2024年7月6日土曜日

産業ロボットの最新技術を紹介 人手不足の解決が期待できるロボットを展示 愛知―【私の論評】人手不足時代の日本戦略:AI活用と生涯学習で実現する持続可能な社会

産業ロボットの最新技術を紹介 人手不足の解決が期待できるロボットを展示 愛知


 産業ロボットの最新技術を紹介する国内最大級のイベントが愛知県常滑市で始まりました。 

 「ロボットテクノロジージャパン2024」には、244社の企業や団体が参加していて、自社の技術やアイデアをアピールしています。 

  近年製造業や物流の現場では人手不足の問題から急速に自動化が広がっています。

  会場には、運ぶ荷物をセンサーで認識して自動運転で動くリフトなど人手不足の解決が期待できるロボットが多く展示されています。

  また、ロボットと人が射的で対決するゲームや、スマホでロボットを操作するクレーンゲームなど産業用ロボットを身近に感じることができる体験ゾーンもあり、一般の人も気軽に楽しむことができます。 

 イベントは6日まで開かれます。

【私の論評】人手不足時代の日本戦略:AI活用と生涯学習で実現する持続可能な社会

まとめ
  • タクシー会社の倒産やバスの減便など、実際に人手不足の深刻な影響が顕在化している。
  • 日本以外のかつて少子化対策に成功した先進国等でも出生率が低下しており、日本の対策も十分な効果は期待できない。
  • 少子化に耐えられる社会構築のため、自動化や省力化が不可欠であり、AI・ロボット化を強力に推進すべきである。
  • ドラッカーの提唱する知識社会に突入したとみられる日本においては、就労者の学び直しや新たな学びの機会が必要。
  • サバティカル休暇制度など、従業員の学習や自己啓発を支援する仕組みを導入して柔軟な労働環境の整備をすべきである。
人手不足は深刻化しており、私がそれを実感したのは、長年利用していたタクシー会社が昨年3月に倒産したことでした。その影響で、一時期駅前に夜遅くタクシーが止まっていない状況が続きました。


しかし、2ヶ月ほどで状況は改善し、倒産した会社の元運転手が別の地元タクシー会社に再就職したことで、サービスが復活しました。

全国的にはタクシーやバスの運転手不足は依然として深刻で、地元でもバスの便数が減少しています。この問題は簡単には解消されそうにありません。出生率の高さで知られるフランスやイスラエル、北欧諸国でさえ出生率が低下しており、日本の「異次元の少子化対策」も十分な効果を期待できない状況です。

この状況に対応するには、少子化に耐えられる社会を構築する必要があります。それには、以前このブログにも述べたように、AIやロボット化の推進が不可欠でしょう。

少子化に耐えられる社会を構築にするには、AI化、ロボット化の推進が不可欠

人手不足の背景には、労働力の不足だけでなく、求職者と仕事内容のミスマッチや税制の問題など複合的な要因があります。機械ができる仕事は機械に任せ、人間にしかできない仕事に人材を集中させるべきです。産官学金融の協力で自動化や省力化の研究開発を推進し、産業の効率性を高めながら持続可能な社会を目指すべきです。

安易な移民や外国人労働者の受け入れには反対です。多数の移民を受け入れた国々では、社会統合の問題や文化的摩擦が生じており、米国やEUでは保守的な政党の躍進をもたらしています。代わりに、教育機関の充実や人材の再教育に投資し、自国民の労働力シフトを促すべきです。

日本の産休制度は充実していますが、ワーキングマザーと子どものいない従業員との間に不公平感が生じています。この問題解決のため、全従業員が定期的に長期休暇を取れる「サバティカル休暇」制度の導入が効果的です。この制度を導入した企業では、社内の雰囲気が改善され、若手の離職率も低下したという報告があります。

ピーター・ドラッカーは、知識社会において就労者が継続的に学び直す機会を持つ社会の重要性を提唱しました。彼は、大学や大学院などの高等教育機関で、就労者が最新の知識やスキルを習得することが、個人のキャリア開発と組織の競争力強化に不可欠だと考えました。この考えは「リカレント教育」や「リスキリング」の概念につながっています。

経営学の大家ドラッカー

ドラッカーの提案は、若い世代だけでなく中高年の就労者にも学び直しの機会を提供することを含んでいます。これは、長期的なキャリアプランニングの中で定期的な学習が重要な役割を果たすという考えに基づいています。

私たちは、働きながら大学や大学院で学ぶ機会を得られる社会を目指すべきです。社会経験を積んだ人々の学びは、従来の学生とは異なる視点や動機を持ち、より豊かな社会につながると信じます。特に、これまで高等教育の機会を得られなかった人々にとって、この制度は大きな意味を持つでしょう。

このような社会システムの構築は、日本の人手不足や生産性低下の課題に対応しつつ、知識社会における競争力を維持・向上させることができます。企業は従業員の学習を投資として捉え、継続的な教育を奨励する文化を醸成する必要があります。同時に、サバティカル休暇制度などを導入し、従業員が学習や自己啓発に時間を割ける柔軟な労働環境を整備することも重要です。

また、大学と企業の連携を深め、実務に即した教育プログラムを開発することで、より効果的な学びの機会を創出できるでしょう。これは、産学連携の新たな形として、イノベーションの源泉となる可能性も秘めています。

生涯学習と成長を支援する仕組みは、社会全体の価値観や制度の変革を必要とする大きな挑戦です。しかし、これは単なる教育改革にとどまらず、長期的には日本の競争力と社会の豊かさにつながる重要な投資となるでしょう。少子化や人手不足を克服した後の社会では、このような制度の導入がより容易になると考えられます。

最終的に、このような社会システムは、個人の成長と社会全体の知的資本の向上に寄与し、日本が知識社会において成功を収めるための基盤となるでしょう。

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