2010年1月10日日曜日

驚異の衝撃吸収材”d3o”とは-このイノベーションはどこからやってきたのか?

What is d3o™? 驚異の衝撃吸収材“d3o™”とは







d3o™
HYOD PRODUCTSがレザースーツを始めとするライディングウエアの発売を開始して、はや5年。その中で、より動き易く、そしてより安全性の良いプロテクターの開発で発見したのが、驚異の衝撃吸収素材d3o™でした。この素材はイギリスのd3o™lab社が開発・製造し、簡単に言えば、受ける衝撃の強さで分子の結束が変化する素材です。何も衝撃が加わっていないときや衝撃が弱いときには、分子同士は自由に動き、素材は非常に柔軟です。それが一度、強い衝撃を受けると、瞬時に分子同士が手を繋ぐように結束して、網=ネットのような状態になり衝撃を吸収し分散します※。そして、衝撃が弱く、または無くなってしまうと、分子の結束は解かれ、元の柔軟な状態に戻るのです。分子自らが衝撃の強さを感知し、結束を変化させ、そして復元することから“intelligent shock absorption” 、すなわち知的衝撃吸収と呼ばれています。
  • プロテクション素材自体が、金属の様に硬く(ハード)固まり衝撃を拡散するものではありません。
たとえば、上手い野球選手やサッカーのゴールキーパーは、ボールを受けるときに、衝撃を和らげるために少しグラブや手を引きながら捕球します。手に充分な力が入っていなければ、ボールに弾かれてしまいますし、逆に強く突っ張っていたのでは、ボールの衝撃をモロに受け相当痛く、正確な捕球もできないでしょう。d3o™は上手い選手と同じで、衝撃の強さに応じて吸収・分散するのです。 また、d3o™は、バイクのサスペンションとも似ています。サスは大きな入力があればダンパーが強く効き、小さいと弱く、そして元の状態に戻ります。ヘルメットのライナーやクルマのボディは、衝撃を吸収・分散しますが、自らが壊れることで行っているので元の状態に戻れず、2次衝撃が同じ個所にあった場合は、機能を充分に発揮できません。一方d3o™は元に戻り同じような能力を維持していきます。
d3o™のベース材は、オレンジ色のベトベトした粘度(スライム)のような物で、これを成型してウエアなどのプロテクション材として使えるようにします。成型された物はメッシュ状など何タイプもありますが、d3o™は柔軟なので、ライダーの動きや姿勢で変化するような個所に使えるのも特徴です。レザースーツに採用されている、ヒップ部分などハードシェルを使えない個所(正確には使えても、動きを妨げてしまう箇所)には最適で、膝、肘、肩などはハードシェルと組み合わせることでプロテクション効果が一段と高くなります。
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d3o™はすでにスキー、自転車、登山用のプロテクター、スポーツ用シューズ、バレエシューズなどに使用されています。HYODではレザースーツ本体をd3o™lab社に送り、コンセプトやその製品作りが認められ、今回、正式採用となったのです。HYODレーシングスーツへのd3o™プロテクションの開発にあたっては、2007年よりd3o™ラボの全面的な協力体制のもとでスタートしました。そして、2008年の鈴鹿8時間耐久ロードレースにおいては、見事優勝を収めたホンダレーシングの清成龍一選手のレーシングスーツや、数回の転倒にもかかわらず、怪我もなく8時間の長丁場を、4位入賞で完走したヨシムラスズキの加賀山就臣選手や秋吉耕佑選手のレーシングスーツにもd3o™プロテクションを採用し、実戦で使用することでその効果を実証しています。
d3o™ プロフィール
CEO(最高経営責任者)リチャードパーマー氏により2001年にイギリスで設立。
d3o™テクノロジーと称される、衝撃から守る柔軟なプロテクション素材をd3o™ラボが革命的に発見する。d3o™は「intelligent shock absorption」という名の通り、知的な分子を持ち、衝撃を吸収、拡散する素材で、通常は好きなように動いているが、衝撃を受けると瞬時に分子同士が結合し、衝撃エネルギーを吸収、拡散する。

衝撃に対してd3o™は優れたショックアブソーバー、インパクトアブソーバーの働きをするのが特徴。しかも衝撃がなくなるとまた元通りの状態を取り戻すという特性をもつ。
衝撃を吸収するのと同時に、自由な動きも必要とするような場において、その応用可能性が高く、世界的に注目を集めている。



このイノベーションはどこからやってきたのか?
このイノベーション素晴らしいと思います。これから、いろいろな分野で使われるものと思います。今のところ、スキーウェアや、ライダースーツなどに用いられているようですが、それこそ、軍服や、宇宙服や、いろいろ危険なとこで用いる作業服とか、さらには、精密機などを運ぶ際の容器とかなどです。まだまだ、用途はあることでしょう。
このイノベーションは、まさに、ドラッカーの至言を思い出させるものです。ドラッカー氏は、「最早、ある特定の産業の製造技術は、その産業内からは生まれてこない、全く別の分野から生まれてくる。たとえば、製薬の分野がそうだ、今や新しい製薬は、バイオテクノロジーの分野から生み出されている。通信の分野もそうだ、この分野の新技術である光通信に用いる、光ファイバーは、通信分野の企業や研究所から生まれたものではない、コーニング社と言うガラス製造の会社から生まれたものである。もはや、特定の分野の産業で使われる技術は特定の分野の企業や研究所から生まれてくるのではく、全く別の分野から生まれてくる。だから、トップマネジメントは、自分の属する産業内のことにだけ感心をもっていてはならない、他の分野にも関心を持つべきである」と氏の著作でのべていました。
まさに、その通りです。この"d3o"という素材は、まさに、高分子化学という分野の研究から生まれたものです。このライディングウェアのHYOD PRODUCTSという企業が、ライディングウェアという分野の中の常識的な素材である繊維や、皮革、人工皮革などにばかり拘っていたら、今日のこうしたイノベーションはなかったと思います。
このようなことは、これからたくさん起こり得ると思います。たとえば、IT産業には、これからは、IT産業以外の認知科学とか、心理学とか、社会学などの分野の研究がおおいに役にたつと思います。それに昨年IBMは、昨年DNDの自己組織化を活用した回路設計技術を開発しました。これは、従来の回路開発技術とは全く無縁のバイオ技術によるものです。いずれ、従来の開発技術の限界を突破します。日本では、秋葉で売っているような、部品を多数使用して多重並行回路を作り出しスパコンの速度に匹敵するコンピュータを作ったという事例などあります。これは、スパコン事業仕分けの妥当性を示すための論拠にもなっているようですが、こうした背景から考えると、全く問題外だと思います。既存の部品を使っている限り、既存の限界は突破できません。
また、IT産業以外の産業では、それとは全く関係ないと思われた農業、畜産業、漁業などIT用いられていますし、これかもそういうことがさらに増えてくると思います。
いずれにせよ、私たちは現在いわゆるデフレの中にありますが、こうしたイノベーション多数起こすことにより、人々は新しい商品やサービスを多く求めるようになり、消費活動も増え、デフレ克服の契機にもなると思います。
本日は、この素材の素晴らしさに触発されて、ブログを書きました。このような、イノベーション、無論、業界が異なるので、全く同じようなことはできないでしょうが、自分たちの分野でも、起こしていきたいものです。
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