2020年11月27日金曜日

中国の挑戦に超党派で立ち向かう米国―【私の論評】中国共産党の敵は共和党であって、民主党ではない(゚д゚)!

中国の挑戦に超党派で立ち向かう米国

岡崎研究所

 11月9日付のフォーリン・ポリシーで、新アメリカ安全保障センターのジョーダン・シュナイダーとコビー・ゴールドバーグが、米国は新大統領の下、中国に対する政策に関しては、民主、共和両党が協力して励むであろう、と論じている。



 シュナイダー他の論説は、米国では民主、共和両党の対立が激しくなるだろうが、ことさら中国に関しては一致するであろう、特に中国の挑戦に対し、研究開発の推進でそうであろうと述べている。

 米国は、歴史的に、挑戦されると底力を発揮する。

 1957年10月にソ連が世界初の人工衛星、スプートニク1号の打ち上げに成功すると、後れを取った米国は、まず1958年に人工衛星エクスプローラー1号を打ち上げたのち、1961年から1972年にかけてアポロ計画を実施し、1969年7月にアポロ11号が初めて月面に着陸した。その後、合計6回の月面着陸に成功し、宇宙開発でソ連を大きく引き離した。

 1980年代、米国の産業の競争力は日本の追い上げにあって弱まり、テレビなどの民生用電子機器、工作機械、半導体、半導体製造装置などで日本に後れを取った。米国の産業界、学界のリーダーなどが組織した「競争力評議会」が1987年に「アメリカ競争力の危機」と題するリポートを発表した。その中では、米国経済が日本から受けている挑戦がいかに厳しいものであるかを述べている。

 その後の推移は周知の事実である。日本でバブルがはじけたということもあったが、米国は、マイクロソフトを始めデジタル技術を中心に技術革新を図り、1990年代以降世界をリードする技術大国に復活した。

 現在、米国が中国から産業技術面でも挑戦を受けていることは間違いない。特に「中国製造2025」には危機感を持ったようである。米国は「中国製造2025」に関して、中国政府が介入しすぎていると批判しているが、先端技術で中国が本気で米国に追いつき追い越そうとしているとの危機感を持ったのは疑いない。

 そこで、シュナイダー他の論説にあるように、超党派で研究開発に大量の資金をつぎ込む努力をしている。これまでの例から察すると、今回も中国の挑戦に対し、米国が本気で立ち向かおうとしているので、底力を発揮する可能性が高いと思われる。

 研究開発以外でも、中国問題で民主、共和両党が協力できるだろうという分野が人権と国際機関への関与である。論説でも指摘されているように、新疆ウイグルや香港で人権弾圧にあっている人々への特別なビザ計画に関する法案が、民主党議員からも共和党議員からも提出されている。国際機関への関与はもともと民主党の得意とする政策だが、共和党スタッフが述べるように、中国は国連の専門機関のトップに積極的に中国人を送ってきている。それに西側諸国も対応しなければならないとの認識が米国内にあるようである。

【私の論評】中国共産党の敵は共和党であって、民主党ではない(゚д゚)!

これから、トランプ氏が大統領に再選されるのか、あるいはバイデンになるのか、まだはっきりしませんが、いずれになったにしても、米国は上の記事のように超党派で中国と対峙するのでしょうか。

8月10日、傲慢な表情とふて腐れた歩き方で、中国共産党を体現しているかのうような趙立堅報道官が、トランプ政権が香港政庁トップら11人に制裁を科したことへの対抗措置として「香港問題で言語道断な振る舞いをした」11人の米国人を制裁対象にしたと発表しました。

ちなみに、趙立堅の娘は米国の大学に入学しており、中国国内では「本当は米国が好きなのに、仕事だから反米をしているだけのか」と揶揄されているそうです。

趙立堅報道官

ただし、制裁とはいっても、中国による制裁は形ばかりのもので、意味をなさないのは明らかです。

なにしろ、中国国内の銀行等に大金を預ける米国人はいないですし、ドルは世界の基軸通貨であり、ドルがないといずれの国も貿易ができないというのが実情であり、その他あげるときりがないくらい、中国よりも米国は有利な点があり米国の対中国制裁は、中国人にとってかなりの脅威ですが、中国による米国人への制裁はあまり意味を持ちません。

中国に入国できなくても、大方の米国人にとっては、さほどの不都合はありません。別に中国にいかなくても、美味しい中華料理が食べられます。そのため、中国の米国人に対する制裁など実質的に意味を持たないのですが、ただ「香港問題で言語道断な振る舞いをした」11人の米国人の顔ぶれが面白いです。

11人の内訳は議員6人と国際人権団体の代表者5人です。この議員の顔ぶれが興味深いのです。列挙すれば、マルコ・ルビオ(1971年生)、テッド・クルーズ(1970年生)、トム・コットン(1977年生)、ジョシュ・ホーリー(1979年生)、パット・トゥーミー(1961年生)各上院議員とクリス・スミス下院議員(1953年生)。何と全員が共和党所属で、民主党は1人も入っていないのです。

マルコ・ルビオ上院議員

これは、香港問題に関する制裁対象者の名簿ですから、香港問題以上に枠を広げれば、もちろん民主党の議員の中にも対中国強硬派存在します。

ただし、これに先立つ7月には、トランプ政権が、新疆ウイグル自治区の中共幹部4人に制裁を科したことへの報復として、中共側も4人の米国政治家を入国禁止としました。列挙すれば、常連のルビオ、クルーズ、スミスに、政府の一員であるサム・ブラウンバック「国際宗教の自由」大使(1956年生。元上院議員、元カンザス州知事)。これもやはり全員共和党です。

この1年間に米国で成立した香港、ウイグルに関する対中制裁法案はいずれもルビオとクルーズが主導しました。無論、法案を提出するときには、民主党の議員も名を連ねてはいました。これは、議会で超党派で法律を成立させるための、手立てであると考えられます。主導したのは、共和党です。

またリストには名前がなく本人は心外かもしれませんが、中国スパイの摘発強化を議会で主導してきたロブ・ポートマン上院議員(1955年生。上院国土安全捜査小委員長)もやはり共和党です。

私自信は、twitterなどのSNSで野党の大物議員から、特に直接批判したこともないにもかかわらず、ブロックされているのを発見すると、何やら誇らしく嬉しい気持ちになり周囲に吹聴したりすることもありますが、米国議員も中国から制裁というと、実害もないので、これに近いような気持ちになるのではないかと思います。

ちなみに、ブラウンバックは、最も早い段階から日本人拉致問題に尽力してくれた上院議員(当時)で、スミスも、横田早紀江さんが下院外交委員会で証言した時の共同議長でしたた。人権に関する彼らの姿勢は一貫しています。

サム・ブラウンバック

トランプ氏は、大統領権限を拡大解釈して中国に関税戦争を仕掛け、台湾との関係も加速度的に強化してきました。米国の対中強硬姿勢は、共和党政権であれ民主党政権であれ変わらないと言う評論家が少なくないのですが、その楽観の根拠を示してほしいところです。中共は、ホワイトハウス、議会とも民主党が押さえることを切望しているはずです。

トランプ氏は、安全保障や人権にはさほど関心が強い方ではないです。しかし経済取引の分野については歴代大統領中、知識、経験とも自分がナンバーワンという強い自負を持っているでしょう。その分野で中共にコケにされることは絶対に許せません。

独裁体制である以上、習近平が一言命じれば、知財窃盗、テクノロジーの強制移転など数々の不正を明日にも根絶できるはずで、それをしないのは自分をコケにしているからだ、というのがトランプ氏の、今や確信と化した解釈のようです。中共が不当行為をやめない限り、トランプは対中締め付けに邁進するでしょう。

バイデン氏には、中国に関してそのような強い意識はありません。安全保障、人権、経済すべてにおいて一応立派な演説はするのですが、決断力、実行力が伴わない政治人生を送ってきました。オバマも、副大統領バイデンの優柔不断に辟易し、何ら重要な役割を与えませんでした。

バイデン氏はある批評家の「ジュージュー焼き音は聞こえるが、ステーキが出てこない」というバイデン評を、バイデン自身、至言として回顧録で引用しています。本人は、今はその弱点を克服し、ステーキを出せると言いたいのかもしれませんが、逆に認知症の進行が取りざたされる中、焼き音すらかすれがちになってきています。

バイデンが副大統領候補に指名したカマラ・ハリス上院議員も、対中制裁法や非難決議に関して、議会で何ら積極的役割を果たしていません。検事出身ですが、著書(2019年)で自らの最大業績と誇るのはLGBTQ(性的マイノリティ)の権利拡大に尽力したことで、国際問題に関しての成果といえるものは記述自体が何もありません。

というより、地球温暖化こそ人類にとっての最大脅威で、それへの対処が最大の国際問題と主張する民主党議員の1人です。この立場からは、中共は「敵」ではなく、同じ目標に向かって協力し合うべきパートナーという位置づけになります。

中国対策で民主党の代表格となった元通信会社幹部のマーク・ワーナー上院議員(民主党、ヴァージニア州選出)は昨年のスピーチで、5G技術、人工知能(AI)、量子コンピューティングなどの分野において、中国の技術規格の国際標準化を目指す中国の計画は「世界支配」を目指す計画の一環だと警告していますが、彼も民主党内では影が薄いです。ルビオ議員のように島内を主導する立場ではありません。

冷戦期にはスクープ・ジャクソン上院議員のような指導的な対ソ強硬派が民主党にもいましたが、現在、一貫性と行動力を伴った対中強硬派は共和党に偏っています。年齢的にも、40代前半(コットン、ホーリー)から60代後半(スミス)まで幅広く、層が厚いです。

日本としては、米国議会は共和党が主流になったほうが良いです。

日本の自民党にも米共和党を見習ってほしいところですが、現状は民主党に近いのではないでしょうか。ルビオ、クルーズは50歳になるかならないかの年齢で、すでに主導的地位を確立しています。自民党の若手の奮起を強く促したいところです。

中国側からすると、中国の敵はやはり共和党なのです。民主党は地球温暖化で協力できるパートナーなのです。中間選挙では、米国共和党が勝って、主流派になっていただきたいものです。


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2020年11月26日木曜日

国産潜水艦の建造がスタート、「国防自主」への強い決意示す―【私の論評】台湾潜水艦建造でますます遠のく、中国の第一列島線確保(゚д゚)!

 国産潜水艦の建造がスタート、「国防自主」への強い決意示す

 蔡英文総統は24日午前、台湾南部・高雄市で行われた国産潜水艦の起工式に出席した。蔡総統は、
 起工式は主権を守るという台湾の強い意志を世界に示すものだと述べた。(総統府)

蔡英文総統は24日午前、台湾南部・高雄市にある台船公司を訪れ、国産潜水艦の起工式に出席した。蔡総統は「今日の起工式は3つの重要な意義を持つ。1つ目は事実に反するデマを粉砕すること、2つ目は『国防自主』にかける政府の強い決意を示すこと、3つ目は台湾の主権を守る強い意志を世界に示すことだ」と述べた。蔡総統はまた、国産潜水艦の建造は美しい実を結び、国防に新たな力を添えることになるだろうと語った。蔡総統の祝辞概要は以下のとおり。

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本日は潜水艦の国産プロジェクトにとって非常に重要な日だ。過去4年余り、我々は潜水艦の国産化を決め、予算を組み、契約を結び、設計図を引き、潜水艦を建造するための造船所を作って準備を進めてきた。どの段階も、我々が「国防自主」の実践を目指す歴史におけるマイルストーンとなるものだ。

本日の起工式は3つの重要な意義を持つ。第一は、起工によって事実に反するデマを粉砕することだ。これまで我々は、多くの疑いの眼や批判にさらされてきた。本日に至ってもなお、潜水艦の国産化など到底不可能だと疑う人がいる。本日の起工式は、我々の実績を証明し、デマを粉砕するためのスタートとなるだろう。

第二は、起工によって「国防自主」にかける政府の強い決意を示すことだ。平和は国防によって得られる。着実な国防には、勇敢な国軍だけでなく、しっかりとした軍備が必要だ。近年、沱江級コルベットの量産を加速し、新型高等ジェット練習機「勇鷹(英語名:Blue Magpie)」の初飛行に成功した。それから本日の国産潜水艦の起工に至るまで、いずれも「国防自主」のエネルギーが日に日に強化されていることを国民に示している。

第三は、起工によって台湾の主権を守る強い意志を世界に示すことだ。潜水艦は海軍が非対称戦力を向上させ、台湾本島の周辺海域に出没する敵艦を威嚇するための重要な装備となる。これまで多くの人は、口先ばかりで行動が伴っていないと思ったことだろう。これからは国産潜水艦の建造から編隊まで、台湾の主権を守るという我々の強い意志を世界に示すことになるだろう。

国産潜水艦の建造が正式に始動する。国防部、国家中山科学研究院、台船公司に対しては、緊密な意思疎通を図り、慎重且つ厳粛な態度で最上のリスク管理を行い、国産潜水艦を予定通り完成させるようお願いしたい。

【私の論評】台湾潜水艦建造でますます遠のく、中国の第一列島線確保(゚д゚)!

台湾の潜水艦建造は民間造船大手の台湾国際造船が手掛けます。ディーゼルエンジンを使った通常動力型の潜水艦となります。米国製の戦闘システムなども導入される見込みです。1隻目の建造には、25年までに493億台湾ドル(約1800億円)の予算を充てました。

設計・デザインは、日本の海上自衛隊の主力潜水艦で、世界有数の高性能ディーゼル潜水艦「そうりゅう型」などを参考にしているともされます。

ただ、建造の難易度は非常に高いです。台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長は「6割は台湾の技術、4割は欧米などの技術輸入に頼ることになる。完成形としては、標準的な潜水艦よりも上のレベルのものになる」と指摘しました。

台湾は現在4隻の潜水艦を有します。しかし、旧式のため早急な更新が課題でした。新鋭の潜水艦を持てば、海洋進出を強める中国に大きなけん制となるため、米国などに潜水艦の売却を求めてきました。

米国はブッシュ政権(第43代)時代の01年に台湾への潜水艦の売却方針を固めました。しかし、最終的には中国の激しい反発などが考慮され実現しませんでした。

しびれを切らした台湾の海軍の強い要望で、馬英九前政権時代に初めて自前による潜水艦(IDS)建造計画が浮上しました。ただ、対中融和路線を敷く馬政権では結局、前進しませんでした。16年に総統に就いた蔡英文・民進党政権下でIDS計画が加速。ようやく今回、着工にこぎつけた経緯があります。中国は以前から計画に激しく反発しています。

台湾が潜水艦自主建造を始めたのは、本当に素晴らしいと思います。この決断は、コストパフォーマンからいっても、軍事戦略・戦術的にいっても本当に優れたものです。

しかし、残念ながら、日本の報道などはこの優れた面を報道しているものは皆無といって良い状況なので、本日このブログに掲載しました。

なぜ台湾が今回潜水艦を自主建造することが優れた判断であるかといえば、まずは、現在の海戦が、最初に日本が第2次世界大戦中に本格的に運用をはじめた、空母打撃群を中心としたものでは、時代遅れになりつつあるということがあります。

世界初の正規空母日本の「鳳翔」

中国ロケット軍が今年の8月に、対艦弾道ミサイル2発を南シナ海に撃ち込んでから10週間ほど経過した11月上旬、『超限戦』の共著者として高名な王湘穂・北京航空航天大学教授(『超限戦』執筆時は中国人民解放軍空軍大校=上級大佐)が、8月26日に実施したDF-21DとDF-26Bの試射は、内陸から西沙諸島南方海洋にミサイルを撃ち込んだのではなく、当該海域を航行していた標的船に命中させた画期的なステップであったことを明らかにしています。

これが本当だとすれば、過去半世紀にわたって米海軍が世界中の海に睨みを効かせてきた際の主戦力であり、米海軍だけでなく米軍の強大さのシンボルであり続けてきた超大型航空母艦(スーパー・キャリアー)に、強力な脅威が名実ともに出現したことになります。96年の台湾海峡危機の際のように、アメリカ軍が数セットの空母打撃群を東シナ海や南シナ海に派遣するだけで中国軍を沈黙させてしまうことなど、もはや夢物語となってしまったようです。

ただし、このような脅威は以前から言われており、これに対して最近米軍は海洋戦術を変えたようです。それに伴い、海洋戦略も変えたか、変えつつあるものと思われます。これは、すぐではないにしても、いずれ公表されることになるでしょう。

空母打撃群は海洋戦の初戦では時代遅れの産物になりつつある

では、どのように戦術を変えたのか、そうしてその根拠は何なのかについて掲載します。これについては、すでにこのブログの読者ならご存知でしょうが、再度簡単に解説します。

まずは、海洋戦術をどのように変えたかといえば、従来は初戦で空母打撃群を派遣する戦術とそれに基づく戦略だったのを、初戦では潜水艦隊を派遣する戦術と戦略に変えたか、変えつつあるということです。

その根拠としては、先にもあげたように、米軍が南シナ海などの海洋戦に従来のように最初に空母打撃群を派遣するようなことをすれば、中国の格好の標的になり、すぐに撃沈されとしまうからです。

中国の軍事技術は進んでいるいるところもあるのですが、現状では歪です。特に対潜哨戒能力等の哨戒能力は米軍に比較して今でも格段に劣っています。そのため、中国は米国の原潜を発見するのは困難です。これに比較して、世界最高レベルの対潜哨戒能力を持つ米軍は、これまた静寂性には程遠い中国の潜水艦を発見するのは容易です。

この米軍の中国に対する優勢を考慮すれば、米軍は従来の初戦に空母打撃群を派遣するという海洋戦術をやめて、初戦は潜水艦隊により制圧する方式に転換するのは当然のことです。しかも、現在の潜水艦は、第2次世界大戦注の潜水艦とは違い、何ヶ月も水中に潜り続け、様々なミサイルや魚雷を装備し、その破壊力は空母に匹敵します。

そうして、これには根拠があります。米軍はすでに5月下旬に潜水艦の行動に関して公表しています。潜水艦の行動は、通常どの国も公表しないのでこれは異例ともいえます。

この潜水艦群の動きは太平洋艦隊司令部のあるハワイ州ホノルルの新聞が同司令部からの非公式な通告を受けて今年5月下旬にマスコミで報道されました。太平洋艦隊所属の潜水艦の少なくとも7隻が西太平洋に出動中であることが同司令部から明らかにされました。

その任務は「自由で開かれたインド太平洋」構想に沿っての「有事対応作戦」とされています。この構想の主眼は中国のインド太平洋での軍事膨張を抑えることだとされるため、今回の潜水艦出動も中国が覇権を目指す南シナ海や東シナ海での展開が主目的とみられます。

お花畑の日本のマスコミ等は、このニュースを見ても、字面通りに受け取るのでしょうが、私はそうは受け取りませんでした。

無論、当時空母でコロナが発生したという事情もからんでいるでしょう。空母打撃群が水兵のコロナ罹患で出動できない間隙をぬって中国が不穏な動きを見せないように牽制したものと思います。逆に、米軍は空母打撃群でなくても潜水艦隊があれば、中国の動きを牽制できると考えているともいえます。これは、明らかに米国の海洋戦術、戦略の転換を宣言したものと受け取れます。

そうして、日本は今年の3月に22隻目の最新鋭潜水艦「たいげい」が進水しています。22隻もの潜水艦を持つこと自体が、日本の海洋戦術が潜水艦隊主体であることを如実に示しています。日本の潜水艦は静寂性では世界一であり、中国に探知されずに、自由にあらゆる海域を自由に航行できます。こちらのほうが、空母などより余程戦力になります。

米軍としては、カールビンソン等が水兵のコロナ罹患で、相当の危機感を感じていたのでしょう。しかし、潜水艦隊を空母打撃群のかわり派遣することで、十分中国を牽制できると考えて、異例ともいえる公表に踏み切ったのでしょう。それにコロナ禍はいつまでつづくかも予測できなかったので、潜水艦隊で中国に十分対処できることで中国側を牽制したのでしょう。

現在、南シナ海、尖閣諸島付近には、通常の潜水艦配置に新たな7隻が加わり、複数の米国原潜が潜んでいるでしょう。原潜は、通常型潜水艦と比較するとどうしてもある程度の騒音が出るので、中国側もこれを発見できるチャンスはあります。しかし、要所要所に潜水艦を潜ませておき、中国側が不穏な動きをみせれば、水中から魚雷やミサイルで突然攻撃するという戦法をとれば、これは中国側には防ぎようがありません。

米国の最新の攻撃型原子力潜水艦「ミシシッピ(SSN-782)」

以上のようなことを考えると、今回台湾が空母などを建造するよりは、潜水艦を建造するほうがはるかにコストパフォーマンスが高いといえます。

台湾が1隻目の建造には、25年までに493億台湾ドル(約1800億円)の予算を計上するのですから、これは本気です。おそらく、少なくとも中国の対潜哨戒機などには発見されない潜水艦を製造するでしょう。

そうして、将来少なくと6隻くらい建造すれば、3隻の潜水艦を交代で常時台湾付近をパトロールできます。

そうなると中国にとっては脅威です。仮に中国が台湾に上陸したとしても、台湾の潜水艦が台湾を包囲してしまえば、近づく艦艇や輸送機が潜水艦に攻撃され、補給ができなくなります。それと台湾の陸上部隊が加われば、中国の上陸部隊は降伏するよりなくなります。

それに、台湾有事となれば、日米も加勢するでしょう。日本は、静寂性を活かして哨戒活動にあたり、米原潜は近づく中国の輸送艦艇や輸送機などを破壊するでしょう。

今回の台湾が潜水艦建造にとりかかったことは、本当に正鵠を射たものといえます。

中国としては、日米が潜水艦隊中心の海洋戦術・戦略に変更しつつあることと、台湾が潜水艦を建造することにより、第二列島線確保どころか、台湾・尖閣を含む第一列島線の確保すら、難しくなることを痛感させられたと思います。

それにしても、日本のマスコミは以上のようなことは、それこそ日米が公表しないと気づかないのでしょうか。もちろん中国の脅威を侮るようなことはすべきではないとは思いますが、それにしてもこのようなマスコミの態度は、いたずら中国の脅威を煽り、結果として中国を利することになっているのではと危惧しています。

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2020年11月25日水曜日

中国外相、あきれた暴言連発 共同記者会見で「日本の漁船が尖閣に侵入」 石平氏「ナメられている。王氏に即刻帰国促すべき」―【私の論評】王毅の傍若無人な暴言は、中共の「国内向け政治メッセージ」(゚д゚)!

 中国外相、あきれた暴言連発 共同記者会見で「日本の漁船が尖閣に侵入」 石平氏「ナメられている。王氏に即刻帰国促すべき」

王毅国務委員兼外相

 中国の王毅国務委員兼外相が、大暴言を連発した。24日の日中外相会談後、茂木敏充外相と行った共同記者会見で、沖縄県・尖閣諸島をめぐり、中国の領有権を一方的に主張したのだ。両外相は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて制限しているビジネス関係者の往来を11月中に再開することで合意したというが、菅義偉政権はこの暴言を放置するのか。

 茂木氏は記者発表で、「尖閣周辺海域に関する日本の立場を説明し、中国側の前向きな行動を強く求めた」と強調した。

 これに対し、王氏からは、次のような看過できない発言が飛び出した。

 「ここで1つの事実を紹介したい。この間、一部の真相が分かっていない日本の漁船が絶えなく釣魚島(=尖閣諸島の中国名)の周辺水域に入っている事態が発生している。中国側としてはやむを得ず非常的な反応をしなければならない。われわれの立場は明確で、引き続き自国の主権を守っていく。敏感な水域における事態を複雑化させる行動を避けるべきだ」

 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土である。

 1919(大正8)年冬、中国・福建省の漁船が尖閣沖で遭難して魚釣島に漂着した際、日本人住民は中国漁民を救護した。当時の中華民国駐長崎領事は翌20(同9)年5月に感謝状を贈ったが、そこには「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と記されている。

 中国が「領有権」について勝手な主張を始めたのは、国連の報告書で東シナ海に石油埋蔵の可能性が指摘された2年後の71(昭和46)年以降だ。

 中国海警局の公船は、今年だけで尖閣周辺を計300日以上も航行し、“領海侵犯”を繰り返している。先日、公船に武器使用を認める「海警法」案まで発表された。

 国家の基本である、領土・領海について許しがたい主張をされて、菅政権はなぜ怒らないのか。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「日本はナメられている。中国の人権問題をめぐって欧州各国から批判が集まり、日本は『日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)』を推進する立場でもある。中国は本来、習近平国家主席の『国賓』来日など、日本に頼みごとをする立場だ。にもかかわらず、王氏は日本の首都で尖閣の領有権を堂々と主張した。言語道断であり、王氏には即時帰国を促すべきだった」と痛烈に批判した。

【私の論評】王毅の傍若無人な暴言は、中共の「国内向け政治メッセージ」(゚д゚)!

日中外相の会見で、中国側に「事実として日本漁船が魚釣島の水域に入った。必要な対応を取らなければならない。我々の立場は明確だ。我々は自国の主権を守って行く」と言われ苦笑するだけというのはいただけないです。通訳にも「東海」と訳される始末です。ニタニタしてないで、その場で訂正すべきでした。そうして、その場で会見を蹴っても良かったと思います。

中共が初期対応を誤った事により世界中が感染症に苦しむ中、ウイグルの人権問題、香港の弾圧、南シナ海の領海既成事実化、そして尖閣諸島への公船侵入。日本政府として毅然とした態度で抗議すべきなのに、王毅外相の主張に対して反論もせず、握手の代わりに肘タッチの茂木大臣。

では、会談の成果そのものはどうだったのでしょうか。

日中双方は五つの重要な共通認識と六つの具体的な成果を達成した。王毅氏は会談後の合同記者会見で次のように述べました。

茂木外相と中日関係および共に関心を持つ国際・地域問題について率直かつ踏み込んだ意思疎通を行い、五つの重要な共通認識と六つの具体的な成果を達成しました。

双方は、両国指導者の戦略的指導に従い、中日間の四つの政治文書を踏まえ、「互いに協力パートナーとなり、互いに脅威とならない」との精神を堅持し、相互信頼を増進し、前向きな相互作用を図り、新時代の要請に合致する中日関係の構築に努力することで一致しました。

双方は、引き続き手を携えて新型コロナ感染症と闘い、速やかに情報を交換し、医療・薬品に関する協力を展開し、両国民の健康を守り、地域・国際公衆衛生分野の協力に共同で貢献することで一致しました。

双方は、両国の経済回復を協力して推進し、新たな中日ハイレベル経済対話を来年の適切な時期に開催し、科学技術イノベーション、省エネ・環境保護、医療・健康、電子商取引、第三者市場などの重点分野での協力を引き続き強化することで一致しました。

双方は、地域包括的経済連携協定(RCEP)の早期発効を共同で推進し、中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉と地域協力のプロセスを積極的に推進、ルールを基盤とする多角的貿易体制を共同で維持・強化することで一致しました。

双方は、東京五輪北京冬季五輪を互いに支持し、大会の成功に向け協力することで一致した。また中日ハイレベル人文(人的・文化的)交流協議メカニズムの会議を適時に開催し、感染症終息後に二国間の人的往来を全面的に再開、地方の交流・協力を拡大し、両国民の相互理解と友好を増進、両国関係の民意をめぐる環境を改善することで合意しました。

双方は次のように決定しました。

 1、厳格な感染症予防・抑制措置を前提に、両国が必要とする人的往来の「優先レーン」を今月中に始動し、操業再開・生産回復に向けた両国の協力をさらに促進する。

 2、中日食品・農水産物協力の部門横断協議メカニズムを構築し、意思疎通と協調を加速、この分野での協力が早期に成果を収めるよう推進する。

 3、両国の気候変動に関する政策協議メカニズムを構築し、気候変動・環境保護政策の協調と実務協力を推進する。

 4、2022年の中日国交正常化50周年記念行事の準備作業を開始するとともに、今年と来年に予定されていた「中日文化スポーツ交流促進年」を来年と再来年に延期することを積極的に検討する。

 5、新たな中日海洋事務ハイレベル協議を来月に行い、両国の外交主管機関と海上法執行機関の意思疎通と交流を強化する。

 6、両国防衛機関の海空連絡メカニズムの直通電話の年内開通を図り、リスク管理をさらに強化し、安全保障での相互信頼を増進する。

王毅氏はまた次のように強調しました。新たな情勢の下で、中国は日本と共に、より広大な視野、より効果的な行動、より幅広い分野で、共に責任を引き受け、協力を積極的に推進し、中日関係が両国民と国際社会によりよく利益をもたらすようにしたい。

当たり障りない内容で、こんな話などしないで、すぐに会見をやめるべきだったと思います。

一方、松井一郎市長が「習近平主席の国賓来日あり得ない」と、夕刊フジのコラム(下写真)で明言しました。菅首相ともつながりの強い松井さんのこの一文は、中国・王毅外相への茂木外相の対応に多くの国民が不満を抱くタイミングで、意義深い一文となりました。党代表は吉村府知事に代わるが、今後の維新のありようにも影響するでしょう。


先日もこのブログに掲載した、米国の大手世論調査専門機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が10月6日に発表した世界規模の世論調査報告によると、多くの先進国における反中感情は近年ますます強まり、この1年で歴代最悪を記録しました。

同調査によると、反中感情を持つ14か国とその割合は、高い順番から日本(86%)、スウェーデン(85%)、豪州(81%)、デンマーク・韓国(75%)、英国(74%)、米国・カナダ・オランダ(73%)、ドイツ・ベルギー(71%)、フランス(70%)、スペイン(63%)、イタリア(62%)となっている。また、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、イタリア、韓国、豪州、カナダの9か国の反中感情は、同機関が調査を始めてからの15年間で、過去最悪となった。


それにしても、王毅の傍若無人な発言は何を意味しているのでしょうか。このブロクでは、先日制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席は「能動的な戦争立案」に言及したことを掲載しました。

許其亮・中央軍事委員会副主席

これに関して、多くのメディアは中国で先月下旬に開かれた重要会議を受け、中国軍が「戦争準備」の動きを強めているとしていますが、これについて、私はこれは「国内向けの政治メッセージ」であると結論づけました。

それと同じような背景で、王毅も「国内向けの政治メッセージ」として、暴言を吐いたものと思われます。

このブログに何度か掲載したように、中国海軍や民兵が、尖閣に上陸したとしても、尖閣を維持することはできません。

なぜなら、静寂性に優れたどころか、最近の最新鋭艦では無音とも言っても良いくらいの、日本の潜水艦隊が尖閣を包囲してしまえば、中国軍の哨戒能力は日米に比較して極度に劣っているためにこれを探知できないからです。空母があろうが、超音速ミサイルがあろうが、宇宙兵器があろうが、三戦に秀でていようが、発見できない敵に対して、中国軍は何もできません。

中国軍や民兵が尖閣諸島に上陸したとしても、日本の潜水艦に包囲されてしまえば、補給船撃沈されるか、それを恐れて尖閣諸島に近づけず補給ができなくなりお手上げになります。

かといって、輸送機やそれを護衛する艦艇・潜水艦、戦闘機などを尖閣に派遣すれば、中国の潜水艦を日本側は世界トップレベルの哨戒能力ですぐに発見できるため日本の潜水艦隊等の格好の標的になるだけであり、郵送機や艦艇も日本の自衛隊の格好の標的になるだけです。

かといって、中短距離核兵器などを用いれば、日本の世論一気に悪化して、日本も核武装の検討をはじめるし、憲法改正もして、中国にとっては大きな脅威になるでしょう。だから、中短距離核兵器などは用いることはできません。

そのことを中国側は、熟知しているでしょう。結局尖閣を一時的に上陸はできても、確保することはできないのです。その証左として、中国海軍のロードマップによれば、今年2020年には第二列島線を確保することになっていますが、それどころか、尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できていないのです。

王毅や中国のタカ派がよく見せる過激な発言は、必ずしも国際情勢に合わず、時には中国の利益にも反するものですが、ただその主要目的は国内宣伝にあるのです。

政権の対外強硬姿勢を見せなければ、怒りを沸騰させる愛国ネットユーザー等や権力闘争には対処できないのです。そしてそうした憤怒のマグマを、特に習近平政権には向けたくないのです。

以前中国は自分の都合て動く国だということをこのブログにも掲載したことがあります。このような中国は日中外相会談すら、中共の「国内向け政治メッセージ」を発信する場にするということも珍しくないてす。

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2020年11月24日火曜日

韓国自動車産業炎上! 「米GM撤退」示唆、EV電池出火「LG」「サムスン」製リコール騒動 ウォン高進行で輸出急減速も―【私の論評】日本が締結する貿易協定にも、翻弄され続ける韓国(゚д゚)!

 韓国自動車産業炎上! 「米GM撤退」示唆、EV電池出火「LG」「サムスン」製リコール騒動 ウォン高進行で輸出急減速も 

韓国GMでは労使問題が起きている

 韓国経済に“冬将軍”到来か。主力の自動車産業で、米ゼネラルモーターズ(GM)が労働組合のストライキを背景に韓国撤退を示唆したほか、韓国産バッテリーを搭載した電気自動車(EV)で出火やリコール騒動が相次いでいる。為替も約2年ぶりのウォン高ドル安水準で、輸出に急ブレーキとなりかねない。

 ◇

 「韓国にこれ以上の投資や新製品を割り当てることができなくなる。非競争的な国にしている」

 深刻な現状を語るのは、GMの上級副社長兼海外事業部門代表、スティーブ・キーファー氏だ。ロイター通信が18日伝えた。韓国での労働組合によるストライキで約1万7000台の生産に影響が出ており、週末には2万台に達するとの見方を示した。

 韓国メディアによれば、韓国GMの労組は17日から20日まで断続的にストを実施したほか、10月から残業・特別勤務拒否も続けた。

 キーファー氏は「短期的に重大な影響を及ぼす」としており、組合に「自動車の生産が人質にされている」とも表現した。

 にもかかわらず、韓国GM労組は23日から25日まで、勤務時間を半減させる新たなストを決議したと朝鮮日報(日本語電子版)が報じた。生産態勢への影響が続くのは確実だ。

 そもそも韓国GMは2014年から6年連続の赤字で、新工場への投資が保留されているほか、同社のカハー・カゼム社長が9月に「労使紛争が悪化すれば、GM本社は韓国からの撤退も検討するだろう」と述べており、撤退が現実味を増している。

 韓国の自動車業界では、最大手の現代(ヒュンダイ)自動車も労使の対立が常態化している。現代自動車グループの起亜自動車労組も24日から27日まで勤務時間を半分にするストに突入した。

 元商社マンで韓国事情に詳しい朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は、「韓国の労組は会社の経営が苦しくても、発表される業績を信用せず、目先の利益のために衝突を繰り返す傾向がある。法律も労働者に有利なため組合を抑制することは難しい」と指摘する。

 また、韓国政府が「第2の半導体」とも称し、期待を寄せる韓国産EVバッテリーもトラブル続きだ。

 米GMは17~19年に生産されたシボレーのEV「ボルト」のバッテリーに不具合が見つかったとして、約6万8000台のリコール(回収・無償修理)を発表した。バッテリーは韓国のLG化学製で、米道路交通安全局(NHTSA)が同モデルの火災事故について調査中だという。バッテリーが完全に充電された時に火災が発生する危険があるとしている。

 現代自動車でも、LG化学のバッテリーを搭載した「コナEV」が、昨年7月から先月までの期間に韓国内外で13件の火災を発生させており、韓国や欧米、中国でリコールを実施する。

 そのほか、サムスンSDI製のバッテリーを搭載したBMWやフォードの一部モデルでもリコールが実施されていると韓国メディアは報じている。

 追い打ちをかけるのは、為替のウォン高だ。米大統領選で勝利宣言した民主党のジョー・バイデン前副大統領が巨額の財政支出による景気浮揚策を打ち出していることからドル安が進行、10月はじめの1ドル=1160ウォン台から、今月18日に1103ウォンまでウォン高が進む場面もあった。

 前出の松木氏は「韓国はこれから本格的に訪れるEV時代に期待を寄せていたが、これだけ事故が確認されれば、信用を回復させるのは至難の業だ。為替がウォン高であることからも、短期・中期的に自動車業界が韓国経済を支えるのは難しい」と断言した。

【私の論評】日本が締結する貿易協定にも、翻弄され続ける韓国(゚д゚)!

米GM撤退など、韓国自動車業界には厳しい状況が続いています。しかし、韓国の自動車業界というか、日本と競合する産業などがこのようなことになることは、昨年の1月にはもう予想できました。

日本のメディアなどはほとんど報道しませんが、韓国の自動車産業が不利になったのは、EV電池出火「LG」「サムスン」製リコール騒動だけが原因ではありません。もっと根本的なものがあります。

それは、日本と欧州とのEPAの発効です。このことについては、すでに昨年の年初にこのブログでも予想していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
日欧EPA、世界GDPの3割 あす発効、世界最大級の自由貿易圏誕生へ―【私の論評】発効によって一番ダメージがあるのは韓国(゚д゚)!
仏ボルドーのワイン醸造元。日欧EPA発効で欧州産ワインの市場拡大が見込まれる

EPAとは関税撤廃をともない経済連携協定のことです。日欧EPAの規模等はこの記事御覧ください。EPAそのものについては、他のメディアにあたってください。ここでは、詳細は解説しません。

EPAというと、韓国は日本より以前から韓国欧州EPAを締結してきました。そのことが、欧州への輸出ということで考えると、韓国を日本よりは有利にしていました。なぜなら、欧州輸出に際しては、韓国の乗用車は関税が撤廃されているのに、日本車はそうではなかったのです。この有利さが日欧EPAが発効したことでなくなってしまったのです。

さて、日欧EPAが発効するとなぜ韓国に不利になるのか、それが掲載されている部分をこの記事より引用します。
"
例えば、日本からEUへオレンジを100万円分輸出します。EUが設定しているオレンジへの関税は、日本産が10%、韓国産の物が0%であるとすればどうるなでしょうか。
この場合、EU側の輸入者にとっては、
  • 日本産であれば10万円の関税(100万円の10%)
  • 韓国産であれば、関税はゼロ。
という状況だったのです。日欧EPAを結べば、この関税負担分がなくなり、これまでよりも価格競争力をつけた物を輸出できます。これが自由貿易協定を結ぶメリットの一つです。

日欧EPAが発効すると、韓国には、どのような影響があるのでしょか? それを考えるときは、日本とEU、そして韓国の三か国を多面的にとらえる必要があります。一般的に韓国で有名な企業(サムスンなど)は、日本企業と似た製品を輸出しています。しかし、もう少し韓国製品を詳しく見ると、製品の核となる部分は、日本からの輸入に頼っていることが多いです。

つまり、日本から製品に使う部品を輸入して、韓国の工場で最終完成品医にした後、EUへ輸出しています。韓国からの輸出品であれば、韓国とEUとのFTAを使い、関税ゼロで輸出ができます。また、韓国は、アメリカともFTAを結んでいるため、西へ東へと自在に関税ゼロで輸出ができるようにして、自国の競争力を保っていたのです。

ところが、日欧EPAが発効すると、関税面での不利な扱いが徐々に解消されていきます。関税無しで輸出ができるのは、日本の輸出企業にとって大きな追い風です。

では、一方の韓国企業を考えてみましょう。この場合、これまで当たり前にあった日本製品との関税の壁がなくなるため、まさに逆風です。本音のレベルでいうと、韓国企業にとって「日欧EPAの発効」は最も忌み嫌うところでしょう。

日欧EPA発効で、韓国国内自動車業界が少なからず打撃を受けるという見方が出ています。グローバル舞台で競争関係にある日本自動車企業がEU市場で関税引き下げ分を値下げしたり、マーケティング拡大、ディーラー網管理などのさまざまな戦略を通じて韓国車のシェアを蚕食する可能性があるからです。

韓国自動車産業協会の関係者は、『中国市場の供給過剰、米国市場の成長鈍化など主要市場が厳しくなる中、世界3大市場の欧州まで日本に奪われるかもしれないという危機感が強まっている』とし、『製品の競争力を高められるよう全方向での協力が必要な時期』と述べました。

おそらく、今後日本企業の韓国からの引き上げなども予想できるため、韓国の関連株(輸出企業・船会社・自動車など)も安くなりそうです。
"
実際、日欧EPAが発効してから、1年目で日本としては何がどう変わったのか以下に掲載します。


日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効して今年の2月1日で1年になりました。相互に関税を引き下げた結果、輸出では自動車や和牛、輸入ではワインが伸びました。国内自動車メーカーなどが恩恵を受け、消費者もより手頃な価格で欧州産品を楽しめるようになりました。一方、欧州産との競争激化に直面し、対応に追われる業界もあります。

日欧はEPAで、相互に貿易品目の9割超を関税撤廃の対象とし、知的財産権の保護や電子商取引など幅広い分野のルールも整備しました。発効により、世界貿易額の4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生。政府は日本の実質GDP(国内総生産)を約5兆円(約1%)押し上げる効果があると試算しています。

輸出では乗用車への10%の関税が段階的に引き下げられ、発効8年目に撤廃される。牛肉や日本酒の関税は即時撤廃されました。財務省の貿易統計によると、2019年2~11月の輸出額は、自動車が前年同期比19%増加。和食ブームを追い風に和牛が28%増、日本酒は5%増となりました。

輸入については、関税が撤廃されたワインが12%増加しました。750ミリリットルのワイン瓶が1本当たり100円程度安くなったことに加え、販売店の宣伝が奏功しました。豚肉やチーズの輸入も増えており、国内業者は厳しい競争環境に立たされています。

EUを離脱する英国とは今春にも貿易交渉を始めています。当面は移行期間で、英国は日欧EPAの枠内にとどまることになります。日英交渉では、自動車関税の撤廃時期などが焦点になりそうです。

現在は、自動車の関税が、従来よりは低くなったとはいえ、まだ撤廃されたわけではありません。発効から8年目で撤廃されるわけですから、この時が来ると韓国自動車産業への悪影響はさらに深刻になるでしょう。

日米間も昨年新たな貿易協定を結んでいますから、これも韓国にとっては輸出に関しては、日欧EPAのような効果をもたらしています。

RCEPにも、日本が参加しています。そのため、RCEPでも韓国は日本に対して相対的に有利にはなりません。

GMが韓国からの撤退も検討しているのは、労働争議もありますが、そのほかにも、日欧EPA、日米の貿易協定、RCEPなどで、韓国で車を生産することに意義を見いだせなくなりつつあるという側面もあると思います。

それに今回のコロナ禍です。我が国の輸出依存度は下から2番目の「14.8%」で、米国に次ぐ「内需大国」です。因みに、韓国の輸出依存度は「38.6%」です。コロナ禍で輸出が期待できない現在、輸出依存度が高いことはかなり不利です。韓国はもっと内需を増やすべきでしょう。


国際競争力というと見栄えは良いですが、いざ貿易が不振になれば、悪影響をもろに受けるということです。やはり、米国のように内需を伸ばせるだけ伸ばして、輸出依存度は低いにこしたことはないです。輸出依存度が高いということは、外国の悪影響をもろにかぶりやすいということです。

韓国の産業構造は、日本とかなり似通ったところがあります。今後様々な分野で、韓国は一層不利になっていきます。韓国としては、日本と同じような産業構造を改め、韓国の得意な分野をつくらなければ、この状況しばらく続くことでしょう。韓国はしばらくは、日本が締結する貿易協定に翻弄され続けることになります。

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2020年11月23日月曜日

【日本の解き方】コロナからの経済復活を急げ! 欧米中より遅れ目立つ日本、財政出動と金融緩和の発動を―【私の論評】財務省を有名無実にし、政府・日銀連合軍で財政出動をすみやかに(゚д゚)!

【日本の解き方】コロナからの経済復活を急げ! 欧米中より遅れ目立つ日本、財政出動と金融緩和の発動を

各国の株価は上昇傾向だが、実体経済も追随できるのか

 世界の主要国の経済をみると、新型コロナウイルスの発生源とされる中国の堅調が目立つ。感染拡大が続く欧米と、感染第3波が来ている日本の経済の回復にはどのぐらいの時間がかかるのだろうか。

 各国の株式市場が高値を更新してきた。市場は、半年先を思い描きながら値動きしているとみることもできる。実際には、株式の価格は半年先を半分程度取り込んで値動きしている。あくまで半分程度なので、株式市場は将来の鏡と言ってもぼんやりとしており、将来を確実に予見するとはいえない。

 コロナワクチンの開発をめぐっては、現時点で米ファイザーと米モデルナが好成績を上げている。投資家はさらに先を読み、半年後にワクチンが世界中に行きわたり、コロナは克服され、経済が戻るというシナリオで動いている。実際に値上がりしている銘柄は、ワクチン関連のみならず、旅行、航空、飲食あたりだ。バブルと違って全銘柄が上昇というわけではないが、各国の経済対策により資金供給が潤沢なので、幅広い銘柄が買われている。

 10月に公表された国際通貨基金(IMF)の見通しでも、2020年の世界経済の成長率は4・4%減だが、21年はワクチンの普及が進むとして5・2%のプラス成長を見込む。地域別では、日本では20年に5・3%減、21年に2・3%増、米国は20年に4・3%減、21年に3・1%増、ユーロ圏は20年に8・3%減、21年に5・2%増、中国が20年に1・9%増、21年に8・2%増となっている。

 注目すべきは、20年の落ち込みをどの程度の期間で回復できるかだ。IMFの見通しを使うと、日本は23年、米国とユーロ圏は22年、中国は21年とされ、中国の早さと日本の遅さが気になるところだ。

 なお、10月の発表では、6月時点より、20年は上方修正、21年は下方修正されている。目先の短期リスクは和らいだが、21年では貿易の停滞が長引き、回復は鈍化するというのが、IMFの見立てだ。

 要するに、今の株式市場はあくまで半年先までの夢を見ている状況だ。この点、現状の経済苦境に悩まされている一般人と、半年から先を予測しているIMFとでは、見ているところが異なるのだ。

 筆者が本コラムで、半年後以降、失業者が120万人程度以上増加し、それによる自殺者は6000人以上としているのは、何も政策を打たないという最悪のシナリオを想定して半年から先を見ているからだ。

 IMFの見通しは、政策発動を見込んでいるが、日本の回復が遅いというのは、政策が遅いという意味がある。

 本コラムで繰り返して主張しているが、コロナ禍は、デフレ圧力が強く、2%のインフレ目標にも達しそうにないので、カネを刷って対策が可能だ。つまり、政府が国債を発行して財政出動し、同時に中央銀行が国債を購入し金融緩和しても、事実上財政負担はない。欧米もその手法なので、日本も同じようにやればいいだけだ。 (内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省を有名無実にし、政府・日銀連合軍で財政出動をすみやかに(゚д゚)!

今年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は4四半期ぶりのプラス成長となりました。見かけ上は年率換算で前期比21・4%という記録的な高成長でしたが、コロナ禍の戦後最悪級の落ち込みからの戻りは鈍く、景気回復にはほど遠いのが実情です。


このままでは年末から年明け以降、失業や倒産が激増する懸念もあります。これを防ぐためには消費税の減税や毎週1万円もらえる給付金の導入のほか、雇用調整助成金や「Go To」キャンペーンの継続が必要です。

21・4%という成長率は、バブル期の1989年10~12月期に記録した12・0%増を超え、比較可能な80年以降で最も高くなりました。ところが、これは四半期の成長率が1年間続いたと仮定した年率換算で、コロナ禍のように特殊要因があった場合、ブレが生じやすいです。前期比5・0%増という数字のほうが実情を反映しているといえます。

4~6月期の落ち込みが深かった分、経済再開と補正予算が効いてきたと考えられます。ただ、落ち込み自体は諸外国に比較してそれほどでもなかったにもかかわらず、欧米に比べ、回復の弱さは鮮明です。

実質GDPの実額をみると、1~3月期に526兆円だったのが、緊急事態宣言が出ていた4~6月期には483兆円と約43兆円落ち込みました。今回の7~9月期は507兆円と24兆円増えたものの、戻りは約半分程度に過ぎません。

以下は、日経に掲載されいたGDPの増減率ですが、これはかなり誤解を招くグラブです。



しかし、実額ベースでみると、以下のようになります。


7~9月期はGDPの過半を占める個人消費が前期比4・7%増となり、牽引役となりました。緊急事態宣言が5月下旬に全面解除され、全国民に配った特別定額給付金10万円や、7月にスタートした「GoToトラベル」などの政策が結果に反映されています。

コロナ感染「第3波」が襲来し、「GoTo」を中止すべきだとの声もありますが、『GoTo』はやめるべきではありません。家計調査でも、宿泊費やパックの旅行代金の支出がコロナ前の5割強~6割まで戻ってきており、続けなければいけないのは明らかです。

『GoToトラベル』で感染拡大したという実証的根拠もないので、3密を回避し、ターゲットを絞った対策を拡充する方が旅客業や飲食業にプラスになると考えられます。

10~12月期は消費を下支えした給付金の「10万円」効果が薄れるほか、輸出も欧米のコロナ感染再拡大で伸び悩む恐れもあります。そうして国内の雇用情勢も懸念材料です。

コロナ前に2・4%だった完全失業率は3・0%まで上昇しています。失業率の上下動とGDPの変化が連動する法則を基にすると、失業率1%の悪化でGDPは8%相当低下し、金額では43兆円の損失になります。第3次補正予算は40兆円規模の財政政策が必要です

これを考えると大規模な第3次補正予算の編成による財政支出をすぐにでも実行すべきです。

企業も厳しい状況が続いています。現状では倒産ラッシュにはなっていませんが、小規模零細の飲食店の廃業や倒産は確実に増えています。建設業もコロナ禍の前に得られた受注をやっているだけで、中小零細の建設業は足元で受注が減ってきています。将来を悲観して廃業する経営者も出てきています。

雇用調整助成金の期限となっている年末が企業の正念場となる。森田氏は「休業支援金や雇用調整助成金で倒産は抑えられているが、体力があった企業も借り入れが増えている。延長を絶対にしてほしいとの声も多いです。息切れのような形で12月に倒産や廃業などが増えるでしょう。

現状では、個人に対してにも企業対してにも、とにかくお金を配ることが重要でする。

欧米のデータでも持続的な家計支援が効果を発揮しており、消費税の減税や、感染収束まで1人当たり週1万円の支給を続ける定額給付金も検討すべきです。雇用調整助成金や持続化給付金など、企業への支援も青天井にするぐらいの構えも必要です。

借り入れ依存の枠組みでは企業や個人も借金漬けから抜け出せなくなり、長期停滞の原因になりかねないです。現金を配り、持続的にお金を使える枠組みにすべきです。

こういうことを言うと、すぐに財政がどうのこうのという人がいますが、今そのようなことを言っているべききでしょうか。経済の落ち込みということでは、コロナ禍は明らかに戦後最大規模です。今こそが、戦後最大の財政政策、金融政策を実行すべき時です。

池上彰氏のテレビでの解説では「国の借金は国民が返済する」これが膨らむと財政破綻を招くという理論をもっともらしく語っています。しかし、 国民の多くがこの理論を信じている事は非常に問題があります。特にコロナ禍の現状でこれを信じることは問題です。

単に「国の借金」が膨らんでいくことで財政破綻になるというなら、世界中の古今東西のすべての国は財政破綻だらけになるはずであり、それこそ人類は滅亡していたはずです。

多くの国民がこの理論を信じで誰が得するのか、それははっきりしています。財務省です。本当は、財務省にとっても特なことはないと思うのですが、彼らは悪い頭でそれを信奉し、とにかく愚直に緊縮、増税して目の前の税収さえ増えせば良いと考えています。それが正しいこと、人の道に反しないことと頑なに信じているのです。

財務次官太田充氏

そのことが、自分の子供や子孫にも悪影響を及ぼすことまで考えが回らないようです。とにかく、愚直に緊縮・増税で、財務省高級官僚の権益を増大して、条件の良い天下り先を増やして、高級官僚の退官後、ハッピーライフを目指すのみです。国民などどうでもよく、国民は自分たちの欲望を満たすための道具としか考えていないのです。

財務官僚の行動は、すべて法律に基づく行動しかしないと言います。給付金に様々なハードルを設け、消費税減税には応じない財務省。彼等、官僚は頼るのは法律しかないのです。根底は法律です。

言い換えれば、彼らは他の事は出来ないのです。答弁書を作成する国語力は評価しますが、国民の実情が関係なく、自身で物事を判断する能力はありません。

財務省に関する法律は何かといえば、主なものは以下の2つです。
 
財務省設置法
第一章 総則
第三条
財務省は「健全な財政の確保」、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保並びに貨幣事業及び印刷事業の健全な運営を図る事を任務とする。

財政法
第一章 財政総則
第四条
「国の歳出は公債または、借入金以外の歳入をもってその財源としなければならない。」
以下省略。

上記の内容で財務官僚が重視するのは「健全な財政の確保」と「国の歳出は公債または、借入金以外の歳入をもってその財源としなければならない。」という部分で、これを守る事こそが彼等の仕事であると叩きこまれています。

これに異を唱えるという事はキャリアから外れるという事を意味するので、絶対に国債の発行には否定的だし、消費税の引き下げにも応じない様です。

官僚個人の良心、国民の窮状などは関係なく、すべて法律通りに仕事をする事しか眼中にないが彼等なのです。それも、省益のためにそうするのです。


民間企業であれば、憲法に相当する規程、それに基づく規則などがありますが、規程や規則にだけ基づきそれだけしか実行しないような社員など、とても幹部や役員になどなれません。民間企業などては、利益などをあげて成果を出さないような社員は、いくら規程や規則を守っても、認めれず、出世などできません。役員や社長になどなれません。

それに、実際に成果をあげるのに、障害となるような規程や規則は、すぐに変えてしまうでしょう。法律を変えない政治家にも問題があります。

厚労省の役人がコロナ対策で早期に中国人の入国禁止を提言しなかったのも、法律で「国民の命を守る」と書いてないからだといいます。財務省の官僚とはそうした人間なのです。

このような役所などもういらないです。政府は第二次補正のときのように、財務省抜きで政府が大量の国債を発効し、日銀がそれを買い取るという方式で積極財政と金融緩和を進めていくべきです。これをどんどん進めて、財務省を有名無実化し、いずれ財務省は解体すべきでしょう。

財政状況悪化を訴える談話で…隠されていた“不都合な数字” 国債はほぼ日銀が買い取る事実— 【私の論評】財務省を満足させて、顧客を蔑ろにすれば、大企業もマスコミも、いずれ存続不能となる!(◎_◎;)

国際的にも異常!財務省をサポートする「使えない学者」たち 震災でもコロナでも増税路線 マスコミも「アメ」与えられ…情けない日本の現状 ―【私の論評】異次元の積極財政と金融緩和を迅速に実行し、増税・コロナによるダブルパンチ不況をいち早く抜け出すべき(゚д゚)!

2020年11月22日日曜日

バイデン氏「三日天下」の可能性 消せない不正選挙疑惑、トランプ氏大逆転は最高裁判決が鍵 大原浩氏緊急寄稿 ―【私の論評】2000年の米大統領選でも、投票システム不正疑惑があったことを日米メディアは忘れたか(゚д゚)!

 バイデン氏「三日天下」の可能性 消せない不正選挙疑惑、トランプ氏大逆転は最高裁判決が鍵 大原浩氏緊急寄稿 

激突!米大統領選

米主要メディアは大半がバイデン氏の味方だ

 米大統領選は民主党のジョー・バイデン前副大統領(78)が勝利宣言して2週間が経過した。共和党のドナルド・トランプ大統領(74)の法廷闘争についても「無駄な抵抗」のごとく報じられることが多いが、国際投資アナリストの大原浩氏の視点は違う。大原氏は緊急寄稿で、バイデン氏が「三日天下」に終わる可能性すらあると指摘する。

 現在、日米の「偏向」メディアは、バイデン氏がまるで大統領に就任したかのような記事を垂れ流している。もちろんこれは大きな誤りである。

 トランプ氏が負けを認めないのは往生際が悪いなどという批判も出回っているが、米大統領選の法廷闘争では2000年に民主党候補だったアル・ゴア氏の先例がある。連邦最高裁が12月12日にジョージ・ブッシュ氏勝訴の判決を下すまで「ゴネ」たのだ。まさに「大ブーメラン」である。

 少なくとも12月14日の選挙人投票日までは、「誰が大統領になるかまだ分からない」のだ。現在、選挙に対して膨大な訴訟が「宣誓供述」や「証拠」を根拠に行われており、再集計の結果によっては、バイデン氏の「勝利」が三日天下に終わる可能性もまだある。民主党支配地域の裁判所では、民主党有利の判決が下される可能性が高いから、再集計が適正に行われトランプ氏勝利に結びつくかどうかは不明だが…。

 したがって、最高裁で「不正選挙そのものが無効」という判決が出るかどうかが鍵である。

 不正選挙疑惑で一番大きなものは、選挙投開票サービスを展開しているドミニオン社に関するものだろう。もし、同社のシステムによって、トランプ氏の票が突如削除されたり、バイデン氏側に動かされたりしていることが証明されれば、全体の集計結果に対する信頼性が根底から覆るから、最高裁で「選挙無効判決」が出る可能性がそれなりにある。

 連邦最高裁がエイミー・バレット氏の判事就任によって、さらに共和党有利の陣容になったと考えられることも見逃せない。

 どのような理由にせよ12月14日に選挙人投票を行うことができなかったり、どちらも270人の選挙人を獲得できなかったら、下院で大統領選出が行われるのだが、この投票は一般的な下院での議決とは異なり、50州それぞれから1人ずつが選ばれて投票する。下院全体の議席数では民主党が優勢だが、「優勢な州の数」は、今回の選挙でも共和党が勝っており、ここに至ればトランプ氏勝利の可能性が高い。

 現在のバイデン氏はまるで「本能寺の変」の後の明智光秀のように思える。安易に「自分が天下を取った」気分になった「三日天下」の後、豊臣秀吉に敗れた。

 トランプ氏の強みは、秀吉が「中国大返し」という尋常ではない作戦を成功させるために部下の力を最大限に発揮させたのと同じように、トランプ氏のために身を粉にして働く元ニューヨーク市長で弁護士のルドルフ・ジュリアーニ氏をはじめとする支持者を多数抱えていることだ。

 もちろん、民主党や偏向メディアの妨害をくぐり抜けて「勝利」を獲得するのは簡単ではない。オールドメディアの「報道しない自由」や大手SNSの「拡散制限」によって、真実が国民に伝わりにくい部分があるのは事実だ。

 第2次南北戦争さえ起こりかねない米国の混迷の中で思い起こすべきは、エイブラハム・リンカーン大統領の有名な言葉である。

 奴隷解放を目指す北軍(共和党)を率いて南軍(民主党)と戦い、4万5000人の死傷者を出したゲティスバーグの戦いでは、《人民の人民による人民のための政治》という名言を残したことで知られるが、ほかにもこんな言葉がある。

 《すべての人を少しの間騙(だま)すことはできる。一部の人を永遠に騙すこともできる。しかし、すべての人を永遠に騙すことはできない》

 いくら「報道しない自由」を駆使し、「拡散制限」を行っても「すべての人を永遠に欺くことはできない」のである。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】2000年の米大統領選でも、投票システム不正疑惑があったことを日米メディアは忘れたか(゚д゚)!

米主要メディアは大半がバイデン氏の味方です。これはこのブログでは以前から述べてきたものです。米国の大手新聞は、すべてリベラルです。米国のウォール・ストリート・ジャーナルを保守系と報道する日本のメディアも一部ありますが、これは間違いです。

ウォール・ストリート・ジャーナルは歴史は古いですが、リベラル系です。歴史が古いことが自体は、保守系ということになはなりません。米国の大手新聞はすべてリベラルです。

これを日本に当てはめてみると、米国の大手新聞は、日本でいえば、朝日、毎日、読売のようなもので、産経新聞のような保守系といわれる新聞はありません。産経新聞以外の新聞を購読していると、日本では偏りがででくることは容易に想像できます。米国には保守を代弁する大手新聞はないのです。

米国の大手テレビ局はFOXTVを除いてすべてリベラル系です。米国では大手既存メディアは、FOXTVを除いてすべてがリベラルなのです。

日本のメデイアのほとんどが、米国の報道というと、米国のリベラルメディアの報道を吟味することもなくそのまま流しているのが実情です。

そのため、米国に関する情報の大部分を日本のメディアに頼っている多くの日本人は、米国のリベラルな側面ばかりをみており、保守系の側面は知らないと言っても過言ではありません。そのため、今回の大統領選挙に関しても多くの日本人は、一部の米国情報に直接触れる人を除いて、リベラル派の報道ばかりで、保守系の報道には事実上接していないと言って良いです。

だから、日本では多くの人が、トランプ氏が負けを認めないのは往生際が悪いと判断するのは、いたしかたないところがあると思います。

冒頭の大原浩氏の記事です、米大統領選の法廷闘争では2000年に民主党候補だったアル・ゴア氏の先例が述べられていますが、実はこのときは電子投票への疑念が多く報道されていました。

2000年の大統領選で用いられたタッチパネル式投票機

2000年のこの大統領選では、票の集計に用いられていたタッチパネル式の機械の多くが時代遅れのものであり、中には随分昔につくられたものがあったことが問題となりました。

当時米国の投票産業は、ごく一部の企業による寡占状態にあることが問題にされました。こうした企業は企業主に関する情報の公開を免除さていることも問題となりました。このような企業には本来公平であることが期待されるべきですが、大統領まで含む政治家と密接な関係を持つ企業もあるとされました。

しかも、それらの企業は投票システムの仕組みについての情報公開を拒んでおり、これらの企業に雇用されているソフトウェアエンジニアやサポートエンジニアしか、ブログラムの内部にアクセスすることができないことが問題となりました。

そうして、従来と異なることとされたのは、プログラマが投票システムの中へ検知できないバックドア(秘密の侵入経路)を作り出す可能性があり、一度に何百万もの票を改変するすることが可能であることでした。

電子投票反対派はリベラル・メディアも含めて、こうしたやり方、大きな墓穴を自ら掘っているようなものだと主張していました。以上は、2000年当時の大統領選挙をサイトで検索すると現在でもかなり出てきます。



この事実何やら、今回の大統領選挙におけるトランプ陣営が主張するドミニオン社に関する不正疑惑とかなり似ていると思います。

2000年時点で、このような疑惑を報道していたリベラル系メデイアが、トランプ陣営が当時と似たような主張をすると、まるでそれ自体がすべてフェイクであるかのように、報道してしまうというのは、はっきり言ってダブルスタンダードです。さらに、大手SNSの「拡散制限」までしてしまうのはいかがなものかと思います。

明らかにフェイクであることがはっきりしているものは、良いですが白黒がはっきりつかないものまで、封じている懸念があります。それを多くの人は検証できません。もしこの懸念が事実だとすれば、恐ろしいことです。そうだとすれば、これは明らかに民主主義に対する脅威です。

米国大統領選挙で民主党副大統領候補に選ばれた「カマラ・ハリス」は、日米の偏向マスコミによって持ちあげられていますが実態は、極左主義政治家で野心家のいわば、米国版辻元清美と言っても過言ではないです。

カマラ・ハリスを黒人と米国リベラルメディアは報道しますが、ジャマイカ人の父とインド人の母のハーフだけに個人的には黒人と言うには違和感があります。

バイデン氏が当選しても高齢で認知症の傾向があるので任期途中で辞任する可能性があります。その場合、このカマラ・ハリスが女性初の大統領になる可能性があるだけに事態は深刻です。

私自身は、今回の大統領選では、民主党からは当初サンダースなどの極左系候補が立候補していたので、なぜ穏健派とみられるバイデンに絞らないのかと不思議に思っていました。

結局バイデン氏が最終的に民主党の候補者となったのですが、副大統領候補がカマラ・ハリスになったということで、これはとんでもないことになったと思いました。副大統領ということは大統領が業務が遂行できなくなったときに、大統領になるという可能性も排除できないからです。


おそらく、民主党の主流派の中には、このような危機を感じている人も多いと思います。当然民主党の大統領選挙人の中にもそのような危機感を抱く人もいると思います。カマラ・ハリスよりはトランプもしくはペンスのほうがましと考える人も多いでしょう。その意味では、バイデンは副大統領候補の選択に完璧に失敗したと思います。

となると、今後選挙の不正疑惑の解明が進みトランプが共和党系の選挙人を獲得し、さらに民主党系の選挙人の中に離反者がでれば、12月14日の選挙人投票でトランプが勝利ということもあり得ます。ここで敗北しても、上の記事にもあるようにさらにトランプにはチャンスがあります。ここまできたからには、トランプは最後の最後まで粘るでしょう。

まだ、トランプが負けと決まったというわけではありません。日本人もこれらの事実を認識した上で、冷静に大統領選挙の推移を見守るべきです。

私には、なぜ日本の保守論客たちの中にさえ、この不正疑惑を追及する者を知的に劣ったもののように小馬鹿にするものすらいるのか、全く理解できません。

選挙に不正疑惑があると思うなら、アル・ゴアが法定論争をしたという事実があるにもかかわらず、トランプがそれをすると「無駄な抵抗」のごとく日米マスコミがこぞって報じるのか全く理解できません。

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2020年11月21日土曜日

習氏、TPP参加「積極的に検討」 APEC首脳会議―【私の論評】習近平の魂胆は、TPPを乗っ取って中国ルールにすること(゚д゚)!

 習氏、TPP参加「積極的に検討」 APEC首脳会議

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は20日、環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加を「積極的に考える」と表明した。日米中など21カ国・地域のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にオンラインで出席して述べた。習氏がTPP11の参加検討を表明するのは初めて。

APEC首脳会議で議長を務めるマレーシアのムヒディン首相

習氏は「中国は地域経済の一体化を進め、アジア太平洋の自由貿易圏を一日も早く完成させる」と述べた。日中韓など15カ国が署名した東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定についても「歓迎する」と成果を強調した。

TPPは米国を含む12カ国で署名したが、トランプ米政権が2017年に離脱を宣言、米を除く11カ国で18年末に発効した。米はRCEPにも参加していない。習氏は19日の関連会議でも米国の保護主義を念頭に強く批判しており、米国の政権移行期にアジア太平洋地域で中国の存在感を高める狙いがある。

中国がTPP11に参加するには加盟国の同意を取りつける必要がある。国有企業の改革や工業製品の関税ゼロ、非関税障壁の撤廃などを高い水準で実現することも求められる。国有企業が大きく工業製品の関税率も高い中国にとって参加のハードルは高い。

20日の首脳会議は菅義偉首相、トランプ米大統領らも出席し、3年ぶりに首脳宣言を採択した。

日本や中国などが15日署名したRCEP協定に参加する15カ国の大半はAPECにも参加しており、域内で貿易自由化を加速する機運が高まる。APECはTPP11やRCEPを土台に、参加国・地域の一段の経済統合をはかる方針だ。

【私の論評】習近平の魂胆は、TPPを乗っ取って中国ルールにすること(゚д゚)!

元々は米国が提唱したTPPからトランプ大統領が選挙公約通りに離脱しましたが、中国は米国がTPPで留守の間に、TPPを乗っ取って中国ルールにしたいのでしょう。WTOにおける中国の振る舞いをみれば、それは容易に想像がつきます。

TPPの現状のルールは先進国にとっては当然のことで、加入するのは難しくないですが、中国にとってはかなり困難です。中国が現在のままのTPPに加入するためには、国内の体制を変えなければ無理です。

特に、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は必須です。これができないと、TPPのルールを満たすことは不可能です。しかし、これを実行してしまえば、中国共産党は国内で統治の正当性を失い、共産党一党独裁制は崩れ、現体制は崩壊することになります。


そのようなことを中国共産党が許容できるはずもありません。にもかかわらず、TPP加入をするというのなら、これはTPPの高いハードルを乗り越えるというのではなく、中国にとって都合の良いようにハードルを低くするということを意図しているとしか考えられません。

日本としては、この高いハードルを低くすることなく、その上で英国や台湾をTPPに取り込んでも、民主主義陣営のTPPを守るべきです。そうして、次の米国大統領が誰になったとしても、米国にTPPが中国包囲網にもなることを理解させ、復帰してもらうべきでしょう。

そうして、TPP「拡大」は、米国と中国を牽制するだけではなく、混沌とする世界に新たな秩序をもたらし、世界を救うことにつながることになります。

このTPPを日本という軍事的・経済的覇権によらない国が旗振り役を務めたということが大きいです。

最早世界は、軍事・経済的覇権によって振り回され続けることに倦んでいるのだと思います。ここに、日本が世界でリーダーシップを発揮できる好機が訪れたともいえます。

日本のTPP参加大反対していた方々は、この中国の魂胆を見抜けずサポートしていたようなものです。このTPP参加反対していた人たちは、「米国に良いようにしてやられる」と語っていましたが、その後米国が抜け、その他反対派の人々の語っていた、日本にとって不都合になるようなことは未だに起こらず、急速に反対運動はしぼみました。

TPPに反対していた人たちは・・・・・・

米国が抜けても、日本が努力してTPPを米国抜きでも発効させたことは、自由主義世界にとっては幸いでした。

さて、最近はRCEPが調印されましたが、中国主導だから、加入すべきでないとした方々も、中国の魂胆が見抜くことができず、結果として中国をサポートしているようなものです。

RCEPは経済連携とはいうものの、そのルールは物品貿易やサービス貿易の自由化(FTA)に限りなく近いものです。そのため、TPPの厳しいルールのように忠告にとっては体制変更が必要ないため、中国も加入することができます。

RCEPがスタート後、どちらの方向に向かうのか、次のステージが気になるところです。ただ、日本もインドもRCEP参加しないとなると、ASEAN諸国はすぐにでも、中国に取り込まれることになります。そうして、中国、ASEAN諸国、韓国の強力な経済圏ができあがることになります。これらの国々でますます中国の覇権が強まることになります。

日本がRCEPに加入しないということは、日本がASEAN諸国が中国に取り込まれることを許容することになります。

これは、日本としても避けたいので、敢えてRCEPに参加し、中韓に対抗しASEAN諸国を日本のルール(自由主義圏で通用するルール)で取り込み、いずれは米国もASEAN諸国もTPPに取り込む方向に持っていくべきです。


日本の危機というと、すぐに尖閣、台湾危機を煽る人が多いですが、無論こちらも脅威ですが、中国がTPPのルールを中国ルールに変えようとすることや、RCEPでASEAN諸国が中国に取り込まれしまうようなことも、日本はもとより世界にとって脅威です。この脅威はもっと多くの人に認識されてしかるべきと思うですが、そうではありません。メディアは、発効したり調印された事実を淡々と述べるだけです。

日本としては、TPPを大いに発展させ、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けることができます。これには、EUも賛成するでしょう。
TPPのルールを世界のルールにするのです。単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定をWTOに持ち込むことには中国も反対できないでしょう。

TPPのルールがWTOのルールとなれば、中国は中共を解体してもTPPルールを含む新WTOに入るか、新WTOには入らず、内にこもることになります。内にこもった場合は、中国を待つ将来は、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。その時には他国に対する影響力はほとんどなくなっているでしょう。

いずれにせよ、TPPは加盟国だけではなく世界にとって、有用な協定になる可能性が高まってきたのは事実です。日本は、TPPのルールを世界の自由貿易のルールとするべくこれからも努力すべきです。


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2020年11月20日金曜日

これが安保の真実、米軍は尖閣に駆けつけてくれない―【私の論評】日本は独力で尖閣を守れない、占領されても奪還できないとは都市伝説か(゚д゚)!

これが安保の真実、米軍は尖閣に駆けつけてくれない

菅・バイデン電話会談でまたもや繰り返された悪しき前例

尖閣諸島の魚釣島(出典:内閣官房ホームページ

(北村 淳:軍事社会学者)

 日本の主要メディアの報道によると、日本時間の11月12日、菅義偉首相と次期大統領就任が確実となりつつあるバイデン前副大統領が電話で会話を交わした際、バイデン氏は「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象である」と明言したとのことである。

またも繰り返されたパターン

 国防とりわけ尖閣諸島防衛に関しては、菅首相も歴代政権の悪しき前例から一歩も脱却しようとはしていないようである。

 すなわち、アメリカ政府高官たちに「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用範囲である」と明言させ、日本の主要メディアに「アメリカの○○○○○は、アメリカによる日本の防衛義務を定めた日米安保条約第5条が、尖閣諸島に適用されることを確認した」といった報道をさせる。それによって、「尖閣諸島において中国が何らかの形で武力を行使した場合には、アメリカ軍が出動して日本を救援してくれる」というイメージを日本国内に流布させる、というパターンを繰り返しているのである。

 日本の歴代政権にとっての尖閣諸島防衛戦略は、このようなパターンを繰り返すことだけと言っても過言ではない。

日本に広まっている願望的期待

 昨今の現状はどうあれ、中国によって尖閣諸島が占領されているといった事態がいまだに生じていない限り、日本政府が「尖閣諸島の施政権は日本にある」と公言している以上、第三国間の領土紛争には介入しないことを基本原則としているアメリカ政府(とりわけ国務省や国防総省)としては「尖閣諸島は安保条約第5条の適用対象である」と判断せざるを得ない。したがって、米政府高官たちが日米安保条約と尖閣諸島との関係に触れる際に、「尖閣諸島は安保条約第5条の適用対象である」との立場を表明することは当然である。

 もちろん日本政府は、この事情は百も承知だ。そこで日本政府はアメリカ側にそのような「当然の表明」を述べさせることによって、日米同盟が対中牽制になっているかのごとき印象を日本国内向けに宣伝するのだ。

 そして“仕上げ”は日本メディアの報道である。多くの報道が「日米安保条約第5条はアメリカの日本防衛義務を定めている」と表現してしまっている。そのため、日本社会では「中国が尖閣諸島を占領したり、何らかの形で軍事力を行使した場合には、同盟国アメリカが強力な軍隊を投入して中国軍を追い払い日本を護ってくれる」という願望的期待が広まってしまうのだ。

米軍人たちの危惧

 本コラムでも幾度か触れたことがあるが、「日米安保条約第5条はアメリカの日本防衛義務を定めている」という表現は正確ではない。この点に関しては、筆者周辺の東アジア戦略環境それに日米安保条約に精通している米軍将校や軍関係法律家たちも、筆者同様に大いに危惧している。

 菅首相とバイデン氏の電話会談のニュースを受けて、日本で「日米安保条約第5条はアメリカの日本防衛義務を定めている」と考えられている状況を是正するために「アメリカ軍や国務省関係の法律家の間では常識とも言える“事実”を日本の人々に理解してもらわねばならない」といった声も寄せられてきている。

日米安保条約第5条の本当の中身
 日米安保条約第5条からは、尖閣諸島を巡って中国が軍事攻撃を仕掛けた場合、米海軍第7艦隊は直ちに横須賀や佐世保から南西諸島に急行し日本の敵勢力を撃退する、といった解釈が自動的に生ずることは決してありえない。

 日米安保条約第5条が取り決めているのは、このような事態が発生した場合、アメリカ側(国務省、国防総省、太平洋軍司令部など)としてはアメリカ合衆国憲法や各種法令・手続きに従って行動する、ということである。

 具体的には、尖閣周辺で進行中の軍事的状況を分析し、米側としての対処策を討議し、おそらくはホワイトハウスや連邦議会は、「尖閣諸島(という無人岩礁群)での日中間のトラブルに対してアメリカ軍を投入することは、核保有国である中国との軍事衝突の可能性を勘案すると、アメリカとしては価値を認められない」と判断することになるであろう。

 もちろん、日本はアメリカにとり重要な同盟国の1つである。しかし、そうだからといってアメリカとしては、核戦争へとつながりかねない危険を冒してまで、日本の“岩”のために軍隊を投入する価値は見出せない、というのが現実の姿である。

 上記のような解釈は、東アジア情勢ならびに日米安保条約に精通している米軍関係者などに尋ねれば、ごく普通のものであることが容易に理解できるであろう。

 要するに、日本社会に浸透してしまっている「日米安保条約第5条はアメリカによる日本防衛義務を定めたものであり、万が一にも尖閣諸島を巡って日中軍事衝突が発生した場合には、強力なアメリカ軍が中国侵攻部隊を撃退し日本を防衛してくれる」などというシナリオは、日本だけで信じられている手前勝手な都市伝説にすぎないということなのである。

中国軍相手の島嶼奪還は不可能に近い(写真:米海兵隊)


【私の論評】日本は独力で尖閣を守れない、占領されても奪還できないとは都市伝説か(゚д゚)!

尖閣諸島に人民解放軍が上陸したら、米国の助けがないと日本は尖閣諸島奪還は不可能の近いのでしょうか。ましてや、日本が尖閣に上陸した中国軍や民兵などに対して手も足もでないのでしょうか。私は、そうではないと思います。

これはおそらく軍事機密なのであまり公表されていなのでしょうが、もし尖閣諸島に中国軍が上陸したとしても、日本には20隻以上の潜水艦からなる、潜水艦隊が存在ししかもその潜水艦はステルス性がかなり高く最新型はほとんど無音に近く、対潜哨戒能力の低い中国にはこれを発見できず、これで十分反撃可能であると思います。

尖閣に中国軍が上陸すれば、これを日本の潜水艦隊で包囲し、近づく艦艇や航空機を破壊するかそこまでいかなくとも牽制して近づけないようにすれば、尖閣に上陸した中国や民兵などは補給ができずに、お手上げになります。これに対して既存のメディアや軍事評論家らは、なぜか潜水艦を用いない作戦ばかりを想定して、到底中国にはかなわないような説明をします。

これと似たようなことは、南シナ海の中国軍基地に対して最近何度が述べてきました。というのも、米軍の海洋戦術が明らかに変わったと思われる節があったからです。

米軍はすでに5月下旬に潜水艦の行動に関して公表しています。潜水艦の行動は、通常どの国も公表しないのでこれは異例ともいえます。

この潜水艦群の動きは太平洋艦隊司令部のあるハワイ州ホノルルの新聞が同司令部からの非公式な通告を受けて今年5月下旬にマスコミで報道されました。太平洋艦隊所属の潜水艦の少なくとも7隻が西太平洋に出動中であることが同司令部から明らかにされました。

その任務は「自由で開かれたインド太平洋」構想に沿っての「有事対応作戦」とされています。この構想の主眼は中国のインド太平洋での軍事膨張を抑えることだとされるため、今回の潜水艦出動も中国が覇権を目指す南シナ海や東シナ海での展開が主目的とみられます。

無論、当時空母でコロナが発生したという事情もからんでいるでしょう。空母打撃群が水平のコロナ罹患で出動できない間隙をぬって中国が不穏な動きを見せないように牽制したものと思います。逆に、米軍は空母打撃群でなくても潜水艦隊があれば、中国の動きを牽制できると考えているともいえます。

原潜は構造上どうしても騒音がでて、静寂性は通常型には劣るのですが、それでも中国の対潜哨戒能力よりは米軍のほうが世界一の能力を持っていることから、米軍にとっては明らかに有利です。中国の原潜は米国に比較しても、かなりの騒音を出すので、世界一の哨戒能力を持つ米軍に簡単探知されてしまいます。

これは、明らかに戦術の変更を示していると思います。仮に戦闘が起こったとして、それに対抗するために空母打撃群を派遣すれば、中国にとっては格好の標的になるだけです。すぐに撃沈されてしまうでしょう。そのような戦術は時代遅れです。

現代の米国の潜水艦は、核武装も含む様々な武装をしており、単純には比較できませんが、その破壊力は空母打撃群に匹敵します。これからの時代は相手を牽制したり、戦闘における初戦においては、過去のように空母打撃群か最初に出るのではなく、潜水艦隊が最初にでて、敵の艦艇や航空機やミサイルなどの脅威を取り除き、その後に空母打撃群が追撃戦をするという形に変わるでしょう。

5月の太平洋艦隊所属の潜水艦の少なくとも7隻が西太平洋に出動中という公表は、米海軍の戦術の変更の現れと見るべきと思います。私自身は、この発表よりも随分前から、米軍は戦術を変更していたと思っています。そうして、日本もそれに近い戦術をとっていると思われます。

日本では、海上自衛隊の3,000トン型潜水艦の1番艦が先月の14日に進水、旧日本海軍の潜水母艦に因んで「たいげい」と命名されました。

10月14日に進水した最新鋭3000トン型潜水艦「たいげい」

この「たいげい型潜水艦」はそうりゅう型潜水艦の後継艦で最新の「18式長魚雷」や海自の潜水艦として初めて「女性自衛官専用の居住区画」を備えるなど話題になっていますが、海外メディアが最も注目しているのは通常動力型潜水艦のゴールデンスタンダードである「AIP機関」ではなく「リチウムイオン式電池」による推進方法を採用している点です。

AIP機関を採用した「そうりゅう型潜水艦」の11番艦と12番艦は既にAIP機関を廃止してリチウムイオン式電池を採用しているため特に目新しさは感じないのですが、たいげい型潜水艦はリチウムイオン式電池採用を前提に設計された初めての潜水艦なので海外からすると11番艦「おうりゅう」よりも注目度が高いです。

特に米メディア「The Drive」は中国海軍の存在が日本のリチウムイオン式電池採用の決断を後押ししたと指摘しています。

中国海軍は攻撃型原潜「Type093」と比較して音紋が大幅に減少していると予想されている「Type095」の建造準備に取り掛かっており、国産AIP機関を搭載した通常動力型潜水艦「Type039A」を計20隻建造(内17隻が就役)するなど潜水艦戦力を急速に増強中で、遼東半島と山東半島の間にある中国唯一の原子力潜水艦建造施設「渤海造船所」の拡張中(5隻以上の原潜を同時建造できる規模らしい)です。

そのため日本は潜水艦の静粛性能を高めるためAIP機関よりも低振動な「リチウムイオン式電池」採用に踏み切ったと説明、リチウムイオン式電池は火災や発熱問題など安全性に対するリスクが付き纏いますが、AIP機関採用の潜水艦よりも優れた水中加速性能を日本の潜水艦にもたらすだろう言っており、日本は静粛性能と水中加速性能で中国に対抗するつもりだと評価しています。

さらにThe Driveは、リチウムイオン式電池による推進方式が通常動力型潜水艦のゴールデンスタンダードになるのかは今のところ不明ですが、少なくとも日本は潜水艦へのリチウムイオン式電池採用に自信を持っており、実用化に向けて順調にスケジュールを消化しているのは明らかだと付け加えました。

スウェーデン発祥のドイツによって普及されたAIP機関と同じように、日本がリチウムイオン式電池を採用した潜水艦の運用実績を積み重ねれば通常動力型潜水艦のゴールデンスタンダードに近づくと言う意味で、世界中の国が日本の「たいげい型潜水艦」に注目しているのは間違いないです。

因みに進水した潜水艦「たいげい」は艤装工事を行い2022年3月頃に就役する予定で、同艦の就役をもって海自の潜水艦22隻体制が完成することになります。

現在でも20隻以上の潜水艦隊をもち、旧式のAIP機関のものも含めて、その静寂性は世界のトップであり、リチュウム電池式は、ほとんど無音に近いです。これは、リチュウム電池にしただけでなく、元々日本の工作技術が世界トップ水準だからできることです。これを中国軍の対潜哨戒機は探知できません。逆に中国の潜水艦は日本が、簡単に発見できます。

であれば、尖閣が中国軍に占領されたとしても、ここに艦艇や航空機などを派遣したり、レインジャー部隊を派遣して、わざわざ中国軍の的にするのではなく、最初に潜水艦艇5隻くらい派遣して、尖閣諸島を包囲してしまえば良いです。

近づく中国の補給線や補給用航空機などは、近づけば破壊すると脅せば良いです。それでも近づけば本当に破壊すれば良いです。さらに、日本は機雷の掃海能力は世界一ですから、尖閣付近に機雷を敷設して、潜水艦隊の戦術を補うこともできます。

中国もこれに対抗して、機雷を敷設すると、掃海能力が格段に劣っているので、逆に自分で自分の首をしめることになりかねません。これに対して、日本は日本が設置した機雷はもとより、中国の機雷も容易に除去できます。

中国軍や民兵などが尖閣諸島に上陸したとしても、上記のような戦術をとれば、日本単独で上陸した勢力の補給を断ち、無能力化することができます。

そんなこと、日本ができるわけがないではないかという声も聞こえてきそうですが、実際に中国が尖閣諸島に上陸し、基地でも設置するそぶりを見せれば、状況は大きく変わるでしょう。そうなれば、中国が沖縄や日本に対して触手を伸ばしてくるだろうことは、誰にも予想がつきます。

しかも、米国の大手世論調査専門機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が10月6日に発表した世界規模の世論調査報告によると、多くの先進国における反中感情は近年ますます強まり、この1年で歴代最悪を記録しています。

同調査によると、反中感情を持つ14か国とその割合は、高い順番から日本では86%にも及びます。


尖閣にまかり間違って、中国が尖閣に上陸すれば、中国に対する国民感情はとりかえしがつかない程に硬化し、政府はどのような形にせよ、中国排除の方向で進むことになるでしょう。それとごろか、親中敵な自民党の派閥や、野党、マスコミなどは、国民の憤怒のマグマを直接浴びてとんでないことになるでしょう。そうして、憲法改正がなされ、日本も普通の国になるどころか、中国にとって大きな脅威になるでしょう。核武装についても国会で審議され、実行されるかもしれません。

国会で議論していると中国に既成事実化されてしまうなどという方もいらっしゃるかもしれませんが、3年や5年も放置しておけば別ですが、少なくとも2年以内くらいに決心して十分準備して中国の上陸部隊を兵糧攻めにすれば、中国軍はこれに対して何もできずお手上げになるだけですから、十分に間に合います。中国は怒りまくるでしょうが、どうしようもありません。

まかり間違って小型中距離核兵器でも使おうものなら、全世界から総スカンをくらうだけではなく、日本も核武装しかねず、そうなれば日本は中国にとって大きな脅威となるでしょう。

そんことになるのが、分かりきっているので、中国は尖閣地域で様々な示威活動をしたとしても、尖閣にはなかなか上陸しないのです。上陸して維持できる自信があれば、とうの昔に上陸しています。だから、尖閣諸島付近で示威敵行動を繰り返して、既成事実を作ろうとしているのです。裏返せば、軍同士で直接対決すれば、負けるのは明らかなので、それしかできないということです。

潜水艦隊戦ということになれば、米国も加勢しやすいので、おそらく早い時期から加勢すると思います。いやそれどころか、英国、インド、豪州も加勢するかもしれません。これで潜水艦隊の各国の合同チームができるかもしれません。日本の潜水艦隊はほとんど無音に近いステルス性を駆使して、情報収集の尖兵となり同盟国に中国軍の最新動向を伝えることになるでしょう。

これがうまくいけば、インド太平洋地域全域で日米英豪印協同で同じようなことをすれば良いです。そうすれば、中国軍はインド太平洋地域から駆逐できます。

そんなうまい話があるものかという方には、現実の中国の海洋進出がどうなっているかを示せばある程度ご理解いただけると思います。中国海軍のロードマップでは、2020年の今年は太平洋において第二列島線を確保することになっていますが、それどころか未だに尖閣を含む第一列島線すら確保できていません。それが中国海軍の実力です。

これは、どう考えてもいくら中国が空母や最新鋭といわれる艦艇や、宇宙兵器や超音速ミサイルを開発したとしても、そもそも哨戒能力が格段に劣っているので、結局中国の護衛艦や潜水艦もすぐに撃沈されてしまうので空母を護衛できず、中国艦隊も島嶼上陸部隊も用をなさないということです。結局中国海軍は政治的な意味しかもたず、海洋の戦いは、金をかけてもボロ船(哨戒能力が極度に低い)しかつくれない陸上国の中国には無理なのです。

とはいえ、油断は禁物です。以前にもこのブログに述べたようにランドパワーの中国が、海洋進出を諦めて、陸に専念するようになれば、国境を接している国々にとって大きな脅威となります。

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