2012年2月29日水曜日

もしかして“仕事をしたつもり”になってない?−【私の論評】原点はドラッカーに!! 読むなら原点を読もう!!

もしかして“仕事をしたつもり”になってない?

□ 結構、一生懸命仕事している
□ まわりもそれを認めていて、非難する人はいない
□ でも、成果があまり出ない
これに当てはまる人、いませんか? 正直、私はちょっとドキッとしました。

毎日くたくたになるまで働いて、その努力は認めてもらえても、結果が出せない……。自分は違うと思っていても“仕事をしたつもり”を意外とやってしまっているかもしれません。

なぜこのようなことになってしまうのでしょうか?

『仕事をしたつもり』によると、ルールや体裁を整えることこそが自分の仕事になってしまっていること、さらにそれに疑問を持たないことが原因とのこと。

例えば、会議。何枚もの凝った資料を作成するより、1枚の箇条書きの資料を用意し、空いた時間を考えることに費やすほうが有用なのではないでしょうか。例えば、おしゃれなお店の地図。デザイン重視のため、なかなかお店にたどり着けず、結局検索し直すことになっていませんか。

などなど、この他にもよく考えてみれば無駄だなあと思うことが、本書には多々事例として載っていて、「確かに……」と読み終わった後、ぐうの音も出ませんでした。

何も考えずに仕事をしたつもりでいれば、失敗しても咎められることはなく、残業するからお金も沢山もらえ、頑張っているように思わせることができるので、“仕事をしたつもり”は根深い慣習になっているようです。

でも、一見良いことづくしで得をしているようなこの状況は、ほんの目先の話で、今後転職や独立など転機を迎えたとき、仕事生活を全うできるかは不安がよぎります。

この甘い蜜を吸っている状況に危機感や退屈感を持った人は、どうすればいいのでしょうか。それは、
・「なぜ」としつこく考えること
・そもそもの目的はなんなのか前提を考えること
この2つを日々意識することだそうです。当たり前のことのようですが、意外と忘れがちかもしれません。

皆さんも“仕事をしたつもり”から抜け出してみませんか?

【私の論評】原点はドラッカーに!! 読むなら原点を読もう!!

さて、上の記事は書籍『もしかして"仕事ををしたつもり"になってない?』の内容を掲載したものですが、これを読んでいてすぐに、ピンときたのですが、これは、結局ドラッカーが著書でいっているところの、『貢献』ということだと理解できました。結局、いくら働いたとしても、上司、同僚、部下そうして会社あるいは顧客に貢献しなくては、何にもならないという、ある意味当たり前といば、当たり前のことです。




しかし、上の書籍では、この「当たり前」のことが意外とできていないことを主題としているのだと思います。この時点で、私には、全くこの書籍に対する興味を失いました。なぜなら、この書籍を読むくらいならドラッカーの『マネジメント』を読見返したほうが、はるかに価値があるように思えたからです。


特に、いわゆるマネジメントに関するものでは、ほとんどの書籍がドラッカーの焼き直しのようなものです。ドラッカー氏が残した書籍を超えるようなものはほとんどないと思います。そうして、いわゆ体系として掲載されている書籍に関しては、ドラッカー氏を超えることはないと思います。表面的には、なにやら新しいことを掲載されてるように見えても、結局は、ほとんどがドラッカーの焼き直しで、事例が新しいに過ぎません。


これを納得していただくため、ドラッカー氏の書籍から、『貢献』という言葉が含まれているものをいくつかピックアップしておきます。どの文章も、いくつかの書籍から私自身がまとめたものです。しかし、考え方はすべてドラッカー氏のものです。




〈知識労働者と貢献〉
組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである。組織の活動や業績とは、企業の場合新製品を出すことであり、市場で大きなシェアを獲得することである。病院の場合は、患者に優れた医療サービスを提供することである。組織のそのような能力に実質的な影響を及ぼすために、知識労働者は意思決定をしなければならない。命令に従って行動すれば良いというわけにはいかない。自らの貢献について責任を負わなければならない。




〈管理者について〉
管理者の仕事は、組織の目標によって規定される。しかも実体がなければならない組織の成功に対し、目に見える貢献を行わなければならない。管理者の仕事は、極力大きなものにしなければならない。明示的に制約されない限り、あらゆることについて権限を持つものとしなければならない。

彼らの仕事は上司ではなく、仕事の目標によって方向づけされる。それは、組織が遂行すべき課題のゆえに存在する。ほかに理由はない。事業全体の成果を指し示し、ここのところは私が貢献したと言えなければならない。情報の中継点にとどまってはならない。



〈組織の優劣について〉
組織の優劣は、平凡な人間をして非凡なことをなさしめるか否かにある。企業がどれほどのものかは、それら3つの問いに社員のどれだけが、なんのためらいもなく、即座にイエスと答えられるかによって知ることができる。その問いとは、

「あなたは敬意をもって遇されているか」「あなたは貢献するうえで必要な教育訓練と支援を受けているか」「あなたが貢献していることを会社は知っているか」である。

どのように、優れたビジネスモデルにしても、組織構造にしても、人のエネルギーがあってこそのものである。だが、そのためには最高の力を発揮してもらい、最大の貢献をしてもらうための手立てを講じなければならない。



〈組織の精神について〉
“業績への貢献”を企業の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”の決定において、真摯さとともに、経済的な業績を上げる能力を重視しなければならない。致命的になりかねない“重要な昇進”とは、明日のトップマネジメントが選び出される母集団への昇進のことである。それは、組織のピラミッドが急激に狭くなる段階への昇進の決定である。

そこから先の人事は状況が決定していく。しかし、そこへの人事は、もっぱら組織としての価値観に基づいて行なわれる。重要な地位を補充するにあたっては、目標と成果に対する貢献の実績、証明済みの能力、全体のために働く意欲を重視し、報いなければならない。

さて、これはドラッカーの書籍から、『貢献』というキーワードを含んでいる文章わたしが恣意的にいくつかピックアップしたものです。ドラッカーの書籍には、この『貢献』ということばが頻繁にでてきます。

そうして、皆さん私の言いたいことはもうおわかりでしょう。この書籍などの著者の方々には、商売の邪魔をしているようで申し訳ないのですが。やはり、読むならドラッカーを読みましょうということです。たとえば、上の書籍きっとわかりやすく書いているのだとおもいます。

だから、とっつきやすくて最新は良いかもしれません。しかし、上記の書籍では、おそらく、マネジメントの一部分をピックアップしているのみで、全体を体型的に述べているわけではないと思います。だから、書いてある事例のときは良いかもしれませんが、ドラッカーの書籍のように、体型的に原理原則が書かれているわけではありません。であれば、いずれ、読んでも忘れてしまうことのほうが多いと思います。しかし、ドラッカーの書籍の場合は、全体像が浮き彫りにされています。特に、「マネジメント」はそうだと思います。後から何度読み返してもまた、新しい発見があったりします。

いずれにしても、かなり多くの書籍が結局部分的にドラッカーの書籍を局面ごとに焼き治して、ドラッカーの書籍とは異なる事例を掲載して一見理解しやすそうにみせているだけといっても過言ではありません。

だからこそ、ドラッカーを読むべきと思います。皆さんは、どう思われますか?



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2012年2月28日火曜日

橋下バブルに踊る懲りない“シロアリ”たち―【私の論評】潰し屋に惑わされることなく、今は国家についての認識を高めて自分自身を信じるべき!!

橋下バブルに踊る懲りない“シロアリ”たち

<あの竹中平蔵まで虎視眈々>


こりゃあ、橋下特需だ。表舞台から完全に消えていたメンメンが、「橋下ブレーン」を名乗るだけで、やたらとスポットライトを浴びている。その筆頭が、大阪市の特別顧問に就いた中田宏・前横浜市長(写真上)(47)と山田宏・前杉並区長(写真下)(54)だ。テレビの報道番組に出まくり、新聞や雑誌のインタビューを受けたりと引っ張りダコ。現職市長として地元・大阪で多忙の橋下に代わって、在京メディアで「船中八策」を解説して回り、「新しい政治基盤をつくるために働きたい」と鼻息が荒い。


だが、この2人には厳しい視線も向けられている。
「2人揃って首長職を任期途中で放り出した“無責任”政治家。日本創新党をつくって一昨年の参院選に出馬したけれど、ともに当選ラインから大きく外れて落選しました。橋下市長にくっついているのも知名度アップの売名行為にしか見えません」(永田町ベテラン秘書)
橋下特需で仕事が増えているのは「維新政治塾」で講師を務めるという東国原英夫・前宮崎県知事(写真下)(54)も同じ。ネット証券4社合同で3月に開催する講演会で「どげんかせんといかん」というお題で話をするが、講演会全体のテーマは「激動する世界を見すえた資産運用」。どげんして、この男が呼ばれたのか?

橋下に群がる“シロアリ”はゾロゾロ出てくる。小泉政権で閣僚も務めた竹中平蔵・慶大教授(60)と、経営コンサルタントの大前研一氏(69)も関係をアピールしている。



「竹中氏も大前氏も、以前から橋下市長が教えを請う間柄です。橋下さんはああ見えて、目上の人への対応は謙虚で丁寧。竹中氏は『大都市の競争力強化は国の経済力を高める』と言って応援していますし、大前氏は『独裁者・橋下徹を肯定する』という論文を書いた。2人とも政界では昔の名前になりつつありますが、橋下氏にくっついて再登板を狙っているのでしょう」(事情通)



橋下との仲を触れ回って、東京・大阪・名古屋の3都構想を訴える大村秀章・愛知県知事(51)もシロアリだ。一県知事が上京したって通常は全く注目されないのに、橋下との仲介役ぶっているから「石原都知事と会談した」とか「亀井静香に会った」とニュースになる。



だが、過去から這い出たシロアリたちが、どれほどのものなのか。国民はよーく凝視した方がいい。

(日刊ゲンダイ2012年2月25日掲載)


【私の論評】潰し屋に惑わされることなく、今は国家についての認識を高めて自分自身を信じるべき!!




私は、「過去から這い出たシロアリたちが、どれほどのものなのか。国民はよーく凝視した方がいい」という上記のサイトの一文の「国民」という単語を「橋下さん」と変えるべきであると思います。なぜ、このようなことを言うかといえば、良くも悪くも、現在橋下さんは、台風の目になりつつあります。しかし、私自身は、橋下さんは、まだまだ、国政に関してはかなり疎いと思いますので、まずは、今のところは、上記でいうシロアリ(その根拠は薄弱なものもありますが)と呼ばれる人や、他の人が、いずれ時がたてば、潰し屋さんになるかもしれないことを認識すべきです。これは、自民党の総裁や、民主党の代表がコロコロ変わったことでも理解できます。時がたてば、潰し屋さんになるかもしれない人たちに惑わされることなく、今はまずは、日本という国家に対する認識を高めていただきたいと思います。これについては、経済に関して、以前このブログにも掲載したことがあります。

ただし、橋下さんは、今でも自分自身は、「国政はまだ」と語っているので、安心はしているのですが、国政にどうのということで動くのは、早くても、次の次の衆議院議員選挙のときくらいにすべきであって、それより早くすれば、おそらく、失敗するものと思います。

それにしても、最近の動きに関しては、拙速さが目立つようになってきていると思います。そのさいたるものが、『維新八策』です。以下にその骨子のみ掲載しておきます。(無論全部読む必要などさらさら、ありません。ただ、項目がかなり多くというか、あまりにも多すぎであることを実感していただきたく、以下に掲載しました)
(1)統治機構の作り直し
・国の仕事を絞り込む=国の政治力強化

・内政は地方に任せる=地方・都市の自律的経営に任せる

・被災地復興は、被災地によるマネジメントで→復興担当大臣などは被災地首長

・国家の面的全体運営から点と点を結ぶネットワーク運営

・中央集権型から地方分権型へ

・国と地方の融合型から分離型へ

・地方交付税の廃止

・自治体破綻制度

・税源の再配置

・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で=権限と責任の一致

・地方間財政調整制度=地方共有税制度の創設

・地方間で調整がつかない場合に国が裁定

・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想

・道州制

・首相公選制

・参議院改革→最終的には廃止も視野

参議院議員と地方の首長の兼職=国と地方の協議の場の発展的昇華、衆議院の優越の強化

(2)財政・行政改革

・プライマリーバランス黒字化の目標設定

・国会議員の定数削減と歳費その他経費の削減

・国会改革=役人が普通のビジネス感覚で仕事ができる環境に

・首相が100日は海外へ行ける国会運営

・政党交付金の削減

・公務員人件費削減

・大阪方式の徹底した究極の行財政改革を断行

(3)公務員制度改革

・公務員を身分から職業へ

・価値観の転換

・安定を望むなら民間へ、厳しくとも公の仕事を望むなら公務員へ

・大阪式公務員制度改革を国に広げる

・外郭団体改革

・大阪職員基本条例をさらに発展、法制化

(4)教育改革

・格差を世代間で固定化させないために、最高の教育を限りなく無償で提供

・教育委員会制度の廃止論を含む抜本的改革

・首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視

・教育行政制度について自治体の選択制

・学校を、校長を長とする普通の組織にする

・大学も含めた教育バウチャー(クーポン)制度の導入

・生徒・保護者による学校選択の保障

・大阪教育基本条例(教育関連条例)をさらに発展、法制化

(5)社会保障制度

・受益と負担の明確化(世代間格差の是正)

・年度毎のフローでの所得再分配だけでなく、一生を通じてのストックによる所得再分配

・一生涯使い切り型人生モデル

・現行の年金制度は一旦清算=リセット

・年金の積立方式への移行(最低ライン)

・さらに、資産のある人は、まずはその資産で老後の生活を賄ってもらう→掛け捨て方式(ストックでの所得再分配)

・何歳まで努力をしてもらうのか、老後いくらを保障するのかを設定=事前告知→それに合わせた保険料を設定

・保険料は強制徴収(税化)

・リバースモーケージ(所有不動産を担保に年金のような融資を受ける仕組み)の制度化

・持続可能な医療保険制度の確立=混合診療解禁による市場原理メカニズムの導入

・持続可能な生活保護制度の確立=就労義務の徹底

・ベーシックインカム(最低生活保障)制度の検討

(6)経済政策・雇用政策・税制

・新エネルギー、環境、医療、介護などの特定分野に補助金を入れて伸ばそうとするこれまでの成長戦略と一線を画する「既得権と闘う」成長戦略~成長を阻害する要因を徹底して取り除く

・徹底した規制緩和による新規参入、イノペーション

・現在存在する社会インフラの徹底した選択と集中

・ストックの組み替え=高度成長時代に造られたストックを成熟した国家にふさわしい形へ

・経済活動コストを抑え、国際競争力を強化

・マーケットの拡大=自由貿易圏の拡大→TPP/FTA

・大きな流れ(円高、海外移転など)に沿った対策=大きな流れを人工的には変えられない

・労働集約型製造業の海外移転は止められない

・貿易収支から所得収支、サービス収支の黒字を狙う

・円高による輸入業の儲けを輸出業の損失へ=円高による為替差損益の調整制度(ソブリンデリバティブ)

・高付加価値製造業の国内拠点化

・サービス産業の拡大=ボリュームゾーンの雇用創出→IR型リゾートなど

・医療・介護・保育の分野では一方的な税投入による雇用創出をしない=ユーザーの選択に晒す

・産業の淘汰を邪魔しない=産業の過度な保護は禁物

・人は保護する=徹底した就労支援

・労働市場の流動化、自由化→衰退産業から成長産業へ、外国人人材の活用

・教育機関による人材養成=グローバル人材の養成

・女性労働力の徹底活用

・フローを制約しない税制=民間でお金を回す(使わせる)税制

・一生涯使い切り型人生モデル

・資産課税=固定資産税は現金化、死亡時に精算(フローを制約しない)

・使った分(設備投資、給料、消費)は消費税以外は非課税

・国民総背番号制によるフロー・ストックの完全把握

・(全商取引の把握=非課税となる要件)

・国民総確定申告制

・超簡素な税制=フラットタックス

・減免、特措法などは原則廃止

・夫婦、障害者、事業承継が課題(方策の一例~一定規模の事業で雇用創出をしている場合のみ、事業承継を認める?それとも原則通り一代限り?資産の売却?)

・脱原発依存、新しいエネルギー供給革命

(7)外交・防衛

・自主独立の軍事力を持たない限り日米同盟を基軸

・加えてオーストラリアとの関係強化

・日米豪で太平洋を守る=日米豪での戦略的軍事再配置

・2006年在日米軍再編ロードマップの履行

・同時に日本全体で沖縄負担の軽減を図る更なるロードマップの作成着手

・日米地位協定の改定=対等

・国際標準の国際貢献の推進

・国際貢献する際の必要最低限の防衛措置

(8)憲法改正

・憲法改正要件(96条)を3分の2から2分の1に緩和する

・首相公選制

・参議院の廃止をも視野に入れた抜本的改革

・衆議院の優越性の強化


以上は、船中八策(せんちゅうはっさく)という幕末維新期、土佐藩脱藩志士の坂本龍馬が、慶応3年(1867年)に起草した新国家体制の基本方針、とされるものを意識して作成されたのは、いうまでもないことですが、これをもともと、の船中八策と比較してみると、あまりにもチマチマしすぎているようにみえます。

ちなみに、下にもともとの、船中八策を掲載しておきます。

一、天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事。
一、上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事。
一、有材ノ公卿諸侯及ビ天下ノ人材ヲ顧問ニ備ヘ官爵ヲ賜ヒ、宜シク従来有名無実ノ官ヲ除クベキ事。
一、外国ノ交際広ク公議ヲ採リ、新ニ至当ノ規約ヲ立ツベキ事。
一、古来ノ律令ヲ折衷シ、新ニ無窮ノ大典ヲ撰定スベキ事。
一、海軍宜シク拡張スベキ事。
一、御親兵ヲ置キ、帝都ヲ守衛セシムベキ事。
一、金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事。
以上八策ハ方今天下ノ形勢ヲ察シ、之ヲ宇内万国ニ徴スルニ、之ヲ捨テ他ニ済時ノ急務アルナシ。苟モ此数策ヲ断行セバ、皇運ヲ挽回シ、国勢ヲ拡張シ、万国ト並行スルモ、亦敢テ難シトセズ。伏テ願クハ公明正大ノ道理ニ基キ、一大英断ヲ以テ天下ト更始一新セン。
公議政体論のもと、
憲法制定
上下両院の設置による議会政治
不平等条約の改定
海軍力の増強
御親兵の設置
金銀の交換レートの変更

など、当時としては画期的な条文が平素な文章として記されています。福井藩の政治顧問であり、龍馬との親交もあった横井小楠の思想からの影響も指摘されています。

8番目の経済政策は、海援隊を組織して貿易を行なっていた龍馬らしい着眼点といえます(金銀の交換レートが国内と国外で異なっていると、二国間で金銀の交換を行なうだけで利益を上げられるので、貿易や物価安定に好ましくない)。

薩土盟約や土佐藩の大政奉還建白書、五箇条の御誓文にまで連なる内容を持っています。 明治政府が憲法の制定と議会開設まで、政府機構を何度も変更し迷走したことを考えると、時代を先取りしていたと言えます。(下の写真は、宮内庁が公開する坂本龍馬自筆の薩長同盟裏書=宮内庁提供)




坂本龍馬の文章はいずれも、非常に、わかりやすい簡潔なものだと思います。それに比較すると、維新八策は、本当にチマチマしていて、まるで、役人が書いたような文章で、なぜこのように下位の部分まで書いてしまうのか理解に苦しみます。こんな細かいことを書き連ねてしまえば、実際に活動していく上で、かなりの制約になると思います。これでは、何かどこかの企業の長期経営戦略か何かのようにみえてしまいます。維新の会は、まだまだ、出来上がったばかりです。まだ、国政に参加しているわけでもありません。それに、トップの橋下さんは、未だ大阪市長です。

維新八策は、企業であれば、設立趣意書のようなものだと思います。設立趣意書が、長期経営戦略のようであっては良いはずがありません。であれば、あんなに書き連ねるのは間違いだと思います。本来はどんな会派なのかはっきりさせ、さらに、結局何をやりたいのかはっきりさせるだけで良いのであり、そのやり方まで細かく書き連ねることは間違いです。こんなことからも、橋下さんには、今は良いブレーンがついていないことをうかがわせます。

そうして、なぜ、上のように細かなことまで書いてしまうのかといえば、いわゆる、シロアリさんたちなのだとおもいます。このシロアリさんたちの思ったことで、あまり、咀嚼されていないことでも、拙速に入れてしまったのだと思います。ここでは、わざわざ書きませんが、これが、多分このシロアリさん、あれは、多分このシロアリさんと特定できそうな部分さえあります。まずは、大括りで、どのような国にしたいのかを前面に打ち出すだけで良いのであって、そのやり方は、それこそ議論百出で、つめていくというのが正しいやり方だと思います。

それから、こういうものの失敗例があります。それは、ご存知民主党の政権交代のときのマニフェストです。あれだけ、詰めの甘い段階で、いろいろと具体的に書いてしまい、結局はなに一つ実行できず、実行できる見込みもありません。結局、あまり細かな方法論まで書いてしまって、後から収拾がつかなくなるなることの典型例だったと思います。これを反面教師にすべきだったと思います。

橋下さん、今は、大阪市長なのですから、あくまで、市政に専念すべきです。橋下さんは、特に国政レベルではまだまだ、経験不足です。特に経済に関しては、まだまだ、国レベルのマクロ経済など理解していません。その他も疎いところがあります。だからこそ、府知事時代にそうであったように、市政専念していく中で、どうしても、国がやってもらわなければ困る部分、国政を変えなければならない部分がでてきたら、まずは、それを中心に国政に働きかける、それと同時に国政のことも、民主党の歴代の総理大臣がやってきたように、シロアリのいうことのつまみぐいせず、自分の頭で考えて学んでいくという姿勢を当面崩すべきではありません。

そうでなければ、せっかく獲得したスターの座から引き摺り下ろされることになりかねません。そうなれば、今のところ良い悪いかは断定はできませんが、とにかく日本の政治改革の運動の一つともなりえる、灯火が消えかねません。この動きがどうなるかは、このブログにも最近掲載したように、何よりも橋下さんが、自らを本当に信じられるか信じなれないかが分水嶺になると思います。橋下さんの動向については、今後も追跡し、何か変化があればまた掲載します。

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2012年2月27日月曜日

ネットスーパーをスーパー便利にする拡張機能−【私の論評】ネットスーパーと通常のeコマースとは異なる?!

ネットスーパーをスーパー便利にする拡張機能


こんにちは。日本生まれのアメリカ育ち、世界中の「面倒くさい」の解消を追究している、enthumble(アンサンブル)です。

ネットスーパーを使われるあなたへ。今回は、ネットでのお買い物をさらに便利にする方法をご紹介します。


例えば、「イオンネットスーパー」を利用するとしましょう。使ってみて感じるのが、商品を選ぶのが意外と面倒ということ。1ページごとに20個の商品しか表示されないので、1回の買い物で「次の20件を表示」という小さなボタンを何度も押すことになります。ページを行ったり来たりするのも億劫です。これでは、やっぱり実際の店舗の方がラクだね...と言われかねません。

そこで、Firefox/Chrome/Operaなどのブラウザを使用している方は、次ページを先読みする拡張機能「Autopager」を導入しましょう。導入すると、ネットスーパーの「次の20件を表示」というボタンを押さなくても、その先のページが自動的に読み込まれて表示されます。つまり、ページをスクロールするだけで商品が延々と表示されるわけです。まるで、スーパーマーケットの棚を端から端まで見ているかのような気分になれますよ。

今では、私たちはスーパーの店頭で、バーコード検索をして、商品情報を得ることができる

この拡張機能、もともとはGoogleなどの検索結果を連続して表示するものとして有名でした。そのため、検索サイトをそこまで使わない...という方が導入していることは少ないと思います。現在は有志のおかげで、対応webページも増えているようです。商品比較のためにページを行ったり来たりするネットスーパーにはぴったりの拡張機能となっているので、この機会に是非試してみてください。

Autopager(Firefox/Google Chrome/Opera)

(enthumble)

【私の論評】ネットスーパーと通常のeコマースとは異なる?!

私は、上のentumbleさんの語っておられることが、一瞬何のことか、よくわかりませんでした。しかし、最後まで、読んでみて、何となくわかりましたが、この違和感は、何なのだろうともう一度よく考えて、はたと気づきました。本日は、そのことを掲載します。


まず、entumbleさんと私の違いの一つ目は、おそらく、近くにネットスーバーではなく、リアル店舗のスーバーがあるかないかの違いだと思います。私の家からは、ダイエーが歩いて3分間のところにあります。半分ダイエーの駐車場に家があるようなものです。あまり、大きなダイエーではないのですが、それでも、食糧品などはだいたい揃っていますし、他の日用品も結構あります。そのためでしょうか、私自身自身はいわゆる、ネットスーパーなるものは、見たことはあるのですが、実際に買い物をしたことがありません。だから、ネットスーバーを見ていて、enthumbleさんのように、イライラしたことは一度もありません。



それから、もう一つこれは、私自身のことですが、私がeコマースを利用するとすれば、たいていは、Amazonであり、それも、バソコンとか、タブレットなどのがジエットとか、食糧品にしても、いわゆる、日常品ではなく、たとえば、御節料理とか、ある程度価格以上のものです。そうして、これらの場合、買い物はいわゆる、楽しみとしてのショッピングです。

しかし、ネットスーバーであれば、購入するものといえば、こうした楽しみとしての、ショッピングではなく、日々の決まりモノとか、重いもの、嵩張るものだと思います。entumbleさんも、このような買い物はをされているのだ思います。であれば、日々使うものを多数比較しながら、ざーっと見ることが必要なのだと思います。そんなときに、わざわざ、20個ずつ表示されるのではイライラしてくるということなのだと思います。それこそ、スーバーの棚の端から端までみるように見ることができれば、かなり便利なのだと思います。要するに、楽しいショッピングというわけではなく、なるべく合理的に素早く買い物をしたいというニーズがあるのだと思います。

対して、私などの場合は、Amazonで買い物するのは、日々購入するするものではなく、せいぜい、年に数回とか、場合によっては、数年に一度買うものであり、買うこと自体が非日常的であり、楽しみであるということです。そのためでしょうが、結構時間をかけて、何回も見ることがあり、また、そのこと自体が結構楽しかったりします。


やはり、eコマースでも、業態により、要求される、機能は異なるということです。ネットスーバーには、ネットスーバーという業態の機能が必要だということです。にもかかわらず、ネットスーバーでも、通常のeコマースのような商品の見せ方しかできないようになっていて、それが、イライラの原因になるということだと思います。



こう考えるとeコマースにも、まだまだ、改善の余地があるのだと思います。そういわれてみれば、このブログでは、Googleが、不動産検索システムや、ファションサイトで失敗していることを掲載したことがあります。これらの失敗も、ひよっとすると、この事例のように意外と商品の見せ方などのことに原因があったのかもしれません。

最近、Amazon Showcaseなるアプリが提供されるようになりましたが、これは、個々のユーザーの興味の対象を表示する新しい方式で、それこそ、 enthumbleさんのようなニーズに対応するという意味もあるのだと思います。


Amazon Showcaseの画面


いずれにせよ、eコマースでも、リアルの店舗と同じであり、業態によって、商品の見せ方など、変えなければならないということです。これを忘れると、あまり業績をあげられないということなのだと思います。


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2012年2月26日日曜日

アップル創業者、12日で辞めた理由を語った−【私の論評】結局は、自らを本当に信じられるか信じられないかが分水嶺になる!!

アップル創業者、12日で辞めた理由を語った:


故スティーブ・ジョブス(Steve Jobs)、スティーブン・ウォズニアック(Steven Wozniak)の2氏とともに、米アップルの共同創業者である、ロン・ウェイン氏(78 Ron Wayne,写真上)が、創業からわずか12日で会社を去った理由を語っている。

自身のフェースブックで語ったもので「私が離れたのは、コンピュータへの熱意が欠けていたからではありません。リスクの高さや、成功するだろうと思っていましたが、しかし、それがいつになるのか? わたしは何を犠牲にすればそこに辿り着けるのかわからなかったのです」としている。

ウェイン氏はゲーム会社アタリで働く時代に2人と知り合い、1976年にアップル立ち上げに参加。株式持ち分は10%だった。株式は、結果的にわずか800ドルで売却している。

ただ、20代であった2人と比べ、ウェイン氏は40代。また、個人の事情として負債を抱えていたことなど厳しい面もあったことは知られている。これ以上はリスクを背負いきれない中での起業だけに、心中は察するものがある。

ウェイン氏は「わずか4年で300人のミリオネアの一人になれるのだったら、4年間とどまっていたでしょう」とも語っている。とどまっていれば、大富豪になっていたことは間違いない。

退社後は、エンジニア、イラストレーター、作家などとして活躍し、現在は78歳となり、ネバダ州でリタイア生活を送っている。

昨年10月には、亡くなった元盟友ジョブズ氏への哀悼の意を公式サイトで明らかにしている。

  【私の論評】結局は、自らを本当に信じられるか信じられないかが分水嶺になる!!

確かに、ロン・ ウェイン 氏は、アップルにとどまっていれば、ミリオネアになっていたことでしょう。それだけてではありません。それなりに努力していいれば、今日のIT業界ににおいて、いずれかの分野において、指導的立場にあったかもしれません。(下は、左ウォズニアック氏と、右ジョブズ氏)


しかし、私たちは、 ウェイン 氏を責めることができるるでしょか?私たちは、確かに ウェイン 氏のように、後から考えると誰もが認めるようなからとてつもない幸運に恵まれていたことを知るという機会に恵まれることはほとんどないかもしれません。しかし、もっと小さなことで、お金持ちになるチャンスや、リーダー的立場になれる機会など、本当は、山のようにあったかもしれないし、これからもあるかもしれません。

しかし、いわゆる成功者として、自他共に認める人は実際には少ないことから、現実には、 ウェイン 氏のように、滅多にないチャンスにお目にかかることはないにしても、小さな機会は身の回りにたくさんあるにもかかわらず、ほとんどの人が、それを逃しているのではないかと思います。

ドラッカー氏は、以下のよう著書に記しています。
人は、自らが自らに求めるものが少なければ成長しない。しかし、多くを求めるならば、何も成長しない者と同じ程度の努力で、巨人にまで成長する。また、成果をあげ続け、成長と自己変革を続けるには、自らの啓発に自らが責任を持たなければならない。ただし、無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである。
また、以下のようにも語っています。
最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をしたものだけが手にできる。なぜならば、自らの所を知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行えるようになるからである。
そうして、自らの強みに本当に集中できれば、自信が湧いてくるはずです。そうして、本当の意味で、自らを本当に信じることができるようなります。そうなれば、自らが、みずからに求めることが多くなるはずです。そうなったとき、お金でも、社会的地位でも、目指すものに、凡庸な人物と同じ努力でより近づけるのだと思います。

しかしそこからさらに、一流となるには、何かを犠牲にしなればならないということです。これに関しては、このブログで、あのグリーの創業者である、田中氏の名言をとりあげたことがあります。これに関しては、当該ブログをご覧になってください。(下の写真は、映画が「レジェンド・オブ・メキシコ』で共演したエヴァ・メンデスとサルマ・ハエック。彼女たちがセレブになれたのは、セクシーだったからだけではない、セクシーな女性なら、世の中にゴマンといる。世の中にゴマンといるセクシーな女性がすべてセレブというわけではない)


本日は、人生の先輩である方と、昼食をともにし、特にお金について、お金持ちになれる人と、そうではない人の違いについてうかがいました。結局は、この方が言われていることも、ドラッカー氏の言っていることも同じことだと思いました。この方が、語っておられたことは、結局は自分自身を信じることについてでした。実際に、自分が一見無駄金に見えるようなことでも、使っていて、それがなぜ、使えるかといえば、どこかで、失敗しても、それは自分なら、取り返せという自信があり、だからこそ、様々な事柄に挑戦できたということです。

その自信はどこからくるかといえば、いろいろと、語っておられましたが、言い方は異なるものの、ドラッカーの言っていることと、同じであると私には聴こえました。お金でも、社会的地位においても、結局は、自分自信を信じることができるか、できないかが、分水嶺になるのだと思います。

上の記事で、ロン・ ウェイン 氏は、「私が離れたのは、コンピュータへの熱意が欠けていたからではありません。リスクの高さや、成功するだろうと思っていましたが、しかし、それがいつになるのか? わたしは何を犠牲にすればそこに辿り着けるのかわからなかったのです」と語っています。

もう、ロン・ ウェイン 氏がミリオネアや一流になれなかった理由はおわかりでしょう。そうです、いわゆる成功者といわれる人と比較をすれば、大きなチャンスに恵まれたとき、彼は自分自身を信じられなかったということです。それに、一流となるためには、何かを犠牲にせざるを得ないということを理解できなかったということです。

ただし、ここに一言ロン・ ウェイン 氏の名誉のために、掲載しておきます。彼が、大きなチャンスを逃して、ミリオネアになれなかったり、IT業界で指導的な立場になれかなかったとしても、彼が不幸で、反対にこれらを手に入れたスティーブ・ジョブズ氏が幸福であったとは、一概にはいえません。私自身は、ジョブズ氏は幸福であったと信じたいです。しかし、それは、ジョブズ氏のみが知ることです。


上のドラッカー氏の言葉を思い出してください。「自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をしたものだけが手にできる」。この中に、価値観という言葉がでてきます。この価値観に合致しなければ、いかに大成功したようにみえても人は幸せにはなれないということです。逆に、価値観に合致していれば、たとえ、何かを犠牲にしても、幸福でいられるということです。


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2012年2月25日土曜日

【朝まで生テレビ】討論番組なのに井戸実社長がほとんどしゃべらずTwitterに没頭! 井戸ファン「沈黙で視聴者に訴えかけているんですよ」−【私の論評】何もしないことが、正しい選択肢であることもある!!

【朝まで生テレビ】討論番組なのに井戸実社長がほとんどしゃべらずTwitterに没頭! 井戸ファン「沈黙で視聴者に訴えかけているんですよ」:


レストランの『ふらんす亭』や『ステーキハンバーグ&サラダバー けん』を運営する株式会社エムグラントフードサービス。その代表取締役社長・井戸実氏が、テレビ朝日の人気生番組『朝まで生テレビ』に出演している。

しかし、放送開始からまったくしゃべらず、沈黙モードに突入しているというのだ。しかも放送中にスマートフォンをいじってTwitterに書き込みをしているのである! 全国に放送されているのに、なんという度胸!

井戸社長は他のコメンテーターが激論しているなか、スマートフォンをいじってTwitterに書き込みをしているだけで、ほとんどしゃべらないのである。討論番組なのに、沈黙しているのである。

他のTwitterユーザーや視聴者たちが「はやくしゃべってください!」と書き込みしても、「無理(笑)」「むり」と書き込みして沈黙モード。

この件に対して、インターネット上で24時間ずっと井戸社長をウォッチングしている井戸ファンのN氏はこう語る。「なぜわからないんですか? 井戸社長は沈黙で視聴者に訴えかけているんですよ。しゃべらないことがメッセージなんです。素人には難しいと思いますが、これが井戸流なんですよ」(N氏 談)

確かに、そういわれてみればそんな気がしなくもない。沈黙することで、何かしらのメッセージを視聴者や若者たちに伝えているのかもしれない。沈黙で雄弁に語る。さすが、井戸社長である。

 

<続報>

【朝まで生テレビ】井戸実社長が生放送中に番組に飽きる / Twitterで本音をポロリ「ね。眠い」

 
私の論評何もしないことが正しい選択肢あることもある!!


私は、残念ながら、この朝まで生テレビはみていなかったので、実際にテレビの中で井戸社長のやっていることが、「沈黙」によって本当に訴えかけになっているのかどうかは、判定できません。しかし、世の中には、確かに何もしないことが、正しい選択肢であることもあります。(下は朝まで生テレビの過去の番組)

 

 

ドラッカーは、意思決定について、以下のように述べています。

 

何も決定しないという代替案がつねに存在する。

意思決定は外科手術である。システムに対する干渉であり、

ショックのリスクを伴う。

よい外科医が不要な手術を行わないように、不要な決定を行ってはならない。 

 

何も決定しないというのは、何もしないことではないのです。今は何も決めないという意思決定をしているのです。そう考えれば確かに、上の井戸社長の沈黙は、何もしないことを選択したのかもしれません。これに感しては、私はテレビを見ていないので、どなたかこれを判定できた方がいらっしゃれば、コメントをお寄せいただきたいものです。

 

かつて、ドラッカー氏は、「ネクスト・ソサエティー」という書籍で、日本の官僚に対する異説ということで以下のように記載しています。このことについては、以前のブログにも掲載したことがあります。詳細は、当該ブログをご覧いただくものとして、その中に、いわゆる官僚による先送り(当面何もしない)戦術に関して掲載しています。その部分のみ、以下にコピペしておきます。

日本では、先送りが有効であるというものである。日本はこの40年間(現時点では50年間)、解決不能さされていた社会問題を、問題の解決ではなくむしろ先送りによって二度までも解決してきた。もちろん、今日の金融システムにおける構造上の脆弱さと資金的な余力を考えれば、今度ばかりは先送り戦略もうまくいかない。しかし経験的には、日本の先送り戦略には一概に不合理とはいえないものがある。

 

日本の政治家、官僚、経済界などの政策形成者にとっては、大事なのは経済よりも社会であって、先送りこそ合理的な戦略というものである。

 

成功した二つの先送り戦略とは、「農村部の非生産的な人口を何もしないことにより解決したこと」すなわち、都市部への農村部からの大移動です。

 

次に「非生産的な小売業の革新。小売業の革新に関しては、結局検討はしたが何もせずに、解決している。50年前と比較すると今日、流通業の問題は社会的にも経済的にもほぼ解消している」。非生産的だった家族経営の商店は、今でも残っていますが、特に都市部では、そのほとんどが小売チェーンのフランチャイズ店になっています。今や、日本の小売業は、世界で最も効率的な流通システムになっています。そうして、かなり利益もあげるようになっています。

 

逆に失敗は、しなくても良いことをして失敗していることがほんどです。

 

たとえば、1980年代において、他国なら不況とはみなされないような程度の景気と雇用の減速を経験したとき、そこに変動相場制移行によるドルの下落が重なり、輸出依存度の高い産業がパニックに陥りました。官僚は圧力に抗しきれず、欧米流の行動をとりました。景気回復のために予算を投入しました。しかし、結果は、惨憺たるものでした。先進国では最大規模の財政赤字を出しました。株式市場は高騰しました。都市部の地価はさらに上昇しました。借り手不足の銀行は憑かれたように投機家に融資をしました。そうして、ご存知のように、バブルははじけ、こうして金融危機がはじまりました。

 

ドラッカーは、日本の官僚は、先送り戦略で成功し、逆にしなくても良いことをして失敗したことを、指摘しています。

 

とくに、1980年代には、余計なことをして、インフレを助長して、その結果として1990年代に入ってバブルが崩壊して大変なことになっています。

 

最近の状況は、上記とは異なりますが、何やら1980年代と似ていなくもないような気がします。財政規律ばかり重んじて、とにかく政府の借金さえなくなれば良い、またなくならなければ、何もできなくなるという危機感から、増税を目論んでいます。しかし、このブログでは何回も掲載してきたように、デフレの最中の増税は、さらにデフレを深刻化させるだけです。そうなれば、税収も増えません。このことは、橋本内閣のときの増税の結果もそうであったし、さらに古くは、1930年代のアメリカの金融恐慌の原因もそうでしたし、それに引き続く日本の昭和恐慌の原因もそうでした。まったく、人間というものは、本当に喉元すぎれは熱さを忘れであり、歴史に学ぶことができないのだと思います。

 

増税論議は、財務官僚が主導していることは間違いないですが、まさに、彼らは1980年代と似たようなことを全く反対のやり方で、実行しようとしています。愚かなことです。

 

このままだと、1990年代にバブル崩壊という大きな経済反動があったように、2020年代には、昭和恐慌か、それをしのぐ規模の、大恐慌がおこる可能性が大です。

 

ここは、本来は、井戸社長のように、何もしないことのほうが、はるかに良い結果をもたらすと思います。日本国内では、昨年3月11日に大震災が発生し、さらには、深刻な原発事故がありました。昨年の夏あたりで、すでに、阪神淡路大震災のために投じた資金を上回ったと言われています。さらに、震災の復興は、何が何でもやらなければなりません。そのための財源がないというのなら、何も増税などせず、過去にも何回も行われてきた、建設国債を発行すれば良いことです。

 

何も特殊なことをせず、黙って当たり前の真ん中を実施していれば、市場に復興資金がでまわり、これが、デフレ克服に良い影響を及ぼします。もうすでに、マネタリーベースは、かなり増えています。マネタリーベースが増えれば、過去の経験則からいえば、1年後くらいから景気は良くなり出します。さらに、継続的に震災復興や、原発事故対応の大規模な除染活動などをすれば、さらに、資金が投下されます。そうなれば、デフレは黙っていても、克服されるわけです。

 

そんな最中に、増税などしてしまえば、元の木阿弥になり、デフレからさらに、脱却できなくなります。公務員の給料が下がり、さらに増税ともなれば、デフレをさらに加速させるだけです。国家公務員の賃金が下がれば、それにあわせて、いずれ地方公務員の賃金も下がります。こんなことをやっていれば、火に油を注ぐようなものです。増税するのに、公務員の賃金が高いままであれば、国民の合意を得られないというのなら、まずは増税をやめることです。そうして、積極財政と、金融緩和を同時に行うべきです。しかし、これをやりたくないというのなら、いっそのこと、増税もやめ、公務員の賃金カットもやめ、何も余計なことはすべきではありません。

 

ここは、上記の井戸社長の沈黙戦術のように、増税などのようなことはせず、やったにしても、過去に何回も実施してきたような、建設国債の発行とか、当たり前の真ん中のみをすべきです。余計なことをすれば、過去の過ちを繰り返すだけになります。

 

 

 

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2012年2月24日金曜日

スウェーデンの病院の看護師募集広告がユニークだと話題に / 応募条件「セクシーであること」−【私の論評】広告は手段を問わず目的を達成できなければ意味がない!?

スウェーデンの病院の看護師募集広告がユニークだと話題に / 応募条件「セクシーであること」:



採用の際、企業側は何を重視しているだろうか。業種によっても異なるが、経験だったり学歴だったりときには年齢だったりもする。求職者から言うとなかなか頭の痛いところだ。

福祉大国・スウェーデンの看護師の募集要項が話題だ。なんと応募条件に「セクシーさ」を求めているのである。何!? セクシーナースだらけの病院だと! 

話題の求人広告を出しているのはスウェーデンのストックホルム南区にある総合病院。夏の期間雇用の看護師募集広告だ。

募集要項には「積極性、専門性、ユーモアがある人を募集!もちろんドラマに出てくるナースのようなセクシーさもね」と書かれている。む! セクシーナースのいる病院だと! そんな病院なら行ってみたいが一体どのように選考するのだろうか。そもそもセクシーの基準って何だ?

看護師長のヨルゲン・アンダーソンさんによるとこのような求人をかけた理由は、求職者の注意を引きたかったためだそうだ。本当にセクシーさを求めているわけではないらしい。

ヨルゲンさんは「求職者の好奇心を刺激したいと思いました。応募に関しては履歴だけで結構です。写真や学歴証明をつける必要はありません」とコメント。なんだセクシーさが採用基準ではないのか。

しかし、この募集に興味を持つ人なら少なくとも積極性とユーモアは兼ね備えているだろう。少しがっかりしたが、話題にもなり募集広告としては成功だ。優秀な人材が集まるに違いない。

オリジナル記事: スウェーデンの病院の看護師募集広告がユニークだと話題に / 応募条件「セクシーであること」

Copyright© ロケットニュース24(β).


【私の論評】広告は手段を問わず目的を達成できなければ意味がない!?


この広告は、意表をついていてなかなか面白いと思います。それに、広告の目的を達成できていると思います。最近では、広告の手段として、従来の新聞、雑誌はもとより、様々なネットの広告があります。しかし、これは、手段が多様化しただけで、広告の本質ではありません。この募集広告の案を考えた人、当の病院の人なのか、あるいは広告会社の人なのかは、わかりませんが、いずれにしても、目的をはっきりさせたからこそ、このような柔軟な発想がでてきたものと思います。

広告もそうですが、仕事をするときには、何のためにそれをするのかという目的がしっかりしていなければ、とんでもないことになる場合もあるようです。この広告では、あくまでも、優秀な看護師を獲得するという目的にそったものであったので、それなりに十分効果を出すことができたのだと思います。ただし、何回もこのような広告の出し方をすれば、当初の目的は達成できないので、広告の内容を変えなければならなくなると思います。

これに関する逸話で、二つほど思い出すことがあります。

最初は、結構前のことであったので、うろ覚えなのですが、あるプロジェクトにおいて、一時的にユーザーの位置の全体像がわかれば良いという状況が発生したそうです。このプロジェクトのメンバーの一人のSEは、いまでいうところ、地図情報システムの簡単なものを作成しようとしました。ところが、このチームのチームのプロジェクトリーダーは、そんな意見には、耳をかさず、「地図とピンを用意してくれ」という指示をだし、壁に地図をはり、該当ユーザーがいるところにピンを刺していきました。そうして、この方式でやれば、十分用が足りたそうです。地図システムまでは、必要もなく、目的を達することができたそうです。地図情報システムなど作成していれば、時間と経費がかかり、納期に間に合わず、さらには、赤字倒れに終わったかもしれません。なにしろ、この時代は、現在のようにクラウドで豊富な地図情報システムなど提供されていませんでした。


それから、このブログでもずいぶん前に状況した、「予告in」というサイト。これは、秋葉原大量殺人事件が発生した直後に国で対策委員会を開催したときに、出席していた国会議員が、総務省の官僚に、「あらゆるサイトで殺人予告などがあったときに、それを警察に通報するシステムが必要と考えられるが、そのようなものを作成する期間と資金はいかほどのものか」と訪ねたそうです。そのときの総務官僚の答えが、「3億で、半年」というものでした。


ところが、この話を聞いた矢野さとるさん(上写真)という方が、なんと、直接かかる費用としては、ゼロ円、時間としては、2時間ほどで、殺人予告を通報するシステムを作成してしまいました。それが、予告inというサイトです。このサイトなにやら、もともとあるクラウドを用いるSNSサイト作成サイトなど転用して作成したようにみえます。実際そうだと思います。無論デザインとか、いくつかある機能を使ったり制限するようなことはしていると思います。しかし、よく考えてみれば、このようなものでも十分だと思います。


なぜなら、もともと、サイトというものは、人に見られるために、つくられています。さらに、犯行予告をするような連中は、その犯行をするしないは、別にして、なるべく多くの人に見てもらいたいと思って犯行予告をサイトに書き込むわけです。だから、これでも、十分に予告の書き込みなど補足できわけです。確かに、予告しない連中もいるでしょうが、そのような連中は最初からサイトに書き込むことはなく、最初から全く圏外です。であれは、これで、十分すぎるほどてきるわけです。しかも、サイトに作成のための知識もほんどといならないわけです。しかし、このようなつくり方をするということを思いつくこと自体が当時であれば、画期的だったと思います。

なぜなら、その当時は、まだまだ、クラウドという考え方が希薄だったらかです。先に、国会の委員会で、「3億、半年」と答えた総務官僚には、クラウドなどという考えはなかったのだとと思います。おそらく、旧態依然として、クライアントサーバーシステムで組むことを考え、しかも総務省傘下の、「犯罪予告通報センター」なる組織まで考えていたに違いありません。ここで、AIなど用いて、全国のありとあらゆるサイトから、犯罪予告を探しだし、センターの所員が、判断し、その内容を警察に通報するような大掛かりで鈍重なシステムを考えていたにに違いありません。しかも、このセンター長は、総務省の天下りで、そのほか、著名人や、その道の権威と呼ばれる人を理事、理事長などにするなど、既存の考え方でつくろうとしたに違いありません。

しかし、もともと、そんなもの全く必要がなかったということを、この予告inサイトは、十分証明してみたと思います。頭が、19世紀のままの総務官僚と、異なり矢野さんは、現代社会の住人であったということだと思います。


少し、先の広告の話とは、ずれてるようにも思われるかもしれませんが、広告であろうが、プロジェクトであろうが、犯罪予告システムであろうが、そもそも、最初の目的が何であるかをはっきりさせれば、余計な時間も、経費もあまり使わなくてもすむのに、目的がはっきりしていなければ、極端に効果のできない仕事になってしまうことの典型例だと思います。


それにしても、今回の事例はなかなかわかりやすいと思います、看護婦さん募集で「セクシー」という言葉を意図的にいれることにより、多くの人々の耳目を集め、さらには、積極性があり、ユーモアの感受性も備えている優秀な看護婦さんを獲得できる可能性が高まったと思います。ところで、この応募の結果どうなったのでしょう。本当に期待通りの看護婦さんを雇用することができたのでしょうか?ご存知の方ぜひ教えてください!!

それから、この記事には、いくつか看護婦さんの写真を掲載してみましたが、このような、ナースキャップをかぶっている看護婦さんはもう世界中探してもどこにもいません。セクシーな看護婦さんといわれて、こういう姿を真っ先に思い浮かべる方は、先の総務官僚のように、頭が、が19世紀のままなのかもしれません。それにいまでは、看護婦という言葉も正式ではありません。正確には、看護師です。こういう看護婦さんが今の世の中かで、存在するとすれは、コスプレの中だけです。十分にお気をつけ下さい!!


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2012年2月23日木曜日

GAPの新しいオンラインメディア「Styld.by」はファッション誌の未来となるか?−【私の論評】Googleの失敗から学べ!!O2Oとの結びつきがなければ、埋もれるだけ?



GAP1

タブレットが普及し、紙のメディアはなくなるだろう。とりわけ雑誌は完全にデジタルに置き換わるだろう。そんなことが言われ始めてからだいぶ経ちましたが、「これこそが未来の雑誌の形だ!」という決定的な方向性が示されていないのもまた事実です。

今回、アメリカの大手衣料ブランドGAPが新しくオープンしたオンラインメディア「Styld.by」には、未来のファッション誌の要素がいくつか組み込まれています。そこで今回は「Styld.by」が未来型ファッション誌である3つの理由をお伝えします。


GAP2


その1:周到に準備されたソーシャルメディア連携


この「style.by」は、掲載されるファッションにShare+というボタンがついていて、そこにカーソルを合わせるとその写真を自分がログインしているソーシャルメディアに投稿できる仕組みになっています。ブックマークレットが雑誌に組み込まれている、と言った感じでしょうか。とにかくユーザーが簡単にシェアできるようになっています。

ユーザーに「綺麗な写真を共有したい!」という欲求があることは、Pinterestの成功を見ても明らかです。しかしそれ以前に、いかにシェアの敷居を下げるか? ということもサイト制作者、運営者側にとっては重要です。美しい写真を見る→シェアしたいと思う→シェアするというユーザーの一連の流れをスムーズに引き出すちょっとした仕掛けが、『styld.by』には組み込まれています。


その2:ファッションブロガーとの自由なコラボレーション


このサイトのモデル達は、「FABSUGAR」や「LOOKBOOK.nu」のようなファッションサイトで人気のファッションブロガーが務めています。ブロガーというユーザーが身近に感じられる人を起用することで親近感も生まれやすくなります。

更に、モデルが着用するファッションは全てがGAPという訳ではなく、キーポイントにGAP製品を使っているということです。ユーザーからすれば、全てを同じブランドで毎回揃えるという事はあまりないですからね。ユーザー視点に立った工夫だと思います。


その3:周到に準備されたEC連携


勿論、GAP製品を買ってもらう工夫も忘れていません。掲載された写真の隅には、しっかりとモデル着用の商品情報が載っています。また、その部分をクリックすればGAPのECページにジャンプするように出来ています。EC連携は企業側から見た場合、ウェブマガジンの肝になる部分でしょう。特にファッション誌では主張しすぎず、隠れすぎずの間をとることが鍵となってきますが、「styld.by」は上手く表現していると思います。


以上3点でした。今後、ますます雑誌のデジタル化は進むでしょう。その中でいかにデジタルに最適化していくか? これは出版社に大規模な改革が求められているのと同時に、GAPのような一般の企業にとってユーザーと直接触れ合う機会を増やすチャンスの到来だとも言えそうです。

【私の論評】Googleの失敗から学べ!!O2Oとの結びつきがなければ、埋もれるだけ?


このブログでは以前Googleがファッションサイトを傘下に収めたことを掲載したことがあります。これについては、当該ブログをご覧いただくものとして、その当時書いた内容の要点を以下に掲載しておきます。

インターネット検索大手の米グーグルは17日、ファッション推奨サイト「Boutiques.com(ブティックス・ドット・コム)」を開設した。専門家のテイスト、視覚認識、それに機械学習技術を利用して、ユーザーに商品を勧めるサイトだ。ユーザーが衣料品やアクセサリーのショッピングの際、最初に立ち寄るサイトになることを目指す。
・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・
グーグルは、検索エンジンの分野においても、人間の感性が絡むファッションの分野に関しては、なかなか難しい分野であり、他の検索に関してはほぼ完成の域に達しているのですが、こうした分野は、最後のフロンティア(最前線)なのだと思います。
だからこそ、この分野でも、サイトを立ち上げて研究しているのだと思います。Googleは、単にファッションサイトを立ち上げて、そこで収益をあげるなどという単純なことは考えてはいないと思います。この分野で得られた知見をもとにして、さらに検索エンジンを改良して、ファッションも扱えるようにするとか、さらに新たなサービスを提供するなどして、さらに、多くの人々を自分たちのプラットフォームに参加できるように努力しているのだと思います。

さて、この"Boutiques.com"いろいろと、先進的な機能も含んでいましたが、結局今は、閉鎖されています。アクセスしてみると、他のサイトにリダイレクトされます。これは、Boutiques.comが結局は、うまくはいかなかったということだと思います。無論、上の記事でも述べたように、Googleは、単にファッショサイトを立ち上げて、そこで収益をあげることなど考えらてはいなかったのでしょうが、それにしても、このサイトを通じてGoogleの検索エンジンのトラフィックをあげ、Googleの収益モデルである、広告による収益など、目論見通りにあげるようなことはできなかったのだと思います。その見込みがあれば、たとえ試験的であっても、今でも運営していたと思います。それだけ、ファッション・サイトはかなり難しいことなのだと思います。


他にもGoogleが閉鎖したサイトがあります。これについても、以前掲載したことがありますが、それはGoogle Mapによる不動産検索です。これに関しては、鳴り物入りで開始され、誰もが成功するに違いないと踏んでいました。しかし、実際には、2010年に開始して、2011年にはサービスを停止してしまいました。私もまさかこんなにはやくサービスを停止するとは思ってもみませんでした。

Google側としては、試験的に運用してみたところが、このようなサービスを提供したとしても、自分たちのビジネスモデルには寄与するところがほとんどないと判断したのだと思います。要するに、これをGoogle Mapで大々的に実施してみたところで、Googleの検索エンジンへのアクセスのトラフィックが増大し、さらに、広告収入にまでは結びつくことはないと判断したと考えられます。これに関して、当時私は、私なりにGoogleが失敗した理由を分析しました。詳細は、そのブログをご覧いただくものとして、要点だけ以下に掲載しておきます。

なかなか、うまいたとえが見つからないのですが、グーグルの失敗は、本来は、あまり提供すべきではない情報を提供したということではないかと思います。本来、グーグルの果たす役割は、あまくで、ディレクトリーなど情報検索のための入り口なのですが、入り口以上の情報を提供して失敗したということです。たとえば、糖尿病の人が治療のための方法を探そうとしたときに、病院、医師、健康法の入り口を提供するべきものを、グーグル自身が、糖尿病そのもののいろいろな型や、その型にそった健康法や薬の内容まで、提供してしまったようなものです。

上では、不動産とユーザーとの関係を医師と、患者の関係にたとえましたが、まさに不動産に関してはそのようなところがあると思います。医師といっても、今では、様々なタイプがいます。外科、内科、小児科の専門もありますし、内科だって、消化器専門とか、循環器が専門などとわかれています。不動産業も、無論そうです。全国一律で情報を提供するなどは不可能で、地域の不動産業はあくまで、地域の専門家です。さらに、不動産業といっても、その中でも専門性もあります。

このように専門性を問われる分野では、いままで、Googleが提供してきた全国一律的な検索エンジンでは限界があります。

グーグルが情報を提供するにしても、こうした情報であれば、まずは、ユーザーの病歴などをあらかじ、知って、その人に相応しい治療法も知った上で情報を提供すべきでしょうが、そこまでは、できません。だから、医師から聴いたりできる情報からすれば、はるかに劣るものしか提供できないわけです。それでは、意味がありません。

不動産についても、医師のように高度で専門的な知識までは必要はないですが、やはり、実際に、ユーザーの声をきき、そこから、取捨選択して、いろいろアドバイスが必要です。検索サービスでは、ここまでは提供できないので、結局Googleも失敗したのだと思います。それだけではなく、個々の物件が全部表示されてしまうので、最初からゲンナリという感じです。無論、検索機能があるのでそれを用いれば良いということになるのでしょうが、それでも、なかなかうまくはいかないです。

ファッションサイトがうまくいかなかった理由もこれと似たようなところもあると思います。ファッションについても、似たようなところがあり、やはり、実際にユーザーの声をきき、そこから、取捨選択して、特定の個人に対していろいろアドバイスが必要です。検索サービスではここまでは提供できないので、結局Googleのファッションサイトも失敗したのだと思います。さらに、個々人の趣味趣向など完全に無視して、個々のアイテムがかなり多く表示されてしまうので、最初からゲンナリというところもあるのかもしれません。無論、検索機能があるのでそれを用いれば良いということになるのでしょうが、それでもなかなかうまくはいかないです。

上記の記事によれば、GAPのサイトは、ソーシャルメディアの連携と、ファッションブロガーとの自由なコラボレーションと、周到に準備されたEC連携があり、ファッションサイトの欠点を補っているようにはみえます。


しかし、はっきりいわせていただければ、この程度だと、Googleのファッションサイトも似たようなことはやっていたし、いくら上記の三点で差別化したつもりでも、すぐに模倣されてしまうと思います。この差別化に関しては、以前のブログにも掲載したことがあります。Appleは、他のeコマースと自らが実施するそれとを差別化するために、iPadを開発しました。それどころか、Appleは、かなりの部分をiPadや、iPhoneでしか利用できないようにして、顧客の囲い込みをしています。

こうした、iPadの本質を理解したAmazonは、Kindle Fireを開発しています。Amazonは、これだけではなく、差別化をするために、物理的な実店舗を本拠地のシアトルに構え、Apple Storeのような役割を担わさせようとしています。これらの実店舗は、さらに差別化を発揮することはいうまでもありません。一番わかりやすいのは、AppleがiPadなどの新製品を発売したときの、 Apple Storeでのお祭り騒ぎです。これらは、バーチャルの世界だけのGoogleにはなかなかできないことです。

そんなことから、上記のGAPのサイトは、差別化という点からみると、徹底的に欠けている部分があって、おそらく、このままだと、Googleのファッションサイトのように、失敗する確率がかなり高いです。しかし、見方を変えれば、この徹底的欠けている部分を補えば、GAPが最大限に強みを発揮できる可能性が高いです。


その徹底的に欠けている部分とは、チェーン組織である、GAPが多数持っている店舗そのものです。上記の記事では、残念ながらGAPのリアルの店舗とのコラボレーションなど掲載されていません。私は、以前このブログでこれからは、物理的店舗を多数所有するチェーン組織が、eコマースを実施し、これらをバラバラに運営するのではなく、O2Oによって、うまく統合したところが、頭角を表すであろうことを掲載しました。O2Oそのものなどの詳細は、当該ブログのURLを以下の【関連記事】に掲載しておきますので、そちらをご覧になってください。



私の言いたいことは、まさに、このことです。GAPはせっかく、物理的な店舗を多数持っているわけですから、これを利用しない手はありません。ファッションサイトと、実店舗をうまくコラボレーションすれば、これほど力強く差別優位性を発揮できるような手法はありません。Googleなどは、やりたくてもできないことです。Appleは、Apple Storeを持っていますが、GAPよりは、店の規模も小さく、さらに、数の上でも少ないです。Amazonは、まだ、実店舗の実験を始めたにすぎない段階で、実質的に存在しないのと同じです。

GAPは、アメリカ全土に店を持っているわけですから、これを最大限に活用し、たとえば、スマホで注文んしたら、近くの店に在庫があるかどうか確認でき、在庫があれば、購入して店で受け取れるとか、在庫がなくても、自宅に宅配便で届くとか、それに、何を買おうか迷った場合は、GAPに行けば相談できるとか、さらには、GAPでみたコーディネートが気にいったが、サイズや、色の異なるものを買いたいときには、スマホからすぐに注文できるようにするとか・・・・・。さらに、スマホで見て、近くのGAPでそれを購入すれば、特典がつくとか・・・・・・。とにかく、eコマースと、物理的店舗を何らかの手法で、統合すれば、これほど強い差別化手段は他にありません。


このようなことを顧客の間で何回か繰り返せば、特定の顧客の好みなどの情報が集まり、店でも、フアッションサイトでも、本当に個々人の好みやセンスにあわせて、服、靴、バッグ、その他小物まで含めて様々なお勧めができるほか、ファッション以外の様々な商品も販売できる可能性が高まるわけです。GAPの店にないものはeコマースを介して販売することもできるわけです。(下はGAP銀座店内の写真)


このようにすれば、ファッションサイトもGAPにとっても、顧客にとっても、かなり役立つものになると思います。しかし、上記のような三つの差別化内容だけでは、結局他のeコマースとは差別化できず、顧客にとってみれば、自宅のパソコンのブラウザから垣間見る、いくつもあるアッションサイトの一つという位置づけになり、Googleが失敗したように、うまくはいかないと思います。

しかし、私がこのような指摘をしなくても、GAP側は、もうそのことは十分知っていて、上記のファッションサイトは、そのための下準備にすぎないのかもしれません。いずれ、O2Oも活用するため、それを目指してまずは、ファッションサイトを立ち上げたのかもしれません。いずれにしても、このサイト、今後どのように変貌して行くのか、これからも追跡して、何か動きがあれは、このブログに掲載していきます。


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2012年2月22日水曜日

「竹島の日」の式典、閣僚・民主役員の出席ゼロ - MSN産経ニュース:−【私の論評】原発対応にもみられる、本当の効果のあるパフォーマンスを知らない民主党政権のヤル気のなさ!!

「竹島の日」の式典、閣僚・民主役員の出席ゼロ - MSN産経ニュース:

 

 

 「竹島の日」の22日、島根県主催の記念式典に招待された閣僚ら政府関係者7人全員が欠席することが21日分かった。藤村修官房長官は記者会見で「国会日程」を欠席理由に挙げたが、代理さえも派遣しない方針という。韓国に不法占拠される竹島の領土権確立を目指し、島根県が「竹島の日」を制定したのは平成17年。今回で7回目の式典となるが、政府関係者はまだ誰も出席していない。

 招待されたのは藤村氏、玄葉光一郎外相、鹿野道彦農水相、平野博文文部科学相の閣僚4人と、佐藤正典水産庁長官ら官僚3人。藤村氏は記者会見で「領土問題はオールジャパンで解決に当たる」と述べ、外交的配慮による欠席ではないと強調した。

 一方、国会議員は代理を含め衆参16人が参加予定。自民党は小泉進次郎青年局長、菅義偉組織運動本部長らが出席予定。民主党は4人が参加するが、党役員は含まれていないという。前回、党国民運動委員長として出席した渡辺周防衛副大臣は出席を見送った。

 一方、竹島が属する島根県隠岐の島町の松田和久町長は21日、竹島問題を所管する政府組織を設けることなどを求める要望書を首相官邸で藤村氏に渡した。藤村氏は「よい提案だ。十分検討したい」と応じた。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120221/plc12022122100015-n1.htm


【私の論評】原発対応にもみられる、本当の効果のあるパフォーマンスを知らない民主党政権のヤル気のなさ!!

民主党は、本当に頭の悪い政党です。せっかく、竹島の日で招かれたなら、行けば良いのです。次の選挙で負けることはわかり切っていますが、それでも、竹島を訪れた人はまだ見込みがでてくる可能性もあります。今回竹島の日記念式典にでれば、多くの馬鹿を尻目に少なくとも「あの人は違う」という認識をもっとてもらえる可能性もあります。そうして、他の催ものなどにも、頻繁に顔をだせば、良い意味でのパフォーマンスにもなります。民主党の連中はこんなことも、わからないほど、社会性が低いという事だと思います。

竹島が、日本の領土あることは、あまりにもはっきりしているので、ここには、詳細は記しません。知りたいから、Wikipediaなどに、あたってください。ここでは、地図だけ示しておきます。

 

まっ、政局が忙しいから余裕もないのかもしれません。しかし、このまま、民主党の閣僚や幹部とばかり、行動をともにしていれば、次の選挙で大方の人が落ちるのは必定です。早めに、行動を起こすべきです。今のまま、烏合の衆をしていては、全く関係見込みがなくなります。というより、もう、大半の人が諦めているでしょうね。

 

本日も、この記事を書こうとしていたら、アメリカ側の原発事故の対応が報道されていました。日米の対応で際立って異なるは、議事録有無です。アメリカ側では日本の原発事故に対するアメリカの対応をかなり詳細にわたってまで、議事録を作成しており、その内容の一部が紹介されていました。ある職員が、ボスにむかって、「もう、大丈夫ですから、後は我々にまかせて、少しお休みになってください」「そうでねす」というようなやり取りまで、紹介に記されています。

 

ところが、日本側は、以下の表のように原発事故の会議のうち、10もの会議で、議事録が作成されていません。

 


一体どうなっているんでしょうか?私は、アメリカ側のようにやることが、ある意味かなり効果のあるパフォーマンスになるのであって、日本側のように議事録をとらないということは、逆パフォーマンスになってしまうと思います。もう、これで、民主党の権威は完璧に失墜しました。

 

アメリカ側側としては、あの事故は、日本にいる米人の命にもかかわることですし、それに、最悪の事態になれは、それこそ、他のハワイや、アメリカ本土や、アジアに駐留する米軍にも影響がでるという最悪のシナリオをもとに、対応していたということです。 何か不測の事態がおきて、大変なことになったときに、こういう対応をしていたと、米国民にも知らせることができるように準備をしていたということです。

 

こんなことから、竹島に関しても、誰かに出席させれば、竹島に少なくとも無関心ではなかったことをアピールできるということは誰が考えても理解できると思います。でも、それが理解できないほどに、民主党の閣僚や、幹部など、社会性が、極度に劣るということです。

 

そんなことも、理解できないで、政治主導だの、子ども手当だの、果ては馬鹿な、事業仕分けなど、そうして、わけのわからない会議や、国家戦略なんとか、委員会などの組織をたくさん作って、さも、自分たちちが何かやっているかのように、見せかけていますが、これじゃどうしようもないです。竹島や、議事録の扱いなどみても、はっきりしています。

 

それにしても、腹がたつのは、議事録の扱いにしても、日本側で、議事録を作成していなかったというところで、これは、民主党が作成していなかったということであり、本来民主党以外の政党が政権の座についていたら、自民党に限らず、どの政党でも、少なくとも記載が詳しいか、そうではないかは別にして、少なくとも議事録は、作成したことでょう。それに、おろかな民主党、今後議事録を作成しなかったことが、どのような結果を招くのか、そうしたことにも考えが及んでいないようです。

 

皆さんも、このあたりはお分かりになると思います。アメリカ側は、意図的に組織的に原発対応をして、それなりに、日本に人を派遣したり、あるいは、日本にもともといるスパイなどから、かなりの情報を集めています。そうして、さらには、対応に関して議事録を作成して、誰にでも公表できるようにしてあります。これに対し、日本側といえば、そのようなものがほとんどないわけですから、今後、原発事故情事故に対して何かの検証をしようとした場合など、多くの場合、アメリカ側の資料に頼らざるをえないわけです。

 

そうなると、どうなるかといえば、こと原発事故対応に関しては、アメリカ側に首根っこを抑えらたということです。菅の対応が明らかに、間違っていたことなど、残っている資料や、他の情報から、やすやすと、具体的に立証することなど簡単でしょう。その他の当時の閣僚や幹部の対応のまずさも、立証できると思います。今後、民主党政権が、アメリカに対して不利益な行動をしようとした場合、この原発事故対応のまずさについて、脅しの材料されることは、明白だと思います。あーあ、情けないったらありゃしない。きちんと、記録をとって、まともにやっていれば、原発事故対策については、日本が世界のリーダーシップをとることができたかもしれませんが、この体たらくでは、民主党政権には、最初から無理だったということです。こんなこともあるから、竹島どころではないのかもしれません。

 

もう、民主党、ここいらが引き時ですね。さようなら!!

 

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