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岡崎研究所
- オルバン首相は、ウクライナに対するEUの500億ユーロの支援を阻害し続けている。
- オルバンの行動の動機は、経済支援の継続である。
- オルバンはEUの「スポイラー」として機能しており、EUは彼の不適切な行動を制止しなければならない。
- EUは、オルバン首相と汚い取引をせずに、ウクライナ支援の方途を見出さなければならない。
- EUは、オルバン首相の行動がEUの機能や存在意義を脅かすことを認識し、毅然とした対応をとるべきである。
オルバン首相 |
フィナンシャル・タイムズ紙の12月19日付け社説‘The EU has a messy Orbán problem’は、ハンガリーのオルバン首相が欧州連合(EU)の500億ユーロの対ウクライナ支援を依然として妨害し続けていることについて、EUがオルバン首相と汚い取引をすることなく、「オルバン問題」に対処する方途を見出さねばならない、と論じている。
社説は、オルバンの行動の動機は、大方カネであり、経済を押し上げ、自分に対する支持を支えるためには、EUの資金がハンガリーに流入し続ける必要があるとしている。また、オルバンはEUを離脱するつもりはなく、有志の諸国とともにEUを「乗っ取ろう」と欲しているが、その目標から遠いところにあると指摘している。
しかし、オルバンは「スポイラー」としての能力を証明したとし、EU諸国は、彼と彼の仲間の不適切な行動を制止するために、持てる道具を断固使うべきであると主張している。具体的には、EU条約第7条を発動し、ハンガリーの投票権を停止することも可能であることを明確にすべきであるとしている。
また、加盟国が民主主義や法の支配に逆行する場合、EU資金の提供を封鎖する仕組みを使うことをEU首脳はひるむべきではないと述べている。さらに、ウクライナに対する援助資金については、EUは26カ国の政府間合意による他のルートを見出さねばならないと提言している。
最後に、社説は、欧州のより広い範囲の安定のために、EUの拡大の可能性が戻って来たことは歓迎であるが、EUはその機能が少数派の人質に取られることを認めることは出来ないと強調している。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。
【私の論評】EUのウクライナ支援をめぐるオルバン首相の反対論点 - ハンガリーの国益優先かEUの団結損なうか
まとめ- オルバン首相はEUのウクライナ支援策に反対している。これはハンガリーの国益を優先するためだと支持者は主張する。
- しかし、多くのEU加盟国からは、オルバン氏の行動はEUの団結を損ない、ウクライナ支援を妨害するものだと批判されている。
- 一方、オルバン氏はハンガリーの国益に資する独立したウクライナの重要性を認識しており、完全にウクライナ支援に反対しているわけではない。
- ただし、支援の在り方には慎重で、資金流用のリスクがあるとして直接支援には反対している。
- 汚職や資金流用の疑惑が絶えないウクライナで、オルバン氏の懸念は決して杞憂とはいえない。
- EUはウクライナ支援の正当性と同時に、資金の透明性・適正使用の確保にも配慮が必要だ。
EUの旗 |
ただ、この見解が正しいか、間違いかは、一概には言えないところがあります。
オルバン氏の行動を支持する議論としては、以下のようなものがあります。
オルバン首相が500億ユーロの援助パッケージに反対することでハンガリーの国益を優先していると主張する人たちがいます。 彼らは、ハンガリーには、特に景気低迷下においては、これほど多額の拠出金を支払う余裕はないと考えています。オルバン氏の行動に対する反論する議論としては、以下のようなものがあります。
ウクライナが援助資金をどのように使用するのかを疑問視し、汚職や不正管理の可能性について懸念を表明する人もいます。
オルバン首相は一部のEU政策を声高に批判しており、この機会を利用して不支持を表明したり譲歩したりしている可能性があります。
多くの人は、オルバン首相の行動は、危機の際にEUの団結と団結を弱体化させようとする試みであると見ています。オルバン首相は「ハンガリーの安全はウクライナの安全に大きく依存している」と述べています。 オルバン氏はウクライナ政府に直接送金することに懸念を抱いていますが、ウクライナの安定がハンガリーの国益にかなうことを認識しています。
援助パッケージを阻止すれば、ロシアの侵略からウクライナを防衛する能力に大きな損害を与える可能性があります。
オルバン首相はほとんどの加盟国が重要視している大義への貢献を拒否しながら、EUの資金提供から恩恵を受けていると主張する人もいます。
オルバン首相の行動は、民主主義と法の支配というEUの中核的価値観に対する攻撃であると一部の人は見ています。
ハンガリー国旗 |
オレクシー・レズニコフ氏 |
ゼレンスキー氏は演説で、「国防省には新しいアプローチや軍、社会との新たな関係が必要だ」と述べた。国防省では今年1月、兵士らの食料調達が小売価格の2~3倍で行われていた疑惑が浮上。当時の国防次官が解任され、レズニコフ氏の監督責任を問う声も上がったが、ゼレンスキー氏が留任を求めたとされます。
ウクライナでは、徴兵逃れなどでも汚職が指摘されている。ゼレンスキー氏は汚職対策に取り組む姿勢を強調し、米欧からの支援に影響しないよう腐心しています。
レズニコフ氏は2021年11月、国防相に就任しました。ロシアの侵略以降、米欧諸国からの軍事支援取り付けで中心的な役割を果たしてきました。
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