温家宝首相 |
中共は第13回党大会以降、政治改革への言及はしなくなり、それ以来あらゆる改革を「行政制度の改革」と位置づけてきた。今回、温首相が政治改革に明言したことは尋常な現象ではないと取られている。海外メディアの最近の報道によると、「太子党」を主体とした保守派が第18回党大会以降に望む人事は、習近平が総書記・主席で薄煕来が総理を務めるという「習薄ペア」だが、改革派は、「太子党」を権力の中枢からことごとく追い出し、現副総理の李克強が総書記・主席で現副総理の王岐山が総理を務め、王滬寧が宣伝部長を務めることを望んでいるという。
2012年の開会を控え、人事闘争がますます激しくなっている今、温首相の発言は改革派が態度を表明したものと読まれている。それを裏づけることとして、保守派は最近たびたび温首相の「民主」言論に反撃し、中国は絶対「三権分離」を実施しないと明言したことがある。
内部闘争が表面化
6月2日、温首相はNHKのインタビューを受けた際、政治改革を行うべきだと強調した。その内容として、「社会主義的民主政治の建設、公民の選挙権や知る権利や参政権や監督権を保障し、社会主義の法治を完備させ、法をもって国家を治め、法治国家を建設すること、社会の公平と正義を実現すること、人々の自由及び発展を実現するなど」を挙げた。
8月21日、温首相は深圳市を視察した際に、「経済改革ばかりではなく、政治改革をも推進していかなければならない。政治改革の保証がなければ、経済改革の成果も失われ、現代化建設の目標は成し遂げられない」と、政治改革について明言した。
8月初め、中国国防大学トップの劉亜州将軍は政治改革について、「10年以内に政治体制の転換が起こることを回避できない」と大胆に発言した。劉将軍はソ連の崩壊の例を挙げ、体制の改革を行わなければ「必然的に滅びる」と断言した。
一方、中共党内には従来から政治改革に反対する勢力が強く、中共宣伝部は5月に「人民日報」で「いくつかの重大な問題に答える」と題した長文を掲載し、中国では三権分立を行うことができないとしたうえで、「長い間、ごく少数派は三権分立という政治体制を鼓吹し、我が国の政治改革と司法体制改革の方向、さらには我が国の政治制度を根本から変えようとしている」と批判している。
中国の保守派はつねに温首相の言行を批判している。今でも左派のサイト「文革研究」には、元中共中央政策総合研究局長・張徳勤氏が09年に発表した「温家宝首相に対する六つの意見」が載せられ、温家宝首相が中国の特色ある資本主義思想をさらに発展させたなどと批判している。
温首相は2月22日に中央高官による新年のあいさつ会に出席した際、人間の「尊厳論」を言いだしたが、その後批判の波が激しく寄せられていた。軍の機関紙「解放軍日報」は軍関係者の文章を掲載、「尊厳とは実力でものを言う」ことや「国家の強大こそ最重要だ」とし、温家宝の「尊厳論」に反撃している。
保守派の異常な動き
中共内部において、改革派と保守派は常に論戦し合っており、その焦点は毛沢東に対する評価となっている。薄煕来が左派の領袖として「革命の歌を歌い、マフィア組織の取り締まりを行う」ことをもって国民の支持を得ようとしている。一方、改革派は毛沢東の諸問題をつねに言及しつつ、天安門事件で失脚した趙紫陽前総書記の功績を讃えるのである。「炎黄春秋」がその代表的な刊行物である。
左派の人たちは言論にとどまらず、さまざまな行動も見られる。たとえば、「真の共産党」を作ろうとすることや、各地で労働者によるストライキを企画、組織するなどである。このほど、各地で起きたストライキブームは実は、左派たちの「傑作」だったと言われている。特に日系企業をターケットにして民衆の感情を扇る狙いであるという。
政治改革は実現しうるか
一方、温首相および劉亜州の政治改革についての言論は、中共の延命のための一手法に過ぎず、その詐欺性を見抜くべきだとの論調もある。
海外中国語衛星放送・新唐人TVのコメンテーター竹学葉氏は、中共が政治改革を行うことは考えられない。たとえ政治改革を行っても、国民が望んでいるようには実現できず、ただ延命するための一手段に過ないと述べた。
政治評論家・三妹氏は、共産党独裁政府は機会主義と実用主義の段階に入っており、もう一人のゴルバチョフを生み出すことはないし、すでに手に入れた利益と権力を譲ることはないと考えている。かつての旧ソ連のインテリたちのように共産党を徹底的に否定するということがない限り、政治改革などは望めず、その場合は、中共が崩壊して初めて真の民主自由が実現できるのであるとしている。
恥知らずの中国は尖閣問題で日本のご機嫌を損ねると破綻する?
さて、このニュース今月はじめのものですが、普段だとこの程度の記事は掲載しないのですが、尖閣問題が激化し現在、その重要性が増してきたと思うので掲載します。
昨日のブログでは、インドと中国の違い、特にインドは中国とは異なり、世界最大の民主主義体制の国であることを掲載しました。それに対して、中国は、そうではなく、上の記事のように、今にいたるも三権分立もなされておらず、選挙すらされていないという後進国家であることを示しました。
そうして、最後のほうでは「中国の現体制の崩壊、思っているよりもはやいかもしれません。その前に、このブログにも述べたように、経済崩壊のほうが先ですね。もう、インターネットの時代です。いくら、中国がこれに障壁を築いたとしても、抜け道はいくらでもあります。中国共産党は人民を経済の伸びだけでは、人民の怒り、鬱積、閉塞感を懐柔できる域を脱しつつあるのだと思います」と記しました。
このようなことを書いたのには、上の温家宝首相の発言があったからです。
さて、尖閣問題に関して、日本固有領土であることには全くかわりはないのですが、しばらく前から中国の領土であるとの主張があったことに関しては皆さんもご存じだと思います。
しかし、いままで特に目立つたことはないのに、今回に限って、中国の出方がかなり傍若無人であり、日本がわとしても、その真意をはかりかねてというのが実情だと思います。多くの人達も、中国の船長釈放後でも、強硬な態度には驚いていると思います。
これは中国内で何か変化があったと見るのが妥当です。私は、尖閣問題の背景には、この内部分裂激化があるのだと思います。
やはり、保守派が三権分立、選挙の導入などという民主的で、今まで経験したことのないようなことを導入しようとする改革派に対するデモンストレーションとして行ったのだと思います。あるいは、その逆という線もあるかもしれませんが、これに関しては情報が少ないのでなんともいえません。温家宝をはじめとする改革派は、今のところ、これら保守派の活動を封じ込めることができないという状況にあるのだと思います。
温家宝首相の言葉から、これからしばらく中国の経済は停滞することは明らかだと思います。そうして、経済が停滞することによって、中国人民の不満や、鬱積、閉塞感がますます高まると思います。
おそらく、2012年までには、中国の経済の停滞は、隠しようもなく、中国内外で明らかになっていると思います。温家宝首相としては、こうした背景だけではなく、経済停滞の責任追求をするであろう保守派の台頭にも、気を配らなければならず、2012年年度に迫る、党大会を目指して難しい政策運営を迫られているのだと思います。
とすれば、この尖閣問題は意外と長期化するかもしれません。当大会前までに、保守派か改革派の勝負がつけば良いのですが、最悪この問題党大会のあたりまで長引く公算が大きいです。しかし、党大会を経ても、どちらの勢力が台頭するのか、勝負がつかなければ、それこそ、中国自体の分裂が起こる可能性が大です。日本は、この機会に乗じて、いちはやく、改革派に対する支持を表明するとか、巧みに両方の陣営に歩み寄って、両方とも弱体化させるなどの方途を模索するべきと思いますが、今の外交音痴の民主党ではどうにもならないと思います。
民主党としては、一方では、改革派と話を進めながら、もう一方では保守派とも話をしながら、どちらが台頭するのか状況を見極めながら、うまく対処していこうとするでしょうが、あまり良い結果は期待できないと思います。
しかしながら、私としては、もう一つの道を選択すべきと思います。それは、こうした不安定な中国とは、おつき合いをやめるという道です。まあ、すぐに、国交断絶などという手は、まずいですから、長期戦略的にはそういう方向で進めて、不安定な中国との関係は最低限度に留めるという方向を選択すべきと思います。
だいたい、まともな主権国家においては、いくら国内で、派閥抗争が起ころうとも、外国とのつきあいは、その時々の外務省などが窓口となり一本化して行うのが普通です(今の日本の民主党もこのへんがあいまいですが・・・・)。強硬であろが、やわであろうが、これには変わりありません。
だいたい、一つの国の中で、分裂して、その分裂のはけ口を尖閣問題のように、日本にされては、たまったものではありません。このことによって、中国はその後進性を白日のもとに晒したといえると思います。今の状況は、まるで、日本の幕末のようではありませんか。旧幕藩と、倒幕派にわかれて国内で覇権争いをしていて、幕府はフランスなどが支援、倒幕派はイギリスが支援するなどの状況のようです。
しかし、日本の場合は、過去の話であり、その当時の時代背景からすれば、いたしかたないと思いす。それに、明治維新以降は、まともな国民国家に生まれ変わり、国としてまとまった行動をするようになりました。まさに、ぎりぎりセーフという形で、近代国家の仲間入りができました。
しかし、中国は、旧態依然としたままです。形はかえましたが、体制は100年前と何もかわりありません。共産主義など、馬賊が体裁を整え、さも正当性があるように装うために、導入した形だけのものでしかありません。良い悪いは、別にして、旧ソビエトでは、すくなくとも、共産主義のイデオロギーに賛同してそれを追及しようとする人たちがいました。それに、上の記事にも書かれているように、それに対抗するインテリ層のグループがありました。しかし、中国は、そのようなことはなかったので、すんなりと共産主義の名のもとに現在の実質上の国家資本主義体制築くことができたのです。
いずれにしても、日本を愚弄していることには変りないわけです。改革派といえば、聞こえはいいですが、もとは正当性が全くない馬賊の子弟です。保守派も同じことです。このものたちの権力闘争であるにすぎません。
こんな国の内部分裂や、内紛にまともな民主国家日本が、関わる必要はありません。対中国投資などひきあげて、日本国内の内需拡大に回したり、インドなどに回すべきと思います。他国も同じような対応をすべきと思います。どうしようもなくなって、分裂して、パラバラになって、になったときに、国連などが、介入して選挙などの民主的な手段を経て、政権を樹立してまともな国家体制になってからつき合いを始めるべきと思います。
それにしても、中国が分裂して、新たな民主的政権が樹立されるまでには、中国以外のアジア諸国に対して、今回の尖閣問題などをはるかに超えたような火の粉がふりかかることが十分予想されます。これに関して、日本は、中国以外の他のアジア諸国と連携し、うまく立ちまわることが肝要だと思います。それだけでは、不十分であり、やはり、日本は、昨日もこのブログに掲載したように、アメリカに、複数国によるパワーオブバランスの一角を担えるように、説得していく必要があります。
今回の尖閣問題によって、政府や、企業、日本の多くの国民も、時代遅れの中国の不安定さについて、十分思い知ったと思います。それから、おおかたの人が勘違いしていますが、中国への輸出が日本のGDPに占める割合は、0.7%(08)(利益ベース、対中国直接・間接投資などは含めていません)、に過ぎません。日本と中国が国交を断絶した場合、日本はさほど影響がありませんが、中国は壊滅状態となります。認知症のマスコミの皆さんは、逆をいいたいんでしょうね。
ただし、財界のごく一部の企業はこれが将来伸びていくことを期待しているわけです。しかし、今回の尖閣問題で明らかになったように、中国の体制が不安定なため、どうなるかはわかりません。それよりも、もっと確かなことに将来をかけるのが常識というものではないでしょうか?このようなこと、報道しないマスコミは、異常です。いいですか、日本のご機嫌をそこねると、破綻するのは中国です。逆ではありませんよ!!
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