフレ率の動きと若干似ているところがあり、ともに消費増税による需要減退の影響を受けて、消費増税後はさえない。
この三つに関しては、常識的なものであり、特に経済の勉強などしなくても、まともな報道など見ていれば、良く理解できるはずの筋合いのものです。そんなに難しいことはではありません。しかも、高橋氏は上記のように現実の数字をグラフにして解説しています。これは、何も今始まったことではなく、随分前から実施していることです。なのに、左派新聞や、左派文化人たちはこれを理解してないというから驚きです。

特に左派新聞や、左派文化人、左翼が金融政策と雇用政策が密接な関係があり、ほぼ同義とされることを知らないということは、驚きです。それも、今に至るまで理解できないというのは、全くのん驚きです。 ということは、彼らは、雇用問題に関しては全く理解できないし、していないということです。

これについては、随分前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

この記事は、平成12年9月のものです。この時期は、無論のことまだ野田政権の時代でした。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に雇用政策と金融政策との関係について述べた部分のみ以下に抜粋します。
若年層の雇用情勢の改善に向け、野田佳彦首相の肝いりでまとめられた今回の若者雇用戦略。ただし、その内容は全国の大学にハローワークの窓口を設けるなど、既存の政策を拡充するものばかりだ。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「雇用のことって正直、よく分からないんだよね」。今春まで約8年間、東京都内のハローワークで契約職員として勤務していたある女性は、正規職員の上司が何気なく発した言葉に愕然としたことがある。
これは野田政権のときの、野田首相の若者雇用戦略について述べたものですが、野田政権は、金融緩和にはノータッチで、ハローワークなど既存の政策を拡充することばかりで、結局若者雇用も、それ以外の雇用政策もことごとく大失敗していました。全く効き目がありませんでした。

第三次野田内閣の綿々 誰一人金融政策の意味を知らない


それは、そうです、デフレであるにもかかわらず、金融緩和はせずに、ハローワークを強化してたとしても、そもそも雇用枠が少なくなっているのですから、意味はありません。この記事では、ハローワークの契約社員の方が、「雇用のことって正直、よく分からないんだよね」と正規職員の上司が発した言葉に愕然としたとありますが、私は、この上司の正規職員は正直な方だと思います。

さらに、この記事に続けて、私は金融政策と雇用政策に関して以下のような論評を行いました。
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。 
この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。
民主党政権時代の女子就活は聞くも涙、語るも涙の惨憺たるありさまだった
このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。 
日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。 
無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。
それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。
このように、雇用と金融政策との間には密接な関係があり、それは他の先進国では当たり前のことであり、日本だけが特殊であるということはありません。

しかし、未だに上の高橋洋一氏の記事にも掲載されているように、「筆者はマスコミに雇用問題でどこに取材するかと聞く。ほとんどの人は厚労省に取材するという」という具合に、マスコミは未だに雇用というと、日銀は全く関係なく、厚労省の管轄であると思い込んでいるようです。

しかし、先のハローワークの正規職員の上司のように、厚生労働省は、雇用枠を増やすことなどできません。定まった雇用枠の中で、職業の斡旋や、仲介をするだけです。ですから、厚労省に雇用情勢のことを聴いても分からないのが当たり前です。

厚生労働省と雇用情勢との間に直接の関係はない

それにしても、この記事の当時はまだ平成12年であり、野田政権の時代で、金融緩和もされておらず、この当時であれば、まだ雇用と金融政策の関係について知らなかったとしてもまだ許せるような気がします。無論本当は、全く許せないのですが・・・・・・・・。

しかし、金融緩和をしてから2年たった現在、確かに増税の影響により、雇用は悪化したところもあり、実質賃金も下がった時期もありました。それでも、全体的に見れば雇用は明らかに野田政権のときと比較すれば、大幅に改善しています。動かぬ証拠もあります。上の高橋洋一氏のグラフ以外にも証拠はあります。


このグラフをみれば明らかです。この内定率は、バブル崩壊前の水準に戻っています。増税の影響などなきがごとしです。いや、あったのかもしれません。もし増税がなけば、さらに良くなっていた可能性もあります。

民主党政権下ではこのようになったことは一度もありません。たとえマクロ経済学など勉強しなくても、上の高橋洋一氏のグラフや、このグラフ、その他の様々な数値をみていれば、経済が相対的に良くなってきていることは実感できます。

にもかかわらず、この期に及んで、雇用と金融政策との間の関係を理解できないというのは全く信じられません。他のことは目をつむっても、このことだけは絶対に許せません。

これができない、左派新聞や、左派文化人や、左翼は、百害あって一利なしです。日々頓珍漢で奇妙奇天烈な、言説を振りまき、多くの人々を惑わすだけです。もう活動を休止しなさいと言いたいです。

私は、そう思います。皆さんは、どうおもわれますか?

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