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2019年6月3日月曜日

消費増税のために財務省が繰り出す「屁理屈」をすべて論破しよう―【私の論評】財務省の既存の手口、新たな手口に惑わされるな(゚д゚)!

消費増税のために財務省が繰り出す「屁理屈」をすべて論破しよう

「大地震発生で財政破綻するから」…?

高橋洋一氏

財政の「正論」に消費税は不要である

これまで、財務省は消費税を増税するために、いろいろな理屈を言ってきた。

今から30年くらい前には、(1)直間比率の是正だった。これは理屈というより、単に消費税を導入したいという願望だ。税金を直接税と間接税に分けても、その比率は国によって様々であるので、最適比率を探そうとしても無駄だからだ。

次には(2)財政破綻だ。財務省は、国の借金残高がこれまで急増していることを理由に、表だって「財政破綻する」とまでは断言しないものの、いろいろな局面で「ポチ」を使って、陰に陽に財政破綻論を国民に吹き込んでいる。

しかし、本コラムで再三述べているように、「借金」だけではなく「資産」を考慮しないと、本当の財政状況は理解できない。

そこで、市場で取引されているCDS(クレジットデフォルトスワップ。日本国債の「保険料」みたいなもの)から、現在の日本の財政破綻確率を推計すると、今後5年間で1%程度と、ほぼ無視できる低さなのだ。このあたりに興味のある方は、昨年10月15日付けの本コラム「IMFが公表した日本の財政『衝撃レポート』の中身を分析する」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57978)等を参照していただきたい。

その次に財務省が消費増税の理由として出してきたのが、(3)社会保障のため、というものだ。しかし、これも本コラムで繰り返し述べてきたように、社会保障の財源には社会保険料をあてるのが筋だ。

なにしろ、消費税を社会保障目的税とする国はない。社会保険料が究極の「社会保障目的税」なのだから。もちろん、すべての人に社会保険料を払わせるのは不適当なので、それが払えない人の分は累進所得税によって賄う。

財政に関する「正論」には、消費税などどこにも出てこない。

例えば社会保障を充実させたいなら、現在放置されている社会保険料の徴収漏れについて対策を打つことがまず先決だ。

その具体策が、世界の多くの国がやっているのに、日本ではやっていない「歳入庁」の創設である。歳入庁を、こちらも海外と比べて遅ればせながら導入された、「マイナンバー制度」による所得の捕捉と組み合わせることが重要だろう。

筆者は、かつて第一次安倍政権において歳入庁を創設しようとして、財務省の猛烈な反対にあった。

その理由は、「国税庁を財務省の配下におけなくなると、財務省からの天下りに支障が出る」という実に情けないもので、愕然とさせられた。彼ら財務官僚は、口では偉そうに国家を語るが、その本音は自己保身でしかないことがわかり、興ざめしたものだ。

「大地震」という新たな理屈

(1)直間比率の是正、(2)財政破綻、(3)社会保障という「消費税増税のための理屈」それぞれの間違いを指摘してきたが、ここに最近、新たに4つ目として「大地震の可能性」も加わったようだ。

もっともこれは、いつものように財務省が前面に出ることはない。財務省は「ポチ」と言われる、自らの言いなりになるマスコミ人や学者を駆使するのだ。

まずはマスコミ人だ。筆者は、5月26日放送のBS朝日の「激論!クロスファイア」において、原真人・朝日新聞編集委員と討論した。

そこで原氏は、近い将来の大地震発生確率の高さに触れて、財政破綻の可能性を主張した。YouTubeなどを探せば、この時の状況がわかる(例えば、https://www.youtube.com/watch?v=n1bPxAVTX6w&list=PLZNNFTj6GlEP_zYOlpNykSJy7gtQaYlGW )。

筆者は、「財政破綻がリスクであると言うなら、確率として表現すべきだ」と指摘したが、原氏は一切説明できなかった。もちろん筆者は、「財政破綻の確率は今後5年以内で1%程度、一方で首都直下地震の確率は今後5年以内に1割強だから、桁がひとつ違う」と数字を挙げて説明した。

やりとりを見てもらえばわかると思うのだが、原氏の論は苦しい。財政破綻のリスクと言い募りながら、具体的なことが言えないのだ。司会者の田原総一郎氏からも「しっかりして」と言われていた。

原氏のツイッターには、「先の日曜深夜に放映されたBS朝日『激論クロスファイア』で、リフレ派の中心、高橋洋一氏と初めて討論した。都合のいいデータと数字、解釈だけ持ち出して議論してくるのにはうんざり。」と書いてある。

筆者の論拠が「都合のいいデータと数字、解釈」であるなら反論も簡単なはずだが、原氏はそれができなかった。当該ツイートのコメント欄を見ても、原氏に対して辛辣なものばかりだ(https://twitter.com/makotoha/status/1133562158011129856)。


なお原氏は、番組の中で資料を使っていたが、その内容は財務省の資料そのものであった。筆者は番組収録中にすでに気がついていたが、財務省の資料そのものを、出典も明記せずに使うのは、マスコミ人としても問題だろう。



その資料の内容についても指摘しておきたい。

原氏は「戦争による財政破綻と今の状況が似ている」と言いたかったようだが、まったく違う。まず、(1)財務省資料には政府資産の額が書かれていない。戦争期には実質的に政府資産がなかったが、現在は資産がたっぷりあるという点で、事情が異なっている。

また、(2)社会の生産力も大きく異なる。戦争期の日本は生産手段を破壊され、生産力がほぼ皆無という状況に追い込まれているが、今は技術に支えられた生産力があり、これまたまったく事情が異なる。そもそも、戦時中〜戦後に酷いインフレになるのは日本に限らず、どこの国でも見られる現象だ。

なお、(1)直間比率の是正、(2)財政破綻、(3)社会保障それぞれについての筆者の詳しい見解は、政策カフェ「高橋洋一教授出演!「消費増税 賛否両論」(優子の部屋 特別版)」(https://www.youtube.com/watch?v=vBHJp4QKBXs)でまとめているのでご覧いただきたい。

東日本大震災の教訓

次に、学者にも、大震災を理由に消費増税を主張する人が出てきた。

吉川洋・立正大学長は、「首都直下、南海トラフなどの大地震も財政破綻の引き金になり得るとみて、これに備えるためにも地道な財政再建が必要であり、原則消費増税を実施すべきだ」と主張する(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-30/PS9RQK6TTDS301)。

大震災対応の一般論について考えてみよう。

仮に、大震災が500年に1度発生するとしよう。事前の対策としては建物などの減震・免震が考えられるが、これはインフラ整備のため、長期国債発行で賄われる。事後対応としてもやはり国債発行により復興対策が行われるが、大震災発生の確率から考えれば500年債、500年償還とするのが適切だ。

いずれにしても、増税は悪手だ。というのも、増税が大震災の経済ショックを増幅するダブルパンチになるからである。

こうした話は、経済学の大学院レベルの課税平準化理論の簡単な応用問題だ。しかし、実際に東日本大震災が発生した際、民主党政権下では財務省の主導により、復興対策費用は復興増税で賄われ、長期国債は発行されず課税平準化理論は無視された。

もちろん筆者は、2011年3月14日付本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/2254)や4月18日付本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/2463)などで復興増税を批判した。

しかし、日本の主流派経済学者は、ほとんど全員が東日本大震災後の復興増税に賛同した。その賛同者リストは、今でも見ることができる(http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm)。この愚策のために、いまや日本の大学の経済学の講義では、まともな理論を教えられなくなってしまった。

吉川氏の意見は、東日本大震災後の愚かな政策を再び実行しようと唱えているわけで、筆者にとっては信じがたい。
なお吉川氏は、2014年の消費増税前、その影響について「軽微だ」と述べ、予想を外している。実際には増税後に景気動向指数が低下し、誰の目にも景気悪化は明らかだった。
ところが、景気の「山」や「谷」を判断する、内閣府の景気動向指数研究会も「消費増税による景気悪化はなかった」としている。この景気動向指数研究会の座長は、実は吉川氏だった。さもありなんという話だ。

消費増税の理由に、(4)大地震の可能性を持ち出すのは筋悪だ。上に書いたように、そもそも震災対応は増税によるべきでない。さらに、大地震は今後30年間で7割の確率、今後5年以内では1割強の確率で発生するといわれ、そのリスクは財政破綻の確率1%程度に比べて桁違いに大きい。これは、大地震でも財政破綻など起こらないことを意味する。

もし本当に、この「財政破綻の確率は1%」が間違いだと思うなら、市場でCDS(クレジットデフォルトスワップ)を購入すれば、確実に儲けられる。大地震論法を採用している人はCDSを買っているのだろうか。そうした行動をせずに、財政破綻だけ主張することを、一般的には「煽り」という。
財務省に「直接対決」を申し込むと…

筆者は、これまで上記のような「消費増税のための理屈」がいかにバカバカしいかについて、様々な場で書いたり、話したりしてきた。

ただし、こうした手法はまどろっこしいので、「増税の理屈の『発信元』と思われる財務省に直接言えばいいのではないか」と思うに至った。幸いなことに、政策NPO「万年野党」が運営協力している政策カフェで、財務省による「訪問講座」(https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/houmon.php)を使った企画が出てきた(https://twitter.com/seisaku_cafe/status/1133953980457934848)。
【どうなる消費増税?】7/1 19時~,『財務省出張講座』を依頼中です。
政策カフェチャンネルでは前回,不要論の高橋洋一先生@YoichiTakahashiのお話を伺いました。次回は財務省のご担当者からお話を伺ってみたいと思っています。動画配信他,会場参加の申込も受付ける予定です。
(準備が整い次第受付開始)

財務省による「訪問講座」とは、「税の仕組みや税を取り巻く状況等の説明、意見交換を目的として、皆さんの集まりや勉強会、職場研修、ゼミ、中学・高校の授業等に(財務省)職員が訪問して話す」というものである。そこに筆者が参加すれば、財務官僚とじかに「意見交換」ができる。

しかし財務省は、「YouTube等の不特定多数が視聴される媒体等への出席はご遠慮させて頂いております」とし、拒否してきた(https://twitter.com/seisaku_cafe/status/1134468192892416000)。


なお、高橋洋一先生をお招きした会の動画は、こちらからご覧頂けます。https://youtu.be/vBHJp4QKBXs 
【調整報告1-1】財務省さんから残念ながら「Youtube等の不特定多数が視聴される媒体等への出席はご遠慮させて頂いております」とのご回答を頂きました。
(続く)
税に関する議論は広く国民に共有されるべきはずなのに、財務省自ら、不特定多数が視聴する「もっともオープンな場」を避けるとは実に情けない。

【私の論評】財務省の既存の手口、新たな手口に惑わされるな(゚д゚)!

上の記事でも、クロスファイア 「高橋洋一 ✕ 原真人」のリンクが貼ってありましたが、同じクロスファイアの番組でも、小沢一郎が出演している「選挙」関連のものにリンクされていたので、以下に正しいリンクを貼っておきます。


この動画、勝ち負けで判断したくはないですしそれ以前の話ではあるのですが、高橋教授の完封勝利です。 高橋教授は確率に基づく数字を提示しているのですが、原氏は何らの数字的な根拠を示されていないです。 反対の意思表示を示すのであるならばそれなりに数字で表して説明しないと議論以前の問題です。

上の高橋洋一の記事と、この動画をご覧いただければ、現在の日本経済の諸問題が明らかになると思います。

この記事に改めて、何かを新たに付け加えることもありませんが、しいて付け加えるとすれば、上の記事の中にある課税平準化理論という言葉の意味をさらに詳細に理解しやす形で付け加えようと思います。

これは、高橋洋一氏はあまりも当然のことなので、詳しく説明する必要もないと判断したのでしょう。私自信も、当然のことだとは思うのですが、周りの人に聞いてみると地震の復興を税金で行うべきか、国債をもちいるべきなのか、あやふやな人が結構いたので。今回はこれについて説明しようと思います。

結論からいうと、これは高橋洋一氏も語るように、国債を用いるべきなのですが、その正解をいえるためには、課税平準化理論の意味を知っていることが前提となります。

大震災が起こったときに、その復興などに増税で賄うような国はないです。日本の復興税だけが、世界の例外です。古今東西にこれだけが、唯一の例外です。ただし、古代はどうだったのか、あるいは聞いたことがない国に地域まで絶対なかったとはいえませんので、誰かご存知の方がいらっしゃいましたら是非教えていただきたいです。無論その結果も含めて教えていただきたいです。

しかし、ネットで調べた限りではそのような国は古今東西ありませんでした。繰り返しいいますが、日本だけが例外です。このようなときには、長期国債を使うのがマクロ経済学上のセオリーです。「課税の標準化(タックス・スムージング)」という理論があるように、課税のインパクトは薄く伸ばして緩和させるのが基本です。

仮に百年に一度の震災だとすれば、震災の経済に与えるショックを百年にわたって広く薄く負担し、軽減させるため、百年債を発行して100分の1ずつ償還します。それが世界中の財政の常識です。これを否定する人は世界中に誰もいません。いるとすれば、日本の財務省の官僚か、財務省の走狗に成り果てたエコノミストや識者だけでしょう。

なぜそのようなことをするかといえば、世代間の不公平を是正するためです。百年に一度の地震に関して復興税で復興してしまえば、地震が発生した世代にだけ負担が重くのしかかります。

復興では、様々なインフラを整備します。その多くは、地震が起こった時の世代だけではなくその後の世代も使い続けます。だからこそ、百年債を発行して、毎年広く世代間で平準化し、地震に遭遇した時代の世代や他世代の負担を減らすのです。国債は、次世代につけをまわすなどのことは全くの詭弁以外の何者でもありません。そうではなく、せだいか復興税など、全くこの「課税標準化理論」からすれば、矛盾にみちみちています。

結局のところ、財務省は増税できるなら、何で良いようです。経済理論などを捻じ曲げても、国民生活が悪くなろうが、とにかく増税さえできれば、自分たちの勝ちと考えているようです。

さて、このようなことを考えているうちに、最近の財務省増税に向けての動きがもう一つあったことを思い出しました。

それは、GWも明け直後からいきなり朝日新聞を利用した財務省のMMT派への攻撃が始まったことです。朝日新聞が5月7日以下のような記事を掲載しました。一部を引用します。
「MMT」に気をつけろ! 財務省が異端理論に警戒警報
 財政の破綻(はたん)など起きっこないから、政府はもっと借金してもっとお金を使え――米国で注目を集める「MMT」(Modern Monetary Theory=現代金融理論)と呼ばれる経済理論が、日本の政治家の間にも広まり始めている。政府が膨大な借金を抱えても問題はない、と説くこの理論は米国で主流派経済学者から「異端」視され、論争を巻き起こしている。これまで消費増税を2度延期し、財政再建目標の達成時期も先送りしてきた日本では、一見心地よく聞こえそうなMMTはどう受け止められていくのだろうか。 
 4月22日午後、東京・永田町の衆院議員会館の会議室に、10人あまりの国会議員が集まった。自民党の若手議員らが日本の財政問題などを考えるために立ち上げた「日本の未来を考える勉強会」の会合。テーマは「MMT」だ。 
 この会でMMTが取り上げられるのは、一昨年以降、これで3回目という。最近、MMTの提唱者のニューヨーク州立大教授、ステファニー・ケルトン氏のインタビューが報じられるなど、日本のメディアでもMMTが取り上げられ始め、勉強会の参加者の一人は「世界が、我々に追いついてきたね」と誇らしげだ。(後略)』
後略部で、「評論家」の中野剛志氏について、わざわざ「現役の経産官僚でありながら」と書いている時点で、悪意というか「攻撃の意思」むき出しです。

ちなみに、財務官僚はMMTについて、「(MMTは)要するに、いっぱいお金を使いたい人が言っているだけ。論評に値しない。(経済政策の)手詰まり感の現れだろう」(ある財務省幹部)と、予想通り「論評に値しない」と切り捨てています。

論評に値しないならば、無視すればいいのに、そうすることもできないようです。

議論になったら負けるので、MMT派(というか反・緊縮財政派)に対する個人攻撃、誹謗中傷や、ストローマン・プロパガンダ、権威・プロパガンダ等々で貶め、潰そうとしてきているわけです。

私自身は、MMTに関しては、もしある国が有する生産性能力を超えてまで、過剰に貨幣を増やせば、当然過剰なインフレになるのは明らかなので、この点一点をもっても、かなり懐疑的です。政府の借金についても、このブログにも述べているように、無論現状の日本はそのような状況ではないではないので、心配する必要もないですが、際限なく借金しても問題がないという考え方には賛同はできません。

やはり、一昨日にも掲載した、「現在の日本の環境では、プライマリーバランス赤字を継続し、おそらくはプライマリーバランス赤字を拡大し、国債の増加を受け入れることが求められています。プライマリーバランス赤字は、需要と産出を支え、金融政策への負担を和らげ、将来の経済成長を促進するものです。要するに、プライマリーバランス赤字によるコストは小さく、高水準の国債によるリスクは低いのです」という考え方には、多いに賛成です。

そうして、この考えは、何もMMTなる理論でなくても、既存のマクロ経済学で十分に説明できます。だから、なせMMTなる理論を持ち出すのかその意味がわかりません。さらに、困ったこととには、MMT派の人々は、その理論を数式用いて説明していません。

MMTにはモデルがなく滋賀って数式もないです。そのためか、主張する人によって中身が変わります。これでは議論のしようがないです。これについては、以下の動画をご覧いただくとご理解いただけるものと思います。



以上のようなことから、欧米でもまともな経済学者はMMTに関してはほとんど相手にしていないというのが実情です。

それにしても、この財務省の動きは気になります。今後も、MMT派に対する様々な攻撃(特に、スキャンダル系)が続くものと思います。

この動きは、財務省による増税キャンペーンにも関係あるのではないかと思います。結局のところ、MMTを批判することによって、既存のマクロ経済の理論まで否定して、増税のための根拠に仕立てる魂胆ではないかと思うのです。

興味深いことに、朝日新聞は菅官房長官が顧問の「政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟」についても取り上げています。(自民党の20人超の有志議員で構成)

政府の負債(国の借金ではない)、具体的には国債・財投債の内、すでに46%が日銀保有しています。

【2018年末時点 日本国債・財投債所有者別内訳(総計は1013兆円)】


日銀が保有する国債について、政府は返済負担や利払い負担がありません(子会社ですから)。

日本銀行の株式の55%は、日本政府が所有しています。日本銀行は歴とした日本政府の子会社です。日本銀行のホームページには、
本銀行は、特別の法律(日本銀行法)により設立され、設立に関し行政庁の認可が必要な「認可法人」と位置付けられています。日本銀行は株式会社ではなく、また株主総会もありません。
と、書かれていますが、何しろ日本銀行は「株式」を東証JASDAQに上場しているのです。現時点で、日本銀行の株価は一株36,000円程度で、単位株式数が100株なので、誰でも360万円ほどで日銀の株主になれます。ただし、日銀は日本政府の純然たる子会社であるため、株主になってもあまり意味はありません。

株式市場に株式を上場しておきながら、「株式会社ではない」など通るはずがありません(ならば、上場するな、という話)。少なくとも、会計上、日銀は疑いようもなく政府の子会社なのです。

この手の「事実」やMMTの考え方などは全く別にして、既存のマクロ経済学で十分に説明がつきます。そうして、これは早急に国民が共有しなければなりません。

ちなみに、「政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟」の「無利子国債」は、無期限無利子国債だと思いますが、確かに日銀保有の国債を新規の「無期限無利子国債」と交換してしまえば、政府の負債は実質はもちろん、名目でも消滅します。

もっとも、そんな面倒なことをしなくても、単に「日銀保有国債について、政府の債務不履行はあり得ない(当たり前)」という認識を国民や政治家が持てば住む話です(別に、無期限無利子国債の発行に反対しているわけではないですが)。黒田総裁が国会で発言すれば、財務省も反論できません。

自国通貨建て国債のデフォルトはあり得ない」(ただし先進国などのまともな経済)という、当たり前の真実を国民が早急に共有し、日本の財政破綻の可能性はゼロであることを前提に財政拡大に転じるべきです。

そうして、財務省のMMT批判については、その動向も今後も見守っていこうと思います。

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2017年1月17日火曜日

アベノミクスの破綻を煽る「金融岩石理論」は簡単に論破できる―【私の論評】常識を働かせば金融岩石論にははまらない(゚д゚)!


田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

日本にはさまざまな経済上の「逆神」たちがいる。株価や為替レートの予想をすると、まったく真逆の方向に相場が振れるエコノミストや経済学者たちのことだ。もちろん毎回逆神たちの予測が正しい(予測をした本人たちにとっては間違いなのだが)のかどうかを実証した研究者は知らない。

晴れ着姿の女性が見守る中でスタートした東京株式市場 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 ところで世界経済、日本経済の予測もやはり難しい。昨年だけみても、イギリスのEU離脱やトランプ氏の大統領当選による世界経済へのショックをいい意味でも悪い意味でも正確に言い当てたエコノミストや経済学者はほとんどいない。それに予測が当たったとしても「まぐれ当たり」ということもある。

 筆者もリーマン・ショックの後に、この種の「(世界経済危機の)まぐれ当たり」で知名度をあげた何人かのエコノミストについて、マスコミや一般の方々から意見を求められたことがある。残念ながら、「それは(運がよくて)すごいですねえ」と言うしかできなかった。本当にそう思う。常に経済を「バブル」「危機的な状況」であるといい続けて、それが数年、10年、いや20年という時間の中で「的中」しても、あまり筆者には感心するところはないからだ。

 さてこのような「逆神」たちと同じかどうかは、筆者には判断がつかないのだが、現在の日本の経済政策-特に日本銀行の金融政策-を批判する人たちの中に、「金融岩石論者」とでもいうべき人たちがいる。これはなにか。

 坂に岩石があり、びくともしない。だがこれをいったん動かすと、猛烈な勢いで坂を転がりだしてしまう。これと同じで、日銀がマネーをどんどん増やしても物価はまったくあがらない。しかしいったん上がりだすと、どんどん物価は上昇してハイパーインフレ(猛烈なインフレ)になってしまう、という理論である。

 この金融岩石理論の主張者は実に多い。特に同じ「種族」なのだが、日本国債の岩石理論も支持者に困らない。日本の財政は危機的な状況だ、いまは国債価格が安定しているように思えても、少しだけでも国債利子率が上昇(すなわち少しだけでも国債価格が低下)すれば、あれよあれよと国債価格は暴落し、日本の財政は破綻してしまう、というものだ。このハイパーインフレと財政破綻のふたつの岩石理論は、ほとんど表裏一体化しているので、両方とも主張する人が多い。

 例えば、前回この連載でも登場した朝日新聞編集委員の原真人氏の新刊『日本「一発屋」論』(朝日新書)はその典型である。安倍政権の経済政策は、金融と財政の一体化という名目での「財政ファイナンス」であり、「意図的にバブルを起こそうとする試み」である。低成長が常態になった日本経済で、日銀によってマネーでじゃぶじゃぶにする政策を行えば、バブルが生じてしまう。そしてバブルはやがて破裂するので、経済への反動は深刻化する、だろうというものだ。バブルの破裂を、原氏の著作ではハイパーインフレや財政破綻などとしても表現されている。

 この原氏と同様の意見を、経済学者の浜矩子氏と評論家の佐高信氏がその対談『どアホノミクスの正体』(講談社+α新書)の中で語っている。その対談の一部はネットでも読める。
浜矩子 アベノミクスは、すでにして行き詰まっていると言えます。屋上屋を重ねるように場当たり的な金融政策を続けているわけですが、いつそれが崩壊してもおかしくない。「アホノミクス」、いや「どアホノミクス」と言うべき状況です。
浜氏によれば、アベノミクス(日銀の金融政策)は、極端な国債の買い取りによりマネーを無制限に供給する政策である。この無責任な政策は、実体経済と乖離したバブルを生み出し、やがて破綻することが目に見えているものだという。

 浜氏は経済評論家の高橋乗宣氏と共著で、21世紀に入ってから(リーマンショックが起きた2008年以外)毎年のように、世界や日本の経済危機を予測する書籍を出していることでも著名だ。今年(2017年)の経済危機を予測する高橋氏との共著はまだ出されていないのが、筆者の少し心配するところではある。それだけの人気経済学者でもある。

浜矩子氏の昨年年頭の株価予想
さて原氏も浜氏も、それぞれ「金融岩石理論」的な主張だといって差し支えないだろう。この「金融岩石理論」が、理論的にも実証的にも成立しがたいことを、丁寧に解説した良書が出版された。原田泰・片岡剛士・吉松崇編著『アベノミクスは進化する』(中央経済社)がそれだ。

 現在の先進国(日本、ユーロ圏、イギリス、アメリカ)は、それぞれインフレ目標を設定していて、その目標値を大きく上回るようなインフレになれば、積極的に金融引き締めにコミットするように公約している。どんなに経済が過熱してもその結果としてインフレが目標値以上に高騰すれば、やがて中央銀行が金融引き締めに転じるであろうと、多くの市場関係者たちが予測し、またはすぐに予測できなくても次第に学習することで、自分たちの経済上のポジションを金融引き締めに適合したものに変更する。これによって自己実現的に経済は金融引き締め型に転換していく、というのがインフレ目標の重要なポイントだ。

 簡単に言うと、人々の予測をコントロールしていく政策である。人々の多くは、ときにヘンテコな予測をする人がいても、よほど非合理的な思考に陥る人でもないかぎり、時間をかければほとんどの人が経済の状況(ここでは中央銀行の引き締めスタンスの予測)を正確に把握するだろう。中央銀行がインフレ目標から乖離したら引き締めるといっているのは嘘だ、と思い込む人は極めて少数だ、という意味である。

 さてこのようなインフレ目標を採用していなかった時代、1970年代は年率数十パーセントのような高いインフレに見舞われた。日本でも第一次石油ショックの後の「狂乱物価」が代表的だ。『アベノミクスは進化する』の編著者のひとり、現在の日銀政策委員である原田泰氏は、1)マネーと物価は連動している、2)物価はいきなり猛烈に上昇するのではなく半年以上、通常は1年から数年かかる、ことを指摘している。このことから、中央銀行はインフレ目標を設定することで、物価が上昇し始めても十分にインフレを抑制することが可能だ、ということになる。

原田泰氏
日本がデフレを継続してきたのは、90年代から2012年までのインフレ目標なき時代の日銀による政策運営の時期にちょうど該当する。インフレ目標は上限も定めるが、デフレに陥らないようにできるだけ目標値に近い水準を目指して経済を運営するのが、いまの中央銀行の標準であり、日本もそうだ。しかし、このインフレ目標のない時代があまりにも長すぎて、マネーと物価(デフレ)は、21世紀に入る頃には連動しなくなってしまった。この時期に何が起きていたのだろうか。

 当時の日銀(そしてその時々の政府、第一次安倍政権も含む)は、インフレ目標の導入や積極的な金融緩和を拒否する一方で、「デフレ脱却に努力する」と空手形を出し続けてきた。その10年以上に及ぶ「ウソ」の累積によって、人々は日銀と政府の「デフレ脱却」を信じなくなってしまったのだ。

 これはこれで実に合理的な態度であるが、このデフレ予想が固着してしまったことの弊害は深刻である。マネーをどんなに供給してもそれがいつか縮小するのではないか、(デフレ脱却には)不十分なままで終わるのではないか、と人々が予測することで、物価とマネーの連動が壊れてしまったからだ。

 いわば十数年かけて、日銀は人々の物価とマネーの連関を見事に破壊してしまったのである。これを再度、連動するような正常な状態に戻すことを、いまの日銀は最終的な目標にしてはいる。ただしまだデフレ脱却の途中であり、過去のしがらみ(デフレ予測)はかなり強靭である。

 では、デフレ予想のしがらみが一気になくなるとしたら、どうなるか。これはこれでインフレ目標政策がしっかりと有効になるということなので、高率のインフレがいきなり出現するわけではない。先のインフレ目標政策の効果から自明である。

 原田氏らはこのような事例をふんだんに先の著作の中で示し、金融岩石理論を理論的にも実証的にも論破している。ちなみに、原氏などの懸念とは真逆に、積極的な金融緩和政策をすることで、政府の財政は大きく改善することも同書では実証的に示されている。むしろ財政危機は、経済の停滞を自明としてしまい、経済停滞の中で緊縮政策(財政再建政策という名前の政府支出減少や増税)で生じてしまうことも明らかにされている。

 まだ一年が始まったばかりである。安易に危機を煽る本よりも、地に足がついた経済書や議論をしっかりとこの一年読んでいきたいと思っている。

【私の論評】常識を働かせば金融岩石論にははまらない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のように、金融岩石論とは、日銀が国債の購入を増やすなど、量的緩和を強化した場合、その結果は、効果がゼロか、ハイパーインフレが発生するかどちらかであり、適度のインフレが発生することは有り得ない、という考え方です。

こうした考えを持つ人は多いのですが、その根拠となる理論構成は、あまりはっきりしていません。私は、説得力のある理論構成に、まだ出会ったことはありません。

なぜこのように呼称することになったかとえば、岩を押しても全く動かないが、一旦、動き始めると、崖から急に転がる様に落ちて行き、止めることができない状況になるのと似ているかららしいです。

黒田総裁の前の日銀総裁白川氏もこの金融岩石論者の考えに近かったと思います。実際白川氏は、2012年5月24日には、「ゼロ金利下では日銀が大量に資金を供給しても、資金はそのまま当座預金に預けられる、のれんに腕押しの状況になっているため、量では金融緩和の度合いは測れない」と発言していましたし、同4月21日には、「中央銀行は国債担保の流動性供給、あるいは国債買い入れを通じて、最終的に際限のない流動性供給に追い込まれる可能性があります。それによる膨大な通貨供給の帰結は、歴史の教えにしたがえば制御不能なインフレです」と発言していました。

日銀前総裁白川氏
資金を大量に供給した場合は、白川氏はハイパーインフレになると考えていたのです。そして、財政ファイナンスという政策が、量的緩和の効果をゼロからハイパーインフレへと非連続的に転換させる、誤った政策である、と考えていたようです。
さて、金融岩石論とは異なる、金融政策の粘着理論があります。

金融政策が効果を発揮するまでには長く複雑なラグがあるが、効果は少しずつ表れるというのが金融政策の粘着理論です。

この理論の詳細については、以下のリンクをご覧になって下さい。
金融政策の岩石理論と粘着理論
あるいは、書籍『アベノミクスは進化する』をご覧になって下さい。

上の記事で、原田泰氏は、「1)マネーと物価は連動している、2)物価はいきなり猛烈に上昇するのではなく半年以上、通常は1年から数年かかる」ことを指摘しているとあります。

原田氏は金融政策の粘着理論を正しいものとしています。2013年4月から、黒田体制の日銀はそれまでの白川体制の日銀の金融引き締め一辺倒の金融政策から、異次元の包括的金融緩和に転じました。以下に、当時の金融緩和政策について振り返っておきます。以下にチャートを掲載します。



その時から、この包括的金融緩和により、金融岩石論ではなく、金融粘着理論に従い日本経済は以下のような段階を踏むはずでした。
1.日銀がマネタリーベースを増やす
2.予想インフレ率が約半年かけて徐々に上昇し、実質金利が下がる
3.消費と投資が徐々に増える
4.外為市場で円安が起こり、徐々に輸出が増える
5.約2年~をかけて、徐々にGDPが増え、失業率が下がり、賃金が上がり、インフレ率も上昇する。その過程で株価も上がる。
金融政策が効果を発揮するまでには長く複雑なラグがありますから、上記のように綺麗に段階を踏むというわけではなく、ある項目のほうが進んだり、あるいは遅れたりしつつ、効果は少しずつ現れたはずです。しかし、これを4、5年も継続していれば、上記すべての項目について達成できたに違いありません。

ところが、ここで番狂わせが生じてしまいました。その番狂わせとは、2014年4月からの消費税増税でした。もし、消費税増税をしていなければ、金融緩和に転じてから4年を過ぎた今頃には、完璧に上の5段階まで到達していたことでしょう。

しかし、経済上の「逆神」たちは、これを無視してアベノミクスは失敗だったとして、ブログ冒頭の田中秀臣氏が指摘するように、岩石理論を主張しているのです。

そうして、今までの推移からでも、岩石理論は完全に間違いだったことがはっきりしています。結局のところ、金融緩和をしてもハイパーインフレには見舞われていません。

それよりも、粘着理論のほうがあてはまっていることがわかります。たとえば、昨年は雇用状況がかなり改善され、その象徴的な出来事として、昨年春の大卒、高卒の就職率は、記録を初めて以来最高となりました。

さらに、金融緩和をはじめたばかりの頃には、これは当然のことなのですが、実質賃金が下がりました。これは、雇用が改善しはじめると、まずはアルバイト・パートや、新人を新たなに雇い入れるため、全体では賃金が下がるのが普通なのですが、経済の「逆神」たちは、「実質賃金がー」と大騒ぎしました。

これも、一昨年あたりからは徐々にあがりはじめています。これは、どう考えても粘着論のほうがあてはまっています。

そうして、物価目標2%は未だに達成されていません。これに関しては、日本の構造的不況はおそらく2.7%以下であるのに、現状では失業率が3%を切っていないので、量的緩和がまだ不十分であると考えられるということを主張しました。

やはり、追加緩和を行い、早期に失業率を3%を切るようにし、物価目標を一日でもはやく達成すべきです。

しかし、金融政策粘着論からいえば、追加金融緩和をしても、緩和した直後に失業率が3%を切り、さらに物価目標をすぐに達成できるわけではありません。少なくとも2年くらいはみるべきでしょう。

それにしても、日本の経済の「逆神」たちは、金融政策の粘着理論を全く理解していないようです。

金融政策の粘着理論の理論的背景などについては、それこそ書籍『アベノミクスは進化する』をご覧になるのが良いとは思いますが、これは、常識的に考えてもわかります。

企業を例にとると、会社の業績が悪くなったときに、業績を改善するには、何か手を打ったとして、即座に良くなるわけではありません。会社の規模にもよりますが、3年から5年はかかるとみるべきではないでしょうか。無論、あまり時間をかけてしまえば、業績が悪くなり過ぎて会社が潰れてしまいますからそんなに時間をかけることはできません。

業績を回復させるために、手っ取り早くまずは、銀行からお金を借りることができれば、そのお金をつかって設備投資や人材の雇用などをすれば、それで短期的に効果があげられ、業績が回復するかもしれません。これは、マクロ経済対策でいえば、財政政策に相当すると思います。

しかし、時流にあったまともなマーケティングやイノベーションをするとなると、それだけではすみません。ただ、設備投資をしたり、人材を採用すれば良いというわけではありません。企業の人々の心をそれ以前と比較して、根本的に変えなければならないわけです。これには、ある程度時間がかかります。これを実施することが、マクロ経済政策でいえば、金融政策にあたるのだと思います。デフレ予想をインフレ予想に変えるにも時間がかかるのです。

このように考えれば、金融政策の粘着性などかなり理解しやすいです。やはり、経済の「逆神」は常識はずれということなのだと思います。

田中秀臣氏は、「こういう人たちの本を読むくらいなら、地に足がついた経済書や議論をしっかりとこの一年読んでいきたいと思っている」と上の記事を締めくくっています。

そうて、田中氏はご自身のブログで"[経済]お正月特別企画:2016年心に残る経済書ベスト20発表!!(ベスト10日本人著者全コメント公開)"という記事を掲載されています。

以下に、その記事のリンクを掲載します。


私も、金融岩石理論のはまらないように、これらの書籍のうち、まだ読んでないものも読んでみようと思いまます。

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2016年5月16日月曜日

【衆院予算委】安倍首相が民進・山尾志桜里政調会長に「議会の運営を少し勉強してほしい」 キレた山尾氏は「男尊女卑政権だ!」―【私の論評】思考停止したバカ=山尾志桜里のような人間を論破する方法(゚д゚)!

【衆院予算委】安倍首相が民進・山尾志桜里政調会長に「議会の運営を少し勉強してほしい」 キレた山尾氏は「男尊女卑政権だ!」


16日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が、質問に立った民進党の山尾志桜里政調会長に「勉強した方がいい」と“忠告”する一幕があった。

山尾氏は今年1月の衆院本会議で首相が「政策を国民に提案することから逃げて、逃げて、逃げ回っているようでは、国民の負託に応えることはできない」と民進党を皮肉ったことに対し、保育士の処遇改善など議員立法による対案を示してきたことを説明し「なぜ私たちの提案から逃げて、逃げて、逃げまくっているのか」と述べ、首相が審議を拒否しているとの反論を展開した。

首相が「国会で議論してほしい」と述べると、山尾氏は、首相の意向で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を巡る質疑が優先的に行われたと主張し、首相が主導して対案を審議するよう求めた。

これに対し、首相は「山尾委員は議会の運営を少し勉強してほしい。(法案を)国会に一度付託したら委員会で決めることだ」と国会運営のイロハを説明した。

興奮冷めやらぬ山尾氏は、首相の姿勢を「女性活躍政権ではなく、男尊女卑政権だ」と批判。首相は「誹謗中傷だ。議論をすり替えている。だから議論が軽薄になる」と非難した。

【私の論評】思考停止したバカ=山尾志桜里のような人間を論破する方法(゚д゚)!

男尊女卑政権なる言葉を発した時点で、山尾氏は、かなり感情的になり、非論理的になっておりこの時点で安倍総理に完璧に負けています。

世の中には議論の場において不真面目な発言をしたりいい加減なことばかり言う人がいます。安倍政権を、「男尊女卑政権」だと言う発言は、完璧のこの種の発言です。

そういう人に対し、真正面から議論をしようとして資料の妥当性や論理の矛盾点をついも
全く意味がありません。

この人たちは議論をしないので、会話が成立しません。「馬鹿は論破できない」という言葉もありますが、放置するわけにもいかず、非常に厄介です。以下に、バカは論破できないというKAZUYA氏の動画を掲載します。



上の動画で、KAZUYA 氏は、バカは思考停止していると語っていましたが、以下に思考停止度チエックリストを掲載しておきます。

  1. 毎日の行動パターンが決まっている 
    YES NO
  2. 上司や先輩に言われたとおりにしている
    YES NO
  3. この24時間以内に一度も「なぜ?」と思わなかった
    YES NO
  4. 抗議や講演を聞いて質問したことがない
    YES NO
  5. クイズや問題集をやるとすぐに答えを見る
    YES NO
  6. 「ブランド品」であれば間違いないと思っている
    YES NO
  7. 「どれが大事?」と聞かれると「すべて」と答えることが多い
    YES NO
  8. 会話中、気がつくと自分ひとりでしゃべっていることがある
    YES NO
  9. 自分の経験から判断することが多い
    YES NO
  10. 昔話をよくする
    YES NO
YESが3つ以下・・・思考停止していません
YESが4~7つ・・・注意しないと思考停止します
YESが8つ以上・・・思考停止状態寸前です
上のチエックリストの最後の「昔話をよくする」ですが、これは経験が豊かになってきた人ほど多くなりがちな思考停止状態です。

つまり思い出すことは昔の体験ばかり、新しいことは二の次になっていることの表れです。

思考停止状態から抜け出すためのマジックワードは「なぜ?」です。

疑問をもつことで常に頭が回転している状態になるので他の人には考えつかないような柔軟な考えだったり、新しいアイデアだったりが浮かんできます。

そして日々の行動パターンにも目を向けることも大切です。

「なぜ?」と考えることができない思考停止状態の多くはあまり仕事で結果を残すことができません。
テレビの討論番組などでこういう思考停止をした馬鹿な人達を見るたびに、私はいらいらします。あまりに腹立たしいので自分ならどう対処するか考えてみました。国会でも、「日本死ね」などという言葉が散りばめられていような、どこの誰だかもわからないような、匿名のブログ記事をとりあげて質問をするなどという山尾志桜里のような議員がでてくというような嘆かわしい事態が発生するようになりました。

山尾志桜里
こんなことは、実は昔からあったことです。いわゆる「怪文書」という類です。あの「日本死ね」のブログは、ネット社会が発展していなかった時代にもあった「怪文書」と本質的に何も変わらないです。それが匿名のネット社会になったため、多くの人が「怪文書」であると認識できなくなったか、しにくくなっただけのことです。「怪文書」は「怪文書」です。

私は、こういう、議論の場でおかしな発言を繰り返す人に対する有効な手段としては、決定的におかしな発言をした直後、「○○さんは今~と発言しましたが、本当にそう考えているのですね?」と聞き返すことが有効な手段になると思います。。

細かい変更はいろいろ考えられます。「○○さんは本当にそう思っているのですか?「確認させてもらいますが、○○さんは~という意見で間違いないのですね?」

「発言者の名前と、発言内容を復唱して、再び本人に内容を確認させる」これが有効な攻撃方法になります。

これは、一見、何の意味も無い質問に見えます。しかしこれにはかなり効果があると思われます。

まともに、議論できない人にも二種類あります。自分でも気が付かずに、破茶目茶なことを言う人(無意識派と以下で呼称します)と、意図して意識して破茶目茶なことをいう人です(自覚派と以下で呼称します)。

無意識派に「発言確認」をするとどうなるでしょうか。まず、自分自身が出したばかりの発言なので、意識的には一旦受けれざるを得ません。それでいてその内容を改めて考え、おかしさに気づいたとき、否定することになります。自分の意見がいい加減だったことに気づきます。

次に肯定する場合も有ります。これによって、この人物は自分は変な意見を言う人だと認めるとなり、イエスノーどちらに答えても自分がおかしな発言をしたことになります。

国語の教科書に載っている短篇 『少年の日の思い出』(ドイツの小説家ヘルマン・ヘッセ作)にエーミールの「そうかそうかつまり君はそういう人だったんだな」という発言があります。

これに心をえぐられた人も多いのではないでしょうか。同じことです。そのあとにどういう行動をとるのかわかりません。しかしこの「発言確認」を何度か繰り返せば、少しはおとなしくなるのではないでしょうか。


自覚派に、「今あなたは矛盾したこと言ってる」とか「●●に失礼だ」とか
「資料と合わない」とか「あなたの過去の発言と一貫性がない」とかいろいろ言う事はできます。

普通の人に対して、これらの発言をすれば、相手は少なからずダメージを受けるはずですが、自覚派はびくともしません。なぜなら彼らにとっては、事実はどうでもいいからです。

自覚派が、何を目的にしているのかといえば、彼らにとって事実とか真実とはどうでも良く、その目的は、情報操作、印象操作、ネガティブキャンペーン、思想誘導など様々ですが、結局彼らの目的は自分たちの利益のために意図的に事実を捻じ曲げて、「事実ではなく」「イメージを広めること」です。

事実に基づかない、嘘のイメージを広め、自分(たち)に有利になるように周りを誘導することこそ、彼らの目的であり、目標でもあるのです。

しかし政治や社会問題の議論の場において嘘でたらめを広めることは断じて許されることではありません。ましてや国会議員のおかしな発言は厳しく非難されるべきです。

そうして、自覚派は議論の場において、その場にいる人にだけに向けて発言してはいません。それを国会の審議なら、それを多くの聴衆、視聴者に向け、自分たちの発言でそのイメージが少しでも広まることを狙っているのです。そのため、意見のおかしなところをまともに突いても、全く気にせずに発言を続けるのでほとんどダメージがありません。

イメージ拡散のために発言した内容は、発言者から離れ、その意見の「印象」だけが見ている人の心に留まります。繰り返しているうちに、視聴者の中であまり物事を深く考えない人にとっては、それが正しいことであるかのような気になってきます。これが自覚派の戦術です。これは、特に「集団的自衛権の部分的行使を含む安全保障法案」の審議のときにも、民主党( 現民進党)などの野党による「戦争法案」というレッテル貼りです。

国会論戦で浮き彫りになった、野党のレッテル貼りによるイメージ拡散戦略

しかし、そうなる前に、「発言確認」をするとどうなるでしょうか。何かおかしな発言をした瞬間、これをするとどうなるでしょうか。

まず、視聴者に対して、無責任に広めていた「イメージ」が、その人の発言として固定化されたものになります。

つまり「なんとなくの情報」から「○○さんが話した情報」に格落ちするのです。しかもその情報が「少しでも考えるとおかしなこと」だった場合、「その発言者もおかしな人間なのではなかろうか」ということまで視聴者に気付かせてしまうことになります。

自覚派も、嘘を語っていただけなので、それが正しいかどうかという「議論の場」に戻されることになり、対応につまることになります。今更撤回はできませんし、もちろん正しいことですと発言するとイメージよりも「その人が断言したこと」という印象になって、イメージ拡散力が減ります。

視聴者も、発言内容に疑いを持つ可能性が高くなります。一見何の問題も無さそうな意見も、もう一度妥当性を考える余地が生まれます。視聴者にそういう機会を与えるだけでも、立派な攻撃になります。

つまり「発言確認」はイメージ拡散を妨害してくれるだけでなく、おかしな発言者に負のイメージを付けることになるのです。

しかし、もし相手が堂々と肯定してきた場合はどうなるでしょうか。実はこうなったにしても、こちらが持論を展開できる流れに変わります。発した情報に対して、おかしなところを少しでもつけば、その情報と発言者の信頼性が一気に崩壊します。

しかも自覚派は一度自分の発言を認めているため、持論の展開中は割って入り辛い流れになります。妨害すれば「肯定したにも関わらず、反論されることに自信がないのか」
というイメージがつくので、黙って聞くしかありません。

相手が肯定の否定のどちらをしても、おとなしくさせるのに有効ではないでしょうか。

以上、まとめると、「発言確認」は、無自覚派に対しては、「再び思考させる」効果を、自覚派には「議論の場に引き戻すことで自覚派の狙うイメージが拡散を阻止すると同時に、発言者に負のイメージを与える」という効果をそれぞれ期待できます。

それにしても、山尾志桜里を筆頭に、民進党はかなり、前からそうでしたが、最近ではさらに思考停止が著しく、政策論争はそっちのけで、何かといえばイメージ戦略を展開し、馬鹿の巣窟化しています。

この状況じゃ、夏の参院選は惨敗ですね。バカに対しては、おかしな発言に対して、何度も何度もしつこいくらい「発言確認」すれば、本人は気づかないかもしれませんが、周りの人間には、その馬鹿さ加減が良くわかり、効果的です。特に、周囲に多くの人がいるところで、はっきりと矛盾したことを何度も確認すると効果的です。

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