まとめ
- ポンペオ元国務長官らが、トランプ氏の対ウクライナ政策について、ウクライナ支援強化とロシアへの強硬姿勢を示すコラムを寄稿した。
- 提案には、5000億ドルの武器貸与計画、武器供給の制限解除、ウクライナのNATO加盟推進などが含まれる。
- このコラムは、トランプ氏がプーチン大統領に有利な候補者だという見方に反論する内容となっている。
ポンペオ前国務長官 |
具体的には、対ロシア制裁の強化、5000億ドルの武器貸与計画の策定、ウクライナへの武器供給の制限解除を提案しています。さらに、ウクライナのNATO加盟の迅速化と経済発展支援も主張しています。
この寄稿は、トランプ氏がプーチン大統領に有利な候補者だという見方に対する反論となっています。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。【まとめ】は、元記事の要点をまとめ箇条書きにしたものです。
【私の論評】トランプ氏の新ウクライナ政策:支援強化と柔軟な外交戦略の可能性
まとめ
- ポンペオ元国務長官らは、トランプ氏の再選時のウクライナ政策として、支援強化と対ロシア制裁強化、5000億ドルの武器貸与計画、ウクライナのNATO加盟推進を提案している。
- トランプ支持のシンクタンクAFPIは、ウクライナへの軍事支援を和平交渉参加の条件とし、外交的解決を推進する姿勢を示している。
- トランプ氏は「ウクライナの存続は重要」と述べ、支援に前向きな姿勢を示しつつ、欧州諸国の負担増を主張している。
- トランプ氏は「24時間で戦争を終結させる」と主張し、迅速な和平交渉の意向を示している。
- トランプ氏は支援方法を融資形式に変更する可能性や、直接交渉による迅速な解決を提案するなど、柔軟な対応を示唆している。
上の記事にもあるように、ポンペオ元国務長官とトランプ陣営のデビッド・アーバン氏は、2024年7月25日付けのウォールストリートジャーナルに「トランプ氏のウクライナ平和計画」("Trump's Ukraine Peace Plan")と題したコラムを寄稿しました。このコラムでは、トランプ氏が再選された場合の対ウクライナ政策について詳述されています。
まず、彼らはウクライナへの支援を強化し、ロシアのプーチン大統領に戦争での勝利を諦めさせる方針を示しています。具体的には、対ロシア制裁を強化し、ウクライナがアメリカ国民の税金を使わずにアメリカから必要なだけ武器を購入できるよう、5000億ドルの武器貸与計画を提案しています。また、ウクライナに供給する武器の種類や使用法の制限を解除し、ロシアに「決して勝てない」という明確なメッセージを送るとしています。
さらに、ウクライナのNATO加盟を迅速に実現し、経済発展を支援するべきだと主張しています。これにより、ウクライナの防衛力と経済基盤を強化し、ロシアの侵略に対抗する力を持たせることを目指しています。
デイビッド・アーバン氏 |
トランプ前大統領を全面的に支援するシンクタンク「米国第一政策研究所」(America First Policy Institute, AFPI)は、トランプ氏の再選戦略を見据えて設立され、トランプ政権当時の閣僚や政府高官を含む多くの有力スタッフが名を連ねています。AFPIは、米国の外交政策において中国を最優先事項とすべきだと主張し、ウクライナ問題をそれに次ぐ位置づけとしています。
AFPIが発表した「An America First Approach to U.S. National Security」という本では、ウクライナへの今後の軍事支援をロシアとの和平交渉への参加を条件とすることを提案しています。この提案によれば、ウクライナが和平交渉に参加する一方で、ロシアが交渉を拒否した場合はウクライナへの支援を拡大するとしています。AFPIは、ウクライナが外交を通じて領土を回復するという目標を支持していますが、同時に戦闘の停止を提唱しています。さらに、和平合意後もロシアに対する抑止力としてウクライナに武器を供給することを示唆しています。
これらの提案は、トランプ氏の潜在的な第二期政権におけるウクライナ政策の青写真を示唆するものと考えられます。しかし、AFPIは公式にトランプ陣営の代弁者ではないと述べています。このアプローチは、ウクライナへの支援を継続しつつも、外交的解決を強く推進する姿勢を示しているといえるでしょう。
AFPIのロゴ |
ドナルド・トランプ前大統領は、2024年4月18日にSNSで「我々にとってウクライナの存続は重要だ」と述べました。この発言は、これまでロシアの侵略を受けるウクライナへの支援に消極的だったトランプ氏が、11月の大統領選を見据えて姿勢を修正し始めたと受け止められています。また、トランプ氏は「ウクライナの存続は、米国よりも欧州にとってはるかに重要だ」とも指摘し、欧州諸国がより多くの負担をするべきだとの持論を崩していません。
さらに、トランプ氏は2023年5月に「第3次世界大戦の危機を電話1本で終わらせる」と発言しています。これは、トランプ氏が米大統領に復帰したらウクライナ戦争を「24時間で終わらせる」と述べたもので、ロシアとの和平交渉を迅速に進める意向を示しています。
これらの発言は、トランプ氏が再選された場合、ウクライナ支援を打ち切ることはありえないことを示唆しています。むしろ、ロシアが譲歩しない場合、トランプ政権がさらに強硬な手段を取る可能性が高いことを示しています。
というよりは、より柔軟な対応をする可能性が高いです。2024年4月12日、フロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」での記者会見で、トランプ氏は「我々は資金供与でなく融資の形にするよう考えている」と述べました。これは、ウクライナ支援の方法を変更する可能性を示唆しています。
トランプ氏は過去に、自身がゼレンスキー大統領とプーチン大統領と会談すれば、戦争を24時間以内に終結させられると何度か主張しています。2024年7月19日、トランプ氏はゼレンスキー大統領と電話会談を行いました。ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、この会談を「非常に効果的だった」と評価し、「トランプ氏のチームがウクライナが必要とするものやロシアのリスクなどを理解すると信じる根拠を与えてくれた」と述べています。
これらの発言から、トランプ氏のウクライナに対する姿勢は、支援の継続を前提としつつも、その方法や交渉アプローチについて独自の見解を持っていることがわかります。支援を完全に打ち切るのではなく、融資形式への変更や直接的な交渉による迅速な解決を提案しています。
紋切り型の「ウクライナ支援即打ち切り」などの対応をしないことは明らかです。それよりも、プーチンの出方により、柔軟に対応することでしょう。かなり厳しくなる可能性もあります。
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