2023年11月22日水曜日

膠着状態のウクライナ戦争 カギはテクノロジーの革新―【私の論評】ウクライナ戦争、反転攻勢は膠着状態? 2~3年で占領地奪還の可能性も!

 膠着状態のウクライナ戦争 カギはテクノロジーの革新

岡崎研究所

まとめ
  • ウクライナのザルジニー総司令官は、戦争は膠着状態に陥っていると主張。
  • その原因は、双方のテクノロジーの水準が同じ水準に達したこと。
  • ウクライナが勝利するためには、ドローンや電子戦などの分野でテクノロジーの革新が必要。
  • 西側諸国はウクライナへの支援を継続する必要がある。
  • 米国の支援が減少すれば、ウクライナの勝利が遠のく。
ウクライナの攻撃型ドローン「バックファイア」

ウクライナ戦争は、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻したことで始まった。当初は、ウクライナ軍がロシア軍を撃退し、首都キーウの奪還に成功するなど、ウクライナが優勢に進んでいた。しかし、その後、ロシア軍は反撃に転じ、東部・南部で攻勢を開始した。

ウクライナ戦争は、現在も膠着状態が続いている。両軍とも大きな損害を被っており、戦況は大きく動いていない。

ウクライナ戦争の膠着状態の主な原因は、双方のテクノロジーの水準が同じ水準に達したことにあると分析されている。

具体的には、ドローンや電子戦などの分野で、両軍の技術は急速に進歩した。そのため、両軍とも有効な打撃を与えることができず、泥沼の戦いが続いている。

ウクライナが勝利するためには、ドローン、電子戦、砲撃制圧、地雷除去の4つの分野でテクノロジーの革新が必要だと、ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は主張している。

ドローン

ウクライナ軍は、ドローンを使ってロシア軍の戦車や部隊を攻撃している。しかし、ロシア軍もドローン対策を強化しており、ウクライナ軍のドローンも撃墜されるケースが増えている。

電子戦

電子戦とは、敵の通信やレーダーを妨害する技術です。ウクライナ軍は、電子戦を使ってロシア軍の砲撃を妨害している。しかし、ロシア軍も電子戦能力を強化しており、ウクライナ軍の電子戦も効果が薄れつつある。

砲撃制圧

砲撃制圧とは、敵の陣地や戦力を砲撃によって無力化することである。ウクライナ軍は、砲撃制圧を使ってロシア軍の進撃を阻止しようとしている。しかし、ロシア軍は地雷や防御陣地を強化しており、ウクライナ軍の砲撃も効果が薄れつつある。

地雷除去

ウクライナには、ロシア軍が敷設した地雷が数十万個あると推定されている。これらの地雷は、民間人やウクライナ軍兵士の生命を脅かしている。

ウクライナが地雷を除去するためには、最新の技術や機材が必要となる。

西側諸国の支援

西側諸国は、ウクライナへの支援を継続している。しかし、ウクライナが要求する最新のテクノロジーや兵器を供給することには慎重だ。

特に、米国は、ウクライナが敗北しないよう、しかし米国がロシアとの対決に引きずり込まれないよう確保することに目的を定めている。そのため、ウクライナへの支援を慎重に検討している。

【私の論評】ウクライナ戦争、反転攻勢は膠着状態? 2~3年で占領地奪還の可能性も(゚д゚)!

まとめ
  • ウクライナの反転攻勢は、当初から2~3年かかると予想されていた。
  • ウクライナ軍は、ロシア軍の占領地を分断し、弱い方を攻める戦略をとっているようだ。
  • 反転攻勢に成功すれば、2~3年以内に占領された土地を奪還できる可能性があると考えられた。
  • 反転攻勢に失敗した場合は、5年以上、下手をすると10年膠着状態が続く可能性がある。
  • ウクライナは、2024年前半までに占領地を分断し、戦況を有利に導こうとしている。
現在のウクライの反転攻勢を膠着しているとみるのは、まだ時期尚早です。私は、もともとウクライナの反転攻勢は時間がかかるとみていました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ウクライナ、反攻で「破滅的」損失 プーチン氏―【私の論評】今回の反転攻勢が成功すると、2~3年以内に占領された土地を奪還できるかも!戦争はまだ続く(゚д゚)!

ダム決壊で発生した水害

 ウクライナでダムが決壊したのは、テレビ報道などで皆さんご存知でしょう。決壊したのは2023年6月6日です。ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムが、ロシア軍の攻撃によって決壊されたとされています。このダムは、ドニプロ川に建設されており、貯水池の水量は日本の琵琶湖の約3分の2に相当します。ダムの決壊により、洪水が発生し、少なくとも21人が死亡しました。また、広範囲にわたる農地や住宅が浸水し、深刻な被害をもたらしました。

この直前から、それまで散発的だったウクライナ反攻が、組織的に体系的に行われるようになったとされています。それが本当かどうかは、軍事機密なので、未だに明らかにされていません。真相は戦後に公表されるでしょう。ただ、大方の軍事筋はこの前後で、ウクライナの本格的反攻が始まったのは間違いないものとしています。

この事実をもとに、当時の私の分析では、この時点から2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻によって奪われた土地を奪い返すのに、2〜3年はかかるだろうとこの記事に掲載しました。現在は、この時からまだ5ヶ月が経過したばかりです。

この記事より、予測の元となった根拠の部分をあげます。
今後の見通しとしては 、 今回の反転攻勢によりロシアの占領地の分断に成功すれば かなり有利になります 。

ただ 、分断すると 、今度は突破した部分が挟み撃ちに遭うので 、逆にウクライナ側は挟み撃ちから守りきる陣地をつくらなければなりません 。

これを秋冬の地面がぬかるむ時期にまでに できれば 、 分断されたロシア軍の弱い方を来年 ( 2024年 ) 攻めることになるでしょう 。 つまり 、 ドンバス地方かクリミアのどちらか弱い方を攻めて 、 再来年にもう片方残った方を攻める形になるでしょう 。

今回の反転攻勢が成功すると 、 2 ~ 3年以内には占領された土地を奪還できるかも知れないです 。 無論奪還しても戦争が終わるとは限りませんが 、 少なくとも見通しは立ちます 。

一方で反転攻勢に失敗し 、 投入された12旅団が磨り潰されるようなことになると、組織的な反転攻勢は今後 、 難しくなります 。 そうなると5年以上 、 下手をすると10年ぐらい膠着状態が続くかもしれません。いずれにせよ、現在の反転攻勢が成功したとしても、すぐに戦争が終わるとはみるべきではないです。

結論を言うと、反転攻勢がうまくいったとして、2〜3年でロシアに今回ロシアに占領された地域を取り返すことができる、失敗した場合は、5年以上、下手をすると10年かかる可能性があるということです。そうして、クリミア奪還などはその後ということになります。

ウクライナ軍女性兵士 実写写真

このように時間がかかることは、多くの現代人がなかなか理解しにくいところがあると思います。現代人は、何をするにしてもスイツチ一つですぐにできます。部屋を温めたり、風呂に入るにしても、一昔前はそれなりに時間と労力がかかりましたが現在ではすぐにできます。

ただ、これは第二次世界大戦を振り返ると、理解できるかもしれません。

連合軍がノルマンディー上陸をしたのは1944年6月6日です。ヨーロッパでの戦争が完全集結したのは1945年5月8日です。したがって、ノルマンディー上陸からヨーロッパでの戦争が完全集結するまで、1年11ヶ月かかりました。

具体的には、ノルマンディー上陸から1年後の1945年6月6日には、連合軍がベルリンに進攻し、ドイツ軍の抵抗が激化しました。その後、ソ連軍が東から、連合軍が西からドイツに迫り、1945年5月8日にドイツは降伏しました。

物量では圧倒的に有利で、制空権、制海権を完全掌握していた連合軍がノルマンディーに上陸したという時点で、すでに戦争の帰趨は決まり、ドイツの敗北は決定的だったといえます。しかし、実際に 連合軍が勝利を手にするには、それから2年近くの歳月を要したのです。

これを考えれば、兵器弾薬は西側諸国がウクライナに供与しているものの、戦っているのはほぼウクライナ軍のみであり、しかも地上戦が主戦場ですから、最終的な勝利を得るためには、戦況の不利、有利にかかわらず、ある程度時間がかかるとみるべきものと思います。

地上戦であれば、兵員輸送車などはありますが、それでも移動手段の多くは、歩兵の歩行ということになります。しかも、歩兵は敵と戦闘しながら歩きますし、さらに弾薬や食料などの重装備を背負っての移動ということになります。

そうなると、一日では最大で10km、現実的には数キロと考えて良いでしょう。このようなことを考えれば、通常の移動からみれば、はるかに時間がかかることは、理解できると思います。

ノルマンディー上陸作戦

現時点で、膠着状態かどうかは、はっきりとはわかりません。そのため、現状の膠着状態は、当初から予想されたものなのかどうか、見極める必要があります。ただ、これはウクライナ、ロシア双方とも、情報戦を展開していることから、現時点では正しく判断するのは難しいです。正しく判断できるようになるのは、これも戦後でしょう。

ただ、ワレリー・ザルジニー総司令官が「膠着状態」であると強調することには、それなりの理由があると考えられます。

ウクライナは、2024年アメリカの大統領選を前に、西側諸国からの支援を維持するために、冬季にも攻勢を続けることを決めたようです。

その理由の一つは、2024年以降は、米国に共和党の大統領が登場した場合、米国の支援が減少する可能性があるため、なるべく目に見える戦果を挙げて米国の支持を取り付けたいのでしょう。

もう一つは、前回の反攻作戦で、ロシア軍に地雷原を敷設される時間を与えてしまった反省から、冬季でも攻勢を継続して、地雷を敷設する時間を奪いたいからとみられます。

もちろん、冬季攻勢にはリスクもあります。しかし、ウクライナは、ドローンなどによる上空からの支援を計算したうえで、決断したようです。

ウクライナは、2024年前半までに、初期に想定された戦果である、南部から東部に広がるロシアの占領地の分断をしなければならないという悲壮な決意を持って戦いを継続しているとみられます。無論、分断に成功したとしても、それだけでは決着はつかず、戦争は継続します。しかし、2024年の前半までに、分断しなければ、戦況はかなり不利になる可能性もあります。

ただ、戦闘は不確実なものであり、当初の目論見どおりになる可能性は低いとみておくべきです。

ウクライナ側は、こうした状況を、支障のない限りにおいて、西側諸国に伝え、西側諸国は、短気を起こさず、気長にウクライナに対して支援を継続すべきでしょう。

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2023年11月21日火曜日

支持率低下は「不思議」 岸田政権の政策を評価―十倉経団連会長―【私の論評】岸田政権の支持率低下を打開し、長期政権を維持するために必要な施策とは?

支持率低下は「不思議」 岸田政権の政策を評価―十倉経団連会長

経団連 戸倉会長

 経団連の十倉雅和会長は20日の記者会見で、岸田政権の支持率低下に歯止めがかからないことについて、「一つ一つの政策は正しい方向で、それぞれ評価している。なぜこれで支持率が上向かないのか私も不思議だ」と述べ、現政権が掲げる政策について前向きに評価した。

【私の論評】岸田政権の支持率低下を打開し、長期政権を維持するために必要な施策保守回帰?

まとめ
  • 岸田政権が崩壊した場合、次の政権は岸田政権とあまり変わらないか、よりリベラル寄りでかつ財務省よりになるかのいずれかになる可能性が高い。
  • 岸田政権が崩壊した場合、安倍政権からの懸案である憲法改正などの議論が遅れたり、首相交代で日本の国際的地位の低下などが考えられなどの混乱は必至であり、であれば現状では政権は維持したほうが良い。
  • 岸田政権の支持率は低下しており、政権運営能力の向上が求められている。
  • 具体的な施策としては、内閣と党内からリベラルでいわゆる進歩的な人物を一掃し、消費税減税を実施、中国と北朝鮮に対して強硬路線をとる、LGBT理解増進法などリベラルな社会政策を縮小すべき。
  • 安倍政権から懸案になっている憲法改正を強力に推進する、権力を強化し、改革を積極的に推進すべき

岸田首相

私は、以前このブログで、岸田政権が現在崩壊することは、国益の損失につながる可能性があることを指摘しました。

自己の希望や観測などを廃して冷静に分析すると、岸田政権が崩壊すれば、次の政権は現在の岸田政権とあまり変わりないか、よりリベラル寄りでかつ財務省よりになるかのいずれかになる可能性が高いです。

岸田政権が崩壊した場合、安倍政権からの懸案である憲法改正などの議論が遅れたり、首相交代ということで日本の国際的地位の低下などが考えられ政治的大混乱は必至なので、であれば現状では政権は維持したほうが良いとい結論になるというものです。

安倍首相


自民内党保守派もこのことを理解しているので、いまのところ大きな派手な動きはしないのでしょう。そうして、最近の池田大作氏の大往生も、この傾向に拍車をかけるでしょう。

そうして、来年の総裁選までの間に岸田政権には、政権運営能力をつけるべきであり、そうでなければ、来年の総裁選で敗北か、そもそも菅氏のように総裁選に出馬しないということもやむ無しだと思います。ただ、政権運営能力がつけば、当面は継続したほうが良いと思います。

支持率の低下をみれば、とても戸倉氏のように手放しで、称賛する気にはなれません。岸田政権が崩壊した場合、公明党との連立が破棄されるとか、高市氏が次期総裁になるということが確約されているというのであれば、岸田政権はすぐにも崩壊したほうが良いと思います。ただ、現実はそのようなものではないです。だから、気軽に岸田政権崩壊などという事などできないのです。

私は、財務省が倒閣運動に走っているとか、自民党内で岸田おろしが始まっているなどの声もありますが、崩壊後の自民党内の大混乱を考えると、岸田政権崩壊はすぐにおこることはないと考えています。各派閥とも、現在は状況を見極めている段階で、すぐに何かをするという状況にはないと思います。無論何か状況が変わるということもあり得ますが、支持率が落ちても岸田政権はしばらくは存続すると思います。

財務省

岸田首相はこのような状況をただ、甘受することなく、政権運営能力に向上につとめていただきたいです。

政権運営能力とは、政府の政権運営能力とは、政府が国政を円滑に運営する能力のことです。具体的には、以下の要素が挙げられます。

政策形成能力

政策形成能力とは、国民の要望を踏まえて、効果的な政策を立案・実行する能力です。具体的には、以下の能力が求められます。

  • 国民のニーズを的確に把握する能力
  • 政策の目的や効果を明確に定める能力
  • 政策の実現可能性を検討する能力
  • 政策を実行するための計画を立てる能力

政治調整能力

政治調整能力とは、与党内、また与野党間において政策や人事を調整する能力です。具体的には、以下の能力が求められます。

  • 相手の立場や意見を理解する能力
  • 妥協点を探る能力
  • 合意形成のためのリーダーシップを発揮する能力

危機管理能力

危機管理能力とは、自然災害や経済危機などの危機に迅速かつ適切に対応する能力です。具体的には、以下の能力が求められます。

  • 危機の兆候をいち早く察知する能力
  • 危機の状況を正確に把握する能力
  • 危機に対処するための計画を迅速に策定する能力
  • 危機対応を統括する能力

国民とのコミュニケーション能力

国民とのコミュニケーション能力とは、国民の理解と支持を得るために、政策や施策をわかりやすく説明する能力です。具体的には、以下の能力が求められます。

  • 国民の視点に立って、政策や施策を説明する能力
  • わかりやすい言葉で、簡潔に説明する能力
  • 国民との信頼関係を構築する能力

政府の政権運営能力は、国政の成否を左右する重要な要素です。政府は、これらの要素を向上させ、国民の期待に応える政権運営を行うことが求められます。

岸田首相が政権運営能力を改善するためは、 内閣と党内からリベラルでいわゆる進歩的な人物を一掃すべきです。一掃が無理なら、要所要所に保守派を配置し、牽制すべきです。自由市場経済、伝統的価値観、強力な軍事力を支持する堅実な保守派と入れ替えるべきです。岸田首相には、弱腰の穏健派ではなく、忠実な保守派が必要だと思われます。これを実施することにより、自民党の岩盤支持層が戻ってくるでしょう。

自民党本部

消費税減税を実施すべきです。現在の国民の不満は、物価上昇に賃金の上昇が追いついていないことです。これを解消するには現時点で最も有効なのは、消費税減税です。これによって、多くの国民の支持を回復することとができます。

海外からのエネルギー、資源価格は、来年は下がるとみられ、物価の急激な上昇は来年は収まるものとみられます。小麦の値下げなど、その兆候はすでに現れつつあります。

物価が落ち着けば、消費税減税は、今年あたりは、物価上昇分を補うという性格が強かったものが、消費者の購買意欲を加速し、経済に良い影響を与えることでしょう。これは、ビジネスリーダーや市場関係者からも歓迎されるでしょう。そうすることで経済成長を刺激し、多くの国民からの支持が回復するでしょう。

特に減税措置は、補助金よりも実施が簡単で、迅速に実行できます。これでいわゆるお役所仕事はかなり削減できます。そうして、有効需要の考え方からすれば、減税も同じ効果があります。しかも、はやく実現できるので、国民の納得感は他の施策をはるかに上回ります。

そうして、こうした政策の根底には、時給ギャップ16兆円を埋めることが第一義であることを忘れるべきではありません。マクロ経済を知らない愚かな政治家や官僚、マスコミが「バラマキ」と批判しますが、需給ギャップを埋めるだけの対策を行わなければ意味がありません。経済対策はまずは何よりも「量」であることを認識すべきです。

中国と北朝鮮に対して強硬路線をとるべきです。防衛増税は廃止し、国債で資金を調達し防衛費増をすることを高らかに宣言すべきです。米国との同盟を強化し、中国の領土的野心に立ち向かい、国家安全保障の強さを示し、「タフリーダー」としての信任を高めるべきです。

岸田首相は保守主義に回帰し、真の保守主義者を目指すべき AI生成画像

LGBT理解増進法などリベラルな社会政策を縮小し、警察や国境警備の予算を増やし、伝統的価値観を教える教育改革を進めるべきです。さらに、安倍政権から懸案になっている憲法改正を強力に推進すべきです。これにより保守層を取り込むことができます。

権力を強化し、改革を積極的に推進すべきです。党内や官僚機構からの抵抗に打ち勝つため、臆することなく政治的権限を行使すべきです。大胆な改革は、たとえ物議を醸すとしても、多くの国民は岸田首相を変革的リーダーとみなすことになるでしょう。

自民党の結党の精神は「保守主義」です。岸田首相は真の保守主義者としての役割を果たし、お役所仕事を削減し、経済を浮揚させ、ビジネスを支援し、軍備を増強し、伝統的な価値観を推進し、大きな政治的反対勢力が形成される前に迅速に動くことで、機先を制するべきです。

以上は、私の願望なのですが、岸田首相がこの願望をいくつかでも果たしていただいて、岸田政権が長期政権になり、真の国民目線の保守政権ができるまでの揺りかごとしての役割を果たしていいただきたいものです。無論、上で述べたことをすべて実現していただけるなら、安倍政権を超える長期政権を目指すべきです。

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2023年11月20日月曜日

プーチン大統領「アイヌはロシアの先住民族」差別理由に北海道侵攻!? 幕府の「蝦夷地」防衛の歴史を国民共有の知識に―【私の論評】北海道の歴史誤解とアイヌ文化、縄文時代からの起源と差別的言葉の歴史(゚д゚)!

江戸幕府の北方防衛
プーチン大統領「アイヌはロシアの先住民族」差別理由に北海道侵攻!? 幕府の「蝦夷地」防衛の歴史を国民共有の知識に

まとめ
  • 江戸幕府は、蝦夷地、樺太、千島をわが領土として防衛した。
  • ロシアは、アイヌを「ロシアの先住民族」に認定する考えを示し、北海道侵攻の可能性も指摘されている。
  • 北海道の歴史年表や教科書、副読本では、江戸時代の蝦夷地が「アイヌ時代」となっており、アイヌの文化や言葉を奪い差別してきたという趣旨が広まっている。
  • 北海道知事、道庁、道議会が開拓の歴史を抹殺しようとする動きがある。

プーチンが狙う北海道の大地

 江戸幕府は、ロシアの脅威に応じて、蝦夷地、樺太、千島をわが領土として防衛した。そのために、松前藩統治や幕府直轄統治を実施し、地図を作製するなど、領土確定に努めた。

 しかし、すでに樺太と千島はロシアに奪われており、残る蝦夷地も「アイヌのもの」を理由に奪われる恐れがある。

 ロシアのプーチン大統領は、アイヌを「ロシアの先住民族」に認定する考えを示しており、これは日本のアイヌ先住民族決議を逆手に取った動きと見られる。

 また、ロシアは昨年ウクライナに侵攻し、「ロシア系住民の保護」などを口実に、北海道侵攻の可能性も指摘されている。

 さらに、北海道の歴史年表や教科書、副読本では、江戸時代の蝦夷地が「アイヌ時代」となっており、アイヌの文化や言葉を奪い差別してきたという趣旨が広まっている。

 北海道開拓記念館は、アイヌ民族文化研究センターと統合してアイヌ史観の北海道博物館に変更され、北海道百年記念塔も解体された。

 これらは、北海道知事、道庁、道議会が開拓の歴史を抹殺しようとする動きと言える。

 このように、ロシアは北海道を奪取しようとする意図を隠しておらず、北海道の歴史を歪曲する勢力も存在している。

 このままでは、ロシアが「差別されているロシアの先住民族アイヌを救う」と北海道を侵略してきても、反論すらできない恐ろしい事態となる。

 そこで、江戸幕府の北方防衛の事実を国民共有の知識とし、北海道の歴史年表や教科書、副読本の間違いを修正し、北海道を奪取しようとする勢力の撃退の実現が急がれるのである。

この記事は元記事の要約です。詳細をご覧になりたいかたは、元記事を御覧ください。

■中村恵子(なかむら・けいこ) 札幌市生まれ。北海道大学大学院法学研究科修了。医療法人を経営する傍ら、長年にわたり一般社団法人、廃棄物資源循環学会(現在フェロー、元理事)に所属し、ライフワークである循環型社会構築のための執筆や講演、研究活動を行ってきた。1995年度リサイクル推進功労者等表彰通産大臣賞。一方、北海道の開拓と歴史を調査し、先人たちの名誉を守り、自虐史観から脱却した「北海道の開拓、歴史の事実」を伝える活動を続けている。著書に、第5回アパ日本再興大賞優秀賞を受賞した『江戸幕府の北方防衛』(ハート出版)、編著に『これでいいのかごみ行政』(横山出版)、『災害廃棄物分別・処理実務マニュアル』分担執筆(ぎょうせい)など。論文も「ごみ処理有料化の実態及び市民意識」(92年、廃棄物学会誌)など多数。

【私の論評】北海道の歴史誤解とアイヌ文化、縄文時代からの起源と差別的言葉の歴史(゚д゚)!

まとめ

  • 北海道の歴史年表や教科書に誤った「アイヌ時代」の記載あり、アイヌ文化の奪取や差別が誤解されている。
  • 縄文人が北海道に住み、後に現れたアイヌは縄文人の変種とされる。
  • 歴史的にアイヌの征服はなく、彼らの先住民族としての位置づけが議論されるべき。
  • 「旧土人保護法」はあくまで、アイヌ保護の法律であり差別的意図はない。保護には制限がともなうこともあり、それが後年差別と認識されるようになった。
  • 「旧土人保護法」は必要性がなくなったために、廃止されたが、2019年に「アイヌ民族支援法」が成立したのは不可解であり、危機を招く可能性もある。

蝦夷の歴史地図


上の記事では、以下のように述べられています。
北海道の歴史年表や教科書、副読本では、江戸時代の蝦夷地が「アイヌ時代」となっており、アイヌの文化や言葉を奪い差別してきたという趣旨が広まっている。

 これは、明らかな間違いといえます。

北海道大学の教員である境信哉教授が、ツイッターで「アイヌは先住民族でないことは確かです」と発言し、これが活動家による抗議で削除された。2019年に制定されたアイヌ施策推進法は、アイヌを「北海道の先住民族」と規定したが、学問的には誤りであるとしています。これは、純粋に学問的に事実を探求していったら、そうだったということであり、これを否定するのは間違いです。

縄文時代に北海道には縄文人が住んでおり、その後にアイヌが現れました。DNA解析によれば、縄文人は日本列島に4万年前から存在し、遺伝的には琉球人に近いです。アイヌは縄文人の変種であり、一部の縄文人が農耕を拒否して北海道で狩猟・漁撈・採集の生活を続けたとされています。

日本人は縄文人と弥生人の混血であり、アイヌも縄文人の変種ですが、北方系の形跡も持っています。多くの縄文人は弥生人と混ざり、平和的に日本人になったのですが、一部の縄文人は北上あるいは南下し、アイヌや琉球人になったとされています。

日本がアイヌを征服したという史実はなく、彼らはほとんど抗戦せず、征夷大将軍の存在も中世には意味が薄れました。遺伝的にも歴史的にも、アイヌを先住民族と呼ぶことは誤りであり、北海道大学は「処分を検討中」とのことですが、歴史的事実を学問的に議論すべきです。

“旧土人保護法”はアイヌを土人扱いした差別法で、同法撤廃はアイヌ民族の悲願だった」と吹聴する方々がいますが、これは大嘘です。各地のアイヌ総代等の請願がある中で同法は制定され、廃止に反対し続けたも「北海道アイヌ協会」でした。"北海道旧土人保護法"制定はアイヌの度重なる帝国議会への請願で制定されたのであり、アイヌ団体ご一行直接北海道議会にまで行って請願したという記事は多々ああります。自虐的な嘘の歴史を捏造する方々は、日本人には百害あって一利無しといえます。

そもそも"旧土人保護法"の「土人」という言葉が明らかに差別であるとする方もいますが、これも大きな間違いです。

「土人」という言葉は、歴史的には特定の文化や民族を指すために使用されてきました。元々は差別用語ではなかったのです。

その名残はつい最近までありました。20〜30年前に、商社出身で、引退後タイに住まわれている人が、「土人」という言葉を頻繁に使っいました。当時「土人」とは差別用語だと信じて疑わなかった私は、この方が「土人」という言葉を頻繁に使うのて、ドギマギしたことを覚えています。

気になったので、本人に聴いてみると、このかたは「土人」という言葉を「現地人」くらいの意味で使っており、この方が現役の商社マンだったときには、「差別用語」などとは意識していなかったそうです。

たとえば、次のような使い方がされていました。「彼は日本人タイ土人だ」。この意味するところは、「彼はタイに在住する日本人だ」位の意味であり、差別ではなかったのです。

「土人」という言葉が差別的な意味を持つようになった時期は、歴史的には曖昧ですが、おおよそ20世紀前半から中ごろにかけてその差別的なニュアンスが強まっていったと考えられています。

「第三国人」という言葉も差別用語として、この頃認識されるようになりました。「第一国人」「第二国人」「第三国人」という言葉は、米軍が使用した用語で、戦争や占領下の状況において、地域住民や外国籍の人々を区別するために用いられました。

「第一国人」は、占領国の国民を指し、「第二国人」は占領国に住んでいるが、国籍は占領国ではない人々を指し、「第三国人」はそれ以外の第三の国籍を持つ人々を指していました。この区別は、戦後の占領下や米軍基地の管理などで使用されていました。

日本などの占領下にあった国では、米軍がこのような区分をしており、その際に「第三国人」という言葉が使用されたとされています。しかし、この用語はその後、日本を含む他の地域でも一般的な言葉として使われるようになり、外国籍の人々を区別する際に用いられるようになったと考えられます。

第三国人の本当の意味を示す新聞記事

この頃「ちびくろサンボ」という童話も、差別的として流通しなくなりました。「ちびくろサンボ」は、インドの童話「リトル・ブラック・サムボー」を原作とする絵本で、日本でもかつて親しまれていた絵本の一つです。物語は、黒い肌の少年がタイガーたちと対話しつつ、様々な魔法を使って自分を守る、という内容です。

しかし、この絵本は登場人物が肌の色を黒く描かれており、その表現が差別的だとして議論を呼びました。黒人をステレオタイプ化し、差別的な表現が含まれているとの批判があり、そのため現在では社会的な問題視されており、出版されることは少なくなっています。

絵本自体は昔日本で広く愛され、読まれていましたが、多くの人々からの批判を受け、黒人のステレオタイプ化や差別的な表現を含むため、現在では見直され、出版や流通が制限されています。

ちびくろサンボの絵本は1980年代に日本の書店から姿を消した

「旧土人保護法」とは、かつて日本で存在した法律の一つで、先住民族であるアイヌ民族を対象とした法律です。明治時代の1899年に制定され、1946年に廃止されるまで存在しました。

この法律は、アイヌ民族の文化や生活を保護し、その福祉を向上させることを目的としていました。保護するためには、一定の制限も必要な場合もあり、それが差別と認識されたようです。

1946年あたりには、いわゆるアイヌ人と言われる人でも、アイヌ人の文化を色濃く継承し生活している人も少なくなり、一般の日本人と区別がつかないほど、日本人と同じ生活をする人がほとんどになったため、保護をする必要もなくなったと判断して廃止されたものです。

私自身も、北海道に長年住んでいますが、具体的にアイヌ人が差別されているところに出くわしたことはありません。無論、教室の中にアイヌ人を血を受け継いだ人がいたということがあったように記憶していますが、だからといってその人を差別したり、日本人ではないという意識で接したことはありません。最近では、それすら気に留めたこともありません。

それに、アイヌ人とされる、日本人とは明らかに異なる文化や言語を持った人々が、北海道に住んでいたことは間違いのない事実であり、これ自体を否定するものではありません。しかし、和人がアイヌ人を迫害して、文化を破壊したなどということには、とうてい賛同できるものではありません。

「旧土人保護法」が必要とされなくなってから年月がたった2019年に「アイヌ民族支援法」(アイヌ新法)が成立した事自体が不可思議と言わざるを得ません。

日本国内で「不可思議」などと言っているうちは良いですが、日本を分断しようという勢力にこれを活用されたり、プーチンに日本侵攻の口実に使われたりしまえば、たまったものではありません。

日本が、いわゆるアイヌ人と非アイヌ人とで分断されたり、プーチン等に侵略の理由を与えるようなことになってしまっては、本末転倒というものです。

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2023年11月19日日曜日

戦争ドミノに入った世界情勢 いかに秩序を守るか―【私の論評】自由世界の守護者としてのトランプ:米国第一主義が拓く新たな世界秩序再編(゚д゚)!

 戦争ドミノに入った世界情勢 いかに秩序を守るか

岡崎研究所

まとめ
  • フィッシャーは世界が戦争状態にあり、ロシアのウクライナ侵攻やハマスのイスラエル攻撃がその兆候であると主張している。
  • イランの影がハマスの攻撃背後にあり、南シナ海や台湾海峡でも米中の緊張が高まっている。
  • 既存の秩序の破壊や新秩序への移行が暴力を伴うことを指摘し、バイデン政権の行動が戦争リスクを防いでいる可能性を示唆している。
  • バイデン政権のリーダーシップがNATOを結束させて対抗し、アジアにおける同盟関係も強化されているが、米国の内政動向が国際秩序に影響を及ぼす心配がある。
  • 現在の秩序は健全であり、新たな秩序の輪郭は明確でない。米国の意欲が国際秩序を守る鍵であると指摘している。
ヨシュカ・フィッシャー元ドイツ外相

ヨシュカ・フィッシャー元ドイツ外相が、Project Syndicateのサイトに10月27日付けで掲載された論説‘World of Warfare’で、現在の世界情勢について深刻な警鐘を鳴らしている。彼は、ロシアのウクライナ侵略やハマスによるイスラエル攻撃など、世界各地で戦争の危険が高まっていると指摘している。特に、ウクライナ侵攻が始まり、その後にハマスの攻撃が続き、イランの関与も疑われていることに注目している。

この状況において、フィッシャーは世界秩序の崩壊や新たな秩序の出現につながる危険性を警告している。そして、これが大規模な戦争のリスクを高めていると警鐘を鳴らしている。このような状況下で、バイデン政権のリーダーシップが大きな戦争を回避するのに役立っているという点を指摘しつつも、既存の秩序を守る意志が薄れつつあるとも懸念している。

彼は西側諸国の一体性やNATOの対ロシア姿勢、そしてアジアでの米国主導の同盟関係の強化についても触れ、これらが既存の秩序を維持する要素として重要であると指摘している。ただし、米国内の政治動向や来年の大統領選挙の結果によって、国際秩序の維持に対する意欲が変わる可能性にも警戒を示している。

要するに、フィッシャーは現在の世界情勢が混迷し、戦争のリスクが拡大していることを強調しつつも、既存の秩序を守るための一体性やリーダーシップの重要性を強調し、新たな秩序の形成に伴う潜在的な危険性に警鐘を鳴らしている。

【私の論評】自由世界の守護者としてのトランプ:米国第一主義が拓く新たな世界秩序再編(゚д゚)!

まとめ
  • 米軍のアフガン撤退はロシア、中国、イラン、ハマスなど敵対勢力の勢いを増し、バイデンのリーダーシップは混乱を招いた。
  • トランプの「米国第一主義」政策は、国益を優先させるものであり、イランへの圧力は国益を守るための行動であった。
  • 中国の南シナ海での侵略や知的財産の窃盗、ロシアの権威主義的影響力は、自由と民主主義を脅かすものであり、両者が結託しユーラシア大陸を支配する可能性があり、西側諸国は対抗する必要がある。
  • 自由世界のリーダーシップは米国が担い、世界秩序を維持するために米国がダイナミックにリードする必要がある。
ヨシュカ・フィッシャー氏の見解は、世界情勢に対する誤った理解があるように感じられます。彼の分析には幾つかの問題があります。

まず、バイデン政権のアフガニスタンからの米軍撤退はロシア、中国、イラン、ハマスなどの敵対勢力を増長させたと言えるでしょう。バイデンの弱さは、戦争を避けたのではなく、最近の侵略を誘発したとも言えます。

アフガニスタン紛争 (2001年-2021年)

バイデンのリーダーシップの下、NATOはほぼ無力化しています。ウクライナやイスラエルへの脅威を軽視する一方で、ロシアや中国との対立を避ける姿勢は、西側諸国の同盟関係を弱めています。フィッシャーが述べる結束は、希望的観測に過ぎません。

政治的な動きや来年の米大統領選挙によって、米国保守派の秩序を守ろうという気持ちが変わることはないでしょう。米国の保守派は、屈服ではなく力による平和を信じています。

世界がますます混沌とし、戦争が絶えないのは、まさに自由の力としての米国がリードする既存の世界秩序が攻撃を受けているからです。フィッシャーが示唆するように、米国は、ロシア、中国、イランに地歩を譲るのではなく、その秩序を強力に守るべきです。

フィッシャーの分析は見当違いで危険なものだと思われます。バイデンの弱いリーダーシップこそが真の脅威であり、既存の世界秩序を守ることにはならないでしょう。

この記事は、トランプ大統領の「米国第一主義」を曲解しています。トランプ大統領がイラン核合意から離脱したのは、それが米国の利益にならなかったからです。それはイランに核兵器への道を与える一方で、中東全域のテロリストの代理人を強化するものでした。トランプ大統領の最大限の圧力キャンペーンは、イランを弱体化させたのであって、その逆ではありません。


トランプの「アメリカ・ファースト」政策は、アメリカの安全と繁栄を優先させるものであり、フィッシャーがほのめかすような「アメリカが国際秩序を守ることを思いとどまらせる」ものではありません。トランプは軍備を再建し、中国や利用してきた国々に立ち向かい、同盟国との結びつきを強化しました。

国内の政治動向や来年の大統領選挙が自由世界のリーダーシップを損なうことはありません。トランプは、国内では愛国心を鼓舞し、国外では尊敬の念を抱かせるようなナショナリストの課題を実践したのです。彼のリーダーシップによって、米国はより安全になり、より繁栄したといえます。

もし「イランを再び戦場に戻す」罪があるとすれば、それはバイデンでしょう。バイデンは、失敗したイランとの取引に再び参加し、制裁を緩和し、テロを拡散するための資金を何十億ドルも与えようとしています。

トランプはイランを封じ込めたのですが、バイデンはイランを懐柔しようとしているようです。フィッシャーは、オバマの後ろ盾の外交政策とワシントン体制によるグローバリズムの時代を懐かしんでいるようです。

私は、バイデン的な屈服ではなく、米国の主権を守り、米国の軍隊を強化し、強者の立場を通じて世界に自由を広めるアメリカ・ファーストの外交政策を目指すトランプのビジョンを全面的に支持するものです。

国際秩序は、トランプがそうであったように、アメリカが自由のための力としてダイナミックにリードするときに、最もよく守られるようです。フィッシャーはこの点で明らかに的外れといえます。

中国は、現在の世界秩序と米国の世界的リーダーシップに対する最大の脅威となっています。南シナ海での侵略、知的財産の窃盗、人権侵害、不公正な貿易慣行は、自由と民主主義を損なうものです。

ロシアは弱体化していますが、依然として危険です。プーチンは、中国と手を組み、世界の舞台で米国の影響力に対抗することを望んでいます。私たちは、民主的改革を支援し、西側諸国との関係を強化することによって、ロシアを中国の軌道から引き離す努力をしなければならないです。

ロシアと中国の同盟は西側諸国にとっては耐え難いものです。それは、欧州とアジアの米国の同盟国を脅かし、ユーラシア全域に権威主義的影響力を拡大することになります。そのような世界秩序の再編を阻止するために西側諸国は、あらゆる努力を払わなければならないです。


中国は自力で「新しい世界秩序」を確立することはできないでしよう。しかし、自国の利益のために世界政治を再編成しようとしています。彼らの「一帯一路」構想は世界的な影響力の手段であり、ロシアとの緊密な関係は彼らの影響力を拡大することになります。西側諸国は、これに対抗しなければならいです。

理想的な結末は、プーチンが退場し、ロシアで民主的な改革が行われ、新しいロシアの指導者が西側に加わることです。そのため、自由世界は自由を求めるロシア国民の闘いを支援し、中国の悪質な影響力に対抗しなければならいです。

中国経済は、そのプロパガンダにもかかわらず、大きな課題に直面しているのは明らかです。米国と同盟国は圧力を維持し、サプライチェーンを切り離し、先端技術に投資して競争力を維持しなければならいです。強さと勇気こそが、中国の野心に打ち勝つ術です。

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2023年11月17日金曜日

「岸田さんに今辞めてもらっては困る」━━“バラバラ野党”が与党を追い詰める? 戦略と“意外な落とし穴”に迫る―【私の論評】岸田政権の現時点での崩壊は、国益の損失に(゚д゚)!

「岸田さんに今辞めてもらっては困る」━━“バラバラ野党”が与党を追い詰める? 戦略と“意外な落とし穴”に迫る

 
まとめ

  • 野党が政権交代を実現するためには、共産党に対するスタンスの違いを乗り越えて、まとまる必要がある。しかし、これまでの経験から見て、それは容易なことではない。
  • 岸田内閣の支持率が低迷する中、野党がどのような動きを見せるのか、今後の展開が注目される。


岸田首相

 先日行われたANN世論調査では、岸田内閣の支持率が政権発足以来最低の26.9%を記録。そして、事実上の与野党対決となった10月の衆参補欠選挙でも、野党候補が1勝1敗となり、「野党がまとまれば与党に勝てる」という結果となった。  支持率が低迷する岸田政権を野党は今後も一致結束して追い詰められるのか? 野党事情をテレビ朝日政治部の村上祐子記者に聞いた。

 ―岸田内閣の支持率が低迷する中、野党は今後も政権を追い詰められるのか。

 野党の存在感を示せていない理由は、共産党に対する各党のスタンスの違いにある。

 立憲民主党は、前回の衆院選で共産党と政権枠組みの合意まで結んで臨んだものの、与党からは「立憲共産党」と揶揄されて結果的に議席を減らした。その後、代表に就いた泉健太氏は一旦共産との連携を白紙にしたところ党内からの猛反発が起きた。というのも、共産党と選挙協力しなければ勝てない選挙基盤の弱い立憲議員が一定数いるからだ。その後やむなく方針転換し、野党の一本化を目指すという二転三転があった。

 日本維新の会は次の衆院選ではすべての小選挙区に独自の候補を擁立予定。つまり、他の野党と連携せずに自分たちだけで闘うスタンスを表明している。

 国民民主党は、共産党と距離を置いている。国民民主としては、共産党と選挙協力する政党とは一緒にやれないというスタンスを明確にしている。

 このように共産党をめぐる立ち位置の違いが表面化しているが、そのせいでまとまって政権に立ち向かえない状況になっている。

今後の展望

 衆議院議員の任期は10月30日で折り返しを迎えたので、いつ選挙があっても対応できるように準備を本格化させる必要がある。

 立憲民主党は、共産党と選挙区調整を進めたい意向だが、国民民主が反発しているため、難航が予想される。

 維新は独自候補を立てる方針で、野党が連携する枠組みには入らない。

 国民民主は、共産党と距離を置くため、立憲との関係も微妙だ。

 このように、野党がまとまって政権に立ち向かうのは難しい状況にある。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は元記事をご覧になってください。

【私の論評】保守派は頭を冷やせ!岸田政権の現時点での崩壊は、国益の損失に(゚д゚)!

まとめ
  • 野党の共産党との連携は政権交代や党勢の拡大つながらない
  • 岸田政権の支持率低下は政権運営能力の低下が原因
  • 岸田政権の崩壊は政治的混乱や国益の損失につながる
  • 野党が躍進する可能性は低く、岸田政権の崩壊は自民党内のリベラル派や財務省にさらに近い政権が誕生する恐れがある
  • 現時点では岸田政権を継続し、政権運営能力の向上を目指すべき

上の記事は、朝日政治部の村上祐子記者に対するインタビュー記事であり、各党が共産党との連携を巡ってバラバラであり、まとまりがないため、現在岸田政権の支持率が落ちたとはいえ、野党が勝つことは考えれないから、「岸田さんに今辞めてもらったら困る」というものであり、リベラル派の意見です。

確かに、野党各党はバラバラです。しかし、野党が全部共産党と組めば、日本では共産党を忌避する人たちも多いので、野党が選挙で有利に戦えるということはないでしょう。かつて民主党が政権交代をまがなりにもできたのは、少なくとも民主党は共産党は全く異なる政党であり、連携することなどありえないということを明確にしたからでしょう。

共産党の集会

もし、当時選挙で民主党が共産党と連携していれば、民主党が政権交代をなし得ることはなかったでしょう。それは、今も同じであり、共産党と連携した党は、いっときは少し議席を伸ばすことはできるかもしれませんが、その後大きく議席を伸ばし、大きな勢力になることはできないでしょう。

立憲民主党も含め、すべての野党は、共産党とは袂をわかち、連携するなら共産党を除いて連携すべきです。共産党との連携について、模索しているような党は今後も伸びることはありません。

岸田政権の支持率が下がっているのは事実であり、一部からは「減税施策が財務省の倒閣策を招いた」との見方がありますが、その真偽は疑問です。現実には、岸田内閣自体が政権運営能力を失っているとみるべきです。財務省が倒閣策を実行したとの証拠は不明確です。

仮に財務省が影響を与えたとしても、現時点での倒閣計画は考えにくいです。財務省は次期首相にそれほど興味がなく、岸田首相が財務省のやり方を受け入れるというなら、そのまま続投しても問題ないでしょう。

ただし、国民の怒りは凄まじいものがあります。支持率の低下は止まらず、「岸田打倒」の声が拡がっており、岸田首相の続投には疑問視する声も多いです。しかし、私は現時点での岸田内閣の崩壊を望まないです。そうして、これは何も岸田氏を支持しているというのではなく国益を考えての発言です。

  1. 岸田政権が崩壊すれば、その後の内閣の後任が急遽選ばれることになるでしょう。先日もこのブログで示したように、来年秋の総裁選の候補者としては、茂木・上川・河野が有力であると考えられ。この三者はリベラル派であり、三者とも財務省出身であり、岸田首相よりも財務省寄りと考えられます。そうなると、岸田政権より政権運営能力が高まるとは考えにくいです。

ポスト岸田の有力候補 左から茂木氏、上川氏、河野氏

私は、現在岸田政権が崩壊すれば、この三人が順番に政権を担い、自民党や日本国の保守的な価値観を徹底的に毀損し続けるというシナリオもあり得ると思います。
  1. 現時点では、それに伴う政治的混乱や権力空白が発生する可能性があります。このような状況は国内外への不安を引き起こし、国益を損なう可能性があるという観点から、内閣の突然の崩壊は避けるべきです。


  2. さらに、内閣の交代によって、これまで進めてきた政策の断絶や停滞が生じる可能性があります。たとえば、憲法改正がさらに遅れるなどのことが考えられます。国益を考えると、安定した政策の継続性が望ましいです。


  3. 内閣の安定は国内外に対して安定したメッセージを発信することができます。政治の混乱や不安定な状況は国際社会への影響をもたらし、国益に影響を及ぼす可能性があるため、安定した政権運営は国益に資するのは間違いありません。ここで岸田政権が崩壊すると、せっかく安倍政権からつくりあげてきた日本の世界における存在感が損なわれることになりかねません。

既存の野党が共産党との連携を巡って、協調できない現状では、野党が躍進して、自民党に良い影響を与えるという可能性も低いです。日本保守党などの躍進も考えられますが、ただ、躍進したとしても、まだ小さな勢力に過ぎず、自民党に対して一定の影響力を及ぼすまでには至らないでしょう。

そうなると、たとえ、岸田政権が崩壊したとしても、野党による政権交代はありえず、自民党内でより、リベラル的で財務省よりの政権が成立することになり、先に述べたように、日本はさらに混乱することが予想されます。

であれば、現実的に考えれば、少なくとも、来年の総裁選までは、岸田政権は継続すべきですし、それまでの間に岸田政権は政権運営能力を伸ばす努力をすべきです。政権運営能力がつけば、岸田首相は来年また総裁に選ばられることになるでしょう。

そうなれば、自民党内の保守派や、野党の保守派にも次の展開に余裕を持って取り組めるようになります。それが現在、考えられるベストなシナリオと思います。

民主党政権の三首相

自民党にお灸を吸えるとして、民主党が政権交代したときの悪夢を繰り返すべきではありません。現在岸田政権が崩壊すれば、民主党による政権交代よりも酷い状況になりかねません。

保守派は、岸田政権の政権運営能力が増すように、岸田政権を是々非々で厳しく批判しつつ、現在以上に日本が毀損されないようにし、岸田政権を継続させつつ、次の展開を狙うようにすべきと思います。

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