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2024年3月19日火曜日

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない―【私の論評】中国経済減速で外資流入減 急速に発展する東南アジアに投資機会

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない

まとめ
  • 西側諸国と中国との経済的結びつきが急速に弱まっている。中国からの輸出が主要国で大幅減少している。
  • 中国への外国からの投資や人的交流が大きく減少し、新規投資がなくなっている。
  • 金融機関は中国よりも東南アジア市場にシフトしており、中国経済の勢いの低下を示している。
  • 中国の公式発表データは信用できず、実態は内外から極めて深刻な経済危機に瀕していると考えられる。
  • 中国経済の世界経済におけるプレゼンスは今後さらに低下していく見通しである。

 西側諸国と中国との経済的な結びつきが、想像以上の速さで弱まっている。中国からの輸出は全体で4.6%減少したが、アメリカ、EU、日本などの主要西側国に対する輸出は10%前後も落ち込んでいる。台湾、フィリピン、カナダ、ニュージーランドなど中進国向けの輸出も大幅に減少した。対照的にロシアへの輸出は46.9%も増加しているが、これはウクライナ侵攻で西側の制裁を受けたロシアが中国に依存せざるを得なくなったためだ。

 外国から中国への直接投資額も2022年第1四半期の10億ドル超の資金流入から、2023年第3四半期には1億ドル超の資金流出に転じた。2023年通年でも前年比82%減少している。中国専門のプライベートエクイティファンドへの新規組入れ額も97%減少するなど、人やカネの流れが激減している。

 このトレンドは一時的なものではなく、今後も中国経済の世界経済におけるプレゼンスが年々低下していくと見込まれる。ゴールドマン・サックスの責任者は中国への投資を避ける考えを示し、不動産開発、インフラ開発、輸出というこれまでの成長の3本柱が弱体化して10年は苦戦が続くと指摘した。中国のGDP統計の信頼性にも疑問を呈している。

 実際、東南アジア市場から得られる収益が中国市場を上回るなど、金融機関は中国よりも東南アジアにシフトしつつある。中国の不動産バブル崩壊や地方財政の破綻など国内問題に加え、習近平政権による外資規制強化で、世界経済からの中国の切り離しが加速している。

 中国政府の発表データは信用できず、民間企業は既に自主的に中国離れを進めている。内外から極めて深刻な危機にさらされている中国経済の実態を認識する必要がある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】中国経済減速で外資流入減 急速に発展する東南アジアに投資機会

まとめ
  • 外国からの中国への直接投資が大幅に減少している一方、東南アジアへの投資は増加傾向にある。
  • 日本からも中国への直接投資は減少基調だが、東南アジアへの投資は増加している。
  • 中国経済の減速や米中対立が、中国への投資を手控える要因となっている可能性がある。
  • 今後、デジタル関連や成長を支えるインフラ分野などへの東南アジア向け投資が有望視されている。
  • 一方、中国に対しては投資を抑制する要因が継続すると見られ、投資額は当面横ばい或いは減少が予想される。

外国から、中国へと東南アジアの直接投資の推移を一覧表にまとめました。以下がその表です。
外国から中国への直接投資
外国から東南アジアへの直接投資
直接投資額(億米ドル)前年比増減率直接投資額(億米ドル)前年比増減率
2010106.115.70%201070.118.50%
2011124.317.10%201193.233.00%
2012127.72.70%2012117.225.70%
2013123.5-3.30%2013128.59.60%
2014128.54.00%2014134.24.40%
2015135.65.50%2015132.4-1.30%
2016128.9-4.90%2016117.5-11.20%
2017126.3-2.00%2017129.510.20%
20181357.00%2018139.27.50%
2019140.44.00%2019146.35.10%
202092-34.50%2020107.8-26.30%
2021115.926.00%2021133.724.10%
2022179.154.40%2022167.225.10%
2023330-81.70%20231722.90%

参考情報

中国国家外貨管理局 https://www.safe.gov.cn/big5/
ジェトロ https://www.jetro.go.jp/
ASEAN Secretariat https://www.asean.org

こうして、一覧表にまとめてみると、確かに、外国からの中国への直接投資の激減ぶりは、衝撃的です。

以下に日本から東南アジアと中国への直接投資の推移を一覧表にまとめたものを掲載します。

日本から東南アジアへの直接投資
日本から中国への直接投資
直接投資額(億米ドル)前年比増減率直接投資額(億米ドル)前年比増減率
201013.216.50%20107.110.20%
201116.424.20%20119.229.60%
201219.317.70%201210.716.30%
201318.2-5.70%201310-6.50%
201418.1-0.50%201410.55.00%
201517-6.10%20159.8-6.70%
201615.4-9.40%20168.7-11.20%
201717.111.00%20179.36.90%
201818.910.50%201810.512.90%
201920.79.50%201911.26.70%
202013.4-35.30%20205.9-47.30%
202116.825.40%20217.832.20%
202220.421.50%202211.446.20%
202320.82.00%20239.8-14.00%

参考情報

2023年、日本から東南アジアへの直接投資は2年連続で増加した一方、中国への投資は2年ぶりに減少しました。中国経済の減速や米中対立の影響が中国への投資を手控える要因となっている可能性があります。

今後の見通しとして、特に若年人口が多く経済成長が見込まれるインドネシア、ベトナム、フィリピンなどへの投資機会が有望視されています。デジタル化の進展や成長を支えるインフラ需要が、主な投資先分野となると考えられます。

一方、中国に対しては成長鈍化や対米関係の緊張など投資を抑制する要因が継続すると見られ、当面は投資額が横ばいまたは減少基調が続くと予想されます。

つまり、日本企業の海外直接投資の重心が、リスクの高まる中国から有望な東南アジア市場にシフトする動きが今後も加速していくと考えられます。

いまのままだと、過去にこのブログでも述べたように、中国は図体が大きいだけの凡庸なアジアの独裁国家になってしまうのではないでしようか。

中国が今後、そうなるかどうかは、いくつかの要因次第だと思われます。

一つ目は、経済発展の行方です。確かに現在は減速が見られますが、中国経済の潜在力は大きく、適切な改革ができれば再び成長軌道に乗る可能性があります。しかし、そうならなければ、単なる人口の多い発展途上国にとどまる可能性があります。

二つ目は、政治体制の行方です。現在の一党独裁体制が長期化すれば、先進国入りは難しくなります。しかし、将来的に開放的で自由な社会への移行ができれば、先進国の仲間入りも夢ではありません。

三つ目は、イノベーション力の行方です。中国はAI、5G、量子コンピューティングなど先端技術の研究開発に力を入れています。この分野で高い成果を上げられれば、単なる製造大国から脱却できるかもしれません。

つまり、経済改革、政治改革、技術革新の三つの課題をどう乗り越えられるかにかかっているといえます。

デカップリング AI生成画像

習近平体制が長期化すれば、中国が凡庸な独裁国家に陥る可能性が高くなると考えられます。その根拠は以下の通りです。

経済改革の停滞 
習近平政権は国営企業の改革を遅らせ、国家資本主義的な方針を強めています。民間企業への締め付けも強まっており、経済の活力が阻害されかねません。経済と政治を分離するなどの、経済改革が停滞すれば、中国経済の高度化は難しくなります。
政治的自由の後退 
習政権は言論・報道の自由を弾圧し、反体制派への監視・拘束を強化しています。さらに権力の一極集中が進んでいます。これによる法治国家化の遅れによる政治的自由の後退は、創造性と革新性を阻害する要因となり得ます。
対外孤立の深刻化
人権問題や軍事的な威嚇的姿勢から、欧米諸国からの非難が高まっています。対外的な孤立が深刻化すれば、先端技術の取得や人材の確保が困難になり、イノベーション力が低下する恐れがあります。
民主化の遅れ
習政権は一党支配体制を維持し、権力の世代交代も遅れています。民主化に向けた改革が進まなければ、経済活性化や創造性の発揮が制限されかねません。
このように、習近平体制が続けば、経済改革の停滞、政治的自由の後退、対外孤立、民主化の遅れなどから、中国が凡庸な独裁国家に陥るリスクが高まると考えられます。

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まとめ
  • インドは価格競争力や豊富な労働力を生かし、航空機製造や電気自動車など多岐にわたる産業で成長し、輸出製造大国として急速に浮上している。
  • 多くの企業がインドに進出し、米ボーイングやテスラなどが調達を増やす中、アップルはインドで製造拠点を拡大している。
  • インドの輸出品は特に電子製品が躍進し、アップルやヴェスタスなどが新たな生産拠点を設立。アップルは生産能力を拡大し、競合他社も同国に進出している。
  •  地政学的理由からも、多くの企業が中国以外での供給源を模索し、インドが「チャイナプラスワン」戦略の一環として注目を集めている。
  • インドは米国のインド太平洋経済枠組みで重要な位置を占め、対米輸出が急増。政府は経済的な要因や労働力の活用を通じて製造業を支援し、2030年までに2兆ドルの輸出を目指している。

インドの縫製工場

  インドは、価格競争力や豊富な労働力を活かし、様々な産業で成長し、将来の輸出製造大国として急速に台頭している。ボストン・コンサルティング・グループによる報告書によれば、航空機製造分野や風力発電機、電気自動車など、多くの企業がインドに進出している。輸出品では電子製品が特に増加し、アップルなど大手企業が生産拠点を拡大している。地政学的理由からも、中国以外の供給網を築く「チャイナプラスワン」戦略の一環として、多くの企業がインドに拠点を置く傾向がある。

 また、インドは米国のインド太平洋経済枠組みの中で重要な位置を占め、昨年上半期には最大の貿易相手国となった。これは、中国を除外し、他の信頼性のある供給国からの調達を促すための枠組みである。インドの対米輸出は急速に拡大し、自動車部品、機械、半導体などが大きく伸びている。中国の対米輸出はこれらの分野で減少しており、多くの企業が中国以外での供給源を模索している。

 インド政府は経済的な要因や労働力の多さを活かし、製造業の成長を促進している。生産連動型奨励策や資本優遇措置を通じて、企業に補助金を提供している。また、労働力の能力向上にも取り組んでおり、電子機器の生産を強化している一方で、課題も抱えている。技術製品の多様化や生産品質の向上が求められており、これらの課題を克服するためには生産能力を拡大し、近隣諸国との連携を強化する必要がある。「メイク・イン・南アジア」政策を通じて、2030年までに輸出額を2兆ドルに引き上げるという政府の目標達成に向けた動きが期待されている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は元記事をご覧になってください。


【私の論評】中国輸出失速、インド急成長で新時代 - 日印連携で自由なインド太平洋実現へ

まとめ

  • 中国の輸出入は2023年ともにマイナス成長となり、特に輸出では大幅なマイナス(-6.1%)となった。
  • 一方、インドの輸出は過去から堅調に伸びており、2023年も7.4%のプラス成長を記録した。
  • 中国への経済制裁国向けの輸出がマイナスだったのに対し、非制裁国のロシア、アフリカ向けは増加した。
  • インドの輸出額は中国の約10分の1と伸び代が大きく、日本にとって重要な輸出先となりうる。
  • 日本は価値観を共有するインドとの安全保障、経済、人的交流分野での協力を一層深めていく方針。

以下に中国とインドの輸出を比較する表を掲載します。

インドと中国の輸出推移比較表(1999年~2023年12月)

データ: 世界貿易機関 (WTO) 貿易統計、中国税関

単位: 10億米ドル

インド中国前年比(インド)前年比(中国)
199943.5194.9--
200044.8249.43.00%28.10%
200584.4438.488.60%76.00%
2010246.31,578.10190.10%260.40%
2015310.42,271.2026.50%44.20%
2020297.82,594.50-4.10%14.30%
2021336.13,364.6012.80%29.80%
2022422.23,955.8025.60%17.60%
2023453.33,716.407.40%-6.10%

WTO: https://wto.org/statistics

この表をみると、中国、インドともに過去にはかなり輸出を伸ばしてきたことがわかります。昨年に関しては、インドはプラス幅は過去よりは、小さめであるものの、プラス成長しています。中国は-6.1%です。

これに関しては、ブルームバーグなどの1月の報道では、-4.6%などとしていましたが、当時は12月の数値が未定だったため、推計値と思われます。それにしても、-61%とは驚きです。なぜ日本でこれがもっと大々的に報道されないのか不思議です。

以下に1月に公表された、中国の貿易統計の一部を掲載します。輸出は-4.6%となっていますが、大勢には影響がないと思うので、掲載します。

2023年中国貿易統計(一部抜粋集計)

項目前年比金額 (ドル)
輸出-4.60%3兆3800億
輸入-5.50%2兆5568億
貿易総額-3.70%5兆9368億
地域別輸出
- ロシア+26.3%2401億
- EU-10.20%1兆1800億
- 米国-13.10%9400億
- 日本-8.40%1兆1200億
- アフリカ諸国+5.7%1550億

 出処:中国税関総署:http://gdfs.customs.gov.cn/customs/syx/index.html

特徴的なのは、輸出、輸入ともマイナスということです。輸入がマイナスなのは、中国の景気が良くないことをしめます。通常、景気が良いと、輸入は増加します。

輸出で特徴的なのは、日本を含めた先進諸国は、のきなみマイナスであり、ロシア、アフリカ はプラスになっているということです。これは、中国に対して経済制裁している国々が輸入を減らしたからでしょう。中国に対して経済制裁をしていないロシア、アフリカの輸出が増えたということです。ロシアとアフリカの輸出が増えたにしても、これから急激に伸びることはなく、中国の輸出はこれから先細っていくことでしょう。

これをみると制裁を受けていないインドは、これからさらに輸出を伸ばしていける余地があるといえます。さらに、輸出額で223年時点では、10分の1 よりもまだ若干少ない程度です。これは、まだまだ伸びしろがあることを示しています。

そうして、中国依存を避け、輸入先などを転換すべき日本は、インドからの輸入を増やすことは経済安保の観点からも望ましいです。また、インドへの輸出拡大は、日本経済にとって大きなチャンスです。日本政府と民間企業が一体となって取り組むことで、課題を克服し、インド市場で成功することができるでしょう。

そうしてインドへの輸出拡大は、日本経済にとって大きなチャンスです。日本政府と民間企業が一体となって取り組むことで、課題を克服し、インド市場で成功することができるでしょう。

また、日本は、安全保障環境の変化に対応するため、インドとの関係を深めることが重要です。両国は、共通の価値観と戦略的利益を共有しており、安全保障分野での協力は、自由で開かれたインド太平洋地域を維持するために不可欠です。

上川外務大臣は7日今月訪日中のインドのジャイシャンカル外相と会談を行い、以下の点で一致しました。
  • 「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて日印の連携を強化する。
  • 安全保障、経済、人的交流など幅広い分野で両国関係を深化させる。
  • 具体的には、自衛隊とインド軍の共同訓練の実施、日本の防衛装備品の移転推進、宇宙・サイバー分野での協力拡大を図る。
両国は民主主義や法の支配など基本的価値を共有し、新興国の代表格であるインドとの関係を日本は重視していることを確認しました。



もう次世代は、中国ではなくインドです。未だ中国幻想に酔っている人たちは、もう時代おくれです。

そうして、インドと日本の関係に先鞭をつけたのが安倍総理です。岸田首相はこの路線を継承し、インドとの関係をさらに深めていただきたいものです。

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