2016年4月3日日曜日

文藝春秋も日テレも間違えた! 意図的かつ無知な安保法制の誤報 田村重信(自民党政務調査会審議役)―【私の論評】憲法九条の解釈は一つしかない、集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきたという認識は大嘘(゚д゚)!

文藝春秋も日テレも間違えた! 意図的かつ無知な安保法制の誤報 田村重信(自民党政務調査会審議役)

北朝鮮のミサイル発射に備えてPAC3が配備された防衛省=2013年4月9日、
東京・市ケ谷 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
一昨年(2014年)7月1日、政府は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を閣議決定した。

私はそれ以来、100箇所ほど講演を、北は北海道から南は九州・沖縄まで行った。テレビも『朝まで生テレビ』や『チャンネル桜』で反対派との討論会に出演した。 (総合オピニオンサイト iRONNA

そこでよく分かったことは、平和安全法制は、きちんと正しく説明すればみなさんによく理解してもらえるということ。今、本屋に行くと反対本や間違った本がたくさん並ぶ。そこで、私は閣議決定後に『安倍政権と安保法制』(内外出版)を、今回法律が国会で成立してから『平和安全法制の真実』(内外出版)を急ぎ出版した。真実を伝える必要があると思ったからだ。

かつて有事法制についても、『急げ!有事法制』(朝雲新聞社)という当たり前の本を出し、勉強したいという方や国会議員のみなさんに参考にしてもらった。

また、『WiLL』7月号の「一問一答」では、テレビ局、学者、評論家の方々に対し名指しでのQ&Aを作ったが、どなたからも批判はなかった。つまりこれは全て正しいということ。もし間違っていれば批判される。WiLLの編集には「これはおかしい」といった話は皆無。「非常によく分かって勉強になった」という話はたくさんあったとのこと。

一昨年、鹿児島県の地方紙『南日本新聞』の記事で、私の講演が大きく取り上げられた。7月の政府の限定的な集団的自衛権容認の閣議決定に対して、鹿児島県出水市議会が「立憲主義の根本を破壊する暴挙」とする意見書を可決した。その後、私が鹿児島市で講演をしたところ議員たちの理解が進み、9月には行使容認を支持する意見書が可決された。

南日本新聞が取材してわかったことは、私の講演がきっかけで「戦争抑止と国際平和貢献のため、憲法解釈の閣議決定は必要と判断した」と変わったということだ。

反対の人たちは相変わらず「戦争できる国になる」とか言っているが、賛成の人たちは、「抑止力を高める必要がある」、そして「7月当時は勉強不足だった」という話だ。

つまり勉強すれば分かるということ。パワーポイントで話を聞いて分かったつもりでも、その後、他の人に説明できない。そこで私は全国で講演する際には、資料を配布して話を聞いてもらうようにしている。私の作成した資料を持って、他の人に説明できる。今回は、そうした地道な努力の成果である。

■マスコミの意図的かつ無知な誤報

意図的及び無知な誤報は非常にたくさんあり、それをきちんと正し、指摘することが極めて重要だ。

例えば、柳澤協二氏は『週刊現代』で「一般の国民に比べて自衛官の自殺は1.5倍」「イラク派遣から帰国した人は10倍自殺する」と言っていた。

週刊現代の誤った内容が掲載された記事
これはおかしいと思い調べたら、男と女で自殺率が全然違うということだ。女性が100人自殺すれば男性は200人以上自殺する。つまり男性の方が自殺率は高いということ。自衛官は95%男性、一般男性の自殺率と自衛官の自殺率を比較すると、自衛官の方が自殺率は低いということになる。

イラクに行って帰ってきた人はどうかと言うと、もっと少ない。アメリカの場合と異なる。日本の場合は戦争が終わってから人道復興支援へ行ったわけで全然違う。これが事実だ。

この事実をきちんとPRすると、国会で自殺問題が取り上げられ大変だったのが、一切自殺の話がなくなった。

ところが今年に入って青森県で講演した際、「自殺は多い」と頭にこびりついている人が結構いることがわかった。だから、正しい情報を伝えていく必要がある。

自衛官の自殺について、『東京新聞』も訂正記事を載せたが、それは28面。間違った記事は1面で、3年前の記事だった。

防衛省に対しては「間違ったことはその時きちんと指摘しなければだめだ」と注意した。自殺の問題、私が提起しなければ嘘がそのまま通り、国会審議においても「自衛官の自殺は多い」というデマが流布されたままだった。

■『文藝春秋』も間違う

『文藝春秋』は11月号に「保守は『SEALDs』に完敗です」という対談を載せた。メンバーの奥田さんの発言中、「現状、自衛隊は軍隊ではありませんから、自衛官は、万が一拘束された時に国際法上の捕虜にもなれません」と。これは間違い。

編集長に電話してもピンと来ない。防衛省にも注意した。すると11月、防衛省広報課長が文書を持って編集長のところに直接出向いて申し入れを行った。

『文藝春秋』には、「自衛隊は通常の概念で考えられる軍隊ではありませんが、国際法上は軍隊として取り扱われており、我が国が紛争当事国となり、万が一、自衛隊員が捕えられるような事態が発生した場合、国際人道法上の「捕虜」として取り扱われることになります」と。
ツイートはブログ管理人が挿入 以下同じ。


憲法と自衛隊の関係についての基本を大学等で習っておらず、基本中の基本がみんなわかっていない。

憲法9条の建前から言えば戦力は持てない。戦力=軍隊だから、日本には軍隊がないということになる。では日本の独立はどうやって守るのだ。自衛隊である。自衛隊は軍隊までいかない必要最小限度の実力組織だから良いとなる。

では外国に行けばどうなるか? 国際法上は軍隊として扱われる。それはすなわち捕虜としても扱われるということ。ただし、外国に行ったら軍隊だから外国の軍隊と同じようにPKOの活動を行い武器の使用ができるかというと、これはまた違う。「武力行使と一体化しない」というようにする等、国内法の制約の中で法律を作っていくから非常に厄介な仕組みになっている。そんな法律の仕組みは憲法との関係で日本しかない。

国会で問題となったのは、外務大臣による「自衛隊が海外に行くと捕虜として扱われません」との発言で、それだけがクローズアップされた。それはどういうことか? 重要影響事態法及び国際平和支援法によって自衛隊が他国軍隊に対して後方支援を行う場合、我が国がそのこと自体によって紛争当事国になることはないことから、そのような場合に自衛隊員が国際人道法上の捕虜となることはない、ただしその場合であっても、国際法上適正な活動を行っている自衛隊員の身柄が少なくとも普遍的に認められている人権に関する基準及び国際人道法上の原則及び精神に則って取り扱われるべきことは当然である、というわけである。

防衛省の文書にも「前述の奥田氏の発言は、明らかに誤りであり、適切ではない」と表現されており、『文藝春秋』に対しても「貴社は、報道機関として、その使命は重く、社会的影響力が大きいと考えており、正確を期した記事の掲載をされますことを切に要望いたします」とある。

■日本テレビも間違う

次は、日本テレビの世論調査です。調査項目が、「同盟国などが攻撃を受けた場合、日本が攻撃されたことと見なして、反撃することができる集団的自衛権の行使など、自衛隊の活動を広げる安全保障関連法が、3月末までに施行されます。あなたは、この法律を支持しますか、支持しませんか?」となっていた。

そう聞かれると、支持する33%に対して支持しないが53%と多くなる。これについても問題ということで、防衛省広報課長が日本テレビの政治部長宛てに文書を送付した。今回の法律は「あくまで『限定的な集団的自衛権』の行使を認めたものであり、他国防衛それ自体を目的とするいわゆる集団的自衛権一般の行使を認めたものではありません」「このような設問は、…誤解を国民に与えるものであり、極めて遺憾であります」「今後慎重かつ適切な報道を強く要望致します」と。

安保法案世論調査について報道した日テレの画面

同じテレビでも、例えばFNNの調査だと、「集団的自衛権を限定的に容認し、自衛隊の役割を増やした安全保障関連法を評価しますか」という質問となっており、この聞き方だと評価する方が割合は高くなった。こうした誤りは、基本的にはこの法律のことを知らない、無知から来ることが多い。知らないことによって間違える。知っていても意図的にわざとデマを飛ばすといったこともあるかもしれないが。

俳優の石田純一氏も間違った。『日刊ゲンダイ』の記事に「中国が攻めてきても、今まで周辺事態法というものがあり」と書いていたが、その場合、周辺事態法ではなく、武力攻撃事態法である。国が外部から攻められているから。そういう基本中の基本も分からないタレントが多い。今後も間違いを正す努力が必要だ。

週刊現代に掲載された石田純一の記事
今回の平和安全法制の議論でも、憲法と防衛政策・自衛隊の関係が正しく理解されていないことから、感情的な誤った主張が幅をきかせる結果となっている。

例えば、戦争は国際法上違法とされていることから戦争法という名前の法律を作れば憲法違反や国際法違反となる。平和安全法制を、戦争法だと批判する人の方が立憲主義の破壊者と言える。

また、徴兵制は憲法上できない。集団的自衛権の解釈を変更しても新たな法律を作ってもできない。さらに他国では、ドイツやスウェーデンなどは、徴兵制から志願制に移行しているのが現状だ。

国会でデモをしていた連中が参議院で法案が通ればこのデモはもっと大変なことになる、と言っていたが、最近はめっきり見かけなくなった。彼らは嘘を言っていた。 (総合オピニオンサイト iRONNA

【私の論評】憲法九条の解釈は一つしかない、集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきたという認識は大嘘(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のようなことは、何も今に始まったことではありません。最近では、8%増税に関しても同じようなものでした。新聞、テレビ、識者、政治家などが8%増税による日本経済への影響は軽微として、財務省主導の一大キャンペーンを繰り返し、安倍総理もそのあまりにも大きな声に屈して、増税を実施したところ、実際にはそれは全くの間違いで、日本経済はかなり深刻なダメージを受けてしまいました。

このままの状況だと、夏あたりには、せっかく金融緩和政策で良くなっていた、雇用状況も悪化に転じる恐れすらあります。それだけ、増税のダメージは大きかったのです。

そうして、安保法制に関しても、PKO法案のときにも誤った報道が幅を効かせていました。このときもPKO法案を「戦争法案」とレッテル貼りをして、マスコミや、左翼や、社会党が大騒ぎしました。しかし、皆さんご存知のように今にいたるまで戦争にはなっていません。そうして、社会党はPKO法案成立後の選挙で大敗し、現在でその存在すら消えてしまいました。

PKO法案について報道した朝日新聞の紙面

その前の70年安保、60年安保の時にも同じようなことが繰り返されました。しかし、この時に通った安保法制により、日本が戦争に突入などということはありませんでした。そうしてこれは、今でも似たようなものですが、60年安保のときの安保反対派のリーダーだった学生は、安保法案の条文など読んでおらずに、反対運動を繰り広げていたことを後に告白していました。

以上の出来事のその時々で、「増税しても日本経済への影響は軽微」とか「安保法制は戦争法案」などと本気で考えた人は、真摯に反省していただきたいものです。自分がいかに扇動されやすい性質を持っているのか、自分のことを省みていただき、今後そのような間違いをおかすことがないようにしていただきたいものです。

そうして、ブログ冒頭の記事では、意図的かつ無知な安保法制の誤報について、いくつか報道されていましたが、実はこれ以外にも日本における安全保障について誤解されていることがあります。それは、大きく言って二点あります。

これに関しては、マスコミや左翼などは当然誤解しているのは、当然ですが、保守系の人ですら誤解している事柄があります。それは、以下の二点です。以下の二点については、実は折にふれてこのブログでは何度も掲載してきたことなのですが、敢えて再度ここに掲載します。
1.憲法九条の解釈は一つしかなく、自衛隊は違憲であるとするものしかない。 
2.集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきた。
この二点に関しては、なぜか保守系の人々でも単純に信じ込んでいる人も多く、多くの人々がまるで天地神明の理であるかごとくに頑なに信じ込んでいます。そうして、ブログ冒頭の記事にも全く触れられていません。

しかし、これは真実ではありません。以下に解説します。

1.憲法九条の解釈は一つしかなく、自衛隊は違憲であるとするものしかない。

これに関しては、このブログで何度も、掲載しています。その代表的な記事のリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
佐々木惣一
このブログを従来から読まれているかたなら、これはすでに周知の事実で、当たり前のことであると認識されていると思います。

詳細は、この記事をご覧いただくものして、佐々木惣一氏ら憲法学の京都学派といわれている人々の解釈によれば、憲法9条は、国際紛争解決の手段として、武力を保持したり、行使したりすることは明確に否定しているが、自衛戦争のためにそれらを保持したり、行使したりすることまで、否定していないというものです。

確かに、憲法九条を隅から隅まで読んでも、自衛戦争をはっきり否定してはいません。さらに、日本以外の国でも、憲法典の条文に平和をうたっているものはありますが、それらの国々でも、自衛戦争のために武力を保持したり、行使するなどとはっきり歌っていないにもかかわらず、軍隊を保持しているといる国がほとんどです。

こういう解釈があるのですから、私自身は、この憲法解釈に従えば、自衛隊を軍隊として、その任務は日本の防衛とすれば、自衛隊は違憲ではないと判断します。

しかし、この憲法解釈は、従来は報道されていたこともあったのですが、最近は全く顧みられなくなりました。保守系の人々は、この事実を拡散すべきものと思います。

2.集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきた。

これも真っ赤な嘘なのですが、保守系の人々も政府もなぜか、集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきたかのごとく信じ込んでいるようです。

実は、内閣法制局の憲法解釈など、歴代内閣ごとに変わっていました。代表的な例を挙げると、憲法制定時の吉田茂内閣は「自衛も含めて、すべての戦争を放棄します。もちろん軍隊を持ちません」と宣言しました。

ところが、朝鮮戦争が起きると、警察予備隊~保安隊~自衛隊を創設されました。鳩山一郎内閣では「敵のミサイル攻撃を座して待つつもりはない。敵基地攻撃は自衛の範囲だ」と幅を広げました。

岸信介・池田勇人内閣では核武装まで容認し、集団的自衛権の行使など自明でした。そもそも、日米安保条約など、集団的自衛権を行使するための条約であるという理解が当たり前だったからです。

日米安全保障条約そのものがもともと、集団的自衛権を行使するための条約である

朝鮮戦争勃発から池田内閣までの解釈をすべてひっくり返したのは佐藤栄作内閣の高辻正己長官です。このあたり、詳しくは、樋口恒晴『平和という病』ビジネス社を参照していただきたいです。ただし、その後も解釈変更は繰り返されていました。

これに関しては、さらに一つ付け加えることがあります。ドイツには個別自衛権は認められておらず、NATOとの集団的自衛権のみが認められているという事実もあります。

なぜこのようなことをするかといえば、ドイツに個別自衛権を認めてしまえば、ドイツ単独で戦争ができるということになり、周辺諸国に脅威を与えるからです。しかし、NATOとの集団的自衛権ということになれば、ドイツ単独で戦争をすることはできないので、安全だといいう認識に従いこのようなことが実施されているのです。

以上のことが、なぜか保守派の人々でも知らない人が多いです。

これらに関しては、ブログ冒頭の記事に掲載されている事柄よりもはるかに本質的で、重大な事項だと思います。

保守派の方々等、これらの事実、私のブログの内容だけではなく、他の書籍などもご覧いただければ幸いです。そうして、その内容を拡散していただけましたら幸いです。

これらの事実を多くの人々に拡散することができれば、多くの人々の安全保障に関する考え方は根本的に変わるものと思います。

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2016年4月2日土曜日

2万円ガソリンプリカ購入「年に105回」 民進・山尾政調会長に不可解な金の流れ―【私の論評】匿名ブログは自作自演疑惑は当然ということが認識不能な頭では政治資金の扱いもぞんざいになる(゚д゚)!


「保育園落ちた 日本死ね!!!」問題の国会追及で名を上げた民進党の山尾志桜里政調会長(41)が、不可解な政治資金の流れがあると週刊誌に指摘された。その中でも、特にある項目がネット上などで注目を集めている。

山尾志桜里衆院議員は、2009年の政権交代選挙で初当選した「小沢ガールズ」の1人だ。小学校時代にミュージカル「アニー」の初代主役に抜擢され、その後は、東大法学部から検事になった異色の経歴も持つ。

保育園問題で名を馳せたが…(衆議院インターネット審議中継より)

■ハイオクガソリンで走っても、地球5周分
2016年3月27日の民進党結党大会で政調会長になったばかりだが、その出鼻を挫くような記事が週刊新潮の最新号(4月7日号)に載った。

それによると、山尾氏の資金管理団体「桜友会」と山尾氏が支部長をしていた旧民主党第7区総支部について、2012年の政治資金収支報告書におかしな記述が見つかった。その中でも、特にネット上で話題になったのが、民主支部のガソリン代の項目だ。

1年間でなんと、230万円も支出しており、これはハイオクガソリンで走っても、地球5周分の約21万キロにも上るという。新潮の記事では、これだけしか指摘がなかったが、実際の収支報告書を見ると、その異常ぶりが際立っていた。

ガソリン代として9回分、約20万円を計上しながら、2万円のガソリンプリペイドカードに計105回、総額210万円も支出していたのだ。特に山尾氏の事務所にもなっている民主支部に隣接していたスタンドで、95回もプリカを購入していたのが目立っている。1日で5回、10万円も購入していた日もあった。

そこでこのスタンドに取材すると、店員がこう答えた。

「議員ご本人は、私は見かけたことはありませんが、事務所のスタッフがよくプリペイドカードを買いに来ていたのは覚えています。スタッフは、今でも来られていますよ。給油もプリカを使っていましたが、なぜそんなに買われたのかは、こちらでは分かりません」

■事務所は「確認中です」
このスタンド店員によると、プリペイドカードには、5000円、1万円、2万円の3種類があるそうだ。山尾志桜里事務所のスタッフが来たときは、その都度、領収書を出していたとしている。3万円以上でないと、収入印紙は不要だった。

プリカの異常な購入ぶりについて、ネット上では、数々の憶測が流れている。

あくまで憶測だが、プリカを金券ショップで換金して、政治資金などに使っていたのではないかというのもある。

元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は、J-CASTニュースの取材に対し、次のように解説した。

「あくまでも一般論ですが、もし換金していたのに、勘違いではなく意図的にガソリン代と収支報告書に記載していれば、政治資金規正法違反の虚偽記載になります。また、選挙運動期間中に有権者にお金やお中元、お歳暮などを配れば、公職選挙法違反にも問われることになります」

もっとも、購入したプリカについては、翌年以降に使うことも考えられる。その場合については、「使い切れなければ、当然繰り越しに計上しないといけないでしょう。しかし、ガソリン代を繰り越すようなことは、普通は考えられないのではないでしょうか」と言っている。

山尾氏の国会事務所では、取材に対し、「現在事実関係を確認中です」とだけコメントした。

【私の論評】匿名ブログは自作自演疑惑は当然ということが認識不能な頭では政治資金の扱いもぞんざいになる(゚д゚)!

民進党の山尾志桜里政調会長が、取り上げた「日本死ね」という汚い言葉が遣われているブログに関しては、このブログそのものや、それを取り上げる山尾氏のやり方などについて、このブログで徹底的に批判しました。

その記事のリンクを以下に掲載します。
【朝日新聞研究】朝日の手法は報道というよりキャンペーン 「日本死ね」問題と安保法制反対の類似―【私の論評】「日本死ね」は、福島産の小麦粉で作ったラーメンに「人殺し」というのと変わりなし(゚д゚)!
待機児童問題を報じる朝日新聞の紙面
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、酒井信彦氏の元記事に対して論評を行い、以下のような結論を導き出しました。
最後の結論として、上下左右など全く関係なく、すべからく社会人が発言・発信するなら、特に公に発言・発信するなら、いかなる場合も憎悪表現は禁忌とすべきです。そうして、当然のことながら、発言・発信は、エビデンスに基づいてするべきです。 
これが、あまりにも常識的なのですが、当たり前の社会人のあり方です。これができない、国会議員や新聞記者やデスクや作家など、もう一度小学生から常識を学び直すべきです。
要するに、立場の上下も、思想が右寄りであろうと、左よりであろうと、当たり前の社会人なら憎悪表現を用いるなということです。ましてや、国会議員が、いかに引用という形であっても、あのような憎悪表現をそのまま引用して話すのは良くないということです。

山尾志桜里議員による、「保育園落ちた 日本死ね!!!」の誰が書いたかも定かではなかったブログの引用に関して、それを国会の審議中で話したときに、自民党議員から野次がありましたが、民主党議員からも「やめろ」という野次の声が上がったそうです。

当然のことでしょう。あのような憎悪表現を話さなくても、現在の保育園の状況や利用者の状況など客観的な数字などを用いて話をすれば、憎悪表現など遣わなくても、十分審議ができたはずです。

そうして、山尾志桜里の国会での質問は、個人ブログの引用が大きな部分を占めたため、数字での検討がされておらず、重要な点を見逃していました。それに関しては、このブログにもグラフの形で掲載してあるので、そのグラフを掲載します。


要するに、山尾議員の質問だと、安倍政権は保育所待機児童のために何もしてこなかったかのような質問ぶりでしたが、このグラフをみれば良くわかります。グラフをみれば一目瞭然のように、保育量の拡大はなされていました。

待機児童数の推移からみると、H22からH26にかけては、一環して数が減っているにもかかわらず、H27年は増加に転じました。このグラフだけからは判断できませんが、今の日本は少子高齢化ですから、待機児童数の総計そのものは減少傾向にあるはずです。

ところが、待機児童数の数が増加傾向になったことに関しては、児童をかかえてる専業主婦のうち就業する人が増えた可能性もあります。実際、安倍総理は国会審議中にそのことに言及したのですが、山尾議員はそれを無視して、安倍自民政権に責任があるかのように誘導していました。

ところが、これも大きな間違いであることがわかっています。以下は、民主党が事業仕分けで保育所関係経費を削減したとのネット情報に関するツイッターのやり取りです。評論家の渡辺哲也氏と蓮舫氏の対決になっています。
待機児童問題に関して、民主党が事業仕分けで保育所関連経費を削減したとのネット情報があるが、全くのデマだ。公立保育所の予算は小泉政権時代の「三位一体改革」で平成16年に運営費が、福田内閣時代の平成20年に整備費が、それぞれ一般財源化されており、そもそも国の予算ではなくなっている。玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro)2016年3月10日 12:47:08 
保育所関連施設を事業仕分けの対象にした、との間違いが時々見受けられますが、そもそも自民党が一般財源化したもので国の予算ではないためあり得ません。 https://t.co/wBjxg8CN0i蓮舫 (@renho_sha)2016年3月11日 7:14:10 
平成22年 3881億:民主党政権 平成28年 9294億:自民党政権  嘘は良くない。なぜ国の予算があるのですか @renho_sha渡邉哲也 (@daitojimari)2016年3月14日 7:51:34 
国会の資料を提示し質問しただけで @renho_sha 蓮舫さんにブロックされてしまった。 答えられないならば、自己弁護するなといいたいです。 渡邉哲也 (@daitojimari)2016年3月14日 7:55:35

さて、この公的資料を元に考察すると、保育関連予算に関しては、民主党政権から自民党政権に変わってから、実に2倍以上に大幅に増やしていることが確認できます。以下にその数字をあげておきます。
平成23年:4082億 平成24年:4304億 平成25年:4611億 
政権交代 
平成26年6248億 平成27年7975億 平成28年予算案 9294億
とはいいながら、現実問題として、待機児童がなかなか減らないということもあります。これは生活スタイルの変化による保育希望者の増加が最大の要因ようです。この問題に関しては、単に認定保育所を増やせば良いという問題ではなく、税が使われる以上、どこまで社会が面倒を見るのかという議論も必要です。
 
また、この問題は家族と国家のあり方にも関わる問題でなので、一時的なブームで終わらせるべきではなく、安直な政権批判や選挙の道具に使うべき問題ではありません。

この5年間で保育所に関する予算が、2倍以上に増えているのは、国会の厚生労働委員会に所属する議員の努力と審議の結果です。厚生労働委員会に属するなど厚生労働行政に全く関わっていない一部の議員が騒いでいますが、これは近く行われるであろう選挙の人気取りのために子供を利用したにすぎないのです。

そうして、ここから新たな疑惑が頭をもたげてきます。民進党の前進である民主党では過去に以下のような事件がありました。

2014年民主党は、青木大和という民主党のシンパの男を使ってひとつの工作をしていました。
青木大和
この青木大和という男は、小学生になりすまして「小4詐称政治サイト」を立ち上げ、それを民主党議員が大々的に取り上げて拡散し、週刊誌やメディアに解説させ、それで安倍政権を叩くという一連の流れを作ろうとしていました。

しかし、青木大和の工作はあまりにも杜撰かつ稚拙であったためにあっけなく失敗し、それからマスコミも民主党もまったくこの件に触れなくなってしまいました。

そのサイトのURLを以下に掲載しておきます。設置されたのは、平成14年11月、衆院解散が決まった直後です。今でも見ることができます。


以下に、このサイトのヘッドラインを掲載します。


以下、小4生になりすました青木が掲載した、サイト訪問者への質問を掲載します。


今回の「日本死ね」という品性のないブログも、まったく同じパターンで民進党が仕掛けたものであると疑う人も出てきています。何しろ、パターンが全く同じです。

匿名の人間が書いた問題を、民進党シンパの人間が取り上げ、それを朝日新聞などの民進党シンパのジャーナリストが拡散し、マスコミが取り上げ、山尾しおりが国会で安倍政権を叩くというパターンです。あまりにも工作の方法が酷似しています。

概要は、以下のようなものです。

(1)インターネットで工作員が一般市民を装う。
(2)工作員が政権批判のネタを投げかける。
(3)市民団体やジャーナリストが騒ぐ。
(4)マスコミが取り上げる。
(5)民進党が政権攻撃のネタとしてそれを使う。

このような手法が民進党の世論工作のフォーマットとして出来上がっていのではないでしょうか。

民主党はインターネットで工作していたということは、「小学生なりすまし」の事件で誰もが知っていることです。そして今回の「日本死ね」は同じパターンを踏襲しているようにみえます。民進党の工作であったと疑われても仕方がないでしょう。

そうして、このような疑惑を持たれて「違う」と否定したとしても、民進党は疑惑を完全に払拭できません。なぜなら、それは「匿名」ブログであり、匿名であるからにはそれが工作員だったのかどうかは第三者には確認する方法がないからです。

青木のブログの場合は、早い時期に青木による偽物ということが、公にされたため、あまり問題になりませんでした。今回と違うのは、今回のものは未だに誰が書いたものなのかわからないという点です。

国会で匿名のブログを持ち出すということは、自作自演を疑われても反論できないということです。それを実行してしまったところに、民進党の未熟さと山尾志桜里の浅はかさがうかがえます。

そうして、その元凶を創りだした、山尾志桜里議員は「日本死ね」という憎悪表現のブログの内容をそのまま引用したということで、あろうことか、民進党の政調会長に抜擢されています。これは、本当にいかがなものかと思います。



そうして、政調会長に抜擢された直後に、政治資金の問題が明るみに出ています。言葉に関してあれほど、鈍感な山尾議員は、政治資金に関しても鈍感だったようです。

政治資金収支報告書は全て公開されています。誰でも、インターネットで直接見ることができます。私も、最近田母神さんのをみました。この報告書は、議員だけではなく、選挙に落ちた人のものも公開されているのです。

当然敵対勢力側はそれをチェックしていると考えるべきでしょう。そうして、チェックした内容を何か機会があった時に流すとみておくべきでしょう。

山尾議員は、本当にまともに検察官の仕事をしていたのでしょうか。自分に関わる法律すら理解出来ていないように見えます。とても、まともに検察官が勤まったとは思えません。

民進党は、このような議員を政調会長にするというのですから、余程人材がいなくてお困りなのでしょう。

山尾氏は、匿名ブログは自作自演ではないかとの疑惑を招くのは当然ということが認識できないようです。そのような理解力では、政治資金の扱いもぞんざいになるのも当然かもしれません。

民進党、スタートからこのような体たらくですから、多くの人が全く期待を持てないわけです。

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2016年4月1日金曜日

【スクープ最前線】オバマ政権を見くびる習政権 「尖閣・台湾」危機の衝撃情報―【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!




狙われる沖縄県・尖閣諸島 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
習近平国家主席率いる中国が、東アジアで軍事的覇権を強めている。南シナ海の島に、米海軍をけん制する対艦巡航ミサイルを配備しただけでなく、上陸作戦などで運用する「強襲揚陸艦」の整備を進めているのだ。特に、沖縄県・尖閣諸島や台湾周辺を含む東シナ海を担当海域とする東海艦隊の強化が目立つという。オバマ米大統領の残り任期が約10カ月となるなか、中国は何を狙うのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が迫った。

 日米同盟の抑止力を強化し、日本の防衛体制を強固とする安全保障関連法が29日施行された。同法をけん制するかのように、中国海軍の最新鋭フリゲート艦など2隻が前日、鹿児島県の南にある大隅海峡を通過した。

 防衛省のシンクタンク「防衛研究所」は今月公表した「中国安全保障レポート2016」で、中国海軍について「今後も領土や海洋権益問題での優位確立を目指し、海空域でのプレゼンス強化を図るだろう」と強い警鐘を鳴らした。

 ご存じのように、国際社会の関心は、朝鮮半島と南シナ海の軍事的緊張に集中している。だが、わが国固有の領土である尖閣諸島にも危機が迫っている。以下、複数の米軍、米情報当局関係者から入手した衝撃情報だ。

 「日米防衛当局は昨年末、中国の習主席が『東シナ海での軍事作戦に備えよ』という極秘指令を、東シナ海を統括する東部戦区に出した、という情報をつかんだ。中国は年明け、東海艦隊を中心に、上陸作戦で使用する強襲揚陸艦をバタバタと配備した。日米当局は『尖閣や台湾を狙っている』と緊張している」

 事実、人民日報系ニュースサイト「人民網」は1月、新型の戦車揚陸艦(排水量約5000トン)1隻が東海艦隊で運用を開始したと報じた。「中国網」(日本語版)は今月、新型強襲揚陸艦(排水量約5000トン)が、3隻同時に同艦隊に配備されたと伝えた。人民網は「大量のヘリコプターと戦車、水陸両用車、兵員を上陸地点にまで輸送する」とした。

中国海軍の新型戦車揚陸艦「武夷山」「徂徠山」「五台山」の
就役・命名式が7日午前、東海艦隊の某軍港で行われた。
 さらに、カナダの民間軍事研究機関によると、満載排水量約3万5000トンという新型強襲揚陸艦も近く完成するという。海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」(基準排水量約1万9500トン)をはるかに上回る。脅威どころではない。これは「尖閣・台湾」危機だ。

 衝撃情報はこう続いている。

 「中国は世界最大級の民間漁船による海上民兵を組織し、情報収集や領有権を主張する島々への侵入、上陸活動をさせてきた。彼らに最近、『指揮系統の確認作業が行われた』という極秘情報がある。中国は約20万隻の漁船を有し、数は約1400万人とされる。最悪の場合、すさまじい数の海上民兵が、尖閣や台湾に向かう可能性がある」

 尖閣危機については、まず民間漁船に偽装した海上民兵が尖閣に上陸し、中国海軍が「自国民保護」を名目に出動して局地戦に発展-という分析がある。このとき、次々に配備された強襲揚陸艦が使用されるのか。

中国海上民兵
 日本の外事警察関係者にこうした話をぶつけると、「東シナ海の危険は承知している」といい、次のように付け加えた。

 「台湾も危ない。独立志向が高い民主進歩党の蔡英文・次期総統による新政権が5月に発足する。この政権は8年続く可能性があるが、『台湾統一』を掲げる習氏は、これを放置できない。昨年7月、中国軍の特殊部隊が、台湾総督府をコピーした建造物で『斬首訓練』(=奇襲攻撃による政府首脳排除)をしていたことが発覚した。経済の低迷で、人民は爆発寸前だ。習氏は追い詰められている。何が起こるか分からない」

 こんな暴挙が許されていいのか。そもそも習政権は信用できない。

 習氏は昨年9月に訪米した際、「南シナ海を軍事基地拠点にする意図はない」とオバマ氏に約束したが、人工島を軍事基地化し、地対空ミサイルや戦闘機まで配備した。

 旧知の米軍関係者は「中国は今後、南シナ海に強引に航空識別圏(ADIZ)を設定して、シーレーンを牛耳るつもりだ。オバマ氏を『何もできない』と見くびっている。南シナ海や中東の混乱、北朝鮮の増長も、『世界の警察官』を降りたオバマ米国の責任が大きい」と明かす。

 31日から米ワシントンで、世界各国の首脳と国際機関代表が集まる核安全保障サミットが開催される。これに合わせて、米中首脳会談と、日米韓首脳会談などが開かれる。

 日本は、東アジアの危機回避のためにも、「自国の領土・領海・領空を守る」断固たる覚悟を示し、世界各国との連携強化に総力を挙げなければならない。

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!

上の記事では、中国の最近の中国の軍備の様子に関して、掲載し、迫りつつある現実的な脅威を強調しています。

私のブログでは、中国の海軍力は恐るに足らずということを何度か掲載してきました。その代表的なもののリンクを以下に掲載します。
中国“威嚇”か 鹿児島県沖に最新鋭のフリゲート艦 安保関連法施行―【私の論評】安保法制施行を機に日本は、中国の海洋進出を弾く壁になれ(゚д゚)!
鹿児島県沖を通過した中国のジャンカイII級フリゲート艦 写真はブログ管理人挿入
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、特に日本の場合中国と比較すると、潜水艦に関しては絶対的に優位があります。技術水準が高くて、中国の潜水艦は日本の「そうりゅう型」の敵ではありません。同時に、対潜哨戒能力も段違いに優勢であることを掲載しました。

現在通常型としては世界で最も先進的な潜水艦である日本の「そうりゅう型」
日中の海軍が戦った場合、中国に勝ち目はありません。日本の海上自衛隊と対峙しても、この程度ですから、これが、日米同盟軍であれば、箸にも棒にもかからない中国の海軍力であることを掲載しました。

特に、軍事技術に関しては、中国の技術水準はかなり劣っているので、いくら中国が尖閣を侵攻しようとして、揚陸艦や空母や艦船、海上民兵など送り込んできても、日本側に海上で撃破されてしまい、海の藻屑と消え、そもそも尖閣に到達することなど無理です。

このことは、中国側も周知の事実で、それに関しては、この記事でも中国メディアの記事を引用して掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
海上における軍事力、中国は日本にはるかに劣るのが現状
このようなことから、いくら中国が軍備を増強したとはいっても、すぐに尖閣などに攻めこむということは考えにくいです。

ただし、これは、物理的な問題です。物理的には、今中国が海軍や海上民兵を尖閣に送り込み、尖閣を奪取できるかといえば、それは無理です。

しかし、日本には特殊事情があります。自民党の危機管理プロジェクトチームが以前まとめた中間報告は、自衛隊が外国の武装集団に対抗するにしても、防衛出動以外では国際法規や慣習に基づく軍隊としての実力行使を行えず、国内の泥棒を捕まえる警察法規でしか武器を使用できないことを鋭く見据えていました。

警察官職務執行法が準用される武器使用は正当防衛や緊急避難などに限られます。相手が攻撃したあとに許される武器使用で、どうして重武装した人民解放軍に立ち向かえるでしょうか。
自衛権の発動である防衛出動もがんじがらめです。「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」かつ「他国による計画的、組織的な武力攻撃」という条件付きです。国ではなく組織的な武力攻撃とはいえない海上民兵などのテロはあてはまりません。

列国の軍隊は国民を守り、不法な主権侵害行為を排除する「平時の自衛権」を持っています。ところが日本はこの当たり前の権限が許されていません。

現状では憲法第9条は「陸海空軍その他の戦力」保持を認めていないと解釈しているからです。これは、自衛隊を軍隊でも警察でもない、あいまいな「実力組織」と位置付けてきたためでもあります。9条を改正するか、9条の解釈を変更して、自衛隊を軍隊として正当に評価すればよいのですが、当面の方策としては成り立ちません。

日本の自衛隊は軍隊ではない。その身分は「特別職国家公務員」である
このあたりを、中国側に見透かされ、海上民兵などにより、尖閣に上陸され、実行支配され、その後南シナ海のように、軍事基地化され、次の段階で沖縄侵攻の前哨基地にされるというシナリオは十分に考えられます。

そうして、最近では、中国に異変がみられ、習近平がこうしたことを実行する決意を固める可能性も十分にあります。

その異変とは、どのようなものかといえば、2つほどあります。まず一つ目は、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、先月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃したことを掲載しました。

この式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのです。

これにより、中国の影の本当の実力者は、王岐山であるかもしれないことが、公に示されたことになります。本当の実力者とまでいなくても、王岐山はいつの間にか、習近平と対等の権力を手中に収め習近平を諌めることができるものとみられます。

異変は、さらにあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

「あなたは指導力に欠ける」 中国主席辞任要求する公開書簡がニュースサイトに掲載 当局が捜査
この記事の内容、以下にそのまま引用します。 
 中国新疆ウイグル自治区政府系のニュースサイト「無界新聞」に、習近平国家主席の外交や経済面などの「失策」を指摘し、辞任を求める公開書簡が17日までに掲載され、当局が捜査に乗り出した。中国語ニュースサイト「博訊」(本部・米国)などが報じた。 
 報道によると、「忠誠なる共産党員」を名乗る投稿者による書簡は全国人民代表大会(全人代)の開幕を控えた4日夜に掲載され、すぐに削除されたという。 
 書簡は「習近平同志、ニーハオ。われわれは忠誠なる党員です」との書き出しで始まり、習氏が権力を集中させて、国家機関の独立性を弱体化させたと政治面の問題を指摘。言論締め付けは文化大革命の再発を懸念させると批判した。 
 外交面でも、能力を隠して自重するという故トウ小平氏の外交戦略「韜光養晦」路線を捨て、日本や米国との関係を悪化させたなどと非難。「あなたは党や国家の指導力に欠ける」と辞任を求めた。
無界新聞が掲載した習氏を批判する記事
この習近平批判記事を掲載したとされる、中国の著名コラムニスト、賈葭氏が行方不明になっていることが明らかになています。

賈葭氏は15日夜以降、連絡が取れなくなったとといます。同氏は同日に北京から香港に飛行機で向かう予定でした。賈葭氏の妻は、夫の行方が分からなくなったと当局に訴えています。

政府系ニュースサイトに掲載された習近平国家主席の辞任を求める匿名の手紙をめぐって、賈葭氏に対する当局の疑いが高まっていたとみられます。手紙はサイトから間もなく削除されました。

今回の失踪も、習主席のイメージを守ることを目的とした、最近注目を集めるメディア関係者への締め付けの一環だとみられます。

賈葭氏
さらに別の動きもありました。中国共産党員を名乗り、習近平国家主席の辞任を求める公開書簡が米国の中国語サイトに1日までに投稿され、波紋が広がりました。国家主席の辞任を求める声が立て続けに公になるのは異例で、強まる言論統制への反発との見方が出ています。

米政府系放送局ラジオ自由アジアなどによると、新たな書簡は3月29日にニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載されました。「171人の中国共産党員」を名乗る投稿者が自分ですぐに削除したもようですが、ネット上で一気に拡散しました。

書簡は「習同志の独裁と個人崇拝が党内組織をひどい状態にした」と批判。共産党に「習同志を一切の職務から罷免し、党と党員を救済するよう要求する」と訴えました。

ニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載された習近平批判
この一連の動きをみていると、習近平は国内の権力闘争で当初は腐敗撲滅運動で、かなり成果をあげたのですが、習近平自身が不正を働いていたのは周知の事実で、これに対する反発も相当なものだったことがうかがえます。

そうして、現在間違いなく習近平の権力基盤は揺らぎつつあります。習近平は、この状況を変えて、自らの統治正当性を強調するため、これから一気に過激な示威行動に出る可能性があります。

しかし、南シナ海において、新たな動きをするということになれば、アメリカと本格的に対峙しなければならないことになります。これは、全く勝ち目がないので、習近平も避けたいところでしょう。

しかし、周囲をみまわせば、アメリカ程強力ではないどころか脆弱なところがあります。それは、どこかといえば、軍事力は強大ながら、憲法上の制約があり、まともに戦えないかもしれないと目される自衛隊が守る日本の尖閣諸島です。

さらに、防衛力では日本より格段に劣る台湾への侵攻です。これらに成功し、国内で反対派を再度徹底的に弾圧できれば、習近平の国内での統治の正当性はかなり高まることが考えられます。

そうして、これはオバマ政権下のうちに、実行される可能性も十分にあります。ご承知にように、オバマは外交などの非常に及び腰なので、オバマ政権下で尖閣や、台湾に侵攻したとしてもオバマは烈火のごとく怒り、中国を激しく非難するかもしれませんが、それ以上のことはしないと見られるからです。

習近平が事を起こすならオバマ政権下の時に起こすのが有利
オバマ政権が終了し、次の大統領になった場合、誰がなったとしても、少なくともオバマよりは及び腰ではないことが考えられます。習近平が示威行動をするなら、この機を逃すのは、明らかに不利です。

日本としては、やはり憲法9条を改正するか、改正しないまでも、憲法学における京都学派の憲法解釈を採用して、防衛戦争をできるようにする必要があります。

京都学派の憲法解釈に関しては、このブログにも掲載したことがあります。そのリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
憲法学における京都学派の重鎮 佐々木惣一氏
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、佐々木惣一氏をはじめとする、京都学派の解釈では、憲法9条は、日本は国際紛争を解決する手段として、戦力を用いたり保持することは禁じているが、防衛戦争そのものを禁じたり、防衛戦争のための戦力を用いたり保持することまでは禁じていないと解釈しています。

この解釈に従えば、自衛隊を軍隊にし、中国が尖閣に侵攻してきた場合、普通の国の軍隊と同じく、防衛戦争をすることは違憲ではありません。

ブログ冒頭のような成果情勢があり、さらに最近ではアメリカの大統領候補トランプ氏が、日米安全保障における日本の片務性(米国が攻撃されても日本はこれを守ることはしない)に苦言を呈するとともに、核武装も許容するとしている今日、日本も防衛戦争くらいできるようにしておくべきものと思います。

中国の海上民兵に尖閣列島を占拠され、尖閣が中国に実効支配されるようになり、南シナ海のように軍事基地化され、沖縄侵攻の橋頭堡にされたり、尖閣付近の間隙をぬって、中国のさらなる海洋進出を許すことがあってはなりません。

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2016年3月31日木曜日

小保方さんの恩師もついに口を開いた!米高級誌が報じたSTAP騒動の「真実」―【私の論評】小保方さんの倫理問題にすり替えるな!理研と文科省のガバナンスの問題こそ本質(゚д゚)!

小保方さんの恩師もついに口を開いた!米高級誌が報じたSTAP騒動の「真実」

小保方晴子さん

小保方さんは間違っていたのか、それとも正しかったのか—アメリカの権威誌に掲載された記事には、日本で報道されていない新たな証言が書かれていた。世界中が彼女に注目し始めている。

すさまじい駆け引き

「私は、STAP細胞は正しい、確かに存在すると100%信じたまま墓場にいくつもりだ」
こう語るのは、小保方晴子さん(32歳)の恩師、アメリカ・ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授だ。バカンティ氏は、小保方さんが発表し、後に撤回された「STAP細胞論文」の共著者でもある。

小保方さんが、自らの言葉で綴った手記『あの日』が、海の向こうでも話題になっている。アメリカで有数の権威を持つ週刊誌『NEW YORKER』(ニューヨーカー)の電子版に、一連のSTAP騒動を検証する記事が掲載されたのだ。筆者は、アメリカ人のデイナ・グッドイヤー女史(39歳)。'07年まで『ニューヨーカー』の編集者として勤務し、その後、ノンフィクション作家として独立した人物である。

冒頭のバカンティ氏の言葉は、グッドイヤー女史のインタビューによって騒動以降、初めて明らかになったものだ。

在米の出版社社員が現地の様子について語る。

「バカンティ教授が取材を受けたのも『ニューヨーカー』だからこそです。それくらいこの雑誌で記事が組まれることはステータスでもあるんです。この記事を掲載するに当たって編集部は約半年にもわたり、準備をしたそうです。かなり気合が入った記事であることは間違いない。小保方さんが手記を出したことで、世界が再び彼女に注目しています」
『ニューヨーカー』はアメリカ雑誌界の最高峰に君臨。読者層は知的好奇心が高く、「高級で権威がある雑誌」と認識されている。紙の雑誌の発行部数は100万部以上。

電子版も好調で、こちらも100万人以上の会員数を誇る。一本一本の記事が丁寧に書かれている総合誌で、非常に読み応えがあるのが特徴だ。

小保方さんに関する記事のタイトルは「THE STRESS TEST」。幹細胞研究の世界はまさに陰謀、欺し合いが錯綜している。そこに細胞に対して行う「ストレス・テスト」を引っかけ、ストレスに弱い者は、科学界で生き残れないことをこの記事は示している。

グッドイヤー女史は日本中を巻き込んだ「STAP」騒動をどう分析しているのか。

まず小保方さんの登場について記事ではこう書かれている。

「この仕事(STAP)の背後にいた『革命児』が小保方晴子であった。彼女は男性中心の日本の科学界に女性として一石を投じた。彼女は他の女性に比べて、男たちとの駆け引きの中で生きることに長けていた。そして独創的な考えの持ち主であると賞賛されていた」(『ニューヨーカー』より・以下カッコ内は同)
その小保方さんを引き上げた人物こそ、バカンティ教授だった。

「小保方がバカンティ教授の研究室にやってきた時、バカンティはすぐに『彼女にはopen‐minded(心の広さ、進取の気性に富む)と、明敏さがある』ことに気づいた。ただしバカンティは当面、細胞にストレスを与えると幹細胞を作り出す可能性があるという仮説を伏せておいた。

彼がもっとも避けたかったのは、留学生が自国に戻って、他の誰かの研究室で彼女のアイディアを展開することにあった。バカンティは私にこう言った。『私の主な懸念は、我々はハルコを信用できるのかだ』と」

「彼女には才能がある」

だが、バカンティ氏の懸念は杞憂に終わる。小保方さんは彼の研究室で信頼を高めていった。

「小保方の下でリサーチ・アシスタントとして働いたジェイソン・ロスはこう言った。『彼女がいかに才能があるかは、誰もが分かった。ハルコのような才能のある人はそう多くはいない』。

それに対して小保方はこう返した。『日本では女性研究者は二流です。たとえ年下の大学生でも、男性が必要としたら、女性は顕微鏡を使うのを諦めないといけません』」

やがてバカンティ教授の元での短期留学を終えた小保方さんは、日本に帰国し、'11年に理化学研究所(CDB)の研究員に。そこで「STAP騒動」のキーパーソンである若山照彦教授のチームに所属する。そして本格的にSTAP細胞の研究に取り組んでいく。

「生物学者の山中伸弥がノーベル賞を受賞したとき、CDBの研究者たちの野心は奮い立った。CDBのチームは、自分たちの発見が山中の発見と張り合う、いや山中の研究をobsolete(時代遅れ、廃れた)にしてしまうとまで考えた」
その一方で、当時の小保方さんについては、

「小保方はCDBでの昇進は早かったが、うまく適応できてなかった。アメリカ的になっていたので、元同僚たちによると小保方は、日本の研究所の厳格なヒエラルキーにイライラしているように見えた」
と記している。
'12年、STAP細胞発見への意欲を見せる小保方さんのもとにもう一人の協力者が現れる。それが騒動中に自殺した笹井芳樹・元CDB副センター長だった。笹井氏のもとで、小保方さんは論文を再構築する。

そして'14年、ついに世界的権威を持つ科学雑誌『ネイチャー』にSTAP論文が掲載される。日本のメディアは割烹着姿で顕微鏡をのぞき込む小保方さんを「リケジョの星」、「ノーベル賞級の発見」と煽り持ち上げた。

だが、風向きが急速に変わり始める—。

「ブランドン・ステルという名の神経科学者が'12年に創設した『PubPeer』というオンライン・フォーラムがあり、そこでは誰もが科学論文を分析して議論することができる。STAP論文は彼らにとってまさに、好奇心をそそる材料であった。2週間も経たないうちに、匿名のユーザーが論文に掲載された画像の2つがほとんど同一のものであることに気づいた」

STAP論文の発表は世界に衝撃を与えると同時に、世界中の研究者からの検証にさらされることにもなった。これこそが「ストレス・テスト」なのだ。このテストにバカンティ氏と小保方さんは耐え抜くことができなかった。

「ハーバード大学の科学者でボストン小児病院の幹細胞移植のディレクターであるジョージ・ダレイは私にこう言った。『当時、世界中の私の同僚たちは、お互いにメールをしあって、おーい、何が起きているんだ。うまくできたか? 誰も成功してないのか、と言い合っていた』」

今も信じている

グッドイヤー女史によると、ダレイは「STAPは幻想である」ことを立証するための論文を『ネイチャー』に発表する準備を始めたという。さらにダレイは2回にわたって、バカンティ氏に間違いを諭そうとしたが、無駄に終わったという。

「ダレイは私に『バカンティは自分が正しいと思い込んでいる』と言った。

そして、昨年の9月、『ネイチャー』はダレイのSTAPに関する論文を掲載した。そこには小保方の主張を正当化すべく7つの研究室が再現をしようとしたが、すべて失敗したと書かれていた。
この論文の共著者であるルドルフ・イェーニッシュは、遠慮することなく私にこう言った。『小保方が若山にいろいろ混ざった細胞を渡したことは明らかだ。若山は彼女のことを信じてそれを注入した。そして美しいキメラができた』」
バカンティ氏は一度、小保方さんに「データの捏造はしてないのか」と尋ねたが、小保方さんの答えは、「それならこんなに時間をかけて実験はしない」だったという。

さらに記事の中には、バカンティ氏は論文撤回後もSTAP細胞作製に向け、いまも研究を続けていると書かれている。

断っておくが、『ニューヨーカー』に掲載されたこの記事は、誰が正しいと断定はしていない。あくまでそれぞれの当事者に取材し、主張を丁寧に拾ったものである。騒動以降、口を閉ざしたままだったバカンティ氏が、今も小保方さんを信じ続けていることは、この記事を読めば十分に伝わってくる。

筆者のグッドイヤー女史は今回、記事を書くにあたって小保方さんとメールでコンタクトを取ったことを明かしている。

「小保方は『私はスケープゴートにされた』と書いてきた。『日本のメディアはすべて、若山先生が犠牲者で、私がまったくのろくでなしと断定した』とも」
小保方さんは今、どんな思いで、何を考え、日々を過ごしているのだろうか。

「週刊現代」2016年3月26日・4月2日合併号より


【私の論評】小保方さんの倫理問題にすり替えるな!理研と文科省のガバナンスの問題こそ本質(゚д゚)!

小保方さんに関しては、本日は以下のようなニュースも掲載されていました。
小保方氏がHP開設、STAP作製“手順”公開…「他の研究者がSTAP細胞の実現を希望」
 STAP細胞論文の著者だった理化学研究所の元研究員、小保方晴子氏(32)が、STAP細胞の作製手順や理研による検証実験の内容を公開するホームページを開設したことが31日、分かった。 
 全文が英語。トップページには3月25日付で小保方氏の名前とともに「他の研究者がSTAP細胞を実現してくれることを希望し、作製手順を公開する」との説明がある。 
 また、「STAP細胞の研究が科学の最前線に戻ることを願う」として、今後も内容の更新を続けると表明。理研が平成26年に実施した検証実験に対しては「厳しい監視の下で行われ、同じ作業を毎日繰り返すことしかできなかった」と批判している。 
 小保方氏は1月には自らの主張をまとめた手記を出版している。
小保方さんのサイトのリンクを以下に掲載しておきます。
STAP HOPE PAGE
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に、小保方さんが公表したHPのトップページを以下に掲載します。


このサイトが公開され、万が一にも小保方さんとほぼ同じブロトコル(方法)で、STAP現象が確認されたり、あるいは少し改変した形で、STAP細胞ができたとしたら、一体どうなるのでしょうか。

仮定の話をしても仕方ありませんが、それにしても、あのSTAP騒動は今に至るまでも、本当に後味の悪いものでした。

そのことについては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その代表的な記事のリンクを以下に掲載します。
米国でも「STAP細胞はあります!」 共著者バカンティ氏、研究続ける 「正しいと確信したまま墓場に」―【私の論評】この事件誰が正しいか間違いかではなく、何が正しいか間違いかを検討しなれば、また同じ轍を踏むことになる(゚д゚)!
小保方さん(前列左)とチャールズ・バカンティ氏(前列右)
小島氏(後列左)、大和氏(後列右)
 詳細は、この記事をごらんいただくものとして、以下にこの記事結論部分のみ以下に掲載します。
理研のこの事件に関する、調査は本当にしっくりきません。何やら、責任はすべて小保方さんの倫理観にあるかのような調査結果の内容です。

要するに、理研も「誰が正しいか、誰が間違いか」という観点で調査を行うという過ちを犯しているのだと思います。

このような調査ですませていては、今回自殺者まで出してしまった、事件に関して、一時しのぎはできるかもしれませんが、小保方さんがES細胞を混入させたさせないという観点ではなく、どうしてES細胞が混入するような事態が生じてしまったかという観点で調査すべきです。

小保方さんや、若山さん、あるいは他の人が混入させたにしても、そもそも、なぜ混入などという不祥事が生じてしまったのか、その背景と、それを阻止するための方策にまで言及すべきです。

人間は不完全ですから、誰でも間違いや失敗をすることはあります。しかし、その後でそれを単に個人の倫理観に委ねていては、何も解決しません。単に「あいつが悪い」で終わってしまいます。

そうして、それを起こしてしまった、システムや背景など何も改善されません。マスコミはまるで、倫理判定装置のような見方で報道するのではなく、こうした観点から、報道すべきですし、理研の幹部や、文部省は、このような観点から調査をするのはもとより、その結果から、理研のシステムを変更するとか、危機管理システムを創設するか、内容を変更するなどの具体的な行動をして、このような事件を再発しないように、あるいは似たような事態が生じた場合には、早めにリスク管理行動を起こして、傷口が今回のように大きく広がることを阻止すべきです。
 ブログ冒頭の記事の最後のほうに、「小保方は『私はスケープゴートにされた』と書いてきた。『日本のメディアはすべて、若山先生が犠牲者で、私がまったくのろくでなしと断定した』とも」と掲載されています。

仮に、小保方さんが「まったくのろくでなし」であったとしたら、そこでさらに疑問がわきます。では、なぜ「まったくのろくでなし」をSTAP細胞研究のユニットリーダーに抜擢したのかが疑問です。

理研は小保方さんが、「まったくのろくでなし」あることを見抜く能力がないのか、ないとしたら何に問題があるのか、それを解決する方法や、それを防ぐための「危機管理マニュアル」など存在しないのでしょうか。

理研は、存在しないというのなら、これから作るつもりなのか、それで本当にリスク回避ができるのかを開示すべきです。

また、理研も組織であるので、監査や内部統制はどうなっているのか、今回の出来事で監査が有効に実施されていなかったのは、はっきりしています。どのような監査が行われていたのか、不十分だったのか、不十分であれば、どのように改善するのかをはっきりさせるべきです。

日本版SOX法における内部統制フレームワーク

さらに、内部統制は組織的に実施されていたかの問題もあります。内部統制(ないぶとうせい 英:internal control)とは組織の業務の適正を確保するための体制を構築していくシステムを指します。組織がその目的を有効・効率的かつ適正に達成するために、その組織の内部において適用されるルールや業務プロセスを整備し運用すること、ないしその結果確立されたシステムをいいます。

これは、ガバナンスの要とも言えるもので、近年民間企業においてはその構築と運用が重要視されています。内部監査と密接な関わりがあるので、内部監督と訳されることもありますが、内部統制が一般的な呼び名となっています。

民間企業でわかりやすい事例としては、たとえば、財務部門と経理部門を一つの組織として、1人上長が管理するようなことはすべきではないというものがあります。

財務と経理の仕事は、中小企業などでは特に区分していない企業も多いですが、上場企業においては明確に区分されています。

経理部門が「日々の経費の精算や帳簿の記帳などをする」「事業活動を数字に表していく処理をする」仕事がメインですが、財務部は「経理部門が作成した財務情報を基礎として企業の今後の経営戦略を財務の視点から考える」部署となります。経理部より財務部の方がより専門性が高い業務といえるでしょう。

また、財務部門は、回収と支払いのサイト管理や資金繰りの管理を通して、企業運営を円滑に進められるように、資金が足りないときは外部から調達してくる役割を担っています。

このような区分を考えると、経理部門と財務部門の管理者が同一であるというのは内部統制上良くないことははっきりわかります。内部統制として望ましいのは、これらの部署が互いに他の部門を牽制するような仕組みをつくることこそ、正しい方向性です。

理研も、民間営利企業ではないものの、理研としてこのような内部統制や、監査の仕組みさらに、危機管理体制がマニュアル化などしてあれば、そもそも、今回のような騒動は起こらなかったかもしれませんし、起こったにしも、あのような無様な形で、主に小保方さんの倫理的な問題にして、ようやく決着をつけるということにはならなかったと思います。

理研の実験室など、あのうろたえぶりからすると、このような観点からすれば、たとえば、レイアウトや、入室、退室のさいの手続きとか、実験の各段階における手続きとか、明確になっていたとはとても思えません。

こういうと、私は小保方さんを援護しているように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。そもそも、部外者である私は、小保方さんの倫理面や人格等を忖度するような立場にもありません。どんな人なのかもわかりません。だから、小保方さんを援護したり、非難したりする気も全くありません。

そんなことよりも、たとえ小保方さんが「まったくのろくでなし」であろうが、なかろうが、あるいは悪人であろうが、なかろうが、私はそんなことよりも、たとえ狡猾でかなり頭の良い極悪人が運悪く研究所内に潜り込んだとしても、何か普段では考えられないような危機が発生したとしても、余程のことがない限り、間違いが起こらないようなシステムを構築すべきということを言いたいのです。そうして、仮に間違いが起こっても、早期に収拾できるリスク管理体制を構築すべきであることを言っているのです。

倫理観に基づく、良き意図は大事です。しかし、良き意図だけでは何もできません。何も守れません。何も変えられません。そもそも、理研など国の最先端の研究機関であれば、このあたり、二重三重に備えをしておかなければ、妨害されたり、邪魔をされたり、成果を盗まれたり、あらぬ方向に操作されたりするので、そのようなことが絶対にないように、その備えを固めよと言いたいのです。

そうして、そのような備えを固めることによって、まともなガバナンス(統治)を実行するための基礎ともなると言いたいのです。このようなことを疎かにするような、理研や文科省であれば、統治の正当性が疑われるということを言いたいのです。

もし、理研や文部省がまともなガバナンスができないというのであれば、ガバナンスがまともにできる民間研究所に委託するか、全く新たな組織を作ったほうが良いということを言いたいのです。

ブログ冒頭の記事では、NEW YORKERに小保方さんに関する記事が掲載されたとしていますが、理研や文科省のガバナンスに関する観点については掲載されていませんでした。関係者へのインタビューなどは掲載されているようですが、これではあまり意味がないと思います。ただし、NEW YORKERのもとの記事には触れられているのかもしれません。機会があったら、当該記事を読んで見たいものです。

いずれにしても、理研に限らず、最先端の研究をしている民間の研究所や、大学の研究室など、今回のような出来事は明日は我が身ということにもなりかねません。まずはできることからで良いので、リスク管理、内部統制、監査、ガバナンスに関してもう一度見直し、脆弱なところがあれば、補強しておくべきものと思います。

それから、マスコミにも注文をつけたいです。STAP騒動におけるマスコミの報道ぶりは最悪でした。まるで、マスコミは倫理審判団のように、小保方さんを糾弾し、STAP現象を完璧にまがい物扱いしました。STAP現象は、いまのところは作業仮説ですが、まがい物ではありません。

あのような報道では、全く無意味です。倫理問題など従の扱いで、もっと本質的なガバナンスや危機管理の点からの報道をもっとすべきでした。

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「小保方さんがかけたきた涙の電話  若山照彦」というタイトルの記事が掲載されています。

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