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2017年7月4日火曜日

都議選惨敗、安倍首相に残された道は「消費減税」しかない―【私の論評】子どもや孫の世代が途端の苦しみに塗れるようなことにしたくないなら?


田中秀臣(上武大ビジネス情報学部教授)

 東京都議選は都民ファーストの会の圧勝と、自民党の歴史的大敗北に終わった。公明党、共産党は選挙前の議席数から増やし、民進党も選挙前の議席が少ないとはいえ健闘した。自民党への逆風が猛烈だったぶん、批判の受け皿として都民ファーストが大きく勝った。

候補者の名前が並ぶボードを背に開票を待つ自民党の
下村博文都連会長=7月2日、東京・永田町の党本部
政治的には、都民ファーストの大勝よりも、自民党の惨敗の方が重要だと思う。国政への影響が避けられないからだ。いくつかその影響を考えることができる。あくまで予測の域をでないのだが、いまの政治状況を前提にすれば、年内の衆議院解散は無理だろう。2018年12月の任期満了に近くなるかもしれない。もっとも、1980年代から現在まで3年を超えての解散が多いので、それほど不思議ではない。ひょっとしたらこれはすでに織り込み済みかもしれない。ここまでの大敗北はさすがに自民党も予測はしていなかったろうが。

 国政に与える影響で興味の焦点は、安倍晋三政権の持続可能性についてである。あくまで都議選でしかないことが注意すべきところだが、今後いままで以上にマスコミの安倍批判が加速することは間違いない。都議選の有権者が東京都民だけにもかかわらず、それを世論と等値して、国民から不信任を食らったと煽(あお)るかもしれない。

 もちろん煽らなくても、今回の都議選大敗により、世論調査で内閣支持率がさらに低下し、自民党の支持率も急減する可能性はある。ただその場合、国政には都議選で受け皿となった都民ファーストがないし、また野党も受け皿にはなれない。つまり支持率の低下はほぼ無党派層の増加に吸収される可能性が大きい。この現象がみられるとすれば、都議選の大敗北は、安倍政権への世論の逆風が全国的に吹いたままだということを意味するだろう。

 この潜在的な逆風が、安倍政権をレームダック(死に体)化するだろうか。ここでのレームダック化は、安倍首相が現状のアベノミクスなど基本政策を実施することが難しくなる状況、あるいは転換を迫られる状況としたい。当面はその可能性は低いと思われる。

 ただし、党内の政治闘争は以前よりも格段に顕在化するだろう。そのキーワードは、やはり消費税を含めた「増税主義」である。2017年度の政府の基本的な経済政策の見立てを描いた「骨太の方針」には、19年10月に予定されている消費増税の記述が姿を消した。また20年度のプライマリーバランス黒字化の目標もトーンが下がったとの識者たちの評価もある。

 おそらくそのような「評価」をうけてのことだろう。石破茂前地方創生担当相は、消費税を必ず上げることが国債の価値を安定化させていること、またプライマリーバランスの20年度の黒字化目標を捨てることも「変えたら終わりだ」とマスコミのインタビューに答えている。今回の都議選大敗に際しても、石破氏は即時に事実上の政権批判を展開していて、党内野党たる意欲は十分のようである。

日本記者クラブの改憲で「こども保険」の構想について説明する小泉進次郎議員=6月1日
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
また財務省OBの野田毅前党税制調査会長を代表発起人とし、財政再建という名の「増税主義者の牙城」といえる勉強会もすでに発足している。またその他にも反リフレ政策と増税主義を支持する有力政治家は多く、小泉進次郎氏、石原伸晃経済再生相ら数えればきりがないくらいである。また金融緩和政策への理解はまったく不透明だが(たぶんなさそうだが)、消費増税に反対し、公共事業推進を唱える自民党内の勉強会も発足している。

 これらの動きが今後ますます勢いを増すのではないだろうか。もっとも安倍政権への世論の批判は、筆者からみれば実体がないのだが、森友学園や加計学園問題、続出した議員不祥事などいくつかに対してである。そもそもアベノミクスに対して世論が否定的な評価を与えたわけではない。それでも自民党も野党も含めて、アベノミクスに代わる経済政策はほぼすべて増税主義か、反リフレ政策(金融緩和政策の否定)か、その両方である。

 もちろん世論が、アベノミクスの成果を評価しても、それを脇において安倍政権にノーをつきつける可能性はある。アベノミクスの中核は、リフレ政策(大胆な金融緩和政策)である。現在の政治状況では、いまも書いたが安倍政権が終わればリフレ政策もほぼ終焉(しゅうえん)を迎える。日本銀行の政策は、政策決定会合での多数決によって決まる仕組みだ。日銀にはリフレ政策を熱心に支持する政策委員たちがいるにはいるが過半数ではない。政府のスタンスが劇的に変化すると、それに応じていままでの前言を撤回して真逆の政策スタンスを採用する可能性はある。

 そもそも、安倍首相と同じリフレ政策の支持者は、菅義偉官房長官はじめ、自民党内にはわずかしかいない。次の日銀の正副総裁人事が来年の3月に行われるはずだが、そのときに最低1人のリフレ政策支持者、できれば2人を任命しないと、リフレ政策すなわちアベノミクスの維持可能性に赤信号が点灯するだろう。このリフレ政策を支持する人事を行えるのは、安倍首相しかいないのである。それが安倍政権の終わりがリフレ政策のほぼ終わりを意味するということだ。

 もちろん日銀人事だけの問題ではない。仮に日銀人事をリフレ政策寄りにできたとしても、政府が日銀と協調した財政政策のスタンスをとらないと意味はない。デフレを完全に脱却するまでは、緊縮政策(14年の消費増税と同様のインパクト)は絶対に避ける必要がある。デフレ脱却には、金融政策と財政政策の協調、両輪が必要なのだ。

 さて、安倍首相もこのまま党内闘争に巻き込まれ、守勢に立たされるのだろうか。それとも攻勢に出るのだろうか。そのきっかけは大胆な内閣改造や、より強化された経済政策を行うことにあるだろう。後者は18年夏頃までのインフレ目標の達成や、教育・社会保障の充実などが挙げられるが、端的には減税が考えられる。何より国民にとって目に見える成果をもたらす政策パッケージが必要だ。それこそ筆者がたびたび指摘しているように消費減税がもっともわかりやすい。

 実際に、消費増税が行われた14年以降、政府が実施してきた中で、消費増税の先送りや毎年の最低賃金引き上げ、そして昨年度末の補正予算ぐらいが「意欲的」な政策姿勢だったという厳しい評価もできる。2%のインフレ目標の早期実現を強く日銀に要請することはいつでもできたはずだ。ある意味で、雇用の改善が安倍首相の経済政策スタンスの慢心をもたらしている、ともいえる。

 いまも書いたように、さらなるアベノミクスの拡大には実現の余地はある。ただ、それを行うだけの政治力が安倍首相にまだ残っているだろうか。そこが最大の注目点だろう。

【私の論評】子どもや孫の世代が途端の苦しみに塗れるようなことにしたくないなら?

昨日のこのブログの記事では、都議選敗退で国政に影響はなく、首相憲法改正まっしぐらに突き進み、長期政権になるであろうことを掲載しました。これは、かなり楽観的なシナリオです。

しかし、一方で、ブロク冒頭の田中秀臣氏の記事のように、悲観的な側面もあるわけです。この悲観的な側面が現実となれば、安倍政権は悲願である憲法改正を何とか成就させ、その後は政権が崩壊、金融緩和から金融引締めに転じ、雇用状況の改善も元通りになり、増税延期も中止され、それこそこのブログに一昨日掲載したように、マスコミの一部と官僚支配が作る日本最期の厳しい時代がくるという最悪のシナリオも考えられます。

こうなると、日本は数十年後には先進国から、発展途上国におちるということも十分考えられます。近代以降、先進国から発展途上国になった国はアルゼンチン一国のみです。その逆に発展途上国から先進国になった国は日本だけです。例外は一つもありません。中国や韓国も先進国にはなりきれていません。日本もアルゼンチンのようになる可能性も十分あります。

日本人にもあの哀愁の帯びたアルゼンチンタンゴを踊る日がやってくるのか?
昨日のブログは以下のように締めくくっています。
もし民進党が大きな力を持てば、当然のことながら、自民党内にもこれに脅威を感じて、安倍おろしなどの風も吹きかねませんが、この状況だと、少なくとも自民党内の安倍政権反対派がさほど大きな力を持つということは考えにくいです。 
さらに、昨日にも述べたように、小池百合子氏は、積極財政にはあまり関心がないので、やはり小池氏を中心とする勢力も国政にはあまり大きな影響を及ぼすには至らないこととが予想できます。 
そうなると、安倍政権が初心にもどり、さらなる量的金融緩和を実施したり、大規模な積極財政に踏み切れば、経済が安定し、国民の支持も増え、憲法改正はかなりやりやすくなると考えられるとともに、安倍政権が長期政権になる可能性も開けてくることになります。
確かに、安倍政権が初心にもどり、さらなる量的緩和を実施したり、大規模な積極財政に踏み切れば、経済は安定するのは必定です。そうなれば、憲法改正はかなりやりやすくなり、安倍政権が長期政権になる可能性も開けてきます。

しかし、積極財政とはいっても、過去のように追加補正予算数兆というのでは、国民も納得しないでしょう。少なくとも10兆円以上の補正予算とし、さらに8%増税で失敗したのは明らかですから、田中秀臣氏が主張するように、これを5%に戻すことができれば、無党派層の多くも安倍政権を支持することになり、民進党をはじめとする野党が支持率をあげることができない現状では、安倍政権は安泰です。

さて、5%減税については、このブログでも何度か掲載したことがあります。その最新のもののリンクを以下に掲載します。
なぜ日本の「実質GDP成長率」は韓国以下のままなのか?―【私の論評】緊縮会計をやめて消費税も5%に戻せ(゚д゚)!
この記事の元記事である、安達誠司が述べるところによれば、日本の実質GDP成長率が韓国以下のままなのは、詳細はこの記事をごらいただくものとして、一言でいえば、以下の背景によるものです。

多くの国民が、「2017年からの消費税率引き上げはなくなったが、いずれかの時点(この場合、2019年10月)で消費税率の引き上げは実現し、場合によっては、それだけでは終わらず、将来的にはさらなる増税も実施されるに違いない」ことを想定して、「節約志向」を変えなかったからです。そして、この流れは現在も継続中ということです。

上の消費性向の低下の推移のグラフをみると、特に加速度的に低下が進行したのは2016年半ば以降であることがわかり、この推論を裏付けているようにみえます。

そうして、【私の論評】において、私は、この多くの国民のマインドを変えるには、消費税の5%への減税が必要であることを主張しました。

私としてとしては、都議会選挙は別にして、経済の現状を考えた場合、多くの国民のマインドを変えるためには、このくらいドラスティックなことをする必要があるように思えたのです。

しかし、都議選において歴史的な大敗を喫した現在では、なおのこと5%減税をすべきと言う結論になります。

一方金融緩和の現状についても、以前このブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「ポスト安倍」も問題だらけだ! 財務省や日銀の言い分信じて財政や雇用理論を間違える人―【私の論評】今のままでは再びデフレスパイラルの無間地獄にまっしぐら(゚д゚)!
過去の日本の失業率をみると(97以降はデフレ下にあため参考にはならない)、構造的失業率は
2%台半ばくらいであると推定できる。実際過去には失業率が3%が超えると問題であるとされた

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、現在の金融政策の状況を一言で述べると以下のような状況です。
「賃上げが進まない理由は単に構造失業率を、日銀が本当は2%台半ばであるものを3%台半ばであると間違っただけ」、日銀からさらに量的金融緩和をすれば、失業率は2%半ばにまでさらに下がるはずなのに、日銀は量的金融緩和をしないので、失業率が高含みのまま推移しているので、人手不足でも賃金があまりあがらないという状況が続いているのです。
誰にでもわかるように、賃金を上げるためには、現在のようにマイナス金利による質的金融緩和だけではなく、さらなる量的緩和が必要なのです。物価目標2%を未だに達成できないのも、さらなる量的緩和を実行しないからであるのは、明らかです。

以上のことから、都議選で大敗したしないは別にして、やはり現在の安倍政権の喫緊の課題は、消費税を5%に戻すこと、2%物価目標を達成するためにも、さらなる量的金融緩和を行うことです。

そうして、これを実行するだけの、政治力が安倍首相にまだ残っているかどうかという話になりますが、安倍総理一人に頑張っていただく以外に方法ないのでしょうか。

私は、あると思います。

日本では昔から集票力のある圧力団体が自分たちの利益のためにロビー活動しています。選挙のときにも自前で用意した組織内議員を送り込んでいます。つまり圧力団体の発言は政治家や政党も無視できない影響力を持っています。これは強固な組織や票をもっている圧力団体だからこそできることなのです。

また以前にデモも活発に行われましたが、これはたとえば「参加している人と一緒に行動する連帯感」「人前で行動を起こすことの開放感」「目立つことをしていることの高揚感」などといったデモに参加している人たちの内面を大きく変える事柄であっても、対外的なこと(政治や社会など)を変える力にはなりませんでした。

私は「必ず選挙に行って投票しなければならない」とか、「困っている人はみんなロビイングすべき」といったことはまったく言うつもりはありません。

しかし、「選挙で投票する」、「選挙に立候補する」ことを圧力団体が行えば、当然のことながら「圧力団体」が望む方向へと政治は動いていきます。

もちろん「選挙に立候補する」ことはハードルが高いかもしれません。では、「ロビイング」のほうはどうでしょうか?

「ロビイング」のことについては知らない人たちがたくさんいます。これでは「ロビイング」を既にやっている人たちが望む方向へと政治は動いてしまいます。

「参加する/参加しない」を選択するのは個々人の自由ですが、「知っている/知らない」で損得をしてしまうことは不公平だと思います。私はこれから「ロビイング」のことをたくさんの人たちに知ってもらい、そのうえで「ロビイングする/ロビイングしない」を選択できる社会に変えていきたいと考えています。

そして『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)はロビイングが誰でもできるものだと主張する、いわばロビイングのマニュアル書です。私は、この書籍を参考にして、ロビイングやってみたいと思っています。皆さんも、是非参考にしてみて下さい。

とにかく、たとえ憲法改正ができたにしても、日本が再びデフレ・スパイラルのどん底に沈み、マスコミの一部と官僚支配が作る日本最期の厳しい時代が来て、私達の子どもや孫の世代が塗炭の苦しみに塗れることだけは避けたいものです。

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2013年4月10日水曜日

かつての世代が持っていた向上心と自信を失った日本の若者=中国―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは若者の向上心と自信の大敵であることらを!!

かつての世代が持っていた向上心と自信を失った日本の若者=中国
               

日本の華字紙・中文導報はこのほど、日中両国の若者を比較する記事を掲載した。同記事は統計データを調査し、日本の若者は夢がなく、向上心が低いと結論づけた。アナリストは、「日本経済の衰退および貧富の差の拡大により、若者は未来に悲観的になっており、若者が夢を持てないことは社会全体の責任だ」と指摘した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

世界最大の人材サービス業者アデコはこのほど、日本で働く日中の若者の人生目標などについて調査を実施した。その結果、日本で働く中国の若者の9割が明確な目標を持っていた一方で、明確な目標を持っていた日本の若者はわずか3割しかいなかった。

現在の日本の若者は新しいことに興味を示さず、家で休暇を過ごす傾向が強まっている。マイカー購入を検討せず、活動範囲が狭く、最低限度の生活を送っている。これは「消費しない消費者」と呼ぶことができる。

文部科学省の教育研究機関は2012年8月、米国・中国・日本・韓国の7200人の高校生を対象にアンケートを実施した。そのうち「自分は価値がある」と回答した比率は、米国が89.1%、中国が87.7%、日本が36.1%、韓国が75.1%となった。「自分に満足している」と回答した比率は、米国が78.2%、中国が68.5%、日本が24.7%、韓国が63.3%となった。前の世代から見ると、日本の若者はかつての日本人が持っていた向上心と自信を失っている。

就職氷河期の「失われた世代」、教育の「ゆとり世代」である日本の20代の若者たちは、未来を見据えリスクを避けようとしている。

財団法人日本青少年研究所が12年に発表した「高校生の生活意識と留学に関する調査」によると、中国の6割の高校生は海外留学を希望しているが、日本の高校生の過半数は海外留学を希望しておらず、その理由の多くが「1人で生活する自信がない」などだった。また、文部科学省の調査によると、米国の大学に留学する日本の学生が急減しているという。(編集担当:米原裕子)


【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは若者の向上心と自信の大敵であることらを!!

本日は、上の記事を見ていて、日本と中国の若者を単純比較していて、なにやら割り切れないものを感じたので、掲載して解説を加えることとしました。最初に結論を言っておきますが、最近の若者が、向上心と自信を失ったようにみえるのは、あまりも長く続いたデフレのせいでもあるということです。

http://www.caa.go.jp/seikatsu/whitepaper/h15/honbun/image/15110c11.gif

これは、ミクロ的にみれば、個々人の差異があり、個々人の責任に帰すべきであるものも多々あるとはあります。しかし、統計的にもはっきり出てくるような差異についてはその背景を良く考えてみる必要があります。そうして、特に日本の若者に見られることで、他国などと顕著に異なり若者がこのような傾向になった原因と考えられるのは、20年にもわたって続いてきた今でも続いているデフレです。

中国は、最近はバブル崩壊で、景気は悪くはなっていますが、それでも10年以上も不景気が続いているということはありません。このデフレ、多くの人々の意識や考え方に、影響を与えないはずがありません。

これについては、過去に二回にわたって、掲載してきしまた。今回は、気せずしてこれらの記事の続編のような形になってしまいました。

その記事のURLを以下に掲載します。

まず最初の記事は、以下です。

従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!

 詳細は、この記事記事をご覧いただくものとして、この記事では、日本のベンチャー企業が発達しない理由は、大企業がベンチャー企業の製品を採用しないという理由ではなく、結局あまりにも長い間デフレであったことが原因であることを、様々な背景から解説しました。

二番目の記事は、以下です。

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!


これも詳細は、上の記事そのものをご覧いただくものとして、大企業100社の内部留保が99兆円にもつみあがったのは、何も若者を雇用しなかったり、賃金をあげないで、貯めこんだというよりも、その本当の原因は、デフレであることを、様々な背景から解説しました。

このように、デフレは、人々の考え方にもかなり影響を及ぼしているのは確かです。いくらアベノミクスが始動したといわれている現在であっても、デフレの真っ最中である今は、若者にかぎらず、多くの人々の考え方や行動に多大な影響を及ぼしていると思います。

私自身も最近入社してくる若い人々が、以前から比較すると、向上心や自信が不足していると感じたことがあります。しかしこのようなことは、5000年前のメソポタミアの遺跡からも、「最近の若者は、なってない」という陳腐な大人の言い回しが出てくるということから、最初は、自分もそれだけ年をとったのだくらいに認識していました。

向上心と自信が持てない今の若者?


しかしそうはいっても、最近の若者があまり元気がないこと、新しいものになかなかチャレンジしないこと、車もかわず、飲みにもあまり行かず、あまり自己投資することもなく、せっせと貯金する有様などみていて、やはり疑問を感じたので、いろいろと考えてみました。

そうして、最初は、やはり、「ゆとりの教育」が原因であろうと考えました。しかし、上の記事にもあるように、留学に行きたくないとか、失敗を恐れるあまりか、自分から進んで、新しい事柄にチャレンジしようとする気概も足りないことから、これは、「ゆうとりの教育」だけが、原因ではないと考えるようになりました。

そうして、いろいろい考えてみてわかったのが、やはり、かなりデフレが影響しているということです。深刻なデフレであれば、特に若者は、将来の希望がなかなか持てなくなります。たとえ、良い大学に入れても、今では、なかなか思い通りの企業にはいることもままなりません。

入ったら、入ったで、自分の親や、周りの人の話を聴いてもあまり良いことはありません。会社の業績が不振で、会社をリストラされたが、なかなか再就職口が見つからないとか、派遣で給料が安くて、結婚もままならないとか、 給料もあがるどころか減っているとか・・・・・・。あげれば枚挙に暇がありません。それに、上の記事にもあった、留学したがらないという理由の中には、上では指摘されていませんでしたが、経済的な理由も大きいです。それに極めつけは、自殺者の多さです。

これについていも、このブログでは過去に掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。

日本銀行・白川方明総裁 辞任発表緊急会見 全文文字起こし(2013/2/5)―【私の論評】どこまでも日本を弱体化させたいマスコミ白川総裁の悪行を報道せず!!国民を塗炭の苦しみに陥れた白川への恨み忘れまじ!!

 これも、詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、自殺に関する部分だけ掲載しておきます。

自殺者についてどのようなことになっているにのか、以下に掲載しておきます。

昨年1年間の全国の自殺者数は2万7766人で、15年ぶりに3万人を下回ったことが先月17日、警察庁のまとめ(速報値)で分かりました。前年より2885人(9.4%)少なく、3年連続の減少。減少率は統計を始めた1978年以降で最大となりました。

年間の自殺者数は金融機関の破綻が相次いだ後の1998年に急増。同年から14年連続で3万人を超えました。減少の背景について、内閣府は「分析には時間がかかるが、経済状況の改善も一因」としています。

自殺の原因や動機を年代と職業別に集計した結果は3月に発表される予定ですが、うつ病が毎年最も多くなっています。警察庁によると、昨年の自殺者のうち男性は1万9216人で69%を占めました。男女の割合は例年と同じでした。
 上のグラブでも、1998年から自殺者が急増し、何と年間3万人台になっています。1998年とは、日本が誰の目からみても明らかにデフレに突入した時期にあたります。デフレ傾向ということであれば、その5年ほど前からデフレです。それが、統計上でもはっきりとデフレになった1988年から自殺者が3万人台になったということです。私は、自殺者の中の少なからぬ部分が、経済的な理由もあるものと推測しています。これに関しては、同じことを現在の日銀副総裁の岩田氏も著書の中で解説していました。

向上心と自信が持てない若者
 
こうした、自殺者が増える社会環境の中にあった、若者もこうした環境に影響を受けないはずがありません。こんな環境では、若者もなかなか向上心と自信と自信を持つことはでかったのではないかと思います。

こんな時期に向上心を持ち、様々なことにチャレンジしたとしても、特に企業の中では、失敗してしまう確率がはるかに高いです。であれば、なかなかチャレンジしないというのが当たり前ではないでしょうか?そうして、チャレンジしていくつか失敗したとしても、いくつか成功すれば、それが成功体験として、自信にもつながります。しかし、チャレンジしないので、自信も持てないという悪循環にあったのだと思います。

屈託のない若者。でも、一皮むくと不安が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


こうしたことを考えると、今現在の若者の多くが、向上心や、自信もないということを攻める気にはなれません。

そうして、ブログの冒頭の記事が中国によるものというのが、また腹立たしいです。なぜそのようなことを言うかといえば、日本のデフレの大きな要因は、中国にあるからです。これに関しては、本日は本題ではないので詳細は述べませんが、無論私も、このブログにその内容を掲載したことがありすま。しかし、私の拙い解説よりも、昨年出版された、経済評論家上念司氏の書籍『歴史から考える 日本の危機管理は、ここが甘い~「まさか」というシナリオ~』をご覧になって下さい。

以下に、この書籍からの抜粋を掲載させていただきます。
①日本がデフレに陥った原因は、自国の経済政策の失敗を、誤った経済観によって円安のせいだと決めつけたアメリカの圧力と、その誤りを指摘することなく円高容認でお茶を濁し続けた日本政府の「事なかれ主義」の相互作用である。

②その後デフレが長期化したのは、中国共産党と癒着して巨大利権を得ていた親中派政治家が、個人的な復讐心や政策への無理解によって省庁再編、財金分離を進め、その過程で日銀法が誤って改正されてしまったことによるものである。(しかも、日本のデフレの長期化は結果として中国の高度経済成長を支えた)。
まさに、日本の若者の多くが、向上心や自信を失ったことを引き換えに、中国は経済発展したということです。そんな中国が、日本の若者の実情も踏まえず、上記のようなアンケートをとって、日本の若者を小馬鹿にしているような記事を掲載するから腹が立つのです。

現在アベノミクスにより、黒田日銀により、第一の矢である大規模な金融緩和が実施されようとしています。これに続く、政府の積極財政により、デフレから脱出できる可能性がかなり高まりました。ただし、増税は緊縮財政の一手法です。積極財政とは相矛盾する政策です。来年春に増税してしまえば、また、デフレ脱却からは遠のくことになります。そんなことにならないように、安倍自民党政権には、夏の参議院議員選挙でも圧勝していただき、増税の延期を決めていただきたいものです。

日本の若者もビーチバレーの浦田聖子さんのように一芸に秀でて自信をもてれば良いのだが・・・・
 
そうして、デフレから脱却し、さらなる円安で今まで、ぬるま湯に漬かって大成長してきた中国経済や韓国経済をズタボロにして、さらに、若者が向上心と自信を持てるような国日本にしていこうではありませんか!!それにしても、物心ついた頃からデフレにどっぷりと漬かってしまい、それがあたり前になってしまった若者たちに、デフレが終息すれば、これから、会社の中でも、社会の中でもルールそのものが大幅に変わってしまうことを周知徹底させなければ、今度はインフレ圧力に負けてしまいます。そうならないように、インフレ圧力を知っている私たちも頑張って、若者たちを教え導いていく必要があると思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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