2016年10月1日土曜日

【朝日新聞研究】戦後日本は本当に「平和国家」だったのか 単に戦争をしなかったというだけ―【私の論評】国民が拉致されたままの日本のどこが平和なのか?

【朝日新聞研究】戦後日本は本当に「平和国家」だったのか 単に戦争をしなかったというだけ

国立歴史民俗博物館の山田康弘教授
朝日新聞の8月30日朝刊のオピニオン欄「異議あり」に、「『縄文時代』はつくられた幻想に過ぎない」と題する、先史学者で国立歴史民俗博物館の山田康弘教授へのインタビュー記事が掲載されていた。

 縄文時代は戦後、稲作が開始された弥生時代と比較して、原始的な遅れた貧しい時代だと考えられてきた。「しかし70年代になると、縄文のイメージは大きく変わります。縄文は貧しいどころか、豊かな時代だったという見方が出てくるんです」と、山田氏はいう。

 その要因は、発掘調査が数多く行われたうえ、旧国鉄の旅行キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」にみられる日本再発見の時代風潮、芸術家の岡本太郎氏らの提示した「縄文ポピュリズム」などであった。

岡本太郎氏
 山田氏は「縄文のイメージは、考古学的な発見とそれぞれの時代の空気があいまってつくられてきたものです。見たい歴史を見た、いわば日本人の共同幻想だったのです」といい、以下のように結論付ける。

 「縄文に限らず、ある時代の一側面だけを切り取って、優劣をつけるのは、様々な意味で危険です。『縄文は遅れていた』『縄文はすばらしかった』と簡単に言ってしまうのではなく、多様な面をもっと知ってほしいですね」

 インタビューした記者も、次のように記している。

 「人は『見たい歴史』を見てしまうと山田さんは言う。縄文だけでなく、私たちは江戸時代や明治時代にも『見たい歴史』を見ているのかもしれない。『○○時代はこうだった』という思い込みの危うさを痛感させられた」

 日本の歴史の各時代の中で、私が最も幻想だと感じるのは、一番最近の「戦後日本」である。それは朝日新聞に代表される、昨年、安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」であると表現される。しかし、戦後日本は本当に平和国家であったのか。日米安保条約によって守られて、単に戦争をしなかったというだけでは、本当の平和国家ではないだろう。それこそ「見たい歴史」を見ているだけではないのか。

 ところで、戦後日本においては「東洋のスイス」になることが理想とされた。だが、その声はいつの間にか消えてしまった。スイスの真の姿が、次第に知られてきたからである。ヨーロッパの真ん中にありながら、スイスは永世中立国として、第1次世界大戦にも、第2次世界大戦にも巻き込まれなかった。

 同じ永世中立国でも、ベルギーとルクセンブルクは、第1次でも第2次でも、ドイツに侵略された。第2次大戦で中立を宣言したオランダやデンマーク、ノルウェーも、ドイツに侵略されて中立を守れなかった。

 スイスにそれができたのは、「武装独立」と「国民皆兵制」を国防戦略の基本に据えるなど、国民が強固な国防意識を待って軍備を整え、侵略者にその気を起こさせなかったからである。自力で平和を守れる国こそが真の平和国家である。

 酒井信彦(さかい・のぶひこ)


【私の論評】国民が拉致されたままの日本のどこが平和なのか?

確かに、戦後日本が「平和国家」であったなどということは幻想に過ぎません。しかし、それは酒井信彦氏のブログ冒頭の記事で語っておられるように、戦争をしなかつただけということだけではなく、北朝鮮による拉致被害が生じていてそれに日本が対処してこなかったことでも、とても平和であったとなどは口が裂けてもいえません。

「拉致国民大集会」でスピーチをする横田早紀江さん(中央)
「日本の平和を守ろうと、みんなが口にします。けれども、いまの日本が平和なのでしょうか。北朝鮮に拉致された被害者の日本国民が放置され、しかも生存をかけて戦っている以上、いまの日本は平和ではありません」

姉のるみ子さんを北朝鮮工作員に拉致された増元照明氏は、9月17日、東京都千代田区の砂防会館別館で開催された「拉致国民大集会」でこう語りました。

拉致国民大集会の正式の名称は「最終決戦は続いている!制裁と国際連携で全員救出実現を!国民大集会」です。「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)が主催したこの集会に、安倍晋三首相をはじめ各政党の代表や全国知事会の代表、地方議会の代表、一般支援者など合計1000人が集まりました。

集会では、横田早紀江さんも北朝鮮に拉致された娘への思いを切々と語りました。

「娘のめぐみが北朝鮮工作員に拉致されてから、もう39年です。この間、めぐみは日本からの救出を待ち続けてきたはずです。大韓航空機を爆破した金賢姫元工作員から北朝鮮でのめぐみの様子を聞いたとき、『めぐみさんはいつも君が代を大きな声で歌っていました』と教えてくれました」

早紀江さんはさらに熱を込めてこうも語りました。

「めぐみは日本という国家への思いを込めて、君が代を歌い続けたのでしょう。日本が、やがて必ず自分を北朝鮮から救出してくれる。究極には日本という国家を信じていたのだと思います。ひたすらめぐみは北朝鮮で待ち続けた。しかし日本はその期待に応えていません。日本人にとって国家とはなんなのでしょうか」

早紀江さんは日本という国家への期待を表明する一方で、日本が国家として自国民の救出に乗り出さないことへのいらだちを隠しません。

増元照明さんと横田早紀江さんが日本国のあり方を非難するのもきわめて当然のことです。国家にとって自国民を守ることは最も基本的な責務のはずです。

しかし、日本はこの最も基本的な責務を果たしていません。北朝鮮という隣の国家に日本国民が拉致され、長い年月、囚われとなっている事実が分かっていても、救い出すことができません。究極的な政治的・経済的制裁を加えて北朝鮮と対決し解放を迫ることはないし、まして他国にように軍事手段を使って自国民の生命を保護することは最初から禁じられています。

北朝鮮拉致問題の「救う会」「家族会」らが開いた国民大集会で、安倍晋三
首相と握手する横田滋さん。右は曽我ひとみさん=9日午後、東京都文京区

今回の大集会は新たな決議を採択して閉会した。その決議内容を以下に記しておきます。

(1)北朝鮮は、今すぐ、被害者全員を返せ。全被害者を返すための実質的協議に応ぜよ。

(2)政府は、核・ミサイル問題と切り離して被害者帰国を先行させるための実質的協議を最優先で実現せよ。

(3)立法府は、北朝鮮のようなテロ集団を支える活動をわが国内で行うことを阻止する新法を作れ。

「拉致問題を核・ミサイル問題と切り離して最優先」というのはこれまでと異なる表現でした。つまり「拉致問題の解決を先行してほしい」ということです。この点にも拉致被害者家族たちの切なる思いがあふれ出ていると言えます。


北朝鮮に拉致された可能性のあるのは、上のチャートにあるように、拉致被害者だけではありません。特定失踪者も、拉致の疑いがあります。

このような厳しい現実があるにもかかわらず、昨年、朝日新聞をはじめとする安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」と呼ばれる日本は、本当に平和であるといえるでしょうか。

私は、全く「平和国家」などとは言えないと思います。

拉致された日本人を救う手立てははるはずです。1997年アルバニアでは国民の間で流行していたネズミ講が破綻し、財産を失った国民が暴徒化するという事態に発展しました。

この動乱で、自国の在留住民の身辺を案じた国際社会による救出作戦(オペレーション・アルバ、オペレーション・リベレ、オペレーション・シルバーウェイク)が実行されました。しかし、紛争が長期化しアルバニア難民が発生すると、イタリア・ドイツ・アメリカを主導とした治安回復作戦(オペレーション・サンライズ)が開始されました。作戦によって暴動は鎮圧されて治安は回復したましたが、同年の総選挙でサリ・ベリシャ政権は退陣に追い込まれました。

1997年アルバニア動乱でアメリカ合衆国による自国民救出
このときドイツもアルバニア在住の自国民保護のため、国防軍を派遣。ドイツ人だけでなく、日本を含む他国民も救出しました。

このことによって国際社会はドイツが軍事的にも主体的に行動することを是認するようになりました。自国民保護をきっかけに、ドイツは国際政治の中で重要なプレーヤーになることになったのです。

しかし、日本の自衛隊は未だにそのようなことができない状況にあります。昨年朝日新聞をはじめとして、安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」とされた日本の現実はこのようなものなのです。このような現状は、何が何でも変更して、日本が真の「平和国家」になるべきであると思うのは、私だけでしょうか?

【関連記事】


2016年9月30日金曜日

『アゴラ』が蓮舫氏に公開質問状 “二重国籍問題”を追及「証拠示し説明を」―【私の論評】蓮舫氏が蓮舫氏自身を追求し追い詰めることに(゚д゚)!


今臨時国会で、安倍総理を舌鋒鋭く批判し、質問した蓮舫氏
 民進党の蓮舫代表の「二重国籍」問題で、インターネットの言論プラットフォーム「アゴラ」が29日、蓮舫氏あてに公開質問状を提出した。国民にウソをついていた国籍問題について、野党第一党の党首として口頭ではなく、公文書などの証拠を示して説明を求めるものだ。蓮舫氏は「ごまかし」なく、国民に真実を提示できるのか。

注目の質問状は、アゴラ編集部が29日夕、蓮舫氏のツイッターに送付するとともに、ネット上で公開した。夕刊フジでも同問題を徹底追及した、徳島文理大学の八幡和郎教授が問題提起を続けてきたサイトだ。

国会議員の法令順守が問われる蓮舫氏の「二重国籍」問題を明らかにするため、アゴラは(1)(1985年に日本国籍を取得しているが)日本国籍を選択した日付の戸籍関係書類(2)9月6日に東京の台北駐日経済文化代表処に出した台湾旅券を含むすべての書類(3)9月23日に台湾の当局から受け取った国籍喪失証明書-の開示を求めている。

質問状を出した理由として、「現状では、国籍選択をされたのか、本当に『二重国籍』状態は解消されたのか、蓮舫氏の一方的な説明に過ぎない」「もし、蓮舫氏が疑惑を追及する立場だったら、舌鋒鋭く『なぜ、証拠書類を出さない』と迫っていたはず」と記している。

この問題については、日本維新の会が、国会議員や国家公務員の「二重国籍」を禁止する法案(いわゆる『蓮舫法案』)を、今回の臨時国会に提出している。民進党の同法案への対応が注目されるなか、この質問状への回答も関心を集めそうだ。

【私の論評】蓮舫氏が蓮舫氏自身を追求し追い詰めることに(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にも掲載されている徳島文理大学の八幡和郎教授のサイトのリンクを以下に掲載しておきます。
蓮舫氏の二重国籍解消で判明した点と未解決問題の整理【暫定版】
徳島文理大学の八幡和郎教授
八幡先生が語っておられるように、確かに本当に現在でも、二重国籍から台湾籍わ除籍して、日本籍のみになっているのかどうか、誰もわかりません。それを確認できるのは、今のところ本人だけです。

民主党内ですから、物的証拠を見たという人はいません。自身の二重国籍問題で発言が二転三転し、見苦しい言い訳をしてきた蓮舫氏です。やはり、この公開質問状にははっきりと、まともに応えてもらわないと信用が全くできません。言葉ではなく、物的証拠を提示すべきです。

蓮舫氏を追及させたら蓮舫氏が一番というパロディー動画が、動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」で話題になっています。その動画を以下に掲載します。


この動画は「もしも蓮舫議員の二重国籍問題を蓮舫議員が追及したとしたら(笑)-ブーメランの女王はガソリーヌでなく私よ!」と題した14分57秒の作品です。テレビの複数のニュース番組を編集し、蓮舫氏を蓮舫氏が追及するという仕立てです。

動画の冒頭でテレビ司会者の辛坊氏が「週刊誌やネット等の噂で、二重国籍で台湾籍を持ちながらなのか?という噂があります」と質問すると、画面が切り替わり、蓮舫氏は「いま、そのような噂が流布されることがホント正直悲しいんです」と回答します。

すると次の瞬間、再び画面が切り替わり、国会で質問に立つ蓮舫氏が現れて、「週刊誌の報道内容は事実か確認されましたか?」と語気鋭く質問。さらに「確認はされましたか?」と重ねて詰め寄ります。

強い語調でただす蓮舫氏がそっくりそのまま自分自身を容赦なく攻め立てるように見える編集で、動画のタイトルも「ブーメランの女王」と名付けられた。9月24日の公開後、再生回数12万回以上の人気動画となっています。

この動画がこのように人気になるのも、当然のことです。蓮舫氏の、二重国籍問題に関して、一般人と同じような感覚で、あまり問題がないとか、差別であるかのように、問題を矮小化する人もいますが、国会議員や野党第一党の代表は公人であり、利益が相反する国の国籍を有したまま、国会議員や代表になるのは非常に問題です。

台湾と日本に関しては、このブログに以前掲載したように、はっきりと大きな利益相反があります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる 蓮舫新代表=9月15日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、台湾は現政権になってからも、尖閣は台湾領であるという主張を取り下げていません。また、南京虐殺に関しても、大陸中国と同様の主張をしています。

この記事にも掲載したのですが、台湾人とは決して一つの民族というわけではありません。まずは、本省人と内省人という区別があります。

本省人とは戦前から台湾に移住して住んでいる人達の事です。本省人には2種類あり、福建系(ほとんど)と客家系(少数)にわかれます。本省人(福建)は台湾語を話し、本省人(客家)は客家語を話します。

台湾は日本などとは異なり、多民族国家です。本省人の他に、外省人とは戦後に中国大陸からやってきて台湾に移住した人達のことです。

当時中国大陸で国民党と共産党の内戦があり、国民党は負けたので台湾に逃れました。元々は大陸に戻るつもりでしたが、大陸の中国共産党政府が強大になったため、その機会はなくなり、今でもその子孫も含めて台湾に残っています。彼らは、中国語を話し、台湾語は話せません。本省人と外省人の他に、元々台湾に住んでいた現地人もいます。

そもそも、蓮舫氏は上記の区分のどれに属するのかもはっきりしません。またたとえ区分がはっきりしたとしても、蓮舫氏が大陸中国に対して親和性があるかもしれないという疑念をはっきり拭うことはできません。それを知っているのは蓮舫氏自身です。もしそうだとすれば、大陸中国と日本との利益相反は、台湾と日本どころの話ではありません。ことごとく、利益が相反します。

日本で人気の台湾の唐揚げを揚げる女子の動画

そのような人が、民進党の代表であるのは無論のこと、国会議員ですらふさわしくはありません。なぜか、蓮舫氏自身も、そうして民進党の幹部なども、この問題を軽く考えているようです。

これは、あまりメデイアがこの問題をとりあげないからでしょうか。普通であれば、この問題連日連夜メディアで取り上げられても良い位の問題だと思いますが、なぜかあまりとりあげません。

だから、蓮舫氏自身も、民進党も時が過ぎれば何とかなるくらいに思っているのでしょうか。だとしたら、考えがかなり甘いです。

今回は、文春砲なども炸裂していません。しかし、アゴラやYouTubeが大爆発しています。これからも、大爆発がおこることでしょう。

この問題をこのまま放置しておけば、蓮舫氏も、民進党も茨の道を歩むことになるのは、必定です。

やはり、蓮舫氏は二重国籍問題を複雑化した責を負って、代表は辞任、できれば国会議員も辞任してけじめをつけるべきでしょう。そのままだとしたら、最近噂されている、年末・年始の衆院解散、選挙にでもなれば、民進党はとてつもない打撃を受けることになります。たとえ、年末・年始の選挙でなくても、大敗するのは間違いないです。

まさに、上の動画のように、このままだと蓮舫氏が、蓮舫氏自身を追求するのと同じことになるかもしれません。代表すら辞任しないで、選挙に臨めば、大敗するのは目に見えているし、選挙で多くの候補者が蓮舫氏の二重国籍問題を連呼するでしょう。選挙が終われば、当然のことながら、完膚なきまでに打ち負かされ、蓮舫執行部はほとんどが辞任ということになるでしょう。その結果、旧社会党と同じような運命をたどることになります。まさに、蓮舫氏自身の振る舞いが、自身を追い詰めることになります。

【関連記事】



2016年9月29日木曜日

臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!


参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=28日午前
第192臨時国会が26日召集された。会期は、11月30日までの66日間。一般会計の総額で3兆2800億円余りとなる今年度の第2次補正予算案と、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の国会承認と関連法案の成立がポイントである。安倍晋三首相は「アベノミクス加速国会」と位置づけている。

補正予算に対して、民進党は「借金頼みだ」と批判している。本コラムで述べてきたように、まさに民進党に財務省が乗り移っているかのようだ。

マクロ経済政策の基本は、失業をできるだけ少なくすることである。中央銀行はこのために金融政策を行うほか、政府の財政政策も発動される。国内総生産(GDP)と失業の間には、経験的に安定的な関係があることも知られている(オークンの法則)。

財政政策について言えば、GDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差)があれば、それを埋めるというのが財政政策の目標であってもいい。そのような立場からは、政府が完全雇用を作るために、国債発行が容認される。

また、こうした考えに立たなくても、国債発行は容認される場合も多い。例えば教育である。教育が将来の所得を増やすという実証分析結果は数多く、教育に投資するという考え方は正しい。

ここで問題になるのは財源である。今の文部科学省や財務省には、教育を投資と考える発想はない。その証拠は、教育の財源に国債を充てることはないからだ。教育を投資とみれば、将来世代に返してもらえばよいので、国債を発行して財源とするはずである。

民進党は先の代表選で、教育について、よい議論をしていたが、蓮舫代表は教育の財源を行政改革で賄うと述べていた。これではまるで財務省の劣化コピーである。

また、TPPに関して民進党は、「交渉で勝ち取るべきものを勝ち取っておらず、国益が守られていない」という立場だ。

TPPは、先の国会で西川公也TPP特別委員長の著書出版問題や、熊本地震などの対応のために、国会成立を断念した経緯がある。交渉過程の情報公開が不十分という議論もあった。

民進党のいう「交渉がまずかった」というのは、当たらないだろう。あまりに日本がよい交渉をできたので、米国で不満が出てきたのが現実である。民進党は裏では、次期米大統領がクリントン氏でもトランプ氏でもTPPから離脱するので、日本が先に行くべきでないと考えているのだろうか。

今回のTPPで、加入国内で最もメリットを得るのは日本で、特に農業分野で輸出攻勢をかけるのに好都合であり、一部ではその機運も出てきている。

こうした攻めの流れを加速させるのか、萎縮させるのか。将来へ投資するという姿勢を民進党が貫けるか、財務省のように目先だけのそろばん勘定に終わるのかが問われる。

民進党は「景気対策より社会保障」と言うが、野田佳彦幹事長がいるので、本音は「消費増税を優先せよ」だろう。ここも安倍政権対財務省だが、これが今国会の焦点だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!

蓮舫代表の発言というか、民進党の幹部の経済に関する発言の内容は、ことごとく財務省のパンフレットの劣化コピーのようです。

とにかく、民進党の経済政策をそのまま実行に移せば、景気低迷でせっかく実質賃金もあがりはじめた雇用改善はブチ壊しになります。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いま求められているマクロ経済政策は、金融緩和と積極財政であるにもかかわらず、蓮舫氏の政策は真逆のであり、万一これが実行されたとしたら、景気低迷と失業率上昇に見舞われ、雇用改善もぶち壊しとなる恐れがあることを掲載しました。

以下に、財政再建はすでに終了している可能性があることを述べた部分を引用します。

"
ブログ冒頭の記事、高橋氏は「日銀を含めた統合政府ベースでみればネット債務残高は100兆円程度に過ぎず、いまは財政再建を過度に進めるべきときではないことはご存じだろう」と述べています、これに関しては、最近このブログでもとりあげ、さらに私なりに実際に計算してみて、その計算過程もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる国の借金、正しくは政府の負債を私なりに計算して、その計算過程も示しました。その結果では、ネットで計算さらに、日銀を連結した統合政府ベースで170兆円 ということになりました。

高橋氏の計算結果とは異なりますが、それでも100超円台であり、どう考えても1000兆円でないことははっきりしすぎるくらいはっきりしています。

これに関しては、他の方も計算過程を公開しています。そのリンクを以下に掲載します。
財政再建は終わりました
この方の計算では、政府の負債は169兆円となっています。私の計算結果170兆円とほぼ同じです。ちなみに、この方のハンドルネームは、アフロといい、ツイッターのアカンうとは、"@Afro_spirits"です。

いずれにしても、政府の借金1000兆円などあり得ないわけです。この計算自体は非常に簡単です。是非私やこの方の計算過程をご覧になって下さい。

さて、この方の計算は信用できるものなので、以下にいくつかのグラフを転載させていただきます。

まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。


このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。

さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。


日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。

日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
"
さて、今年中に財政再建はほぼ終了ということに関しては、私だけではなく、高橋洋一氏や経済評論家の上念司氏もそのように語っています。特にリフレ派の人々の中には、そのようなことを言う人が多いです。私も、実際に自分で政府の負債を計算してみてそのように思っています。

いずれにせよ、いわゆる財務省やマスコミが煽っているように、国の借金1000兆円であるとか、国民一人あたり国の借金が800万円以上というようなことは、全くの間違いであり、日本が近い将来財政破たんするかもしれないということは、全くあり得ません。よって財政破綻を防ぐために、増税しなければならないなどということは全くありません。

安倍政権が増税を延期したのは、正しい選択です。延期どころか、減税したほうが良かったです。

しかし、蓮舫氏が選ばれた、代表戦の候補者は3人が3人とも増税賛成派でした。他の民主党議員も似たり寄ったりです。どうしてこれほど、財務省にべったりなのか理解に苦しみます。

民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。


この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。
民主党政権というと、蓮舫氏による事業仕分けが有名ですが、蓮舫氏がどうして専門知識を有する官僚を「公開処刑」できたのかというと「仕分け人」たちは、財務省が作った“極秘の査定マニュアル”に基づいて発言、追及していたからです。

要するに行政刷新会議の概算要求の無駄を洗い出すという「事業仕分け」は、「政治主導」ではなく、「官僚主導」のパフォーマンスだったのです。何のことはない、官僚官僚の手の上で踊ったに過ぎなかったのです。法的にも何の権限もなく本格化する財務省の査定の下馴らしとPRをしただけだったのです。  

事業仕分けをした蓮舫氏

消費税増税を元々決めたのは、自民党であることからもおかわりのように、日本の政治は財務官僚に主導されつづけてきました。しかし、財務省の官僚は選挙で選ばれたわけではありません。

にもかかわらず、財務省はまるで政治集団のように、旧民主党政権を使い捨てにしたり、安倍政権に対しても対峙し強力な力を発揮して、日本の政治に間接的ながら、大きな影響を与えています。

しかし、本来財務省の官僚は、政治家のように有権者から選ばれているわけではありません。それが、政治に介入するのは、明らかに間違いです。財務省といえども、政府の下部機関であることには変わりありません。

しかし、安倍総理は消費税増税を二度も阻止して、財務省に対峙しています。このように、財務省に真っ向から対峙した総理大臣は、安倍総理が初めてでしょう。自民党の多くの議員が、財務省の使い捨てだったにしても、少なくとも安倍総理とそのブレーンの議員などは財務省の使い捨てではなく、何とか官邸主導を貫こうとしています。

だから、私としても、今のところは、安倍政権を支持するしかないと思っています。

一方現在の民進党の現在の幹部は、まるで、財務省のいいなりです。あろうことか、新しい幹事長となった、野田佳彦氏も、財政規律重視で、増税派です。

一体、彼らは自分たちが財務省に使い捨てされているということに気づかないのでしょうか。

私としては、おそらくその自覚がないのだと思います。ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事が指摘しているように、今臨時国会でも「安倍政権VS財務省」の構図になっています。そうして、民進党は財務省のスポークスマンであり、財務省としても、民進党を国会で自分たちの声を与党に伝える役割を担わせているのでしょう。

声を届けて、財務省のような考え方が、圧倒的多数派であるとの世論工作をしているのでしょう。そういう目で、今臨時国会を眺めると、いろいろなことが納得がいきます。

財務省に反旗を翻した安倍政権が誕生した現在では、政府の一下部機関である財務省に使い捨てにされているという自覚がない政党には、最早政権の座につく機会は永遠に訪れることはないでしょう。

【関連記事】

蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!

「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!




2016年9月28日水曜日

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している―【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している

8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」
ブラジル・リオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会(7月3日)で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことから、また国歌・君が代が話題になった。

国歌国旗法が成立したときに大反対した朝日新聞は、8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」で、「スポーツと国歌」と題して、3人の意見を載せている。元サッカー日本代表主将の宮本恒靖氏と、元プロ野球選手で元参院議員の江本孟紀氏、もう1人は女性の憲法学者である。

宮本氏は、国際試合で君が代が演奏されるとき、初めは歌わなかったが、次第に歌うようになったという。江本氏は「スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います」と明言する。両者ともに肯定的である。

否定的なのは女性学者で、憲法学者らしく五輪憲章を持ち出して、第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記されているといい、「同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています」と指摘する。

朝日新聞としては珍しく感じる2人の肯定論に対し、間もなく読者からの反論を、投書欄「声」に採用している。

8月29日、32歳の牧師からのもので、「耕論『スポーツと国歌』(23日)を読み、国歌を歌わない五輪選手に苦言を呈した森喜朗氏を擁護する意見に違和感を持ちました」とあり、その理由を「なぜなら、私はクリスチャンであり、天皇(陛下)を賛美する歌詞の君が代を歌えません。聖書に記されている神以外を賛美することはできないのです」という。

このような強固な宗教的見解に立脚した反対論はともかく、女性学者の持ち出した五輪憲章の規定は、現実とはなはだしく乖離(かいり)しているのではないか。

どの競技でも、メダルを獲得した選手は、国旗をまとって歓びを表している。スポーツを国威発揚の手段とする国は、いくらでも存在する。国別メダル獲得数については、憲章の精神は無視されているし、朝日新聞自身が掲載している。

五輪より、さらに国家やナショナリズムと関係が深いのが、サッカー・ワールドカップ(W杯)で、これこそ明白に「国と国との戦い」である。テレビでサッカーの国際試合を見ていると、ピッチの脇に朝日新聞の広告が出てくる。

朝日新聞が、日本代表チームの「サポーティングカンパニー」になっているからである。もし、ナショナリズムを忌避するなら、朝日新聞は速やかに公式スポンサーを解約すべきではないか。

【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

ブログ冒頭の写真で掲載したように、8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」ですが、これは著しく五輪憲章を逸脱していると言わざるを得ません。

以下に、この番組の動画を掲載します。



これはオリンピック憲章の「オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない」とした理念と真っ向から対立する考え方となっており、NHKがオリンピックの理念を何ひとつ理解できていないことを明確に示しているか、わざわざこのように事実を曲げて報道する背後に何らかの意図があるのではないかと思います。

ではなぜIOCは、オリンピック憲章に敢えて「国家間の競争ではない」と明記し、国家の威信や指導者の権力を披露する事を固く拒んでいるのでしょうか?それには苦い過去の経験があります。

オリンピックを 「国威発揚」のために徹底的に「政治利用」したのがヒトラー率いるナチスドイツでした。1936年にナチスドイツ下で開催されたベルリンオリンピックでは、国家の総力を挙げてスタジアムや選手村、各種インフラの整備が行われ、実験段階だったテレビ中継が実施されました。後にヴェネツィア国際映画祭で金賞を獲得するオリンピックの記録映画「民族の祭典」がナチスお抱えのレニ・リーフェンシュタール監督によって撮影されています。


レニ・リーフェンシュタール監督による「民族の祭典」

今ではオリンピック前の恒例行事として知られるようになった初の聖火リレーが行われたのもベルリンオリンピックで、この際の経路の詳細な調査結果が第二次世界大戦でのドイツ侵攻に活用されました。

このように、オリンピックが結果的にナチスドイツの「国威発揚」に荷担させられる結果になってしまったことから、オリンピック憲章ではオリンピックを国家のプロパガンダの場として政治利用することを拒んでいます。

ヒトラー 当時としては珍しいカラー写真
つまり、今回NHKが堂々と放映したオリンピック開催のメリットの筆頭に「国威発揚」を挙げるという行為は、近代オリンピックが過去の苦い経験への反省から作り上げたオリンピックの精神を土足で踏みにじるもの。どこぞのまとめサイトが書き散らしたのならともかく、仮にも次期オリンピック開催国の公共放送が全国ネットで放映していい内容では断じてありません。

さて、朝日新聞の8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」を朝日新聞デジタルから引用します。
(耕論)スポーツと国歌 宮本恒靖さん、江本孟紀さん、志田陽子さん

2016年8月23日05時00分 


 「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」。選手団壮行会で、来賓からこんな発言も飛び出したリオ五輪が閉幕した。スポーツと国家、個人のかかわりを、改めて考えたい。

■プレーで応えるのが使命 宮本恒靖さん(元サッカー日本代表主将、ガンバ大阪ユース監督) 
宮本恒靖さん 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 初めて国際試合に出たのは高校2年になる春です。17歳以下の日本代表に選ばれました。自分のアイデンティティーというものを強く感じたのを覚えています。国民の代表として戦うんだ。このユニホームを着て戦う限り、ふがいないプレーはできない。そんな責任感が生まれました。 
 サッカーの国際試合では、キックオフ前に両チームの国歌が流れます。その初めての代表戦のときもそうでしたが、僕は歌いませんでした。歌いたくなかったということではないんです。理由は特になくて、慣れていないことが大きかったような気がします。その後、A代表にも選ばれ、何十試合と国際試合を経験していくなかで、歌うようになりました。 
 国歌が流れるのは、国際試合ならではのこと。そう考えると、聞きながら燃えてこないわけがない。今からこの国のために戦うということ、代表のユニホームを着られる喜び、誇り。そういうことを感じる瞬間です。自然と声が出るようになりました。 
 僕の場合、ゲームに向かう準備の最終段階で、心を整えるという意味合いもありました。歌いながら心を落ち着かせ、ほどよい高揚を持って戦いに出て行く。いわば、ルーティンです。 
 ただ、胸の中の思いは選手それぞれだし、どう表現するかも人によるものです。黙って目を閉じて、国歌を聞く選手もいます。その瞬間にどう振る舞うかは、意思の自由。心を一つにするためにみんなで歌うという方法もあるかもしれませんが、ルールを決める必要はないと思います。代表にいたとき、協会や監督から言われたことはないし、自分が主将のとき、決まりを作ろうとも思いませんでした。 
 いいプレーをしたり勝ったりすると、国中のみんなが喜ぶ。そういう日本代表の力を、地元開催の2002年W杯では実感しました。直接会うことはなくても手紙をくれたり、「病気だけど気分がよくなった」と言ってくれたりした人もいました。 
 たくさんの人にプラスのものをもたらせる立場にあるわけだから、もっとがんばらない手はない、となる。サッカー以外の代表も、同じなんじゃないでしょうか。 
 五輪の表彰式で、一番真ん中に国旗が掲揚されるという場面は、まさに喜びをもたらせた瞬間です。それを見ながら、誇らしいとか良かったとか、さまざまな思いがわくでしょう。その感情をどう表に出して、そして国歌を歌うか歌わないかも、選手それぞれですよね。見守ってあげてほしいなと思います。
選手としては、使命や期待に応えるのはプレーです。いかにチームや個人としてしっかり力を出すか。代表の役割もそこに尽きると思います。(聞き手・村上研志) 
* 
みやもとつねやす 77年生まれ。2002年と06年のW杯、04年アジア杯(優勝)で日本代表主将を務めた。11年に現役引退。

■競技と社会の関係、考えて 江本孟紀さん(プロ野球解説者、元参院議員) 
江本孟紀さん
 スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います。国際試合であれば、なおさら。相手の国への敬意を示す意味でも、自分の国の国歌に対して知らん顔というのはおかしいことになるでしょう。 
 民主党の参院議員だった1999年、国旗・国歌法案に賛成しました。党内には反対の議員も多かったのですが、国旗・国歌特別委員会でも、賛成の主張をしました。 
 教育現場で混乱が起きるのは国旗・国歌の法制化をしなかったからであり、過去の政治家と国民の間で、長くあいまいにされていた問題と考えたのです。
君が代の歌詞がわかりにくいとの批判がありましたが、そもそも校歌や社歌等も同じで私の出身高校の校歌だって明治時代の歌詞でさっぱりわからない。それでも、甲子園で校歌が流れれば故郷を思い感激しますといった持論を特別委で展開しました。首相だった故・小渕恵三さんから、「素晴らしい質問だった」と後で電話をもらいましたよ。 
 当時、国歌を歌うよう強制はしないと政府は答弁していました。しかし、その後、東京で石原慎太郎都知事、大阪で橋下徹府知事がそれぞれ登場したことなどもあって、教育の現場では強く指導する流れになっていますね。 
 何が強制にあたるかという問題でしょうが、学校で毎日歌わせるのならともかく、年に1回か2回の儀式と、そのための何回かの練習が強制にあたるとは思えません。 
 スポーツの世界で、戦時の経緯を考え、政治的に歌いたくないという選手が歌わないのなら、それでいいと思うんです。 
 ただし最近、スポーツ選手が「日の丸を背負って」「国を背負って」といった言い方をしきりにする傾向があると感じています。大げさな感じであまり好きじゃない表現ですが、そのように言う以上は、君が代を歌えないのは矛盾するでしょう。 
 根底にあるのは、選手も指導者も、ここぞという国際試合の場で国歌にどう向き合うかしっかり考えていないことだと思います。さらに言えば、国や政治とスポーツは関係ないと思っている当事者が多すぎるのではないか。 
 国歌を歌わない選手に苦言を呈した森喜朗さんも「選手にはもっと、競技活動と国との関係を考えてほしい」と言いたかったのではないか、と受けとめています。 
 五輪での選手のコメントは、コーチや親など、身の回りにいる人たちへの感謝の言葉がほとんどでした。それはそれで結構ですが、活動できたのは税金で助成してもらったり、税制上の優遇を受けた学校などのスポーツ施設を使ったりしたからのはず。もう少し社会や政治とのかかわりに心を寄せてほしいものです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
えもとたけのり 47年生まれ。プロ野球の阪神、南海で投手として113勝した。92年から参院議員に2期連続で当選。

■公人の発言、萎縮招く恐れ 志田陽子さん(武蔵野美術大学教授) 
志田陽子さん
  リオデジャネイロ五輪で、日本人選手を応援し、感動するのは自然なことです。表彰式で君が代が流れ、感激した人も多かったでしょう。 
 開催中、五輪憲章を読んでみました。日本国憲法と通じる点が多いことに驚きました。 
 オリンピックは、平和な社会と「人間の尊厳」を推進することを目的としていて、憲法と共通する精神を持っています。さらに、憲章は第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記し、競技者個人を参加主体としています。 
 国別のメダル獲得数が報道されていますが、同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています。国ではなく、選手とチームが主体なのです。 
 日本国憲法では、第13条が保障する「個人の尊重」がこれに通じるでしょう。選手は個人の自己決定幸福追求権)をもとに全力を尽くしているのです。 
 歴史を振り返れば、第2次世界大戦にいたるナチスドイツに顕著に見られたように、国民感情を都合よく操作するために、権力者が芸術とスポーツを利用してきました。日本でも総力戦体制で、文学、美術、音楽、映画やスポーツが国威発揚や戦意高揚に動員されました。個人より国家を重視していたのです。 
 五輪憲章も日本国憲法も、こうした反省の上に立っているのだと思います。
そんな流れを知ってか知らずか、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が、リオ五輪へ向けた代表選手の壮行会で「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と発言しました。大変残念なことです。オリンピックの精神からも憲法の理念からも、権力が個人の心の中に入り込むことがあってはならない。国歌を歌うか歌わないかは、選手に任されるべきです。 
 例えば実業団チームを持つ企業の経営者が「わが社の商品を知らないようでは、うちの選手ではない」と言うのは許されるかもしれない。しかし、政治家など公的な立場にある人の発言は、選手だけでなく社会を構成する一般の人たちにも影響します。直接批判されていない人にも、発言を忖度(そんたく)し、レッテル貼りを恐れることによる迎合や萎縮をもたらす効果がある。公的立場にある人は、自らの影響力を自覚し、個人的選好を強制する発言は慎まなければなりません。 
 スポーツや文化活動にはお金もかかります。民主的な決定に基づいて国が公的にサポートするのはすばらしいこと。しかしその場合も、国はあくまでも応援団に徹するべきです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
しだようこ 61年生まれ。専門は憲法。編著書に「表現者のための憲法入門」「映画で学ぶ憲法」。講演と歌唱の活動も。
NHKの報道も、朝日新聞の報道も、一見コインの表裏のように異なるようにも見えますが、 結局目指すところは同じなのだと思います。

NHKの報道に関しては、オリンピックそのものにナチスばりのネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということだと思います。

朝日新聞のほうは、五輪憲章を強調し、森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことを強調し、あたかもこの発言が、五輪憲章を踏みにじるかのように印象付け、ネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということであると考えられます。

どちらも、安倍政権批判に結びつけようとしています。しかし、オリンピックそのものをネガティブに仕立てようと、国歌を歌えない選手に苦言を呈したもと総理大臣のことをことさら強調しようと、多くの人の国歌に対する考え方や、オリンピックに対する考え方を変え、さらにそれをもって、多くの国民に対して、安倍政権に対して、ネガティブな意識を植え付けることなどできるのでしょうか。

ほとんど、無理ですね。ほとんどの人は、このようなキャンペーンに影響されることはないでしょう。にもかかわらず、なぜこのような姑息なことをするのでしょうか。

もう、NHKも朝日新聞も、多くの国民に見透かされネガキャン手法に限界がきているのではないでしょうか。もっと、もっとやり方はあるはずです。

どうせやるなら、もっと効き目のあるまともなキャンペーンはできないものなのでしょうか。彼らの立場に立って物事を考えてみても、情けないの一言です。この有様では、両方共左翼・リベラルそうして中国からさえ、効き目のないメデイアとして相手にされなくなるのではないでしょうか。

中国は、このまま効き目のないメディアを放置しておいて良いはずがありません。日本のメディアがまともに日本政府を貶められるように、まともなネガキャンができるわように、督戦隊を送り込むべきです。

無論、これは冗談ですよ。たまに、真に受ける人がいるので、念のため掲載しておきます。

結局いいたいことは、朝日も、NHKもなぜか日本や、日本政府を貶めるような報道をするのですが、それがほとんど効果がなくなっているということです。これでは、いずれ、左翼・リベラル、中国にも見放されることになるのは必定です。

【関連記事】

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」―【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!






2016年9月27日火曜日

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」―【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」

「18歳選挙権」や「SEALDs」に関する朝日新聞の記事
写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
昨年秋に安全保障関連法制が成立した。劣勢を挽回しようとした野党陣営にとって、今年7月の参院選が重要な目標になった。朝日新聞も一貫して安保法制には反対してきた。そこで注目したのが、今回の参院選から始まった「18歳選挙権」だったのだろう。

 朝日新聞は昨年12月22日から今年6月19日まで、断続的に「私たちも投票します・18」という大型企画を掲載した。第1部から第4部まで、実に計14回。新たに選挙権を得る若者の代表としてアイドルグループ「AKB48」の3人が登場し、憲法学者の木村草太氏と、ジャーナリストの津田大介氏と対話しながら、政治や選挙について学ぶものだ。

 18歳選挙権について、朝日新聞はこれ以外にも多くの記事を掲載し、若者にアピールしていた。中でも、学生グループ「SEALDs(シールズ)」については、細かくていねいに報道していた。

 ところで、参院選の結果はどうだったのか。

 朝日新聞の頑張りにもかかわらず、野党に投票した若者は少なかった。

 共同通信の出口調査で、18、19歳の比例代表の投票先は、自民党が40%で、公明党が10・6%と、与党だけで半数を超えた。野党支持者は高年齢層に多かった。朝日新聞のキャンペーンは失敗したようだ。

 シールズは予告通り、その後解散したが、朝日新聞による大々的な「解散報道」には、同紙の姿勢がよく表れている。

 まず、8月14日に「あす解散」という予告記事を打ち、16日夕刊で当日行われた記者会見を報じた。17日には「市民が争点作る 種まいた」という大型記事と社説を載せ、18日から27日まで「街頭政治 SEALDsが残したもの」という9回もの連載を掲載した。まさに洪水のような報道ぶりだった。

 その中身は、終始シールズ称賛に感じた。今回の野党共闘が実現したのは、シールズのおかげであるかのような論調だった。薩長同盟の坂本龍馬のごとき持ち上げ方である。記事を読む限り、朝日新聞とシールズの関係は、取材者と取材対象というより、一心同体のように思えた。

 参院選の1人区で一定の当選者を出したことを、大きな成功と捉え、次への夢をつないだと評価するわけである。ただし野党共闘は7月末の東京都知事選でも実施され、シールズも支援していた。この都知事選の大敗北については、この大量な記事では言及されていない。

 連載の9回目で、シールズの活動を当初から見ていたという、作家で明治学院大学教授の高橋源一郎氏が「彼らを『若者の代表』に祭り上げたのはマスコミだと思います」と語っていた。語るに落ちるとは、このことではないか。

 酒井信彦(さかい・のぶひこ)

酒井信彦氏

【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!

今年の参院選から始まった18歳参政権
朝日新聞の語るに落ちる紙面については、他の方も批判しています。その記事を以下に引用します。

それは、門田隆将氏の記事です。以下にリンクを掲載します。
【門田隆将の新聞に喝!】“ご注進”を続け自国を不利にする新聞…有様を教えてくれる真夏の紙面
2016.8.29 03:00

国会前でリズムに乗って安保関連法案への反対運動を
繰り広げたシールズのメンバーら=2015年9月
 毎年8月の紙面は、各紙の特徴が出るので興味が尽きない。今年は17日付紙面に目が留まった。仕事柄、毎日、全紙に目を通している私も、朝日の報道に驚きを禁じ得なかった。 
 1面の題字下の目次欄に〈SEALDsが残したもの〉という見出しのもとに〈街頭デモから新しい政治のあり方を模索してきた学生団体「SEALDs(シールズ)」が解散した。彼らが残したものを追った〉という紹介文があったので、朝日がずっと支援してきたあの学生たちの組織が解散したことを知った。ページを繰(く)ってみると、2面に、これでもかというほどの礼讃(らいさん)記事が並んでいた。 
 〈市民が争点作る 種まいた〉〈国会デモ・野党共闘…シールズ解散〉〈東アジアで先行 若者連携〉といった見出しが躍り、さらに、10面の社説では、〈個人の連帯これからも〉と銘打って、その意義を謳(うた)い、解散を惜しんだ。朝日がシールズ解散を報じた行数は、社説も含め、実に総計285行に及んだのだ。

 私には、特に台湾のひまわり学生運動や香港の雨傘運動の若者たちと同列視し、記事をシールズの奥田愛基氏の〈「香港だって台湾だって、実際に政治を動かすまで数年かかっている。日本の動きは始まったばかりだ」〉とのコメントで締めていたのには、二の句が継げなかった。 
 目前に迫った中国による人権抑圧と必死に闘う台湾と香港の学生たちの運動と、逆に、1992年に定めた「領海法」によって日本領の尖閣(中国名・釣魚島)を「自国の領土」とし、紛争を前提に挑発を繰り返す中国の側を喜ばす主張を展開するシールズを「同列に位置づける」神経に言葉を失ったのだ。 
 尖閣を守るため、つまり、「戦争を防ぐ」ためには、当該海域での日米の連携を強化し、中国に「手を出させない」体制を構築することは急務だ。そのために18年ぶりに改定された日米ガイドライン協議があり、安全保障法制があった。だが、シールズには、そんな安全保障上の危機感もなければ、昔ながらの左翼陣営の主張に丸乗りした現実無視の「観念論」しかなかった。
彼らの主張は若者にさえ受け入れられず、逆に参院選では、20代の若者の43%が、比例投票先が自民党となる結果を生んだのではなかったのか。 
 一方、同じ日の産経紙面には、尖閣に押し寄せた400隻もの中国漁船に、100人以上の中国民兵が乗り込み、漁船には、貢献の度合いに応じて数万から十数万元の手当が出ていることがすっぱ抜かれていた。 
 新聞には、世の中の出来事を正確に伝え、警鐘を鳴らす役割がある。しかし、日本には悲しむべきことに、相手国に“ご注進”を続けて外交カードを与え、自国を決定的に不利な立場に追い込む新聞が存在する。8月は、そんな日本の新聞の有様(ありさま)を国民に示してくれる貴重な時期である。今年も、そのことをじっくり考えさせられた夏となった。 
                  ◇ 
【プロフィル】門田隆将 かどた・りゅうしょう
門田隆将氏
SEALDsに関して、経済史の田中秀臣氏も、批判しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
田中秀臣の超経済学連載  まさに不勉強の産物! SEALDsは「貧困プロパガンダ」で自滅した
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部だけ引用させていただきます。

アベノミクスが格差拡大や貧困を加速したという証拠は、2015年当時も現在も代表的なデータは事実上ない。つまりSEALDsの勝手な思い込みにすぎないのだ。例えば、貧困率は2012年までしか利用できず、ジニ係数の推移は2010年までしか利用できない。 
経済格差は高齢化とともに拡大する傾向にあるが、現段階の雇用状況の大幅改善、雇用者報酬の増加、さらには最近の実質賃金の増加傾向も含めると、安倍政権の政策の結果で貧困や格差が増加しているようには思われない。 
もちろんさらに経済状況を改善する余地があるとか、または現状の消費低迷からくる経済低迷(停滞ではない!)を改善するという主張なら賛成である。しかしSEALDsはまずアベノミクス全否定ありきなのだ。こんな事実に支持されず、また若い世代の実感にも乏しいオピニオンが支持されるわけがないだろう。
上武大学ビジネス情報学部教授田中秀臣氏
朝日新聞が、SEALDsがあたかも、若者の代表による政治運動をする団体であるかのように印象操作したのは、確かなようです。

この印象操作は、今のところ全く成功していないようです。これは、昨日のこのブログに掲載した記事のテレビのキャプチャー画像をご覧になれば、一目瞭然です。その画像を以下に掲載します。


何と、最近のFNNの世論調査では、10代・20代に限ってみると、安倍内閣支持率は団゛位で72.7%、女性では64.7%です。

そうして、これは多いに納得できる統計値です。この年代だと、高校・大学ということになると思いますが、安倍内閣になってから、高卒・大卒の就職率は数十年ぶりの良さです。

わずか数年前まで、最悪であったことを考えると、隔世の感があります。やはり、この年代では、就職が大きな関心事だと思います。この年代では、劇的に雇用が改善されたことを実感していると思います。そうして、これは安倍政権になってからの、金融緩和による成果です。

事実、就職担当の高校の先生や、大学の教授などは口を揃えて就職率が良くなったと言います。これに対して、これ以外の年齢層ではまだ、あまり賃金などの雇用情勢が良くはなっていないので、安倍内閣の経済政策の恩恵を受けていないのでしょう。それにしても、安倍内閣支持率56.6%に上昇しています。

いずれにしても、10代・20代がこれだけ安倍内閣を支持しているということは、SEALDsが若者の中でも少数派であることを裏付けているものと思います。

朝日新聞というと、最近でも情報操作をうかがわせるような記事を掲載していました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝日新聞が戸惑う「改憲賛成」圧倒多数―【私の論評】どうして朝日新聞独自の調査では全く逆の結果がでるのか?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、朝日新聞が9月7日朝刊で報じた朝日新聞と東大谷口研究室共同調査との合同世論調査において、で憲法改正の賛成が反対の2倍近く、つまり圧倒的に上回るという結果が出たことを掲載しました。

しかし、朝日新聞はこの結果をどう報じたのかといえば、以下がその記事の見出しは、≪7月参院選の投票先 憲法重視層は民進 経済分野自民強み≫というものであり、これはどう考えても情報操作としか思えないことを掲載しました。
さらに、この共同調査は、朝日新聞が憲法記念日を前に実施した世論調査、さらにその前の世論調査〈3・4月実施〉とも真逆の結果になっていることを掲載しました。

そうして、どうして真逆になるかの私なりの分析として、アンケートの質問方式に原因があるように思えることを掲載しまた。この記事、まだご覧になっていないかたは、是非ご覧になって下さい。

このような朝日新聞の情報操作は、新聞としては、決して許されないものです。

さて新聞購読者数の推移はどうなっているのか、朝日新聞も含めた全国紙の推移を以下に掲載します。

元々各紙とも販売部数が大きいため、その変移だけでは動向が把握しにくいのも否めません。そこで切り口を変え、その流れを確認していくことにします。まずは前半年期比。単半年期のグラフは半年ごとの定点観測記事で掲載しているのですが、その値をつなぎ合わせたものですが、産経新聞がイレギュラー的な値を示しており、やや見難いものとなったため、産経新聞をのぞいた版も併記します。

↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)
↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)

↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)(除く産経)
↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)(除く産経)

要は前回(半年前)販売数と比べてどれだけの割合で増えたか、減ったかを示すものですが、基準となるゼロ%より下の領域で多くの線が行き来していることから分かる通り、新聞の販売部数は総じて減少傾向にありま。また個別の新聞における傾向を見ると、以下の様になります。
・読売新聞…健闘はしていたが1000万部割れの2011年前半期以降失速へ。特に2年前に生じた下落ぶりが著しい。 
・朝日新聞…2010年から下落加速化。2014年後期から2015年前期は前例のない下げ幅で、ようやく直近では加速感が収まった。ただしマイナス1%台の高い下げ率は維持。 
・毎日新聞…2008年以降は下落。2010年前半期の下げが一つのピーク。最近は下げ幅縮小だったが。前半期で再び加速化、直近半期で前回ピークを上回る下げ幅を見せる。
・日経新聞…2011年前半期に一時持ち直すも再びマイナス圏に。2013年が下げ幅ピークで最近は持ち直しを見せる。 
・産経新聞…押し紙制度廃止の影響(?)が極めて大きい。その後は復調・横ばい。ここ1、2年は部数上乗せの機会も
産経新聞は、2009年に押し紙を廃止しています。朝日新聞を含め、他の新聞は今でも押し紙をしています。
朝日新聞今後も上記で指摘したような、報道続けていくようであれば、将来も存続し続けることは難しいでしょう。無論、他の新聞も似たり寄ったりのところはありますが、朝日新聞が印象操作で導こうする朝日新聞の理想像と、現実が乖離しており、この乖離が誰の目にも明らかになるときは必ず、来ます。それでも報道姿勢を改めない時は、購読者数が激減して、維持できなくなることでしょう。

【関連記事】




2016年9月26日月曜日

安倍首相「1月解散」は意外と本気 維新150周年に意欲―【私の論評】年末・年始選挙になれば、安倍超長期政権が誕生が確実に(゚д゚)!

安倍首相「1月解散」は意外と本気 維新150周年に意欲

安倍総理の地元山口県では「山口観光振興条例」を
制定し明治維新150年を盛大にアピールしようとしている
 相次ぐ台風で日本各地に大きな被害が出る中、臨時国会が始まったばかりの永田町では突風のような「解散風」が吹き始めた。きっかけは日経新聞の〈来年1月解散説 永田町に浮上〉(9月17日付朝刊)記事だった。

 麻生太郎・副総理が派内に「理論上は1月解散はありうる。しっかり準備しておけ」と指示を出しており、安倍首相は12月の日ロ首脳会談で〈北方領土問題を前進させる政治決断を下し、その信を国民に問う--との観測だ〉という内容だ。

 とはいえ、首相は7月の衆参ダブル選挙を断念したばかりだ。自民党内では「高齢で強面、決して世論受けがいいとは思えない二階俊博氏が幹事長に起用されたことで総選挙は遠のいた」との見方が強まっていただけに、解散説は寝耳に水。

 選対のベテラン幹部は「複数の新聞記者から1月解散の問い合わせがあったが、ありえないと答えた。官邸から選挙準備の指示は何も出ていない。新聞社がネタがないときによくやる観測記事の類だろう」と一笑に付している。

 しかし、火のないところに煙は立たない。官邸筋は「解散はある」とこういう。

 「官邸の有力なスタッフが総理に1月解散を進言し、総理も本気で解散を視野に入れている。総選挙に勝って国政選挙5連勝となれば、自民党総裁任期を延長して安倍総理が東京五輪を迎えることに党内の誰も文句を言えなくなる」

 実際、自民党の総裁直属機関、政治制度改革実行本部では党内の反対を押しつぶすような強引なやり方で任期延長の党則改正手続きが進んでいる。

 本部長の高村正彦・副総裁は同本部の初会合(9月20日)でいきなり現在2期6年の総裁任期を「3期9年」に延長する私案を提出し、安倍首相から直接、「総裁任期の延長を検討してほしい」と本部長就任を要請された内幕を明らかにした。

 いくら安倍首相が「任期延長は全く考えていない」と否定しても、首相の特命なのはバレバレなのだ。

 首相自身、この夏、地元・山口での講演で任期延長への意欲をにじませた。明治維新から50年後に山口県出身の寺内正毅、100年後に大叔父の佐藤栄作が首相を務めていたことに触れ、こう語った。

 「私は山口出身の8人目の首相。何とか頑張って平成30年(2018年)までいけば、(明治維新150周年も)山口県出身の安倍晋三が首相ということになる」

 明治維新150周年は2018年10月だが、安倍首相の総裁任期はその前の同年9月に切れる。首相として山口で予定されている「明治維新150周年事業」のイベントに出席し、故郷に錦を飾るには任期延長が不可欠なのだ。

 官邸は解散・総選挙をにらんだ政治日程を組んでいる。例年1月の通常国会召集前に開催する自民党大会を来年は3月に延期することを検討していることだ。

 「総裁任期を延長する党則改正は党大会の承認が必要だが、年末にかけて臨時国会、予算編成と日程が立て込んでいる。党大会を1月に開くと意見集約が間に合わない恐れがある」

 自民党幹部はそう解説するが、理由はそれだけではない。

 安倍首相が「消費税増税見送り」を掲げて解散した前回総選挙(2014年12月)の後も、翌年1月の党大会を3月に延期した。今回、執行部が強引に突破すれば1月党大会での党則改正は十分可能なはずだが、あえて党大会日程の延期を検討しているのは、あらかじめ選挙日程を空けておくためとみれば合点がいく。

 ※週刊ポスト2016年10月7日号

【私の論評】年末・年始選挙になれば、安倍超長期政権が誕生することに(゚д゚)!

上の記事のように、新年明けそうそうの解散総選挙について別のソースの報道がありました。それは産経新聞によるものです。

以下にその記事を引用します。
政府・与党に「1月解散」風じわり 日露首脳会談、自民党大会、都議選、新「区割り」、総裁任期、そして弱い野党…にわかに浮上
キューバの首都ハバナで行われた署名式でラウル・カストロ
国家評議会議長(中央右)と拍手する安倍首相(同左)=22日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部だけ引用させていただきます。
 政府・与党内に「早期解散」風がじわりと吹き始めた。安倍晋三首相は12月にロシアのプーチン大統領を地元・山口県に招いて首脳会談を行うが、北方領土返還交渉の「成果」を手に、来年1月の通常国会冒頭で衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方だ。新体制に移行した民進党は勢いを欠き、野党共闘の態勢が整っていないことも早期解散説に拍車をかけている。
そうして、来年の年明け選挙の根拠として、その信ぴょう性を裏付けるデータとして、安倍政権の支持率が最近60%台を回復したということもあります。以下に日経新聞のグラフを掲載します。


いくら、解散総選挙の条件が整ったにしても、支持率が低下していれば、総選挙などなかなかできるものではありませんが、支持率が回復基調です十分解散総選挙を視野に入れることができます。

支持率に関しては、FNNの調査では驚くべき者がありました。


FNNの世論調査によれば、3カ月連続の上昇傾向となりました。
FNNが、18日までの2日間に行った世論調査で、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、8月より1.2ポイント増えて、56.6%、「支持しない」人は、0.2ポイント増えて、33.3%でした。

「10代・20代」に限ると、男性の7割以上(72.2%)、女性の6割台半ば(64.7%)が、安倍内閣を「支持する」と答え、内閣支持率を押し上げています。

安倍首相は今年の参議院選挙前に衆議院を解散して衆参同時選挙を行うつもりであったであろうことは、このブログでも何度か掲載しました。安倍内閣支持率は当時高く、伊勢志摩サミットの直後となれば、さらに支持がアップすることが期待できました。

ところが、熊本地震が4月に発生し、大きな被害をもたらしました。しかも、その後も余震が頻発し、状況が定まりませんでした。結局衆議院解散に踏み込むことはできませんでした。また舛添東京都知事(当時)の一連の問題も騒がれました。自民党が舛添氏を擁立した経緯もあり、安倍自民には決して順風ばかりではなくなってしまいました。

イギリスのEU離脱決定で、世界経済への不安も生じました。仮に衆参同時選挙となっていたら、自民党が衆議院で大勝していたかは分からないです。ぎりぎりの勝利で改憲派で3分の2は難しかったかもしれないです。

これで近々の衆議院解散はなくなったと見えました。安倍氏の自民党総裁としての任期は2018年9月まです。消費税増税は2019年10月まで引き延ばし、影響が当分ない状態にしました。

そうして、2018年夏まで解散せずに、それまでの間に憲法改正まで一気に持ていきたいというのが新たなシナリオになったと見えました。早期の解散をすると、民進党の代表選で決まる「新しい顔」で民進党が善戦したら全てのシナリオが狂うというリスクもありました。

しかし、政治の世界は一寸先が闇と言われますが、状況が一気に変わりました。民進党の新しい顔に蓮舫氏が選出されたのですが、この選挙戦の最中に蓮舫氏の二重国籍問題が浮上しました。

民進党は「つまらない男」から「ユニークな女」への交代で一気に再生を目指す目論みであったのでしょうが、このシナリオは大きく壊れました。代表辞任や議員辞職を求める声さえあります。

代表戦で民進党の代表は蓮舫氏に決まったが・・・・・
今後、手ぐすねひいて国会で徹底追求をしようとする議員が結構存在するものと思います。今までのところ、この二重国籍問題あまりネガティブ・イメージはないようにもみえますが、国会で徹底追求ということにでもなれば、かなり民進党のイメージは悪くなるのは必定です。

民進党は、幹部の中にもこの問題を軽く考える人も大勢いるようですが、決してそうではありません。このブログでも掲載したように、台湾と日本は明らかに利益が相反するところがあります。利益が相反する国の国籍を持った蓮舫氏が国会議員であったこと自体も大問題です。蓮舫氏は代表選を辞退すべきでした。国会で、この問題を複数の保守系議員が徹底追求するのは目に見えています。

はっきり言ってしまうと、民進党も蓮舫代表も自ら茨の道を選んでしまったと言っても過言ではありません。

蓮舫代表と民進党を待ち受ける茨の道?
民主党政権が崩壊してから4年近くが経ち、厳しかった批判もやや和らぎ始めていたのですが、これでまた波に乗るのは難しくなりました。蓮舫氏はこれまでもスキャンダル報道で苦しんできたのですが、民進党代表となるとさらに注目を浴びます。この二重国籍問題だけでもダメージは大きいですが、舛添氏のように次々と批判報道が続く可能性もあります。

現在、自民党総裁の再選を3期、あるいはそれ以上に延ばすルール改定が議論されています。早々の衆議院解散総選挙でまた自民党が大勝するなら、総裁の任期のルール改定も賛同が得られやすくなります。今、解散しておけば、次の解散総選挙は東京オリンピック前か直後でも構わないです。オリンピックの高揚したムードの中で総選挙ということになります。憲法改正までの時間も十分取れるます。

年末・年始の総選挙となれば、野党は準備不足です。この年末には、安倍首相はプーチン大統領との日露首脳会談を山口で持つことが予定されています。北方領土問題での進展もあるかも知れないです。

オバマ大統領が広島を訪問したことに対して、今年は安倍首相がパール・ハーバーを訪れることも提案されています。オバマ大統領との最後のツーショットやもし可能なら、新大統領予定者との対談などができれば、日米間の関係強化をアピールできるでしょう。そうした余韻のもとに年末・年始のいきなりの衆議院解散総選挙は「ありうるシナリオ」です。

安倍政権は超長期政権となる可能性が高まってきたようです。

【関連記事】



民進党が生き残っているのは国民の責任 注目の新書著者・赤尾敏氏の姪に聞いた―【私の論評】民進党崩壊カウントダウン!最早乾いた笑いしか出てこない(゚д゚)!


沈むハリウッド、日米コンテンツ産業逆転の理由 ―【私の論評】ポリティカル・コレクトネスに蝕まれたハリウッド映画の衰退と日本のコンテンツ産業の躍進

沈むハリウッド、日米産業逆転の理由 ■ Forbs Japan日本編集部 まとめ 日本のコンテンツ産業、特にアニメが国際的に人気を博しており、非英語番組の需要が増加中。 米国のZ世代は日本のアニメを好み、動画配信やゲームの普及がブームを加速させている。 日本のコンテンツ全体が注目...