2018年1月6日土曜日

【日本の解き方】AI時代に消えゆく「士業」、役人の仕事こそ代替可能だ 残るのは付加価値生む仕事―【私の論評】コミュニケーション能力こそ、AIでは不十分な人間にとって最後の砦(゚д゚)!

【日本の解き方】AI時代に消えゆく「士業」、役人の仕事こそ代替可能だ 残るのは付加価値生む仕事


 人工知能(AI)やロボットの導入により、今後多くの仕事が失われるとの予測がある。今後も必要とされるスキルや身につけておくべきは何か。

 2013年に発表された英オックスフォード大のフライ氏とオズボーン氏による『雇用の未来-コンピューター化によって仕事は失われるのか』の中で、タクシー・トラック運転手、ネイリスト、銀行の融資担当者、弁護士助手らの仕事は、コンピューターに代替される確率が90%以上とされている。

 ほかにも、コールセンター業務、電話オペレーター、集金人、時計修理工、映写技師、カメラ・撮影機器修理工、ホテルの受付係、レジ係、レストランの案内係、不動産ブローカー、スポーツの審判、仕立屋(手縫い)、図書館員補助員などの伝統的な仕事もなくなるという。

 金融業界も大転換があり、投資判断、資産運用アドバイス、保険の審査担当者、税務申告書代行者、簿記・会計・監査の事務員などは消えるとしている。

 これらには、専門的なスキルといわれてきた「士業」が多く含まれている。法律などによる専門資格を要件としているが、そうした「専門的スキル」と称されるものがAIで代替可能になるというわけだ。

 例えば、弁護士は、難関の国家資格が必要とされる業務である。しかし、その実態といえば、過去の判例を調べることが中心ともいえる。過去の判例はデータベース化されているので、適切な類似例を調べるのは、今でもパソコンを使ってやっている。そうであれば、AIでもかなり代替できる可能性がある。

 筆者は、定型的な業務が多い役人こそAIに向いていると思っている。役所の業務は定型的であるとともに、えこひいきはご法度だ。それはAIの特徴とかなり適合する。

 国家公務員の残業の一因となっているのが国会対応だが、国会想定問答の大半は過去のものと同じである。筆者の経験では、一晩に100問以上の想定問答を作ったこともあるが、ほとんどは過去のパターンの繰り返しであるので、AIならもっと速くできるだろう。実際、経済産業省ではAIで国会想定問答に対応した結果、すでにこの種の残業がなくなっているといわれている。

 金融業界では、将来をにらんで大リストラ時代に入ってきている。

 定型的な労働はロボットでもできる。定型的な知的作業で資格規制によって守られている業務は将来なくなるので、そうした資格は今後必要とされなくなるだろう。

 冒頭の論文では、芸術など感性に基づいた仕事については代替確率は低い。芸術と限定することはないが、自分の力で付加価値を生み出せるものは、AI時代でも生き残れるというわけだ。

 それは、「言うは易く行うは難し」というのが現実だろう。というのは、簡単にできるのならばAIやロボットでもできてしまうからだ。難しいからこそ付加価値を生み出せるので、それを考えることこそが、重要なのではないだろうか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】コミュニケーション能力こそ、AIでは不十分な人間にとって最後の砦(゚д゚)!
さて、AIにより、これから世の中で様々なことが変わっていくことと思います。経営学大家ドラッカー氏は変化について以下のように語っています。
変化はコントロールできない。できるのは変化の先頭に立つことだけである。(『ドラッカー 365の金言』)
今日のような乱気流の時代、200年に一度という大転換期においては、変化が常態だとドラッカーは言います。変化はリスクに満ち、楽ではありません。
しかし、この変化の時代を乗り越える唯一の方法が、あえて変化の先頭に立ち、変化の生み手になることだというのです。
恐怖は、後方の席に深々と腰を落ち着かせたとき、高まります。変化は、最前列で腰を浮かせハンドルを握るとき、初めてコントロールできるものです。 
いわんや今日の乱気流下の悪路にレールはないのです。自らハンドルを握ることなく、転覆を避けることはできません。急激な構造変化の時代を生き残るのは、チェンジ・リーダーとなる者だけなのです。
そして、そのチェンジ・リーダーになるための方法が、変化を脅威でなく、チャンスとしてとらえることだといいます。進んで変化を探し、本物の変化を見分け、それら本物の変化を利用することです。
おそらくはこれこそが、ポストモダンにおける生き方、考え方、事業の仕方の王道、常識となるべきものです。
この方法が成功を保証してくれるわけではないのです。しかし、この方法なくして成功することはありません。
みずから未来をつくることにはリスクがともなう。しかし、みずから未来をつくろうとしないことのほうがリスクは大きい。(『ドラッカー 365の金言』
だかこそ、私達はAIによる変化の先頭に立たなければならないのです。AIによる、未来はどのようなものになるのでしょうか。
ドラッカー氏は「すでに起こった未来」について以下のように語っています。
社会的、経済的、文化的な出来事と、そのもたらす変化との間にはタイムラグがある。(『創造する経営者』)
あらゆる変化が、他の領域に変化をもたします。そして機会をもたらすのです。AIによる変化も例外ではありません。
人口、社会、政治、経済、産業、経営、文化、知識、意識が変化します。特にAIにもたらす変化は、知識の変化であると考えられます。その変化が次の変化をもたらすのです。ただちにではありません。そこには、タイムラグがあります。そこでドラッカーは、それらの変化を“すでに起こった未来”と呼ぶのです。
すでに起こった未来に資源を投じることにも、不確実性とリスクが伴います。しかし、そのリスクは限られています。
例えば、人口構造の変化は、労働力、市場、社会的圧力、経済的機会に基本的な変化をもたらします。人口の変化は逆転しにくいです。その変化は早く影響を現します。小学校の施設に対する圧力となって現れるのは、わずか5~6年後です。
20年後、25年後には労働力人口に重大な影響をもたらします。市場を変え、経済と社会を変えます。AIによる変化ももうすでに起こってしまったのです。
組織の内部にもすでに起こった未来を見つけることができます。新しい活動が組織内に変化を引き起こし、すでに受け入れられているものと対立します。知らずして急所に触るのです。
すでに起こった未来は、体系的に見つけることができる。(『創造する経営者』)
さて、人にはできて、AIにはできないことがあります。それは、大雑把にいうと以下に3つです。

1. クリエイティブ

0から1を作り出す事。これは機械には出来ません。AIは過去のデータを元に未来を予測する事は出来ますが、全く新しいものを作り出すのは人間にしか出来ません。デザイナーやエンジニア等のクリエイティブな仕事はこれからもどんどん必要とされていく一方になることでしょう。

2. リーダーシップ

優れたビジョンを掲げ、卓越したコミニュケーション能力で人々を導いて行く存在。人間との心の通じたやりとりができるそのスキルは自動化が進む現代こそ一層求められています。人間がロボットのリーダーに従って心が一つになる時代は恐らくしばらくは来ないでしょう。いや、永遠に来ないかもしれません。

3. 起業家

機械は基本的には起業しない。むしろ絶対にしないでしょう。交渉力、ビジネスセンス、問題解決能力が求められるのが起業的スキルです。その点においてはテクノロジーがどんなに進化しても、新しいプロダクトやビジネスを通じ社会を変えて行く起業家は世の中にとって今後もより一層必要とされるでしょう。
この3つを支えるのはやはり「言語能力」だと思います。上の3つをうまくするためには、飛び抜けた言語能力が必要です。

言語を理解することはとても難しいことです。それに関していえば、実は単純な翻訳技術の精度は相当上がっています。例えばGoogle翻訳ですが、米Googleは一昨年11月15日、ニューラルネットワーク技術を活用した新しい機械翻訳システム(Neural Machine Translation)を、日本語など8言語に適用したと発表した。従来より自然な翻訳が可能になり、「飛躍的な前進」としていました。

実はこれがかなりできるようになりました。精度が相当上がっているはずなので、ドイツ語やフランス語の文章などを日本語に翻訳するというのは、割とできるようになってきています。


私自身、Google翻訳がではじめた頃、実際に使ってみて、使用に耐えないと判断して、それからずっと使っていませんでした。ところが、一昨年SNSでかなり良くなったということを言う人がいたので実際使ってみたところ、かなり能力が上がっていることに驚きました。

このように大まかな外国語の理解は簡単なのですが、それを超えた言語の理解をするためには、人間の言語の理解に背景知識を相当必要とします。言葉の単語の意味だけ分かっていても、その背景の歴史的な経緯や、(例えば会話する)二人の人間性、あるいは社会のコミュニティーの雰囲気などを反映します。

同じ言葉を話していても、意味合いが違っているということがあるため、実はそういう背景知識や個性がすごく強いのです。そのため、AIに全てを理解させることは難しいのです。
サッカーのワールドカップの監督に外国人が来ます。日本チームの監督はずっと外国人で、それぞれに通訳が付きます。あの通訳の人たちは、実は全然正しく翻訳をしていません。

ワールドカップ日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督
NHKの番組で、過去の通訳の経験者3人ほどで鼎談(ていだん)をしている番組がありました。これが大変面白く、言語を翻訳するとはいったいどういうことかについての本質が見えてくるような番組でした。

そこで言われていたことは、「正しく伝える」「文字通りに翻訳する」ことが、監督の言葉を正しく伝えることではないということです。文字通り正しく伝えてしまうと、間違った意図として受け取ってしまうことがたくさんあるため、わざと違った言葉に置き換えるのです。

「ライオンが何とかをした」という比喩があるらしいのですが、その比喩をそのまま伝えると、日本人には全く伝わらないです。場合によると、ものすごく勇敢にやるという意味に取られてしまいます。

でも本当は、そんな意味では全然ないのです。そのことわざは、その言葉の歴史的な背景の下で出てきているからです。そこで通訳は、言葉を完全に言い換えてしまうのです。話を聞いていると、それは翻訳ではないだろうといったことを話しています。でもそれが必要なのです。そういうことは、AIにはできません。

ここに、人間の強みがあります。コミュニケーション能力の大事なポイントがあります。人間同士のコミュニケーションは、AIには完璧にできないのです。個別化が非常に強いからです。こうやってお話をして、微妙なニュアンスを伝えるのは、AIには無理で、人間だけがやれることなのです。

ドラッカー氏

コミュニケーションについてドラッカー氏は以下のように語っています。

上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られる。(『エッセンシャル・マネジメント』)
階層ごとに、ものの見方があって当然です。さもなければ仕事は行なわれません。しかし、階層ごとにものの見方があまりに違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多いのです。

コミュニケーションを成立させるのは受け手です。コミュニケーションの内容を発する者ではありません。彼は発するだけである。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しないのです。

ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用しています。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しないのです。受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならないのです。

コミュニケーションを成立させるには受け手が何を見ているかを知らなければなりません。その原因を知らなければならないのです。

人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗します。
受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要を知る。(『エッセンシャル・マネジメント』)
受け手の期待していることを理解しなければ、報告をしようが受けようが、連絡しようが受けようが、相談しようがされようが、何をしても結局何も伝わりません。

では、相手の期待を知るためにはどうすれば良いのでしょう。それには、ドラッカー氏も言っているようにまずは、「コミュニケーションとは、私からあなたへ、あなたから私へと一方的に伝わるのではない」ということを理解しなければならないです。

コミュニケーションとは、「私達の中の一人から私達の中のもう一人」に伝わるものなのです。ですから、普段から「私達」という関係を築いておかなければ、コミュニケーションは成り立たないのです。

そうして、普段から「私達」といえる関係を構築して、コミュニケーションが成り立っていれば、たとえ何かの理由でかなり叱責したとしても、それが正当なものであれば、全く関係がこじれるなどということはありません。

このことを忘れている人が多いです。そうして、「私達」という関係を築くためには、ドラッカー氏は「目標管理」を第一にあげています。しかし、私はそれも重要だと思いますが、これはドラッカー氏も否定はしていませんが、「経験の共有」が一番だと思います。

親しい人などとは、コミニケーションが通じやすいことが多いものですが、これは知らず知らずのうちに、その親しい人と過去において「経験の共有」を積み重ねてきたからに他なりません。

このようなことはAIには不可能です。そうして、私自身はAIが知識労働者の仕事全部を奪ってしまうことはないと思います。比較的簡単で複雑でない知識労働はひよっとして、全部奪われるかもしれませんが、特に高いコミュニケーション能力を必要とする知識労働に関しては、完璧にAIに奪われることはないと思います。

むしろAIは人間の頭を使う部分のうち、計算とか、条件に基づく判断とか、膨大な知識を保存しておき、必要なときに必要な知識を取り出すことなどに使われ、コミュニケーションの部分はやはり人間が行うことになるのではないかと思います。

クリエイティブであったとしても、それを伝える能力がなけば、ないのと同じです。リーダーシップもコミュニケーション能力と不可分です。起業家にも、コミュニケーション能力は不可欠です。

そうして、なぜコミュニケーションが重要かといえば、結局AIは何のために存在するかといえば、人間のために存在しているということです。人間のために存在しない、AIなど全く意味を持たないからです。

AIは人間のために、人間がコミュニケーション能力を十分に発揮できるように補佐するとき最も威力を発揮できることになると思います。これが、AIの強みを発揮するということだと思います。

やはり、コミュニケーション能力こそ、AIでは不十分な人間にとって最後の砦なのかもしれません。

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2018年1月5日金曜日

【アジアを先導する日本】中国の領土侵略の脅威説き世界の主役に躍り出た安倍政権 自国の外交論文を取り上げないメディアの異常―【私の論評】安全保障論議から自ら退場した日本のマスコミ(゚д゚)!


安全保障でも連携を強める(左から)安倍首相とトランプ米大統領、ターブル豪首相
新幹線車両「E5系」の前で握手する安倍晋三首相とインドのモディ首相
 第二次安倍政権が発足して、昨年12月26日で丸5年になった。一部メディアは、アベノミクスについて「実感がない」などと批判的に伝えるが、客観的データは以下の通りだ。

 日経平均株価は、2012年12月の政権発足時1万230円36銭だったが、5年後の同日は2万2892円69銭と、2倍以上も上昇した。

 名目GDP(国内総生産)も、12年10~12月期の493兆円から、17年7~9月期の549兆円に増加。有効求人倍率は0・83倍(12年12月)から、1・55倍(17年10月)に。消費者物価指数も、マイナス0・2%(12年12月)から、0・8%(17年10月)に増えた。

 景気回復に成功したのは間違いない。

 さらに私は、安倍政権の外交戦略にも注目していた。

 安倍晋三首相が政権発足翌日、チェコにある言論プラットホーム「プロジェクト・シンジケート」に、英語で「アジアの民主的安全保障ダイヤモンド(セキュリティーダイヤモンド)構想」という論文を発表したからだ。

 不思議なことに、この論文は発表直後、産経新聞と東京新聞が取り上げたぐらいだった。自国の外交安保方針に関わる首相の論文を、メディアが取り上げないのは異常だ。政権発足直後から、安倍首相は偏向報道とフェイク・ニュースに攻撃されていたのではないか。

注目の論文は、冷戦時代、オホーツク海が「ソ連の内海」と言われたのに対比させて、《南シナ海がいま「北京の湖」になっているかのように見える》と、中国による領土侵略の脅威を説いている。

 そのうえで、《日本と米国ハワイ、オーストラリア、インドによって、インド地域から南太平洋に広がる海洋権益を保護するダイヤモンドを形成する国々》は、成熟した海洋民主国家として、法によって支配される平和的エリアを形成すべきだ-と、世界に訴えているのだ。

 この5年間、安倍首相はこの通りの外交を着々と進めてきた。わが国の歴史上、こんな宰相が存在しただろうか?

 在米台湾人の若き女性研究者、エミリー・チェン氏(米フーバー研究所フェロー)が16年2月、米外交専門誌『ナショナル・インタレスト』に「台湾海峡の次の主役は日本か?」という論文を発表したとき、私が少しも驚くことはなかった理由がそこにある。

 ■西村幸祐(にしむら・こうゆう) ジャーナリスト。1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部中退。在学中、「三田文学」の編集を担当し、80年代後半から、作家、ジャーナリストとして活動。2002年日韓サッカーW杯取材後、拉致問題や歴史問題などにも、取材・執筆分野を広げる。アジア自由民主連帯協議会副会長。著書に『21世紀の「脱亜論」 中国・韓国との訣別』(祥伝社新書)、『報道しない自由』(イースト・プレス)など。

【私の論評】安全保障論議から自ら退場した日本のマスコミ(゚д゚)!

冒頭の記事に掲載されている「アジアの民主的安全保障ダイヤモンド(セキュリティーダイヤモンド)構想」については、このブログでもことあるごとに掲載してきました。そうして確かに、安倍総理は過去5年間この構想に基づき行動してきしまた。

しかし、上の記事にもあるように、この構想を報道したのは、産経新聞と東京新聞くらいで、他の新聞はもとより、テレビ局なども全く報道していません。

このような重要な構想を報道しない報道機関は全く異常です。そのことに関して掲載したこのブログの記事のリンク以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
安倍晋三首相とインドのモディ首相
この記事は、2014年5月2日のものです。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この時もマスコミは安倍総理のこの構想を完璧に無視していました。この記事には、この構想の日本語訳も掲載しました。まだ読まれていない方は是非ご覧になって下さい。

安倍総理はこの構想通りに動き、今日に至っています。その結果上の記事にも掲載されていように米国、オーストラリア、インドにおよばずASEAN諸国とも良い関係を構築しています。

そうして、米国のトランプ大統領は外交経験も乏しいことから、外交面で安倍首相に頼るところが多くなってきています。

トランプ大統領は、大統領選挙選の頃から中国に対峙すると語っていましたが、中国は、米国が主導する国際秩序への最大の挑戦者であるという内容で、昨年12月18日「国家安全保障戦略」を発表しました。これによって、トランプ大統領は長期的には中国の膨張を抑える対決の道を選ぶという姿勢を明確にしました。

これには、当然のことながら安倍首相の構想が大きな影響を与えているものと考えられます。

さて、これで日米両首脳により、両国は中国の膨張を抑える対決の道を選ぶという姿勢を明確にしたことになります。

2016年国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、中国が南シナ海に設定した独自の境界線「九段線」には国際法上の法的根拠がないと認定しました。同裁判所はこのほか、「南沙諸島には排他的経済水域(EEZ)を設けられる国連海洋法条約上の『島』はなく、中国はEEZを主張できない」「中国がスカボロー礁でフィリピン漁民を締め出したのは国際法違反」「ミスチーフ礁とセカンドトーマス礁はフィリピンのEEZ内にある」などと認定。中国の主張をほとんど退け、中国の国際的孤立を浮き彫りにしましました。

案の定、中国は逆上し(たふりをし)、「違法茶番劇」(中国メディア)、「紙くず(注――裁判所の判決)に外交努力が邪魔されるべきではない」(駐米大使)と批判して、領有権問題は当事者間の対話で解決されるべきだと、中国政府の従来の主張を繰り返しました。
中国は二国間対話を進めれば、孤立しないと思い込んでいるようです。

しかし、「これは中国の錯誤である」――。米国の世界的な戦略家であるエドワード・ルトワック氏は「中国4.0――暴発する中華帝国」(文春新書)の中で、中国の動きを予測するかのように書いています。

(ベトナムのような)小国は圧倒的なパワーを持つ中国と二国間交渉をするはずはなく、他国の支援、同盟によって対抗しようとします。ベトナムより大きい日本でも同様です。
中国が大きくなればなるほど、それに対抗しようとする同盟も大きくなるのだ。……中国が日本に対して圧力をかけようとすると、アメリカが助けに来るし、べトナム、フィリピン、それにインドネシアなども次々と日本の支持にまわり、この流れの帰結として、中国は最初の時点よりも弱い立場追い込まれる。これが(中国の錯誤の)核心である
安倍首相の活発な海外歴訪が示すように、昨今の動きはそうなってきています。その分、国際法を無視する中国の孤立化が進んでいます。オランダの仲裁裁判所の判決はその決定打というべきものなのですが、中国はそれに気付いていないのです。あるいは気付いていても対応を変えられないのです。

ルトワック氏の「チャイナ4.0」とは、かつて国民党軍の高官が酔っ払って書いた「九段戦」という馬鹿げた地図を放棄し、アメリカの警戒感を解消するために空母の建設を放棄することにあります。
(このチャイナ4.0は)今の中国にとって究極の最適な戦略だが、現在の中国にはおそらく実行不可能(だ)
1つは今の中国は内向きで海外の正確な情報が習近平にまで届かず、極めて不安定だからです。また、外国を理解できず、「自分たちこそ世界一、後の国は我々の家来だ」という昔ながら「冊封体制」のメンタリティが外国への理解を阻んでしまいます。2000年代半ば以降の経済大国化(の幻想、過信)が「冊封」メンタリティをいやまし高め、それが大きな弊害となっているのです。
今1つは習近平がチャイナ4.0を思いついたとしても、彼は人民解放軍に殺されるかもしれないし、人員解放軍がわざと対外危機を起こすかも知れない
世界の大国にのし上がりながら、北朝鮮とそれほど変わらない独裁国家の不安定性が増長されています。「今そこにある危機」です。

国内政治の間で苦悩する習近平
では、日本はどうすればいいのでしょうか。日本人は今、昨今の尖閣領域への中国軍の侵入の増加などから「中国政府が軍をコントロールできていないために、現場が暴走するのではないか」という懸念を持っています。ルトワック氏は「この懸念は実に真っ当なもの」として対中「封じ込め政策」を提案しています。

その提案は結論から言えば「尖閣領域のような小さな島の問題はアメリカに頼らず、自分でやれ」ということです。

米国は核抑止や大規模な本土侵略に対する抑止は日米条約によって提供します。しかし、島嶼奪還のような小規模なことにまで責任は持てないです。「日本が自分で担うべき責任の範囲なのです」。

ルトワック氏は戦略家として米国の軍事戦略にも深くかかわっています。だから、この姿勢は米政府もほぼ同様だ、と言って良いです。

島嶼防衛は日本独自の責務--。そのためには多元的な対中封じ込め戦略が不可欠である、とルトワック氏は提案します。
(海上保安庁、海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊、外務省などが)独自の対応策を考えておくべきなのである。「多元的能力」を予め備えておくことによって、尖閣に関する「封じ込め政策」は、初めて実行可能なものとなる
その際、「慎重で忍耐強い対応」という日本の役所の大好きな「先延ばし戦略」は逆効果だ、とルトワック氏は警告します。
そもそも中国は、(過去)15年のうちに三度も政策を変更している。さらに作戦レベルや現場レベルで、ソ連でさえ決して許さなかったような軍事冒険主義が実質的に容認されている
昨今の東シナ海、南シナ海での中国海軍の危なっかしい行動にそれが現れています。
これに対抗するには、有事に自動的に発動される迅速な対応策が予め用意されていなければならない。中国が突然、尖閣に上陸したとき、それに素早く対応できず、そこから対応策を検討したり、アメリカに相談をもちかけたりするようでは、大きな失敗につながるだろう
自分でやらずに、すぐにアメリカに頼る日本の外務省の体質を熟知したような指摘です。そして外務省も尖閣侵入のような有事に備えて海外諸国と連携した対応策を容易しておかねばならない、と説いています。

例えば、中国との貿易が多いEU(欧州連合)に依頼して、中国からの貨物処理のスピードを遅らせるよう手配するのです。
こうすれば中国はグローバルな規模で実質的に「貿易取引禁止状態」に直面することになり……かなり深刻な状況に追い込まれるはずだ
大事なのは、こうした具体的な行動が自力で実現できるように、平時から準備しておくことです。

対米依存度の高い外務省や防衛省は「今そこにある危機」に対応し、それをやっているのでしょうか。そこが問題です。

そうして、先日もこのブログに掲載したように、米国はいざとなれば、中国に対して大規模な金融制裁ができます。大規模な金融制裁を実施された場合、中国は身動きがとれなくなります。だから、米国や日本に対して、どこまでも自分の要求をつきつけるということはできません。どこかで、折れるしかありません。

しかし、上のルトワック氏の主張にもあるように今の中国は内向きで海外の正確な情報が習近平にまで届かず、極めて不安定です。また、外国を理解できず、「自分たちこそ世界一、後の国は我々の家来だ」という昔ながら「冊封体制」のメンタリティが外国への理解を阻んでしまいます。2000年代半ば以降の経済大国化(の幻想、過信)が「冊封」メンタリティをいやまし高め、それが大きな弊害となっているのです。

結局、軍事力でも金融力でも米国にかなり劣っている中国は、米国に直接挑むことはできません。

昨日もこのブログで述べたように、習近平にとっては反日を叫んでいなければ、「毛沢東が建国前の日中戦争において、日本軍と共謀していた事実」が明るみに出ることになります。これだけは絶対に避けたいために言論弾圧をヒステリックなほど強化しているのです。グローバル化が進めば進むほど、「嘘をつき続けることが困難になる」からです。

このブログにも過去に何度か掲載してきたように、現在の中国で「反日」の姿勢が崩れれば、中共政府は人民に「統治の正当性」を疑われることになり、それこそ体制が崩壊してしまいかねないのです。

中国にとっては、米国との大国二国間による対等な関係を模索し、いずれ太平洋を米中で二分して、支配しようという目論見は、米国の「国家安全保障戦略」によりすでに完璧に外れてしまいました。

そうなると、国内で「統治の正当性」を維持しつつ、反日を標榜し、国内の政治力学が何よりも重要な中国では、習近平は米国との対峙が無理というのであれば、まずはその矛先を本格的日本に向けることになる可能性は高いです。それ以前にまずは台湾を奪取するという冒険に出るかもしれません。

ここまで、述べるといかに安倍首相の「安全保障のダイヤモンド」構想が重要なものであるか、おわかりいただけるものと思います。

本来日本のマスコミは、安倍総理の構想など、立場や、良い・悪い、賛成・反対などは別にして、日本の総理大臣の構想として、報道し論評すべきです。それをしないで報道しない自由を行使するということは、日本マスコミのほとんどは、安全保障論議からすでに表舞台から退場したものとみなされても仕方ないです。

日本のマスコミの安全保障論議など、見聞きしても、何の益もないどころか、かえって混乱するだけです。最近も、村本大輔のように大混乱している人がいるようです。まったく、日本の安全保障論議からすでに退場したマスコミに情報に頼っているようでは、混乱するのはも無理はないと思います。

それよりも、現代中国の真の歴史を学ぶ、安倍首相の構想を読み解く、米国の戦略を読み解くことなどによって、まともな安全保障の論議が醸成されていくことになると思います。日本の安全保証論議をするなら、マスコミなど頼るべきではないです。

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2018年1月4日木曜日

【北ミサイル】昨年4月失敗の「火星12」、発射場近くの町に墜落 大爆発で建物被害 日本通過でも同様危機と米誌警告―【私の論評】中国の反日姿勢が北を日本攻撃に駆り立てている(゚д゚)!


文在寅と金正恩
 米外交専門誌「ディプロマット」(電子版)は3日、北朝鮮が昨年4月に発射した新型の中距離弾道ミサイル「火星12」が作動不良で発射場から約39キロ離れた同国内の町に落下し、建物などに被害が出ていたことが分かったと報じた。

 北朝鮮は昨年8月と9月に火星12をそれぞれ1発発射し、日本上空を越えて太平洋に着水させている。同誌は、火星12が将来の発射実験で日本上空で作動不良を起こし、日本を攻撃するかのような落下軌道をとった場合、「たとえ弾頭を積んでいなくても北東アジアに深刻な危機をもたらす恐れがある」と警告した。

 同誌が米政府筋の話と商業衛星写真の分析に基づいて伝えたところでは、北朝鮮は昨年4月28日(現地時間29日)、平安南道(ピョンアンナムド)の順川(スンチョン)市にある北倉(プクチャン)飛行場から火星12を発射したが、エンジンが点火から1分後に故障し、飛行場から北東にある徳川(トクチョン)市内の建物に墜落した。

 墜落の際、搭載していた燃料が大爆発を起こしたとみられるが、死傷者の有無は不明。発射が成功していれば、ミサイルは日本海北部に着水するはずだったとしている。

 同誌はまた、北朝鮮の「労働新聞」に掲載された、北倉飛行場を訪れた金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の様子を移した写真を分析したところ、ミサイルの地下格納庫やトンネル、貯蔵施設が新たに建設されていることが確認された。

 こうした施設は北朝鮮各地に存在すると推定される。また、事故の危険は伴うものの、ミサイルを格納庫で横にしたたま液体燃料の充填を行った上で移動式発射車両で引き出すことができるようになり、米韓や日本の情報当局が発射の兆候を察知することが一層に困難になっていると指摘した。

【私の論評】中国の反日姿勢が北を日本攻撃に駆り立てている(゚д゚)!

北朝鮮の挑発は止まらないです。昨年も、予想通りというか、予想を超えてと言うべきか、深夜に発射されて日本の排他的経済水域(EEZ)にミサイルが落下しました。大陸間弾道弾であることは確実で、距離的にはシカゴには届くレベルだろうと報道されていました。

作動不良で発射場から約39キロ離れた同国内の町に落下し中距離弾道ミサイル「火星12」
 米NBCテレビは2日、複数の米軍当局者の話として、北朝鮮が数日以内に弾道ミサイルを発射する可能性があると伝えています。

北朝鮮が弾道ミサイルを発射すれば、昨年11月29日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射以来となります。

NBCによると、北朝鮮でミサイル関連の装置を移動させるなどの活動が活発化しており、米情報機関はミサイル発射の兆候の可能性があるとみている。当局者の一人は「今週半ば」にもミサイル発射があり得るとの見方を示したといいます。

そうして、私はこのミサイルも日本のEEZ内に落ちる可能性が高いとみています。

北のミサイルが、EEZ内に落下したのは初めてではないし、それこそブログ冒頭のニュースのように、EEZ内に落とすつもりが、誤って北海道の陸地に落ちる可能性も十分あったと思います。さらに、運が悪ければこのEEZ水域内で操業している漁船、上空を飛ぶ航空機に当たる可能性も十分あったはずです。

 こんなことが起こった後で、「毅然とした態度で臨みたい」とか「遺憾である」という言葉を引き出して終わるだけでは済まないでしょう。人命被害が出れば、宣戦布告されたに等しい状況です。

そうして、どうやら北朝鮮は、日本を本格的にターゲットにし始めたようです。その理由は簡単です。中国が北の先制攻撃に軍事的警告を発したのは「アメリカ領」であって、「日本」ではないからです。中国の報復攻撃に怯えている北は、反日中国を意識しているようです。

中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙である「環球時報」が北朝鮮に対して何度か警告を発してきました。

たとえば、8月10日、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」は社説として以下の警告を米朝両国に対して表明しました。
(1)北朝鮮に対する警告:もし北朝鮮がアメリカ領を先制攻撃し、アメリカが報復として北朝鮮を武力攻撃した場合、中国は中立を保つ。(ブログ管理人注:中朝軍事同盟は無視する。) 
(2)アメリカに対する警告:もしアメリカが米韓同盟の下、北朝鮮を先制攻撃すれば、中国は絶対にそれを阻止する。中国は決してその結果描かれる「政治的版図」を座視しない。 
(3)中国は朝鮮半島の核化には絶対に反対するが、しかし朝鮮半島で戦争が起きることにも同時に反対する。(米韓、朝)どちら側の武力的挑戦にも反対する。この立場において、中国はロシアとの協力を強化する。
この内の(1)と(3)は、北朝鮮にとっては存亡の危機に関わる脅威です。もし北朝鮮がグアムなどのアメリカ領を先制攻撃してアメリカから報復攻撃を受けた場合、中国は北朝鮮側に立たないということであり、その際、ロシアもまた中国と同じ立場を取るということを意味します。

北朝鮮にとって中国は世界で唯一の軍事同盟を結んでいる国なので、中国が「中朝軍事同盟を無視する」と宣言したとなれば、北朝鮮は孤立無援となります。北朝鮮の軍事力など「核とミサイルと暴走」以外は脆弱なものです。韓国や日本には大きな犠牲を招くでしょうが、アメリカと一国で戦えば全滅します。したがって14日、グアム沖合攻撃は延期(実際上放棄)することを表明し、現在にいたるまで実施されていません。

無論、その後安倍、トランプ、習近平、プーチンなどがAPECなどでそれぞれ二国間首脳会談をして、北朝鮮崩壊後の新たな体制について話し合いをしていることは確かです。その中で、中国が譲歩し可能性も高いです。

ただし肝心なのは、金正恩にはこの話し合いの内容は伝わっていないことと、環球時報の警告文の中には、「日本領」とも書いてなければ、「在日米軍基地」とも書いていないことです。

「北朝鮮が日本あるいは在日米軍基地を先制攻撃して米軍による報復攻撃をした場合、中国は中立を保つ」とは書かれていません。

反日をやめない習近平
中国はあくまでも安倍政権が軍国主義の方向に向かっているとして、中央テレビ局CCTVでは日本よりも詳しく安保関連法案や憲法改正(特に九条)などに関して毎日のように報道してきました。「モリカケ」問題に関しても特集を組んだり、反安倍報道なら、喜んで報道します。

どんなに「日中雪解け」的な報道が日本であったとしても、それは一帯一路に日本を組み込みたい中国の魂胆があるだけで、「反日」の姿勢は絶対に代わらないのです。中国共産党の一党支配体制が崩壊するまで、その要素は変わりません。

習近平にとっては反日を叫んでいなければ、「毛沢東が建国前の日中戦争において、日本軍と共謀していた事実」が明るみに出ることになります。これだけは絶対に避けたいために言論弾圧をヒステリックなほど強化しているのです。グローバル化が進めば進むほど、「嘘をつき続けることが困難になる」からです。

このブログにも過去に何度か掲載してきたように、現在の中国で「反日」の姿勢が崩れれば、中共政府は人民に「統治の正当性」を疑われることになり、それこそ体制が崩壊してしまいかねないのです。

だから中国は決して北朝鮮に「北朝鮮が日本あるいは在日米軍基地を先制攻撃して米軍による報復攻撃をした場合、中国は中立を保つ」とは言わないのです。金正恩もまた、このニュアンスは嫌というほど「理解」しているはずです。

だから、もしかすると中国による北朝鮮に対する武力攻撃があるかもしれないと察知した北朝鮮は、中国が政権の中心に置いている「反日姿勢」に迎合することを選んだのでしょう。反日国家を武力攻撃するのは、中国にも躊躇が生まれます。尖閣を奪うためにも不利となるからです。

結果、金正恩にとって、「反日は(中国に対する)最高の保身」となるのです。日本のメディアは最近、「なぜ北朝鮮は日本をターゲットにし始めたのか」に関して苦労しながら分析しようとしています。そのいずれも的を射ていません。


それは中国の本心も北朝鮮の建国時の姿勢をも知らないからに違いありません。中国、北朝鮮、韓国、いわゆる特亜三国にはある共通点があります。

一つは、全体主義国家であり、人民が政府対して強烈な不満を持っているということです。もう一つは、これらの国々(中華人民共和国、朝鮮民氏主義人民共和国、大韓民国)は、一度も日本と戦争したことがないにも関わらず、あたかも日本と戦争したかのような印象操作をそれぞれの国の人民に対してしているということです。

日本が我が国に対して非道な戦争を仕掛け、植民地化し人民に圧政を強いたのを自分たち(それぞれの国の政府)が戦いを挑み、勝利して、日本を放逐して、国家を築いたという幻想をそれぞれの国々の人民に植え付けています。

そうして、日本を悪者に仕立てないと、自国の「統治の正当性」が人民に疑われることになり、自分たち(各々の国の政府)が人民の憤怒のマグマを直接浴びて、体制崩壊をしてしまいかねないからです。

中国が何としても絶対に譲らないのは「反日姿勢」です。中国共産党は、日中戦争において日本軍と共謀していた事実が明るみに出ないようにするために、それだけは貫徹するでしょう。日本の真の平和は、中国の民主化によってしかもたらされません。中国が民主化すれば、北も韓国もそれに追随するしかなくなるでしょう。

そうして、日本にとって最大の悪夢は、特亜三国がさらに「反日」を強め、北朝鮮のように軍事的威嚇を実行するようになることかもしれません。

その予兆は十分にあります。中国は、尖閣での領海侵入が頻繁に繰り返しています。韓国はことあるごとに慰安婦問題での「日韓合意」を日本側に撤回させようとしています。

この特亜三国の反日は、現状のレベルですんでいますが、この三国の体制が揺るげば、揺るぐほど、「反日」の度合いは高まり、いずれ「反日」で結託して、さらにエスカレートしてくる可能性が大です。

中国や、韓国も北朝鮮のように日本をターゲットとした軍事挑発をはじめるようになるかもしれません。それらがエスカレートすれば、事実上の特亜三国反日軍事同盟ができあがるかもしれません。

北がいつまでも屈服することなく、これからも核開発を続けていくということにでもなれば、その可能性は高くなります。無論北が屈服するなり、米国が北に軍事攻撃を加えれば、そのようなことになる可能性はいっとき遠のくかもしれません。

しかし、韓国と中国との軍事同盟の可能性は残ることになります。

日本としては、その可能性も含めて、特亜三国に対抗する手段を今から用意すべきです。それには、日本がさらに軍事力を強化させる必要があります。これら特亜三国が結託して、日本を攻撃しても、反撃されて大きな損失を被るだけであることを、思い知らせるべきなのです。

さらには、米国などとの同盟もさらに強化すべきです。日本に戦争を仕掛ければ、米国などの国々も巻き込むことになり、その結果自分たちの体制は崩壊することになることを思い知らせるべきなのです。

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2018年1月3日水曜日

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米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に

米台の軍艦が相互寄港へ、ヒステリックに反応する中国

台湾・台北の街並み
 北朝鮮の核・ミサイル問題に世界の耳目が集中する中で、トランプ米大統領は12月12日、「2018会計年度 国防授権法」に署名し、同法が成立した。同法が今回注目されたのは、高雄など台湾の港湾への米国海軍艦船の寄港、ならびに台湾海軍艦船の米国港湾への寄港が盛り込まれていたからである。

 ただし、米国の国防授権法とは、議会による国防費の監督・監視を目的とするもので、具体的な米軍の行動まで指図するものではない。よって、米国海軍艦船の台湾寄港の是非は行政府の判断に委ねられる。オバマ前政権下で成立した2017会計年度の国防授権法でも、米台間の軍事交流・協力の強化を支持するなどの内容が盛り込まれていたが、オバマ政権はこれを無視してきた。このことから分かるように、国防授権法における議会の意見は、言うなれば政策提言の域を出ないのである。

 特に米国海軍の艦船を台湾に寄港させるかどうかは中国にとっては極めてセンシティブな問題であるから、トランプ政権が実行に移すのが容易ではないことは想像がつく。

 現に、国防授権法成立に先立つ12月8日、在米中国大使館がワシントンで開催した在米中国人や留学生を集めたイベントでは、李克新公使が、米国艦船の台湾寄港は中国が定めた「反国家分裂法」の適用事項に該当し、「寄港すれば法律が適用され、中国人民解放軍は武力による台湾統一を実現する」と断言した。

李克新駐米公使 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 どの条項に該当するかまでの言及はなかったが、該当するとすれば第3条か第8条であろう。第3条は、「台湾問題は中国の内戦によって残された問題である。台湾問題を解決し、祖国の統一を実現することは、中国の内部問題であり、いかなる外国勢力の干渉も受けない」という内政干渉排除の条文である。第8条は、「『台独』分裂勢力がいかなる名目、いかなる方式であれ、台湾を中国から切り離す事実をつくり、台湾の中国からの分離をもたらしかねない重大な事変が発生し、または平和統一の可能性が完全に失われたとき、国は非平和的方式その他必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全を守ることができる」と「重大事変」について記している。いずれにせよ、判断基準は中国の解釈次第だからどうにでもなる。

シュライバー新国防次官補、中国を挑発

 しかし、中国がかくもヒステリックな反応を示したのには、恐らく理由があったのだろう。すでにオバマ政権時代のことに言及したように、これまでの国防授権法に関する台湾関係の事項については、米政権側が中国を刺激したくないから政策提言を受け入れないままで来た印象がある。ところが、中国側が警戒する動きが、トランプ政権に出てきた。

 それは、ランドール・シュライバーの国防次官補への指名である。シュライバーはブッシュ・ジュニア政権時代に国務次官補代理として当時のアーミテージ国務副長官を支えた、いわば共和党主流派につながるアジア問題専門家であり、アーミテージ同様、軍人出身である。

ランドール・シュライバー氏
 国防次官補の任用は政治任用であるため、議会の承認が求められる。11月16日に行われた米上院の任命承認公聴会で、シュライバーは米台海軍艦船の相互寄港の是非を問われ、次のように述べた。

 「私は米台海軍艦船の相互寄港を支持する論文を寄稿したことがある。これは米国の『一つの中国』政策と完全に合致するものである。すでに米台の軍用機は、定期的ではないが相互に離発着している。台湾における米国の代表機関に現役将校を送ってもいる。米国の『一つの中国』政策を我々が定義する中で、米台の海軍艦船の相互訪問を開始することも包摂されるべきだろう。(中略)それは我々の政治的な目的である台湾への支援と、中国を抑止することへの助けにもなる。もし国防総省の中で異論があるなら、そうした反論について知りたいと思う」

 なんとも自信に満ちた証言である。「文句があるなら言ってみろ」というシュライバーの証言で、中国は台湾への武力行使というヒステリックな対応を取らざるを得なくなったとも言えるだろう。

台湾を戦略的に重視するシュライバー

 2018会計年度 国防授権法が成立してから1週間もたたない12月18日、トランプ政権は「国家安全保障戦略」を公表し、ここで中国、ロシアを米国の影響力、価値や資産への競争相手とするとともに、米国が維持する国際秩序の変更を迫る「修正主義勢力」と位置づけた。米国はこの内容を台湾に事前通告し、米国が台湾の自衛のための武器を供与する義務を負っていることを明記した。台湾は、これを好意的に受け止めている。

2017年12月18日、米ワシントンで演説するトランプ大統領
 ただし、米国は中国について警戒を露わにしているものの、敵対姿勢を鮮明にしているわけではない。トランプ政権にとって、対中関係の最重要課題は対米貿易黒字の問題であり、次いで北朝鮮への中国の影響力行使の問題である。トランプ政権にとって、中国との健全な関係構築こそが重視すべき問題であって、台湾問題は必ずしもメジャーな課題ではない。こうした状況は、中国にとって相対的には都合のいい状況なのかもしれない。

 もちろん、北朝鮮問題で米国が武力行使に及べば、中国は北朝鮮崩壊後の政治処理に発言権を確保するため、人民解放軍を、国境を越えて北朝鮮に進軍させる動機はあるし、そのためには政治的に北朝鮮との同盟条約を援用することも可能だろう。あるいは北朝鮮問題が幸いに外交的解決に向かえば、中国主導の6者協議の復活もありえない話ではなくなる。いずれにしても中国の出方がカギとなる。

 問題があるとすれば、そうした北朝鮮危機の間に、中国が南シナ海の人工島の軍事拠点化を着実に進めていることだ。しかし、12月20日、米上院はシュライバーの国防次官補就任を承認した。シュライバーの描く東アジアの戦略地図は想像を働かせるしかないが、台湾を戦略的に重視するシュライバーであれば、南シナ海での「航行の自由」を保証する米海軍艦船の行動頻度を上げるために台湾を活用する、つまり米海軍艦船の台湾寄港という判断はありうる選択だろう。

台湾の地位見直しを進めるトランプ政権

 トランプ米政権の外交・安全保障政策の特徴は、軍人出身者が政策決定に深く関与していることだ。

 ホワイトハウスのジョン・ケリー大統領首席補佐官、マクマスター国家安全保障担当補佐官に加え、マティス国防長官がいる。アジア太平洋地域では、経験豊富なシュライバー国防次官補がそれに加わることになる。影が薄いのは国務省で、ティラーソン国務長官が辞任するのはいまや時間の問題とされ、アジア太平洋問題担当の国務次官補ポストも、長く空白が続いたが、ようやく前任のラッセル次官補辞任後の3月から代行を務めていたスーザン・ソーントンが昇格指名された。あとは議会上院の承認待ちだが、従来の国務次官補の顔ぶれと比較すれば、軽量級のそしりは免れない。

 軍人は、軍事力のなんたるかを知悉しているから、実は軍事力の行使については慎重だとされる。しかし、行使は慎重だが、その重要性を深く理解している。トランプ政権の「国家安全保障戦略」では、「力による平和」という米国の基本姿勢が明瞭に描かれている。軍事力の裏付けがあってこその外交という考えは、古くはセオドア・ルーズベルト大統領、最近ではロナルド・レーガン大統領に通じるものだろう。

 トランプ大統領は11月のアジア歴訪にあたり、空母3隻を東アジアに集結してみせた。米国が軍事力を活用することで外交を有利に運ぶ意思が示されたことになる。アジア太平洋の秩序維持を目指す米国が、軍事的プレゼンスを強化していくとすれば、東シナ海と南シナ海の結節点に位置する台湾の戦略的地位に着目するのは当然の流れであろう。

 トランプ政権の台湾の地位見直しが進むとなると、当然ながら、今後注目されるのは中国の出方だ。

 李克新公使が発言したような、中国の台湾に対する武力統一を含めた全面的な軍事攻撃は現状に鑑みてありえない。米国が介入することは必至だからだ。

 では、中国が傍観するかといえば、返答に詰まる。立場上、習近平に傍観は選択し得ないだろうから、部分的な衝突を含め相当な緊張が予想されると言わざるをえない。ただし、究極的な力と力の勝負では、まだ米国の優位は疑いない。よって、米国が中国の面子を立てるやり方で中国が矛を収めることになろうが、1996年の台湾海峡危機で米空母2隻に圧倒された屈辱をまだ忘れていない中国にとって、さらに屈辱感を増大させる結果になろう。

 北朝鮮問題に目を奪われている中で、東アジアでは次なる摩擦の火種が準備されているといっても過言ではない。

【私の論評】北の脅威の次なるアジアの戦争の火種は台湾である(゚д゚)!

米国が、ブログ冒頭の記事のように、台湾重視をしはじめたことにはそれなりにいくつかの背景があります。そのまず第一は、習は昨年10月の共産党大会で、「3つの歴史的任務の達成」を宣言したことです。この1つに「祖国統一の完成」があり、武力侵攻も含めた「台湾統一」と受け止められています。

さらにもう一つ大きな背景があります。それは、中国が無人島の尖閣諸島は後回しにして、台湾を先とろうとしている可能性があるということです。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の“微笑み外交”要警戒 「分断工作だ」尖閣衝突回避策で日中大筋合意にチラつく思惑 河添恵子氏リポート―【私の論評】台湾の今そこにある危機を認識せよ(゚д゚)!
 ブログ冒頭の記事にある、川添氏の「無人島の尖閣諸島は後回しにして、台湾を先とろうとしている」という懸念については根拠があります。

以下にこの記事が一部引用します。

"
今年10月、米国で出版された一冊の書籍によって、中国の習近平指導部が準備を進めている「計画」が暴かれました。
大規模なミサイル攻撃の後、台湾海峡が封鎖され、40万人の中国人民解放軍兵士が台湾に上陸する。台北、高雄などの都市を制圧し、台湾の政府、軍首脳を殺害。救援する米軍が駆けつける前に台湾を降伏させる…
米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」で、アジア・太平洋地域の戦略問題を専門とする研究員、イアン・イーストンが中国人民解放軍の内部教材などを基に著した『The Chinese Invasion Threat(中国侵略の脅威)』の中で描いた「台湾侵攻計画」の一節です。

イアン・イーストン氏
イーストン氏は「世界の火薬庫の中で最も戦争が起きる可能性が高いのが台湾だ」と強調しました。その上で「中国が2020年までに台湾侵攻の準備を終える」と指摘し、早ければ、3年後に中台戦争が勃発する可能性があると示唆しました。

『The Chinese Invasion Threat(中国侵略の脅威)』の表紙
この、衝撃的な内容は台湾で大きな波紋を広げました。中国国内でも話題となりました。
具体的な時間は分からないが、台湾当局が独立傾向を強めるなら、統一の日は早く来るだろう。
国務院台湾弁公室副主任などを歴任し、長年、中国の対台湾政策制定の中心となってきた台湾研究会副会長、王在希は中国メディアに対し、イーストンの本の内容を半ば肯定しました。

王在希氏
その上で「平和手段か、それとも戦争か、台湾当局の動きを見てから決める」と踏み込みました。近年、中国の当局関係者が台湾への武力行使に直接言及するのは極めて異例です。
"
東アジアの地図を眺めてみればわかるように。台湾と尖閣諸島こそ日本の存続にかかわる「絶対国防圏」であると同時に、中国が軍備拡張を通じ、覇権を確立しようと狙うエリアでもあります。もし尖閣が奪われたなら、東支那海の制海権も奪われそうです。

一方台湾が取られれば、東支那海はおろか南支那海までも扼されそうです。その時点で尖閣など、自ずと中国の手中に転がり落ちかねなです。

そのように考えるなら、台湾の重要性は尖閣のそれよりも大きいように思えてくきます。

しかし実際には、尖閣を取られれば台湾が危殆に瀕し、台湾が取られれば尖閣は風前の灯。いずれにしても日本にとっては危機的状況となります。


中国の戦略の前で、台湾と尖閣のどちらが重要かとの議論は、もはや何の意味も持たないことでしょう。日本にとってはそのいずれもが、死活的に重要なのです。

かつて日本は、自国領ではない満蒙を自国領と同様に重視し、ロシア・ソ連の南下からこれを防衛することに国力を傾けました。しかし今日の日本の弱点は、一国平和主義にも起因すると思われます、そうした戦略的思考の欠如にこそあるようです。

ただし、中国の立場からみると、確かに尖閣よりは台湾のほうが奪取しやすいのかもしれません。なぜなら、以前もこのブログに掲載したように、日本の海軍力はアジア一です。これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本の“海軍力”はアジア最強 海外メディアが評価する海自の実力とは―【私の論評】日本は独力で尖閣の中国を撃退できる(゚д゚)!
画像出典 海上自衛隊HP
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を以下に引用します。
 対中国の視点では、純粋な戦力としては、海上自衛隊が中国海軍を上回っているという見方が主流のようだ。ナショナル・インタレスト誌は、海上自衛隊の艦艇と人員の数、装備の性能、組織力のどれをとっても「アジア最強」だと指摘する。主要装備の性能や役割を詳しく説明したうえで、東日本大震災発生時の災害救助活動の実績を紹介し、海上自衛隊の展開力の高さも折り紙つきだとしている。ビジネス・スタンダード紙は、「そうりゅう」型8隻と「おやしお」型11隻を擁し、2021年までに23隻に拡大する予定の潜水艦戦力も、中国に脅威を与えるとしている。
そうりゅう
 また、南シナ海を経てシンガポール入りし、その後さらに南シナ海で「デューイ」との共同訓練を行った「いずも」の動きを、ニール氏は尖閣諸島など日本周辺海域での「中国の執拗な動き」への対抗策だと断言する。そして、「『いずも』は安倍政権下で進む日本の軍拡の象徴だ。それは、第二次大戦中の日本の強力な空母艦隊によってもたらされた痛みを強烈に思い出させるものだ」と、中国側の見方を代弁する。 
 ビジネス・スタンダード紙は豊富な防衛予算も海上自衛隊の強みだと見る。「防衛費の上限が全体の1%という制約がありながらも、日本の2017年の防衛予算は436億ドルで、インドの535億ドルよりも少し少ないだけだ。そして、インドや中国と違い、日本は陸軍よりも海軍と空軍に多くの予算を回している」と、予算面でも決して自国や中国に負けていないと指摘する。
このように強力な海軍力が日本にはあり、さら最近では海上護衛艦「いずも」を空母に改修したり、トマホークを自主開発したり、さらにはイージス・アショアーを導入する動きもあります。これらは、中国にとってはかなりの脅威です。

中国がロシアから買い入れて改造し、鳴り物入りで登場させた空母「遼寧」は、南シナ海で試運転を一回しただけで、エンジン主軸が壊れて使い物にならなくなりました。その後何とか改修したようですが、未だに中国の工業力では、空母を動かす二十数万馬力のエンジンを製造できないのです。中国は「いずも」のような護衛艦をつくる能力もないのです。

そうして、ご存知のように日本や沖縄には、日本の強力な海軍力があるだけではなく、強力な米軍も駐留しています。

このような中国が、尖閣を後回しにして台湾を最初の標的にすることは十分考えられます。何しろ、尖閣は無人島ですが、台湾にはそれこそ、第二次世界大戦後に大陸中国から移住した人々も大勢います。

その中には、大陸中国に対して親和的な人も大勢います。これらの人を利用して、台湾を内から崩し、中共が侵攻しやすい土壌をつくれば、中国としてはかなり侵攻しやすいです。

いずれにしても、尖閣も台湾も日本にとっては、死活的に重要な地域です。今年は、北朝鮮問題がいずれ何らかの方向で収束しそうです。北朝鮮がギブアップするか、米国が軍事力を行使するなどして、必ず何らかの形で収束するとみて間違いないと思います。

しかし、そこでアジアの脅威が去ったわけではありません。その次は、中国による台湾への侵攻が大きな問題となるはずです。そういう意味では日本は対中国で台湾と運命共同体といえるでしょう。

将来は、日本の空母も台湾にしよっちゅう寄港するようにして、中国に脅威を与えていくべきです。

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2018年1月2日火曜日

「穏やかで心豊かな年に」 皇居で新年一般参賀 陛下がごあいさつ―【私の論評】天皇彌榮 天皇皇后両陛下 万歳! 万歳! 万歳!

「穏やかで心豊かな年に」 皇居で新年一般参賀 陛下がごあいさつ



新年恒例の一般参賀が2日、皇居で行われ、天皇、皇后両陛下や皇太子ご夫妻をはじめとする成年皇族方が宮殿「長和殿」のベランダに立ち、手を振って応えられた。

 午前10時10分からの1回目の一般参賀では、天皇陛下がマイクを通じて「新年おめでとう。皆さんとともに新年を祝うことを誠に喜ばしく思います。本年が少しでも多くの人にとり、穏やかで心豊かな年となるよう願っております。年のはじめにあたり、わが国と世界の人々の幸せを祈ります」とあいさつをされた。

 新年一般参賀は1回目に続いて、午前11時ごろ▽同11時50分ごろ▽午後1時半ごろ▽同2時20分ごろ-の計5回行われる。宮内庁によると、1回目は開門前に2万609人と昨年(1万1554人)の倍近くの人が集まったため、当初、午前9時30分だった開門予定を15分早めて対応した。

 天皇陛下の譲位日が平成31年4月30日と決まってから初めての新年一般参賀。秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまは今年11月に結婚されるため、最後の一般参賀となる。英国留学中の次女、佳子さまは参列されなかった。

【私の論評】天皇彌榮 天皇皇后両陛下 万歳! 万歳! 万歳!

新年の一般参賀に訪れた人たちに手を振られる天皇、皇后両陛下と皇族方=2日、皇居・宮殿
天皇家のお正月といえばブログ冒頭の記事のように、一般参賀が有名ですが、それ以外にも私たちが普段目にすることのない祭祀・儀式が目白押しです。日本一忙しいお正月を過ごされているといっても過言ではありません。
「黄櫨染御袍」(こうろぜんのごほう)という装束をお召しになった天皇陛下
早朝5時30分。薄暗く、凍てつく寒さのなか、「黄櫨染御袍」(こうろぜんのごほう)という装束をお召しになった天皇陛下が、御所から約400m離れた宮中三殿の西側にある神嘉殿の前庭にお出ましになられます。

かがり火に照らされた地面に畳を敷き、屏風に囲まれた場所で、南西に向かって伊勢神宮を遥拝し、次いで東南西北の順に四方の神々に拝礼される。天皇陛下のお正月は、この「四方拝」という祭祀から始まります
これは平安時代初期から続けられ、五穀豊穣や国民国家の安寧を祈願されています。現在は天皇陛下のご負担軽減のため簡略化されることもありますが、元日はその後もさまざまな儀式が分刻みのスケジュールで行われるためご負担は大きいです。天皇家のお正月は、のんびりと過ごす一般人の正月とはまったく異なるようです。

以下に、今年の元旦の行事一覧を掲載させていただきます。

四方拝の後、天皇陛下は、宮中三殿の賢所(かしこどころ)、皇霊殿、神殿にそれぞれ祀られている天照大神や歴代天皇・皇后・皇族の御霊、八百万の神々を拝礼する「歳旦祭」(さいたんさい)に臨まれます(2012年から、宮中祭祀を担当する掌典(しょうてん)次長による代拝)。
そして3日には、成人以上のすべての皇族がたが参列して「元始祭」が行われます。いずれも天皇陛下が中心となり、正座と起立を繰り返して祈りをささげる「両段再拝」や、賢所に設置されている鈴を掌典職が91回鳴らす「御鈴の儀」などが行われます。これらは新年最初のお参りといえるかもしれないですが、ここで祈られるのは、国家国民の安寧です。

一般人のように家族の健康や合格祈願など、私的なことを祈るのとは中身が違いますから、初詣とは少し意味合いが異なるようです。歳旦祭の後も、行事が目白押しです。
9時45分から始まる『新年祝賀の儀』は、両陛下がお揃いで皇族や元皇族、内閣総理大臣、閣僚、最高裁判所長官、宮内庁職員などから新年の挨拶をお受けになる儀式です。

「新年祝賀の儀」で、お言葉を述べる天皇皇后両陛下=1日午前11時8分、皇居・宮殿「松の間」
宮殿の松の間、竹の間、鳳凰の間など、参列者が待機している部屋を次々に回られます。数時間もの間、両陛下は立ちっぱなしです。
新年祝賀の儀は午後まで続き、各国の駐在大使公使夫妻と挨拶を交わす。元日だけでお祝いを受ける人数は計686名に及びます(2013年)。
朝は4時半には起きられてこれだけのスケジュールをこなされるのですから、お体へのご負担はかなりのものだと思われます。

以下に天皇陛下の、2015年の主な活動を掲載させていただきます。


陛下の年齢を考えると、これだけの激務をこれからもなさるということはなかなか難しいことです。陛下がご譲位されるのはこうした激務の中でも、特に絶やしてはならない宮中祭祀などをこれからもつつがなく実施されることをお望みなのだと考えます。

宮内庁の西村泰彦次長は先月25日の定例会見で、天皇陛下の譲位後の人員体制について、上皇、上皇后となられる天皇、皇后両陛下を支える新設の「上皇職」職員を60人台で発足させたいとする意向を明らかにしました。新天皇になられる皇太子さまのご一家を担当する「侍従職」は70人台とする方針です。

現在、両陛下をお支えする侍従職は約80人。陛下は譲位後、すべての公務を皇太子さまに譲る意向ですが、私的な活動を増やされる可能性もあり、国事行為に使う国(こく)璽(じ)などの管理を行う職員らを減らす一方、60人台半ばを維持します。

陛下の譲位後の侍従職は、ご高齢の両陛下を考慮して配置されている侍医など医療体制が縮小され、微減の70人台規模とします。秋篠宮ご一家をお支えする新設の「皇嗣職」は、皇太子ご一家を担当する東宮職と同規模の約50人規模とする見込みで、現在、秋篠宮家のお世話をする職員(約20人)から30人程度増えるとみられます。

新体制となるのは皇太子さまが即位される平成31年5月1日からの見通しです。宮内庁全体では計約40人程度の増員が必要で、西村次長は今後、関係省庁と調整を続けるとしています。
いずれにせよ、宮内庁は、ご譲位の体制をしっかり整えて、これからも宮中祭祀などがつつがなく行われるようにしていただきたいものです。
天皇彌榮
 天皇皇后両陛下 万歳! 万歳! 万歳!
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2018年1月1日月曜日

ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏、テレ朝の「朝生」に出演 「侵略されたら降参する」 「沖縄はもともと中国から取ったんでしょ」―【私の論評】保守は村本氏のような人物こそ仲間に引き入れよ(゚д゚)!

ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏、テレ朝の「朝生」に出演 「侵略されたら降参する」 「沖縄はもともと中国から取ったんでしょ」


お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔氏(37)がテレビ朝日系討論番組「朝まで生テレビ元旦スペシャル」(1日午前1時から同5時50分)に出演した。

村本氏は、尖閣諸島問題に議論が及んだ際、「非武装中立論」を説き、「(尖閣が)侵略されたらどうするの」との問いに「白旗をあげて降参する」と主張。「なぜ中国や北朝鮮が日本を侵略するのか、意味が分からない」などと述べた。 また「尖閣諸島は人を殺して国を守るなら、(尖閣を)取られてもいい」と答えた。龍谷大の李相哲教授が「沖縄をくださいと言ったら、あげるわけですか」と問いかけると「もともと(沖縄は)中国から取ったんでしょ」と答えた。


尖閣諸島の部分の主な討論内容は以下の通り

井上達夫・東京大大学院教授「村本さん、非武装中立が多くの人は何を意味するか理解しないでいっているわけね。じゃあ、攻撃されたらどうしますか」

村本氏「なぜ攻撃されるんですか」

井上氏「侵略されないに越したことはない。じゃあ、もし侵略されたらどうするの。白旗を挙げて降参するの」

村本氏「僕はそっちかなと思います」

井上氏「そしたら侵略者に対して、侵略者に侵略のインセンティブを与えちゃうよね」

村本氏「なぜ、侵略されるのか、意味が分からないです。なぜ、中国や北朝鮮が日本を侵略するという発想になるのか、私、分からない」

井上氏「それは君が問題を避けているの。君の良いところは問題を逃げないことだと思ったけど、今までの非武装中立論は皆、そうやって…」

村本氏「手を挙げて言います。白旗を挙げて…」

司会の田原総一朗氏「例えば具体的に言うと、もしも日本が、米軍と自衛隊がいなかったら、尖閣は、中国は取るよ」

村本氏「分かりました。じゃあ、僕は逃げずに答えますけども、僕は…僕の意見は…」

田原氏「取られても良いわけね」

村本氏「僕は取られても良いです。僕は明け渡します。僕はですよ」

田原氏「何で」

村本氏「だって、だって…、もし皆さんの身内に自衛隊とか軍隊がいて、その身内が人を殺して国を守ることって…」

井上氏「じゃあ、自分の身内が殺されるってときに、敵を殺さないで自分が殺される状況に置かれたらどうする? 」

村本氏「じゃあ、殺されます」

井上氏「何で」

村本氏「だって、誰かを殺すわけでしょ」

井上氏「そういうこと、言う人は多いの」

村本氏「分かりました」

李相哲・龍谷大教授「尖閣諸島をよこせと言ったら大丈夫だと言ったけど、じゃあ、沖縄を下さいと言ったらあげるんですか」

村本氏「もともと中国から取ったんでしょ」(WEB編集チーム)

【私の論評】保守は村本氏のような人物こそ仲間に引き入れよ(゚д゚)!

ウーマンラッシュアワー
村本氏というと以前から物議をかもしていました。つい最近も、12月17日放送の『THE MANZAI』(フジテレビ系)でウーマンラッシュアワーが演じた漫才が大反響を巻き起こしていました。彼らが披露したのは、社会問題をテーマにした漫才。村本大輔が早口でまくし立てるようにしゃべりまくり、中川パラダイスが合いの手を入れていく。取り上げる話題は、原発問題、沖縄の米軍基地問題など、多岐にわたっていました。

芸人が社会問題や時事ネタを漫才で扱うこと自体は、それほど珍しいことではありません。爆笑問題やナイツもそういうネタをやっています。ただ、この時のウーマンラッシュアワーの漫才がそれらと違うのは、ネタの端々にメッセージ性が感じられたことです。単に漫才の素材として社会問題を取り上げているだけではなく、それについて自分たちがどう考えているのか、受け手にどう感じてほしいのか、ということがはっきり伝わってくる内容でした。

ウーマンラッシュアワーでネタ作りを担当している村本は、かつて『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)に出演したときにも、自身のレギュラー番組『ウーマンラッシュアワー村本大輔の土曜The NIGHT』(AbemaTV)でも、社会問題について自由に意見を発信してきました。この漫才もそんな彼の活動の延長線上にあったようです。

ただ、ここで注目すべきは、彼らがメッセージ性の強い漫才を演じて、観客から拍手混じりの大きな笑いを取った、ということです。安易な政治風刺ネタは、感心されることはあっても、笑いにつながることはないです。日本人の国民性には馴染まないような政治色の強いネタで、若い世代の観客をきちんと満足させたのが何よりも評価すべきことだったかもしれません。

中でも圧巻だったのは、漫才の結末部分。被災地の復興問題、沖縄の基地問題、北朝鮮のミサイル問題など、大事な問題はたくさんあるのに、ニュースで取り上げられるのは芸能人の不倫ネタばかり。本当に危機感を持つべきなのは「国民の意識の低さ」である、とビシッと言い切りました。そして、村本は「お前たちのことだ!」と捨て台詞を残して舞台を去っていきました。このオチの部分からは、村本が常日頃から人々に対して抱いている苛立ちのようなものがダイレクトに伝わってきました。



村本は、漫才や漫談において、自分の言いたいことを言って笑いを取ることを信条としています。自分の頭で考え、自分の体で感じたことでなければ、他人の心を動かすことはできないからです。

ところが、そのような芸風を続けていると、業界内では反感を買うことも多いです。同業者から「アイツはトガっている」「大人げない」などと陰口を叩かれたり、テレビ制作者からは「扱いづらい」「めんどくさい」などと思われたりします。村本はそんな現状への不満を募らせているようです。

また、このような芸人はともすると左翼系からも利用されてしまいがちです。実際「反安倍」を掲げる左翼が同氏を利用しようと躍起になっているようですが、当の本人はこういった動きに応じる様子もなく、むしろ批判的な考えも持っているようで以下のようなツイートをしています。


社会問題について、タレントがテレビで何らかの主義主張を口にしたりすることは、基本的にタブー視されています。ただ、それは明らかにメディア側の自主規制です。余分なトラブルが起こることを避けたいだけなのです。

村本が仕事で沖縄を訪れた際に、基地問題をネタにした漫才を披露したところ、大いに盛り上がった上に、ネタが終わった後で観客からの拍手が鳴り止まなくなったといいます。この経験から村本が学んだのは、社会的な問題の当事者こそが、それをネタにして笑い飛ばしてくれることを誰よりも望んでいる、ということでした。

村本大輔氏
それは、なぜアメリカではコメディアンが政治風刺ネタをやるのか、ということにも関係しています。多くのアメリカ人にとっては、政治、人種、宗教が身近で切実な問題なのです。だから、それを笑いのネタにすることが求められているのです。

しかし、日本人の多くは、人前で政治的な主張をしたり、議論を交わしたりすることを好まないです。政治風刺ネタにニーズがないので、ほとんどの芸人はそれに取り組もうとしません。

しかし、村本はあえてそこに切り込んだのです。ニーズがないなら、作ればいい。笑いという武器を使って、自分の言いたいことを全力で言う、というのが彼の本当の狙いのようです。いわば、観客のレベルに合わせるのではなく、観客を自分の求めるレベルまで高めようとしているのです。こんなにも壮大な野望を抱えて漫才をやっている芸人はほかにいないかもしれません。

ウーマンラッシュアワーの漫才は、単に題材として社会問題を扱っているだけの「社会派漫才」でありません。それは、事なかれ主義の日本人の意識を根底から変えようとする、前代未聞の「啓蒙漫才」のようです。

番組終了後、村本さんが自らのツイッターで、
2018年になりましたが、いま2018年の一年分くらいネットで叩かれてると思います。。
とつぶやいたように、ネット上では番組の一部分を切り出した動画が拡散するなどして、かなりの賛否両論が巻き起こっている。しかし本人は、
あとおれが前から自分は無知だ、と言ってて、今回の朝生のオファーあった時に、小学生以下のバカ丸出しの質問して話し止めるけどそれでいいなら出るってのが条件だったから、おれ的にはなんでも質問できて、最高に楽しかった。元旦から何見せられてんだって方、クレームは田原さんと朝生へ。 
テレビで無知晒してバカ晒してまわりにブチ切れられて誰かが学べばいいんじゃない?自ら賢いなんか一言も言ってないおれを呼ぶってのはそういう番組だってこと。その理由に終わりで田原さんが最高だった、ってわざわざ声かけて来てくれた。
と胸を張っています。ただ「中国から......」の部分だけは、琉球王国と中国王朝が冊封関係にあったことを「拡大解釈」してしまったと反省を口にしていたようです。

1月1日の「朝ナマ」に出演中の村本氏
確かに今回の非武装中立に関して、村本大輔氏の考えはいただないものでした。この点は、私もそう思います。批判が多いこともある程度仕方ないとは思います。

しかし、ここで私が一ついいたいのは、未だに「非武装中立論」が絶対善であると信じている人たちも少なからず存在するという事実を思い起こしていただきたいです。

これらの間違いを指摘したとしても、これらの人たちを変えることはできないでしょう。今回は、村本氏自身が「非武装中立」の立場から語ったため、大きな批判をうけているといことですが、もし村本氏が「非武装中立」の非合理性に気づいたとしたら、彼は、彼なりのパフォーマンスで、芸人としてその非合理性を訴えるようになると思います。

村本氏は、「権力を振りかざすやつもすごく苦手だが反権力を高らかに叫び自分と同じものは大歓迎、違うものは許さないという自分の中の独裁者に気付いてないやつも同じくらい苦手」としています。

いわゆる右翼系やいわゆる保守系の人々の中にも、「自分と同じものは大歓迎、違うものは許さない」という人も多いです。

私自身は、完璧に言葉の意味どおりの「保守」(本来の保守の意味は「中庸」に近い)であり、常日頃から「敵を増やすよりも、仲間をふやそう」という主義です。だから、自分と違うものでも許せます。

無論、私は譲ることができない部分もありますが、何から何まで自分の思うのと同じでないと駄目というような考え方はしません。たとえば村本氏であれば、何か一つでも自分と同じような考え方をしていれば、それを多くの人に広めていただければ、それはそれで良いことではないかと思います。

だから、村本氏のような人物を単に批判するだけではなく、できら仲間にしたいと考えてしまいます。

私は、常日頃から、マクロ経済や金融政策と雇用の密接な関して理解をしていない人が多いことに憤りを感じたり、安全保障の面でもお花畑のような人たちに憤りを感じていたりしますが、村本氏のような芸をもっていたら、あっと言う間に大勢の人にそれらの真の意味を伝えられるのではないかと思います。


金融政策の波及経路

しかし批判するだけでは、何も変わりません。村本氏のような人物こそ、仲間に引き入れるべきではないのかと思います。

「テレビで無知晒してバカ晒してまわりにブチ切れられて誰かが学べばいいんじゃない?」という村本氏は語っています。自分は知識が豊富で、優秀で、自分の考えていることは、何から何まで絶対善だと思い込むような全体主義者と比べれば、村本氏のほうが余程まともです。

世の中いわゆるインテリを自称する人、あるいは自称しないまでも自認する人は、少数派です。世の中を動かそうと思えば、普通の人たちを動かさなければならなのです。

本年は、真性保守として、このような人物を一人でも多く仲間にひきいれる努力をしていきたいもです。これを今年の抱負にしようと思います。

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2017年12月31日日曜日

【お金は知っている】国連の対北制裁強化で追い込まれる習主席 「抜け穴」封じなければ米から制裁の恐れ―【私の論評】中国が米国の要求を飲むのは時間の問題(゚д゚)!



 国連安全保障理事会は先週末、11月末に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮に対する新たな制裁を決議した。石油精製製品の対北輸出上限を年間50万バレルに引き下げることが主な内容だ。

 本欄は国連安保理が8月に決めた上限枠200万バレルは中国の2016年の対北供給量に匹敵することから制裁効果に疑問を呈してきたが、トランプ政権も同じ見方を持っていたのだろう。今後の問題は、中国の習近平政権がきちんと履行するかどうかだ。

 米政府は中国などの対北石油製品輸出は年間450万バレルと推定し、今回の決議でその9割が削減されるという。50万バレルまで削減するためには、ロシアや中東など中国以外からの石油製品の対北積み出しルートを全面封鎖するのに加えて、中国も16年比で4分の1以下まで出荷量を抑えるしかなくなる。

 北朝鮮と国境を挟んで陸ルートで結ばれている中国からは闇取引で石油製品が高い価格で供給されてきたが、これからは習政権がそうした裏ルートを厳しく取り締まらない限り、米国から対中制裁を受ける恐れがある。

 中国は核実験やミサイル発射を繰り返す北に対し、今年春までは貿易を拡大してきた。国連制裁そのものが「大甘」だったからだ。グラフは中国の対北石油製品輸出と、北の最大の外貨獲得源である石炭の対北輸入の推移である。一目瞭然、オバマ米政権までは北京の対応はまさに馬耳東風といったところだった。

対中強硬策をちらつかせるトランプ政権になって、ようやく中国が重い腰を上げ、米国が示す厳しい対北制裁決議案に難色を示しながらも、緩い内容の制裁案にすることで妥協してきた。8月には北の石炭と鉄鉱石・鉄鋼製品輸出禁止に同意し、9月には米国案を骨抜きにしたうえで原油と石油製品の対北輸出規制に応じた。

 グラフは中国側が発表する税関統計が基本になっており、闇ルートは含まれないが、正式ルート上は中国の対北石油製品輸出、石炭輸入とも、3月頃から急減傾向にある。米フロリダでの米中首脳会談を機に、中国側の対北政策が徐々に変化したことをうかがわせる。

 トランプ大統領は習氏に対し、大統領選で公約していた対中高関税の適用を棚上げする見返りに対北朝鮮政策での対米協力を強く求める一方で、国連制裁破りの中国企業や地方金融機関に対し、制裁を科してきた。口先だけで、ほとんど対中制裁しなかったオバマ前政権と違って、トランプ政権は強硬策を辞さない態度を鮮明にしている。

 年明けの焦点は中朝国境の緊迫化だ。北がさらに核実験・ミサイル発射を繰り返すようだと、トランプ氏は石油製品に続き原油の対北供給禁輸を習氏に強く迫るだろう。習氏がそれに応じない場合や、制裁の抜け穴封じをしないときは、トランプ氏は中国の国有大手商業銀行への金融制裁カードを切るだろう。追い込まれるのは金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記ばかりではない。習氏もそうだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】習近平が米国の要求を飲むのは時間の問題(゚д゚)!

中国は、米国のトランプ大統領の言うことを最後には絶対に受け入れることになります。それには、主に2つの理由があります。まず一つは、中国は米国と絶対に戦争できなということがあります。二つ目は、米国が実質的に世界の金融を支配しているということです。

一つ目の中国は米国と絶対に戦争ができない理由は明らかです。軍事力では、中国は米国の足元にも及ばないということがあります。

米国のあらゆる軍事情報からも、中国が米国と戦争する能力を持っていないことは明白です。

米海軍は、中国が南沙諸島付近で軍事的な挑発行動を行った場合、米海軍のイージス艦から発射するクルージングミサイル1発で人工島を木っ端みじんにするでしょう。

米海軍イージス艦
中国が本土の海南島にある海軍基地から潜水艦を送り込もうとすれば、米国がフィリピン海溝に展開しているロサンゼルス型原子力攻撃潜水艦の餌食になるだけです。

中国は、「空軍部隊を南沙諸島に進出させる」と言っています。しかし、グアム島と沖縄に配備された米空軍のステルス性戦闘爆撃機F22数機が管制機E3Cの制御のもと迎撃を行えば、中国空軍の航空機が数十機、束になってかかっても撃ち落とされます。

中国は、「尖閣諸島は自国の領土である」と主張し、東シナ海に防空識別圏と称する不法な空域をもうけて外国の航空機の進入を阻止すると主張しました。しかし、米軍はほぼ毎日、B2爆撃機と新型B52をグアム島から発進させ、防空識別圏の上空をこともなげに往復していました。

中国が、米国の空母を西太平洋から追い出すために開発した「空母キラー」と称するクルージングミサイルDF21も速度が遅く、米国のイージス艦が容易に撃墜できることが判明しました。

DF21
DF21はマッハ10で米軍は撃ち落とせないなどと喧伝されていましたが、実際には大気圏突入後の着弾場所の最終調整として最終段階で減速する必要があり、米艦隊側の迎撃が困難となるマッハ10での空母突入等を行えるわけではありません。最終段階で減速するというのであれば、マッハ10のミサイルなど日米ともに開発可能です。

ロシアから買い入れて改造し、鳴り物入りで登場させた空母「遼寧」は、南シナ海で試運転を一回しただけで、エンジン主軸が壊れて使い物にならなくなりました。その後何とか改修したようですが、未だに中国の工業力では、空母を動かす二十数万馬力のエンジンを製造できないのです。

日本では、最近護衛艦「いずも」を空母化する話もでていますが、中国は「いずも」のような護衛艦をつくる能力もないのです。

護衛艦「いずも」
中国が、米国と戦争すると騒ぎたてても単なる宣伝に過ぎません。米国のマスコミ同様、日本のメディアも中国政府の誇大な発表を鵜呑みにして、そのまま伝える悪習を早くやめるべきです。

次に、米国が実質的に世界の金融を支配していることも、中国にとってはかなりの脅威です。

超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。

当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。

米国の金融街 ウォール・ストリート
米国に金融制裁を実施されたら、最近は輸入も多くなっている中国の食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。

だからこそ、中国はドル支配体制からの脱却を目指し、人民元の国際化を進めていました。IMFの特別引出権(SDR)の構成通貨入りも、そういった流れの中で推し進められたものです。人民元はSDR入りしましたが、ドル決済を禁じられてしまえば中国経済は破綻に追い込まれることになります。

米国に本格的に金融制裁をされると、中国は資源を購入することもできず、戦闘機や軍艦を出動させることもできなくなります。これでは、最初から勝ち目はありません。

それに、中国の米国債保有は6月に5カ月連続で増加し、外国勢で首位の座を取り戻したようです。米財務省が15日発表した6月の対米証券投資動向によると、中国の米国債保有額は1兆1500億ドル(約127兆円)で、前月比で443億ドル増加。日本は1兆900億ドルで、5月に比べて205億ドル減少しました。日本は昨年10月に外国勢の米国債保有で中国を抜いて首位となっていました。

これは米国の脅威になるなどドヤ顔で吹聴する人もいますが、これも中国の大きな弱みとなります。米国がこれを凍結すれば、一気に中国は127兆円を失うことになります。

そもそも、元に信用があれば、中国は米ドルを大量に保有したり、米国債を保有する必要などもありません。逆のほうからみれば、中国元は中国が米ドルや米国債を大量に保有しているからこそ、一定の信用が保たれているのです。

その原則が崩れれば、元の信用は一気に崩れ、中国の金融は崩壊します。

以上の2点からいって、中国は米国の要求をいずれ聴くしかなくなります。

今年も今日を残すのみとなりました。本年中はお世話になりました。良いお年をお迎え下さい。

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