【ダスキン(4665)】は10月24日、傘下のドーナツチェーン店ミスタードーナツにおいて11月1日から一部商品を値下げすると発表した。既存のドーナツやパイのサイズを1割~3割強小さくし、価格を値下げする。さらに同日から低価格の商品を発売し、安さをアピールする狙いがあるようだ(【発表リリース】)。
ミスタードーナツ側では「お手軽・お手頃、フレンドリー」をテーマに商品を展開。消費者側の低価格・予算限定志向に対応するため、単価を切り下げて 多くの商品を手にとってもらう狙いがある。以下の10商品の規格を変更した上で価格を切り下げ、さらにドーナツ・パイ・マフィンの商品平均単価をこれまで の125円から119円に切り下げる。
価格・規格改定対象商品一覧
一方公式ページには11月1日から新展開するドーナツたちの一覧が【掲載されている】。
新展開のドーナツたち(赤い星印は上記一覧にある、サイズを小さくして価格を値下げしたもの)
ミスタードーナツ側では【ミスド、ドーナツ価格を来年2月から平均8%値上げ】で も触れたように、小麦粉などの原材料高騰に伴い価格を値上げしている。しかし消費者の消費抑制傾向は想定をはるかに超えたものだったようだ。そのため、今 回一部サイズを縮小することなどで単価を下げ、「小さいアイテムを盛りだくさん選んでもらう」という「薄利多売」にややシフトチェンジして対応したものと 思われる。
各社様々な金融危機後の経済に対応、イノベーションはなるか?
このミスタードーナツの対応、今の主流だと思います。小売業界でも、イオングループが平均20%の値下げ、ヨーカドーグループが、最大50%の値上げをして来年2月くらいまで実施するそうです。ミスタードーナツは昨年リッチ・ドーナツを売り出しました。リッチ・ドーナツ専門店もオープンしました。その後、小麦などの値上がりがあって、この作戦は周りの状況にぴったりだったと思います。
そうして、イトーヨーカドーやイオングループなどでは、原油高等や穀物相場の高騰で値上げせざるを得なく、値上げをしてきたというのが実情でした。最近では値下げを決定する前から、売り場でNB(ナショナルブランド:メーカのブランド)が急激に減少し、スーパー各社のPB(プライベートブランド:スーパー各社のブランド)が増えていました。これもPBであれば、NBよりも価格を低く抑えることができるためです。
しかし、これもすっかり金融危機の影響により、円高や原油減などにより状況が変わってきました。おそらく、消費者心理はこれからしばらくは冷え込むことがあったとしても、消費意欲が旺盛になるということは考えられません。
これらの対応として、スーパーや飲食店でもすばやく対応しているということだと思います。まさに、変化への対応が小売業などの宿命です。
しかし、私自身は、この経済が停滞する時代において、イノベーションが起こることを期待しています。このことについては、この不況に突入最中にアメリカでのウォルマートでは新業態を計画し、サブプイム・ローン問題が確実になりつつある10月4日に、その新業態「マーケットサイド」をオープンしたことを私のブログに書きました。
そうして、現在のすべてのスーパーの原型になった業態ができたのは、まさしく、1920年代の金融恐慌の時期であったこと、さらに、1970年代第2次オイルショックの最中にウォルマートが今日のエブリディ・ロープライスを走らせたことも掲載しました。日本でのコンビニエンスストアの成り立ちもまさに、社会に対応していました。だからこそ、急激に伸びることが可能だったのです。セブンイレブンも成立当初から、そうして今に至るまで社会の変化に対応する姿勢を維持してきたからこそ、大発展することが出来たのです。
ウォルマートは、最初は、牛乳・卵などの数点からエブリディロープライスを開始して、だんだん拡大していき、今日に至っています。
私のブログでは、以前不況の時代にこそ新たなイノベーションがあると書きましたが、正確には、不況とは、実は大きな社会の変化が起こっているにもかかわらず、それを無視して従来のインフラやシステムのまま行政、民間会社や非営利組織などが動き続けているうちに、実社会とインフラやシステムとの間に乖離ができてしまい、それを埋めきれずに金融危機や経済の停滞が起こるのだと思います。最近次号のニューズ・ウィーク誌にノーベル賞を受賞したポールクルーグマン氏が『理想社会のモデル』という論考を掲載するそうです。まだ、内容は読んでいませんが、世界第一級の経済学者が「理想社会のモデル」として、社会に重きを置いているというのは、まさに我意を得たりという感じでした。これについては、この記事を読んだらまた論評したいと思います。
今回の金融危機もまさにそういうことだと思います。社会が変わったら、それに対するインフラや、システム改革をするのには、それ相当の投資が必要です。それに投資して、変わった社会に対応していれば、実態経済もさほど悪くならず、今回の金融危機も起こらなかったかもしれません。これについても、誤った個人主義が今回の金融危機の真の要因であるということをこのブログに書いたので、ここでは本筋からそれるので書きません。
最後に私のいいたいことは、上記の日本のスーパーや飲食業の実施した事柄は変化への対応であっても、社会的イノベーションではないということです。不況にいたりそうないまこそ、大きな社会の変化への対応ができていないことの矛盾が一気に吹きでてきて、私たちは本格的対応に迫られます。そうして、上記のような変化の対応だけで済ませるのではなく、真正面から取り組みイノベーションを実行する人、会社が次世代の覇者になるのだと思います。そうして、国家としてこの対応ができたところが、次の時代の覇者になると思います。そうして、日本は基本に立ち返ることができればその可能性の高い国だと思います。
【関連記事】
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■東証急騰、終値1171円高 過去最高の上昇率―今はビジネスチャンスが溢れている?!(ウォルマートの新業態についても掲載してあります)
日本国内ではインフレターゲット理論ばかり強調されるクルーグマン氏ですが、氏がかつて著書の中で「ローカル化する先進国の経済」について語っ ていました。まさしく実体経済はそうだと思います。昨日は、東証も過去最高の上昇率を記録しました。しかし、私はあまり近視眼的な株価の上昇、下落には関 心がありません。株価は、しょせんディラーの直近の心理状態を現すだけのものだと思っています。当面この金融危機に関しては、信用不安だけ解消されれば十 分だと思っています。それよりも、この金融危機の本当の意味を捉えることが重要だと思います。先進諸国ではすでに20世紀の後半部の時点で、それまでとは 全く違う「異質な社会」に突入しています。この異質な社会に対応する新しいインフラ作り、システム(制度、IT含む)開発が必要不可欠ですが、今までは不 十分でした。そのため、先進国ではいたるところに、ビジネスチャンスが溢れていると思います。このチャンスをいかすことにより、各所でイノベーションがお これば、先進国の社会は飛躍的に良くなり、ひいては実体経済も大躍進すると思います。それにしても、この理屈、口で言うのは簡単ですが、楽ではありません ね。特に「似非経済・金融」で頭が凝り固まっている人々には語っても何も理解できないと思います。
■これが時の人?北海道新聞長谷川綾様-日本の政治家の良さもあげてみて?
北海道新聞もやってくれますね。かつてドラッカー氏が著書の中で「偉大な人物の召使ほどかわいそうなものはない、その人物を偉大たらしめてい る、属性とは全く関係のない他の属性を毎日みせつけられるのだから」と語っていました。この新聞記者も麻生さんの召使なのでしょうか?まあ、麻生さんま だ、偉人といわれるほどの業績を残しているとはいえないとおもいますので、あてはまらないかもしれません。しかし、私は、もともとの日本の政治家や官僚の 良さというものをもう一度見直してみる必要があると思います。それは、彼らが、「社会」を最優先としてきたことだと思います。
■09年、日米欧はゼロ成長 IMF世界経済見通し 世界も7年ぶり低水準-シュムペーターの創造的破壊を思い起こす時!
現在金融危機の真っ最中ですが、私はこの危機背景として、特にアメリカではノーベル賞科学者のポール・クルーグマン氏がここ数年ブッシュ政権を 激しく非難してきたように、結果として健全な社会づくりではなく、壊したきたということがあると思います。金融経済はまた別の次元として、アメリカでも本 当は金融経済の興隆の陰にかくれていたものの、実態経済は悪化していたのです。実体経済と金融経済の乖離があまりも激しくなったことが今回の金融危機の真 の原因です。さて、金融危機関して何とか乗り切れると思います。しかし、実体経済を良くするには、壊れた社会をあるべき姿にしていく必要があります。その ためは、いまこそ経済学者のシュムペーターのいう創造的破壊を思い起こすべきだと思います。しかも、現代風に実践する必要があると思います。
■P.F.ドラッカーの『ネクスト・ソサエティー』―ポスト金融危機を生き抜く知恵
私のブログでは、金融危機後「健全な社会」を作り出すことが、健全な実体経済を取り戻す最短の道であることを訴えてきました。しかし、多くの 人の頭の中「経済・金融」というキーワードで埋め尽くされ、「社会」など何も関係のないことと思っているかのようです。そんなことはありません。私のブロ グではドラッカーの「ネクスト・ソサエティー」について取り上げてみました。この中でドラッカー氏は、すでに先進諸国の「社会」はそれまでの社会とは全く 違う「異質な社会」に突入していることを強調しています。一方ではあまり関係ない ように見える、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏のここ数年の辛らつな「ブッシュ批判」は、形こそ違え結局は「健全な社会」を作くるどこ ろか、壊してきたことに対する批判だったと思います。結局は、クルーグマン氏も「健全な社会」を作りだすべきことを主張していたのだと思います。もう「金 融・経済」だけでは、何もかもが八方塞になってしまいます。いまこそ、異質な社会に対応するためのインフラ革新と、システム革新が必要不可欠です。詳細は 是 非私のブログをご覧になってください。
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