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2019年11月17日日曜日

弾劾世論調査:トランプ支持率が50%に回復―【私の論評】日本の腑抜け野党によく似てきた米民主党だが、それでも日本の野党よりはましだ(゚д゚)!

弾劾世論調査:トランプ支持率が50%に回復

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2019.11.15

ラスムセンレポートによる毎日の大統領追跡調査によると、トランプ大統領の支持率が弾劾で上昇している。

大統領に対する毎日の評価は、下院弾劾公聴会の初日の13日以降、4ポイント上昇した。



ラスムセンの調査分析によると、「大統領の総合支持率は、下院弾劾公聴会初日の13日以降上昇をたどっている。13日朝は46パーセントだったが翌日には48パーセントに上がり、現在50パーセントとなっている。現在の調査の3晩分のうち2晩分は大々的に報道された公聴会後のものである」。

バラク・オバマ大統領は1期目のこの時点で49パーセントの支持率だった。

調査結果ではトランプの仕事ぶりに49パーセントが不支持を示している。

※なお、RealClearPoliticsによる各世論調査平均でも同様の傾向が見られる。



【私の論評】日本の腑抜け野党によく似てきた米民主党だが、それでも日本の野党よりはましだ(゚д゚)!

米民主党が問題視しているトランプ大統領の言動とは、「ウクライナが必要とする武器の供与を餌に、バイデン候補が副大統領当時に同氏の息子がウクライナ企業から多額の報酬を受け取っていたかどうかを調べることを強要した」というものです。

この話の最大の弱点は、トランプ大統領がウクライナの要求する武器の供与を、ウクライナからの調査結果を受け取っていないにもかかわらず既に実行していたことです。

次に、内部告発にあった7月25日の電話会議を始点として考えると、武器の供与が9月下旬で2カ月のタイムラグがあります。

つまり、ゼレンスキー大統領が合理的人間で、トランプ大統領が明確に要求していたとするならば、ゼレンスキー大統領が2カ月間も調査を放置していたにもかかわらず、ということは、トランプ大統領の要求を無視したにもかかわらず、武器が供与されたことになります。

ここで重要なのは、米国の外交官やCIA職員、大使などが大統領の意思をどう忖度(そんたく)したか、また彼らがトランプ大統領の意思としてゼレンスキー大統領に調査を求めようとしていたと感じていたか、ということではありません。トランプ大統領が実際に調査依頼を自分で考え、具体的に指示したかです。頭で考えていたかもしれない、ということではありません。

トランプ大統領が民主党の申し立て通りに調査報告を交換条件としていたとするならば、その条件が満たされないうちに武器を供与したことの理由づけが難しいです。いまのところこの点で、トランプ大統領に不利となるような証言が出てはいるものの、決定的な証拠は出てきていません。

トランプ大統領に「フェイク・ニュースを流すフェイク・メディア」とばかにされてきた大方の米メディアはトランプ大統領について、自分の利益を最優先し、何でも自分で一度に実現できると考え、しかも自分の意見を頻繁に変える気まぐれ屋と批判してきました。また、衝動的で自分の希望が通らなければ取引を中止する傲慢さを持っているとも批判しています。

トランプ大統領(下端)と支持者ら

ティラーソン前国務長官を筆頭に、トランプ政権を去った人々の多くは大統領の頭は小学生レベルで、アイデアを彼らに語っても次の瞬間にはそれを覆して別のことを言う、またはなかったことにするいい加減な人間だと批判しました。

一方、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏によれば、トランプ大統領は就任から現在までに300回、ウクライナ疑惑の内部告発がなされてからの1カ月ほどで45回、「魔女狩りだ」と連呼したとのことです。同時に彼は人々はことの真偽にかかわらず、メッセージの反復発信で信用するという研究結果も付け加えています。トランプ陣営からすれば、トランプの「魔女狩り」ツイートこそがリスク回避戦術なのです。 

一般に伝えられているトランプ大統領の性格を考えれば、民主党が主張しているような思惑を持ち、それを周囲に漏らした可能性はあります。ただ、しばらくしてその考えを変えて、指示はせず、行動にも移さなかったのかもしれないです。

また、ゼレンスキー大統領に調査の見返りという条件を提示していたならば、多くの米国メディアが報道するように、トランプ大統領が偏執的な性格というのが本当であれば、から2カ月も黙って待っていることはできないでしょうし、要求を無視されてプライドを傷つけられた大統領がウクライナに武器を売る判断をすることはあり得ないでしょう。

結局のところ、現段階でトランプ大統領の弾劾が成功すると考えるのは、かなり困難だという結論に落ち着きます。

さらに、以前このブログでも掲載したように、米国では大統領の弾劾そのものがもともと難しいのです。その記事のリンクを以下に掲載します。

民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!

ニクソン大統領
詳細は、この記事をご覧いただく
民主的な選挙で選ばれた大統領を政治的な動機で糾弾し解任しようとする弾劾措置への反発は、米国民の間で従来から根強いものがありました。だからこそ民主党のペロシ議員は、昨年11月の中間選挙前も、「ロシア疑惑」が高まったそれ以前の時期でも、弾劾への動きには一貫して反対してきたのです。
さらに、この記事では、かつてニクソン大統領が弾劾されそうになって辞任したときのことも掲載しています。
ニクソン大統領のウォーターゲート事件がありましたが、あのときニクソン氏は、弾劾されそうになったため自ら辞任しました。 
なぜ弾劾されそうになったかと言うと、当時の共和党の議員が彼を見捨てたからです。そこで、これはもう万事休すだということで辞任したのです。
現状のトランプ大統領は、とてもそのようなことにはなりそうもありません。

これは、過去にもこのブログで述べたことですが、トランプ大統領を、ロシア疑惑と、ウクライナ疑惑の二回にわたって、弾劾しようとした米民主党は、相当追い詰められているるとみるべきです。

そうして、最近の米民主党は日本の野党に良く似てきたと思います。

トランプ政権の経済差政策は、特に雇用政策がうまくいっているし他の経済指標も悪くはありません。この点で、民主党はトランプ政権を批判できることはあまりありません。

さらに、安全保障に関しても同様です。 むしろ、オバマ政権では軍縮してきたため、米軍に負の遺産を残したのですが、トランプ政権がそれを立て直しつつある状況です。この点でも、民主党は共和党を批判できません。

さらには、中国への対峙は超党派で行われていることなので、民主党はこれを批判できません。

要するに、現状では米民主党は、あまり米共和党を批判することができないです。だから、トランプ氏個人の資質を問題としているのです。

米民主党ならびに米リベラルメディアは、トランプ氏は政治家としての資質がないことを喧伝してきましたが、彼らの忘れていることがあります。

それは、多くの米国民はオバマやクリントンなどの、既存の政治家には失望したからこそ、生粋の政治家ではない実業家のトランプ氏を選んだのです。

生粋の実業家であれば、既存の政治家や、政治家とは反りが合わないのは当然のことです。実業家では、いわゆる朝令暮改は当たり前のことです。朝に正しいと考えていたことを、夕方には改めることは良くあることです。そうでなければ、企業は厳しい環境を生き抜いていけません。既存の政治家や、官僚にはできない芸当です。

このような資質は、ティラーソン前国務長官を筆頭に、トランプ政権を去った人々の多くには、いい加減な人間だと写ったのかもしれません。さらに、このような資質は、民主党や米リベラル・メディアにとっても、格好の攻撃材料だったに違いありません。

しかし、いくらトランプ氏の資質を煽ったところで、トランプ氏は一向に動じる気配がないため、米民主党はとうとう禁じ手ともいえる、大統領弾劾に動き出したのです。それも、二度もです。

この動きは、日本の野党にも似たところがあります。日本の野党は、「もりかけ」問題に拘泥しましたが、これは最初から、倒閣に結びつけようというのは、無理筋というものでした。

現在は、「桜を見る会」をやり玉にあげていますが、これも無理筋でしょう。しかし、日本のリベラル・メディアはここぞとばかり、安倍政権を批判していますが、これも倒閣には結びつけようもありません。「桜を見る会」を野党とメディアが糾弾しはじめてから、安倍政権の支持率があがるという始末です。



これは、米民主党が、トランプ氏への弾劾の動きを強めた途端にトランプ大統領の支持率が上がったことと、良く似ています。

それでも、米民主党のほうが、まだましかもしれません。なぜなら、安倍政権は、トランプ政権と比較すると、増税するなど経済政策はトランプ政権の逆をやっており、安全保障、外交でも習近平を国賓として招くというような米国と比べると信じがたいことをしています。

言ってみれば、現在の安倍政権は、残念ながらつつきどころは満載です。もし、米民主党が日本の野党だとしたら、勢いづき、安倍政権を批判するだけでなく、様々な政策論争を展開してるでしょう。特に、米国と比較するとまるで、一大政治集団のように振る舞う財務省を徹底的に批判することでしょう。

しかし、日本の野党はそのようなことはせずに、「桜を見る会」をやり玉にあげています。これでは、万年野党の地位を打開することなど、永遠にできないでしょう。情けない限りです。

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2019年11月1日金曜日

弾劾調査発表後、トランプ支持スーパーPACが1日に約100万ドルの資金を集める―【私の論評】米民主党もトランプ再選で、日本のような「腑抜け野党」になってしまうのか(゚д゚)!

弾劾調査発表後、トランプ支持スーパーPACが1日に約100万ドルの資金を集める

<引用元:FOXビジネス 2019.10.31

ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)

ナンシー・ペロシ下院議長が弾劾調査を発表してから、トランプ大統領支持の献金額が急上昇しているとある支持者はいう。

トランプ政権の元中小企業庁長官でアメリカファースト・アクションPAC(政治活動委員会)理事のリンダ・マクマホンは10月31日、自身のトランプ支持団体がペロシの発表から数日で数百万ドルを集めたと、FOXビジネスのニール・キャビュートに語った。

アメリカファースト・アクションのようなスーパーPAC(特別政治活動委員会)は、広告が候補者の公式選挙運動と連携しないという条件で、候補者を支持する広告に利用できる資金を無制限に集めることが許可されている。

「ナンシー・ペロシが弾劾調査を進めると発表した時、それから7日間で700万ドルを集めました。1日約100万ドルです」とマクマホンは話した。

「それは大統領を味方する人がたくさんいることを物語っていると私は思います」とマクマホンは話した。

2020年の選挙サイクルが始まってから、トランプ陣営は1億6,530万ドルを集めており、共和党全国委員会は1億6,870万ドルを集めた。合計で約3億3,400万ドルになる。

民主党全国員会は、2019年から2020年のサイクルの間、これまでに6,650万ドルを集めている。2020年7月の大会まで正式な民主党候補者は選ばれないため、現在の民主党大統領候補者は全員、個々の資金集めの合計となる。

【私の論評】米民主党もトランプ再選で、日本のような「腑抜け野党」になってしまうのか(゚д゚)!

米議会下院が10月31日にトランプ大統領の弾劾調査の承認と前進を採決しました。

弾劾調査プロセスを巡る決議案はほぼ党派に沿って賛成232票、反対196票で可決されました。これは弾劾調査の公開段階に向かうロードマップを提示しただけではありません。トランプ大統領弾劾の訴追決議案採決と、上院での弾劾裁判がほぼ不可避だという明確なシグナルでもあるのです。

トランプ氏は正式な弾劾調査プロセスの対象となった4人目の大統領となります。ビル・クリントン氏と南北戦争後のアンドリュー・ジョンソン氏の2人は下院で弾劾訴追されたのですが、上院では有罪判断を受けませんでした。リチャード・ニクソン氏は下院が弾劾訴追の決議をする前に辞任しました。

1970年代当時のニクソン大統領は、あまりの
不人気のためトイレットペーパーの絵柄された

しかし、トランプ氏は弾劾訴追されてから再選を目指す初の大統領になるかもしれないです。しかし、これでトランプの再戦はなしとみるのは、あまりに時期尚早です。

米野党・民主党のペロシ下院議長は9月24日、トランプ大統領の弾劾に関する調査を開始すると発表しましたが、その直後から、2020年の大統領選で再選を目指すトランプ陣営は弾劾調査が再選に有利に働くと主張していました。

同陣営の広報担当ティム・マータフ氏は「民主党が馬鹿な真似をした場合に備えて、多くの準備を整えていた。実際、民主党は馬鹿だった」と発言しました。

「おそらく献金が急増するだろう。大統領が圧倒的勝利に大きく近づいたと考えている」と述べました。

同氏は、ペロシ議長が弾劾調査を発表した直後の15分間で25万ドルの献金を集めたと表明していました。

トランプ大統領も6週間前に撮影した動画を直ちにツイッターに投稿し、「(弾劾調査は)魔女狩りのくずだ」と批判しました。

トランプ大統領

同大統領はニューヨークで記者団に対し「再選にプラスになると誰もが言っている」ともコメントしました。

共和党全国委員会は8月下旬のモンマス大学の世論調査で弾劾に対する有権者の支持が低かったことを指摘。また、民主党主導の下院で弾劾決議が可決されても、共和党主導の上院で大統領が有罪にならないことはほぼ確実です。

このため、ペロシ議長も弾劾調査には消極的な姿勢を示してきました。

トランプ陣営を勢いづかせているのも、こうした「弾劾は逆効果」という見方です。

あるホワイトハウスの当局者は、大統領は懸念していないと一蹴。別の当局者も、民主党が2016年の大統領選でのトランプ氏の勝利をまだ受け入れられていない証拠だとコメントしました。

来年11月の米大統領選に向けた民主党候補指名争いで、トランプ大統領(73)に勝てそうな新たな候補の登場を待望する声が民主党の有力支持者の間で広がりつつあります。

本命視された中道穏健派のバイデン前副大統領(76)の勢いが衰える一方、左派系のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)が支持を拡大していることを受け、「現状ではトランプ氏に勝てない」との危機感が強まっているためです。

ウォーレン氏の持論は国民皆保険や巨大企業分割です。しかし、これらは米国では多くの人が両手をあげて賛成するようなな政策ではありません。さらに、ウォーレン氏は国民皆保険のための、財源についても未だに語っていません。これでは、確かにトランプ氏には勝てそうもありません。

以前にもこのブログに掲載したように、クリントン大統領は弾劾裁判かけられた史上二人目の大統領ですが、下院で共和党が弾劾を可決し、上院がそれを否決した後、大統領への支持率が大きく伸びただけでなく、1998年の中間選挙で民主党が大躍進しました。

20年前の不倫弾劾の引き金となったモニカ・ルインスキー(左)と<クリントン大統領(右)

国民の弾劾への支持は充分でありません。9月18日発表のポリティコ/モーニング・ コンサルト世論調査によれば、議会が弾劾調査を開始することへの賛成はわずか37%で、半分が反対であす。米国人は、法を非常に重視するので、法に基づいて選出された大統領を裁く、それも議会が裁くことに強い抵抗があります。いずれの党が多数を占めようと国民の議会に対する信頼が常に低いことも影響しているでしょう。

ただし、民主党支持者に限ってみると数字は全く違います。次の民主党大統領予備選で票を投じるとしている有権者の68%が弾劾調査を支持し、反対はわずか20%です。この数字とウクライナ疑惑を考慮すれば、民主党指導層は弾劾調査に踏み切らざるを得なかったのでしょう。

そうして、この弾劾の動きは完全に失敗したようです。先にもロシア疑惑で弾劾の動きをして失敗した民主党が今度は、ウクライナ疑惑で弾劾裁判に打って出た民主党は、大統領選挙選では、よほど窮地にたたされているとみられたのでしょう。

現在までに弾劾などを不安に感じていた、人もこれはトランプ圧倒的に有利と確信できるようになったのでしょう。この種の献金では、やはりせっかく献金するのだから、その献金が無駄になって欲しくはないと誰しもが願うと思います。だからこそ、トランプ大統領支持の献金額が急上昇したのでしょう。

さて正式に弾劾裁判になったとすると、トランプ氏にクリントン氏のときのように、かえって支持がますことが予想されます。しかし、トランプ氏も黙ってはいないでしょう。裁判の過程でさまざまな民主党に対するしっぺ返しが展開されるかもしれません。

トランプ氏は弾劾訴追されてから再選を目指し当選する米国史上初の大統領になるかもしれません。そうなれば、民主党の権威は地に落ちることになり、長期にわたって、政権与党になる道が閉ざされるかもしれません。民主党はかなり危険な賭けにでたといえます。

日本の野党あたりも、参院あたりで、まかり間違って、多数派になれば、このようなことをするかもしれません。しかし、現状では経済学者の田中秀臣氏が言うように、"景気悪化をダメ押しする「空っぽ保守」と「腑抜け野党」"という状況ですから、安倍政権が増税したにもかかわらず、それに対して攻勢をかけられない「腑抜け野党」ですから、まかりまちがってもそのようなことにはならないでしょう。

米国の民主党は現状では、日本の野党よりは酷くはなさそうにみえますが、そもそもあり得ない弾劾裁判を二度にわたって繰り出すなど、だんだん日本の野党に似てきました。

日本の野党は何度選挙で負けても、なぜ負けたのか、その真摯な反省をしていないようです。米国民主党も、なぜ大統領選挙に負けたのか真摯な反省をしていないようです。

もし、来年の大統領選挙でトランプ氏が再戦された場合、米国民主党も日本の野党なみに「腑抜け野党」になることでしょう。

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2017年4月9日日曜日

トランプ大統領のシリア攻撃をクリントン氏も支持―【私の論評】米民主党・メディアがトランプ大統領の政策をなぜ支持したのか理解不能の民進党(゚д゚)!

トランプ大統領のシリア攻撃をクリントン氏も支持
共和党も民主党も幅広く賛同の意を表明

米駆逐艦ポーターが地中海から行ったシリアへのミサイル攻撃。米海軍提供(4月7日撮影・公開)
「ドナルド・トランプ氏は初めて米国大統領になった」――トランプ大統領が実行したシリアの空軍基地攻撃に対して、民主党系の評論家がこんな賞賛の言葉を送った。

 共和党も民主党も支持
 4月4日、トランプ大統領がシリア政府軍の化学兵器使用への制裁として、59発のトマホーク巡航ミサイルによるシリアのシャイラト空軍基地への攻撃を断行した。

 この攻撃は米国内で共和、民主の両党側から幅広く支持されている。トランプ氏の施策が両党側からこれだけ支持されるのは、1月に大統領に就任して以来初めてである。この展開を機に、トランプ政権に対する一般の評価にも変化が起きるかもしれない。

 CNNテレビの国際問題評論家ファリード・ザカリア氏は4月7日の番組で、トランプ政権が実施したシリア攻撃について、「ドナルド・トランプ氏は就任以来78日目にして初めてアメリカ合衆国大統領となった」「トランプ氏は国際的な基準やルールを明確に述べ、世界の中で正義を行使する米国の役割を語った」と述べ、攻撃に賛成した。

ファリード・ザカリア氏 写真はブログ管理人挿入以下同じ
 ザカリア氏は民主党系リベラル派のベテラン記者である。これまではトランプ氏の言動や政策を選挙期間から厳しく批判してきた。だが今回は、国際法規に違反する化学兵器を使用したシリアへの武力行使を、「米国の大統領らしい行い」だと称讃した。

 「この攻撃は必要だった」とルビオ議員

 今回の米軍によるシリアの基地攻撃は、国際的には賛否が交錯している。自由民主主義陣営の各国は一様に同意を表明した。だが、シリアのアサド政権を支持するロシアは激しく反発し、米ロ両大国の対決という状況を生み出しつつある。当のアサド政権は化学兵器の使用を否定しており、米国の攻撃は国際法違反の侵略だと非難する。

 だが米国の国政レベルでは圧倒的に賛成の意見が多い。

 共和党側では、昨年の大統領選の共和党予備選でトランプ氏と激しく争ったマルコ・ルビオ上院議員が、「この攻撃はアサド政権軍の化学兵器の戦力を抑える重要な一歩であり、必要だった」と言明した。

マルコ・ルビオ上院議員
 同じ共和党のべテラン上院議員、ジョン・マケイン氏とリンゼイ・グラハム氏も、「トランプ大統領がオバマ前政権とは異なり、アサド政権の無法に対して断固たる軍事行動をとったことは賞賛されるべきである。米国民一般からも支持されるべきだ」と連名で声明を発表した。

 下院議長のポール・ライアン議員(共和党)もトランプ大統領の今回の実力行使を「適切であり、正統な行動だ」と評価した。

 クリントン氏も賛意を表明
 意外なことに、これまでトランプ氏の諸政策を徹底して非難してきた議会の民主党議員たちからも今回のシリア攻撃は支持されている。

 たとえば上院の民主党院内総務のチャック・シューマー議員は、「アサド大統領が憎むべき残虐行為を働いたことに代償を払わせるという意味で、今回の攻撃は正しい」と述べた。また、下院の民主党院内総務のナンシー・ペロシ議員は「この攻撃はアサド政権の化学兵器使用に対する順当な対応だ」とする声明を発表した。

 さらにトランプ氏と大統領の座を争ったヒラリー・クリントン氏も「アサド大統領の長年の残虐行為に対して、もっと早くこの種の軍事行動をとるべきだった」と述べた。

ヒラリー・クリントン氏
 CNNテレビのインタビューに応じたクリントン氏はシリア攻撃への賛意を表明しただけでなく、この種の武力行使を今後もアサド政権に対して続けていくべきだと語った。「容易な決断ではなかっただろう」として、トランプ氏への理解も示している。

 もちろん全員が賛同しているわけではなく、民主党議員のなかには、トランプ大統領の今回の措置が議会の承認を得なかったことや、国際法との整合性を明確にしていないことなどを批判する動きもある。

 だが全体としては、民主、共和両党からの圧倒的な支持が目立つ。就任以来、トランプ大統領が実施したさまざまな政策や措置の中で、今回のシリア空軍基地攻撃は最も多くの支持を集める結果となったようだ。

【私の論評】米民主党・メディアがトランプ大統領の政策をなぜ支持したのか理解不能の民進党(゚д゚)!

このブログには、以前から米国のメディアはリベラル・左派が90%を占めており、保守派は10%しかありません。

それは事実です。米国の場合は、特に新聞はひどく、大手新聞は100%がリベラル・左派が占めているという具合です。

そのため、保守派の声はかき消されてまるでなきがごとくであるということを掲載してきました。

しかし、それは日本も同じような状況にあります。日本の場合、産経新聞が保守派であるというのが、唯一米国よりは多少ましかもしれないという程度です。

しかし、今回のブログ冒頭の記事をみると、リベラル・左派が90%占める、メディアも今回のシリア攻撃を支持していますし、ヒラリー・クリントンをはじめとする民主党の議員も多くがこれを支持しています。

この有様は、日本とは大違いです。日本の場合は、野党は安倍政権のやることには何でも反対します。

この違いはいったい、どこから来るのでしょうか。それはやはり、米国と日本の政治体制の違いからくるものだと思います。

米国では、日本とは異なり二大政党制が根付いています。そうして、長年二大政党制が続いたことから、政治の継続性の原則も貫かれているようです。


政治の継続性の原則とは、たとえ政権交代があったにしても、旧政権の政策が60〜70%が引き継がれ、新政権は残り30%〜40%で新政権らしさを出すということで、政治的混乱を防ぐというものです。

これは、当然といえば当然のことです。米国のように共和党と民主党の二大政党制だと、政権交代することも頻繁にあります。その場合、政権交代するたびに180度、政策が異なるようなことがあれば、それによる混乱はとてつもないことになります。

また、二大政党制によって政権交代をすることが普通にある米国においては、政権交代された側の政権の閣僚や主要な地位についていた議員などは、その政党の考え方に近いシンクタンクに入ります。そこでシンクタンクの研究員などともに政策の研究を行い、シャドーキャビネットを築きます。

そうして、自分たちは米国という国や社会をどうしたいのかという理想をみつめつつ、具体的な政策の立案を行い目的・目標を定めて、政権に返り咲く時を待ちます。

日本のように、野党に下野すると、単なる議員で、党組織に属しているだけということではありません。そうして、下野していてもいずれ時が来て、また政権与党になったときも、シンクタンクが政権与党の政策立案などをサポートします。これは、実際に重責を担う人たちと一緒研究をした研究員などが、与党の政策立案などをサポートすることになるので、政策運営もかなり実行しやすいです。

このように政治的混乱をさけるため、政治の継続性の原則が貫かれているのです。無論、これは不文律のようなもので、法的な裏付けなどがあるわけではありません。

そうして、米国には強固な三権分立制が敷かれています。これと、政治の継続性の原則があいまって、政権交代がなされたとしても、新大統領がそれまでの政策と180度転換するような政策を行うとしても、それはなかなか容易なことではありません。


だからこそ、トランプ大統領はオバマケアの改廃を目指す立法の議会への提出を断念したのです。やはり、オバマケアの抜本的な改変は、オバマ大統領の時代の政策を180度転換するようなもので、民主党はもとより、共和党の中にも反対する議員が大勢でて、断念せざるを得なかったのです。

しかし、一方今回のトランプ大統領のシリア攻撃に関しては、野党である民主党やメデイアも支持しています。これは、民主党が政権与党だったとしてもシリア攻撃を実行したであろうという意思表示であります。これによって、米国民も共和党政権であろうと、民主党政権であろと、今回のシリア攻撃は実行したであろうことを知り、これが米国のコアな政策なのだと理解することになります。

しかし、日本の場合現在の安倍自民党政権の政策には、野党は何から何まで反対です。もともと、どう頑張っても政権与党にはなり得ない共産党が、何から何まで反対するというのはわかりますが、かつて民主党として政権与党だった現在の民進党がとにかく何から何まで反対というのは全く理解に苦しみます。

国会で、何から何まで反対する野党の姿勢に批判をした安倍総理大臣
私は、現在の日本のいわゆるリベラル左派は、民進党やメディアや知識人も含め、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無限地獄に陥って堕落しているのだと思います。

そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。

このようなリベラル・左派のどん詰まり状況に閉塞感を感じ、リベラル・左派から離れる人も結構います。最近では、民進党の長島昭久元防衛副大臣が7日、離党する意向を固めたことがわかっています。「党執行部が進める共産党との共闘路線は容認できず、国民の理解も得られない」として、10日に離党届けを党本部に提出して記者会見する予定です。当面無所属で活動する予定だといいます。

現在の民進党であれば、このように将来に絶望する人たちもこれから出てくると思います。民進党はこのままだと限界的な存在から脱却することができず、ますます劣勢になるだけです。

民進党は、今回のトランプ大統領のシリア攻撃に対して、なぜ民主党やメディアが支持したのか真剣にその背景を学び、今後の国会での自らのありかたを真摯に考えるべきです。

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